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2018年7月10日火曜日

トランプ米大統領、最高裁判事に保守派のカバノー氏指名―【私の論評】実は平時に世界最弱の権力者米大統領の権限強化に動くトランプ大統領(゚д゚)!

トランプ米大統領、最高裁判事に保守派のカバノー氏指名

トランプ米大統領は9日、最高裁判事候補に保守派の連邦高裁判事、ブレット・カバノー氏を指名した。

トランプ米大統領は、最高裁判事候補に保守派の連邦高裁判事、ブレット・カバノー氏(左)を指名

6月27日に退任を表明したアンソニー・ケネディ判事の後任となる。ケネディ氏は7月31日付で引退する。

53歳のカバノー氏を指名することで、トランプ大統領は最高裁での保守派優位を長年にわたり守る狙いがあるとみられる。トランプ大統領による最高裁判事指名は2人目で、昨年には保守派のニール・ゴーサッチ氏を指名している。

カバノー氏は共和党のブッシュ(子)政権下のホワイトハウスで高官を務めた後、2003年に連邦高裁判事に指名された。ただ、党派色が強すぎるとの民主党の反発で、承認まで3年を要した。



トランプ大統領はカバノー氏について「法律家の間で判事の中の判事、思想的指導者とみられている」と述べ、議会上院では「速やかな承認と超党派の強い支持」を得るべきだとの考えを示した。

上院では共和党と民主党の議席が51対49と拮抗する。ただ、共和党から造反が出なければ、民主党が承認を阻止することは困難となる。

 【私の論評】実は平時に世界最弱の権力者米大統領の権限強化に動くトランプ大統領(゚д゚)!

米国のトランプ政権の連邦最高裁人事に注目が集まっています。というのも際どい判断の雌雄を決めていた中道派判事アンソニー・ケネディ氏が引退し、任命次第では過去50年間の様々な多文化的な政策が覆されていく流れが出てくるためです。

7月9日には首都ワシントン連邦巡回区控訴裁判所のブレット・カバノー判事を指名されましたが、この人事が承認されるかどうかで、アメリカ政治・社会が一変していく可能性があります。

米国最高裁

米国最高裁は、違憲か合憲かの判断を日本の最高裁よりも積極的に行い、国の政策や社会的に重要な争点に介入する傾向があります。このため最高裁判事は、米国の政策の方向性を左右し、実質的な政治のアクターとして重要な役割を担っています。

なぜアクターになりえるのかといえば、判事の政治的傾向が極めて明確であり、憲法に基づいた司法審査(judicial review、違憲審査)も頻繁に行うためです。

高度な政治的な判断を要する争点については、司法独自の判断を控える日本などの諸国と比較すると、アメリカの裁判所は「司法積極主義」であり、国の政策や社会的に重要な争点について積極的な裁定者となる傾向があります。

最高裁判事は長官を含めて9人。トランプ政権下では保守派4人、リベラル派4人、中道派が1人でした。アメリカである程度のレベルの大学生なら、この9人の名前だけでなく、イデオロギー的傾向も言い当てることができるほど、政治に深く関与しているのが米国の最高裁判事なのです。

例えばオバマケアをめぐる2012年の最高裁判決の際には保守派のロバーツ長官がオバマケアを擁護したこともあるように、保守派やリベラル派といっても判決は判事一人一人の裁量が基本だが、それでも明らかに判決に傾向があります。

というのも、そもそも任命された過程が政治的だからです。最高裁判事は大統領が任命した後、連邦議会上院が承認します(憲法上は「助言と同意」で決めます)。つまり、大統領府と議会のバランス関係で決まってくるのです。

米国の現在の最高裁判事のうち、リベラル派の4人はいずれも民主党政権(ブライヤー、ギンズバーグがクリントン政権、ソトマイヨール、ケーガンがオバマ政権)、保守派の4人はいずれも共和党政権(トーマスがG・H・Wブッシュ政権、アリトー、ロバーツがG・Wブッシュ政権、ゴーサッチがトランプ政権)のときにいずれも任命、承認されています。

中道派のケネディは共和党のレーガン政権の1988年に任命・承認されましたが、比較的自由に裁定をする傾向で知られています。例えば、同性婚の裁判など、世論を二分する「くさび争点(wedge issue)」ではケネディがスイングボートになってきました。

この中道派のケネディ判事が81歳という高齢を理由に退任を決めました。ケネディ判事の後任として今回、カバノー氏が指名されたことで、このバランスは一気に崩れるかもしれないです。

米国最高裁判事 クリックすると拡大します

カバノー氏が指名されたのには明らかな理由があります。カバノー氏は保守派として知られており、G・W・ブッシュ元大統領から高裁判事に指名される前は、同元大統領スタッフの事務方を務めたほか、人工妊娠中絶に否定的で、環境規制の緩和を支持してきたことでも知られています。

トランプ氏の支持母体であるキリスト教福音派は、最高裁がこれまで行ってきた同性婚、妊娠中絶などについてのリベラル的な判決に強い不満を表明してきました。それもあって2016年の大統領選の期間中から、減税などの政策以上に最高裁判事の任命人事は重要な争点でした。トランプ政権を生んだ原動力は国民の3割ともいわれるこの宗教保守の結束に他ならないのです。

前のオバマ政権下では保守派4人、リベラル派4人、中道派が1人でしたが、保守派のスカリア判事が2016年2月に死亡し、保守・リベラルのバランスが崩れていました。ただ、当時は、大統領は民主党だったのですが、上院は過半数が共和党であったという「ねじれ」があったため、オバマ氏が任命した判事は上院で承認されませんでした。

トランプ氏は大統領就任後、保守派のゴーサッチ氏を任命し、上院は僅差だったのですが、同氏を承認し、リベラルと保守のバランスを保ちました(ただ、その際、上院は慣例のフィリバスター制度=少数派が多数派を止めることができる制度=の適用を最高裁判事の人事を例外にしたというルールの変更もありました)。

特筆したいのは、上述のケネディ判事以降もトランプ大統領が行う可能性がある判事任命はこれだけで終わらない点です。85歳のギンズバーグ氏や、79歳のブライヤー氏など、リベラル派の立場をとる現在の判事には高齢者が多いです。健康問題も取りざたされています。いずれも「近いうちに引退するのでは」という話も出ています。

トランプ氏の大統領任期中、さらにリベラル派から保守派への転換があれば、長期的には最高裁の判決が一気に保守化していくのは火を見るよりも明らかです。

ウォーレンが最高裁長官を務めた1950年代から60年代のいわゆる「ウォーレン・コート」(1953-1969)や、バーガーが最高裁を勤めた「バーガーコート」(1969-1986)においては、最高裁の9人の裁判官の多くが政治的にはリベラル派であり、最高裁は様々な判決で連邦政府による積極的な社会改革を先導していきました。

南部諸州の人種分離法に違憲判決を下し、公民権法制定への起爆剤となった「ブラウン対教育委員会」判決(1954年)、被疑者の人権を確保する「ミランダ対アリゾナ判決」(1966年)、人工妊娠中絶を合法化させた「ロウ対ウェード」判決(1973年)など、枚挙にいとまがありません。

一方、1980年代後半から2005年まで最高裁長官を務めたレンキスト長官の時代(「レンキスト・コート」)、そして、2005年から現在までのロバーツ長官の時代(「ロバーツ・コート」)には、保守派の裁判官の数が次第に増え、リベラル派と保守派の裁判官の数が拮抗しながらも、比較的保守的な判決が増えるようになってきました。 トランプ政権が導入した複数のイスラム圏からの入国規制措置を支持する判決を6月末に下したのは象徴的です。

この延長線上に今後の司法があります。

最高裁判事で保守の勢力が強まれば、これまでのリベラルな政策が訴訟を通じて覆される可能性があります。具体的には、上述の「ロウ対ウェード」判決以来認められてきた妊娠中絶や、2015年の最高裁判決で合法化されている同性婚の容認、医療保険制度改革(オバマケア)などが争点になってくるでしょう。

妊娠中絶などの問題で女性の権利よりもキリスト教的な生命倫理を大切にすることを意味し、キリスト教的な倫理観の地域性を重視し、連邦政府ではなく州レベルの裁定を支持する「州権主義」も顕著になるとみられます。今後同性婚だけでなく、人工妊娠中絶が一部の州では非合法となる可能性すらことがかなり現実味を帯びてきました。

「小さな政府」を好む共和党の意向を受けて、政府の経済や社会活動に関する介入を控える動きが顕著になるとみられます。連邦から州への権限委譲や、企業に対して規制緩和を進める政策が認められることも考えられます。言葉を変えれば、規制緩和や小さな政府などの政策には追い風です。

アメリカの最高裁判事の場合、地位の安定の保障のために、引退や議会で罷免されない以外は「善い行いをしている間は職務につくことができます("shall hold their offices during good behavior")」。つまり、終身制です。日本のような国民審査もありません。一度就任した判事は30年以上勤める場合が多いです。トランプ大統領は45代だが、ロバーツ長官は17代です。

終身制のため、かなり長期的にアメリカ社会を変える可能性があります。これはトランプ大統領にとっては自分の政治的遺産を長く残すことができることを意味します。トランプ大統領にとっては、自分の任期を大きく超え、最高裁を通じた永続的な「保守革命」を達成できる機会でもあるのです。

これに対して、過去50年間の様々な多文化的な政策が覆されていくのは不可避であると憂慮するリベラル派も少なくないです。そもそも連邦政府を改革するために公民権運動に代表されるような市民運動などの政治活動の第一歩として、裁判闘争戦術が採用されてきたのですが、これも難しくなるでしょう。

それにしても、なぜトランプ大統領がこのような行動をとるのか、日本と米国では制度が異なるので、理解しにくい面があると思われますので、以下に簡単に解説します。

平時においては、極端に厳格な三権分立が障害となり、米国大統領にはほとんど権限がありません。それどころか、その結果として平時には司法が最も強力になるという歪な構造になっています。司法が強いというアメリカの特殊事情は、アメリカ映画などご覧になっていれば、いわゆる「司法取引」が頻繁に行われていて日本とは異なることでもお分かりになると思います。

これは、以下の図をご覧いただければ、良くお分かりになると思います。

米国完璧な三権分立と、イギリス・日本の議院内閣制度の非核

米国ではがんじがらめの三権分立で大統領の権限を著しく弱めている

アメリカは、完全な三権分立となっており、日本のように議会と内閣が協力関係にはありせん。これが、平時のアメリカ大統領の権限を極端に弱くしています。これは日本ではなかなか理解しがたいところだと思います。なぜなら、多くの日本人には、戦中終戦直後の米国の強力な権限のある大統領のイメージがあるからです。

しかし、同じ大統領であっても、平時と戦争時において米国の大統領の権限は大きく異ることを理解しなければ、米国の大統領の権限について理解でないです。米国では、戦争権限法により議会が大統領の戦争遂行を認めると、大きな権限が大統領に集中するようになっています。

これに関しては、さらに以下の動画を参照していただれれば、良くご理解いただけるものと思います。この動画は2015/06/04 に公開されたものです。



もともと、このように平時では権限がかなり制限されているのが、米国大統領なのです。だからこそ、トランプ大統領はこれから先様々な課題に挑戦していく上でも、最高裁の保守化を何としてもすすめたいと考えているのです。

私自身は、米国の厳格な三権分立に基づいた、司法制度はいずれ改めるべきとは思いますが、それにしてもすぐには変えることはできませんから、トランプ大統領上記のような行動をとるのは当然のことと考えます。

特に中国との対決は、軍事にはよらず、貿易戦争や金融制裁によって行われることになるでしょう。米国ではドラゴンスレイヤー(対中強硬派)でさえも、中国と直接軍事対決することは現実的ではないとしています。

そうなると、トランプ政権が中国と対決する際に、最高裁が最大の障害となる可能性もあるわけてす。トランプ大統領としては、それだけは避けたいと考えているのだと思います。

アメリカの政治や社会を一変させる可能性がある最高裁判事人事は今後、どうなるのでしょうか。カバノー氏に続く、トランプ大統領の任命、さらには承認を進める上院の動きが大きく注目されます。

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2018年1月18日木曜日

“フェイクニュース大賞” 米大統領が発表―【私の論評】日本のマスコミによる米国報道は間違いだらけ!話1/5くらいで受け止めよ(゚д゚)!

“フェイクニュース大賞” 米大統領が発表



就任から1年となるアメリカのトランプ大統領は、うそだったと見なしたニューヨーク・タイムズやABCテレビなどの報道を“フェイクニュース大賞”と称して発表し、メディアとの対立が深まっています。

今月20日で就任から1年となるトランプ大統領は17日、ツイッターを通じ、“フェイクニュース大賞”と称して、自身がうそだったと見なした報道を発表しました。

“大賞”には11の報道が選ばれていて、トップには、おととしの大統領選挙でトランプ氏が勝利した際、「これで経済は決して回復しない」とする経済学者の見解を報じた有力紙のニューヨーク・タイムズの報道を挙げています。

そして、2つ目には、先月、いわゆる「ロシア疑惑」をめぐりトランプ大統領とロシアとの関わりを伝え、内容に誤りがあったとして担当した記者が停職処分になったABCテレビの報道を選び、これによって株価が急落したと批判しています。

さらに、トランプ大統領が去年日本を訪れた際、迎賓館でこいが飼育されている池に、木箱に残っていた餌をすべて投げ入れる様子を報じたCNNテレビの編集を挙げ、過剰な餌のやり方に見せているが、安倍総理大臣にならっただけだと反論しています。

また、有力紙のワシントン・ポストなどの報道も“大賞”に選んだほか、最後には、ロシアとの共謀をめぐる報道を挙げ、「最大のでっちあげで、共謀はない」と主張しています。

そして、「偏向し、不公正な報道やフェイクニュースの1年だった」と回顧し、トランプ大統領としては、みずからに批判的なメディアに圧力をかける狙いがあると見られます。

これに対し、メディア側は「報道の信頼をおとしめる攻撃だ」などと反発していて、対立がさらに深まっています。
11の“大賞” 「授賞理由」とトランプ氏の「反論」
トランプ大統領が選んだ11の報道。トランプ氏はみずからの言い分や反論も記しています。

【ニューヨーク・タイムズに】
おととしの大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン教授が「これで経済は決して回復しない」とした見解を掲載した報道。

大統領就任以来、アメリカ経済は200万人近い雇用を創出し、8兆ドル以上の富を獲得している。

黒人やヒスパニック系の市民は歴史上で過去最低の失業率を享受している。

【ABCテレビに】
先月、いわゆるロシア疑惑をめぐり、トランプ大統領がフリン前大統領補佐官にロシア側と接触するように指示したと報じた内容について、接触を指示した時期に誤りがあったとして担当した記者が停職処分になったことと、これによって株価が急落したことについて。

【CNNテレビに】
大統領選挙の期間中、内部告発サイト、ウィキリークスからハッキングされた資料を、当時のトランプ候補と長男のジュニア氏が入手したという報道。

【雑誌「タイム」に】
トランプ大統領が大統領の執務室からキング牧師の胸像を撤去したという報道。

【ワシントン・ポストに】
フロリダ州で開かれたトランプ大統領の集会にほとんど人が集まっていなかったとするツイッターの写真を載せたこと。

大勢の人が会場の外でこれから入ろうとするところで、中に入れない人もいるほどだった。

不誠実な記者が、人がいっぱいになる前の写真を掲載した。

【CNNテレビに】
トランプ大統領が去年、日本を訪れた際、迎賓館でこいが飼育されている池に木箱の餌をすべて投げ入れた映像の編集。

過剰な餌のやり方に見せているが、先に餌をすべて投げ入れた安倍総理大臣にならっただけだ。

【CNNテレビに】
トランプ政権の元広報責任者のスカラムッチ氏がロシア側と接触していたという報道で、編集のプロセスが守られていなかったとして担当した3人の記者が辞職したことについて。

【週刊誌「ニューズウィーク」に】
ポーランドの大統領夫人がトランプ大統領と握手をしなかったという報道。
握手をしている写真を公開。

【CNNテレビに】
トランプ大統領がロシア疑惑をめぐる捜査の対象になっていないとする主張に対して、FBIのコミー前長官が議会の公聴会で異議をとなえる見通しとする報道。

【ニューヨーク・タイムズに】
トランプ大統領が気候変動に関する報告書を隠蔽していたとする報道。

【ロシアとの共謀をめぐる報道】
ロシアと共謀したとする報道はアメリカ国民に対する最大のでっちあげ。
ロシアとの共謀はない!

このように11の項目を “フェイクニュース大賞” として並べ、メディアは90%の時間をトランプ大統領のネガティブな報道かフェイクニュースに費やしているものの、トランプ大統領は就任からおよそ1年の間に多くの成果を出している、と強調しました。

共和党議員が「恥ずべきこと」大統領を批判

与党・共和党のフレイク上院議員は17日、本会議場で演説し、トランプ大統領がメディアを「人々の敵だ」と主張していると指摘し、旧ソビエトの指導者のスターリンを引き合いに出して、「恥ずべきことだ。事実に忠実でなければ民主主義は続かない」と述べ、厳しく批判しました。

おひざ元の共和党からも、メディアとの対立を懸念する声が上がっていることについてホワイトハウスのサンダース報道官は17日の記者会見で、「われわれは日々、メディアを歓迎し、質問を受けている。トランプ大統領もそうだ」と反論しました。

CNN記者がトランプ大統領を非難

アメリカの首都ワシントンでは17日、トランプ政権を取材する記者らが参加したシンポジウムが開かれました。

この中で、ホワイトハウスを担当するCNNテレビのアコスタ記者は「トランプ大統領はわれわれをフェイクニュースと呼び、報道に対する信頼をおとしめている。大統領としてふさわしくない対応をしており、容認すべきでない」と非難しました。そのうえで、「われわれの行動指針は真実を伝えることだ。大統領が誰であれ、われわれをなんと呼ぼうが、それがわれわれの仕事だ」と強調しました。

シンポジウムを聴きに来た男性はNHKの取材に対し、トランプ大統領が“フェイクニュース大賞”を発表したことについて「報道の自由は憲法で保障されており、政治家を追及するのは報道機関の責務だ。トランプ大統領が憲法を尊重していない証拠であり、不必要にメディアと敵対的な関係をつくることは憲法の価値に反する」と話していました。
トランプ大統領ツイッター「いいニュースもある」トランプ大統領は17日、ツイッターに「非常に腐敗し不誠実な報道があるが、私が尊敬するすばらしい記者もいるし、アメリカ国民が誇りに思ういいニュースもある」と書き込みました。

今回の“フェイクニュース大賞”には、トランプ大統領が日頃、評価するFOXテレビは入っておらず、そうした報道を指しているものと見られます。

批判とひいき メディアで一線

トランプ大統領は、ツイッターを通じてアメリカの主要メディアの報道を「フェイクニュース」と呼んで繰り返し攻撃してきました。

トランプ大統領のツイッターをモニターしているウェブサイトによりますと、トランプ大統領が就任以降、今月17日までに投稿した2600回のツイートのうち、「フェイクニュース」と書き込んだ回数は186回に及んだということです。

さらに、ツイッターに主要メディアの名前を名指しで書き込んだ回数は、ニューヨークタイムズが38回、CNNが34回、NBCが31回で、その多くが批判でした。

一方、トランプ大統領がこうした主要メディアと一線を画してツイッターでも特別扱いしているメディアが保守系のテレビ局FOXです。

トランプ大統領は、これまでにツイッターで174回、FOXやその番組について投稿していますが、批判したことはなく、去年11月のツイッターでは「FOXニュースはCNNよりもはるかに重要だ」とか、「FOXを除くテレビ局の間で最も不誠実で不正確な放送をしている局がどこか、コンテストを開催すべきだ」と投稿するなど、FOXをひいきにする姿勢を明確にしています。

政治家の発言確認団体「大統領こそ間違い多い」

一方、政治家の発言の真偽を確認する団体「ポリティファクト」のアンジー・ホラン編集長は、トランプ大統領の発言こそ間違いが多いと指摘しています。

ホラン編集長はNHKのインタビューで、「トランプ大統領は、頻繁に不正確で誇張した話をする。私たちが調べた彼の発言のうち、およそ70%に間違いがあり、選挙期間中とほぼ同じ割合だった。大統領になれば、冷静になってもっと正確に話すのではないかと見られていたが変わっていないようだ」と述べました。

さらに「特にツイッターに頻繁に不正確やうその情報が含まれている。準備されたスピーチは、側近が内容をチェックできるが、ツイッターは自分で思いついたことを書き込んでいるようだ」と分析しました。

また、ホラン編集長は「大統領は時折、発言内容を変えるほか、同じスピーチの中で矛盾する発言もするので、発言の趣旨を確認するのが非常に難しい」と述べました。

「ポリティファクト」は、先月、去年2017年の最大のうそ=「ライ・オブ・ザ・イヤー」にトランプ大統領がおととしの大統領選挙にロシアが干渉したことを認めず、作り話だなどと発言したことを選んでいます。

【私の論評】日本のマスコミによる米国報道は間違いだらけ!話1/5くらいで受け止めよ(゚д゚)!

米国のマスコミのニュースは確かにフェイクが満載です。上のトランプ大統領がフェイクであると主張するニュースのほとんとは妥当だと思います。

一例だけ具体的に解説しておきます。一番最初の【ニューヨーク・タイムズに】の項目で、おととしの大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン教授の見解です。

ポール・クルーグマン氏
クルーグマン氏は、トランプ氏が空調大手キャリア社のメキシコ移転を阻止したことに関して、ニューヨーク・タイムズに反論を展開していました。
巨大な経済の中で、本件の雇用数は1000人ほどに過ぎない。これを毎週一回実行しても、オバマ大統領が自動車産業救済で創出した雇用数を達成するには30年かかる。同様に、製造業が2000年以来失った雇用を取り戻すには、1世紀かかる。
これは、トランプ氏が選挙運動中に語ったことをもとに、クルーグマン氏が語ったことであり、これは事実です。確かに、空調大手キャリア社のメキシコ移転を阻止したとしても、それによって維持された雇用は1000人程度のものです。そうして、これはトランプ氏が選挙遊説中に語ったことをもと言っているだけで、この時点ではトランプ政権の具体的な経済政策が出ていない段階です。その後出されたトランプ氏の経済対策については、まとも論評しています。

アメリカのアカデミズムの世界はほとんどがリベラル派です。クルーグマン氏もリベラル派です。選挙直後に意見を求められれば、当然のことながらこのようなコメントになるものと思います。

これは、トランプ氏を批判するために、ニューヨーク・タイムズが著名な経済学者の発言を都合良くトランプ氏を貶めるために印象操作に利用したと言っても良いです。

他のニュースも似たり寄ったりで、私自身はここに掲載されているものは、すべてトランプ氏を貶めるためのフェイクと断定しても良いものと思います。

トランプ大統領は、なぜ米国のメディアにこれほどまでに攻撃されるのしょうか、その理由はこのブログにも何度か掲載してきました。以下に再度まとめておきます。

トランプ大統領
それは、トランプがキリスト教や道徳を重んじ、強い軍隊を支持し、頑張った人が報われる社会を願う保守主義の考え方の持ち主だからです。

日本ではほとんど知られていませんが、アメリカの大手新聞は、日本で言えば朝日新聞や赤旗といったサヨク・リベラル系ばかりで、産経新聞のような保守系の全国紙は存在しません。

ここでいうサヨク・リベラル系とは、道徳を毛嫌いし、企業は国民を酷使し搾取する存在だと決めつけ、保守派をファシストだと非難し、自分たちこそ人道的で理想主義的だと思い込んでいる人たちのことです。

テレビも同様です。世界的に有名なCNNに対して「コミュニスト(共産主義)・ニュース・ネットワーク」と揶揄する保守派もいるぐらいで、アメリカのマスコミの偏向ぶりは、日本以上にひどいと言っていいです。


日本のテレビも新聞も、アメリカのそのようなサヨク偏向のテレビや新聞の論調をそのまま紹介していますから、「サヨク・リベラルから見たアメリカ」ばかりが日本で報じられることになります。

こうした基本的な「構図」を知らずに、アメリカのサヨク偏向報道を真に受けて、「アメリカを再び偉大な国にしようと主張するトランプは、粗暴な人種差別主義者だ」と思い込んでしまっている日本人も多いようです。

だが、ちょっと待って欲しい。(ブログ管理人注:朝日新聞が良く使うフレーズです(笑))

安倍政権反対の意見こそが日本の世論であるかのごとく報じる朝日新聞や赤旗ばかりを読んでいて、日本の政治の実情を理解できるでしょうか。

朝日新聞などが連日、安倍政権を批判していますが、安倍政権の支持率は上がる一方ではありませんか。昨年は、朝日新聞などの森友・加計批判で一時は、支持率が落ちましたが、衆院選が終わって蓋をあけてみれば、安倍政権の議席数は変わらずで、野党は惨敗しました。

はっきり言いますが、アメリカのサヨク偏向マスコミと、それをそのまま紹介する日本のマスコミ報道を見ているだけでは、トランプ政権のことも、アメリカの実情も正確にする理解することは難しいです。

サヨク・リベラル系のマスコミが長年米国を牛耳ってきたため、本来は米国には昔から少なくても人口の半分は存在した保守層の意見などはかき消されてきたのです。しかし、一昨年の大統領選挙で、この事実が白日のもとに晒されたのです。

もし、米国の人口の約半分が保守層でなれければ、トランプ大統領が誕生したその理由が説明できません。米国のテレビやマスコミをみると、そこで流布されているのは、「サヨク・リベラル」の価値観やものの考え方ばかりであるため、これだけを見ていては米国の半分しか見ていないことになります。

私たちは、半分の米国には詳しかったのですが、これからはもう半分の米国も見ていく必要があります。そうしないと、米国の実態を見誤ることになります。実際、大統領選挙では日米の両メデイアも最後の最後まで、ヒラリー・クリントン優勢としていたにもかかわず、実際にはトランプ氏が大統領になり、このことが実証されました。

ヒラリー・クリントン大統領は誕生しなかった
トランプがアメリカ国民から支持されているのは、それなりに理由があります。その理由を正確に説明しないマスコミこそが米国内や国際社会を混乱に陥れているのです。

日本のマスコミや識者も様々なフェイクを発信しています。

金融緩和をするとハイパーインフレになり国債は暴落する。消費増税の日本経済への影響は軽微。このままだと、財政破綻するとか、財政危機に陥る。森友・加計問題で、総理の関与や総理のご意向があった。地下水検査の結果から豊洲は危険である等々。フェイクニュースはこの他にも、まだまだ数多く存在します。

このようなフェイクニュースを発信する日本のメディアが、こと米国に関しては正しく報道できると考えるほうがおかしいです。

日本のマスコミによる米国報道は話半分、いやそれでは駄目です、話1/5くらいで受け止めるくらいが良いと思います。もし事実を知りたいというのなら、そこで終わらせることなく、発信している人の立場を知ったり、他のソースをあたってみたり、推移を見てから、事実を見極めるべきです。

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2017年7月11日火曜日

青山繁晴が怒濤の攻撃ラッシュで前川喜平を追い詰める―【私の論評】加計は、大東亜戦争直後に米大統領が勝利のため不正な対日工作をしたというに等しい大フェイク(゚д゚)!

青山繁晴が怒濤の攻撃ラッシュで前川喜平を追い詰める

加計学園問題についてここに来て自民党が巻き返しを図っている。これまでは疑惑を否定するのみで防戦一方だったが、攻撃を仕掛け始めた。

青山繁晴氏の理路整然とした攻撃ラッシュ!



(1)青山繁晴氏による時系列の整理。

新しい需要が獣医師にあるのかないのか、文部科学省に挙証責任が発生。締切を2016年3月31日として説明する責任が生まれた→文部科学省は締切までにできなかった→これを見てか、京都産業大学が名乗りをあげた→安倍政権は文部科学省の敗北とはせず、半年伸ばしてあげた→文部科学省の課長補佐が戦略特区のワーキンググループで「挙証責任はそちらにある」ととんでもなく勘違いした失言をしてしまう→即座に「挙証責任がひっくり返っている」と言い返される(議事録10ページ目)→文部科学省は反論なし→ここで議論は決着がついた(はずだったのに文部科学省は後からごねだした)

(2)総理のご意向と記されたメモ(内部文書)はおかしい。課長級(今回は課長補佐)の交渉で決着したことに改めて内閣総理大臣が口を出すのは行政の現場からしたら信じられないこと。外務省や防衛相の知り合い全てに聞いてもみんなが「あり得ない」と言っていた。

(3)獣医師会の蔵内勇夫会長は西日本新聞のインタビューで「規制緩和が決まった後はせめて1校にして下さいとお願いしました」と言ってる。京都産業大学は次回以降に期待を繋ぐ形で無理をせずに矛を収めた。

(4)青山繁晴「前川さんは『獣医師不足はないから加計学園を作るのは行政を歪められた』と言ってますよね?」

前川喜平「加計学園だけ認められたプロセスが問題だと思っています」

※加戸守行前知事によると、岩盤規制となり52年間も獣医学部新設を認めなかった文部科学省こそが歪んでいる。国家戦略特区はむしろ歪みを正そうとしていた。

加戸守行前知事の証言により安倍総理が潔白であることはすでに多くの国民が納得した。悪者は既得権益にしがみついた獣医師会だったのだ。そして前川喜平氏をはじめとし、文部科学省や民進党、マスコミが結託して誤った事実認識で安倍政権をバッシングしていた。

改めて事実関係を整理してみれば、ここで前川喜平氏が答えられない都合の悪い質問が出てくるのは当然だろう。

参考:「文書を流出させたのは前川さん?YESかNOかで答えて」前川喜平「回答を差し控えたい」うわあああああ

果敢に攻撃を仕掛けた青山繁晴氏は非常にいい仕事をした。もともと一方的に政府を攻撃していた前川喜平氏はいつの間にか自分が防御する立場になっていた。国民はすでに前川喜平氏を疑いの目で見ている。

【私の論評】加計は、大東亜戦争直後に米大統領が勝利のため不正な対日工作をしたというに等しい大フェイク(゚д゚)!

加計問題なる問題は、もともと存在しないという明瞭な事実を青山氏は指摘しています。これは、わたしも全くそのとおりだと思います。上の記事では、これまでは疑惑を否定するのみで防戦一方だったとしていますが、何かあれば別にして、最初から何も問題がないのですから、政府が防戦一方にまわるのは当たり前といえば、当たり前です。

もし、そうではなく何か隠蔽しなければならないような問題があれば、それを払拭するために迅速に動くということもありますが、そうではないので、政府としても何も問題のない事柄にそのような備えをする必要性にも迫られず、防戦一方に回ってきたのは致し方ないのです。それをせめる人もいるようですが、それは筋違いと思います。

上の記事の「(1)青山繁晴氏による時系列の整理。」のところに出て来る、公表されている議事録については、これを含めて他の議事録と他の資料も含めてこのブログで紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化―【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、

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さて、「国家戦略特区の議事録」とはこのブログでも何度か掲載してきました。それは、おそらく以下のものだと思います。これは、以前このブログにも掲載したものですが、再掲します。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
 これらの文書を読めば、文科省はワーキンググループの時点で、完敗していることが手にとるようにわかります。

たとえば、①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録では、以下のよう牧野課長補佐の発言があります。牧野課長補佐とは、以前にもこのブログに掲載した、伝言ゲームで今回の問題で誤解が広まったその元になった文書を作成した人です。

課長補佐の牧野美穂氏(33)
○牧野課長補佐 そこまでは言っていませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関して は少なくとも今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その 上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数 までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたいというこ とでございます。 
○原委員 挙証責任がひっくり返っている。
ここで、原委員の言う「挙証責任がひっくり返っている」という発言の意味するところは、本来既存の獣医師数が足りているのか足りていないのか、あるいは新しい構想による獣医師の需要数など、本来文科省が示すべきなのに、あたかも農水省にその責任があるかのように牧野氏が述べていることに対するものです。

そうなのです。本来規制する側が、需要は足りているということを示すことをしなければならないはずです。新しく、獣医学部を設立することを認可しないというのであれば、それを誰もが納得できる形で、データに基づいた資料を提示して説明する責任があるのです。

にもかかわらず、牧野氏は農水省などにこの説明責任を転嫁しているのです。これでは、話にも何もなりません。無責任そのものですし、これでは、新設獣医学部を規制することは到底不可能です。

③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録には、以下のような浅野課長の発言がしるされています。

浅野 敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長
○浅野課長 御指摘いただいたように、もう繰り返しになりますので申し上げませんけれ ども、我々としては先ほど本間先生からも御指摘いただいたように、既存の獣医師でない 構想、獣医師養成でない構想が具体化し、かつライフサイエンスなどの獣医師が新たに対 応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、既存の大学・学部では対応困難だ ということであれば、そういったこともしっかり検討していくというつもりでございます。
○八田座長 そうであるかどうかという判定というのはもう今、進めていらっしゃるので すか。それとももう少し提案者等からのヒアリングが必要だということですか。 
 ○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかる べく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。  
○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやる から文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得な いでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するというこ とが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何も ないでしょう。
これを読むと、浅野課長は何とか新設獣医学部の設立を阻止しようとしているのですが、その根拠があまりに脆弱なので、やり込められていことが良くわかります。

以前このブログでも示したように、①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

加問題に関しては、なにやら怪文書のような公文書でもない、メモ書きのものが発見されていたり、野党やマスコミが大騒ぎするので、その本質を見失っている人も多いかもしれません。とにかくこれらのほとんどは、倒閣に結びつけようという悪意に基づくものなので、その本質はかなり見えづらいものになっています。このような、余計なアーティファクト(人工物)を取り除いて、真実を見ることが重要だと思います。
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ちなみに、①が青山繁晴氏が指摘している議事録です。②の閣議決定、③のワーキング・グループの議事録もあわせて読んでいただくと、青山繁晴氏の主張が正しいことがご理解いただけるものと思います。

閣議決定と、議事録は、公文書です。しかも一般公開されているものですから、閣議参加者、会議出席者の了承を得たものを掲載しています。文部省内のパソコンにある職員のメモ書きとは全く性質が異なるものです。どちらが、信憑性が高いかといえば、メモ書きよりも、公文書のほうがはるかに信憑性が高いです。

仮に、この問題が裁判などになった場合、公文書はそのまま証拠として提出できますが、メモ書きはそれだけでは証拠にはなりません。

これらの文書と、別の記事に掲載した以下の時系列の表を照らし合わせると、いわゆる「総理のご意向」などがあったなどとは到底考えられないです。


2016年9月16日の段階で、特区グループヒアリングが行われています。その内容は議事録にも掲載されています。その内容は、上でも示したように文部省側の完敗です。

その後に、「総理の意向」などという文言の入った、文部省内の2016年9月26日のメモ書きがでてきましたが、この内容が本当だとすると、9月16日のワーキング・グループの議事録とは完璧に矛盾します。

もうすでに、課長レベルの話し合いで、9月16日に文部省は完敗しているのに、その後に「総理のご意向」などでてくる余地などありません。総理のご意向などなくても、獣医学部新設は決まっていたのです。

この状況をたとえていうと、あまり良いたとえではないかもしれませんが、大東亜戦争直後に米大統領が対日勝利のため不正な対日工作をしたというのに等しい大フェイクです。

このような作り話で、当時の米大統領を失脚させようなどと目論んだとしても、誰が考えても無理な話です。

このようなことは、議事録を読んだり、時系列で物事を考えれば誰にでもも簡単にできることです。

しかし、マスコミも野党もこの議事録は完璧に無視しています。本当に不思議です。この議事録は誰もが読めるものであり、加計問題なるものが存在するというのなら、文部省内のメモ書きなどの文書よりも、まず最初にこれらの文書を読み内容を解析すべきです。

そうすれば、マスコミ・野党の立場にたったとしても、これは安倍政権を追求するには、あまりに筋悪であることが最初からわかったはずです。

にもかかわらず、マスコミや野党がこのような追求を今に至るまで続けるのか、全く理解に苦しみます。

なぜそうするのか、2つしか考えられません。頭が悪すぎて、読解力がないのか、悪意に満ちているかのいずれかです。

私としては、悪意に満ちていたとしても、ある程度頭が働けば、加計問題で政府を追求するのは、あまりに筋悪であることに気づき、多少は追求するとしても、やめるはずです。

ということは、マスコミも野党も頭が悪いということになりそうです。

私からすれば、字が読めないレベルなのではないかと思ってしまうほどです。無論、字は読めて、字を読んでその内容を口で発語することはできるのでしょうが、1議事録など読んでも、その意味するところが理解できないのではないかと思います。

このような症状を機能的識字というそうです。機能的非識字(きのうてきひしきじ、英語:Functional illiteracy)とは、個人が日常生活において、読み書き計算を機能的に満足に使いこなせない状態を指します。機能的文盲ともいいます。

読み書き計算を機能的に使いこなせる状態である機能的識字、機能的リテラシー(Functional literacy)と対義語的に用いられます。これに対して、簡単な読み書きや計算のみできる状態を識字、ごく簡単な文章の読み書きや計算もできない状態は非識字、といいます。

非識字者は、読み書きが全くできません。これとは対照的に、機能的非識字者は、母語における読み書きの基本的な識字能力は有していながら、さまざまな段階の文法的正確さや文体などが水準に及ばないのです。

つまり、機能的非識字の成人は、印刷物に直面しても、現代社会において機能する行動ができないし、たとえば 履歴書を書く、法的な契約書を理解する、指示を書面から理解する、新聞記事を読む、交通標識を読みとる、辞書を引く、バスの運行スケジュールを理解する、などの基本的な社会行動をとることができないのです。

新たな「非識字者」が増えている:Facebookを読めても、現実は理解できない人たち
機能的非識字の場合はまた、情報技術にかかわることが難しいのです。たとえばパソコンで文書作成やウェブ閲覧をしたり、表計算ソフトの利用ができない、携帯電話を効果的に使えない、などの弊害もあるそうです。

無論、メディア関係や野党の人々は、ここまで酷い機能的非識字ではないのでしょうが、それにしても、印刷物に直面しても、現代社会において、たとえばマクロ経済のまともな書籍を読んでも、それに対して機能する行動ができず、デフレのときに増税すべきなどというとんでもない記事を書いたり、報道したりするのでしょう。

あるいは、そもそも、経済記事を書いていても、マクロ経済に関する知識を得る必要性など感じず、ただただ、財務省などの発表をそのまま記事にするなどの行動に出るのだと思います。

そうして、今回の加計問題では、「総理ご意向」があるはず、なければならないはずだ、という過度の思い込みから、情報を収集するため、本来まともに読めば、理解できるはずのものを理解できない状況に陥っているのだと思います。

こんなこと長年続けていれば、最初は頭の良かった人も悪くなってしまうと思います。

だから、このようなはっきりとした大フェイクに未だにしがみついているのだと思います。このような報道をされたり、国会での論議を見せつけられる視聴者はたまったものではありません。

私のように、当初から議事録などの情報にあたった側からすると、現在のいわゆる加計問題の野党による追求や、マスコミの報道は、非常に腹立たしいです。ただし、最初はそうだったのですが、最近では腹立たしさなど通り過ぎて、虚脱感すら感じます。

そうでない人にとっても、マスコミの報道や野党の追求をみていても、元々何も問題のないものに関して、問題ありとしているわけですから、かなり無理があり、最初のうちは注目を浴びても、その後はかなりの消化不良気味な状況にあると思います。

野党やマスコミ、こんなことを続けていると、多くの人から完璧に飽きられてしまうか、フェイクであることを見破られ、怒りを買い、視聴率や支持率などをかなり下げてしまうことになるでしょう。

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2013年6月15日土曜日

日本へ脅迫、見過ごせず…米大統領が中国けん制―【私の論評】米中一体化は習近平の妄想にすぎない!!第二のニクソンショックはないのに日中一体化と騒ぐ日本のマスコミこれいかに(゚д゚)!

日本へ脅迫、見過ごせず…米大統領が中国けん制

読売新聞 6月14日(金)21時38分配信

習とオバマの会談
米国で7、8両日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題の「棚上げ」に言及したのに対し、オバマ米大統領が尖閣周辺海域における中国公船の領海侵入を念頭に、「同盟国である日本が中国に脅迫されることを見過ごすことはできない」とけん制していたことが分かった。

日本政府筋が14日明らかにした。

習氏は会談で、尖閣の領有権を主張する中国政府の立場を説明した上で、日中対立の長期化を避けるため、「日中が問題を棚上げするべきだ」との考えを強調したという。日中対立悪化を望んでいない米国が日本に棚上げを求めれば、日本も応じざるを得ないとの判断が働いたとみられる。だが、オバマ氏はこれに乗らなかった。

【私の論評】米中一体化は習近平の妄想にすぎない!!第二のニクソンショックはないのに日中一体化と騒ぐ日本のマスコミこれいかに(゚д゚)!

 習近平は、オバマ大統領の会談のしょっぱなから、太平洋は米中で共同管理などと誇大妄想狂的なはなしからはじめたようですが、これは全く習近平の妄想にすぎません。そうして、米中一体化も習の妄想にすぎません。

なのに、マスコミの中には、米中一体化を懸念して、今回の習・オバマの会談について、あたかも米中一体化のはじまり、第二のニクソンショックのように喧伝するものもありました。

後にニクソンショックと呼ばれたニクソン、毛沢東会談

1971年7月、ニクソン大統領は日本に事前通告せず、突然中華人民共和国訪問を発表しまた。これがいわゆる「ニクソンショック」です。それまで、アメリカは日本に対して台湾指示を要求していました。しかし、日本の頭越しに全く食い違う方向に行動したのです。日本では“アメリカが裏切った”という不満が噴出しました。これにより、佐藤栄作政権は弱体化しました。当時、このアメリカの動きに坂本重太郎氏は気づいていました。

ニクソン大統領はベトナム戦争を集結させるために中国と接触しようとしたのだといわています。しかし当時の風潮から坂本氏の見解は受け入れられなかったようです。

1973年、米軍はベトナムから撤退した。先日行われた米中首脳会談で習近平国家主席が述べた「米中両国の首脳の戦略家としての勇気と知恵」というのは、「自国の利益を一番重視して行動する」という意味だったようです。坂本氏は「第二のニクソンショックはありえる」と断言しました。孫崎享氏は以前のニクソンショックよりも深刻だと述べました。今年3月、ドニロン大統領補佐官は「中国を封じ込める人がいるが、これについて私たちは拒否する」と述べていた。前駐米大使の藤崎一郎氏はそんなに日本は慌てる必要はないと見ています。



そうして、多くのマスコミが、今回のオバマ・習会談が実りの大きいように報道し、あたかも米中一体化が進んでいるかの印象を与えました。

しかし、そんなことはないということが、上の記事で明らかになったと思います。そうして、上の記事だけではなく、様々なソースからこのことは裏付けられています。

まず第一に、本日はこのようなニュースも入っています。
日米共同訓練:オスプレイが海自艦船に初めて発着艦
【サンディエゴ(米西部カリフォルニア州)西田進一郎】米軍と陸海空3自衛隊による離島防衛・奪還の共同訓練が14日朝(日本時間同日深夜)、カリフォルニア州で本格的に始まった。海上自衛隊の艦船に米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが初めて発着艦し、人道支援・災害救助などの訓練を実施した。訓練は報道陣に公開され、オスプレイの安全性と日米の一体的な運用能力をアピールした。
習・オバマ会談のすぐ後から、島嶼防衛に関する日米の共同演習が始まり、その直後にオスプレイが日本の空母と言っても良いような、護衛艦に初着艦です。これは、快挙と言って良いと思います。

第二に以下のようなものもあります。
新華社記者の質問に失笑も… 米中首脳会談“冷めた”米メディア

【ワシントン=佐々木類】7、8両日に行われた米中首脳会談では、“2大パワー”による協力関係を強調した中国の習近平国家主席に対し、オバマ米大統領は「日本は米国の同盟国」と明言して、習主席を牽制(けんせい)したとされる。サイバー攻撃や海洋安保問題などで解決への進展がみられなかった会談に対して米国内では冷めた見方が目立った。
 米大手シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ(AEI)」のマイケル・オースリン研究員は「信じられないほど縮みゆく米中関係」と題した論文を米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した。

オースリン氏は、「中国のいう“新型大国関係”とは、大きな問題で米国は中国の協力を得られず、米中関係を安定させるため小さな問題に焦点を当てるものだ」と分析してみせた。
 米紙ワシントン・ポストは、「記者会見で新華社の記者が、習氏のいう『新型大国関係』に関するできレースの質問をした際、日米双方の記者から失笑がもれた」と報じている。

米メディアの冷ややかな反応は、中国のサイバー攻撃や為替操作による不公正貿易、海洋安全保障など重要課題で実質的な進展がなかったためとみられる。

G2(米中2国による枠組み)論が力を持ち、歓迎ムードが散見された2011年1月の胡錦濤前国家主席の訪米時に比べ、為替操作疑惑やサイバー攻撃が発覚した現在、米メディアの見方はかなり厳しく変わってきたようだ。
やはり、以前このブログで私が述べたことの正しさが裏付けられたものと思います。その記事のURLを以下に掲載します。

【スクープ最前線】中国、米に“土下座” 尖閣上陸「3時間でいい」と懇願―【私の論評】これが事実だとすれば、中国はかなり危ない状況にあるとみるべき!!習近平はラストエンペラーとなるか【8】

 この記事では、習がオバマ大統領に、列島上陸の許可を願い出るであろうことを掲載しましたが、これについては、本当にそうしたかどうかは、永遠にわからないことだと思います。しかし、ブログ冒頭の記事で、オバマ大統領は尖閣問題棚上げには同意しなかったということが掲載されていることから、列島上陸懇願もあり得たものと思います。

アメリカの過去の大統領には信じられないほど馬鹿な大統領もいましたが、オバマはさほど馬鹿ではないということかもしれません。

オバマ米政権も市民の通話履歴やネット上の情報を収集していると中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏(29)が暴露したという事件が最近ありましたが、そんなことは当たり前のことであり、たまたま暴露した人間が出たということで、やはりオバマもまともなところは、まともです。

まともであれば、台頭する中国という国がアジアにあれば、それに拮抗する日本という国とも関係を強化するというのが当然のやり方だと思います。パワーオブバランスという考え方からすれば、それがまともなやり方です。  

それにしても、マスコミこのような背景は説明せず、米中一体化の脅威を煽るばかりです。無論、日本としては、米中関係に関しては、注視していかなければならないことは確かですが、冷静に見つめていくことが肝要です。今の段階では、米中一体化は習の妄想にすぎないと私は思います。皆さんは、どう思われますか?

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中国巨大な壁にぶちあたる【China Hits A Great Wall】―この記事の内容は、このブログでも再三掲載したことであり驚くには値しない!!

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