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ファーウェイCFO、孟晩舟容疑者の逮捕は、 トランプ大統領による中国共産党体制打倒の一端だ |
“米中対決”は1991年にソ連を崩壊に導いた「東西冷戦」に続く、「米中冷戦」と呼ばれるようになったが、これはドナルド・トランプ政権だけによる決定ではない。
上から音頭を取ったのではなく、共和、民主両党の議会の総意であり、米国の識者、主要シンクタンク、大手メディアによって、有機的に生まれたコンセンサスである。
「中国龍」に跨(また)がる習近平国家主席が、中国の力を過信して、米国を見くびって、世界の覇権を握ろうとしているのに対して、「米国鷲」が立ち塞がった。
習氏は、南シナ海に埋め立てた7つの人工島を「軍事化しない」と、オバマ前大統領に固く約束したのに、ミサイルを配備して、世界の主要な通商路である南シナ海を支配しようとしている。中国からアジアを通ってヨーロッパまでの諸国を取り込む「一帯一路」戦略を露骨に進めている。このため、米国の堪忍袋の緒が切れた。
米中はすでに関税戦争で火花を散らしているが、11月のアルゼンチンのG20(20カ国・地域)首脳会談において、トランプ大統領が習氏と会談して、米国がさらに対中関税を引きあげるのを、90日間猶予することを約束した。だが、90日間で複雑な交渉が、決着するはずがない。「鷲」と「龍」の格闘劇の、中休みにしかすぎない。
トランプ政権は、「中国龍」をしつけようとしているだけではない。真意は、中国共産党体制を打倒することを、はかっている。
米中関税戦争は、序の口でしかないのだ。中国の「華為技術(ファーウェイ)」などの通信企業に対する締め付けも、軍拡競争も、傍役(わきやく)でしかない。
米中対決の主役は、中国にハイテクノロジー(先端技術)が流れ込むのを断ち切って、枯渇させることだ。「暴れ龍」の血液循環を止めるのだ。
ホワイトハウスに向かって、左側に「オールド・エグゼクティブ・オフィス」と呼ばれる、煉瓦(れんが)造りの古色蒼然とした建物がある。歴代副大統領の執務室も、ここに置かれている。
先端技術発達の速度は、いっそう加速化している。トランプ政権が2年前に船出したときには、ハイテクノロジーの担当者は1人しかいなかったが、今では100人以上がワン・フロアを埋めて働いている。
日本は先端技術競争に、後れをとってはならない。
■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『神道が世界を救う』(勉誠出版)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。
【私の論評】中国の民主化、経済と政治の分離、法治国家化が最終目標(゚д゚)!
私は、当面この見方は正しいと思います。当面10年くらいはこの見方でも、良いとは思います。ただしこれは、最終的な目標、目的にはなりえないと思います。なぜなら、先端技術そのものは、何かを達成するための手段であり、目標や目的にはなりえないからです。
これは、「人生の目標、目的は?」と問われて「お金」というのとあまり変わりないです。何かの目的や、目標を達成するために、「お金」が必要というのならわかりますが、「お金」そのものが、目的や目標ということはありえません。
だから、中国に先端技術が流れ込むのを断ち切って、枯渇されせること自体も目的や目標にはなりえないです。
では、米国が中国に求めるものは何なのでしょうか。私自身は、このブログで過去に何度か述べてきているように、中国が日米を含む先進国並みの「民主化、政治と経済の分離、法治国家化」を実現して、まともな国になって、対等な自由貿易ができる相手になってもらいたいというものだと思います。
さて、以下に中国の現状の民主化、政治と経済の分離、法治国家化(この3つを実行することを下では構造改革と呼称します)について掲載していきます。
まずは、民主化です。
中国という国の恐ろしさは、今回のファーウェイの事件でもわかりますが、中国はイランと同じように人質をとって外交取引をしようとするのです。尖閣問題でも中国人船長が捕まると、無関係な日本人が中国で捕まったりします。つまり人質を取るのです。逮捕された人はとんでもない災難です。今回もカナダ人が捕まりました。
これほど国の品位を落とす行為はありませんが、中国政府にはそれが分からないようです。米国人は、中国が経済発展をすれば洗練された民主国家になると考えていたようですが、人質外交を行う中国政府を見ても、とても中国が民主国家になれるとは思えません。
孟晩舟容疑者がパスポートを七冊も持っていること自体が異常です。おそらく、足取りを掴まれないためでしょう。今後カナダ政府がどのような対応をとるか気になりますが、カナダ人は(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)と人質交換にするのでしょうか。日本はかつて赤軍派幹部と日本人旅客と人質交換した実績があります。
中国という国の恐ろしさは、今回のファーウェイの事件でもわかりますが、中国はイランと同じように人質をとって外交取引をしようとするのです。尖閣問題でも中国人船長が捕まると、無関係な日本人が中国で捕まったりします。つまり人質を取るのです。逮捕された人はとんでもない災難です。今回もカナダ人が捕まりました。
これほど国の品位を落とす行為はありませんが、中国政府にはそれが分からないようです。米国人は、中国が経済発展をすれば洗練された民主国家になると考えていたようですが、人質外交を行う中国政府を見ても、とても中国が民主国家になれるとは思えません。
孟晩舟容疑者がパスポートを七冊も持っていること自体が異常です。おそらく、足取りを掴まれないためでしょう。今後カナダ政府がどのような対応をとるか気になりますが、カナダ人は(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)と人質交換にするのでしょうか。日本はかつて赤軍派幹部と日本人旅客と人質交換した実績があります。
人質をとって外交をしていたら、北朝鮮のような鎖国状態になりますが、少なくともカナダ人は中国には行きたがらなくなるでしょう。米中新冷戦も厳しさが増してくれば、米国人は中国に行きたがらなくなり、いつ捕まるかわからないようになります。中国人スパイを米国捕まえるたびに中国は政府米国人の人質をとることにからです。ロシアも同じ事をしています。
これは、ほんの一例ですが、これをもってしても、中国の民主化はほとんど不可能に近いことがわかります。
だから中国社会で暮らす人々にとって統治者の存在は水や空気のように当たり前であり、「自分たちで社会を管理する」という発想はほぼないのです。社会を統制し、「良い」世の中にするのは天から降ってきた「偉い人」の仕事であり、統治者がその仕事をうまくできなければ不満を言うのです。
政治と経済の分離
昨年中国共産党が国内大手企業に対し、経営に影響力を行使できる党組織を社内に作るよう求めました。習近平指導部による企業への露骨な介入です。無論ファーウェイの中にも党組織があります。
対象は国有企業のみならず、地方政府が出資する企業や民間企業にも及ぶといいます。党の判断を優先する経営を徹底させるためです。
これは市場経済化の流れに逆行するばかりか、不透明で恣意的な中国の経済運営を一段と強めるものです。日本などの外資系企業にとっては、中国事業の政治リスクが一段と高まることを意味し、強い懸念を抱かざるを得ないです。
習指導部は、強権による企業支配が中国経済をさらに歪めることを厳しく認識すべきです。
現地のネットメディアによると、党組織の設置は、株主総会などを経て定款に明示するよう3千社以上に求めた。既に数百社がこれに応じているといいます。
もとより、一党独裁体制の中国では経済運営も党が主導します。大手企業が党による企業統治を定款に明文化することで、その傾向に拍車がかかることになるでしょう。
中国の大手企業の多くは香港や上海などの証券市場に上場しており、海外株主もいます。経営の透明性や適切な情報開示が求められるのに、外部から見えない政治判断で経営が左右されるようでは、市場の混乱を招きかねないです。
外資系企業の中国事業では、合弁相手として中国の大手企業と組まされる例も多いです。工場建設や役員人事などの重要な経営判断について党の意向を仰ぐ動きが広がれば、外資のビジネスは今以上の制約を受けることになります。
しかし、中国が本来なすべきなのは、内外企業が市場動向を踏まえた適切な経営判断を行えるよう環境を整える改革であるはずです。
外資への技術移転強要や鉄鋼製品の過剰供給能力など、日米欧が問題視するものの根本には、市場経済を無視した党主導型経済の弊害があります。それを改善するどころか強めるのでは、経済大国の名には値しないです。
法治国家化
先日、新聞を読んでいると「中国の農村でも法治が進んだ」という趣旨の記事が目に入りました。大意を記せばこのような話です。
河北省のある農村で土木工事の請負を生業にしている自営業者がいました。2014年に用水路掘削の仕事を受注、完工したのですが、一向に代金が支払われないのです。こうした話は過去にもあり、泣き寝入りのケースも多かったそうです。
そこで自営業者氏は町のゴロツキ連中を雇い、発注者を脅かして一部を取り立てました。しかしその後、この人物は「このやり方は間違っている」と改心し、政府を頼ることにしました。役所の相談窓口に通って法的手続きを申し立て、司法機関の介入の下、見事に工事代金を手に入れたそうです。何事も「法治」で解決することが重要だという内容です。
たわいのない話ではありますが、中国社会で「法治」という言葉がどのような意識で使われているかがうかがわれます。まさに、多くの中国人が、私的な実力で問題を解決するのではなく、公的機関に訴えて自己の利益を守ることが「法治」であるとかんがえているようで、実際政府もそのような行動を奨励しているにです。
もちろんこれらも「法治」の一部には違いないですが、日本をはじめとする先進国などの社会の「法治」の概念とはズレがあります。
私たちが日常的になじんでいる「法治」は「法律という一つの体系の下、社会的地位や属性などに関係なく、すべての参加者が同じルールでプレーすること」という考え方です。一方、中国社会の「法治」は「法律という道具を社会の管理者(権力者、政府)がしっかりと運用し、社会正義を実現すること」という意味合いが強いです。
こうした中国社会の「法治観」には一つの前提があります。それは社会には必ず国民の上に立つ「統治者(権力者、政府)が存在している」ということです。
日本を含むいわゆる議会制民主主義の国々では、社会を管理しているのは国民、つまり私たち自身です。うまく管理できているか否か、その実態はともかく、理屈の上では私たちは自ら代表を選び、その人たちに国の方向づけと管理を行ってもらっているすなわち信任していると考えます。
代表が十分な仕事をしていないと考えれば、人選を変えることができます。つまりこの社会を管理し、社会正義を実行するのは私たち自身の責任である。社会がうまくいかなければ自分たちで何とかするしかない。そういう大原則があります。
ところが中国の社会はそうではありません。現在だけでなく、中華民国時代の短い一時期、国内の一部で議会制民主主義が行われたことがある以外、古代から今に至るまで、中国には常に「支配者」が存在し、実力で世の中を制圧し、民草の意志とは無関係に「自分たちの都合」で統治を行ってきました。
法律とは支配者が「自分たちの都合」を実現するために作るものなのです。これは「良い、悪い」の問題ではなく、天地開闢(てんちかいびゃく)以来の現実としてそうであったし、現在の体制も例外ではないのです。
ただ、あまり強く文句を言うと身に危険が及ぶから、周囲の空気を忖度しながら要求を出したり引っ込めたりするのです。要は「社会を良くする」「社会正義を実現する」のは民草の責任ではなく、統治者の義務であるという点がポイントです。
そして、そのような状態を中国の普通の人々は、「喜んで」ではないが、受け入れているのです。それは、そのような状況しか体験したことがないから比較のしようがないこと、さらには統治者に対する不満はあれども、間違いなく「無秩序よりはマシ」だからです。
そして、統治者が仕事の遂行のために作る道具が「法」であり、それを使って世の中の秩序を維持することが「法治」です。人々は、統治者がそれを実行してくれるが故に、嫌々ながらも「税」という名の対価を払います。そういう構造が明らかに存在しています。
そして、そのような状態を中国の普通の人々は、「喜んで」ではないが、受け入れているのです。それは、そのような状況しか体験したことがないから比較のしようがないこと、さらには統治者に対する不満はあれども、間違いなく「無秩序よりはマシ」だからです。
そして、統治者が仕事の遂行のために作る道具が「法」であり、それを使って世の中の秩序を維持することが「法治」です。人々は、統治者がそれを実行してくれるが故に、嫌々ながらも「税」という名の対価を払います。そういう構造が明らかに存在しています。
孟晩舟氏 異母妹のアナベル・ヤオ氏 |
このように、日米のような先進国と、中国はそもそも、構造改革に関してあまりに差がありすぎます。
この差を埋めるにはあまりに溝が深すぎます。であれば、中国とそれ以外の先進国などとの国々は全く異なる社会を築き、互いに他と直接交わることなく、生活するしかなくなります。
それでも、交易をしたければ、民間が自由にすることなど不可能なので、米中政府(特に米国)が厳しく管理する中でするしかないでしょう。他国との交易も同じことです。
実際、現在のままの中国の体制ならば、そのようにするしかないでしょう。米国はまずそちらの方向に向けて大きく舵を切ったのです。
日米をはじめとする先進国は、いずれ中国が豊かになれば、おのずと、構造改革するであろうと考えてきました。というのも、これをある程度実行しないと、経験上強い国民国家を形成することはできなかったからです。
ところが、先進国の予想に反して、中国はこのようなやり方をしなくても、経済力・軍事力を強める方法を編み出しそれを実行しはじめ、実際にそれが効果を奏して中国は経済大国になりました。日米をはじめとする、先進国がこれを放置できないほどに発展してしまったのです。
ただし、私自身は、やはり先進国の見方が正しく、現在の中国は放置しておいても、経済の発展はとまり、多く発展途上国がそうであったように、ある程度の構造改革をしなければ、中進国の罠にはまりこみそこから一歩もはいあがれなくなると見ています。
実際、多くの発展途上国がそのような状況にあります。唯一の例外は、日本です。日本は、発展途上国から先進国になった唯一の例外です。ただし、日本は明治維新以来、構造改革を熱心にすすめてきました。
他にも、先進国から発展途上国になった事例が一つだけあります。それは、アルゼンチンです。これは、構造改革がいかに難しいのかを物語るものだと思います。
構造改革を先んじて達成した、先進国は、そこから発展途上国に戻るということはないのです。ただし、アルゼンチンではこの構造改革が逆戻りしたのでしょう。
中国もこの構造改革を後回しにすれば、いずれ経済成長は止まり、中進国の罠にはまりこむことになります。
現在は、その一歩手前にあると見て良いです。ただし、そのこと自体に気づいた中国がさらに、先進国の先進技術を盗み出し、そこから這い出そうとしたのです。だからこそ、米国はこれを徹底的に叩き潰そうとしているのです。
ただし、米国は現在の中共が統治の正当性を失い、少なくとも、貿易などは世界的なルールにしたがって実行しようとする勢力が、政権を掌握したときには、その政権が将来、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現することを期待し、援助・支援を行っていくことも視野にあるものと思います。
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