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2017年6月21日水曜日

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に―【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

メディアのトランプ叩きが過熱しすぎて危険水域に

大物政治評論家が「米国の国力が衰える」と警告

2017年6月14i日 トランプ大統領 写真はブログ管理人掲載 以下同じ
 米国の大手メディアのトランプ政権に対する非難キャンペーンは激しさを増す一方である。

 反トランプ陣営の記者やコラムニストから、テレビキャスター、芸能人までもが放送禁止まがいの罵詈雑言をトランプ氏に浴びせる。トランプ氏の生首のイメージをネット上でばらまく。トランプ暗殺を想起させる舞台劇を上演する──。

コメディアンのキャッシー・グリフィンがネット上に晒した写真
 こんな動向に対して、保守系の大物の政治評論家がこの状態はきわめて危険だとして、メディア界に沈静を求める警告を発した。

   テレビ番組も舞台劇もトランプ攻撃

 この警告は大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏により6月15日の同紙に発表された。

女性政治コラムニスト、ペギー・ヌーナン氏
「誰もが激怒している、それは危険だ」(Rage Is All the Rage, and It’s Dangerous)というタイトルのこのコラムは、ワシントンを主要舞台とする米国の分裂と対立が近年に例のないほど険悪になったとして、「トランプ支持層とトランプ憎悪層の対決」に焦点を合わせていた。

 ヌーナン氏は1980年代にレーガン大統領のスピーチライターを務めた政治学者で、長年、米国メディア界で活躍してきた大物政治評論家でもある。基本的な政治傾向は保守だが穏健派で、トランプ政権に対しても頻繁に批判を述べてきた。

ヌーナン氏は本コラムで、最近の以下のような出来事は大衆扇動的で明らかに一線を超えていると指摘する。

・CNNテレビの娯楽番組に定期出演する女性コメディアン、キャシー・グリフィン氏は、5月30日、トランプ大統領の生首をぶら下げる映像をツイッターなどで流した。

・6月中旬、ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」では、暗殺されるシーザーをトランプ氏に似せる演出があった。

ニューヨーク市で上演中の舞台劇「ジュリアス・シーザー」
 ヌーナン氏は反トランプの憎悪をこうしてあおるのは行き過ぎであり、危険だという。さらに報道の分野でも、トランプ叩きは過熱している。

・CBSテレビのニュース関連番組に定期的に出演する著名な評論家兼コメディアンのスティーブン・コルベア氏は、放映中にトランプ氏をロシアのプーチン大統領の性器に関連付ける発言をした。

スティーブン・コルベア氏
・CNNテレビの司会役が、トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけた。

トランプ氏に「シット(くそ)」という汚い言葉をぶつけたレザ・アスラン
・MSNBCテレビの報道キャスターが、「トランプ大統領は自分の政治目的のためにテロ犯罪をわざと起こさせようと挑発している」と断言した。

問題となったMSNBテレビの報道番組
 ヌーナン氏は以上のような実例をあげて、懸念を表明した。民主党寄りの芸能人やキャスターが政治的な理由でトランプ大統領の政策を非難するのは正当化できるとしても、明らかな偏見や不公正をメディアの客観性や中立性を放棄して表現することは、危険な暴力行為をも扇動することになる、と警告した。その危険な暴力行為の実例としては、6月14日にワシントン郊外で起きた、反トランプの中年男性による共和党議員たちに対する射撃事件が挙げられるという。

共和党議員たちに対する射撃事件の犯人
 同氏はさらに、米国内でイデオロギーや政策をめぐって激しい対立が起き、その結果、米国全体が政治的に分極化することを憂慮する。現在の米国の主要メディアのトランプ大統領への攻撃は、激怒や憎悪をあまりにむき出しにしており、「その温度を下げるべきだ」と訴えた。

   このままでは米国全体が危機に

6月16日、ワシントンを拠点とする保守系のインターネット新聞「ワシントン・フリー・ビーコン」も、この種のトランプ叩きの現状を伝える記事を掲載した。

民主党系弁護士のジャミー・ゴアリック氏が、トランプ大統領の娘、イバンカさんとその夫のジャレッド・クシュナー氏のロシア関連疑惑での弁護を引き受けた。そのことが民主党勢力から裏切り行為のように激しく非難されているという実態を伝える記事だった。

ジャミー・ゴアリック氏
 弁護士の弁護引き受けは政治党派の別を越えてなされるのが自然である。ところが「ワシントン・ポスト」などはゴアリック弁護士がクシュナー夫妻を弁護するのは不当な行為として断じている。ワシントン・フリー・ビーコンの記事は、その種の非難は一線を越えていると批判した。

こうしたトランプ政権と反トランプ陣営(民主党と大手メディアの連合)との対決は一体どこまでエスカレートするのか。ヌーナン氏のコラム記事は、「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」と警告していた。

【私の論評】今こそ日米双方の保守派の連携が重要(゚д゚)!

米国のこの状況、憂慮すべき状況です。そうして、この状況はなぜ起こっているのか、日本国内ではなかなか理解されないことですが、米国のある一面を理解していれば、それは容易に理解できることです。

それに関しては、このブログでも過去に何度か掲載させていだたきました。要するに、米国のメディアの9割は、リベラル・左派系であるということです。保守系メディアは1割に過ぎません。

米国メディアはリベラル・左派が圧倒的に多い
新聞に関しては大手はすべてが、リベラル・左派系です。これは、日本にたとえると、産経新聞は存在せず、朝日新聞や毎日新聞のようなリベラル・左派系の新聞しか存在位しないようなものです。

テレビは、大手は保守系のフォックスTVを除き後はすべてが、リベラル・左派です。この状況は数十年前から続いていました。

最近では、ネットが発達したとはいえ、まだまだ既存メディアの影響はかなり大きいです。しかし、メディアがこのような状況ですから、米国にも現実には人口の約半分くらいは存在するであろう、保守派の声はかき消されことになります。

少なくとも、テレビを視聴したり、新聞を購読する限りにおいては、リベラル・左派の考え方や、イデオロギーが世の中の主流ということになっていたのです。そうして、保守派がいくら自己主張をしても、その声は大きな声となって他の人々に聴かれたりそれが影響力を持つようにはならなかったのです。

そうして、日本など米国以外の国でも米国といえば、リベラル・左派のメディアなどによってもたらされる情報によって米国を判断していたので、多くの日本人は米国保守の存在を知らず、米国の半分しか見ていなかったというのが実態でした。私達の多くは、現実の米国の半分しかみていなかったといっても過言ではありません。

日本のメディアも多くが、リベラル・左派で占められていることから、日本でも米国メディアの報道細のまま垂れ流すようなことをしていたため、米大統領選などもまとに報道できませんでした。それは、今でもかわらず、トランプ氏に対するネガティブな報道姿勢は今でもかわっていません。

このようなことが長く続いたことから、米国の保守派は何十年にもわたって、無視され続けてきたのです。そうして、保守派自身も自分たちはマイノリティーだと長い間思わされてきました。だから、彼らの多くは、自分の主張は腹の中にしまいこみ、ひっそりと生きてきたのです。

何しろ、メデイアに影響されて、学校でも多くの職場でも、ありとあらゆるところで、リベラル・左派的なものの見方や考え方が優勢であり、そのような中で保守派が保守的な考え方や、イデオロギーを開陳すれば、まわりから野蛮であるとか、粗野であるとそしられることになるので、保守派はあまり自分たちの考え方を開陳できなかったのです。

しかし、トランプ氏の登場によって、それは変わったのです。それまでも、草の根保守の運動はあって、保守層も自分たちは決してマイノリティーではないことに気づきつつはあったのですが、トランプ氏が大統領選に出馬し、選挙運動をはじめてから、かなり状況が変わってきました。

大統領選挙戦中のトランプ氏
多くの保守層も、選挙運動に参加し、トランプ大統領が登場すれば、自分たちの主張も多くの人達に理解されるようになるに違いないという希望を持ちました。そうして、実際保守派は決してマイノリティーではないことをトランプ大統領の登場によって示したのです。

ところが、米国メディアの大勢がリベラル・左派であるという本質はトランプ大統領が登場した今も変わりはありません。

米国メディアは当然のことながら、連日反トランプ的立場から報道します。そうして、リベラル・左派は選挙の結果などはすっかり忘れて、米国の保守層のことなどは忘れ、自分たちが、主流なのになぜ、トランプ政権なのだ。トランプ氏が大統領であることは大きな間違いだと思い込む、輩も多数出てくることになります。

リベラル・左派は明確に大統領選挙の結果示された、米国の人口の半分は存在する保守層の存在を忘れ、自分たちの考えだけが主流であり絶対に正しいのだという考えに凝り固まり、勘違いする馬鹿者もでてきたので、ブログ冒頭の記事のようなとんでもない状況が発生したのです。

先にも述べたようにこの状況は、憂慮すべきことです。ヌーナン氏の「トランプ大統領に敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、米国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなる」という警告はまさに正鵠を射たものです。

それにしても、この状況、米国ほど酷くはないものの、日本も似たり寄ったりの状況にあると思います。選挙結果からみると、日本のリベラル・左派はマイノリティーであるのは、間違いありません。しかし、彼らはメディアのほとんどがリベラル・左派であることから、自分たちを過大評価して、自分たちこそ世の中の主流であり、自分たちの考え方や、イデオロギーこそが、世の中の中心であり、絶対善であるかのように思っています。

日本では、一昨年、国会議員が誰もいない国会を取り囲んで、多数の国民が参加するデモが開催されました。デモに何人いたのかわからないし、こういう類の主催者発表はだいたいあてにならないので、多数、としておくのが良いでしょう。

このデモに参加した政治学者の山口二郎氏が次のように述べていました。
「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!叩き斬ってやる」
動画で見る限り、物理的に叩き斬るとはいっておらず、「民主主義の仕組みで」と留保している点は、まあ、ほっとしたのですが、それにしても穏やかな話ではありません。



しかし、良く考えてみると、「叩き切る」云々という部分よりも、前半の「安倍に言いたい!お前は人間じゃない!」という叫びの方が、危険な叫びだと思えます。

山口二郎氏によれば、安保法案を推進する安倍総理は「人間じゃない」ということになるのでしょうが、この論理に従えば、安保法案を支持する国民も「人間じゃない」ということになってくるでしょう。

実際に、山口氏は、ツイッターで次のように呟いています。
「今日は、学者の会の会見、日弁連の会見、日比谷野音の集会とデモに参加し、一日中安保法制反対を叫んだ。日本政治の目下の対立軸は、文明対野蛮、道理対無理、知性対反知性である。日本に生きる人間が人間であり続けたいならば、安保法制に反対しなければならない。」2015年8月26日
山口氏の論理に従えば、安保法案に反対する人間が「文明」であり、「道理」であり、「知性」であるのです。その逆に安保法案に賛成する人間は「野蛮」であり、「無理」であり、「反知性」だというのです。そして、安保法案に反対する人間こそが、「人間が人間であり続けたい」と願う人だというのです。ここでは明らかにされていないのですが、安保法案に反対する人間は「人間が人間であり続けることを拒む」存在だということになります。

今月は、戦争反対、人権擁護を目的とする市民団体のリーダーが、自らのTwitterにおいて
#安倍を吊るせ
というハッシュタグを作成しました。

安倍とは安倍晋三総理大臣のことであり、安倍首相は彼らのイデオロギーにとって敵であると見なされているからのようです。以下に、そのツイートを掲載します。


政治に関与する人間は、自らの「正義」に陶酔するあまり、敵対者を「悪魔化」する傾向があります。これは、古来からかわることのない「正義の狂気」です。古来より、往々にして、正義が人を殺してきました。ロベスピエール、レーニンといった革命家は、自らの正義に酔い痴れ、敵対者を悪魔化し、大量虐殺を肯定しました。

いまから50年以上も前に、哲学者アイザイア・バーリンは、自分の掲げる理念を他人に強要して、正義の社会が実現すると考える「積極的自由」の思想が、数多くの虐殺を繰り返してきたと指摘しています。バーリンの指摘から50年の歳月が過ぎても、自らの正義に陶酔する人間が存在し続けています。これは、日米に限らず、世界中に存在しているのだと思います。

アザイア・バーリン
私は安保法案に賛成する一人ですが、勿論、人間です。安保法案に賛成する人々も、反対する人々とおなじ人間だ。意見が異なるだけです。米国の保守派とリベラル・左派も無論両方とも人間です。意見が異なるだけです。

どんな場合でも、敵対者を「悪魔化」、「非人間化」して攻撃するような愚かな真似はすべきでないです。反対の声をあげるなら、頭を冷やして、冷静に反対の声をあげるべきです。そうでないと、多くの人の賛同を得ることはできません。

結局、トランプ大統領に対して、いくらネガティブ・キャンペーンをはったにしても、何も変わることはないでしょう。

日本では、そもそも何が問題なのかもわからない「森友・加計学園問題」で、ネガティブ・キャンペーンが行われましたが、与党の支持率は若干下がったものの、野党の支持率は変わりません。おそらく、短期間で、与党の支持率はまた戻ることでしょう。

それにしても、日米ともにいわゆるリベラル・左派の行動には問題が多いです。このまま、日米が国内のリベラル・左派の動向にばかり振り回されているようでは、トランプ大統領や安倍総理にに敵対する側はこのあたりで冷静にならないと、日米両国全体が危機に瀕し、国力が衰えることにもなりかねないです。

しかし、リベラル・左派の人々は日米とも、保守派とまともに語り合おうとはしないようです。であれば、日米の保守派は互いに歩みより、まずはコミュニケーションを密にして、いずれ相互連携を強めていくようにすべきと思います。

思えば、戦前からそうして戦後ずっと、マスメディア、学界を始めとして、左翼の台頭を許してきた日米両国です。双方の保守派は今なお分断されたままで、日本国内には、アメリカの本当の姿を知るための、正しい情報が入ってきません。米国にも、日本の真の姿を知るための情報は少ないです。

日米は、同盟国であり、アジアの平和を守るためにも協力が欠かせない間柄です。日米の保守派は、真の姿をお互いに知り合うべきなのです。
日米双方の保守派の連携によって、思っても見なかったような、展開がみられるようよになるかもしれません。

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2017年5月6日土曜日

【メガプレミアム】もはや危険水域か、韓国庶民の「家計」…富める者に向けられる「国民感情」―【私の論評】安全保障の面から日米は韓国に強力に金融緩和を迫るべき(゚д゚)!


グラフ、写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 韓国庶民の家計が“爆発寸前”になっているという。韓国銀行(中央銀行)が発表した昨年末の家計負債が、1344兆3千億ウォン(約133兆円)に上り、前年末比11.7%増と関連統計を取り始めて以来で最大規模となったのだ。さらに、家計の実質所得は7年ぶりに減っており、韓国メディアは「水があごまで上がってきた」と表現している。朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑では政経癒着がやり玉に挙がっているが、韓国で法律よりも優先されるといわれる国民感情にも影響しているとみられる。

 尋常でない増加速度

 韓国紙・中央日報(日本語電子版)によると、韓国銀行が2月に「2016年第4四半期の家計信用」を発表し、家計の金融機関からの借り入れとクレジットカードの使用残高が昨年12月末で1344兆3千億ウォンで、1人当たりで換算すると約2600万ウォン(約259万円)を超えた。

 これに対し、ハンギョレ新聞(同)は社説で「昨年の家計負債の増加速度からして驚異的」と問題提起した。家計貸付金残高は、過去1年間で11.7%増となり、増加率は経済成長率の3倍近く、統計を取り始めた2002年以来の最高値だった。

 同時にこの社説は「家計の質が悪くなったことが、特に大きな関心事だ」と強調した。昨年の家計向け銀行融資残高が9.5%増加する間に、利率が極めて高い第2金融圏(ノンバンク系)の融資残高が17.1%も増加。政府の家計融資抑制対策が銀行だけに集中したため、ノンバンク系への風船効果になった。

 つまり、銀行からの借金増に歯止めをかけるため、銀行の与信審査を強化した結果、銀行融資の敷居が高くなった人たちが高金利のノンバンク系へと流れたという。

 中央日報(同)によると銀行圏の家計融資は、昨年7~9月期に17兆2千億ウォンから同10~12月に13兆5千億ウォンに失速。一方で、保険会社や相互貯蓄銀行など第2金融圏と貸付業者の家計融資は、同じ期間に19兆8千億ウォンから29兆4千億ウォンへと大幅に増えている。

 同紙は「低所得・脆弱階層が償還延滞に陥るなど困難にぶつかる可能性がある」と警鐘を鳴らす専門家の声を掲載した。

 実質所得は減少

 一方、韓国では昨年、世界的な金融危機の余波が深刻化した2009年以降で7年ぶりに初めて実質所得が減少している。

 ハンギョレ新聞(同)によると、韓国統計庁が2月24日に発表した「2016年第4四半期および年間家計動向」では、昨年の世帯当たり月平均所得が439万9千ウォン(約43万円)と、前年の0.6%増に終わったことが分かった。

 物価上昇分を差し引いた実質所得基準でみれば0.4%減となった。とくに低所得層ほど体感苦痛は大きくなるとみられ、所得下位20%世帯の月平均所得は144万7千ウォン(14万4千円)で前年より5.6%減と史上最大幅の減少を記録している。所得下位20~40%世帯も291万4千ウォン(29万円)で0.8%減だった。

 ところが、所得上位20%世帯の所得は、834万8千ウォン(83万円)で2.1%増となっており、貧富格差が鮮明になっている。

 富める者に厳しくなる世論
 こうした家計の逼迫(ひっぱく)状況が韓国銀行の金融政策の選択肢を限定的にしている。

 聯合ニュース(同)によると、韓国銀行は2月23日に政策金利を年1.25%を据え置くことを決めた。急増し、過去最高水準となっている家計負債が重荷となり、利下げは家計に新たな借金に踏み切らせる要因となる。逆に利上げすれば借金の負担が大きい世帯が破綻しかねないからだ。

 ハンギョレ新聞(同)は社説で「今後金利が上がれば、限界家計の破産が急増せざるを得ない」と指摘する。

 朴氏の友人で女性実業家の崔順実(チェ・スンシル)被告らをめぐる一連の疑惑が国家を揺るがす事態となっている韓国。最大財閥、サムスングループの経営トップである李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の逮捕を認めた地裁の判断も、政経癒着を批判する世論に配慮した側面があるといわれる。

 韓国の国内総生産(GDP)と輸出額のそれぞれ約20%を占めるといわれるサムスングループの総帥の逮捕をも迫る世論は、韓国の庶民が直面する生活苦が影響し、既得権を持つ富める者に厳しくあたるように形成されているのかもしれない。(3月16日掲載)



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【私の論評】安全保障の面から日米は韓国に強力に金融緩和を迫るべき(゚д゚)!

 ブログ冒頭の記事は、3月16日のものです。現状も経済状況はほとんど変わらないでしょう。本日韓国の経済に関するニュースを検索すると、朝鮮日報に以下のような記事が掲載されていました。
たんす預金急増、日本と同じ道歩む韓国
 韓国中部・大田市の有名飲食店の経営者Nさんは先月、現金8億4500万ウォン(約8300万円)を自宅のたんすに保管していて、盗難被害に遭った。全て最高額紙幣の5万ウォン札ばかり1万6900枚だった。Nさんは5万ウォン札を100枚ずつゴムで束ね、10束ずつ新聞紙に包んでいたという。泥棒は米袋2枚に現金を詰めて持ち去った。重さは20キログラムあった。 
 クレジットカードの利用が決済額全体の半分を超え、「キャッシュレス社会」を迎える中、巨額の現金をたんすに積み上げていたのはなぜか。Nさんは「現金を集める楽しみで自宅に保管していた」と警察に説明したが、果たして本当だろうか。 
 韓国よりも先に超低金利時代を迎えた日本では、そうした現金を「たんす預金」と呼ぶ。たんす預金は韓国にどれだけあるのか。また、たんす預金は経済にどんな影響を与えるのか。 
■家計の保有現金6.7兆円 
 韓国銀行(中央銀行)によれば、昨年末現在で韓国の家計が保有する金融資産のうち現金は68兆2610億ウォン(約6兆7000億円)だった。預金、保険、債券、株式、投資信託などに入れた資金を除き、純粋な現金だけを計算した額だ。 
 家計の現金資産は年々増えている。2013年の39兆ウォンから14年には47兆ウォン、15年には58兆ウォン、昨年には68兆ウォン台となり、年間10兆ウォン前後のペースで膨らんでいる。家計の現金資産が金融資産全体に占める割合は同じ期間に1.4%から2%台へと上昇した。 
 保管の便利さを考えると、家計が保有する現金の大半は5万ウォン札だとみられる。現在流通している紙幣で最高額の5万ウォン札は2009年に発行された。昨年末までに韓銀が発行した5万ウォン札は総額135兆ウォンで、発行以来韓銀に戻ってきた5万ウォン札は60兆ウォン足らずだ。つまり、市中に75兆ウォン以上の5万ウォン札が流通していることになる。
■個人用金庫の販売15%増 
 自宅での現金の保管方法はさまざまだ。国政介入事件の中心人物、崔順実(チェ・スンシル)氏はトイレットペーパーの芯に5万ウォン札を300万ウォンずつ挿してあるのを取り出して使っていたという。ただ、個人用金庫に現金を保管するケースが多いはずだ。崔氏も自宅に金庫2個を置いていた。

 韓国の金庫市場で70%以上のシェアを占めるソンイル金庫の今年1-3月の金庫販売は前年同期を15%上回った。昨年の年間伸び率(12%)に比べると、最近金庫の売れ行きが好調なことが分かる。同社関係者は「金庫販売が増えているが、容量が大きい金庫が売れるようになっている」と述べた。金庫の中に何かを詰め込んでいることの証だ。

 ソウル市の江南地区に住む主婦(45)は「金庫に現金、金塊、結婚時の記念品、高級腕時計など高価なものを保管する近所の人が増えている。米トランプ政権発足で北朝鮮リスクが浮上し、不安感が高まり、金融商品よりも現金を保有する傾向が高まったのではないか」と話した。

■日本式のたんす預金 
 日本のたんす預金は銀行など金融機関には預けず、自分で保管する現金という意味だ。日本のたんす預金は昨年末現在で43兆2000億円を超えた。高額紙幣の1万円札の需要も急増した。マイナス金利、徴税強化、資産関連の情報公開拡大、今後の景気に対する不安感が現金人気の主因と言える。

 韓国でも似たような現象が起きている。40代の弁護士Kさんは100万ウォンを超える決済も必ず現金払いにしている。なじみの飲食店では月末に代金を現金で一括払いする。Kさんは「預金金利や投資収益がいくらにもならないのに、あえて課税収入を明らかにする理由はない」と話す。ソウルの有名百貨店の地下にあるスーパーマーケットでは、数十万ウォン相当の買い物をして、現金で支払う人が珍しくない。朴槿恵(パク・クンヘ)政権の発足後、地下経済に対する課税が強化され、5万ウォン紙幣の回収率が60%台から20%台にまで低下した。

 延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「日本では中産階級の消費縮小に伴いたんす預金が増えた。韓国でも家計が現金保管が消費低迷を伴えば、経済全体にマイナスの影響を与えかねない」と懸念した。

琴元燮(クム・ウォンソプ)記者
この記事によれば、韓国銀行(韓国の中央銀行、日本の日本銀行にあたる)政策金利を年1.25%に据え置くということで、これは確かに低金利ですが、未だ日本の水準には及んでいません。日本の政策金利は、0.1です。

日本の場合、あまりにも長い間経済が低迷したため、このような結果を招いてしまいました。

韓国も日本ほどではありませんが、日本と似たようなところがあります。ブログ冒頭の記事のように、これだけ景気が悪いのですから、これは常識的に考えればすぐにでも大規模な金融緩和をすべきなのでしょうが、なぜか金融緩和をせよという声は起こらず、なぜか構造改革論ばかりが叫ばれています。

これは、日本で失われた20年の直前から日本でも構造改革が叫ばれていたのと似たような状況です。日本では、ご存知のように構造改革ばかりが叫ばれ、景気循環的対策である金融緩和が実行されなかったため、強烈なデフレを招いてしまいました。

韓国も似たような状況にあります。ただし、韓国ではデフレ状況ではないですが、それにしても、もう数年前から雇用環境は最悪で、特に若者の雇用がとんでもない状況になっていました、このような状況になれば、まずは大規模な金融緩和をすべきです。

しかし、このブログでも一昨年あたりから、韓国は大規模な金融緩和に踏み切るべきという内容の記事を掲載したのですが、これには以下のような反論を述べる人がいました。

まずは、韓国の経済は腐敗がまかり通っていて、金融緩和しても経済は良くならない。そうして、金融緩和するとキャピタルフライトが発生するというものです。

ちなみに、キャピタルフライトとは国内から海外へ資本が一斉に流出する資本逃避のことです。

私は、いくら韓国の経済活動には不合理なことがまかりとおっていたにしても、構造改革をしてそれが効果をあらわすまでには、最低でも5年、長ければ10から20年もかかる場合もあります。しかし、現状の経済がブログ冒頭の記事にもあるようにとんでもない状況にあるわけですから、構造改革はするなとはいいませんが、その前にまずは金融緩和をすべきです。

それに、金融緩和をして、ある程度経済が上向けば、構造改革も実行しやすいはずです。日本でも、かつて、構造改革至上主義のようなものがあり、遅れた経済構造のまま、金融緩和をしても効果がないとか、もっと極端な例では金融緩和をすれば構造改革を妨げるから、すべきではないという主張もありました。

民主党から自民党への政権交代の直前に当時の安倍晋三氏が政権交代後に金融緩和政策を実行する旨を公表したときに同じようなことが言われていました。

しかし、現実には、目立った構造改革の成果もないまま、2013年から金融緩和に踏み切り、その結果は間違いなく成功し、そのような主張はことごとく外れています。その成功については、このブログでもつい先日掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出―【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

アベノミクスは、特に雇用において、完璧に成功しています。個人消費もこれから伸びていくことが予想されます。詳細は、この記事をご覧になって下さい。

さらに、現在の韓国経済は確かに遅れた面がありますが、それにしても韓国ではキャピタルフライトは起こりにくいはずなので、やはり大規模な金融緩和をなるべく早く実行すべきです。

なぜ韓国において、キャピタルフライトがおきにくいかといえば、それは我が国と同じく、韓国は変動相場制の国であるからです。

通常変動相場制の国であれば、 金融緩和をすれば自国通貨安になり、外貨流出を抑えることになります。さらには、高金利政策をとりキャピタルフライトをおきにくい状況にすることもできます。変動相場制の国であれば、政府の外貨準備は通常市場とは直接関係しません。したがってキャピタルフライトは固定相場制の国とは違って発生しません。なぜなら極端な通貨安に振れる理由がないからです。

現に1997年のアジア通貨危機では被害国は固定相場でした。韓国は、80年から変動相場制への移行をはじめ、97年アジア通貨危機後に完全変動相場制になりました。現在では完全変動相場制です。

無論、変動相場制の国の場合でも、キャピタルフライトは起こり得る場合もあります。それは、まずユーロなどの共通貨幣を用いている国ではあり得ることです。しかし、韓国は共通通貨を用いている国ではありません。

さらに、変動相場制の国でもキャピタルフライトがおこる可能性もあります。それは、対外債務が極端に多い場合です。

「キャピタルフライト(capital flight)」の代表例は、2008年の世界金融危機前後のアイスランドが挙げられます。

人口約32万人にすぎないアイスランドは外国資本に大きく依存し、銀行を中心とした金融業を中心に発展してきました。しかし2008年にサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機と前後して外国資本が"資本逃避"を開始しました。

通貨クローナの価値は急落し、銀行もGDP(国内総生産)の10倍にも膨らんだ対外債務の返済に窮すなど、アイスランドは国家破綻の危機に見舞われました。

当時のアイスランドの財政状況は、政府の財政だけをみていると日本財政破綻論者が夢に見るような理想的な状況にあったのにもかかわらず、アイスランドは破綻しました。

その秘密はアイスランドの経常収支赤字にあります。


このグラフはアイスランドの経常収支対GDP比の推移ですが、破綻した2008年までにアイスランドは実にGDP比で15%以上の赤字を計上していました。

ただし、勘違いしないで下さい。経常収支の赤字がすべて悪いというわけではありません。ただし、アイスランドの場合は経常収支のマイナスのほとんどが対外債務だったのです。以前から、このブログでは経常収支が赤だからといって、必ずしも悪いというわけではないということを主張してきました。

経常収支の赤字は分析してみないと、それが当該国にとって良いことなのか、悪いことなのか、ただ赤字だから、黒字だからといって良い悪いということはいえません。ただし、アイスランドの場合は、赤字のほとんどが対外債務だったので、これは典型的な悪い例です。

これを日本に当てはめてみますと、GDPが500兆円としてその15%はなんと75兆円です。つまりアイスランドは日本に換算すると、毎年75兆円もの対外債務を積み上げていたことになります。

以下に当時の新聞から引用します。
アイスランド:外貨建て債務再編交渉、数週間以内の開始準備-WSJhttp://www.bloomberg.co.jp/news/123-K9YHPR0UQVIT01.html 
11月7日(ブルームバーグ):米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、オンライン版)は7日、アイスランド政府当局者が、総額750億ドル(約7兆3000億円)近くに上る同国金融機関の外貨建て債務の再編を目指し、債権者との交渉を今後数週間以内に開始する準備を進めていると報じた。関係者の話を引用して伝えた。 
RBCドミニオン・セキュリティーズのリサーチノートによれば、アイスランドの金融サービス機構(FSA)が設立した委員会のアドバイザーとして、大手会計事務所デロイト・アンド・トウシュが採用されたという。750億ドルの外貨建て債務は、アイスランドの国内総生産(GDP)の700%を上回る規模であり、永久に完済されない可能性があると同紙は指摘している。
なんと、アイスランドは実にGDP比で700%もの外貨建ての借金をしておりました。しかし、当時のアイスランドの政府債務対GDP比は29%しかありません。この700%もの債務は一体誰が負っていたのでしょうか。

アイスランド政府の借金でないのであれば、あとは民間しかありません。この膨大な対外の外貨建て債務は国内の金融機関が負っていた負債です。

このような国であれば、当然のことながらキャピタルフライとは起こりえます。そうして、実際アイスランドではそれが起こったのです。

では、韓国の対外債務はどうなっているのでしょうか。韓国銀行は2月22日、韓国の対外債権が前年比638億ドル増の7843億ドルとなったのに対し、対外債務は151億ドル減の3809億ドルだったと発表しました。

対外債務では長期対外債務が160億ドル減少し、短期対外債務は8億ドル増えました。外貨準備高(3711億ドル)に占める短期対外債務(1052億ドル)の割合は28.3%で前年と同じでした。同割合は2013年の32.3%、14年の32.0%、15年の28.3%と年々低下してきました。1997年の通貨危機当時(283.1%)、2008年の金融危機当時(79.3%)に比べるとはるかに低い水準です。

この程度の対外債務であれば、どう考えても金融緩和したからといって、キャピタルフライトが起こるということは考えられません。

以上のことから、韓国はすみやかに大規模な金融緩和をすべきです。

もう、数年前から行うべきでした。もし数年前から大規模な金融緩和を行っていれば、今頃韓国はまずは、現在の日本と同じように、雇用それも若者雇用がかなり良くなっていたことでしょう。

そうして、もし韓国が日本のように金融緩和実行後、まだその影響があまり出ていないうちに増税するなどという、マクロ経済的に見て悪手中悪手を行なわなければ、家計債務も減っていた可能性が十分にあります。減らなくて、少なくと増加はしなかったと考えられます。

そのような状況であれば、赤化勢力もあまり台頭することもなく、国民の不満もあまりなく、朴槿恵政権も続いていたかもしれません。

文在寅氏が大統領なら「赤化統一」
しかし、今後も金融緩和をすることなく、構造改革一辺倒で、経済の悪化を放置しておけば、韓国の赤化に拍車がかかることになります。

現在の北朝鮮の脅威が迫っている中での韓国の有様を見て、正気の沙汰ではないと批判する人々も大勢います。私も、到底納得できないこともあります。

しかし、考えてみて下さい。日本が現在の韓国のような状況であれば、どのようなことになるでしょうか。現在の韓国の状況は、日本がデフレ・スパイラルの底に沈んでいたことろよりももっと酷い状況にあります。そんな状況に追い込まれたら、いかなる国の国民も、何をするにも八方塞がりで、正気の沙汰とはいえない行動に出るかもしれません。

ちなみに、日本がデフレスパイラルのどん底に沈んでいた頃ですら、家計負債が極端に増えるということはありませんでした。

2012年6月時点では、地方を含む一般政府の金融負債は4.2%増の1123兆9187億円と過去最高となったにもかかわらず、家計金融資産は、現・預金が当時過去最高の844兆円となっていました。やはり、日本は韓国と違ってかなり経済的にはかなり底力があるのです。

韓国の場合は、本格的なデフレに至っていなくても、元々の経済の脆弱性から、ブログ冒頭のような様相を呈しています。

日本では、池田内閣の所得倍増計画が成功して、本当に所得が倍増した頃から、日本国内におけるソ連の影響がほとんどなくなりました。経済が良くなったので、わざわざソ連のプロパガンダにのる必要性がなくなったからです。やはり、経済が良くなければ、どの国の国民だって、容易に扇動されやすくなるのです。

今後、韓国経済がデフレになり、デフレが進化していけばとんでもないことになります。それこそ、赤化どころか、北に統一すべきという過激な意見も出てくる可能性も高いです。

そのようなことを防ぐためにも、韓国は速やかに金融緩和に踏み切るべきです。これは、安全保障の観点からも、日米は韓国に強力に迫るべきです。そうして、金融緩和が功を奏するまでには、タイムラグがあります。だから、日米はしばらく、韓国に緩和を迫り続けるべきです。安全保障は武力だけで成就できるわけではありません。今の韓国では、強力な金融緩和を実行することが、安全保障につながることになるのは確かです。

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