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2017年5月9日火曜日

【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始―【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始


 安倍晋三首相は9日午後の参院予算委員会で、民進党の蓮舫代表と対決した。首相は「将来に向かって日本がどういう国を目指すのか、具体的な提案を憲法審査会に提案していただきたい」と述べ、国会に憲法改正の具体的な提案を出すよう求めた。

 首相は「憲法審査会で各党が提案を持ち寄って議論を深めるべきだ」とした上で「自民党内の議論を加速して党としての憲法審査会への提案を、いかに苦しくてもまとめ上げる決意だ」と強調。民進党の細野豪志前代表代行が改憲私案を発表したことを引き合いに「アイデアを持っている方もいる。代表としてしっかりとりまとめを行い、立派な提案をしてほしい」と蓮舫氏を諭した。しかし蓮舫氏は答えず、首相への批判に終始した。

参院予算委員会の集中審議で、質問する民進党の
蓮舫代表=9日午後、国会・参院第1委員会室
首相は改憲項目に関し「今、まずやるべきは自衛隊についてだ。憲法学者の7、8割が違憲と言っている。それを変えていくのは私たちの世代の責任だ」と述べ、9条改正を優先させる必要があるとの認識を示した。

 自民党が野党だった平成24年に発表した改憲草案とは異なるが、首相は「残念ながらこの案のままでは(改憲発議に必要な衆参両院での)3分の2の多数は得られない。批判を受け止める責任感を持ちながら、リーダーとして結果を出したい」と強調した。

 改憲の2020年施行を目指すとした理由については「東京五輪・パラリンピックも予定されている。まさに新しい日本を始めようという機運がみなぎっている」と述べた。

【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

民進党の蓮舫代表は、「首相」と「内閣総理大臣」と「総裁」の違いを理解していないようです。代表がこの有様ですから、他の民進党の議員もほとんど理解していないとは考えられますので、「教育」の意味も含めて以下に掲載しておきます。

「首相」と「内閣総理大臣」と「総裁」の違い

日本の行政権の長を表す正式な呼称は「内閣総理大臣」。

「総理」や「総理大臣」は、「内閣総理大臣」の略称です。

「首相」は、「内閣総理大臣」の通称。


外務大臣を「外相(外務相)」、財務大臣を「財相(財務相)」と呼ぶように、「相」は「大臣」のことで、首相は「内閣の首席大臣」を表します。

法律上の正式名称は「内閣総理大臣」であるため、法令で「首相」を使うことはありません。

しかし、「内閣総理大臣」は日本固有の官職名であるため、海外のメディアでは、英語で「Prime minister」、つまり「首相」と呼ばれます。

他の国にもそれぞれ固有の官職名ですが、議院内閣制をとっている国の政治の最高責任者を表す際は、基本的に「Prime minister(首相)」で、一般的な呼称はどちらかといえば、「内閣総理大臣」よりも「首相」の方です。

正式名称を必要としない場面では、「首相」に統一しても良さそうですが、新聞やニュースの文字では「首相」、ニュースの読みでは「総理大臣」や「総理」と使い分けられていることが多いです。

「首相」と「総理大臣」「総理」で使い分けられている理由は、聞き間違いをなくすためです。

財務大臣を「財務相」、外務大臣を「外務相」と読んだ場合、「財務省」や「外務省」と区別がつかないことから、官僚の呼称は「大臣」で統一されました。

それに合わせて「首相」も「総理大臣」や「総理」と呼ぶようになったことから、文字には一般的な「首相」を使い、読みには「総理大臣」や「総理」と使い分けられるようになったのです。

「総裁」も「首相」や「内閣総理大臣」と同義語に思われがちですが、「総裁」と「首相」「内閣総理大臣」は大きく異なります。

日本銀行のトップを「日銀総裁」と呼ぶように、「総裁」は組織や団体の長として全体を取りまとめる職務のことで、内閣に「総裁」という職名があるわけではありません。

日本では自民党が政権を握っている期間が長く、自民党の党首名が「総裁」で、党首が内閣総理大臣を務めることが多かったことから、「総裁=内閣総理大臣」となり、「総理総裁」とも呼ばれたのです。

ここのところを蓮舫代表は全く理解していないのです。本来は、総裁≠内閣総理大臣なのです。

自民党総裁としての立場で、ビデオメッセージで憲法改正に関する意見を述べた安倍晋三氏
しかし、他の党の党首名は「総裁」とは限らないため、他党が第一党で過半数を獲得していたり、連立で過半数を獲得していれば、「総裁=内閣総理大臣」ではなくなります。

また、自民党が第一党で過半数を獲得していたとしても、内閣総理大臣は国会議員であればよく、党首がなる必要はないため、必ずしも、「総裁=内閣総理大臣」になるとは限らないのです。

以上のことことから、安倍晋三氏が総裁としての立場でものを語るときと、内閣総理大臣の立場でものを語るときは、同じ場合もありますが、違い場合もあるわけです。

そうして、憲法改正に関して安倍晋三氏が「総裁」の立場で語ったということは、自民党の長として全体を取りまとめる立場から語ったということです。

そうして、自民党の長という立場で、他党にも憲法改正に関して、関与を促すことを表明したということです。

蓮舫代表はこのことを理解していなので、国会での論議でもチグハグになっています。

蓮舫代表をはじめ民進党の議員は、まずは、これを理解すべきです。こんなこともわからないのかと理解に苦しみます。

さらに、憲法論議もかなり幼稚です。安倍総理が、国会で民進党に改憲案提出を要求したにもかかわらず、蓮舫代表はこれには全く答えず首相批判に終始しました。

これは、民進党は故意に出さないのか、あるいは出せないのかもわかりません。私としては、出せないのだと理解します。

私自身は、現在の憲法論議そのものには、いわゆるリベラル・左派や左翼の方々が言う問題とは全く異なる別な面で問題があると思っています。それは、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!
沖縄の基地反対運動
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では保守派の中にも、「憲法典(文字で書かれた憲法のこと)」の字面を変えれば、すべてが変わると単純に思っている人も多いようですが、それは間違いであることを掲載しました。

憲法とは、国の成り立ちや、国柄、長い時間をかけて様々な論議が重ねられた結果できるものであり、それが成文化されて憲法典になるべきであって、最初に憲法典の改変ありきではないのです。そのことを忘れている人が多いようです。

そのような単純な思い込みは、ある意味護憲派が憲法典を金科玉条のごとく一字一句守り続けることが絶対善であると信じ込むのと同じようなものであり、それでは本当の意味でのまともな憲法などできあがりはしません。

そうして、この記事では、現在の自衛隊のフアーストエイド・キットがお粗末なことや、トイレットペーパーが自前であること、陸自の隊員が米国の軍楽隊以下の実弾訓練しかできていないことなどを例にあげて、憲法改正の前に地道にできることは、するべきであることを主張しました。

この憲法改正以前にできることもしないようでは、憲法改正などできないと思いますし、仮にできたとしても有名無実になる可能性すらあると思います。

そうして、この記事には掲載しきれなかったことを以下に掲載します。

憲法改正は日本国憲法ではなく大日本帝国憲法を土台にせよ

それは、私たちは現行の日本国憲法を元に憲法改正をするというのではなく、大日本帝国憲法に立ち返りそこから、新たなに現在の憲法を考え出すべきだということです。

憲法論議に関して明治時代にまで遡ると、当時日本が生き残るために必要だったのは、西欧の人々が納得するような憲法や法体系でした。

憲法がなければ、不平等条約も改正できず、西欧に伍することもできなかったからです。そこで伊藤博文らが、西欧のサル真似ではなく、日本の歴史、文化、伝統に則りながら、西欧をも凌駕するような気概で作ったのが大日本帝国憲法でした。

日本古来よりある十七条憲法と五箇条の御誓文から『古事記』『日本書紀』までを徹底的に研究し、たとえば、議会制民主主義は『孝徳天皇や天智天皇のころよりから日本は話し合いで政治をやってきた、天皇が臣下と相談せずに物事を進めるという伝統は我が国にはない』というふうに解釈し解説書を著しました。

西欧の流儀を取り入れつつも、日本の伝統には則る。変わりゆく伝統のなかで歴史を紡ぐことを決意したのです。帝国憲法に書かれている国家観は『日本は天皇の国である』という一言に尽きます。これまでの日本は天皇によって統治されてきたことを条文で定めるのではなく、改めて『確認する』という内容になっています。

伊藤博文らは10年近くもの時間をかけて、伝統と国益が両立する憲法を作りあげました。一方の日本国憲法はマッカーサーの落書きをもとに素人が1週間で書き上げてものだと言われています。

かけた労力もさることながら、両者の最大の違いを端的に言えば、日本国憲法は、有事を想定していないことにあります。日本人が本当の意味で天皇を必要とするのは、『いざ』という有事です。

有事とは国家事変、戦争、天災の三つで、これらが起こったとき、大日本帝国憲法では天皇は日本の中心となって、国を滅亡から救う役割が求められるのです。たとえば、その典型は二・二六事件ですが、クーデターによって内閣がなくなったとき、反乱軍討伐の方針を示したのは昭和天皇でした。

帝国憲法では、『いざ』というときに日本国の本来の持ち主として、天皇は麻痺した政府機能を回復する役割を担っているのです。

これは、東日本大震災で菅直人首相が右往左往するなか、米軍が日本国内で日本国政府の承認を得ることもなく、自由に動き回っていた現在とはまるで様相が違います。実は、これがトモダチ作戦の現実です。

トモダチ作戦のためロナルド・レーガンから降り立った兵士ら

ところで、東日本大震災で自衛隊が大活躍したのは周知の事実ですが、あの震災時、米軍がいわゆるトモダチ作戦を実行しましたが、その米軍は武装解除はしていませんでした。武器は携帯するか身近な所に保管していたのです。

それは考えて見れば当然のことでしょう。軍隊が出動しなければならないほどの大規模災害が起きた場合、その地域の警察組織は寸断され機能しない状態になっていると考えられます。であれば暴徒に襲われる可能性があります。さらには住民は略奪されているかもしれません。

それを救うためには武器の携行は不可欠です。日本以外の国々では、軍隊が災害派遣される場合は治安出動も兼ねているのが普通です

しかし、陸上自衛隊は違いました。全兵力の3分の2近くを災害派遣に振り向けたのですが、災害派遣では基本的に武装をしていません。もし震災地に北朝鮮がゲリラ部隊を侵入させていたら陸自は住民の命を守れないどころか自らの身さえ危なかったのです。

陸自隊員の大半は非武装で作業をしていたわけですから、日本を原発テロ等から守ったのはまぎれもなく米軍でした。

震 災 地 で 救助 活動 を 展開 した 日本 の 自衛隊
東日本大震災での自衛隊の活動には、称賛の声もある一方、信じがたいことに震災後三日間で手持ちの食糧が尽きたために、コンビニで買ったレトルト食品で飢えをしのいだとか、震災派遣などで使用する専用の地図が自衛隊の派遣部隊になく、ゼンリンの地図で被災地に行けという無理難題の命令が出され、無理やり行かされたものの、軍用手袋も足りていない悲惨な状況であったという批判もあります。

自衛隊は、実は自己完結できる組織でなく、災害派遣の用意すらしていなかったことを証明することとなったのです。

自衛隊が派遣されるということは、武装組織が派遣されるということで、非武装で活動していたのであれば、普段から自衛隊が団体行動をとって一つにまとまって動けるということ以外では、全国から警察官や消防士を掻き集めて作業をするのとあまり変わりなかったともいえます。

災害派遣に於て、自衛官は武器を携帯することは出来ないのでしょうか。自衛隊法第87条には「自衛隊は、その任務の遂行に必要な武器を保有することができる」とあります。

ゲリラやテロを警戒するのであらば、それは治安出動(第78条)に当たります。その際に警察官と同様の活動が出来る(第89条第1項)から、当然武器の携帯が認められるはずです。しかし、その使用には正当防衛及び緊急避難の外には指揮官の命令がなければならない(同2項)から、むしろ警察官よりも要件が厳しくなっています。これでは自衛隊を派遣する意味がありません。

せめて第89条第2項を削除して、最低でも警察と同じ活動が出来るようにすべきです。例えば火事場泥棒が銃器を持って逃走している場合、自衛官は指揮官の命令が無ければ、彼に発砲することすらできません。

現行法では、少なくとも現実では、自衛隊が災害派遣されても、自衛官に治安を維持する能力はなく、自分の身を守ることさえ出来ないのです。

マッカーサーは日本を奴隷化するために、日本国憲法に『いざ』というときの文言をわざと入れなかったからこそ、このような馬鹿げた事態を招いてしまったのです。


以上のように厳然たる事実として、自衛隊は国を守るにはあまりにも脆弱です。正規軍、予備役合わせても、同じ島国で日本より領土が小さい台湾の兵力を大きく下回っており、東アジアの中だけでも完全に“戦力外通告”を受けたようなものです。

このような現実を招いている理由は簡単で、軍隊を持つか持たないかで国としての合意がないからです。そんな国が日本以外のどこにあるというのでしょうか。大半の国では『持つ』という合意があり、一部にはバチカンみたいに『持たない』という国もあります。

あるいはコスタリカのように、軍隊を廃止するかわりに有事には全国民が民兵として戦うという国もあります。その議論を経ずに、憲法の条文で自衛隊の名前を国防軍に変えただけで、“軍隊”になるわけがもありません。

戦後生まれの日本人にとっては当たり前の日常ですが、本当にいまのままで良いのでしょうか?そう言うと、70年間も日本国憲法をありがたく奉ってきた世代の思いはどうなるのか!と怒り出す人がいるようですが、それは民進党の蓮舫代表の国会での戯言と同じで何の意味もなしません。

実際、蓮舫代表はもとより、リベラル・左派、左翼の憲法論議はまるで意味をなしていません。まともな批判にも何にもなっていません。あまりに低次元です。

現行憲法を後生大事にしているから、今になって様々な矛盾が一気に噴出しているのです。日本という国を真剣に考えて作られたのは帝国憲法です。帝国憲法どころか、憲法改正を口にするだけでも、アジア近隣諸国の顔色をうかがわなければならないなど、日本は本当に独立国なのでしょうか。政治家に圧力がかかるなら、国民が力を結集すべきです。

日本が敗戦国のままでいることによって利益を得ている勢力がいる限り、憲法の見直しはなかなか進まないでしょう。だからこそ、帝国憲法を土台に、戦後70年の変化も踏まえて、新たな憲法を作り出す必要があるのです。

土台が元々狂っている日本国憲法典の字面を変えただけでは、まともな日本の憲法はできないのです。

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2017年5月7日日曜日

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府―【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮への武器輸送支援、67歳邦人野放し ミグ21戦闘機や大量ロケット弾…国内法整備追いつかず、制裁「本気度」問われる政府

 核・弾道ミサイルの開発に絡み、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動阻止が世界的課題となる中、日本の対北制裁への取り組みについて専門家から厳しい見方が出ている。国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会専門家パネルが、北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)したと断じた企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていない。安保理決議には法的拘束力がある。違反を放置すれば日本の対北制裁への“本気度”を疑われかねない。(加藤達也)


 2013年7月、パナマ政府によって北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」が拿捕(だほ)された事件が契機となり、北朝鮮海運事業に関与する香港企業が浮上した。

パナマで拿捕された北朝鮮貨物船「チョンチョンガン」 
 拿捕された船舶は北朝鮮の海運大手「オーシャン・マリタイム・マネジメント(OMM)」(本社・平壌)の所有で、キューバから北朝鮮へ向けミグ21戦闘機の胴体など大量の武器を運搬していた。

「中核的存在だった」

 調査の過程で、OMMと密接に連携する香港企業の経営者である日本人の男の存在が判明。一方、専門家パネルは安保理決議違反で14年7月、OMMを制裁対象に指定し、船舶の移動も禁じた。ところが、香港企業が複数の船舶をOMMに代わって運航、制裁は骨抜きになっていた。

 パネルは香港企業が同年12月、貨物船「グレート・ホープ」を中国から北朝鮮に移動させた事例などをつかみ、制裁違反に加担したとして香港企業を制裁対象に追加した。

 パネル報告書などによると、男は1990年代、OMMの前身の頃から北朝鮮の海運に関与。事実上のOMM東京事務所の所在地と同じ東京・新橋駅前の雑居ビルの一室に海運会社を登記していた。少なくとも香港で北朝鮮のフロント企業11社を運営し、中国人と協力して多数の船舶を動員。「海運分野で北朝鮮の制裁違反を手助けするネットワークの中核的存在だった」(海事関係者)

 ネットワークは制裁で身動きが取れない北朝鮮海運のため船舶を融通し、武器輸送などで暗躍。昨年8月、エジプトで大量の携行式ロケット弾が押収された事件にも関与していた。

法整備が追いつかず

 香港企業を経営していた日本人の男について、パネル報告書は実名を記載。日本政府関係者によると、男は現在、活動を休止しているとみられる。ただ、日本政府が安保理制裁決議違反だとして制裁や法的措置を科した形跡は見られない。

 対北安保理決議(1718、2094)は制裁違反を行った個人に対して、渡航禁止措置を科すことを加盟国に義務づける。

 ただ、日本政府は現在、在日外国人の核・ミサイル技術者や一部の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部らについて訪朝後の再入国を認めないとの措置にとどまっている。国内法の整備などが追いついておらず、今後も類似事例で制裁を科すことは困難な状況だ。

 元パネル委員の古川勝久氏は「日本は取り組みが遅れている」と指摘した上で、「国連制裁は複雑化し、専門的な技術や法的知識を要する。米国や英国のように日本政府内にも制裁専門の組織が必要だ」と話した。


文世光事件 残した教訓

 重大な犯罪に関与した北朝鮮協力者に対する捜査や取り締まり、制裁について、これまでにも日本の姿勢が消極的だと指摘されたことはあった。韓国で1974年8月15日に起きた朴正煕大統領暗殺未遂(文世光)事件は代表例といえる。

 在日本韓国居留民団(当時)の団員で大阪市出身の文世光元死刑囚=当時(22)=は73年11月、朝鮮総連の大阪地方幹部の男にそそのかされ、資金提供や射撃訓練などを受けて朴大統領暗殺を決意した。

 文元死刑囚は74年5月、大阪停泊中の北朝鮮船「万景峰号」内で思想教育を受け、7月には大阪府警の交番から実弾入りの拳銃を盗み出し、8月に渡韓。日本統治からの独立を祝う式典壇上にいた朴大統領を銃撃したが失敗し、近くの陸英修夫人を射殺した。

朴正煕大統領暗殺未遂事件
 韓国当局は、朝鮮総連(北朝鮮側)の差し金で首脳殺害を企てたテロ事件とみて、日本国内での背後関係解明も視野に捜査。朝鮮総連の指令や支援のもとに行われた犯行と断定し、「対韓国テロの拠点」である朝鮮総連への捜査や、文元死刑囚を犯行に仕向けた男の身柄引き渡しを要請した。

 一方で日本側は、初動で文元死刑囚の渡航に協力した日本人女性を逮捕したものの、朝鮮総連の関与などについて解明できないまま捜査を終結させた。共犯とみられた男の身柄引き渡しにも応じなかった。

 朴大統領は「日本は赤化工作の基地だ」と指弾。日本政府の姿勢に不満を抱いた韓国民が在韓国日本大使館に乱入するなど、日韓関係は国交正常化後、最悪の状況となった。

 事件について、北朝鮮の対日工作に詳しい西岡力麗澤大客員教授は「日本がテロの基地になっていたことを示す事例だ」とし、「北朝鮮のテロに対して日韓がともに戦う体制が構築できず、結果として70年代後半に多くの日本人が北朝鮮に拉致されたといえる。テロと戦わないと必ず新たなテロが起きるという教訓を残した事件だ」と総括している。


【用語解説】国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネル

 安保理制裁委の下で対北朝鮮制裁決議違反を調べる組織。北朝鮮の核実験を受けて2009年に設置され、定員は8人。調査は国連憲章7条により加盟国への法的拘束力がある安保理決議に基づいており、加盟国は調査への協力義務がある。調査結果は毎年、報告書にまとめられ、決議案にも勧告する。

【私の論評】憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化したつけがまわってきた(゚д゚)!

北朝鮮の武器輸出に関しても、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会で制裁違反を調べる専門家パネルがまとめた最新報告書の概要が2月8日に発表されています。

この報告書では、エジプトに昨年寄港した船舶から大量の北朝鮮製武器が見つかり、同国の弾薬類の押収量としては過去最多だとしています。北朝鮮が制裁逃れの手法を駆使して大規模な武器取引を続けている実態が浮き彫りとなりました。

最終目的地や具体的な押収量は明らかになっていません。北朝鮮による武器輸出は過去の安保理制裁決議で全面禁止されているのですが、核・ミサイル開発の資金源の一つとなっている可能性が高いです。

複数の外交筋によると、船舶から押収された武器には携行式ロケット弾なども含まれていました。エジプト政府関係者は、こうした武器が隠されていたコンテナの最終目的地はエジプトではなく、取引にも関与していないと主張しているといいます。

エジプトのほか、北朝鮮と軍事協力してきたシリアやアフリカに向けられたものだった可能性もあります。北朝鮮の武器取引を巡っては2009年、バンコクの空港に着陸した貨物機から携行式地対空ミサイルや対戦車ロケット砲など総重量約35トンが押収された例があります。

2009年12月、バンコクのドンムアン空港で、大量の北朝鮮製武器を積んでいるのが見つかった貨物機
共同通信が入手した報告書の要約は、北朝鮮による制裁逃れの手法が「より巧みになっており、規模や範囲も増している」と指摘しました。北朝鮮の制裁対象団体や銀行は海外の代理人を使って活動を続けており、世界有数の金融センターを通じて送金するなど国際的な銀行システムへのアクセスも維持しているとしました。

原則として取引を禁じられた石炭などの鉱物資源の輸出も続けています。

北朝鮮は昨年2回の核実験を強行、弾道ミサイル発射を繰り返し、安保理は2度にわたる決議採択で制裁を強化したのですが、専門家パネルは「制裁履行が不十分で一貫性がない」と指摘、加盟国の「政治的意思」が欠けていると厳しく批判しました。

北に対する制裁は、結局のところあまり効果が無いようです。

以上のように闇ルートで北朝鮮の武器が世界中に販売されたり、北朝鮮が求める巨額の外貨や物資、技術者の移動がなされている実体を見ると、危惧されるのは、テロリストへの武器の流出です。

テロリストばかりではなく、工作活動に従事する各国の諜報機関も、非合法な武器の調達のため、実は北朝鮮を便利に利用しているのではないでしょうか。

北朝鮮が核開発を強力に推進している現実を見れば、現在の脅威は深刻です。北朝鮮の核兵器がテロリストの手に渡る可能性さえあります。
ISなどと協力し、北朝鮮が表に姿を現さず核テロを起こすこともあながちないともいえません。

とすれば北朝鮮は、既に東京でもワシントンでも、或いはモスクワや北京さえも、テログループにより核爆弾で吹き飛ばす能力を保持しているといえなくもありません。そのような計画がないとしても、少なくとも、そうした潜在能力を秘めているのは確かです。

これは、世界の安全保障に対する深刻な脅威です。日本国内にはなぜか、親北系組織が多いです。朝鮮総連、朝鮮学校、朝鮮出身者によるパチンコ等を一掃すべきです。北朝鮮の工作組織が、日本を活動拠点の一つにするのは、何としても阻止しなければなりません。

北朝鮮の制裁違反を繰り返し幇助(ほうじょ)した企業の日本人経営者の男(67)についても、国内法の未整備もあり制裁措置は取られていません。このままだと、北朝鮮の日本への脅威を自ら真似ていしまっているというこの事実が、日本にとって有害であるばかりではなく、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねません。

これらを排除することは、現在の日本国憲法の枠組みでも十分にできるはずです。

先日は、このブログで憲法典が変われば何もかもがすぐに変わると思い込むのファンタジーに過ぎないことを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。 
【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」―【私の論評】憲法典を変えればすべてが変わるというファンタジーは捨てよ(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では自衛隊のトイレットペーパーが自前であることや、陸自の国内のフアーストエイドキットがあまりにもお粗末なこと、陸自の自衛官の実弾訓練が米国の軍楽隊以下であることなどを例にとって、これらの事柄は憲法典を変えなくても十分できるはずのものなのに、できていないことを批判しました。

そうして、憲法典が変わればすべてが変わる単純に思い込むことはファンタジーに過ぎないことを主張しました。

本日は、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況であることを指摘しましたが、この事実からしても、現憲法下でもできるはずの、北朝鮮への制裁が法整備の不十分でできない現状からみても、やはり憲法典が変わればすべてが変わると思い込むのはファンタジーに過ぎないことが良く理解できます。

世の中には憲法典のないまともな法治国家も存在します。それはイギリスです。


グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、通称はイギリス)における憲法とは、議会決議や裁判所の判例、国際条約、慣習等のうち、国家の性格を規定するものの集合体です。憲法典が存在しないことは、憲法が存在しないことを意味するわけではないのです。

憲法典としては制定されていないため、不文憲法または不成典憲法であるといわれています。憲法を構成する大部分は成文法(憲法的法規、law of the constitution)であり、議会によって改正・改革が行われる軟性憲法であるのですが、慣習に基づき、伝統的に憲法を構成するとされる法典が、その他の法律のようにむやみに改廃されることはありません。

成文法の他、様々な慣習法(憲法的習律、conventions of the constitution)に基づく権力(国王など)の権能の制限、貴族の権限及び儀礼の様式なども、「イギリスの憲法」を構成する要素に含まれています。

議会主権を基礎とすることから、通常の手続に従って議会が法律を制定することにより、憲法的事項を制定、変更することが可能です。

そうして、憲法典のないイギリスでは、イギリスという国の成り立ちや、国柄、法典制定の過程で論議されて生まれてきた国家に関する基本的考え方を憲法としているのです。

この考え方からすれば、憲法典の文字面を多少変えたからといって、すぐに何もかもが急に変わるというわけではないことがご理解いただけるものと思います。

もし日本国憲法に「人間の命は永遠である」と書いた途端に日本人が不死身になったり、そこまでいかなくても日本人の多くが長寿にはならないということです。

日本の対北制裁への取り組みについて、真剣に考えれば、日本という国の成り立ちや国柄、その他日本国に関する基本的な考え方も議論されなければならないはずです。そのようなことを真剣に考えてこなかったのが今までの日本です。

だからこそ今日北朝鮮への制裁が十分にできないどころか、世界から日本が北朝鮮の隠れた支援国と見做されてしまいかねない状況を招いてしまっているのです。これは、与党にも野党にも重大な責任があります。

憲法論議を憲法典の字面の改変程度に矮小化して、議論してきたつけがまわってきたのです。

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