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2019年12月3日火曜日

政府が約160億円で「馬毛島」買収合意を発表―【私の論評】馬毛島の整備によって、日米のアジアでの存在感がさらに高まる(゚д゚)!

政府が約160億円で「馬毛島」買収合意を発表

馬毛島

 菅官房長官は12月2日、米空母艦載機の着陸訓練(FCLP)の移転候補地だった鹿児島県西之表市の馬毛島(まげしま)の地権者との間で買収合意に至ったことを会見で明らかにした。11月29日、地権者と買収価格約160億円で一定の合意に達したという。

東京商工リサーチ(TSR)は11月22日にWeb、本誌では25日号に、政府と地権者との馬毛島買収が大詰めを迎えたことをいち早く報じたが、政府が買収合意を正式に発表した。



菅官房長官は12月2日の会見で、「米空母艦載機着陸訓練、施設の確保は安全保障上の重要な課題であり、早期に恒久的な施設を整備できるよう引き続き取り組む」とコメントした。

地元の理解については、「米空母艦載機の着陸訓練施設などの確保にあたり、地元の理解と協力が極めて大事」と語り、丁寧に説明していく意向を示した。


馬毛島で滑走路工事を見る、タストン・エアポート(株)の立石会長

 馬毛島は開発会社のタストン・エアポート(株)(TSR企業コード:942045602、世田谷区)が所有し、政府との間で売却交渉が続けられていた。今年1月に仮契約を結んだが、タストン・エアポートの社長交代など社内の意見がまとまらず、5月に交渉が打ち切られていた。その後、タストン・エアポートやグループの立石建設(株)(TSR企業コード:290199727、世田谷区)の資金繰りが悪化し、早期売却に向け10月下旬から売却交渉が加速していた。

【私の論評】馬毛島の整備によって、日米のアジアでの存在感がさらに高まる(゚д゚)!

馬毛島は、鹿児島市から南へ115キロ、種子島から西へ12キロのところにあります。以前は、うっそうとした森林に覆われ、動物による豊かな世界が広がっていました。

ところが、1980年代以降、この島に対しては自衛隊が関心を抱いています。自衛隊は過去に、大出力のレーダー設備や石油製品の貯蔵施設、放射性廃棄物の保管施設を同島に配置することを提案。これらの計画が実現されることはありませんでしたが、島に向けられた関心は保たれてきました。

馬毛島は2007年までに、開発会社「タストン・エアポート」(旧・馬毛島開発)が完全に所有するようになりました。この時までのかなり以前に、地元の島民は既に島を去っていました。

同社は2006~2012年、島にあった森林170ヘクタールを伐採し(2002年の時点で、島には441ヘクタールの森林がありました)、2本の巨大な滑走路を建設しました。これらの滑走路は島を南から北へ、また西から東へ、岸から岸まで横断しています。森林は、島の南部ではほとんど完全に伐採され、北部では幅の広い林道が敷設されています。

2009年には、沖縄の普天間基地を馬毛島に移転させることが想定されました。ところが、米側は何らかの理由で満足せず、この提案を拒否しました。

今度は、島を米日共同訓練のための訓練場に変貌させるとの決定が承認されました。まず第1に念頭に置かれているのは、パラシュート降下あるいは航空機の強行着陸によって地上に部隊を展開させる空挺作戦の訓練です。沖縄におけるこのような訓練の実施は、抗議に直面するようになっているため、この目的のためには無人島の方がはるかに良いです。

馬毛島には現在、既に準備が終わった着陸場が複数あります。比較的最近の複数の衛星写真から判断すると、島にある2本の滑走路は完成しておらず、さらにコンクリートも打たれていないようです。

また、航空部隊の基地のインフラも建設が終わってません。今のところは、この島で航空部隊の基地を設営することは不可能です。しかし、このような未舗装滑走路でも、ヘリコプターや、ティルトローター機であるオスプレイの着陸用には利用可能です。

横須賀を母校とする米軍 ワスプ級強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」

鹿児島や沖縄、さらに米海軍基地が設置されている佐世保に近い位置に馬毛島があることで、海上部隊や海兵隊の参加を伴う訓練を実施していくことが可能になっています。

同島に訓練場があれば、空爆や空挺部隊の降下、海兵隊の上陸、地上に展開した部隊への航空・海上部隊による支援、島の奥深くへの攻勢の展開、兵站任務の訓練という、地上に部隊を展開させる大規模な作戦の全要素を訓練することができます。馬毛島周辺の水域では、空母が参加する大規模な海上軍事訓練を実施することも可能です。

さらには、馬毛島が数年後に航空部隊の大規模な基地になる可能性もあります。2本の滑走路は完成する可能性があり、そうなると馬毛島は、地域全体で最大規模の航空部隊基地の1つに変貌することになります。

そのような基地は、あらゆるタイプの飛行機を受け入れることができるでしょうし、数百機の飛行機が同時に拠点を置くことができ、さらに東シナ海上空における日米両国のプレゼンスを急激に強化することになります。もし、この飛行場にF35の全ての派生型が拠点を置くことになれば、それらの戦闘行動半径は上海に達することになります。

今のところ、航空部隊基地の完成に関する決定は、見たところではまだ下されていないようです。しかし、建設を完了させる根本的な可能性は残っています。建設が完成すれば、日米の緊急のときの航空機の分散配置場の一つにもなりえます。以下に、馬毛島の今後の考えうる用途をチャートにまとめたものを掲載します。





さらに、馬毛島の取得は、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化とも無縁ではないでしょう。2018年12月に閣議決定した新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」などによって、「いずも」型の空母化と搭載機として垂直離着陸ができるF35B戦闘機を42機導入することが決まりました。

F35Bが配備される基地は未定ですが、空母化した「いずも」は南西防衛に活用することから、宮崎県の新田原(にゅうたばる)基地が有力視されています。

南西諸島に向かう空母「いずも」は海上自衛隊横須賀基地から出港し、訓練海域のある四国沖で新田原基地から飛来したF35Bを搭載。さらに南下して、馬毛島を利用した離発着訓練や対地攻撃訓練が実施されることになるでしょう。


様々な可能性を秘めている馬毛島が整備されれば、日米のアジアにおけるプレゼンスが一層高まるのは確実です。

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2019年8月16日金曜日

北朝鮮、6度目のミサイル発射 韓国との交渉打ち切りを発表―【私の論評】韓国は今のままだと米国の短中距離ミサイルの設置場になるが、それを北・中・露は恐れている(゚д゚)! 


BBC News

金正恩

韓国の軍隊は16日、北朝鮮が東岸から日本海側に向かってミサイル2基の発射実験を行ったと発表した。北朝鮮は6日前にも日本海に向けてミサイルを発射しており、この1カ月間で6回に上っている。

また北朝鮮はこの日、韓国との交渉を今後一切打ち切ると発表。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が15日に行った演説を受けたもので、交渉の失敗は「完全に韓国の責任」だとしている。

文大統領は15日、日本統治からの解放を祝う記念日の演説で、2045年までに朝鮮半島を統一すると約束した。

「この半島や東アジア、世界に平和と繁栄をもたらす新しい朝鮮半島が待っている」と文氏は強調。その上で、朝鮮半島の非核化は統一の「正念場」になるだろうと話した。

これに対し北朝鮮は声明で、協議には意味がないと反論した。北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。

声明で北朝鮮は、「韓国は今も合同軍事演習を続けている。それなのに、平和的な経済や国家について語る権利はない」と断じた。

さらに文大統領を批判し、「北と南の『対話』に言及しながら、我が軍の大部分を90日で破壊する戦争シナリオを演習している。そんなことをする(文大統領の)思考プロセスが正常か、それさえ疑わしい」、「本当に恥知らずな男だ」と述べた。

北朝鮮はかねて、現在行われている米韓合同軍事演習への怒りをあらわにしており、「戦争のリハーサルだ」と批判している。

さらに演習は、ドナルド・トランプ米大統領や文大統領と交わした協定の内容に違反するものだと主張している。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は先にトランプ氏に手紙を送っている、そこでも「馬鹿げた高額な」軍事演習への苦情が書かれていたという。

KCNAによると、北朝鮮・祖国平和統一委員会の報道官も、非核化協議が滞っているのは韓国が軍事演習の実施を決めたからだと批判。「これ以上、韓国政府と交わす言葉はない」と話した。

North Korea rejects peace talks with South Korea

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49366256

【私の論評】韓国は今のままだと米国の短中距離ミサイルの設置場になるが、それを北・中・露は恐れている(゚д゚)!

今日の韓国との交渉の打ち切りに先立ち、北朝鮮は韓国に対して生命を出しています。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は14日、韓国が、米国の中距離ミサイルの自国配備を許せば、「自ら(米国の)弾除けになって自滅の道を歩む」ことになるとする論評を配信しました。

論評はまず、米国の高高度迎撃システム「THAAD」(サード)の韓国配備に伴って起きた混乱に言及。「『THAAD』の配置によって南朝鮮の人民が得たものは戦争に対する不安と経済的被害、肉体的苦痛だけである。生の基盤を奪われた慶尚北道星州住民の恨みの声は日増しに高まっている」と指摘しました。

THAAD

ここで「経済的被害」とあるのは、THAADの強力なレーダーが北朝鮮ではなく自国に向けたものだと反発した中国が、韓国に経済制裁を加えたことを指しています。実際、これにより韓国経済が被った「実害」は、最近の日本による輸出規制の比ではありません。

論評は、米国がTHAADに加えて地上発射型の中距離ミサイルまでを韓国に配備すれば、「地域の情勢を激化させ、極東地域で新たな冷戦と軍備競争を引き起こす」と主張しました。

また、そうなれば韓国は「米国の対朝鮮・対アジア侵略の核攻撃前哨基地に転落し、米国の軍事的制覇を絶対に許さないという周辺諸国の直接的な打撃の標的になるしかない」としながら、次のとおり中国の主張を引用しました。

「中国の『環球時報』(5日付)は論評で、中距離ミサイルは明白に攻撃用兵器だとし、日本と南朝鮮が米国の中距離ミサイル配備を受け入れれば『中国とロシアのミサイルの集中照準目標に、米国の殺気を帯びた対アジア政策の弾除けになるということをはっきり認識しなければならない』と明らかにしました。

ところで、エスパー米国防長官は今月、地上配備型の中距離ミサイルを比較的早期にアジアに配備することに前向きな姿勢を示しましたが、韓国国防省は、米国の中距離ミサイルを国内に配備する協議は行っておらず、配備を検討する計画もないと説明しています。

エスパー米国防長官

しかしこの間、韓国の文在寅政権は日本との対立解消のための仲裁をトランプ米大統領に頼むなど、米国に「おんぶにだっこ」の状態です。それでいて、米国と呼吸が合っているわけでもありません。

トランプ氏に「頼み事」をした代償は相当に高くつく可能性が高く、韓国は米国から中距離ミサイルの配備を迫られるかもしれません。北朝鮮、中露はこれを極度に恐れているのです。

韓国や日本が中距離核ミサイルを配備するということになれば、極東の軍事バランスは大幅に崩れます。

特に、北の核はその能力を半減されせらることになります。さらに、中国やロシアも極東の主要都市などは標的になります。中国は、北京も上海も標的になります。

米国にとっては、在韓米軍など大部分を撤退させ、韓国に米国の中距離短距離弾道核ミサイルを配置したほうが、経費の面でも、安全保障的観点からも良いです。

何しろ韓国ほ米国に安全保障面で頼っておきながら、中国に従属しようとし、それだけではなく、北朝鮮に接近して、南北統一を企むということを平気でする国ですから、全く当てにならないです。

それは日米にとって当にならないだけでなく、北朝鮮の金正恩にとっても同じことです。そもそも、金正恩は中国を嫌っており、結果として北朝鮮と北朝鮮の核が、中国が朝鮮半島全体に浸透することを防いでいます。

これは、米国にとっては決して悪いことではありません。最悪は、中国が朝鮮半島全体に浸透することです。

そんな当てにならない国からは、在韓米軍を撤退させ、そこに中短距離弾道核ミサイルを配置すれば、トランプ政権にとっても願ったりかなったりです。これを実行すれば、韓国は単なるミサイルの配置場になるだけです。

米国の短中距離ミサイル

おそらくトランプ氏としては、在韓米軍を引き上げるだけというのなら、このブログにも過去に何度か掲載してきたように、韓国を経済的に焦土化してから、引き上げることにしたことでしょう。

しかし、韓国が米国の短中距離ミサイルの設置場になることを認めれば、在韓米軍をひきあげても、韓国経済を焦土化することはないでしょう。

ミサイルを配置した後に、韓国が不穏な動きをすれば、米国は韓国軍を短中距離ミサイルで叩いた上で、韓国経済を焦土化し、金正恩や習近平らに、経済的にある程度発展した韓国という塩を送るということはしないでしょう。

ミサイルとはそのような兵器です。北朝鮮のミサイルは日米韓を狙っているだけではありません。これは、中国、ロシア、韓国にだって打ち込むことができるのです。

米国が韓国に中短距離ミサイルを配置したとすれば、それは北朝鮮や中国にとって脅威というだけではなく、韓国にとっても脅威なのです。

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2019年1月18日金曜日

習近平が大々的に発表した「包括的な台湾政策」―【私の論評】今年は日米が韓国から台湾に大きく軸足を移す年になる(゚д゚)!

習近平が大々的に発表した「包括的な台湾政策」

岡崎研究所 

 中国の習近平国家主席は1月2日、台湾政策に関する包括的な政策演説を行ない、台湾への「一国二制度」導入を含む5項目の方針を示した。演説の主要点は以下の通り。


 中国は統一されなければならないし、されることになるだろう。中国の統一は、70年の両岸関係の歴史の帰結であり、中華民族の偉大な復興にとり不可欠である。

 平和的な国家統一に向けた両岸の共同的な取り組みを求める。長年の懸案を世代から世代へと先送りにするわけにはいかない。

 「平和的統一」と「一国二制度」の原則は、再統一を実現するための最善のアプローチである。再統一が実現された後、中国の国家主権が確保されることを前提に、台湾の安全、発展、社会制度、生活様式は十分に尊重され、台湾同胞の私有財産、信仰、正当な権利、利益は十分に保護される。

 我々は同じ家族である。中国人は中国人と戦わない。しかし、軍事力の行使を放棄することは約束しない。必要なあらゆる選択肢を留保する。こうした措置の対象となるのは、外部勢力による干渉、ごく少数の台湾独立を掲げる分離主義者とその行動だけである。

 我々は、中台の経済協力を進める。社会的インフラを連結し、エネルギーの共同利用を行う。

 台湾の独立は歴史の趨勢に反しており行き詰まることになろう。両岸の平和的で安定的な発展、両岸関係の進展は時流に沿っており、誰にも、いかなる勢力にも止められない。

 台湾問題は中国の内政問題であり、いかなる外部の干渉も許さない。中国人の問題は中国人によって解決されるべきである。台湾問題は中国の核心的利益と中国人の国家的紐帯に関することである。

 中国の再統一はいかなる国の正当な利益をも害せず、他国にさらなる発展の機会を与えるものである。

 今回の演説は、1979年1月1日に全人代常任委員会が「台湾同胞に告げる書」を発表して40周年という節目の記念式典に行われたものである。「台湾同胞に告げる書」、1995年の江沢民による台湾政策演説、2008年の胡錦涛による台湾政策演説、に続く包括的演説である。習近平が提示した5つの原則は、(1)平和的統一、(2)一国二制度の導入、(3)一つの中国、(4)中台経済の融合、(5)同胞意識の促進、である。これら一つ一つは目新しいものではないが、包括的な台湾政策として大々的に発表したことに意味がある。各項目を細かく見ていくと、平和的統一と言っても、武力行使を辞さないと明言したり、一国二制度についても、統一後も台湾人の権利を十分に尊重するとしつつ、中国の国家主権が確保されることを前提条件とするなどしている。

 5つの原則のうち「一国二制度」は、香港での形骸化に鑑み、台湾人を警戒させる可能性はあるかもしれない。「中台経済の融合」、「統一意識の促進」は、経済的取り込み、人的交流、蔡英文政権の頭越しに行われる台湾の地方政府への接触などにより、ますます強化されることになろう。習近平の演説は、蔡英文政権を相手にしない姿勢を明確にし、同政権への圧力強化、国民党への後押しを狙っていると思われる。

 習近平演説は、台湾側、特に蔡英文政権としては、当然、強く反発するような内容である。蔡英文総統は、1月2日には、「我々は『1992コンセンサス』(注:中国側は「一つの中国」「一国二制度」と解釈)を決して認めない。台湾人の大多数は一国二制度に反対している」、「我々は両岸問題につき交渉する用意はあるが、台湾は民主主義であるから、台湾人の授権と監視を受けたものでなければならず、両岸の政府同士の交渉でなければならない」、「中国は台湾が人口2300万の民主国家であるという現実を直視し、台湾の自由と民主主義を否定すべきでない、両岸の相違を台湾人を服従させようというのではなく平等に扱い平和的に対処すべきである」などとする談話を発表している。

「一国二制度」は受け入れら内と表明する蔡英文総統

 蔡英文総統は、さらに1月5日に外国の記者とのレセプションで、台湾は民主主義を実施し国際的価値を共有してきたとして、台湾が中国の圧力に直面している状況に対して国際社会が何も言わず支援しなければ、「次はどの国が同じような目に遭うだろうか」と、台湾への支援を要請した。この呼びかけは、蔡英文の最近の決まり文句であるが、真理をついている。

 習近平が今回のような包括的演説をした以上、中国の台湾政策は圧力を一層増すことになろう。台湾人、そして国際社会の対応が試されている。米国の台湾支持の姿勢が続くか、さらには強化されるか、注目される。

【私の論評】今年は日米が韓国から台湾に大きく軸足を移す年になる(゚д゚)!

日本は安倍総理がリードして、対中国封じ込め政策を実行してきました。一方米国は対中国冷戦Ⅱを挑んでいます。それによって、中国経済がかなり悪影響を受けていることはこのブログにも掲載しました。

米国は昨年3月に台湾を中国の好きにさせない強い意思を示しています。それは、「台湾旅行法」の発効です。これについては、このブログにも掲載しことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【トランプ政権】米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道 中国の反発必至―【私の論評】アジアの脅威は北朝鮮だけではなく台湾を巡る米中の対立もあり(゚д゚)!
トランプ大統領

  米ホワイトハウスによるとトランプ大統領は16日(ブログ管理人注:昨年3月16日)、米国と台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法は成立した。 
 同法は、閣僚級の安全保障関連の高官や将官、行政機関職員など全ての地位の米政府当局者が台湾に渡航し、台湾側の同等の役職の者と会談することや、台湾高官が米国に入国し、国防総省や国務省を含む当局者と会談することを認めることを定めている。 
 また、台湾の実質的な在米大使館である台北経済文化代表処などの台湾の組織や団体に米国内での経済活動を奨励する条項も盛り込まれている。 
 米国は1979年の米台断交と台湾関係法の成立後、米台高官の相互訪問を自主的に制限してきた。台湾旅行法の成立で、トランプ大統領の訪台や蔡英文総統のワシントン訪問が理屈の上では可能になる。
 法案は1月9日に下院を通過し、2月28日に上院で全会一致で可決された。今月16日がトランプ氏が法案に署名するかどうかを決める期限となっていた。
 米国務省は、台湾旅行法が米台関係の変化を意味するものではないと説明しているが、台湾を不可分の領土とみなす中国が米台の接近に危機感を抱き、「一つの中国」原則に反するとの理由で猛反発してくるのは確実だ。
さて、この記事だけだとあまりピンと来ない方もいらしゃると思いますので、「台湾旅行法」について若干説明を加えます。

米中国交樹立以降も台湾の国防の後ろ盾であり続ける米国ですが、しかしその一方で、台湾を中国領土の一部だとする「一つの中国」原則を掲げる中国への配慮により、米台政府高官の相互訪問を自主規制してきました。

たとえば台湾の総統、副総統、行政院長(首相)、外交部長(外相)、国防部長(国防相)のワシントン訪問を許さず、米国の経済、文化部門以外の高官の台湾訪問も差し控えて来たのですが、トランプ大統領は3月16日、台湾旅行法案に署名し、これまでの台湾泣かせの規制を撤廃したのです。

同法は「あらゆるレベルの米政府当局者が台湾を訪問し、相応の台湾政府当局者と会談すること」や「台湾の高官が米国に入国し、尊重を受けながら国務省や国防総省及びその他の政府当局者と会談すること」を認めるとし、さらには「駐米台北代表処(大使館に相当)などが米国で公式に活動すること」も奨励するとも規定しています。

この法律の施行により、中国との国交樹立以降、自粛されてきた米台高官の相互訪問を解禁し、ドナルド・トランプ大統領の台湾訪問、蔡氏のワシントン訪問も可能にしたとの宣言に等しいです。

この法律の成立について台湾紙自由時報は当時、「中国の台湾への脅威が日増しに拡大するのに伴い、台米関係も深まり行く趨勢だ。トランプ大統領の署名は台米関係正常化への重要な一歩である」「台湾海峡両岸の軍事バランスは崩れつつある。台湾が第一列島線のアキレス腱なれば、周辺情勢も不穏になる。台米の協力関係の強化は待ったなしだ」」と論評していました。

実は2000年にも下院は、台湾安全強化法案なるものを可決したことがありました。1995年、1996年の台湾海峡におけるミサイル演習で、中国が従来になく台湾侵略の野心を剥き出しにしたのを受けてのものでしたが、しかし当時のクリントン政権は中国の反撥と更なる緊張の高まりを恐れ、上院に圧力を掛けて法案を審議保留へと追いやりました。ところが今回の法案は、下院では圧倒的多数(発声投票)で、上院では全会一致で可決され、大統領の署名も得られたのです。

もちろんこれを受け中国は、一中原則違反だなどと大騒ぎしました。同法案がまず下院で可決された翌1月十日、人民日報系の環球時報は「台湾旅行法は台湾破壊法だ」と題する社説を掲げ、次のような恫喝宣伝を行いました。
「中国はすでに強大なパワーとなっており、台湾海峡での対峙では、さまざまな手段と優勢を擁している。もし米国がホワイトハウスで台湾総統のためにレッドカーペットを敷くというなら、それはストレートに台湾を害するだけである。中国は必ず公館相互訪問を行う台米に代価を支払わせることとなろう」
「台湾旅行法の規定が台湾に適用されれば、必ず大陸は台湾問題解決のための決断を下すことになり、台湾海峡情勢は新たな段階に入ることになろう」
そして同法成立の翌3月17日には、外交部報道官が次のようなコメントを発し、米国に警告を発しました。
「一中原則と中米間の三つのコミュニケに違反し、台湾独立勢力に早まったシグナルを送るものだ。我々はこれに断固反対する。米国に対しては、米台当局間の交流と実質的関係のレベルアップを停止し、慎重、妥当に台湾関連の問題を処理し、中米関係と台湾海峡の平和と安定に厳重な損害を与えないよう求める」
同日、国防部報道官も「台湾は中国の一部で台湾問題は中国の内政に属する」として米側の「一中原則」違反だと批判。「米台当局間の交流停止や米台軍事連絡の停止、台湾への武器売却の停止を行い、中米両国両軍の関係発展の雰囲気に重大な損害を与えないよう求める」とコメントしました。

当初、中国の猛反発がありますが、それも「貿易戦争」でのトランプ氏の攻勢により押さえ込まれた格好です。
中国は「一中原則違反」だと中国は噛み付ついていますが、そもそもこれは事実捏造の印象操作です。

そもそも米国はこれまで一中原則への配慮は見せても、それを承認(台湾を中国の一部と承認)したことは一度もありません。「三つのコミュニケ(「上海コミュニケ (ニクソン米大統領の訪中に関する米中共同声明)」でも、そのような表明はありません。

米国はいよいよ、中国がアジア太平洋地域に及ぼす脅威の増大を前に、いつまでも一中なるフィクションに附き合いながら、台湾との関係強化を遠慮し続けることができなくなってきたのです。つまり、中国の軍事大国化は、もはや放置できないレベルにまで達してしまっているというわけです。

日本もまた一中原則を受け入れたことはないですが、それでも中国との国交樹立後は、あの国への配慮で台湾の総統、副総統、行政院長、外交部長、国防部長の訪日は遠慮してもらっているし、政府高官の公務での台湾訪問も自粛し続けています(一昨年副大臣が初めて訪台しましたが)。

一中原則に反対する台湾の人々

台湾と共に第一列島線上の国である日本のこうした弱腰姿勢もまた、今後は列島線のアキレス腱となりかねないです。

ここは勇気を出して米国に倣い、無用かつ不条理な自主規制は撤廃するなどで、台湾との関係強化を図るべきです。

日本も、米国と同じような「台湾旅行法」などを制定して、 台湾との交流を深め、いずれ日米英仏などの艦艇が頻繁に台湾の港に寄港する、航空機が台湾の空港に寄港するなどのことをすべきです。

また、日米ともに、韓国に対する支援などはそこそこにして、台湾に対する支援を強化すべきです。

台湾をいずれ、強力なシーパワー国に成長させるべきです。トランプ大統領は韓国にはほとんど興味がないようですし、日本としてはもう昨年で韓国を相手にしても時間と労力の無駄であることがはっきりました。日本としては、韓国の異常ぶりを国際社会に晒し続けるにしても、もう韓国には一切深入りすべきではありません。今年は、日米両国とも韓国から台湾に軸足を移す年になるでしょう。そのほうが日米としては、対中封じ込めに余程効果を期待できます。

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2018年5月9日水曜日

トランプ大統領、イラン核合意からの離脱を発表 欧州説得実らず―【私の論評】米のイラン核合意からの離脱の発表で、正念場を迎えた金正恩(゚д゚)!


核合意離脱を発表するトランプ大統領(ホワイトハウス、8日)

ドナルド・トランプ米大統領は8日、オバマ前政権が締結したイラクとの核合意から離脱すると発表した。合意は「衰えて腐って」おり、「市民」として「恥ずかしいものだ」と語った。

2015年に米国と共にこの合意を結んだ欧州各国からの忠告に反し、トランプ大統領は合意の見返りとして解除していた経済制裁を再び実行すると明らかにした。

これに対してイランは、ウラン濃縮再開に向けて準備を始めていると明らかにした。濃縮ウランは原子力発電だけでなく、核兵器開発の要となり得る。

イランのハッサン・ロウハニ大統領は、「米国は約束を守らないつもりだとを明らかにした」と批判した。

「イラン原子力機構(AEO)に対して、必要となれば工業水準のウラン濃縮を無制限で再開できるように、待機するよう命じた」と大統領は明らかにした。

ただし、まずは他の締結国や同盟国と核合意について話すため、「数週間待つ」としている。

「もし他の締結国との協力で核合意の目的が達成されるなら、現状を維持する」


ロウハニ大統領は「イラン核合意離脱なら米国は後悔する」と警告していた

包括的共同作業計画(JCPOA)と呼ばれるこの合意は、イランが核計画を制限することと引き換えに、国連と米国、欧州連合(EU)が同国に科していた経済制裁の解除を定めた。

トランプ氏はかねてから、この合意がイランの核計画を期限付きでしか制限しないことや、弾道ミサイル開発を制止しないを批判してきた。さらに合意によって、中東地域全体に「武器と恐怖と抑圧」をもたらすために使われた1000億ドルの臨時収入を、イランに与えてしまったなどと非難してきた。

「この衰えて腐った合意内容では、イランの核兵器を阻止できないことは自明だ」とトランプ氏は説明した。

「イランとの合意は根本から不完全だ」

核合意を結んだバラク・オバマ前大統領は、トランプ氏の発表を「不見識」と表現した。

経済制裁はいつ始まるのか

米財務省は、イランへの経済制裁はすぐには再開されないものの、90~180日ほどかかるとしている。

ウェブサイトに掲載された声明によると、制裁は2015年の合意に示された業界で再開される予定で、イランの石油産業、航空機輸出、レアメタル貿易、そしてイラン政府の米ドル獲得政策が含まれる。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イランと取引関係のある欧州企も6カ月以内に取引を停止しなければ、米国の制裁を受けることになると述べたという。

世界各国の反応は?

核合意締結国のフランスとドイツ、英国の各首脳は、これまでトランプ氏を説得しようとしてきたが、今回の決定を受けて遺憾の意を表している。同じく締結国のロシアの外務省も、「深く失望した」と述べている。

EUのフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は、EUはこの合意を「断固として維持する」と語った。

オバマ前大統領はフェイスブックに、核合意は現在も機能しており、米国の国益にかなっていると投稿した。

「JCPOA離脱は、米国に最も近しい同盟国と、この国の一流の外交官、科学者、そして情報専門家たちがまとめた協定に背を向けることだ」

「対北朝鮮外交を成功させるために全力を尽くしているこの時にJCPOAから離脱することで、まさに北朝鮮と共に目指す結果実現につながる合意に至れない恐れがある」

アントニオ・グテーレス国連事務総長は米国の発表を受けて「深刻な懸念」を表明し、他の締結国に責務を全うするよう求めた。

一方、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、トランプ氏が「悲惨な」合意から「思い切って」離脱したことを「全面的に支援する」と述べた。

イランのライバル国サウジアラビアもトランプ大統領の決定を「支援し、歓迎する」としている。

核合意の内容は?

ウラン濃縮作業が行われたイラン・イスファハンの施設(2005年3月30日撮影)

JCPOAはイランと国連安全保障常任理事国の米国、英国、フランス、中国、ロシアにドイツを加えた6カ国で結ばれた。

合意ではイランに対し、核燃料や核兵器に使用される濃縮ウランの在庫を15年間、10年間ウラン濃縮に使われる遠心分離機の設置台数を10年間、それぞれ制限することを定めた。

また、核爆弾に使用できるプルトニウムの製造ができないよう、重水設備を変えることでも合意。見返りとして、イラン経済を苦しめていた国連と米国、EUによる経済制裁が解除された。

イランは同国の核計画が完全に平和的なもので、核合意での取り決めを守っているかどうかも、国際原子力機関(IAEA)によって確認されていると主張している。

<分析>衝突軌道へ――ジョナサン・マーカスBBC防衛・外交編集委員

イランの核兵器開発抑止を目指す唯一の合意を、ドナルド・トランプ米大統領はあっさりと危機にさらした。合意の善し悪しは別にしても。

大統領は核合意とその欠点について容赦ない批判を浴びせた。しかし、代案は示さず、最も緊密な同盟関係にある国々と米国の外交政策を対立させる道を選んだ。

さらに一部では、中東が破滅的な地域戦争に陥る危険性を大幅に高めたと懸念されている。

(英語記事 Trump pulls US out of Iran deal

【私の論評】トランプ大統領のイラン核合意からの離脱の発表で、正念場を迎えた金正恩(゚д゚)!

昨日このブログで予測したとおり、やはりトランプ大統領はイラン核合意からの離脱を発表しました。

昨日の記事を読んでいない方のために、以下にリンクを掲載します。
イラン核合意問題 専門家はこう見る―【私の論評】トランプ氏は、米朝会談を有利にすすめるためイラン核合意問題を活用している(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ以下に引用します。
私は、今回はトランプ氏が「合意から離脱」を発表をすると見ています。そうして、本当にそうするかどうかはわかりませんが、いずれイランへの武力行使の可能性もちらつかせると思います。そうして金正恩を極限まで追い詰めて、米朝会談をかなり有利にすすめるか、金正恩が会談をキャンセルするように仕向け、米軍が武力攻撃をしやすい状況にもっていくものと考えます。 
トランプ氏は元々は実業家です。実業家の場合、常に使える資源は限られていることを自覚しています。だから、優先順位をつけます。現在優先度が一番高いのは、北朝鮮です。優先順位をはっきりつけることと、定めた目標に対しては活用できるものは何でも活用するというのが、優れた実業家の真骨頂です。そうして、本当は米国でさえも、使える資源は限られています。 
イラクの問題と北朝鮮の問題に関して、どちらを優先するかということを考えれば、北朝鮮に軍配があがるのは当然のことです。 
イラン問題は多少複雑になったり、解決が長引いたにしても、イランが北朝鮮のように核ミサイルを米国に発射することはできません。11月の選挙の中間選挙のことを考えても、多少イラン問題が複雑化しようとも、北朝鮮問題の決着への見通しをこのあたりまでにはっきりと、国民に示したいというトランプ氏のしたたかな思惑が透けて見えます。 
これは、政治の専門家や、中東の専門家などにはかえって見えにくい局面だと思います。 
私は、トランプ氏は、米朝会談を有利にすすめるためイラン核合意問題を活用していると考えるのが妥当な見方であると考えます。
このような見方は、日本のメディアは無論のこと、欧米のメディアでもないようです。しかし、私はこの見方に関してある事実を知った後で、さらに確信を深めました。

それは、以下のような事実です。

トランプ大統領は8日に欧米など6カ国とイランが結んだ核合意からの離脱をホワイトハウスで発表した際、ポンペオ長官の4月訪朝に触れ、「北朝鮮と良い関係が構築されつつある」と語っています。

ポンペオ長官は4月に金委員長と会談したことで「良い関係」が生まれたと語った

トランプ大統領は米朝首脳会談について、「会談の予定は決まった。場所も選んである。日にちや時間、全部決まった」と述べました。

トランプ氏はさらに、「結局どうなるのか、見てみよう。うまくいかないかもしれない。しかし北朝鮮や韓国、世界全体にとって素晴らしいものになる可能性がある」と語りました。

トランプ大統領は3月に、北朝鮮からの首脳会談の提案を受け入れると表明し、国際社会に大きな衝撃が広がりました。米国の現職大統領が北朝鮮の最高指導者と会談したことは過去にありません。

トランプ氏は、首脳会談が6月初旬あるいは「それより少し早く」開かれるとし、いくつかの場所が検討されているが米国内ではないと述べていた。

8日には、金委員長が再び中国を訪問し、習近平国家主席と会談したことが明らかになっています。中国のメディアは、金委員長が、朝鮮半島の非核化を実現するため「段階的で同時進行的な」措置を望む、と語ったと報じました。

このポンペオ米国務長官は9日、再び北朝鮮の平壌に到着しました。北朝鮮の核問題をめぐる米朝首脳会談に備え、調整を行います。聯合ニュース(Yonhap News)は韓国の当局者の話として、北朝鮮で拘束されている米国人3人が解放され、ポンペオ氏と共に帰国するとの見通しを伝えました。

ポンペオ氏の平壌入りは同行している代表取材団が明らかにしました。現在は協議を行う柳京ホテル(Ryugyong Hotel)」に滞在しています。

聯合ニュースによると、韓国大統領府の関係者は、ポンペオ氏が「米朝首脳会談の日時を持ち帰るほか、拘束されている人たちを連れて帰るとみている」と語ったそうです。

ポンペオ氏は今月か来月に予定される米朝首脳会談の準備に当たっているほか、北朝鮮側に対し、拘束している米国人3人を解放するよう圧力をかけてきました。


私は4月ポンペオ・金正恩の会談の段階では、イランの原子力開発などを引き合いに出して、段階的で同時進行的な非核化を望んていたのでしょうが、おそらくポンペオ氏は、金正恩に対して米国はイラン核合意からの離脱する旨を伝えて、金正恩の段階的・同時進行的な非核化を断念し、あくまでもリビア方式で完璧に速やかに破棄するように迫ったのだと考えられます。

その後金正恩はすみやかに習近平と会談しています。8日も大連で会談しています。もし、北朝鮮が核を放棄した場合に備えて、北朝鮮が中国の核の傘の下に入ることなどを相談したものと思われます。それとともに、米朝会談が決裂した場合に備えて、制裁が強化された場合の中国が制裁を破る可能性についても、話しいをしたことでしょう。

いよいよ、北朝鮮は米朝会談で、リビア方式の核と核関連施設を完璧に破棄するか、米朝会談で決裂するか、そもそも米朝会談をキャンセルしかなくなりました。

米朝会談が決裂したり、キャンセルすれば、米の制裁はさらにきつくなり、その後に軍事力の行使ということにもなりかねません。

まさに、金正恩とっては正念場です。少しでも対応を間違えれば、米軍に斬首されかねません。

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2018年1月18日木曜日

“フェイクニュース大賞” 米大統領が発表―【私の論評】日本のマスコミによる米国報道は間違いだらけ!話1/5くらいで受け止めよ(゚д゚)!

“フェイクニュース大賞” 米大統領が発表



就任から1年となるアメリカのトランプ大統領は、うそだったと見なしたニューヨーク・タイムズやABCテレビなどの報道を“フェイクニュース大賞”と称して発表し、メディアとの対立が深まっています。

今月20日で就任から1年となるトランプ大統領は17日、ツイッターを通じ、“フェイクニュース大賞”と称して、自身がうそだったと見なした報道を発表しました。

“大賞”には11の報道が選ばれていて、トップには、おととしの大統領選挙でトランプ氏が勝利した際、「これで経済は決して回復しない」とする経済学者の見解を報じた有力紙のニューヨーク・タイムズの報道を挙げています。

そして、2つ目には、先月、いわゆる「ロシア疑惑」をめぐりトランプ大統領とロシアとの関わりを伝え、内容に誤りがあったとして担当した記者が停職処分になったABCテレビの報道を選び、これによって株価が急落したと批判しています。

さらに、トランプ大統領が去年日本を訪れた際、迎賓館でこいが飼育されている池に、木箱に残っていた餌をすべて投げ入れる様子を報じたCNNテレビの編集を挙げ、過剰な餌のやり方に見せているが、安倍総理大臣にならっただけだと反論しています。

また、有力紙のワシントン・ポストなどの報道も“大賞”に選んだほか、最後には、ロシアとの共謀をめぐる報道を挙げ、「最大のでっちあげで、共謀はない」と主張しています。

そして、「偏向し、不公正な報道やフェイクニュースの1年だった」と回顧し、トランプ大統領としては、みずからに批判的なメディアに圧力をかける狙いがあると見られます。

これに対し、メディア側は「報道の信頼をおとしめる攻撃だ」などと反発していて、対立がさらに深まっています。
11の“大賞” 「授賞理由」とトランプ氏の「反論」
トランプ大統領が選んだ11の報道。トランプ氏はみずからの言い分や反論も記しています。

【ニューヨーク・タイムズに】
おととしの大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン教授が「これで経済は決して回復しない」とした見解を掲載した報道。

大統領就任以来、アメリカ経済は200万人近い雇用を創出し、8兆ドル以上の富を獲得している。

黒人やヒスパニック系の市民は歴史上で過去最低の失業率を享受している。

【ABCテレビに】
先月、いわゆるロシア疑惑をめぐり、トランプ大統領がフリン前大統領補佐官にロシア側と接触するように指示したと報じた内容について、接触を指示した時期に誤りがあったとして担当した記者が停職処分になったことと、これによって株価が急落したことについて。

【CNNテレビに】
大統領選挙の期間中、内部告発サイト、ウィキリークスからハッキングされた資料を、当時のトランプ候補と長男のジュニア氏が入手したという報道。

【雑誌「タイム」に】
トランプ大統領が大統領の執務室からキング牧師の胸像を撤去したという報道。

【ワシントン・ポストに】
フロリダ州で開かれたトランプ大統領の集会にほとんど人が集まっていなかったとするツイッターの写真を載せたこと。

大勢の人が会場の外でこれから入ろうとするところで、中に入れない人もいるほどだった。

不誠実な記者が、人がいっぱいになる前の写真を掲載した。

【CNNテレビに】
トランプ大統領が去年、日本を訪れた際、迎賓館でこいが飼育されている池に木箱の餌をすべて投げ入れた映像の編集。

過剰な餌のやり方に見せているが、先に餌をすべて投げ入れた安倍総理大臣にならっただけだ。

【CNNテレビに】
トランプ政権の元広報責任者のスカラムッチ氏がロシア側と接触していたという報道で、編集のプロセスが守られていなかったとして担当した3人の記者が辞職したことについて。

【週刊誌「ニューズウィーク」に】
ポーランドの大統領夫人がトランプ大統領と握手をしなかったという報道。
握手をしている写真を公開。

【CNNテレビに】
トランプ大統領がロシア疑惑をめぐる捜査の対象になっていないとする主張に対して、FBIのコミー前長官が議会の公聴会で異議をとなえる見通しとする報道。

【ニューヨーク・タイムズに】
トランプ大統領が気候変動に関する報告書を隠蔽していたとする報道。

【ロシアとの共謀をめぐる報道】
ロシアと共謀したとする報道はアメリカ国民に対する最大のでっちあげ。
ロシアとの共謀はない!

このように11の項目を “フェイクニュース大賞” として並べ、メディアは90%の時間をトランプ大統領のネガティブな報道かフェイクニュースに費やしているものの、トランプ大統領は就任からおよそ1年の間に多くの成果を出している、と強調しました。

共和党議員が「恥ずべきこと」大統領を批判

与党・共和党のフレイク上院議員は17日、本会議場で演説し、トランプ大統領がメディアを「人々の敵だ」と主張していると指摘し、旧ソビエトの指導者のスターリンを引き合いに出して、「恥ずべきことだ。事実に忠実でなければ民主主義は続かない」と述べ、厳しく批判しました。

おひざ元の共和党からも、メディアとの対立を懸念する声が上がっていることについてホワイトハウスのサンダース報道官は17日の記者会見で、「われわれは日々、メディアを歓迎し、質問を受けている。トランプ大統領もそうだ」と反論しました。

CNN記者がトランプ大統領を非難

アメリカの首都ワシントンでは17日、トランプ政権を取材する記者らが参加したシンポジウムが開かれました。

この中で、ホワイトハウスを担当するCNNテレビのアコスタ記者は「トランプ大統領はわれわれをフェイクニュースと呼び、報道に対する信頼をおとしめている。大統領としてふさわしくない対応をしており、容認すべきでない」と非難しました。そのうえで、「われわれの行動指針は真実を伝えることだ。大統領が誰であれ、われわれをなんと呼ぼうが、それがわれわれの仕事だ」と強調しました。

シンポジウムを聴きに来た男性はNHKの取材に対し、トランプ大統領が“フェイクニュース大賞”を発表したことについて「報道の自由は憲法で保障されており、政治家を追及するのは報道機関の責務だ。トランプ大統領が憲法を尊重していない証拠であり、不必要にメディアと敵対的な関係をつくることは憲法の価値に反する」と話していました。
トランプ大統領ツイッター「いいニュースもある」トランプ大統領は17日、ツイッターに「非常に腐敗し不誠実な報道があるが、私が尊敬するすばらしい記者もいるし、アメリカ国民が誇りに思ういいニュースもある」と書き込みました。

今回の“フェイクニュース大賞”には、トランプ大統領が日頃、評価するFOXテレビは入っておらず、そうした報道を指しているものと見られます。

批判とひいき メディアで一線

トランプ大統領は、ツイッターを通じてアメリカの主要メディアの報道を「フェイクニュース」と呼んで繰り返し攻撃してきました。

トランプ大統領のツイッターをモニターしているウェブサイトによりますと、トランプ大統領が就任以降、今月17日までに投稿した2600回のツイートのうち、「フェイクニュース」と書き込んだ回数は186回に及んだということです。

さらに、ツイッターに主要メディアの名前を名指しで書き込んだ回数は、ニューヨークタイムズが38回、CNNが34回、NBCが31回で、その多くが批判でした。

一方、トランプ大統領がこうした主要メディアと一線を画してツイッターでも特別扱いしているメディアが保守系のテレビ局FOXです。

トランプ大統領は、これまでにツイッターで174回、FOXやその番組について投稿していますが、批判したことはなく、去年11月のツイッターでは「FOXニュースはCNNよりもはるかに重要だ」とか、「FOXを除くテレビ局の間で最も不誠実で不正確な放送をしている局がどこか、コンテストを開催すべきだ」と投稿するなど、FOXをひいきにする姿勢を明確にしています。

政治家の発言確認団体「大統領こそ間違い多い」

一方、政治家の発言の真偽を確認する団体「ポリティファクト」のアンジー・ホラン編集長は、トランプ大統領の発言こそ間違いが多いと指摘しています。

ホラン編集長はNHKのインタビューで、「トランプ大統領は、頻繁に不正確で誇張した話をする。私たちが調べた彼の発言のうち、およそ70%に間違いがあり、選挙期間中とほぼ同じ割合だった。大統領になれば、冷静になってもっと正確に話すのではないかと見られていたが変わっていないようだ」と述べました。

さらに「特にツイッターに頻繁に不正確やうその情報が含まれている。準備されたスピーチは、側近が内容をチェックできるが、ツイッターは自分で思いついたことを書き込んでいるようだ」と分析しました。

また、ホラン編集長は「大統領は時折、発言内容を変えるほか、同じスピーチの中で矛盾する発言もするので、発言の趣旨を確認するのが非常に難しい」と述べました。

「ポリティファクト」は、先月、去年2017年の最大のうそ=「ライ・オブ・ザ・イヤー」にトランプ大統領がおととしの大統領選挙にロシアが干渉したことを認めず、作り話だなどと発言したことを選んでいます。

【私の論評】日本のマスコミによる米国報道は間違いだらけ!話1/5くらいで受け止めよ(゚д゚)!

米国のマスコミのニュースは確かにフェイクが満載です。上のトランプ大統領がフェイクであると主張するニュースのほとんとは妥当だと思います。

一例だけ具体的に解説しておきます。一番最初の【ニューヨーク・タイムズに】の項目で、おととしの大統領選挙でトランプ大統領が勝利した際、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のポール・クルーグマン教授の見解です。

ポール・クルーグマン氏
クルーグマン氏は、トランプ氏が空調大手キャリア社のメキシコ移転を阻止したことに関して、ニューヨーク・タイムズに反論を展開していました。
巨大な経済の中で、本件の雇用数は1000人ほどに過ぎない。これを毎週一回実行しても、オバマ大統領が自動車産業救済で創出した雇用数を達成するには30年かかる。同様に、製造業が2000年以来失った雇用を取り戻すには、1世紀かかる。
これは、トランプ氏が選挙運動中に語ったことをもとに、クルーグマン氏が語ったことであり、これは事実です。確かに、空調大手キャリア社のメキシコ移転を阻止したとしても、それによって維持された雇用は1000人程度のものです。そうして、これはトランプ氏が選挙遊説中に語ったことをもと言っているだけで、この時点ではトランプ政権の具体的な経済政策が出ていない段階です。その後出されたトランプ氏の経済対策については、まとも論評しています。

アメリカのアカデミズムの世界はほとんどがリベラル派です。クルーグマン氏もリベラル派です。選挙直後に意見を求められれば、当然のことながらこのようなコメントになるものと思います。

これは、トランプ氏を批判するために、ニューヨーク・タイムズが著名な経済学者の発言を都合良くトランプ氏を貶めるために印象操作に利用したと言っても良いです。

他のニュースも似たり寄ったりで、私自身はここに掲載されているものは、すべてトランプ氏を貶めるためのフェイクと断定しても良いものと思います。

トランプ大統領は、なぜ米国のメディアにこれほどまでに攻撃されるのしょうか、その理由はこのブログにも何度か掲載してきました。以下に再度まとめておきます。

トランプ大統領
それは、トランプがキリスト教や道徳を重んじ、強い軍隊を支持し、頑張った人が報われる社会を願う保守主義の考え方の持ち主だからです。

日本ではほとんど知られていませんが、アメリカの大手新聞は、日本で言えば朝日新聞や赤旗といったサヨク・リベラル系ばかりで、産経新聞のような保守系の全国紙は存在しません。

ここでいうサヨク・リベラル系とは、道徳を毛嫌いし、企業は国民を酷使し搾取する存在だと決めつけ、保守派をファシストだと非難し、自分たちこそ人道的で理想主義的だと思い込んでいる人たちのことです。

テレビも同様です。世界的に有名なCNNに対して「コミュニスト(共産主義)・ニュース・ネットワーク」と揶揄する保守派もいるぐらいで、アメリカのマスコミの偏向ぶりは、日本以上にひどいと言っていいです。


日本のテレビも新聞も、アメリカのそのようなサヨク偏向のテレビや新聞の論調をそのまま紹介していますから、「サヨク・リベラルから見たアメリカ」ばかりが日本で報じられることになります。

こうした基本的な「構図」を知らずに、アメリカのサヨク偏向報道を真に受けて、「アメリカを再び偉大な国にしようと主張するトランプは、粗暴な人種差別主義者だ」と思い込んでしまっている日本人も多いようです。

だが、ちょっと待って欲しい。(ブログ管理人注:朝日新聞が良く使うフレーズです(笑))

安倍政権反対の意見こそが日本の世論であるかのごとく報じる朝日新聞や赤旗ばかりを読んでいて、日本の政治の実情を理解できるでしょうか。

朝日新聞などが連日、安倍政権を批判していますが、安倍政権の支持率は上がる一方ではありませんか。昨年は、朝日新聞などの森友・加計批判で一時は、支持率が落ちましたが、衆院選が終わって蓋をあけてみれば、安倍政権の議席数は変わらずで、野党は惨敗しました。

はっきり言いますが、アメリカのサヨク偏向マスコミと、それをそのまま紹介する日本のマスコミ報道を見ているだけでは、トランプ政権のことも、アメリカの実情も正確にする理解することは難しいです。

サヨク・リベラル系のマスコミが長年米国を牛耳ってきたため、本来は米国には昔から少なくても人口の半分は存在した保守層の意見などはかき消されてきたのです。しかし、一昨年の大統領選挙で、この事実が白日のもとに晒されたのです。

もし、米国の人口の約半分が保守層でなれければ、トランプ大統領が誕生したその理由が説明できません。米国のテレビやマスコミをみると、そこで流布されているのは、「サヨク・リベラル」の価値観やものの考え方ばかりであるため、これだけを見ていては米国の半分しか見ていないことになります。

私たちは、半分の米国には詳しかったのですが、これからはもう半分の米国も見ていく必要があります。そうしないと、米国の実態を見誤ることになります。実際、大統領選挙では日米の両メデイアも最後の最後まで、ヒラリー・クリントン優勢としていたにもかかわず、実際にはトランプ氏が大統領になり、このことが実証されました。

ヒラリー・クリントン大統領は誕生しなかった
トランプがアメリカ国民から支持されているのは、それなりに理由があります。その理由を正確に説明しないマスコミこそが米国内や国際社会を混乱に陥れているのです。

日本のマスコミや識者も様々なフェイクを発信しています。

金融緩和をするとハイパーインフレになり国債は暴落する。消費増税の日本経済への影響は軽微。このままだと、財政破綻するとか、財政危機に陥る。森友・加計問題で、総理の関与や総理のご意向があった。地下水検査の結果から豊洲は危険である等々。フェイクニュースはこの他にも、まだまだ数多く存在します。

このようなフェイクニュースを発信する日本のメディアが、こと米国に関しては正しく報道できると考えるほうがおかしいです。

日本のマスコミによる米国報道は話半分、いやそれでは駄目です、話1/5くらいで受け止めるくらいが良いと思います。もし事実を知りたいというのなら、そこで終わらせることなく、発信している人の立場を知ったり、他のソースをあたってみたり、推移を見てから、事実を見極めるべきです。

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2016年9月24日土曜日

中国は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!


組立中の天空1号 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

   来年後半には地球に落下

本来、「天宮1号」は軌道上をいつまでも回り続け、機械に寿命が来た後は、地球からの遠隔操作によって無人の海洋に落下させるか、大気圏中で燃え尽きさせるはずだった。

ところが、制御不能となったため、軌道上にとどまることさえ出来なくなってしまった。

中国政府は、「来年の後半には天宮1号が地球に落下するだろう」と発表した。
落下地点の予測は立たず

制御不能となった天宮1号が、いつ落下し始めるか、そしてどこに落下するかは誰にも分からない。

著名な宇宙物理学者であるハーバード大学のジョナサン・マクダウェル教授はこう言う。

「それ(天宮1号)がいつ大気圏に突入するかは、数日前になっても予測できないだろう。6〜7時間前になってやっと分かるのがいいところだ」

「また、大気圏突入がいつか分からないということは、落下地点の予測もできない」

最悪の場合、空中で爆発し、多くの残骸を地上に降らせるということにもなりかねない。

組立中の天空2号
   「ほとんどが燃えて無くなる」と中国

中国当局の担当者は、「我々の調査と計算によれば、天宮1号のほとんどの部分が、大気中で燃えて無くなるはずだ」と言い、地上に被害をもたらさないと強調している。

だが、前出のマクダウェル教授によれば、天宮1号のエンジンは大きく、大気圏で完全に燃え尽きることはないとのこと。

現在も中国は、天宮1号の制御回復に努めている。成功を祈りたい。
出典元:China's Tiangong-1 space station to crash into Earth in 2017 - UPI(9.21)
出典元:China's space station is 'out of control' and will crash into Earth - but no one knows where the debris will land - MailOnline(9.21)

【私の論評】宇宙開発、軍拡は中国を滅ぼす(゚д゚)!

日本では、宇宙ステーションと報道されていたので、もっと大きなものを想像する人も多いでしょうが、写真でみてもおわかりのように、実際は既存の宇宙船よりも少し大きいという印象です。

今月9月15日、中国は天宮2号を打ち上げたばかりです。以下にその打ち上げの動画を掲載します。


この発射は、日本でも華々しく報道されましたが、天宮1号の制御不能の報道はされませんでした。しばらくしてから、報道されました。おそらく、天空1号は前々から制御不能になっていたのでしょうが、中国当局はそれを公表しなかったのでしょう。

天空2号は、制御できなくなった天空1号の代替として打ち上げたのではないかと思います。本来だと、2号は、1号と機能の異なるものを打ち上げ、1号と2号をドッキングして宇宙ステーションの一部にする予定だったのでしょう。

このようにいくつかのモジュールを打ち上げドッキングして、ある程度大きなステーションをつくり、その後は宇宙船で物資を打ち上げ、宇宙で大きな宇宙ステーションを組み立てるという予定だったのだと思います。おそらく、天空1号の制御不能で、中国の宇宙ステーション計画にはかなり遅れが出たのだと思います。しかし、中国は無論のこと、日本のマスコミもそのようなことは一切報道しません。

それにしても、宇宙ステーション開発は、残念ながら米国においても、あまり良い成果をあげていません。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
成果はわずか!? 国際宇宙ステーションの困難な将来―【私の論評】宇宙でも共産主義はうまくいかない?中国の宇宙開発も結局この二の舞になる!!
この記事は、2012年8月24のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に元記事から一部を引用します。

 NASAが国際宇宙ステーションを未来の実験室として紹介してから14年が過ぎた。野心的でヴィジョンにあふれるプロジェクトによって、世界中の研究者が地球近くの低軌道上にて、時速約2万7,000kmの速度で実験を行うことができるようになるはずだった。

しかし、いままでのところ研究のための宝箱である以上に、国際宇宙ステーションは金食い虫の化け物だった。運用終了までに施設のために投じられる総額は約1,500億ドル。1kgあたり30万ドル以上だ。 
成果はわずかだ。1998年以来、衛星軌道上で行われた実験は3,100の研究を生み出しただけだった。比較してみるだけでも、ハッブル宇宙望遠鏡の11,300に対してごくわずかだ。

しかしいま、事態は変わるかもしれない。企業であるSpace Xのカプセル、Dragonの到来によって、宇宙探検における民間投資の時代が公式に始まった。さらにNASAは、莫大な投資に対するわずかなリターンを心配したアメリカ合衆国議会の示唆にしたがって、実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねたのだ。

1年の契約は1,500万ドルであり、CASISは国際宇宙ステーションの未来を見直す任務を引き受ける。基礎研究と応用研究のバランスを取り、ステーションに公的資金と民間資金双方を用いる。 
他方で、衛星軌道を回る実験室は、研究のために唯一無二の条件を提供する。火星への旅のような、長い宇宙旅行に取り組む宇宙飛行士たちが直面する状況の検証を考えられる唯一の場所である。 
・・・・・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・・・ 
要するに、国際宇宙ステーションが科学のために有している莫大な潜在能力を使い尽くすためには、宇宙旅行の熱狂に乗ることが最後のチャンスであるように思われるのだ。
結局のところ、アメリカの宇宙ステーションのプロジェクトは、あまりの成果のなさのわりにはかなりの割高であり、その管理はNASAの手を離れて、NGOのCASISに委ねられたのです。以下に、CASISの動画を掲載します。


なぜこのようになったかといえば、NASA等の官僚主義によるものです。NASAが管理していたときには、ステーションでのひとつの実験に許可を与えるまでに、数カ月が経過したそうです。これはあんまりです。

これほどまでに、官僚主義は宇宙ステーシヲンの運営を困難にしていたのです。

さて、中国が宇宙テーションの管理をすることになれば、さらに酷いことになるものと思います。なぜなら、中国もご多分にもれず、官僚国家だからです。現在の中国は、最早共産主義ではありません。しかしながら、国家資本主義というのがふさわしい体制です。

結局中国共産党一党独裁で、建国以来選挙もなく、主席や幹部なども全人代で指名されます。これは地方政府も同じで、中国には本来の意味での政治家は存在しません。存在するのは、官僚だけです。

政治家不在の官僚だけの中国で、宇宙ステーションを運用するということにでもなれば、米国のNASAが運営するよりもまだ、官僚主義的な手続きが横行して、非効率この上ないことになり、NASAが運営していたころより、さらに成果をあげられないことでしょう。

さらに、ブログ冒頭の記事に掲載されているように、モジュールの制御すらできなくなるほどの技術力の低さです。低技術のため、このような状況を頻繁に招いてしまうことになれば、官僚主義+低技術で、費用ばかり天文学的にかかるのにほとんど成果があげられないということになり、とんでもない状況になることでしょう。

現在の中国は、軍拡でも同じような状況に追い込まれています。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!
ミサイル防衛システムの概念図
この記事は、2012年7月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、これも元記事を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事は、露メディアのものですから、ある程度割り引いて受け取るべきではありますが、それにしても、軍拡にはかなり経費がかかるのは事実です。

そうして、中国の軍拡が始末におえないのが、軍事技術の低さです。旧ソ連の場合は、第二次世界大戦後に旧ドイツより、多くの技術者や機器などをソ連に持ち帰り、そこから開発を始めたので、当初は技術水準が高かったですが、時を経るにつれて、共産主義や官僚主義の弊害がでて、技術水準は落ちていきました。

現在の中国は、もともとかなり低いのですが、金を用いたり、スパイの活用でいろいろと技術を盗んできては、開発したのですが、それにも限界があります。

そのため、たとえば、空母一つつくるにも、かなりの資金と労力と時間を費やしても、まともなものはできません。潜水艦でも、同じことで、いまだに日本よりはるかに下回っています。

結局、先進国以上に大枚を叩いても、先進国よりも技術の低いものしか製造できないのです。それでも、何とか追いつこうと金をかけて、結局は短期間て使い物にならなくる、ガラクタを貯めこむだけになります。

宇宙開発の場合は、兵器よりはましですが、それにしても、先ほど述べたように恐ろしく、非効率な中国の体制のもとでは、せっかく大枚をはたいて、巨大な宇宙ステーションを建造したにしても、稼働率が低くなり、成果をあげられず、無用の長物になってしまう可能性が大です。

中国の稼働率の低さというと、このブログでも以前中国の戦闘機の稼働率の低さを掲載したことがあります。その記事のリンク以下に掲載します。


【緊迫・南シナ海】ベトナムが中国・人工島射程にスプラトリー諸島でロケット弾を配備 インドからミサイル購入も―【私の論評】日本の備えはベトナムよりはるかに強固、戦えば中国海軍は崩壊(゚д゚)!
中国空軍の大部分を占めるJ-7戦闘機
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に簡単に、戦闘機の稼働率に関して掲載します。

中国では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、中国の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、中国の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は中国を滅ぼすだけです。

中国が本当に実行すべきは、まずは中国共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、中国はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、中国共産党はこのことには全く気づいていないようです。

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2013年9月8日日曜日

「安倍首相演説が決め手」ロイター通信が絶賛―【私の論評】オリンピック招致にパワーを発揮した安部総理!!消費税増税見送りも同じように、素晴らしいプレゼンテーションで、増税派に有無をいわせず、発表する日がくると見た(゚д゚)!

「安倍首相演説が決め手」ロイター通信が絶賛

2013.9.8 06:58 [安倍首相]


IOC総会で、東京のプレゼンテーションをする安倍首相=7日、ブエノスアイレス(共同)

【ロンドン=内藤泰朗】「安倍晋三首相の演説が2020年東京五輪大会決定への決め手となった」-。ブエノスアイレス発のロイター通信は7日、こんな見出しで五輪開催地決定のニュースを伝えた。

同通信はその中で、「東京は、安倍首相がカリスマ的な嘆願を国際オリンピック委員会(IOC)に行った後、実施された投票で接戦だったイスタンブールを破り、2020年夏季五輪の開催地の地位を獲得した」と強調した。

さらに、「国家指導者のなめらかな演説は、IOCが懸念する福島原発問題の不安を解消するために行われた。日本は60対36でイスタンブールを大差で勝利したことから、演説はその目的にぴったりと合っていたようだ」と指摘した。

【私の論評】オリンピック招致にパワーを発揮した安部総理!!消費税増税見送りも同じように、素晴らしいプレゼンテーションで、増税派に有無をいわせず、発表する日がくると見た(゚д゚)!

安倍総理のプレゼンも良かったですが、滝川クリステルさんのプレゼンも良かったです。



本日は、オリンピックに関連する内容なので、セクシーなアスリートの写真とともに、掲載します。このようなセクシーなアスリートが東京にも多く来ていただきたいものです(笑)(゚д゚)!

このニュースに関しては、経済評論家の上念司氏が、以下のようにツイートしていました。
まったくこの通りです。新聞も、この汚染水に関する政府の対処がきわめて重要になるし、安部政権の試練となるというような内容を伝えていました。もし、招致が失敗していれば、安部政権を叩きまくったのでしょうが、これではマスコミもお手上げです。

2016年東京オリンピック招致失敗のテレビ報道
上念氏は、反日勢力のことを揶揄してますが、その中には勿論、新聞も含まれています。おそらく、新聞の多くは、オリンピック招致失敗に備えて、安部総理を叩きまくる「どす黒原稿」を用意していたものと思います。普通の国だと、オリンピック招致に成功した場合に備えて、政府や首相を賞賛する記事を用意しますが、日本では全く逆です。おそらく、マスコミは、用意していないので淡々と事実を報道するのみということになるでしょう。

テレビもそうです。特にNHKは、招致がうまくいったことで、一応今夜7時のニュースでは、安倍総理のプレゼンテーションが功を奏したことを報道していました。NHKとしては、日本が良くなるということで、招致が成功して、中国様に申し訳なく、合わせる顔もなく、口惜しくて、悲しくて、悔しくて、忸怩たる思いをしていることでしょう。もう、日本では、自分たちの力は随分落ちてきていることに脅威を感じていることでしょう。ニユースのなかでも、わざわざ「これから安倍総理は、汚染水問題のリアルタイムでの開示により海外の人々を納得させることが肝要になるであろう」との旨を放送し、悔しさを滲ませていました。ひとこと、ざまーーーーー見やがれ(゚д゚)!



また、衆院選で安部自民党が大勝したときの、お通夜のときのような物静かな反応になると思います。安倍首相のプレゼンを褒め称えるロイター伝は、戦後体制維持派にとっては、まさに大敗北です。

安部総理および、総理のブレーンは、この試練を、胸のすくようような演説で見事に切り抜けました。本当に、素晴らしい演説でした。演説もさることながら、その影に隠れてみることはできませんが、ブレーンやその配下の人々が、情報収集から各方面への働きかけなど様々行動をしていて、その総合力の勝利が今回の招致獲得につながったのだと思います。


さて、話は少し飛びますが、こうしたプレゼンで勝利を確かにした東京オリンピックですが、もし来年4月デフレが収束しないうちに、消費税増税を行えば、日本はまたぞろデフレのスパイラルの底に沈んてしまいます。そうなれば、失われた20年は、さらに継続し、失われた40年になる可能性も十分にあります。

そうなれば、2020年の東京オリンピックは、デフレのまっただ中で開催されることになります。そうなると、どんなことになるか、その前例がすでにあります。
五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?
オリンピックは華やかに開催されたが、増税によって経済が冷え込んでいたイギリス
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のようなことを掲載しました。
「オリンピックを見にロンドンを訪れる外国人観光客は10万人に達しており、過去のオリンピックでの実績を上回っている。しかし、ロンドンでは普通の年でも推定30万人の観光客を見込むことができ、これに比べれば見劣りする」
どうして、こんなことになったかといえば、その本当の原因は、イギリスでは、2011年に付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅にあげたため、景気が極端に冷え込んでいたからです。特に景気が悪くなりまはじめてから、若者雇用が激減したため、イングランド銀行は、大幅な金融緩和を実行しましたが、その後も経済は好転せず、あいかわらず今でも不況で、税収も減っています。

カワユイ

それにしても、イギリスは、デフレではありませんでした。金融緩和の下支えもあって、今でもデフレではありません。にも関わらず、景気は回復していないのです。しかし、東京オリンピックは来年4月の増税その後に続く増税も、そのまま実施してしまえば、間違いなくデフレ下のオリンピック開催になってしまいます。

そうなると、イギリスのロンドンオリンピックの比ではなく、ほとんど経済効果も期待できないオリンピックになってしまいます。東京オリンピックの経済効果は、3兆円の経済効果と見込まれているそうです。しかし、もしオリンピック開催時にデフレであれば、たった3兆円の経済効果では、それこそ、デフレのその効果を全部削ぎ取られてしまいます。そうして、ロンドンオリンピックよりもさらに、経済効果のないオリンピックになってしまいます。

スゴ

現在でもデフレなのに、さらに東京オリンピック開催時まで、デフレが続いていれば、施設その他が整ったにしても、かなり貧相なオリンピックにもなりかねません。

まともなオリンピックを開催するためにも、東京オリンピック開催時までは、完璧にデフレを解消しておきたいです。

ムム!ここまで、セクシーにする必要あんのか?
そうして、安倍総理もこのことは重々承知されていると思います。であれば、オリンピック時のデフレを招きそうな、来年4月から増税に関しては、阻止すべきであり、オリンピック承知で、素晴らしいブレゼンを行い、その後のIOCからの質問にも、福島汚染水対策を数値を含めて説明して、納得してもらったように、増税見送りの判断に関しても、増税派に有無を言わせないプレゼンと説明で、切り抜けるどころか、周りの賞賛を浴びるような素晴らしい結果をもたらしてくれるのではないかと思います。

安倍総理のこの快進撃、最早止められるものは、日本国内はおろか外国勢力でももう無理です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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