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2018年7月10日火曜日

トランプ米大統領、最高裁判事に保守派のカバノー氏指名―【私の論評】実は平時に世界最弱の権力者米大統領の権限強化に動くトランプ大統領(゚д゚)!

トランプ米大統領、最高裁判事に保守派のカバノー氏指名

トランプ米大統領は9日、最高裁判事候補に保守派の連邦高裁判事、ブレット・カバノー氏を指名した。

トランプ米大統領は、最高裁判事候補に保守派の連邦高裁判事、ブレット・カバノー氏(左)を指名

6月27日に退任を表明したアンソニー・ケネディ判事の後任となる。ケネディ氏は7月31日付で引退する。

53歳のカバノー氏を指名することで、トランプ大統領は最高裁での保守派優位を長年にわたり守る狙いがあるとみられる。トランプ大統領による最高裁判事指名は2人目で、昨年には保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名している。

カバノー氏は共和党のブッシュ(子)政権下のホワイトハウスで高官を務めた後、2003年に連邦高裁判事に指名された。ただ、党派色が強すぎるとの民主党の反発で、承認まで3年を要した。



トランプ大統領はカバノー氏について「法律家の間で判事の中の判事、思想的指導者とみられている」と述べ、議会上院では「速やかな承認と超党派の強い支持」を得るべきだとの考えを示した。

上院では共和党と民主党の議席が51対49と拮抗する。ただ、共和党から造反が出なければ、民主党が承認を阻止することは困難となる。

 【私の論評】実は平時に世界最弱の権力者米大統領の権限強化に動くトランプ大統領(゚д゚)!

米国のトランプ政権の連邦最高裁人事に注目が集まっています。というのも際どい判断の雌雄を決めていた中道派判事アンソニー・ケネディ氏が引退し、任命次第では過去50年間の様々な多文化的な政策が覆されていく流れが出てくるためです。

7月9日には首都ワシントン連邦巡回区控訴裁判所のブレット・カバノー判事を指名されましたが、この人事が承認されるかどうかで、アメリカ政治・社会が一変していく可能性があります。

米国最高裁

米国最高裁は、違憲か合憲かの判断を日本の最高裁よりも積極的に行い、国の政策や社会的に重要な争点に介入する傾向があります。このため最高裁判事は、米国の政策の方向性を左右し、実質的な政治のアクターとして重要な役割を担っています。

なぜアクターになりえるのかといえば、判事の政治的傾向が極めて明確であり、憲法に基づいた司法審査(judicial review、違憲審査)も頻繁に行うためです。

高度な政治的な判断を要する争点については、司法独自の判断を控える日本などの諸国と比較すると、アメリカの裁判所は「司法積極主義」であり、国の政策や社会的に重要な争点について積極的な裁定者となる傾向があります。

最高裁判事は長官を含めて9人。トランプ政権下では保守派4人、リベラル派4人、中道派が1人でした。アメリカである程度のレベルの大学生なら、この9人の名前だけでなく、イデオロギー的傾向も言い当てることができるほど、政治に深く関与しているのが米国の最高裁判事なのです。

例えばオバマケアをめぐる2012年の最高裁判決の際には保守派のロバーツ長官がオバマケアを擁護したこともあるように、保守派やリベラル派といっても判決は判事一人一人の裁量が基本だが、それでも明らかに判決に傾向があります。

というのも、そもそも任命された過程が政治的だからです。最高裁判事は大統領が任命した後、連邦議会上院が承認します(憲法上は「助言と同意」で決めます)。つまり、大統領府と議会のバランス関係で決まってくるのです。

米国の現在の最高裁判事のうち、リベラル派の4人はいずれも民主党政権(ブライヤー、ギンズバーグがクリントン政権、ソトマイヨール、ケーガンがオバマ政権)、保守派の4人はいずれも共和党政権(トーマスがG・H・Wブッシュ政権、アリトー、ロバーツがG・Wブッシュ政権、ゴーサッチがトランプ政権)のときにいずれも任命、承認されています。

中道派のケネディは共和党のレーガン政権の1988年に任命・承認されましたが、比較的自由に裁定をする傾向で知られています。例えば、同性婚の裁判など、世論を二分する「くさび争点(wedge issue)」ではケネディがスイングボートになってきました。

この中道派のケネディ判事が81歳という高齢を理由に退任を決めました。ケネディ判事の後任として今回、カバノー氏が指名されたことで、このバランスは一気に崩れるかもしれないです。

米国最高裁判事 クリックすると拡大します

カバノー氏が指名されたのには明らかな理由があります。カバノー氏は保守派として知られており、G・W・ブッシュ元大統領から高裁判事に指名される前は、同元大統領スタッフの事務方を務めたほか、人工妊娠中絶に否定的で、環境規制の緩和を支持してきたことでも知られています。

トランプ氏の支持母体であるキリスト教福音派は、最高裁がこれまで行ってきた同性婚、妊娠中絶などについてのリベラル的な判決に強い不満を表明してきました。それもあって2016年の大統領選の期間中から、減税などの政策以上に最高裁判事の任命人事は重要な争点でした。トランプ政権を生んだ原動力は国民の3割ともいわれるこの宗教保守の結束に他ならないのです。

前のオバマ政権下では保守派4人、リベラル派4人、中道派が1人でしたが、保守派のスカリア判事が2016年2月に死亡し、保守・リベラルのバランスが崩れていました。ただ、当時は、大統領は民主党だったのですが、上院は過半数が共和党であったという「ねじれ」があったため、オバマ氏が任命した判事は上院で承認されませんでした。

トランプ氏は大統領就任後、保守派のゴーサッチ氏を任命し、上院は僅差だったのですが、同氏を承認し、リベラルと保守のバランスを保ちました(ただ、その際、上院は慣例のフィリバスター制度=少数派が多数派を止めることができる制度=の適用を最高裁判事の人事を例外にしたというルールの変更もありました)。

特筆したいのは、上述のケネディ判事以降もトランプ大統領が行う可能性がある判事任命はこれだけで終わらない点です。85歳のギンズバーグ氏や、79歳のブライヤー氏など、リベラル派の立場をとる現在の判事には高齢者が多いです。健康問題も取りざたされています。いずれも「近いうちに引退するのでは」という話も出ています。

トランプ氏の大統領任期中、さらにリベラル派から保守派への転換があれば、長期的には最高裁の判決が一気に保守化していくのは火を見るよりも明らかです。

ウォーレンが最高裁長官を務めた1950年代から60年代のいわゆる「ウォーレン・コート」(1953-1969)や、バーガーが最高裁を勤めた「バーガーコート」(1969-1986)においては、最高裁の9人の裁判官の多くが政治的にはリベラル派であり、最高裁は様々な判決で連邦政府による積極的な社会改革を先導していきました。

南部諸州の人種分離法に違憲判決を下し、公民権法制定への起爆剤となった「ブラウン対教育委員会」判決(1954年)、被疑者の人権を確保する「ミランダ対アリゾナ判決」(1966年)、人工妊娠中絶を合法化させた「ロウ対ウェード」判決(1973年)など、枚挙にいとまがありません。

一方、1980年代後半から2005年まで最高裁長官を務めたレンキスト長官の時代(「レンキスト・コート」)、そして、2005年から現在までのロバーツ長官の時代(「ロバーツ・コート」)には、保守派の裁判官の数が次第に増え、リベラル派と保守派の裁判官の数が拮抗しながらも、比較的保守的な判決が増えるようになってきました。 トランプ政権が導入した複数のイスラム圏からの入国規制措置を支持する判決を6月末に下したのは象徴的です。

この延長線上に今後の司法があります。

最高裁判事で保守の勢力が強まれば、これまでのリベラルな政策が訴訟を通じて覆される可能性があります。具体的には、上述の「ロウ対ウェード」判決以来認められてきた妊娠中絶や、2015年の最高裁判決で合法化されている同性婚の容認、医療保険制度改革(オバマケア)などが争点になってくるでしょう。

妊娠中絶などの問題で女性の権利よりもキリスト教的な生命倫理を大切にすることを意味し、キリスト教的な倫理観の地域性を重視し、連邦政府ではなく州レベルの裁定を支持する「州権主義」も顕著になるとみられます。今後同性婚だけでなく、人工妊娠中絶が一部の州では非合法となる可能性すらことがかなり現実味を帯びてきました。

「小さな政府」を好む共和党の意向を受けて、政府の経済や社会活動に関する介入を控える動きが顕著になるとみられます。連邦から州への権限委譲や、企業に対して規制緩和を進める政策が認められることも考えられます。言葉を変えれば、規制緩和や小さな政府などの政策には追い風です。

アメリカの最高裁判事の場合、地位の安定の保障のために、引退や議会で罷免されない以外は「善い行いをしている間は職務につくことができます("shall hold their offices during good behavior")」。つまり、終身制です。日本のような国民審査もありません。一度就任した判事は30年以上勤める場合が多いです。トランプ大統領は45代だが、ロバーツ長官は17代です。

終身制のため、かなり長期的にアメリカ社会を変える可能性があります。これはトランプ大統領にとっては自分の政治的遺産を長く残すことができることを意味します。トランプ大統領にとっては、自分の任期を大きく超え、最高裁を通じた永続的な「保守革命」を達成できる機会でもあるのです。

これに対して、過去50年間の様々な多文化的な政策が覆されていくのは不可避であると憂慮するリベラル派も少なくないです。そもそも連邦政府を改革するために公民権運動に代表されるような市民運動などの政治活動の第一歩として、裁判闘争戦術が採用されてきたのですが、これも難しくなるでしょう。

それにしても、なぜトランプ大統領がこのような行動をとるのか、日本と米国では制度が異なるので、理解しにくい面があると思われますので、以下に簡単に解説します。

平時においては、極端に厳格な三権分立が障害となり、米国大統領にはほとんど権限がありません。それどころか、その結果として平時には司法が最も強力になるという歪な構造になっています。司法が強いというアメリカの特殊事情は、アメリカ映画などご覧になっていれば、いわゆる「司法取引」が頻繁に行われていて日本とは異なることでもお分かりになると思います。

これは、以下の図をご覧いただければ、良くお分かりになると思います。

米国完璧な三権分立と、イギリス・日本の議院内閣制度の非核

米国ではがんじがらめの三権分立で大統領の権限を著しく弱めている

アメリカは、完全な三権分立となっており、日本のように議会と内閣が協力関係にはありせん。これが、平時のアメリカ大統領の権限を極端に弱くしています。これは日本ではなかなか理解しがたいところだと思います。なぜなら、多くの日本人には、戦中終戦直後の米国の強力な権限のある大統領のイメージがあるからです。

しかし、同じ大統領であっても、平時と戦争時において米国の大統領の権限は大きく異ることを理解しなければ、米国の大統領の権限について理解でないです。米国では、戦争権限法により議会が大統領の戦争遂行を認めると、大きな権限が大統領に集中するようになっています。

これに関しては、さらに以下の動画を参照していただれれば、良くご理解いただけるものと思います。この動画は2015/06/04 に公開されたものです。



もともと、このように平時では権限がかなり制限されているのが、米国大統領なのです。だからこそ、トランプ大統領はこれから先様々な課題に挑戦していく上でも、最高裁の保守化を何としてもすすめたいと考えているのです。

私自身は、米国の厳格な三権分立に基づいた、司法制度はいずれ改めるべきとは思いますが、それにしてもすぐには変えることはできませんから、トランプ大統領上記のような行動をとるのは当然のことと考えます。

特に中国との対決は、軍事にはよらず、貿易戦争や金融制裁によって行われることになるでしょう。米国ではドラゴンスレイヤー(対中強硬派)でさえも、中国と直接軍事対決することは現実的ではないとしています。

そうなると、トランプ政権が中国と対決する際に、最高裁が最大の障害となる可能性もあるわけてす。トランプ大統領としては、それだけは避けたいと考えているのだと思います。

アメリカの政治や社会を一変させる可能性がある最高裁判事人事は今後、どうなるのでしょうか。カバノー氏に続く、トランプ大統領の任命、さらには承認を進める上院の動きが大きく注目されます。

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2018年2月24日土曜日

韓国・文大統領、袋叩き 北『テロの元締め』五輪閉会式出席に保守派大反発 識者「要求何でも受け入れる“対北マゾヒズム”」―【私の論評】北は金王朝存続のため核を手放さない(゚д゚)!


金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長
 北朝鮮が、米韓を挑発してきた。韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪の閉会式(25日)に、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の側近、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長らを派遣すると通知してきたのだ。英哲氏は、数々のテロ事件を実行した工作機関「偵察総局」のトップとして、米韓の制裁対象になっている。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、英哲氏と会談する方針だが、長女のイバンカ大統領補佐官を閉会式に出席させるドナルド・トランプ米大統領はどう判断するのか。文氏の露骨な「従北」姿勢に、韓国の保守派から激しい反発が出ている。

 「北朝鮮で南北対話を総括する金英哲氏と直接対話することは、重要な意味がある」

 韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相は22日の国会で、こう強調した。

韓国の趙明均(チョ・ミョンギュン)統一相
 文政権が、英哲氏との対話を重視するのは、対韓国政策を統括する党統一戦線部長を務めているためだ。

 一方で、英哲氏はかつて偵察総局長として、2010年に40人以上が死亡した哨戒艦「天安(チョナン)」撃沈や、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件などを主導した「テロの元締め」とみられている人物である。

 国際社会がテロ根絶に動くなか、いくら「平和の祭典」といっても、韓国だけが目をつぶっていいのか。犠牲者遺族の反発もある。

 保守系最大野党、自由韓国党は22日、「天安撃沈事件の主犯にあえて韓国の土地を踏ませてはならない」と厳しく批判した。

 野党・正しい未来党も「(英哲氏は)挑発の企画者であり、元凶だ。北朝鮮制裁を損ないながらも、代表団訪問を受け入れる政府の態度には極めて懸念を感じる」と抗議した。

 大統領府ホームページの掲示板には、「金英哲訪問反対」を訴える書き込みが相次いでいるという。

 こうした批判に対し、前出の趙氏は「責任の所在は確認が難しい」と国会で答弁した。大統領府高官も「いろいろな推測はあったが、実際に攻撃を誰が主導したかは明らかになっていない」と理解を求めたが、「従北」政権による“ごまかし”という印象は拭えない。

文在寅政権
 北朝鮮が、制裁対象の英哲氏らを閉会式に送り込む背景は、「従北」の文政権を籠絡し、「北朝鮮への圧力強化」で一致する国際社会の足並みを乱れさせる思惑があるとみられる。

 北朝鮮のテロや人権蹂躙(じゅうりん)を糾弾してきた、トランプ米政権と、南北対話を優先する文政権の分断を狙っていることも明らかだ。

 韓国大統領府高官は、英哲氏が制裁対象であることについて、「『五輪の成功』という大局的な見地から金英哲氏を受け入れる予定だ。米国とは協議中だ」と説明したが、五輪に「政治」を持ち込んで汚しているのは文政権ではないのか。

 文政権は批判を無視するように、対北傾斜を加速している。

 韓国・聯合ニュースによると、統一省は22日、南北会談の定例化を推進する一方、対話や関係国との連携に基づき、北朝鮮を「非核化」の交渉テーブルに着かせる方針を国会に報告した。韓国が南北関係の改善を主導し、北朝鮮と米国の対話を支援、牽引(けんいん)する考えも示した。

 北朝鮮の「核・ミサイル開発」の阻止を狙う米国はどう動くか。

 米当局者は、閉会式前の23日から訪韓するトランプ米大統領の長女、イバンカ氏ら代表団が、北朝鮮と接触する予定はないと説明した。

 イバンカ氏は23日、ソウルで文氏との夕食会に先立ち約35分、非公開の会談を行いトランプ氏からの「メッセージ」を伝えた。

文大統領と会食するイヴァンカ氏
 ただ、文政権が聞き入れるかどうかは不透明だ。それどころか、五輪期間中は延期している米韓合同軍事演習の再開中止などを米側に申し入れる恐れも指摘されている。

 韓国に精通するジャーナリストの室谷克実氏は、文氏の政治姿勢について「北朝鮮の要求は何でも受け入れる『対北朝鮮マゾヒズム』だ」と断じ、続けた。

 「日本では、文政権が推進する南北対話が『非核化のための手段』かのように報じられているが、実態はまったく違う。文氏は、北朝鮮の『核・ミサイル開発』の時間稼ぎに加担し、北朝鮮に核を放棄させないまま、南北統一を成し遂げようとしている。金英哲氏の受け入れは、韓国国内の『北朝鮮アレルギー』をなくすための布石だ」

【私の論評】北は金王朝存続のため核を手放さない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、「(金)英哲氏はかつて偵察総局長として、2010年に40人以上が死亡した哨戒艦「天安(チョナン)」撃沈や、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件などを主導した「テロの元締め」とみられている人物」と掲載されています。


2010年3月に、天安(チョナン)号が撃沈された事件では、46人が死亡。同じ年の11月に、延坪(ヨンピョン)島を攻撃された際には、4人死亡しているにも関わらず、韓国は反撃をしませんでした。

延坪(ヨンピョン)島砲撃事件
2010年ですから、天安号の撃沈事件があったのは、日本での東日本大震災の1年前です。そのため私達の記憶は薄れているところがありますが、しかしこれはつい最近起きた大事件です。

韓国の若者を中心に50人近くも殺されながら、全く何の反撃もしなかったのです。そうして、これは当時の李明博大統領の決断力の問題ももちろんあったかもしれませんが、一番大きかったのは当時アメリカが韓国が報復することを許さなかったのです。

もし韓国が反撃、あるいは報復攻撃をすると、朝鮮戦争がまた火を噴くから、そういうことを許さなかったのです。
しかし、2013年あたりから米国も変わりつつありました。このような攻撃があった時には、米国から反撃の許可が出て、米軍も攻撃に参加する可能性が高まったのです。それを象徴していたのが、B2ステルス戦略爆撃機の韓国への飛来です。

一方北朝鮮は、何をするつもりだったのか。それについては、2013年に当時にもうはっきりとわかっています。2013年あたりから、北朝鮮の挑発はエスカレートしましたが、一番心配されたのは実は、以下の表にある「朝鮮戦争の休戦協定を破棄する」との宣言です。

2013年当時の北朝鮮の挑発
無論、北朝鮮が一方的に休戦協定を破棄しても、協定を結んだわけではないので、正式に破棄できるわけでもありません。そうして現在は、朝鮮戦争の休戦状態です。

1950年の6月に朝鮮戦争は始まりました。そしてその後、北朝鮮・韓国の戦争だけではく、アメリカと、中国の戦争へと拡大してしまいました。

そしてお互いに一方的に相手に勝つ見込みなくなってしまったのと、そのままでは中国と米国との総力戦になってしまうおそれもあったため、1953年の7月に、休戦協定を結びました。何とその後70年間、ずーっと休戦のままという異常な状態が続いています。

それを金正恩が、それを破棄すると言い出したわけです。もう、休戦おしまいだと言ったのですから、多くの人は「では北朝鮮は、休戦を破棄して再度戦争に突入するつもり」であると受け取ったわけです。しかし、これは実は、話が真逆です。本当の、金正恩第一書記の意図は、戦争を終わらせるということです。
休戦協定破棄の真意は、戦争を始めるのではなく、終わらせることです。休戦のまま継続されているている異常な状態を破棄するということであり、戦争をするという宣言ではなく、戦争を終わらせるということです。

はっきりと、朝鮮戦争はもう終わったということにして下さいと宣言しているわけです。戦争が正式に終われば、米国も北朝鮮軍と直接戦っていましたから、両国の間で平和条約が結ばれることになります。

休戦だと、休戦協定だけで戦争状態は続いていますが、戦争が終わったとなれば、米国は北朝鮮と、平和条約とか友好条約等の戦争後の条約を結ぶことになります。それをやって下さいと金正恩第一書記は、当時のオバマ大統領に向かって、実は呼びかけてるのがこの休戦協定の破棄でした。

独裁を認めて欲しい。そして、全面戦争はない。この若い若い独裁者が、一人で支配する北朝鮮と、平和条約を結んで下さい、つまり核保有国のまま独裁を認めてほしいということを宣言していたのです。

北朝鮮としては、核保有のまま金正恩の独裁を認めて欲しいということを宣言したわけです。この頃から、北朝鮮の姿勢は現在も変わっていません。金正恩側からすれば、核は金王朝維持のための安全保証の唯一の切り札であり、到底手放すことはできないのです。

米国や世界に対して、金王朝が滅ぶときは、米国など(中国、日本も含む)が滅ぶ時であることを認識させた上で、金王朝が滅ばず、北の独裁体制が維持できれば、北には戦争の意思がないということを示したのです。

北にとって核は金王朝維持のための安全保障の切り札
しかし、さすがにオバマ政権もこの要求には応えられないと判断したからこそ、オバマ政権末期には、現在のトランプ政権と同じように、韓国にB2ステルス戦略爆撃機や、空母を派遣するなどのことをして、北朝鮮と対峙していたのです。

そうして、北朝鮮は、この状況下においては、かつての天安(チョナン)撃沈や、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件のような直接攻撃をした場合、米韓からの報復は必至であると判断したため、このような直接行動は控えて、ミサイル発射実験のみの挑発に切り替えたです。また、金正男氏暗殺は、金正恩の独裁体制の変更はしないし、中国の言うとおりにはならないとの意思表示でもあると考えられます。

韓国の文在寅は、北朝鮮のこうした意図ははっきりと理解した上で、米朝会談を目論んだのでしょうが、これは最初から無理筋というものです。

これは、韓国内でも反発を生んでいます。韓国党は22日、国会で金英哲訪問と関連して緊急議員総会を開き、「絶対に金英哲の訪問を受け入れることはできない」という党論を定めました。

金聖泰(キム・ソンテ)院内代表は議員総会後「金英哲は対南偵察総局責任者として天安(チョナン)艦砲撃、延坪島(ヨンピョンド)砲撃、木箱地雷挑発を主導した者」として「韓国の領土を踏むならば、緊急逮捕や射殺すべき」と話しました。

金聖泰(キム・ソンテ)韓国党院内代表
かつて、米国の許可がなければ韓国は北に反撃もできなかったわけですが、逆の側面からいうと、米国が北を攻撃した場合韓国も攻撃したり、それを補佐したりすることを米側から依頼されれば、それを断ることはできないわけです。

ただし、文在寅は一連の対北マゾヒズムで、米国の信頼を失っています。そのため、米が北に武力行使をするときでも、事前に日本には伝えても、韓国にそれを伝えることはないでしょう。

いずれにせよ、北は金王朝存続のため核を手放す気はありません。だとすれば、米国はいずれ少なくとも、北朝鮮の核関連施設を爆撃するなどの行動にでることは間違いありません。

そうして、その時に韓国があてにならないわけですから、日本に対する期待度はますます高まることになるでしょう。

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2017年6月21日水曜日

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に―【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に

大物政治評論家が「米国の国力が衰える」と警告

2017年6月14i日 トランプ大統領 写真はブログ管理人掲載 以下同じ
 米国の大手メディアのトランプ政権に対する非難キャンペーンは激しさを増す一方である。

 反トランプ陣営の記者やコラムニストから、テレビキャスター、芸能人までもが放送禁止まがいの罵詈雑言をトランプ氏に浴びせる。トランプ氏の生首のイメージをネット上でばらまく。トランプ暗殺を想起させる舞台劇を上演する──。

コメディアンのキャッシー・グリフィンがネット上に晒した写真
 こんな動向に対して、保守系の大物の政治評論家がこの状態はきわめて危険だとして、メディア界に沈静を求める警告を発した。

   テレビ番組も舞台劇もトランプ攻撃

 この警告は大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏により6月15日の同紙に発表された。

女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏
「誰もが激怒している、それは危険だ」(Rage Is All the Rage, and It’s Dangerous)というタイトルのこのコラムは、ワシントンを主要舞台とする米国の分裂と対立が近年に例のないほど険悪になったとして、「トランプ支持層とトランプ憎悪層の対決」に焦点を合わせていた。

 ヌーナン氏は1980年代にレーガン大統領のスピーチライターを務めた政治学者で、長年、米国メディア界で活躍してきた大物政治評論家でもある。基本的な政治傾向は保守だが穏健派で、トランプ政権に対しても頻繁に批判を述べてきた。

ヌーナン氏は本コラムで、最近の以下のような出来事は大衆扇動的で明らかに一線を超えていると指摘する。

・CNNテレビの娯楽番組に定期出演する女性コメディアン、キャシー・グリフィン氏は、5月30日、トランプ大統領の生首をぶら下げる映像をツイッターなどで流した。

・6月中旬、ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」では、暗殺されるシーザーをトランプ氏に似せる演出があった。

ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」
 ヌーナン氏は反トランプの憎悪をこうしてあおるのは行き過ぎであり、危険だという。さらに報道の分野でも、トランプ叩きは過熱している。

・CBSテレビのニュース関連番組に定期的に出演する著名な評論家兼コメディアンのスティーブン・コルベア氏は、放映中にトランプ氏をロシアのプーチン大統領の性器に関連付ける発言をした。

スティーブン・コルベア氏
・CNNテレビの司会役が、トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけた。

トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけたレザ・アスラン
・MSNBCテレビの報道キャスターが、「トランプ大統領は自分の政治目的のためにテロ犯罪をわざと起こさせようと挑発している」と断言した。

問題となったMSNBテレビの報道番組
 ヌーナン氏は以上のような実例をあげて、懸念を表明した。民主党寄りの芸能人やキャスターが政治的な理由でトランプ大統領の政策を非難するのは正当化できるとしても、明らかな偏見や不公正をメディアの客観性や中立性を放棄して表現することは、危険な暴力行為をも扇動することになる、と警告した。その危険な暴力行為の実例としては、6月14日にワシントン郊外で起きた、反トランプの中年男性による共和党議員たちに対する射撃事件が挙げられるという。

共和党議員たちに対する射撃事件の犯人
 同氏はさらに、米国内でイデオロギーや政策をめぐって激しい対立が起き、その結果、米国全体が政治的に分極化することを憂慮する。現在の米国の主要メディアのトランプ大統領への攻撃は、激怒や憎悪をあまりにむき出しにしており、「その温度を下げるべきだ」と訴えた。

   このままでは米国全体が危機に

6月16日、ワシントンを拠点とする保守系のインターネット新聞「ワシントン・フリー・ビーコン」も、この種のトランプ叩きの現状を伝える記事を掲載した。

民主党系弁護士のジャミー・ゴアリック氏が、トランプ大統領の娘、イバンカさんとその夫のジャレッド・クシュナー氏のロシア関連疑惑での弁護を引き受けた。そのことが民主党勢力から裏切り行為のように激しく非難されているという実態を伝える記事だった。

ジャミー・ゴアリック氏
 弁護士の弁護引き受けは政治党派の別を越えてなされるのが自然である。ところが「ワシントン・ポスト」などはゴアリック弁護士がクシュナー夫妻を弁護するのは不当な行為として断じている。ワシントン・フリー・ビーコンの記事は、その種の非難は一線を越えていると批判した。

こうしたトランプ政権と反トランプ陣営(民主党と大手メディアの連合)との対決は一体どこまでエスカレートするのか。ヌーナン氏のコラム記事は、「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」と警告していた。

【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

米国のこの状況、憂慮すべき状況です。そうして、この状況はなぜ起こっているのか、日本国内ではなかなか理解されないことですが、米国のある一面を理解していれば、それは容易に理解できることです。

それに関しては、このブログでも過去に何度か掲載させていだたきました。要するに、米国のメディアの9割は、リベラル・左派系であるということです。保守系メディアは1割に過ぎません。

米国メディアはリベラル・左派が圧倒的に多い
新聞に関しては大手はすべてが、リベラル・左派系です。これは、日本にたとえると、産経新聞は存在せず、朝日新聞や毎日新聞のようなリベラル・左派系の新聞しか存在位しないようなものです。

テレビは、大手は保守系のフォックスTVを除き後はすべてが、リベラル・左派です。この状況は数十年前から続いていました。

最近では、ネットが発達したとはいえ、まだまだ既存メディアの影響はかなり大きいです。しかし、メディアがこのような状況ですから、米国にも現実には人口の約半分くらいは存在するであろう、保守派の声はかき消されことになります。

少なくとも、テレビを視聴したり、新聞を購読する限りにおいては、リベラル・左派の考え方や、イデオロギーが世の中の主流ということになっていたのです。そうして、保守派がいくら自己主張をしても、その声は大きな声となって他の人々に聴かれたりそれが影響力を持つようにはならなかったのです。

そうして、日本など米国以外の国でも米国といえば、リベラル・左派のメディアなどによってもたらされる情報によって米国を判断していたので、多くの日本人は米国保守の存在を知らず、米国の半分しか見ていなかったというのが実態でした。私達の多くは、現実の米国の半分しかみていなかったといっても過言ではありません。

日本のメディアも多くが、リベラル・左派で占められていることから、日本でも米国メディアの報道細のまま垂れ流すようなことをしていたため、米大統領選などもまとに報道できませんでした。それは、今でもかわらず、トランプ氏に対するネガティブな報道姿勢は今でもかわっていません。

このようなことが長く続いたことから、米国の保守派は何十年にもわたって、無視され続けてきたのです。そうして、保守派自身も自分たちはマイノリティーだと長い間思わされてきました。だから、彼らの多くは、自分の主張は腹の中にしまいこみ、ひっそりと生きてきたのです。

何しろ、メデイアに影響されて、学校でも多くの職場でも、ありとあらゆるところで、リベラル・左派的なものの見方や考え方が優勢であり、そのような中で保守派が保守的な考え方や、イデオロギーを開陳すれば、まわりから野蛮であるとか、粗野であるとそしられることになるので、保守派はあまり自分たちの考え方を開陳できなかったのです。

しかし、トランプ氏の登場によって、それは変わったのです。それまでも、草の根保守の運動はあって、保守層も自分たちは決してマイノリティーではないことに気づきつつはあったのですが、トランプ氏が大統領選に出馬し、選挙運動をはじめてから、かなり状況が変わってきました。

大統領選挙戦中のトランプ氏
多くの保守層も、選挙運動に参加し、トランプ大統領が登場すれば、自分たちの主張も多くの人達に理解されるようになるに違いないという希望を持ちました。そうして、実際保守派は決してマイノリティーではないことをトランプ大統領の登場によって示したのです。

ところが、米国メディアの大勢がリベラル・左派であるという本質はトランプ大統領が登場した今も変わりはありません。

米国メディアは当然のことながら、連日反トランプ的立場から報道します。そうして、リベラル・左派は選挙の結果などはすっかり忘れて、米国の保守層のことなどは忘れ、自分たちが、主流なのになぜ、トランプ政権なのだ。トランプ氏が大統領であることは大きな間違いだと思い込む、輩も多数出てくることになります。

リベラル・左派は明確に大統領選挙の結果示された、米国の人口の半分は存在する保守層の存在を忘れ、自分たちの考えだけが主流であり絶対に正しいのだという考えに凝り固まり、勘違いする馬鹿者もでてきたので、ブログ冒頭の記事のようなとんでもない状況が発生したのです。

先にも述べたようにこの状況は、憂慮すべきことです。ヌーナン氏の「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」という警告はまさに正鵠を射たものです。

それにしても、この状況、米国ほど酷くはないものの、日本も似たり寄ったりの状況にあると思います。選挙結果からみると、日本のリベラル・左派はマイノリティーであるのは、間違いありません。しかし、彼らはメディアのほとんどがリベラル・左派であることから、自分たちを過大評価して、自分たちこそ世の中の主流であり、自分たちの考え方や、イデオロギーこそが、世の中の中心であり、絶対善であるかのように思っています。

日本では、一昨年、国会議員が誰もいない国会を取り囲んで、多数の国民が参加するデモが開催されました。デモに何人いたのかわからないし、こういう類の主催者発表はだいたいあてにならないので、多数、としておくのが良いでしょう。

このデモに参加した政治学者の山口二郎氏が次のように述べていました。
「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!叩き斬ってやる」
動画で見る限り、物理的に叩き斬るとはいっておらず、「民主主義の仕組みで」と留保している点は、まあ、ほっとしたのですが、それにしても穏やかな話ではありません。



しかし、良く考えてみると、「叩き切る」云々という部分よりも、前半の「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!」という叫びの方が、危険な叫びだと思えます。

山口二郎氏によれば、安保法案を推進する安倍総理は「人間じゃない」ということになるのでしょうが、この論理に従えば、安保法案を支持する国民も「人間じゃない」ということになってくるでしょう。

実際に、山口氏は、ツイッターで次のように呟いています。
「今日は、学者の会の会見、日弁連の会見、日比谷野音の集会とデモに参加し、一日中安保法制反対を叫んだ。日本政治の目下の対立軸は、文明対野蛮、道理対無理、知性対反知性である。日本に生きる人間が人間であり続けたいならば、安保法制に反対しなければならない。」2015年8月26日
山口氏の論理に従えば、安保法案に反対する人間が「文明」であり、「道理」であり、「知性」であるのです。その逆に安保法案に賛成する人間は「野蛮」であり、「無理」であり、「反知性」だというのです。そして、安保法案に反対する人間こそが、「人間が人間であり続けたい」と願う人だというのです。ここでは明らかにされていないのですが、安保法案に反対する人間は「人間が人間であり続けることを拒む」存在だということになります。

今月は、戦争反対、人権擁護を目的とする市民団体のリーダーが、自らのTwitterにおいて
#安倍を吊るせ
というハッシュタグを作成しました。

安倍とは安倍晋三総理大臣のことであり、安倍首相は彼らのイデオロギーにとって敵であると見なされているからのようです。以下に、そのツイートを掲載します。


政治に関与する人間は、自らの「正義」に陶酔するあまり、敵対者を「悪魔化」する傾向があります。これは、古来からかわることのない「正義の狂気」です。古来より、往々にして、正義が人を殺してきました。ロベスピエール、レーニンといった革命家は、自らの正義に酔い痴れ、敵対者を悪魔化し、大量虐殺を肯定しました。

いまから50年以上も前に、哲学者アイザイア・バーリンは、自分の掲げる理念を他人に強要して、正義の社会が実現すると考える「積極的自由」の思想が、数多くの虐殺を繰り返してきたと指摘しています。バーリンの指摘から50年の歳月が過ぎても、自らの正義に陶酔する人間が存在し続けています。これは、日米に限らず、世界中に存在しているのだと思います。

アザイア・バーリン
私は安保法案に賛成する一人ですが、勿論、人間です。安保法案に賛成する人々も、反対する人々とおなじ人間だ。意見が異なるだけです。米国の保守派とリベラル・左派も無論両方とも人間です。意見が異なるだけです。

どんな場合でも、敵対者を「悪魔化」、「非人間化」して攻撃するような愚かな真似はすべきでないです。反対の声をあげるなら、頭を冷やして、冷静に反対の声をあげるべきです。そうでないと、多くの人の賛同を得ることはできません。

結局、トランプ大統領に対して、いくらネガティブ・キャンペーンをはったにしても、何も変わることはないでしょう。

日本では、そもそも何が問題なのかもわからない「森友・加計学園問題」で、ネガティブ・キャンペーンが行われましたが、与党の支持率は若干下がったものの、野党の支持率は変わりません。おそらく、短期間で、与党の支持率はまた戻ることでしょう。

それにしても、日米ともにいわゆるリベラル・左派の行動には問題が多いです。このまま、日米が国内のリベラル・左派の動向にばかり振り回されているようでは、トランプ大統領や安倍総理にに敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、日米両国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなりかねないです。

しかし、リベラル・左派の人々は日米とも、保守派とまともに語り合おうとはしないようです。であれば、日米の保守派は互いに歩みより、まずはコミュニケーションを密にして、いずれ相互連携を強めていくようにすべきと思います。

思えば、戦前からそうして戦後ずっと、マスメディア、学界を始めとして、左翼の台頭を許してきた日米両国です。双方の保守派は今なお分断されたままで、日本国内には、アメリカの本当の姿を知るための、正しい情報が入ってきません。米国にも、日本の真の姿を知るための情報は少ないです。

日米は、同盟国であり、アジアの平和を守るためにも協力が欠かせない間柄です。日米の保守派は、真の姿をお互いに知り合うべきなのです。
日米双方の保守派の連携によって、思っても見なかったような、展開がみられるようよになるかもしれません。

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2016年6月11日土曜日

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか―【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか

尖閣諸島 画像はブログ管理人挿入 以下同じ
中国海軍の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に初めて侵入したことに、沖縄県石垣市の中山義隆市長は「非常に強い危機感を持っている」と述べました。尖閣を行政区域に抱える市政トップとして当然の反応でしょう。対照的に何もコメントしなかったのが翁長雄志知事でした。

翁長氏は昨年5月の外国特派員協会での会見で「私も尖閣は日本固有の領土だと思っている」と明言しました。ならば即座にメッセージを発してもよかったはずです。共産党の志位和夫委員長も「軍艦侵入は軍事的緊張を高めるだけ」と批判したのですから。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える翁長氏として、中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念したのでしょうか。それとも翁長氏には危機感がないのでしょうか。

【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!

このニュースは、産経新聞などは号外で報道したほどの大ニュースです。過去一週間では、他のニュースなどはこれに比較すると霞んでしまうようなものです。

中国海軍の艦艇が、とうとう尖閣の接続水域に入ったことについて、沖縄地元2紙は以下のように伝えています。

まずは、「沖縄タイムス」は以下ように伝えています。
社説[尖閣沖に中国軍艦]緊張高める行動は慎め


中国海軍の艦船が9日未明、尖閣諸島・久場島周辺の接続水域に入り、2時間以上にわたり航行したことが確認された。 
» 国は「毅然とした対応を」 中国軍艦の尖閣水域侵入で石垣市長 

中国は尖閣の領有権を主張しており、「他国にとやかく言う権利はない」との姿勢だが、予期せぬ衝突を招きかねない。腕力を誇示して相手国をけん制するようなやり方は、地域の緊張を高めるだけであり、厳に慎むべきだ。 
 これまで尖閣の接続水域では、海上保安庁に相当する中国海警局の船が相次いで航行してきたが、軍艦の進入は初めてである。 
 中国海軍の行動の背景に何があるのか。 
 中国政府が最近の安倍政権の「対中けん制」や「対中包囲網形成」の動きに、いら立ちを募らせているのは確かである。 
 先月、日本で開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言では、「東シナ海・南シナ海の状況を懸念する」と中国への強い姿勢が打ち出された。 
 今月初めシンガポールであったアジア安全保障会議では、中谷元・防衛相、カーター米国防長官が、そろって南シナ海の軍事拠点化を進める中国を非難した。 
 海自と米国、インド両軍の共同訓練も10日、沖縄周辺海域などを舞台に始まった。 
 南シナ海問題にも積極的に関与し始めた日本への不満が、東シナ海での挑発行動と強硬姿勢につながったといえる。尖閣の領有権をあらためてアピールしようとの思惑も見て取れる。 
接続水域に入ったとされる中国のジャンカイI級フリゲート艦 
■    ■ 
 今回、ほぼ同時刻にロシア軍艦も現場海域を航行している。接続水域を通過すること自体は国際法上問題がなく、日本政府も尖閣の領有権を主張する中国とは区別しているが、日米に対抗した中露連携の動きとの見方もある。 
 仮に中国の軍艦が接続水域から領海に入ったらどうなっていたか。 
 防衛省制服組トップの河野克俊統合幕僚長は「相応の対応」を示しており、自衛隊法に基づく海上警備行動が発令され、海自艦と中国艦がにらみ合う一触即発の状態が生まれたかもしれない。 
 尖閣や南シナ海を巡る不信と対立で、日中双方は安全保障のジレンマに陥っている。抑止力を高めようと軍備強化を図れば、相手も対抗措置を強化し、偶発的衝突の可能性が増し、ジレンマは深まる。 
 平和的解決に向けて日本も冷静な対応が求められている。高まる緊張緩和へは、日中双方の努力が必要だ。 
■    ■ 
 2007年、安倍晋三首相と温家宝首相の会談で一致したのが、東シナ海での偶発的な衝突を回避する防衛当局間の「海上連絡メカニズム」の構築だった。14年の日中首脳会談でも早期運用開始に向けての方針が確認されたのに、設置が進んでいない。 
 ちょっとした不注意や偶発的出来事が予期せぬ衝突につながる。危機管理の仕組みづくりが急務だ。 
 日中間に横たわる問題は複雑で根深く、一気に改善できるものではない。それでも粘り強く話し合いを重ね、負の連鎖を断たねばならない。
手短にまとめると、「中国が安倍政権にいら立ちを募らせている。平和解決に冷静な対応が求められる」ということです。まるで寝言のようです。平和解決に冷静な対応をすべきは、中国です。
<社説>中国軍艦尖閣航行 話し合いでの解決提案を
2016年6月11日 06:01
 中国海軍のフリゲート艦1隻が尖閣諸島の久場島周辺の接続水域を航行した。日中両国の緊張をエスカレートさせかねない行為であり、断じて容認できない。一方で、日本側も今回の事態に乗じて今後、中国の脅威を喧伝(けんでん)することは厳に慎むべきである。日中両政府は話し合いでの尖閣問題解決を急ぐべきだ。 
 日本の領海幅は12カイリ(約22キロ)で、その外側約22キロの範囲に接続水域が設けられ、通関や出入国管理など自国の法律を適用できる。接続水域は原則として自由な航行が認められており、中国海軍艦が航行しても国際法上問題はない。 
 だが、中国は尖閣の領有権を主張している。2012年に日本政府が尖閣を国有化して以降、中国は尖閣周辺で「中国領海のパトロール」を名目にした海警局の公船による日本の領海侵犯を常態化させている。 
 ただでさえ緊張状態にある中での中国海軍艦の接続水域航行である。挑発的な行為と受け取られても仕方なかろう。 
 ロシア海軍駆逐艦も同時間帯に接続水域を航行しており、中国海軍艦はそれに対応して接続水域に入った可能性が指摘されている。そうだとしても、その背景には沖縄県の一部である尖閣を自国の領土とする一方的な主張があり、看過することはできない。 
接続水域に入ったとされるロシアのウダロイI級ミサイル駆逐艦 
 中国国防省は「中国の軍艦がわが国の管轄海域を航行するのは理にかなっており、合法的だ。他国にとやかく言う権利はない」としている。あまりに乱暴過ぎる。 
 中国がこのようなことを繰り返せば、日本国内の中国脅威論に火を付けかねない。中国がそのような愚を犯すことがあってはならない。憲法改正が現実のものとなれば、日中の緊張はさらに高まる。日中双方にとってマイナスしかもたらさない。 
 それだけではない。日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある。そうなれば、中国までもが「新基地ノー」の沖縄の民意を結果的に踏みにじることになる。安倍政権の新基地建設推進を後押しすることは、中国も本望ではないはずだ。

中国は国連安全保障理事会の常任理事国である。世界の平和と安全の維持に大きな責任がある。東アジアの緊張を高める行為は直ちにやめるべきだ。それが常任理事国の在り方である。
これも、簡単にまとめてしまうと、「接続水域は原則として、中国軍艦が航行しても国際法上問題はない。 日米両政府が在沖米軍基地強化の口実にする恐れがある」というもので、ふざけるなと言いたい内容です。

しかし、両紙とも、この大ニュースを伝えないわけにはいかないと考えたと見えて、内容に偏りがあるものの報道はしています。2紙とも、社説で日付は本日付けです。しかし、翁長知事は今日にいたるも何らコメントをしていません。これには、やはり、ブログ冒頭の記事にもあるように「中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念」しているからでしょう。

翁長知事
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴える翁長知事としては、尖閣問題を強調すると中国の脅威や米軍基地の重要性を認めざるを得なくなり、移設反対の論拠が弱まりかねないです。このため、知事や反基地派は尖閣問題を無視するか、「尖閣有事でも、米軍が出動することはない」「普天間飛行場の米海兵隊は抑止力にならない」などと反論していました。

しかし、尖閣に日米安保が適用されることはオバマ米大統領が明言しています。米軍が抑止力であることを否定する主張は日米安保の否定にもつながり、保守派の共感を得にくいです。現在、翁長知事を含めた辺野古移設反対派にとって「尖閣」は極力触れたくないキーワードになっています。

さらに、翁長知事は、自らの発言が安倍総理に利用されることを懸念している可能性もあります。

青山繁晴さんが翁長知事が、安倍総理の術中にはまったと暴露しています。伊勢志摩サミットの直前に安倍総理に会った翁長知事がオバマ大統領に面談したことなどを利用して、オバマ大統領との交渉を有利にもっていったことを暴露しています。

これについては、以下の動画をご覧になってください。


翁長知事は、こういうこともあったので、中国海軍の艦艇が接続水域に入ったことに関しては何か発言すれば、また保守派等にその発言を利用されてしまうかもしれないと懸念している可能性が大きいです。

翁長知事など、安倍政権反対派の口数が最近減ったように思います。しかし、これは無理もないです。安保法制にも辺野古移転にも反対、特に米軍人には、熊本地震の救援に向かうオスプレイまで思い切り反対運動でヘイトスピーチを浴びせていましたから、今さら自衛隊、米軍頼むなんて言えませんし、そんなことを言えば、米軍基地の存在

今後も口数が少なければ良いと思いますが、また何か語れば、それを思いきり利用して、保守派に有利にもっていける可能性が増えました。

沖縄の基地反対派には痛手です。中国は、さらに本性をむき出しすると良いと思います。そうすれば、するほど沖縄の基地反対派は痛手を蒙ります。

中国海軍を脅威に感じる人もいますが、このブログにも掲載してきたように、中国は海軍力では日本にはるかに及びません。それについては、以下の記事をご覧になると良くお分かりになると思います。
自滅への一歩を踏み出した中国 尖閣で軍事衝突なら「1週間で全滅」の指摘も

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、「1週間で全滅」としていますが、私自身は趨勢が決まるのは半日だと思います。もし米軍と戦えば、2〜3時間で趨勢が決まると思います。その根拠は、ここで説明すると長くなってしまうので、このブログの一番最後の【関連記事】にそれに関する記事をあげておきます。

趨勢が決まると、その時点で勝敗がはっきりするということです。どうみても、日本側が勝ち、中国側は惨敗ということがはっきりするということです。この時点で、中国軍は敗走して中国の港に逃げ帰るか、敗北を認めて現地で降伏するしか道がなくなります。

中国軍の艦艇が、領海を侵犯すれば、日本側も否応なしにこれを撃退するしかなくなります。実際、以前北朝鮮の工作船を追い詰め、銃撃し、工作船は自爆しました。自爆せずに徹底抗戦すれば、撃沈していたことでしょう。

今回の中国軍の艦艇の侵入で、翁長知事をはじめ基地反対派が、ものを語りにくい状況なったので、これからはかなり世論も変わると思います。本当に中国は良い時に、接続水域に入ってくれました。

今回のこの出来事より以降、沖縄の基地反対運動も下火になっていくと思います。将来ふりかえると、中国軍の艦艇が接続水域に入った日がターニング・ポイントになっているのではないかと思います。

【関連記事】

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海自が米・インドと共同訓練、中国にらみ沖縄の東方で―【私の論評】南西諸島における海自による「航行の自由作戦」の予兆か(゚д゚)!




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2015年4月30日木曜日

安倍首相米議会演説 全文―【私の論評】「希望の同盟」を主題とする演説は、米国の保守派はもとより良識のあるリベラル派も味方につける用意周到なものだった(゚д゚)!

安倍首相米議会演説 全文

4月30日 2時16分

米国議会で演説する安部総理

安倍総理大臣は日本時間の30日未明、アメリカ議会上下両院の合同会議で、日本の総理大臣として初めて演説しました。演説の全文です。

議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。申し上げたいことはたくさんあります。でも、「フィリバスター」をする意図、能力ともに、ありません。皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベイカー。民主主義の輝くチャンピオンを大使として送ってくださいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活躍に、感謝申し上げます。私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。

私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル・フランシア夫人、寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル・フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。――この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だとずいぶん言われました。

私の名字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主主義の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。農民大工の息子が大統領になれる――、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。その星の一つ、ひとつが、倒れた兵士100人分の命を表すと聞いたときに、私を戦慄が襲いました。金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙祷を捧げました。親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます。

みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、仰っています。「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。本当に、ありがとうございました。

戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。みずからの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。みずからに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。焦土と化した日本に、子どもたちの飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2036頭、やってきました。米国がみずからの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。下って1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。

こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。その営為こそが、TPPにほかなりません。しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。経済規模で、世界の4割、貿易額で、世界の3分の1を占める一円に、私たちの子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。

実は、いまだから言えることがあります。20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。

親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。省みて私が心からよかったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父のことばにあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。

私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。日本はオーストラリア、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は各段に安定します。日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私たちには、その責任があります。日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外務大臣、中谷防衛大臣と会って、協議をしました。いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。きのう、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に合意をしたのです。

1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。人間一人一人に、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。私たちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまや私たちに、新しい自己像を与えてくれました。いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動――。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢さを備え、深い信頼と友情に結ばれた同盟です。自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。

まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。「落ち込んだ時、困った時、目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子どもたちに、支援の手を差し伸べてくれました。私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれました。――希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかによい場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました。

【私の論評】「希望の同盟」を主題とする演説は、米国の保守派はもとより良識のあるリベラル派も味方につける用意周到なものだった(゚д゚)!

本日は、これからの歴史にも残ると考えられる、安部総理の演説の内容を掲載させていただきました。

上記の安部総理の演説の内容の音声のみの動画を以下に掲載します。


ブログ冒頭の記事でも、上の音声でも、お分かりになるように、安部総理の演説はかなりポジティブな内容であり、人によって受け取り方は違うものの、一番強調していたのは、キーワードでいえば、「希望の同盟」だと思います。

私は、この演説をテレビでリアルタイムで視聴したのですが、私の受け取り方はそうでした。安部首相はこの一言をいわんがために、様々な前フリをして、上下院の議員らの心の琴線に触れ、この結論に導いているように私は受け取ることができました。

しかしながら、日本のマスコミの報道の仕方は異なります。

NHKのnewswebでも、これを伝えるニュースの表題は、"首相が米議会で演説 先の大戦に「痛切な反省」"というものでした。


朝のNHKニュースを見ていたら、大戦への痛切な反省とかアジア諸国に苦痛を与えたとかを強調していました。これでは、ニュースを見た多くの人が、安倍首相が米国議会に、反省と懺悔の演説をしに行ったかのような印象を与えかねないように感じられました。これに限らず、日本のマスコミは似たり寄ったりの報道をしていました。

特に、どのメディアもまるで右に習えのごとく、「先の大戦に痛切な反省」を強調していました。一体これは、何なのでしょう。日本メディアは、安倍首相の米議会演説をどこまで矮小化すれば気が済むというのでしょうか。

演説趣旨はキーワードである「希望の同盟」でも理解できるように、「アジア太平洋の平和の礎である日米同盟の絆を強調したものです。安倍首相の演説は、日米同盟を自由の同盟としたのが素晴らしいものでした。

度重なるオバマ大統領の失敗で、自信喪失の米国指導者らも、日米同盟の成功と米国が自由世界のチャンピオンだったことに思いを馳せたと思います。米国は今でも世界のチャンピョンです。軍事的にも米中がもし、全面戦争をしたら、中国が一方的に負けるだけです。経済的にも、米国のほうがはるかに上で、中国はただ人口が多いだけの国です。

しかも、経済に関しては水増しがするのが当たり前のお国柄なので、実際には世界第二の経済大国でないばかりか、ドイツよりも下である可能性も指摘されているほどです。

今や多くの日本人が生まれてもいない過去ばかりを問題にするのは日本を貶める中国、韓国の視点です、そんな視点に惑わされることなく、皆さんは目を見開いて現実を直視していただきたいものと思います。

日本のマスコミや言論界など報道姿勢がどこか狂っていて、リベラルや左翼ばかりが幅を効かせていますが、最近変わりつつあり、保守の意見も通るようになりつあります。

しかし、この状況は、アメリカにも似通ったところがあるどころか、実はアメリカもリベラルや中国スパイが、マスコミや言論界を牛耳っていて、保守が10とすると、リベラル+スパイが 90という状況です。

これについては、以下の動画をご覧いただけせば、おわかりいただけるものと思います。



この動画を視聴していただければ、いかにアメリカのマスコミや、言論界がとんでもないことになっていて、ひよっとすると日本のマスコミや言論界よりも酷い状況にあり、それが原因で、アメリカ国内どころか、世界がグタグタになっていることが理解できます。

まあ、本日は安部総理の演説がメインなので、この話は本日はこのくらいにしておきます。ただし、日本でもアメリカでも、マスコミや言論界は、とんでもないことになっていることを私達は理解すべきです。

このことを理解していれば、アメリカの安部総理に対する見方も、良く理解できるというものです。そうして、安部総理のこの演説はかなり用意周到に準備されているということも理解できます。

安部総理の演説は、リベラルが大勢を占めているアメリカの議会の実情を良く理解していて、かなり周到に準備しています。おそらく今回の演説の内容は、安部総理のブレーンがかなり周到に準備しています。そうして、当然そのブレーンの中には、ケネディ駐日米国大使も含まれているものと思います。

ケネディ駐日米国大使
だから、特にアメリカでは安部総理の演説に対して、批判をすると、的外れといわれるような内容になっています。まさに、良識のあるリベラル派と保守派も満足させるような内容であったと思います。これに対して、リベラル派の中の中国スパイの連中が、文句をつければ良識を疑われ、浮いてしまうような内容でした。

しかし、このようなことを知らない日本のマスコミや、似非識者など本当に的はずれな論評をしています。少し以下に例をあげてみます。
小西議員は、似非識者ともいえないかもしれませんが、典型的な馬鹿の見本として、あげてみしまた。

日本も、アメリカもいわゆるリベラルや、中国スパイにマスコミや言論界が牛耳られています。私たちは、日本のマスコミや言論界と戦うだけではなく、アメリカのそれとも戦わなければならないと思います。安部総理の演説は、まずはアメリカのリベラルからは、文句のつけようがないもの仕上がっていたということでも素晴らしいものだったと思います。

私達日本の保守は安部総理を見習いつつ、アメリカの保守派はもとより、良識のあるリベラル派を味方にひきつけ、アジアの平和と安定と繁栄のため、さらには世界のそれに寄与していくべきものと思います。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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