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2016年9月7日水曜日

NY地下鉄に川重応札へ 安値攻勢の中国大手車両メーカーも関心 “日中対決”か―【私の論評】本当に世界中で失敗続きの中国の車両が検討されるのか?

NY地下鉄に川重応札へ 安値攻勢の中国大手車両メーカーも関心 “日中対決”か

川崎重工米国現地法人カワサキモータース・マニュファクチャリング・
コープUSA社の車両工場(ネブラスカ州リンカーン市)
川崎重工業が、米ニューヨークの地下鉄が導入する新型車両の製造を目指し、発注先を決める入札に参加する方針を固めたことが7日、明らかになった。安値で攻勢を強める中国の大手鉄道車両メーカーも応札に関心を示しており、日中対決となる可能性がある。

発注は最大1545両で、早ければ来年半ばにも受注メーカーが決まる見込み。川重によると、同社はニューヨーク地下鉄の保有車両のメーカーでシェア最大。技術力を武器にさらなる受注を目指す。

ニューヨークの地下鉄は朝夕のラッシュ時の遅れが深刻で、ニューヨーク市交通局は乗降しやすいように客室の扉を広くした新型車両「R211」を入れ、老朽車両と置き換える。

車内では利用者が自分のスマートフォンでインターネットを楽しめるようにWi-Fi(ワイファイ)を提供し、充電もできるようにするなど快適性も高める。川重以外にも、中国の中国中車、カナダのボンバルディアなどが応札に関心を示している。

【私の論評】本当に世界中で失敗続きの中国の車両が検討されるのか?

ブログ冒頭の記事を読んだとき、最初に頭に浮かんだのにが、中国の鉄道事業が世界中で大失敗しているという事実です。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事の、リンクを以下に掲載します。
【ビジネス解読】中国製車両が海外で初の大規模リコール シンガポール都市鉄道が故障だらけ 鉄道受注合戦さらに暗雲―【私の論評】中国高速鉄道には元々安全性に問題!導入すれば大惨事を招くだけ(゚д゚)!
廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、とにかく中国の高速鉄道の導入は、世界中で失敗しています。

具体的には、インドネシア、ベネズエラ、タイ、米国で失敗しています。このうち、インドネシア以外は、中国の高速鉄道の導入は事実上白紙状態になっています。インドネシアも、今後の展開ではどうなるのかわかりません。

高速鉄道がこの有様ですから、私には、地下鉄も中国には無理ではないかと考えてしまいます。

そもそも、中国には鉄道に関する高い技術はありません。ただし、高速鉄道ということになれば、ほとんどの国に導入経験がないので、線路から駅から、車両から安全システムから何もかも、既存の鉄道とは異なるので、導入するには莫大な経費と時間がかかります。

しかし、今回の地下鉄の場合は、地下鉄システムを全部導入するというわけではなく、新型車両の発注だけです。これなら、何とか中国もできるのかもしれません。

それにしても、中国は高速鉄道を含めて鉄道の事故がかなり多いです。地下鉄の事故もかなりです。

2010年7月浙江省で起きた高速鉄道の大事故
2010年7月に浙江省で起きた高速鉄道の大事故については記憶にとどめている方も多いかもしれません。それからたった2ヶ月後の9月27日は上海の地下鉄で大規模な衝突事故が起きました。この事故では、死者こそ報告されていませんでしたが、日本人2人を含む270以上の乗客が負傷しました。

当時この事故後、ろくすっぽ原因の調査もせず、まともな安全確認も行わないまま、わずか4時間後に運転再開したというのですから、浙江省の高速鉄道のときと同じく、鉄道当局はこの種の事故にいかに鈍感かを示した形になりました。

これには中国人自身も怒っていました。中国版SNS微博には、上海の鉄道当局の無神経振りを非難する書き込みが氾濫していました。

浙江省の高速鉄道事故の基本的な原因は信号システムの不備にあったのと同様、この上海の地下鉄事故もやはり信号システムの不備が原因していたようです。もし、信号システムが機能しない状態では、列車が衝突するのは当たり前といえば当たり前でした。

事故のあった上海の地下鉄10号線は2010年4月に開業しました。その時点ではまだ、信号システムが完成していなかった可能性があったそうです。この地下鉄は、未完成な信号システムで1年以上も運行していたのです。いつ事故が起きてもおかしくなかったということでした。というより、これまで事故が起きなかったことのほうが不思議だったということでした。

上海地下鉄事故直後の駅周辺の様子
日本でも、地下鉄事故はあったこともありましたが、それにしても、中国のような杜撰なやり方で発生したわけではありません。また、事故後の対応も中国のような杜撰なことはしていません。

以上のようなことを考えると、いずれの国にせよ、中国の地下鉄を導入するなど安全性の面からいってかなり問題があります。中国の車両など導入すれば、結局のところ安物買いの銭失いということになるのではないでしょうか。

中国では、地下鉄や高速鉄道などの人身事故がおこっても、賠償は日本や他の先進国と比較すれば、雀の涙であり、安全性がないがしろにされるのも無理もありません。しかし、米国などでは、一度事故がおこってしまったら、大変なことになります。特に、人身事故の場合は、会社の存続さえ危ぶまれるような事態になりかねません。

もともと、このようなことに対する意識の低い中国では、製造物責任もあいまいです。もし、車両に問題があったにしても、日本のような先進国による対応とは雲泥の差であると思います。

川重には是非受注していただきたいものです。そうして、川重には実績があります。たとえば、同社が2005年から06年にかけて受注したニューヨーク・ニュージャージー港湾局ハドソン横断公社向け地下鉄電車「PA-5」、メトロノース鉄道向け通勤電車「M-8」の同時製造に加え、米国で見込まれている高速鉄道プロジェクト、既存車両の置き換えや輸送力増強に関するプロジェクトなどの鉄道車両の需要増に対応するために、2011年には、製造能力を増強のために、米国現地法人カワサキモータース・マニュファクチャリング・コープUSA社の車両工場(ネブラスカ州リンカーン市)で拡張工事をしました。

いずれにしても、いずれの国であろうと、中国の車両など導入するべきではないです。もし、ニューヨークが中国の地下鉄車両を導入すれば、恐ろしくて、ニューヨークに行っても不便です。

こんなことをいうと、神経質なことをという人もいるかもしれませんが、そのような人には大連の事例をあげておきたいです。

交通状況が年々悪化する中国大連で待望の地下鉄が昨年5月22日から試営業を開始してから1か月が経過していました。中国は、毎年のように、各地で地下鉄が開業しており、遼寧省では瀋陽に次ぐ2番目の開通となりました。中国では、都市の規模や人口によって地下鉄建設が認可されるため、どこにでも地下鉄を作れるわけではありません。いわば、中国の地下鉄は選ばれた大都市の証とも言える存在なのです。

大連地鉄(大連地下鉄)は、2010年3月から建設が始まり、幾度も開通延期を繰り返しながらようやく開通へこぎつけたので、さぞかし、賑わっているかと思えば、地上を走るバスがすし詰め状態の通勤時間でも、立っている人がちらほら見かける程度と蟻の這い出る隙もないバスと比べるとガラガラと言える状態が続いていました。

開業二日目の大連の地下鉄車両内部
それは、なぜかと聞いてみると、大連市内の米系IT企業へ勤務する20代の中国人女性「地下鉄を怖がって私も含めて同僚も誰も乗っていません」と答えてくれました。

そう、中国人は地下鉄を怖いと感じているようなのです。さらに聞いてみると、「自国の技術をあまり信用していないこともありますし、大連の地盤はもろく地下鉄にも不向きだと言われていますから、私も1年くらいは事故がないことを確認してから乗ります」

では地下そのものが怖いのかと思えば、地下が怖いわけでないようです。たとえば、大連最大のショッピングゾーンは、大連駅前にある勝利広場という元防空壕を再利用した地下3階まで広がる巨大エリアがあり、年中活気があるくらいなので、地下だから怖がっているといわけではないようです。

ただ、私も何度か建設中の地下鉄落盤事故のニュースを耳にしています。それらの事故の否定的なイメージが頭から離れないのかもしれないです。

当の自国民ですら、危険視する中国の地下鉄です。このような国の地下鉄車両を導入の検討をするなどということは考えられません。まあ、応札した場合、無下にもできないでしょうから、一応は検討するものの、最初から本気で導入するつもりなどないでしょう。

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