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2016年9月2日金曜日

「尖閣諸島を手放せ」という人が知らない現代中国の「侵略の歴史」―【私の論評】尖閣を中国に渡せば、勢いづき日本侵攻の足がかりを提供するだけ(゚д゚)!

「尖閣諸島を手放せ」という人が知らない現代中国の「侵略の歴史」

■「尖閣は要らない」と言った元参議院議員

尖閣諸島周辺や南シナ海での乱暴狼藉を見て、日本国内において中国への危機感を強める人が増えているが、一方で、不思議なほど中国への警戒心がない人もいる。8月29日に放送された『橋下×羽鳥の番組』(テレビ朝日系)では、元参議院議員の田嶋陽子氏が「尖閣諸島は一度手放して中国に渡すべき」という大胆な持論を述べた。

この発言に対して放送直後からネットでは議論が沸き起こったが、こうした意見は田島氏の専売特許ではない。

「友好の妨げになるくらいならば、あげてしまえばいい」という類のアイデアは、主に左派とされる人の口から出てくることが多い。

こうした人たちは「それで揉め事がなくなって、友好関係が保てるのならばいいじゃないか」と考えているのだろうが、果たして中国に対してそのような善意は通用するのだろうか。そのように心を許しても大丈夫なのだろうか。

それを考えるうえで重要なのは、過去の歴史を学ぶことだろう。

参考資料:[出典]防衛省のレポート「南シナ海における中国の活動」(2015年5月29日)

公文書研究の第一人者である有馬哲夫早稲田大学教授は、新刊『歴史問題の正解』の中で、「現代中国の歴史は侵略の歴史である」と題した章を設け、戦後間もない頃の中国の「侵略」の姿をわかりやすくまとめている。以下、同書から引用してみよう。

***

■中国のアジア大侵攻

歴史問題の正解(新潮新書)

意外なことに、中国のアジア各地での拡張主義的動きは、朝鮮戦争と時期が重なる。

筆者は朝鮮半島に約30万の軍隊を送った中国は、この戦争にかかりっきりだったと思い込んでいたが、実際はまったく違っていた。

中国は朝鮮戦争とほぼ同時進行で、ヴェトナム北部に大軍を送り、ミャンマー(当時はビルマ、以下同)北部・タイ・ラオス・中国南部の国境地帯で領土拡張の浸透作戦を行い、台湾に侵攻するための艦船の供与をソ連に求めていた。

しかも、前年の1949年にはすでにチベット東部を侵略していて、朝鮮戦争のさなかにも中央チベットまで侵攻し、チベット征服を完成させているのだ。

まさしく貪欲そのものだ。

こういった中国の侵略的動きの全体を眺めてみると、朝鮮戦争への中国の参戦がこれまでとは違ったものに見えてくる。つまり、この参戦は、自衛というよりは、中国が周辺諸国に対して起こしていた一連の拡張主義的動きの一部だったと見ることができるということだ。

事実この戦争のあと、中国はソ連に代わって北朝鮮の宗主国となる。

その後、中国はさらにヴェトナム、ラオス、ミャンマー、タイ、インドへとターゲットを変えつつ、侵略的動きを継続させていく。近年の西沙諸島や南沙諸島の島々の強奪、そして尖閣諸島への攻勢は、この延長線上にあるのだ。

まず、中国の拡張主義的動きがどのような背景から起こったのかを知る必要がある。以下の本国(アメリカ)の国務省―アメリカ極東軍司令部(東京)間の1950年1月24日の電報はこれを明らかにしてくれる。

「(前略)中国の勢力圏のなかにおいては、ソ連はチベットを含む戦争において(中国に)特別な権利を認めることになっている。熱烈な親ソ派は、共産主義拡大のためには国境線など忘れるべきだとする。共産主義のために中国が提供すべきとされる兵力は500万に引き上げられた。30万人の中国人労働者がすでに満州からシベリアに送られており、さらに70万人が6ヶ月のうちに華北から送られることになっている。中国のあらゆる施設と炭鉱にソ連の技術者が受け入れられることになっている。ソ連式の集団的・機械的農業を夢見る熱烈な親ソ派は、農民がいなくなった耕作地と残された人々の飢餓を平然と眺めている。(後略)」

■自国民を「シベリア送り」に!

ここでは中国とソ連の間の密約が明らかにされている。つまり、中国は共産圏拡大のために500万人までの兵力を提供することを約束し、満州と華北から100万人の労働者をシベリアに送ることにしている。それと引き換えに、中国の鉱山や施設にソ連の技術者を送ってもらい、領土を拡張することをソ連に認めてもらっている。

満州と華北の人民といえば、軍閥同士の覇権争い、日中戦争、ソ連軍の侵攻、国共内戦によって多大の被害を被った人々だ。新生中国は、よりによって、もっとも戦禍に苦しんだ同胞をシベリア送りにし、その代わりとして、ソ連の技術者を派遣してもらい、隣国を侵略する権利をソ連から得たのだ。

しかも、特に熱烈な親ソ派は、大動員の結果として広大な耕作放棄地が生じても、あとに残された人々が飢餓に苦しんでも、平然としているという。ソ連式の集団的・機械的農業が導入できるというので、このような事態を歓迎しているようだ。朝鮮戦争に駆り出されたのもこの地域の住民だったのではないだろうか。「中華人民共和国」といいながら、中国共産党幹部は人民の生活と生命をないがしろにしている。

***

「歴史に学べ」といった主張は、左派、右派双方から唱えられているが、冷静に事実を見れば、大日本帝国の「侵略」によって平和が侵され、甚大な被害を受けたはずの中国が、その戦争からほんの数年で、アジア各地を侵略していただけではなく、100万人もの自国民をシベリア送りにしていたということになる。

「尖閣諸島なんか手放せ」という人たちは、この中国と現在の中国はまったく別の性質を持つ国家だと思っているのかもしれない。しかし、その根拠はどこにあるのだろうか。

【私の論評】尖閣を中国に渡せば、勢いづき日本侵攻の足がかりを提供するだけ(゚д゚)!

上記の歴史的事実、私はほとんどを知っていました。ただし、100万人もの自国民をシベリア送りにしていたという事実は知りませんでした。これは、自国民とはいつつ、主に満州、華北の漢民族ではない異民族である満州族を送ったもののようです。

満州民族(マンジュみんぞく)とは、満州族は、満洲(中国東北部、沿海州など)に発祥したツングース系民族。古くは女真族といいました。17世紀に現在の中国およびモンゴル国の全土を支配する清を興しました。同系のツングース民族にオロチョン、ウィルタ、ナナイ、エヴェンキ、シベがあります。

2010年の中国の国勢調査では1,038万人とされ、中国に暮らす55の少数民族では、チワン族・回族に次ぐ人口です。

満州民族とはいっても、なかなかイメージしにくいでしょうが、旗袍(いわゆるチャイナドレス)は、元々は満州族の民族衣装です。

現代中国では満州族でなくてもチャイナドレスを着る
ことがあるが、これは元々は満州族の民族衣装である。
それと、歴史ものの映画などでは、中国人男性が辮髪という独特のヘアスタイルをしています。多くの人は、これが元々の漢民族のヘアスタイルだと思い込んでいるようです。しかし、それは違います。

満州族の辮髪
満州族は、17世紀に現在の中国およびモンゴル国の全土を支配する清を興しました。その過程で、満州族は1644年に北京入城後、直ちに命令を出して、漢民族にもこの辮髪とすることを強制しました。これに抵抗したものを死刑にしたので、あっという間にこの髪形は中国全土に広まったのです。

さて、上の記事ではなぜか、あまり詳しくは掲載されていませんが、満州はもとより、チベットも、新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)も、内モンゴルも元々は中国の領土ではなく、現在の中華人民共和国が建国したときには、外国で、その外国を中国が侵略して自国の領土にしたものです。チベット侵攻の歴史を以下に簡単に掲載します。

1950 年チベット政府代表団は、デリーで中共大使と会談しました。中共大使は「チベットが中国の一部」と提案したのですが、チベット側はこれを拒否しました。この交渉中の10月に中国人民解放軍、が東チベットに侵入しました。

チベット国民議会は、第14世ダライ・ラマ法王への全権を満場一致で確認しました。ダライ・ラマ法王とチベット政府は中共の侵略に抗議し、国際連合に訴え、エルサルバドル動議を提出提出しました。

そうこうしているうちに、6月には 朝鮮戦争が勃発しました。 1951 5月・中共の軍事的脅迫下で、チベット政府は17条協定に調印しました。9月・中国人民解放軍が20000余の兵力でラサに進駐しました。ラサ経済は混乱・チベットの住民は苦境に陥りました。この苦境を見かねたダライ・ラマ法王はやむなく17条協定(チベットの平和解放に関する協定と称す)を批准したのです。

東トルキスタンも内モンゴルもチベットと同じように、中国が侵略して自らの領土にしています。

上の地図は、中華人民共和国が成立したばかりの頃の中国の版図を示すものです。赤色の部分がそうです。この地図をご覧になってもおわかりになるように、満州国、内蒙古国、東トルキスタン国、チベット国も元々は独自の国旗を持つ国家であり、中国にとっては外国でした。

その外国を武力でもって侵攻して、自らの版図にしたのが今の中国なのです。

そうしてその後も中国はこれらの自国の自治区にとんでもない残虐な仕打ちをしています。以下に、内モンゴルの例をあげます。

それは、1966年から中国で吹き荒れた文化大革命で、モンゴル人に対してなされたとされる事例です。主導したのは漢族。欧米の研究者は、拘束されたモンゴル人約50万人、うち殺害された者10万人。殺害された者と釈放され自宅に戻ってから亡くなった人の合計は「30万人」とされています。

内モンゴル自治区政府幹部・ジェリム盟出身のアムルリングイは、地面に押さえつけられて、真っ赤に焼いた鉄棒を肛門に入れられ、鉄釘を頭に打ち込まれました。

あるモンゴル人は、マイナス40度まで下がるモンゴル高原の冬に、膝まで水を満たした『水牢』に入れられ、その足は水とともに凍ってしまいました。

ブタやロバとの性行為を強制する、燃えている棍棒を陰部に入れるなど、中国人たちはおよそ人とは思えない残虐な行為を行っていました。

妊娠中の女性の胎内に手を入れて、その胎児を引っ張り出すという凄惨な犯罪も行われ、中国人たちは、これを『芯を抉(えぐ)り出す』と呼んでいました。 楊氏は『狂暴国家 中国の正体』で、モンゴル人にとって文化大革命はジェノサイド=民族抹消行為だったとしています。

文革当時に中国の工場に掲げられたスローガン『毛主席 万歳 万万歳』
「毛沢東と、人民の味方たる共産党の首長が断罪した『民族分裂主義者』たちを殺害することは、躊躇ない善なる『革命行為』に発展していった」としています。内モンゴル自治区のモンゴル人が「民族分裂主義者」と断罪されたとき、中国人(漢族)は「善」として虐殺をなしたというのです。尚、モンゴル問題に限らずウイグル問題もチベットのそれも、ユーラシア大陸で中国に苦しんできた民族の側から中国を見る目を教えてくれるのです。

中国はこのようなことは、一切認めません。文化大革命全体の実態も闇に沈んでいるのてです。実際、中国人の若い留学生など、国内で文化大革命のことなどほとんど教えおらず、ほとんどの若者は、日本に留学してはじめて、その事実を知ることがほとんどです。

さらに、天安門事件も、教えられておらず、ほとんどの留学生は、日本に来て初めてその事実を知ることになったと言われています。

楊氏の提言に学べるところは大きいです。日本はモンゴルをはじめユーラシア外交にもっと目を向けるべきだという提言もそうですし、あるいは集団的自衛権をめぐる日本国内の議論について述べた次のようなくだりは、本当に参考になります。

「自衛権のない国家は去勢された男のような存在です」。

能天気に日中友好を説く日本人に対しても、以下のように警鐘を鳴らしています。

「ぜひ、『日中友好論者』たちにも中国共産党支配下の内モンゴル自治区や『反テロの前線』たる新疆ウイグル自治区、焼身自殺による抗議活動が続いているチベットにも足を運んでほしいものです」

本当に、そうしていただきたいものです。それに、そこまでしなくても、過去の中国の周辺諸国への侵攻の歴史をみれば、尖閣を中国に渡すことなど絶対にできないことがわかるはずです。そんなことをすれば、尖閣諸島が中国の日本侵攻のための前進基地になるだけで。

彼らが、尖閣諸島を奪取すれば、南シナ海の環礁と同じく、軍事基地や、空港などを建設することになります。

現在の中国も過去に行った侵略を現在進行形で続けていると考えるべきです。現在でも、中国と他国間の国境紛争は絶えないです。

そうして、最近では、南シナ海や東シナ海への侵攻です。

中国の政治体制は、建国の頃と全く変わっていません。あいかわらず、共産党一党独裁です。変わったのは、人間には寿命があるので、いつまでも中共政府の幹部に永遠に留まるわけにはいかないので、人間が変わっただけで、国家体制には何も変わりありません。

尖閣諸島を手放せなどという人々は、このような中国の暗黒の歴史を知らないのでしょう。本当に愚かなことです。尖閣を手放せば、中国はこれに勢いづき物理的にも精神的にも日本侵攻のための足がかりを提供するようなものです。

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2016年6月11日土曜日

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか―【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか

尖閣諸島 画像はブログ管理人挿入 以下同じ
中国海軍の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に初めて侵入したことに、沖縄県石垣市の中山義隆市長は「非常に強い危機感を持っている」と述べました。尖閣を行政区域に抱える市政トップとして当然の反応でしょう。対照的に何もコメントしなかったのが翁長雄志知事でした。

翁長氏は昨年5月の外国特派員協会での会見で「私も尖閣は日本固有の領土だと思っている」と明言しました。ならば即座にメッセージを発してもよかったはずです。共産党の志位和夫委員長も「軍艦侵入は軍事的緊張を高めるだけ」と批判したのですから。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える翁長氏として、中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念したのでしょうか。それとも翁長氏には危機感がないのでしょうか。

【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

このニュースは、産経新聞などは号外で報道したほどの大ニュースです。過去一週間では、他のニュースなどはこれに比較すると霞んでしまうようなものです。

中国海軍の艦艇が、とうとう尖閣の接続水域に入ったことについて、沖縄地元2紙は以下のように伝えています。

まずは、「沖縄タイムス」は以下ように伝えています。
社説[尖閣沖に中国軍艦]緊張高める行動は慎め


中国海軍の艦船が9日未明、尖閣諸島・久場島周辺の接続水域に入り、2時間以上にわたり航行したことが確認された。 
» 国は「毅然とした対応を」 中国軍艦の尖閣水域侵入で石垣市長 

中国は尖閣の領有権を主張しており、「他国にとやかく言う権利はない」との姿勢だが、予期せぬ衝突を招きかねない。腕力を誇示して相手国をけん制するようなやり方は、地域の緊張を高めるだけであり、厳に慎むべきだ。 
 これまで尖閣の接続水域では、海上保安庁に相当する中国海警局の船が相次いで航行してきたが、軍艦の進入は初めてである。 
 中国海軍の行動の背景に何があるのか。 
 中国政府が最近の安倍政権の「対中けん制」や「対中包囲網形成」の動きに、いら立ちを募らせているのは確かである。 
 先月、日本で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言では、「東シナ海・南シナ海の状況を懸念する」と中国への強い姿勢が打ち出された。 
 今月初めシンガポールであったアジア安全保障会議では、中谷元・防衛相、カーター米国防長官が、そろって南シナ海の軍事拠点化を進める中国を非難した。 
 海自と米国、インド両軍の共同訓練も10日、沖縄周辺海域などを舞台に始まった。 
 南シナ海問題にも積極的に関与し始めた日本への不満が、東シナ海での挑発行動と強硬姿勢につながったといえる。尖閣の領有権をあらためてアピールしようとの思惑も見て取れる。 
接続水域に入ったとされる中国のジャンカイI級フリゲート艦 
■    ■ 
 今回、ほぼ同時刻にロシア軍艦も現場海域を航行している。接続水域を通過すること自体は国際法上問題がなく、日本政府も尖閣の領有権を主張する中国とは区別しているが、日米に対抗した中露連携の動きとの見方もある。 
 仮に中国の軍艦が接続水域から領海に入ったらどうなっていたか。 
 防衛省制服組トップの河野克俊統合幕僚長は「相応の対応」を示しており、自衛隊法に基づく海上警備行動が発令され、海自艦と中国艦がにらみ合う一触即発の状態が生まれたかもしれない。 
 尖閣や南シナ海を巡る不信と対立で、日中双方は安全保障のジレンマに陥っている。抑止力を高めようと軍備強化を図れば、相手も対抗措置を強化し、偶発的衝突の可能性が増し、ジレンマは深まる。 
 平和的解決に向けて日本も冷静な対応が求められている。高まる緊張緩和へは、日中双方の努力が必要だ。 
■    ■ 
 2007年、安倍晋三首相と温家宝首相の会談で一致したのが、東シナ海での偶発的な衝突を回避する防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の構築だった。14年の日中首脳会談でも早期運用開始に向けての方針が確認されたのに、設置が進んでいない。 
 ちょっとした不注意や偶発的出来事が予期せぬ衝突につながる。危機管理の仕組みづくりが急務だ。 
 日中間に横たわる問題は複雑で根深く、一気に改善できるものではない。それでも粘り強く話し合いを重ね、負の連鎖を断たねばならない。
手短にまとめると、「中国が安倍政権にいら立ちを募らせている。平和解決に冷静な対応が求められる」ということです。まるで寝言のようです。平和解決に冷静な対応をすべきは、中国です。
<社説>中国軍艦尖閣航行 話し合いでの解決提案を
2016年6月11日 06:01
 中国海軍のフリゲート艦1隻が尖閣諸島の久場島周辺の接続水域を航行した。日中両国の緊張をエスカレートさせかねない行為であり、断じて容認できない。一方で、日本側も今回の事態に乗じて今後、中国の脅威を喧伝(けんでん)することは厳に慎むべきである。日中両政府は話し合いでの尖閣問題解決を急ぐべきだ。 
 日本の領海幅は12カイリ(約22キロ)で、その外側約22キロの範囲に接続水域が設けられ、通関や出入国管理など自国の法律を適用できる。接続水域は原則として自由な航行が認められており、中国海軍艦が航行しても国際法上問題はない。 
 だが、中国は尖閣の領有権を主張している。2012年に日本政府が尖閣を国有化して以降、中国は尖閣周辺で「中国領海のパトロール」を名目にした海警局の公船による日本の領海侵犯を常態化させている。 
 ただでさえ緊張状態にある中での中国海軍艦の接続水域航行である。挑発的な行為と受け取られても仕方なかろう。 
 ロシア海軍駆逐艦も同時間帯に接続水域を航行しており、中国海軍艦はそれに対応して接続水域に入った可能性が指摘されている。そうだとしても、その背景には沖縄県の一部である尖閣を自国の領土とする一方的な主張があり、看過することはできない。 
接続水域に入ったとされるロシアのウダロイI級ミサイル駆逐艦 
 中国国防省は「中国の軍艦がわが国の管轄海域を航行するのは理にかなっており、合法的だ。他国にとやかく言う権利はない」としている。あまりに乱暴過ぎる。 
 中国がこのようなことを繰り返せば、日本国内の中国脅威論に火を付けかねない。中国がそのような愚を犯すことがあってはならない。憲法改正が現実のものとなれば、日中の緊張はさらに高まる。日中双方にとってマイナスしかもたらさない。 
 それだけではない。日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある。そうなれば、中国までもが「新基地ノー」の沖縄の民意を結果的に踏みにじることになる。安倍政権の新基地建設推進を後押しすることは、中国も本望ではないはずだ。

中国は国連安全保障理事会の常任理事国である。世界の平和と安全の維持に大きな責任がある。東アジアの緊張を高める行為は直ちにやめるべきだ。それが常任理事国の在り方である。
これも、簡単にまとめてしまうと、「接続水域は原則として、中国軍艦が航行しても国際法上問題はない。 日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある」というもので、ふざけるなと言いたい内容です。

しかし、両紙とも、この大ニュースを伝えないわけにはいかないと考えたと見えて、内容に偏りがあるものの報道はしています。2紙とも、社説で日付は本日付けです。しかし、翁長知事は今日にいたるも何らコメントをしていません。これには、やはり、ブログ冒頭の記事にもあるように「中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念」しているからでしょう。

翁長知事
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴える翁長知事としては、尖閣問題を強調すると中国の脅威や米軍基地の重要性を認めざるを得なくなり、移設反対の論拠が弱まりかねないです。このため、知事や反基地派は尖閣問題を無視するか、「尖閣有事でも、米軍が出動することはない」「普天間飛行場の米海兵隊は抑止力にならない」などと反論していました。

しかし、尖閣に日米安保が適用されることはオバマ米大統領が明言しています。米軍が抑止力であることを否定する主張は日米安保の否定にもつながり、保守派の共感を得にくいです。現在、翁長知事を含めた辺野古移設反対派にとって「尖閣」は極力触れたくないキーワードになっています。

さらに、翁長知事は、自らの発言が安倍総理に利用されることを懸念している可能性もあります。

青山繁晴さんが翁長知事が、安倍総理の術中にはまったと暴露しています。伊勢志摩サミットの直前に安倍総理に会った翁長知事がオバマ大統領に面談したことなどを利用して、オバマ大統領との交渉を有利にもっていったことを暴露しています。

これについては、以下の動画をご覧になってください。


翁長知事は、こういうこともあったので、中国海軍の艦艇が接続水域に入ったことに関しては何か発言すれば、また保守派等にその発言を利用されてしまうかもしれないと懸念している可能性が大きいです。

翁長知事など、安倍政権反対派の口数が最近減ったように思います。しかし、これは無理もないです。安保法制にも辺野古移転にも反対、特に米軍人には、熊本地震の救援に向かうオスプレイまで思い切り反対運動でヘイトスピーチを浴びせていましたから、今さら自衛隊、米軍頼むなんて言えませんし、そんなことを言えば、米軍基地の存在

今後も口数が少なければ良いと思いますが、また何か語れば、それを思いきり利用して、保守派に有利にもっていける可能性が増えました。

沖縄の基地反対派には痛手です。中国は、さらに本性をむき出しすると良いと思います。そうすれば、するほど沖縄の基地反対派は痛手を蒙ります。

中国海軍を脅威に感じる人もいますが、このブログにも掲載してきたように、中国は海軍力では日本にはるかに及びません。それについては、以下の記事をご覧になると良くお分かりになると思います。
自滅への一歩を踏み出した中国 尖閣で軍事衝突なら「1週間で全滅」の指摘も

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、「1週間で全滅」としていますが、私自身は趨勢が決まるのは半日だと思います。もし米軍と戦えば、2〜3時間で趨勢が決まると思います。その根拠は、ここで説明すると長くなってしまうので、このブログの一番最後の【関連記事】にそれに関する記事をあげておきます。

趨勢が決まると、その時点で勝敗がはっきりするということです。どうみても、日本側が勝ち、中国側は惨敗ということがはっきりするということです。この時点で、中国軍は敗走して中国の港に逃げ帰るか、敗北を認めて現地で降伏するしか道がなくなります。

中国軍の艦艇が、領海を侵犯すれば、日本側も否応なしにこれを撃退するしかなくなります。実際、以前北朝鮮の工作船を追い詰め、銃撃し、工作船は自爆しました。自爆せずに徹底抗戦すれば、撃沈していたことでしょう。

今回の中国軍の艦艇の侵入で、翁長知事をはじめ基地反対派が、ものを語りにくい状況なったので、これからはかなり世論も変わると思います。本当に中国は良い時に、接続水域に入ってくれました。

今回のこの出来事より以降、沖縄の基地反対運動も下火になっていくと思います。将来ふりかえると、中国軍の艦艇が接続水域に入った日がターニング・ポイントになっているのではないかと思います。

【関連記事】

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