お昼のワイドーショーの番組に流れる笹井氏死亡のテロップ。 何やら、今の日本の状況を象徴しているような気がする。 |
STAP騒動で明るみにでたのは、学術界における論文のデタラメさ。こと理系におけるその杜撰さは、多くの人にとって意外感があったため、マスコミで大大的に取り上げられた。
しかし、マスコミが圧倒的な文系社会、しかも学術界とは縁遠い人々で構成されている。
マスコミは、論文を「学術界で確立したもの」と見る傾向がある。しかし、論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある。
批判されるだけまだましなほうで、あまり相手にされないことがほとんど。受け入れられている場合は論文の被引用回数が多いし、批判されれば批判論文が出てきて、これも被引用回数が多くなる。
マスコミは、今回のSTAP騒動で報道の限界も露呈させた。論文掲載があくまでスタートであるにもかかわらず、STAP細胞があるかどうかを白黒をはっきりさせようとした。
しかし、今回のSTAP騒動では、記者会見という場で真偽をつけるかのようなマスコミがあったが、「素人」マスコミに科学論争の決着をつけられる実力があるわけでなく、学者に記者会見をさせてその様子をワイドショーの題材にしただけだ。STAP細胞は証明されない仮説のまま論文が違っていた公算が高いが、翻って、文系の世界はどうなのか。実はこれが、理系よりデタラメなのである。
例えば経済政策は国民にとって重要だが、それを政府に指南する経済学者。昨年秋に、そうそうたる経済学者、エコノミストが消費税増税しても影響は軽微であると話していたが、実際はそうでない。最近出てくる経済指標はどれも、「想定内」とはいえないような悪い数字ばかりだ。
おそらくマスコミは、経済学者、エコノミストが1年前に言っていたことも忘れているのだろう。今回の消費税増税は'97年と違ってアジア危機もないので、影響は限定的と言っていたのではないか。そうした主張をする経済学者、エコノミストをマスコミは使って、国民には有益でない情報をまき散らしていた。
STAP細胞は間違いでも、国民生活にはたいした影響がない。しかし、「増税の影響は軽微」と語る専門家の進言で消費税増税が行われたとしたら、国民はたまったものでない。
もっとも、それらの経済学者、エコノミストは、財務省の「ポチ」である。ポチの書いた論文のデタラメさは、素人のマスコミでもわかりそうなものだ。おっと、そのマスコミも軽減税率というエサで財務省に籠絡されているのだから、その意向を無視して記事を書けないというわけか。
『週刊現代』2014年8月30日号より
この記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!
【私の論評】学問の世界を歪めるどころか、とんでもない惨禍をもたらす、マスコミの『空気』醸成に乗るな、そそのかされるな、加担するな(゚д゚)!
このブログでも、STAP騒動については、何度か掲載しましたが、いくつか記事を書いてみたものの、何やら消化不良のようなものを感じていました。
しかし、本日上記の記事を見て、なにやらすっきりしました。
そうなんです、まさに、「論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある」のです。
これは、学問界の常識です。私は学生の頃生物学を学んでいました。その時経験したことからもこのことは確かです。
私は、学生だったころ、助教授(現在では、准教授)と、いわゆるポスドク(後に若くして地方大学の助教授になった人)と3人で、とはいっても、これが当時の講座の全員で、大学内で開催された学会に行きました。今から思えば、本当に贅沢な環境だったと思います。一つの講座がたった、3人ですよ。そのかわり、それなりにシンドかったですが・・・・・・・(笑)。そうして、学会での発表を聴くのはこのときが初体験でした。
3人は、自由行動することとして、時間を決めて昼には、レストランに集合して、食事をすることにしていました。そのため、私は私で、自分の聴きたい発表を聴きました。そうして、これは後でどのようなものだったのか報告することになっていました。
報告する以上、いい加減なことはできず、まともな発表と、その内容しっかりと控えておく必要がありました。
そうして、いくつかの発表を聴いてみたのですが、驚くべきことを発見しました。
いくつか、「タイトル」から非常に面白そうだったので、2つほど聴いてみましたが、これが素人目にもすぐにわかるような酷い内容で、何といえば良いのか、カルト的とも言いたくなるような内容だったので、時間の無駄と思い途中で退席しました。
このカルト的ともいえるような、発表ですが、聴いている人はわずか数人とか、多くても十数人でしたが、それでも聴いている人いるし、私が退席した後でも聴いている人は聴いていました。
さて、昼飯時に助教授(当時の年齢はおそらく38歳くらいの新進気鋭の方でした)にその話をしてみたところ、驚くことに別にその発表の内容自体を完全否定はされませんでした。
もう、随分昔の話なので、カルト的な内容の発表自体も、助教授の話も良くは覚えていませんが、そのときの助教授の話は、「確かに今カルト的に聴こえるかもしれませんが、実はそうした研究が、数十年後に世界を変えるかもしれないし、あるいは、まったくこの世から消えてしまうかもしれません。しかし、最初から全部を否定していては、学問は進展しません」というような内容でした。
世の中の人の多くは、学会での発表というとそれこそ、上の記事のSTAP細胞の論文のように「学術界で確立したもの」と見る傾向があるのではないかと思います。
私も当時は、そのように考えていて、助教授に、では私も場合によっては、あのようなカルト的な内容を発表することができるのかという質問をしたところ、先生は、「学会員となり、手続きをきちん踏んでなら、無論できます」ということでした。
学会での発表もまさしく「学術界で確立したもの」が発表されているわけではないのです。
学問界で発表されるのは「学術界で確立したもの」ではない。 そんなことは学者は最初から知っている。知らないのはマスコミ? |
しかし、そもそも、出鱈目を発表したとしても、まずは最初からあまり聴く人はいないですし、そのとき発表した内容も誰からも引用されず、いずれ世の中からきれいさっぱり消えるわけです。
ただし、きれいさっぱり消えたと思われていたものが、数十年後に別の学者の目にとまり、その後発展した技術やノウハウなどを用いて実験をしてみたら、本当であるどころか、画期的で次世代を切り拓くようなものであったことが再発見されることもあります。無論、そうなることは滅多にはありません。
しかし、このようなことがあるからこそ、学問の世界、特に科学の世界においては、新たな芽を摘むことにならないように、学会での発表や、論文発表など手続きさえ踏めば自由にさせているしすべての発表や論文を保存しているのです。
STAP細胞も存在する可能性も十分あり得るわけです。ただし、何かが足りなくて、再現できないのかもしれません。それは、ひょっとすると、今後の新たな技術やノウハウ、新素材などを用いると克服できるものである可能性は否定できません。
このようなことを完全否定したために、とんでもないことになり、多くの死ななくても良い生命を犠牲にしたなどという例もあります。
それは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のURLを掲載します。
「小保方さん、頑張ってください!日本の男の醜いジェラシーに負けないで!」デヴィ夫人が『Twitter』でエール―【私の論文】滅菌消毒の必要性を発見した、医師は理解されずに憤死した!今の小保方報道をそのまま受け入れてしまえば、私たち自身が、この医師を憤死に追いやった人々と同次元になるかもしれない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、研究の成果が葬られてしまい、 多くの死ななくても良い生命を犠牲にした事例に関するところのみを以下にコピペさせていただきます。
たとえば、現在医学の世界で、当たり前とされる、お産や手術のときの滅菌など、最初に提唱した医師など、誹謗中傷されて、最後には精神に異常きたして死亡しています。
その医師は、センメルヴェイス・イグナーツ・フュレプ という、ハンガリー人の医師です。1818年7月1日 、ハンガリー王国ブダ市タバーン町に生まれ、1865年8月13日、オーストリア帝国ヴィーン市デープリング町にて死去。オーストリアのウィーン総合病院産科に勤務。産褥熱、今日で言う接触感染の可能性に気づき、その予防法として医師のカルキを使用した手洗いを提唱しました。しかし存命中はその方法論が理解されず大きな排斥を受け不遇な人生のまま生涯を終えました。現在では当然の如くに採用されている消毒法及び院内感染予防の先駆者とされ、「院内感染予防の父」、「母親たちの救い主」と呼ばれています。現在その肖像画が切手としても使われています(写真下)。
センメルヴェイスの説が受け入れられなかった最大の理由は、「患者を殺していたのは医師の手である」という医師にとって受け入れがたい結論にありました。当時、センメルヴェイスの論文を読んだ医師が自殺するという事件まで起き、説を認めることは医師が大量殺人を行ってきたことを認めることになるからでした。また、彼自身が論文を書くのを苦手としたために、研究成果を論文として発表することが大きく遅れた点も不幸でした。それでも、スイスの雑誌に発表した論文がイギリスの外科医ジョゼフ・リスターに読まれ、手を消毒することで細菌感染を予防するという消毒法がもたらされました。それによって、お産や手術による死亡者が激減したことはいうまでもありません。
このような事例もあるからこそ、学問の世界では、新たな発見の芽をつむことがないように、学会での発表や、論文の執筆など、手続きを踏めば自由にできるようにしているのです。
そもそも、こうしたことは学問の前提なのですが、こうしたことをマスコミがほとんどわきまえていないため、あのようなSTAP騒動が、拡大されてしまったのだと思います。挙句の果てが、あの理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長の自殺騒動です。
マスコミは無論のことですが、多くの人々になぜ学問の世界では、手続きさえ踏めば、自由に発表ができたり、論文を出すことができるのかを理解していただきいものです。
ただし、これは学問の世界のことです。
現実社会はそうはいかない場合もあります。
ブログ冒頭の記事でも、筆者は以下のように締めくくっています。
STAP細胞は間違いでも、国民生活にはたいした影響がない。しかし、「増税の影響は軽微」と語る専門家の進言で消費税増税が行われたとしたら、国民はたまったものでない。
もっとも、それらの経済学者、エコノミストは、財務省の「ポチ」である。ポチの書いた論文のデタラメさは、素人のマスコミでもわかりそうなものだ。おっと、そのマスコミも軽減税率というエサで財務省に籠絡されているのだから、その意向を無視して記事を書けないというわけか。
確かににそうです、STAP細胞に関しては、たとえ発表や論文掲載が過ちであったとしても、先の消毒の件のように、いたずらに多くの一般人の犠牲者を出すということはありません。もし、本当であれば、様々な可能が膨らむということです。
しかし、増税に関しては、違います。正統な経済の学会では、「学術界で確立したもの」として、デフレの際の増税は間違いです。これを正しいという人は異端とされます。正しくは、デフレのときに実施すべきは、増税ではなく、金融緩和と、積極財政です。間違っても、増税などの緊縮財政なと行うべきではありません。
また、学問の世界ではない現実世界でも、これは間違いです。
これに関しは、昨日のブログにも掲載したばかりです。その記事のURLを以下に掲載します。
GDP予想をまったくはずした熊谷亮丸氏・木下智夫氏「今度こそ当たる!年末までは絶対V字回復!なにがなんでも増税だ!」WBS-TL不満大爆発!―【私の論評】無責任民間エコノミストの戯言は、捨て置け!とはいっても多くの人々が幻惑されないよう反論はしておくべし(゚д゚)!
詳細は、この記事を読んでいただものとして、今回の増税の特異性について以下にコピペさせていただきます。
しかし、今回の増税が非常にまずいのは最初からわかっていることです。どうしてまずいのか、いかにその理由をあげておきます。
まずは、第一に日本は未だデフレから解消しておらず、デフレ下の増税は日本でははじめてのことです。これは、良くいわれていることで、いまさらという感じもしますが、以下にまとめておきます。
第一回目の3%増税のときは、日本はインフレでした。
第二回目の97年の5%増税のときも、日本はデフレ気味ではありましたが、あくまで気味というだけで少ともデフレではありませんでした。その後日銀法が改正され、98年からは、完璧にデフレのどツボにはまりました。
完璧にデフレ基調(要するに一部の例外を除き、全体では給料が下がり続ける最中)のときの増税は、今回が初めてということです。
第二に、過去2回の増税のときは、今回のようなネット増税ではありませんでした。
89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネット(全体)で減税でした。97年増税時には、先行減税があり、実質的には増税でも減税てもない中行われまた。しかし、今回の増税はネット(正味の)増税です。
これの悪影響がないはずはありません。唯一の救いは、昨年の4月より、日銀が異次元の包括的金融緩和に転じたことです。
しかし、それにブレーキをかけるような増税です。増税しなければ、2年から3年で日本はデフレから脱却できて、税収もあがり財政再建のめどもたったかもしれませんが、上記のような理由により、デフレからの脱却はかなり遠のくことが考えられます。
来年の10%増税もそのまま実行してしまえば、デフレ脱却のめどはたたなくなります。
日本では、何やら論理的でもなんでもないような、空気というようなものがあります。STAP騒動に関しても、そうです。マスコミなどが空気を醸成してしまうと、学問界の規範まで歪められてしまいます。
朝日新聞の空気の醸成によって、日本にはすっかり自虐的歴史観が根付いてしまいした。
それどころか、戦前などでは、本来は日本はアメリカと戦争をする必要性などなかったのに、いつの間にやら、当時の朝日新聞などの大手新聞の煽りも手伝い、米国と戦争しなければならないという空気が醸成され、本当に戦争をしてしまいました。
おまけに、戦争後は、日本は米国に対して全く無謀で、勝ち目のない戦を挑んだという空気が醸成され、多くの人々がそれを今でも頑なに信じ込んでいます。
これに関しては、ここで説明していると長くなってしまうので、倉山満氏の『大間違いの太平洋戦争』、『負けるはずがなかった! 大東亜戦争』などを参照なさってください。
ただし、このようなことを言い出したのは、倉山満氏がはじめてのことではなく、アメリカの学者なども語っていたことです。ただし、倉山氏の書籍は、まずは日本語であるということで読みやすく、しかもかなり良くまとまって理解しやすくなっています。
それにしても、マスコミは学問の世界の規範を歪曲したり、経済のあり方まで歪曲します。ありとあらゆる、歪曲とそのための印象操作をします。
そうして、昔からその手口は共通しています、それは、非論理的な『空気』を醸成することです。なにやら、大勢が言っているから、それでいいやというやつです。
これには、本当に日本人は弱いです。日本は、言葉も、生活習慣も単一文化といっても良いくらいですから、良い面では人の気持を察するなどのことができますが、それが悪いところにでると、論理的に考えもせず、空気に押し流されてしまうということがあります。
これが、アメリカあたりだと、言葉も文化背景も、もともと千差万別であるため、最初から他の人の空気など読めず、しばしば議論になるということはあるものの、空気に押し流されるということはあまりありません。しかし、そのアメリカですら、日本と戦争をしなけばならないという空気が醸成され、本当は、全くする必要もなかった日米戦争に突入してしまいました。
本当に『空気』とは、恐ろしいもので、多くの人々の誤謬に導いてしまう、とんでもない代物です。
その『空気』に乗ってしまえば、私たちは、そそのかされ加担したことになります。そうであってはいけません。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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これに関しては、ここで説明していると長くなってしまうので、倉山満氏の『大間違いの太平洋戦争』、『負けるはずがなかった! 大東亜戦争』などを参照なさってください。
ただし、このようなことを言い出したのは、倉山満氏がはじめてのことではなく、アメリカの学者なども語っていたことです。ただし、倉山氏の書籍は、まずは日本語であるということで読みやすく、しかもかなり良くまとまって理解しやすくなっています。
それにしても、マスコミは学問の世界の規範を歪曲したり、経済のあり方まで歪曲します。ありとあらゆる、歪曲とそのための印象操作をします。
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本当に『空気』とは、恐ろしいもので、多くの人々の誤謬に導いてしまう、とんでもない代物です。
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