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2014年10月7日火曜日

消費再増税 国民から総スカン 与党からも「延期コール」―【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!



2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げが、報道各社の世論調査で総スカンとなっている。市井の“空気”を察知してか、政権担当時に消費税増税を主導した民主党が「ちゃぶ台返し」(枝野幸男幹事長)をほのめかし、安倍晋三政権を揺さぶり始めた。自民党内でも、引き上げ慎重派が勉強会を開催するなど、動きが活発化している。

 フジテレビ「新報道2001」が5日公表した世論調査によると、税率引き上げを「先延ばしすべきだ」と答えたのは51・6%で、「予定通り引き上げるべきだ」の15・4%を大きく上回った。「軽減税率を設けて引き上げるべきだ」(29・4%)を合わせても、先送り派が多数派だ。

 読売新聞が6日報じた調査では、来年10月の引き上げへの「反対」は68%、「賛成」は28%。日経新聞が先月末に報じた調査でも、「反対」66%、「賛成」28%だった。

 枝野氏は9月29日のBSフジ番組で、再増税反対もあり得ることを示唆した。

 維新の党をはじめ、民主党以外の野党は再増税には慎重姿勢だ。

 一方、自民党の山本幸三衆院議員は1日、引き上げに慎重な議員による勉強会を開いた。山本氏が所属する岸田派の若手約10人が参加し、安倍首相の経済政策のブレーンで、増税延期を唱える本田悦朗内閣官房参与が講師を務めた。賛同者を募り、今後も開催する考えという。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!

ようやっと、再増税に対する反対意見が出揃うようになってきたようです。これは、あたり前のど真ん中であり、デフレの最中に増税するなどは、政治的な駆け引きを抜きに純粋な経済政策として考えれば、あり得ない世迷い事に過ぎません。

そもそも、7月~9月の景気の落ち込みは、増税が主たる原因であり、それ以外に理由は見当たりません。にも関わらず、来年の10%再増税を実行するなど、完全に常軌を逸しているとしかいいようがありません。

増税派にとって、増税は快感なのか・・・・・・・・・(アニメ・カイジより)

しかし、政府はあくまでも増税路線を崩さないかのようにみえます。

その査証として、内閣府の経済トンデモ分析があります。内閣府の分析によれば、7~9月期の景気の落ち込みは、増税によるものでなくて、天候によるものだとしていますが、これはどう考えてもおかしいです。かなり無理があります。

確かに、東日本大震災のような大災害の場合には、景気にも明らかに影響を及ぼしましたが、今年の天候不順がそれ程の大打撃を与えたとは思えません。

これに関しては、私などが分析したものより、高橋洋一氏の分析したもののほうがよりわかりやすいので、それに関する記事のURLを以下に掲載します。
「天候不順で景気低迷」なんて大ウソ!消費増税の影響無視した内閣府の「素人分析」を暴く
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要旨を掲載させていただきます。
内閣府が、経済財政諮問会議に報告した資料は公開されている(→PDFはこちら)。それによれば、基本的には、①気温が夏物商品等(気温による影響が大きい品目)に与える影響試算と、②降水量が消費に与える影響試算によっている。この両者で影響額は▲0.7兆円なので、最大影響になっている。
資料では、①の影響額は▲0.5兆円、②は▲0.2兆円となっている。両者の推計方法は異なっており、①は〈総務省「家計調査」等により、平均気温が、飲料、酒類、アイスクリーム、外食、白物家電、電気代の消費支出に与える影響を推計。それぞれの影響額を積み上げ〉とミクロ的な手法で、②は〈内閣府「国民経済計算」等により、降水量が個人消費に与える影響を推計〉とマクロ的になっている。
なお、別の方法でも、天候の消費に与える影響を試算しているが、消費減少をすべて天候のためとみなすなどいささか乱暴なものであるので、①と②に絞ってみよう。
まず、①の手法はまずい。というのは、ある品目が気温の影響を受けて消費量が変わると、その代わりに他の品物の消費量が変化することを考えていないからだ。内閣府の資料にも、注として小さく「各品目の消費減を受けた他品目の代替需要増は考慮していないことに留意が必要」と書かれているが、役所の資料では、小さな注が重要な意味を持つことが多い。要するに、はっきりいえば意味のない推計だ。
②は一応、マクロ的な手法である。実質家計最終消費支出(前年比)を、実質雇用者報酬(前年比)と降水量(前年比) で回帰分析している、だったら、同じ手法で、①をやらないのか不思議だ。担当者は、当然①もやっていると思われるが、あまり都合のいい結果でなかったのだろう。それで、①はミクロ的な手法になっていると思う。
次に、データで今年の7-9月の天候を振り返っておこう。この種のデータは気象庁に豊富にある(→こちら)。上記②では、北日本、東日本、西日本で天候データを使用しているので、7-9月におけるそれらの気温と降水量の平均を調べよう。
気温は平年との差であり、以下のように、今年は平年並みだった。特に低温ではないが、前年と比べると1℃程度低かった。
降水量は平年に比べた割合(%)であり、以下のように平年に比べると14%程度多かった。ただし、前年も8%程度多かったので、前年と比べると6%程度の増加だけだ。
いずれにしても、今年7-9月の気温と降水量を見る限り、特別に低温・多雨というわけではない。
さて、気温が消費にどのような影響を及ぼすかを調べよう。手始めに、気温の前年との差と消費伸び率の関係を見てみよう。
気温と消費には、相関係数0.39と弱い相関があるが、正直言って、この弱い相関をもって、気温が消費に影響を及ぼしていると断言するのはやや無理があるだろう。②のように、実質雇用者報酬(前年比)を説明変数に加えれば、多少全体の説明力は高くなるが、どうにも気温の消費への影響は弱いままだ。
上の図での気温と消費の関係は弱いものの、あえて気温の1℃の変化に対応する消費の変化は年率換算で0.7%程度、GDPの年率換算で0.5%程度である。したがって、今年の気温変化1℃の低下では、7-9月期のGDPは年率換算で▲0.5%程度の押し下げだ。
次は、降水量と消費だ。降水量の前年比、消費伸び率の関係を見れば、以下のとおりだ。

降水量と消費の相関係数は▲0.18、これは相関がないと言っていい。というわけで、降水量の消費への影響は無視できる。 
以上をまとめると、今年の気温は平年並で、昨年より1℃程度低いが、その消費へ与えるは軽微で、せいぜい7-9月期のGDPを年率換算で▲0.5%程度押し下げるかもしれない。もっとも、その確度はかなり低い。 
また、今年の降水量は平年より14%程度多かったが、降水量と消費には明瞭な関係は見出されず、7-9月期のGDPについて影響は無視できる。
以上が高橋氏による分析です。私も分析してみようとは思ったのですが、先にも述べたように、今年の天候不順など、東日本大震災などに比較すれば、微々たるものであり、最初からほんど影響ないことは判りきっているのでやめました。

それにしても、相関係数が0.39とか▲0.18ということでは、そもそも何の相関関係もないということです。

ちなみに、相関係数(そうかんけいすう、: correlation coefficient)とは、2 つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標です。原則、単位は無く、−1 から 1 の間の実数値をとり、1 に近いときは2 つの確率変数には正の相関があるといい、−1 に近ければ負の相関があるといいます。

こんなことは、大学などで統計学を学んだ方や、大学院などで実験や観察などを行い統計データ実際にとった方ならどなたでもご存知でしょう。

まともな大学や大学院で、学生がデータ解析などを行い、この程度の数値をもとに論文を書いたとすれば、そんなものはとうてい教官がパスはしません。

相関係数が0.39とか▲0.18程度のものをあたかも関係があるかのように述べれば、それは虚偽以外のなにものでもありません。

はっきりいえば、内閣府が虚偽資料を出しているということであり、とんでもないことです。

これについては、高橋洋一氏も、元記事の結論部分で、「そもそも、この天候の消費への影響試算は、高市早苗総務相が要請したものである。高市総務相は、かねてより消費増税を予定通りに上げたいと主張していた。そこで、内閣府は無理矢理「影響あり」との結論ありきで試算したのではないか。推計手法の稚拙さ等から、そう思わざるを得ない」としています。

高市総務相 
それにしても、内閣府も酷いものです。まともであれば、いくら高市総務相の要望とはいえ、実際に試算してみて、天候や雨量と消費の間には何の相関関係もないことがはっきりすれば、それを高市氏に示して、こんな資料は偽資料に過ぎず出せば詐欺になるので、やめましょうというべきでした。

こんな資料を公にすれば、高市総務相はもとより、内閣府自体も信用が毀損されます。誰にも信用されなくなります。

しかし、今の内閣府はそうではないようです。実は、内閣府がこのような虚偽資料を出すのは、今回だけのことでありません。

以前にもそのようなことがありました。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
詳細は、この記事をご覧いただくもの、この記事は昨年の7月のもので、この月に経済白書が公表されているのですが、その内容が酷いものでした。

要約していいますと、昨年の経済白書では、イギリス、イタリア、 スペイン、ポルトガルなどEU諸国では、増税をしたということを掲載しているのですが、その事実だけを掲載して、増税後の惨状については掲載していないのです。

これは、著しくバランスを欠いています。

なお、これについては、高橋洋一氏も詳細を解説していました。これも、このブログに掲載したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
増税と成長の関係は分析不足 経済財政白書は全文を読もう―【私の論評】内閣府にも日経にも、大規模な経済シミレーターがありかなり正確なシミレーションができるというのに、せっかくの素晴らしい資産を役に立てられない愚かな人々!!
 これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、要点だけを以下にコピペさせていただきます。
 ただ、欧州の例を挙げ、「消費増税は成長を阻害しない」との見方を示しているのはおかしい。これも経済財政白書を読むと、どこに分析があるのかと首をかしげてしまう。 
 本来であれば、(1)消費税増税前(2)増税時(3)増税後、それぞれの実質GDP成長率について、3つの資料がないとダメだ。もし、経済財政白書の主張を言いたいなら、(1)の成長率が、駆け込みの反動で(2)の成長率に落ち込むが、その後は(3)で成長率が戻るといわなければいけない。 
 ところが白書には、(1)と(2)の図が載っているが、(3)がない。これでは、結論に至る分析がないので、結論ありきだ。経済財政白書は内閣府がまとめているが、財政のところは財務省の意向なのだ。
結局は、今の内閣府の出した『経済白書』における、財政の部分に関しては、増税ありきの財務省の意向が掲載されているということです。

内閣府ができる前には、経済企画庁という組織がありました。経済企画庁とは、2001年(平成13年)1月5日まで存在した日本の中央省庁の一つであり大臣庁でした。

総理府の外局として設置され、長期経済計画の策定、各省庁間の経済政策の調整、内外の経済動向に関する調査・分析、国民所得の調査等を所掌した。長は国務大臣経済企画庁長官でした。

元々は、この経済企画庁が『経済白書』を出版していました。経済企画庁が出していたころの、『経済白書』は、至ってまともなものでしたし、その他の資料もまともで、今回の内閣府出した「天候不順で景気低迷」などというような、とんでもない資料を出すようなことはありませんでした。

内閣府本庁舎

しかし、この経済企画庁は、2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編の実施に伴い総理府本府、沖縄開発庁などと統合され内閣府が発足、経済企画庁の業務は内閣府政策統括官(経済財政運営担当・経済社会システム担当・経済財政分析担当)、内閣府国民生活局などに承継されることとなりました。

実は、この経済企画庁には素晴らしく精度の高い、大規模な経済シミュレーターがあり、このシミュレーターにもとづき、経済企画庁は、あの日本の高度成長などを主導してきました。

このシミュレーターも、内閣府に引き継がれているはずなのですが、上でも掲載したように、とんでもない資料を出すような不始末をしでかすようになってしまいました。

結局、今の内閣府は、経済に関して独自に資料を出すというのではなく、こと財政に関しては、 政治家や財務省の意向にかなり左右される組織に落ちぶれたということなのだと思います。

今の内閣府の官僚どもには、あの経済企画庁だった時代の気概はもうないのでしょうか、本当に困ったものです。

日銀が、昨年金融引き締め一辺倒から、異次元の包括的金融緩和に華麗に転じたように、内閣府もかつての経済企画庁のような組織に華麗に変身していただき、日本財政をリードするような存在になっていただきたものです。

そうして、金融政策+財政政策により、一刻もはやくデフレから脱却できる体制を整えていただきたいものです。

今のままでは、とてもじゃないですが、日本はデフレという無限地獄から抜け出すことはできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年8月24日日曜日

ドクターZは知っている STAP騒動と論文問題―【私の論評】学問の世界を歪めるどころか、とんでもない惨禍をもたらす、マスコミの『空気』醸成に乗るな、そそのかされるな、加担するな(゚д゚)!

ドクターZは知っている STAP騒動と論文問題

お昼のワイドーショーの番組に流れる笹井氏死亡のテロップ。
何やら、今の日本の状況を象徴しているような気がする。

STAP騒動で明るみにでたのは、学術界における論文のデタラメさ。こと理系におけるその杜撰さは、多くの人にとって意外感があったため、マスコミで大大的に取り上げられた。

しかし、マスコミが圧倒的な文系社会、しかも学術界とは縁遠い人々で構成されている。

マスコミは、論文を「学術界で確立したもの」と見る傾向がある。しかし、論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある。

批判されるだけまだましなほうで、あまり相手にされないことがほとんど。受け入れられている場合は論文の被引用回数が多いし、批判されれば批判論文が出てきて、これも被引用回数が多くなる。

マスコミは、今回のSTAP騒動で報道の限界も露呈させた。論文掲載があくまでスタートであるにもかかわらず、STAP細胞があるかどうかを白黒をはっきりさせようとした。

しかし、今回のSTAP騒動では、記者会見という場で真偽をつけるかのようなマスコミがあったが、「素人」マスコミに科学論争の決着をつけられる実力があるわけでなく、学者に記者会見をさせてその様子をワイドショーの題材にしただけだ。STAP細胞は証明されない仮説のまま論文が違っていた公算が高いが、翻って、文系の世界はどうなのか。実はこれが、理系よりデタラメなのである。

例えば経済政策は国民にとって重要だが、それを政府に指南する経済学者。昨年秋に、そうそうたる経済学者、エコノミストが消費税増税しても影響は軽微であると話していたが、実際はそうでない。最近出てくる経済指標はどれも、「想定内」とはいえないような悪い数字ばかりだ。

おそらくマスコミは、経済学者、エコノミストが1年前に言っていたことも忘れているのだろう。今回の消費税増税は'97年と違ってアジア危機もないので、影響は限定的と言っていたのではないか。そうした主張をする経済学者、エコノミストをマスコミは使って、国民には有益でない情報をまき散らしていた。

STAP細胞は間違いでも、国民生活にはたいした影響がない。しかし、「増税の影響は軽微」と語る専門家の進言で消費税増税が行われたとしたら、国民はたまったものでない。

もっとも、それらの経済学者、エコノミストは、財務省の「ポチ」である。ポチの書いた論文のデタラメさは、素人のマスコミでもわかりそうなものだ。おっと、そのマスコミも軽減税率というエサで財務省に籠絡されているのだから、その意向を無視して記事を書けないというわけか。

『週刊現代』2014年8月30日号より

この記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】学問の世界を歪めるどころか、とんでもない惨禍をもたらす、マスコミの『空気』醸成に乗るな、そそのかされるな、加担するな(゚д゚)!

このブログでも、STAP騒動については、何度か掲載しましたが、いくつか記事を書いてみたものの、何やら消化不良のようなものを感じていました。

しかし、本日上記の記事を見て、なにやらすっきりしました。

そうなんです、まさに、「論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある」のです。

これは、学問界の常識です。私は学生の頃生物学を学んでいました。その時経験したことからもこのことは確かです。

私は、学生だったころ、助教授(現在では、准教授)と、いわゆるポスドク(後に若くして地方大学の助教授になった人)と3人で、とはいっても、これが当時の講座の全員で、大学内で開催された学会に行きました。今から思えば、本当に贅沢な環境だったと思います。一つの講座がたった、3人ですよ。そのかわり、それなりにシンドかったですが・・・・・・・(笑)。そうして、学会での発表を聴くのはこのときが初体験でした。

3人は、自由行動することとして、時間を決めて昼には、レストランに集合して、食事をすることにしていました。そのため、私は私で、自分の聴きたい発表を聴きました。そうして、これは後でどのようなものだったのか報告することになっていました。

報告する以上、いい加減なことはできず、まともな発表と、その内容しっかりと控えておく必要がありました。

そうして、いくつかの発表を聴いてみたのですが、驚くべきことを発見しました。

いくつか、「タイトル」から非常に面白そうだったので、2つほど聴いてみましたが、これが素人目にもすぐにわかるような酷い内容で、何といえば良いのか、カルト的とも言いたくなるような内容だったので、時間の無駄と思い途中で退席しました。

このカルト的ともいえるような、発表ですが、聴いている人はわずか数人とか、多くても十数人でしたが、それでも聴いている人いるし、私が退席した後でも聴いている人は聴いていました。

さて、昼飯時に助教授(当時の年齢はおそらく38歳くらいの新進気鋭の方でした)にその話をしてみたところ、驚くことに別にその発表の内容自体を完全否定はされませんでした。

もう、随分昔の話なので、カルト的な内容の発表自体も、助教授の話も良くは覚えていませんが、そのときの助教授の話は、「確かに今カルト的に聴こえるかもしれませんが、実はそうした研究が、数十年後に世界を変えるかもしれないし、あるいは、まったくこの世から消えてしまうかもしれません。しかし、最初から全部を否定していては、学問は進展しません」というような内容でした。

世の中の人の多くは、学会での発表というとそれこそ、上の記事のSTAP細胞の論文のように「学術界で確立したもの」と見る傾向があるのではないかと思います。

私も当時は、そのように考えていて、助教授に、では私も場合によっては、あのようなカルト的な内容を発表することができるのかという質問をしたところ、先生は、「学会員となり、手続きをきちん踏んでなら、無論できます」ということでした。

学会での発表もまさしく「学術界で確立したもの」が発表されているわけではないのです。

学問界で発表されるのは学術界で確立したもの」ではない。
そんなことは学者は最初から知っている。知らないのはマスコミ?

しかし、そもそも、出鱈目を発表したとしても、まずは最初からあまり聴く人はいないですし、そのとき発表した内容も誰からも引用されず、いずれ世の中からきれいさっぱり消えるわけです。

ただし、きれいさっぱり消えたと思われていたものが、数十年後に別の学者の目にとまり、その後発展した技術やノウハウなどを用いて実験をしてみたら、本当であるどころか、画期的で次世代を切り拓くようなものであったことが再発見されることもあります。無論、そうなることは滅多にはありません。

しかし、このようなことがあるからこそ、学問の世界、特に科学の世界においては、新たな芽を摘むことにならないように、学会での発表や、論文発表など手続きさえ踏めば自由にさせているしすべての発表や論文を保存しているのです。

STAP細胞も存在する可能性も十分あり得るわけです。ただし、何かが足りなくて、再現できないのかもしれません。それは、ひょっとすると、今後の新たな技術やノウハウ、新素材などを用いると克服できるものである可能性は否定できません。

このようなことを完全否定したために、とんでもないことになり、多くの死ななくても良い生命を犠牲にしたなどという例もあります。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、研究の成果が葬られてしまい、 多くの死ななくても良い生命を犠牲にした事例に関するところのみを以下にコピペさせていただきます。
たとえば、現在医学の世界で、当たり前とされる、お産や手術のときの滅菌など、最初に提唱した医師など、誹謗中傷されて、最後には精神に異常きたして死亡しています。
その医師は、センメルヴェイス・イグナーツ・フュレプ という、ハンガリー人の医師です。1818年7月1日 、ハンガリー王国ブダ市タバーン町に生まれ、1865年8月13日、オーストリア帝国ヴィーン市デープリング町にて死去。オーストリアのウィーン総合病院産科に勤務。産褥熱、今日で言う接触感染の可能性に気づき、その予防法として医師のカルキを使用した手洗いを提唱しました。しかし存命中はその方法論が理解されず大きな排斥を受け不遇な人生のまま生涯を終えました。現在では当然の如くに採用されている消毒法及び院内感染予防の先駆者とされ、「院内感染予防の父」、「母親たちの救い主」と呼ばれています。現在その肖像画が切手としても使われています(写真下)。
センメルヴェイスの説が受け入れられなかった最大の理由は、「患者を殺していたのは医師の手である」という医師にとって受け入れがたい結論にありました。当時、センメルヴェイスの論文を読んだ医師が自殺するという事件まで起き、説を認めることは医師が大量殺人を行ってきたことを認めることになるからでした。また、彼自身が論文を書くのを苦手としたために、研究成果を論文として発表することが大きく遅れた点も不幸でした。それでも、スイスの雑誌に発表した論文がイギリスの外科医ジョゼフ・リスターに読まれ、手を消毒することで細菌感染を予防するという消毒法がもたらされました。それによって、お産や手術による死亡者が激減したことはいうまでもありません。
このような事例もあるからこそ、学問の世界では、新たな発見の芽をつむことがないように、学会での発表や、論文の執筆など、手続きを踏めば自由にできるようにしているのです。

そもそも、こうしたことは学問の前提なのですが、こうしたことをマスコミがほとんどわきまえていないため、あのようなSTAP騒動が、拡大されてしまったのだと思います。挙句の果てが、あの理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長の自殺騒動です。

マスコミは無論のことですが、多くの人々になぜ学問の世界では、手続きさえ踏めば、自由に発表ができたり、論文を出すことができるのかを理解していただきいものです。

ただし、これは学問の世界のことです。

現実社会はそうはいかない場合もあります。

ブログ冒頭の記事でも、筆者は以下のように締めくくっています。
STAP細胞は間違いでも、国民生活にはたいした影響がない。しかし、「増税の影響は軽微」と語る専門家の進言で消費税増税が行われたとしたら、国民はたまったものでない。 
もっとも、それらの経済学者、エコノミストは、財務省の「ポチ」である。ポチの書いた論文のデタラメさは、素人のマスコミでもわかりそうなものだ。おっと、そのマスコミも軽減税率というエサで財務省に籠絡されているのだから、その意向を無視して記事を書けないというわけか。
確かににそうです、STAP細胞に関しては、たとえ発表や論文掲載が過ちであったとしても、先の消毒の件のように、いたずらに多くの一般人の犠牲者を出すということはありません。もし、本当であれば、様々な可能が膨らむということです。

しかし、増税に関しては、違います。正統な経済の学会では、「学術界で確立したもの」として、デフレの際の増税は間違いです。これを正しいという人は異端とされます。正しくは、デフレのときに実施すべきは、増税ではなく、金融緩和と、積極財政です。間違っても、増税などの緊縮財政なと行うべきではありません。

また、学問の世界ではない現実世界でも、これは間違いです。

これに関しは、昨日のブログにも掲載したばかりです。その記事のURLを以下に掲載します。
GDP予想をまったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当たる!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け!とはいっても多くの人々が幻惑されないよう反論はしておくべし(゚д゚)!
詳細は、この記事を読んでいただものとして、今回の増税の特異性について以下にコピペさせていただきます。
 
しかし、今回の増税が非常にまずいのは最初からわかっていることです。どうしてまずいのか、いかにその理由をあげておきます。 
まずは、第一に日本は未だデフレから解消しておらず、デフレ下の増税は日本でははじめてのことです。これは、良くいわれていることで、いまさらという感じもしますが、以下にまとめておきます。
第一回目の3%増税のときは、日本はインフレでした。
第二回目の97年の5%増税のときも、日本はデフレ気味ではありましたが、あくまで気味というだけで少ともデフレではありませんでした。その後日銀法が改正され、98年からは、完璧にデフレのどツボにはまりました。
完璧にデフレ基調(要するに一部の例外を除き、全体では給料が下がり続ける最中)のときの増税は、今回が初めてということです。
第二に、過去2回の増税のときは、今回のようなネット増税ではありませんでした。
89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネット(全体)で減税でした。97年増税時には、先行減税があり、実質的には増税でも減税てもない中行われまた。しかし、今回の増税はネット(正味の)増税です。
これの悪影響がないはずはありません。唯一の救いは、昨年の4月より、日銀が異次元の包括的金融緩和に転じたことです。
しかし、それにブレーキをかけるような増税です。増税しなければ、2年から3年で日本はデフレから脱却できて、税収もあがり財政再建のめどもたったかもしれませんが、上記のような理由により、デフレからの脱却はかなり遠のくことが考えられます。
来年の10%増税もそのまま実行してしまえば、デフレ脱却のめどはたたなくなります。
日本では、何やら論理的でもなんでもないような、空気というようなものがあります。STAP騒動に関しても、そうです。マスコミなどが空気を醸成してしまうと、学問界の規範まで歪められてしまいます。

朝日新聞の空気の醸成によって、日本にはすっかり自虐的歴史観が根付いてしまいした。

それどころか、戦前などでは、本来は日本はアメリカと戦争をする必要性などなかったのに、いつの間にやら、当時の朝日新聞などの大手新聞の煽りも手伝い、米国と戦争しなければならないという空気が醸成され、本当に戦争をしてしまいました。

空気は読むな(゚д゚)!

おまけに、戦争後は、日本は米国に対して全く無謀で、勝ち目のない戦を挑んだという空気が醸成され、多くの人々がそれを今でも頑なに信じ込んでいます。

これに関しては、ここで説明していると長くなってしまうので、倉山満氏の『大間違いの太平洋戦争』、『負けるはずがなかった! 大東亜戦争』などを参照なさってください。

ただし、このようなことを言い出したのは、倉山満氏がはじめてのことではなく、アメリカの学者なども語っていたことです。ただし、倉山氏の書籍は、まずは日本語であるということで読みやすく、しかもかなり良くまとまって理解しやすくなっています。

それにしても、マスコミは学問の世界の規範を歪曲したり、経済のあり方まで歪曲します。ありとあらゆる、歪曲とそのための印象操作をします。

そうして、昔からその手口は共通しています、それは、非論理的な『空気』を醸成することです。なにやら、大勢が言っているから、それでいいやというやつです。

これには、本当に日本人は弱いです。日本は、言葉も、生活習慣も単一文化といっても良いくらいですから、良い面では人の気持を察するなどのことができますが、それが悪いところにでると、論理的に考えもせず、空気に押し流されてしまうということがあります。

これが、アメリカあたりだと、言葉も文化背景も、もともと千差万別であるため、最初から他の人の空気など読めず、しばしば議論になるということはあるものの、空気に押し流されるということはあまりありません。しかし、そのアメリカですら、日本と戦争をしなけばならないという空気が醸成され、本当は、全くする必要もなかった日米戦争に突入してしまいました。

本当に『空気』とは、恐ろしいもので、多くの人々の誤謬に導いてしまう、とんでもない代物です。

その『空気』に乗ってしまえば、私たちは、そそのかされ加担したことになります。そうであってはいけません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【書評】『マスコミ堕落論』西村幸祐著―【私の論評】メディアの知的レベルが、一般国民に追いぬかれたは、メディアに「機能的非識字者」が増えたためでもある(゚д゚)!

STAP細胞報道、ブロガーに完敗したメディアは「取材を尽くした」と言えるのか―【私の論評】全聾の作曲家佐村河内守報道から結局何も変わらなかった、マスコミの報道姿勢を糾弾する(゚д゚)!

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トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は?―【私の論評】発足もしてない政権に対して性急な結論をだすべきではない

トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は? まとめ トランプ次期大統領はNATO加盟国に国防費をGDP比5%に引き上げるよう要求し、ウクライナへの支援は継続すると伝えた。 現在のNATOの国防費目標はGDP比2%であり、ク...