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2018年10月1日月曜日

米中貿易戦争が「流血戦争」になる可能性 歯止めは沖縄、台湾 国際投資アナリスト・大原浩氏―【私の論評】トランプは、中国の覇権阻止とナショナリズムへの回帰へと国家戦略を大転換しつつある(゚д゚)!

米中貿易戦争が「流血戦争」になる可能性 歯止めは沖縄、台湾 国際投資アナリスト・大原浩氏

習氏率いる中国に攻勢を強めるトランプ氏 
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 米トランプ政権が仕掛けた対中貿易戦争は、長期戦の様相を呈しているが、これが「血を流す戦争」にエスカレートしかねないと警鐘を鳴らすのが、中国事情に詳しい国際投資アナリストの大原浩氏だ。緊急寄稿で大原氏は、9月30日に県知事選が投開票された沖縄、そして台湾が米国にとって極めて重要な「防衛線」だと指摘する。

 米中の貿易戦争が無血戦争(冷戦)の一部であることは、これまでにも述べてきたが、冷戦が本物の「流血戦争」になる可能性はないのだろうか。結論から言えば少なからずある。ただし、それは習近平国家主席が米国に逆らい続けたときに限る。

国際投資アナリストの大原浩氏

 1962年のキューバ危機は、旧ソ連が米国の目と鼻の先のキューバにミサイル基地を建設したことがきっかけとなり、核戦争の一歩手前までいった事件である。

 実のところ、当時のソ連の指導者、フルシチョフは米国を甘く見ていたフシがあり、ケネディ大統領の「核戦争も辞さない」との強硬な態度に青ざめて、表面上強気を装いつつも、核ミサイルの撤去という譲歩(降伏)をしたのである。

 今回、キューバに相当するのが台湾だ。第二次大戦末期、蒋介石率いる中華民国(台湾)は連合軍の一員だった。米国とともに血を流して戦ったのは中華民国であり、少なくとも米国の共和党にとっての中国とは、民主主義・資本主義を守る台湾を意味する。

 1971年のキッシンジャー氏の電撃的中国訪問から始まった米中国交回復が、78年12月の第2次米中共同声明までかかったのには、米国内に根強い反共ムードや大量虐殺を行った毛沢東の存在など数多くの要因があるが、台湾問題が一番大きい。

 58年8月から中国人民解放軍が中華民国福建省金門島に侵攻すべく砲撃を行ったのが金門砲戦で、実質的な戦闘は2カ月以内に終わった。しかし、米中国交回復時の79年1月1日まで、なんと21年間にもわたって砲撃が続けられた。



 つまり、米中国交回復は「台湾問題棚上げ」によって実現されたのである。だから、この棚上げ問題にうかつに触れれば米中国交回復はご破算になる。トウ小平はそれをよくわかっていて「能あるタカは爪を隠す」路線を続けたのだが、現在の習主席は、航空会社に「台湾」表記を改めさせようとするなどの圧力を加えた上に、米国が嫌悪する独裁者の毛沢東を目指すなどと発言して虎の尾を踏んだといえる。

 民主主義国家がなかなか戦争に踏み切れないのは事実ではあるが、「民主主義防衛」の大義のためであれば、米国民は血を流す覚悟がある。

 沖縄の米軍基地問題も台湾問題とリンクする。沖縄の与那国島と台湾との間は直線距離で100キロ強しかなく、戦前は小舟で住民が行き来していたそうだ。

 垂直離着陸輸送機オスプレイは時速約500キロで飛行するから、台湾まではおおむね20分ということになる。共産主義中国政府、左翼系マスコミらが「反基地」「反オスプレイ」の大合唱を歓迎するのも当然だ。

 沖縄の米軍基地が極めて重要なのは、台湾に米軍基地を置けないという事情がある。米軍そして米国政府は当然、中国の台湾侵略の野心を承知しており、彼らが騒げば騒ぐほど、台湾防衛のために沖縄の基地を強化し、同時に中国に無血制裁を加え続けるのである。

【私の論評】トランプは、中国の覇権阻止とナショナリズムへの回帰へと国家戦略を大転換しつつある(゚д゚)!

米国と中国が、軍事的衝突を発生する潜在的な可能性に対する政治学的議論は従来からなされてきています。過去60年にわたり、米国の多くの人びとが米国と中国が衝突する可能性が大いにあると指摘し、米中間の軍事的衝突の可能性(いわゆる米中戦争)に対する議論がなされてきました。

米中間の軍事的衝突の舞台としては、過去には朝鮮半島ないしベトナム、現在では台湾海峡が想定されています。それぞれ詳細な考察が行われており、1960年代のベトナム戦争、冷戦の終結に続き、中国は軍事的優位性及び経済的存在感を増し続けている事を背景にして中国脅威論のひとつとして、米中冷戦が、なんらかのきっかけで軍事的衝突に繋がるかに対する危惧があるという潜在的可能性が指摘されています。

現在では主にネオコンといった政治的傾向を持つ識者が主張する場合が多いです。

ベトナム戦争の間、毛沢東をはじめとする中国の指導者は、米国のベトナムにおける戦略を大規模な核戦争の序章であると考えていました。1960年代を通して、中国人民解放軍海軍と空軍は中国の領空を侵犯した米軍機と衝突しました。

米軍の爆撃機が北ベトナムの6つの海軍基地を攻撃した後、1964年8月5日、周恩来と羅瑞卿は北ベトナムのホー・チ・ミン大統領、ファム・ヴァン・ドン首相、軍の幹部であるヴァン・ティエン・ズンと会談し、両国は米国の脅威に対抗するため軍事的な協力を行うことを約束しました。

その晩、人民解放軍海軍、空軍及び北京軍区の首脳が集まり、緊急ミーティングを開きました。彼らは北ベトナムでの爆撃が直ちに米国との戦争を意味するわけではないが、米軍の軍事的脅威が増加し広州や昆明の軍隊が警戒状態に入る必要があるという結論に達しました。

日本では、1965年には朝日新聞による世論調査が行われ、その年の8月24日に発売された朝日新聞は、日本人の半分以上である57%がベトナム戦争が米中戦争へエスカレートすることを恐れているという記事を掲載しました。

しかし、実際には中国と米国のリチャード・ニクソンはソビエト連邦に対する利害で一致したため、1972年にニクソン大統領の中国訪問が行われ、米中国交樹立が図られました。

最近では、多くの人は米中間が台湾独立をしたときに衝突し、日本はその戦争に巻き込まれるだろうと予想しています。

この戦争で核兵器が使われる可能性があるため、米国はEUが中国に対して武器を輸出することに反対しています。 スタンフォード大学のキム・チャンヨン教授は、そのようなシナリオにおいて中国が勝利を収める可能性は15%であり、米国が勝利を収める可能性は23%、相互確証破壊の可能性は62%であると推測しています。

近年では、将来危惧される第三次世界大戦の可能性のひとつとして「米中戦争」が論じられることがあります。

これはジョージ・W・ブッシュ政権で要職にあったネオコンのコンドリーザ・ライスやリチャード・アーミテージが論文で中華人民共和国が将来的には脅威になるとした中国脅威論を記したほか、それに影響された日本の保守論壇の一部が同様の可能性を主張しています。

これらによれば台湾に対し中国が軍事的制圧を実行する台湾侵攻作戦が米中間の軍事的衝突の引金になるというものです。

この手の議論では、最近ではやはりピーター・ナバロを忘れるべきではないです。そのナバロの書いた『米中もし戦わば』で彼は、米中戦争が起きる可能性は70パーセントとしています。

『米中もし戦わば』の表紙

本書を読めばなぜトランプ大統領は就任以来、中国叩きをしているのかその根本にある「ナバロ思想」が理解できます。400ページ近い分厚い本ですが、特にP332~339に書かれている「経済による平和」部分にその思想が詰まっています。
[経済力による平和の要約]
中国は、通貨操作や違法な輸出補助金、知的財産権侵害などの不公正な貿易方法で経済力と軍事力の強化をしている。特に中国がWTOに加盟して米国市場に参入してきてからは、米国は製造業が衰退し軍事力を維持することは困難になってきている。(実際、米貿易赤字の約半分は中国である。) 
つまり、現状のように中国製品への依存度が高い状態だと、米国は中国製品を買うたびに中国の軍事力増強に手を貸していることになる。よって中国の経済と軍拡を弱体化させる方策は、中国からの貿易関係を縮小すべきだ。米国が国際舞台でリーダーシップを維持するために最も重要なのは米国経済を健全化することで、そのために貿易赤字を削減しなければ中国に対抗できない。
このナバロ思想が的を射ているのか否かは別として、重要なのはこのナバロ思想を根幹にしてトランプ政権が通商政策を進めており、最近では対中国貿易戦争を開始したことです。

よくトランプ大統領のtwitter上での発言は思い付きで呟いているだけだという意見を目にすることがありますが、本書を読むとこうしたナバロ思想に基づいた一貫した発言であることが伺えます。

「アメリカ第一主義」を全面に出すトランプ政権とは逆に、自由貿易を提唱し始めているのが習近平国家主席です。これは極めて意外でした。習近平国家主席は2017年1月17日、スイスのダボス会議で基調講演をして、経済のグローバル化を指示し、保護主義を批判しているのです。

ダボスで基調講演した習近平

ただし、知的財産権を守ろうなどという気のない中国の習近平がこのような批判を行うこと自体が噴飯ものです。

そもそも、貿易に目を向けると、中国に拠点を置く外国企業は様々な規制にさらされ、市場へのアクセスも不足しているうえ、中国企業との合弁や技術共有なども義務づけられています。またEUとアメリカはこれまで何度、中国をダンピングでWTO(世界貿易機関)提訴したかわからないです。中国は、輸出大国であると同時に保護主義大国です。。

ダボス会議には中国は通常、首相が出席するのが慣例らしいのですが今回は国家主席が初めて出席しました。ダボス会議は資本主義の牙城と呼ばれているので、共産主義のトップが出席するのは驚きです。

その意図するところは、「米国に代わって世界の覇権国に君臨する」ことに他ならないです。習近平国家主席はダボス会議で「中国は外国人投資家の中国市場へのアクセスを拡大し、高度で実験的な自由貿易圏を作る」と述べ、「中国市場をより透明化して、安定した経済活動を行えるようにする」とできもしない約束をしました。

トランプ大統領がTPP撤退を決めたことを習近平はチャンスと思ったのかもしれません。中国が中国という国の構造上の問題から入りたくても入れないTPPにより、日米を含めた環太平洋諸国が繁栄することは、習近平にとって脅威だったに違いありません。

習近平が言及している自由貿易や経済のグローバル化とは「一帯一路」というユーラシア大陸やアジア諸国をひとつの経済圏とする思想を指すのだったと考えられます。しかし、そのようなまやかしだったことが今年なってから明らかになっています。

中国は世界貿易機関(WTO)に加盟したことで、世界のどこの国にも輸出できるようになりました。WTOには自由貿易のルールがあります。そのうちの一つは、「輸出補助金の禁止」。国家が企業の輸出促進のために補助金を出したら、企業のコストは下がり、輸出先での価格も下がるります。公平な自由市場を歪めるため、こうした行為は禁じられています。

ところが、中国は大量の輸出補助金を出し、実質的な国有企業として市場介入しています。

また、外国企業が中国に進出してきたら技術を公開させ、それを盗み、堂々と自国のものにします。国際ルールを破って、やりたい放題なのです。

そんな中国に対して、WTOも国連も過去のアメリカ大統領たちも無策でした。そこに待ったをかけたのがトランプ政権です。

世界を驚かせたのが、トランプ大統領が金正恩委員長に会った直後に、中国に対して、2000億ドルの制裁関税を言い出したことです。今起きていることは、単なる貿易紛争ではなく、米中の熾烈な覇権争いなのです。覇権争いという文脈でみれば、トランプ大統領や習近平の行動が良く理解できます。

それにしても、なぜアメリカは中国にこれほどの貿易赤字を許してきたのでしょうか。

1990年代の米国は、「製造業が海外に移転しても一向に困らない。これからのアメリカは"ものづくり"ではなく、金融とハイテクの大国になる」という風潮でした。

その結果、製造業の工場は国内からなくなり、労働者は職を失いました。そこにトランプ大統領が現れ、「工場をアメリカに戻す」と公約し、それを果たすために、減税と今回の関税政策を行いました。

関税のない「自由貿易」は、グローバリズムという資本主義の発展形に見えました。しかし、現実は、庶民と労働者を貧しくし、代わりに、中国に莫大な貿易黒字を許したのです。

トランプ大統領は、この反省に基づき、反グローバリズムへ、そして、中国の覇権阻止、自由貿易は尊重しながらも、ナショナリズムの回帰へと、国家戦略を大転換しているのです。これは、トランプ政権が終わった後にも、大部分が継承されるでしょう。

この大転換の中で、中国との軍事衝突はなるべく避けるという姿勢ではありながら、必要があれば、軍事的衝突も辞さないでしょう。そのためにこそ、海軍を大増強を目指し、先日はこのブログでもお知らせしたように、空軍力の大増強も目指しているのです。

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2017年2月10日金曜日

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」―【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

【米中戦争】米軍と人民解放軍どちらが強いのか 米国の軍事費は中国の3倍、カギになる「紛争地域までの距離」

1996年3月、台湾海峡に出動した空母インディペンデンスとCVW-5 出典: US Navy Photo Archive(NS091919901)
 米中戦争(紛争)を考えた場合、米軍と人民解放軍の実力差が気になる。

 人民解放軍の転換点は、1996年の台湾海峡危機だ。この年の台湾総統選において、独立派の李登輝氏の勝利に反対する中国は、台湾近海にミサイルを撃ち込むなど、露骨な軍事的圧力をかけた。

 だが、米軍の空母2隻が現れると、戦わずして屈服してしまった。この屈辱を契機に、人民解放軍の大軍拡が始まり、20年の短期間で軍事大国に成長した。

 単純に軍事費で比較すると、米国は中国の約3倍だ。軍事の総合力で、米国は圧倒的に第1位で、中国はロシアに次いで第3位という評価である。中国がロシアを追い越すのは時間の問題だろうが、「米軍に追いつくのは難しい」とみる識者(=元米国防次官補でハーバード大のジョセフ・ナイ教授など)が多い。

 米中紛争を考える際に、軍事の総合力の比較は参考にはなるが、より大切な要素は、紛争地域における相対戦闘力や紛争地域までの距離である。

 ランド研究所が2015年秋に発表した論文「米中軍事スコアカード」は、米中紛争の結果をシミュレーションした必読の文書である。

 米中紛争のシナリオとして「台湾シナリオ」と「南沙諸島シナリオ」を列挙し分析しているが、その結論部分を以下に紹介する。
 (1)人民解放軍は1996年以降、長足の進歩を果たしているが2017年の時点では米国の軍事力には追いつかない。

 (2)人民解放軍は、紛争の初期において、一時的・局所的な航空優勢と海上優勢を確立する能力を有する。

 (3)サイバー空間での戦い(サイバー戦)や宇宙空間での戦い(宇宙戦)においては、人民解放軍の先制攻撃が予想されるので注意が必要だ。

 (4)戦場までの距離は双方の作戦に重大な影響を及ぼす。一般的に、中国本土に近いほど米軍にとっては不利で、人民解放軍に有利だ。中国本土に近い「台湾紛争シナリオ」では両軍の実力が伯仲する。中国本土から遠い「南沙諸島シナリオ」では米軍が有利である。

 (5)人民解放軍が保有する1400発の短距離弾道ミサイルと、空軍力による台湾の航空基地に対する攻撃能力は高い。

 (6)米艦艇が中国本土から数千キロ離れた場所であっても、リスクなく自由に活動することが困難になっている。

 (7)米国にとって、同盟国や友好国の基地の提供は重要で、在日米軍基地は重要だ。

 米中紛争におけるいずれのシナリオでも、在日米軍基地に対する人民解放軍の攻撃が予想され、日本が米中紛争に巻き込まれる可能性は高い。詳しくは、拙著『米中戦争 そのとき日本は』(講談社現代新書)を読んでもらいたい。

 渡部悦和(わたなべ・よしかず)

【私の論評】旧ソ連のはまった罠、軍拡と宇宙開発、支那も(゚д゚)!

渡部悦和氏
ブログ冒頭の渡部悦和氏の分析の他にも、支那の軍事力などについては抑えて置かなければならないことがあります。

まずは、軍拡にはかなりの投資が必要であるという現実があります。これは、支那にとってはかなりの負担です。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。 
今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。 
旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。 
冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。
この記事では、ミサイル防衛システムを例に出しています。冷戦期、米国とソ連の軍事力は世界最先端で拮抗(きっこう)していましたが、両国には大きな違いがありました。それは、米国は世界一の経済力も誇っていたのですが、ソ連は発展途上国並みの経済力しかなかったということです。

それを見抜いていたのが、当時のロナルド・レーガン米大統領でした。レーガン大統領はソ連を「悪の帝国」と名指し、国防予算を大増額して「スターウォーズ計画」(戦略防衛構想)を推進しました。

これは、有事の際、アメリカ本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン、レーザーなどを搭載した人工衛星(攻撃衛星)の攻撃によって迎撃・破壊することを目的としていました。

「スターウォーズ計画」の名は、当時、大ヒットした同名のSF映画から付けられた通称です。

この構想の下、いくつかの兵器が試作されましたが、技術的にも予算的にも現実的ではなく、最終的には実用化されないまま沙汰止みとなりました。

これは当時、大軍拡を進めていたソ連への対抗上なされたプロパガンダであったとも、あるいは国内の景気対策や技術振興のためのテコ入れ策であったとも言われています。

事実、当時のアメリカはベトナム戦争の敗北によってもたらされた軍事的・経済的打撃からの回復途上にあり、レーガン政権は「強いアメリカ」を政策目標としていました。

しかし、ソ連はこれに追いつこうと無理をしたため、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊しまいました。

まさに、支那も、旧ソ連と同じワナにはまっています。軍事費を毎年増加させています。軍拡に関しては、支那は旧ソ連よりもさらに厳しい状況にあります。

当時のソ連は戦後にドイツの技術者を大量にソ連に連行して、ソ連で様々な開発に従事させました。そのため、軍事技術に関してはそれなりに世界水準のものを維持することができました。

しかし、支那の場合は、そのような基礎がないため、ロシア、米国、日本などの他の先進国から盗むか、購入することが多いのです。これにも、かなり費用がかかります。

しかし、軍事技術の核心的な部分は、どの国も機密あつかいであり、それを支那に明かすことはありません。そのためでしょうか、支那空軍では慢性的な部品不足に見舞われていて、航空機の稼働率がかなり低い状況になっています。

そのせいで、支那のパイロットの年間飛行時間は、自衛隊のパイロットの1/10程度とされています。航空機の稼働率があまりのに低いので、パイロットの訓練が犠牲にされているのです。

そうして、支那はソ連から技術を導入して、宇宙開発にも熱心です。これもかなり費用がかかります。

これについても、その実体をこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は支那を滅ぼす(゚д゚)!
組立中の天空1号
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ掲載します。
支那では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、支那の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、支那の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は支那を滅ぼすだけです。

支那が本当に実行すべきは、まずは支那共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、支那はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、支那共産党はこのことには全く気づいていないようです。
宇宙ステーションの管理や、運用にはかなりの経費を必要とします。米国ではNASAが国際宇宙ステーションの管理をしていましたが、NASAの官僚主義的な運営の仕方で、とてつもない金食い虫となっていたため、2012年から実験室とその設備の管理をNGOの宇宙科学進歩センター(CASIS: Center for the Advancement of Science in Space)に委ねました。

支那の場合も、宇宙ステーションを稼働させたにしても、官僚主義の蔓延によって、ほとんど実質的に何の富を生み出すこともできず、金食い虫になるだけでしょう。

さて、 ドナルド・トランプ米大統領が就任してから、支那から外資系企業が続々と撤退しているといいます。4月以降、さらに撤退が加速するらしく、支那で「約1億人のリストラ」が行われる可能性が指摘されています。

この状況では、支那は、かつてのソ連と同じく、米国に追いつこうと無理をして、もともと脆弱な経済がさらに立ちゆかなくなり、国家財政が破綻して崩壊することになるでしょう。

いますぐということはないでしょうが、その方向に向かって進んでいるのは間違いないです。

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