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2019年11月22日金曜日

政府、赤字国債3年ぶり増発へ 10兆補正求める与党も容認見込み―【私の論評】マイナス金利の現時点で、赤字国債発行をためらうな!発行しまくって100兆円基金を創設せよ(゚д゚)!

政府、赤字国債3年ぶり増発へ 10兆補正求める与党も容認見込み


 政府は22日、策定中の令和元年度補正予算案で赤字国債を発行する方向で調整に入った。与党からは、災害復旧や景気の下ぶれリスクなどに対応するため、10兆円規模の財政支出を求める声が強まっており、国債を発行して歳入不足を補う。年度途中で国債を増発すれば3年ぶりとなるが、与党も容認する見込みだ。
 安倍晋三首相は経済対策の策定を指示しており、補正予算案と2年度予算案で必要経費を手当てする。具体的には、台風災害からの復旧・復興▽大規模災害に備えたインフラ整備▽日米貿易協定の発効に向けた国内の農業対策▽来年の東京五輪後に備えた経済活性化策-などが挙がっている。
 与党内では大型補正を求める声が相次いでいる。
 自民党の世耕弘成参院幹事長は22日の記者会見で、補正予算について、国の直接の財政支出である「真水」で10兆円、事業費で20兆円規模が必要だとの認識を示した。さらに、中小企業のIT化支援などの施策を挙げ、「未来への投資はたくさんある。(赤字国債の)発行を躊躇(ちゅうちょ)すべきではない」と強調した。
 自民党の二階俊博、公明党の斉藤鉄夫両幹事長も20日、補正予算は真水で10兆円を求めることで一致。自民党は26日に岸田文雄政調会長のもとで経済対策の要望をとりまとめる予定だ。
 政府の元年度税収は企業業績の悪化などを受け、当初の見通しを下回る可能性がある。このため、補正予算は建設国債などと合わせ、赤字国債で歳入不足を補う方向になった。
【私の論評】マイナス金利の現時点で、赤字国債発行をためらうな!発行しまくって100兆円基金を創設せよ(゚д゚)!
日本では、赤字国債というと、「将来世代へのつけ」とドヤ顔で語る、愚か者が、政治家や官僚、識者といわれる人まで大勢います。嘆かわしいことです。行政の根幹部分ともいえる、財政についてこれほど理解度が低い人々が、政治家、官僚、識者であるいう日本は本当に不幸な国かもしれません。


このブログでは、過去もこれは間違いということを掲載してきましたが、本日もその理論について掲載します。

政府が財政支出を行い、それを税ではなく赤字国債の発行で賄うとします。つまり、政府が債務を持つとします。そして、政府はその債務を、将来のある時点に、税によって返済するとします。
このような単純な想定で考えた場合、増税が先延ばしされればされるほど、財政支出から便益を受ける世代と、それを税によって負担する世代が引き離されてしまうことになってしまいます。これが、通説的な意味での「政府債務の将来世代負担」です。
経済をモデル化する一つの枠組みに、若年と老年といった年齢層が異なる複数の世代が各時点で重複して存在しているという「世代重複モデル」と呼ばれるものがあります。政府債務の将来世代負担論は、この枠組みを用いるのが最も考えやすいです。
そこで、仮に老年世代の寿命が尽きたあとに増税が行われるとすれば、彼らは税という「負担」をまったく負うことなく、財政支出の便益だけを享受できることになります。そうして、その税負担はすべてそれ以降の若年世代が負うことになります。
つまり、世代重複モデル的に考えた場合には、増税が先になればなるほど「現在および将来の若い世代」の負担が増えます。それは要するに、老年の残り寿命が若年のそれよりも短いからです。
老年は、その残り寿命が短ければ短いほど、自らは税負担を免れ、それをより若い世代に押し付ける可能性が強まります。その意味で、この政府債務の将来世代負担論は、「老年世代の食い逃げ」論とも言い換えることができます。
こうした通説的な政府債務の将来世代負担論に対しては、よく知られた反論が存在します。それは、初期ケインジアンを代表する経済学者の一人であったアバ・ラーナーによる、政府債務将来世代負担への否定論であす("The Burden of the National Debt," in Lloyd A. Metzler et al. eds., Income, Employment and Public Policy, Essays in Honour of Alvin Hanson, 1948, W. W. Norton)。

このラーナーの議論の結論は、「国債が海外において消化される場合には、その負担は将来世代に転嫁されるのですが、国債が国内で消化される場合には、負担の将来世代への転嫁は存在しない」というものでした。ラーナーによれば、租税の徴収と国債の償還が一国内で完結している場合には、それは単に国内での所得移転にすぎないというのです。ラーナーはそれについて、以下のように述べています。
もしわれわれの子供たちや孫たちが政府債務の返済をしなければならないとしても、その支払いを受けるのは子供たちや孫たちであって、それ以外の誰でもない。彼らをすべてひとまとまりにして考えた場合には、彼らは国債の償還によってより豊かになっているわけでもなければ、債務の支払いによってより貧しくなっているわけでもないのである(上掲書p.256)。
このラーナーの議論には、いくつか注意すべきポイントが存在します。第一に、ここで言われている「将来世代」は、世代重複モデル的な把握ではなく、将来のある時点に存在する人々を老若含めてひとまとまりにしたものとして考えられているのです。

つまり、「1950年生まれ世代」とか「2000年生まれ世代」という区分ではなく、「1950年に生存していた世代」とか「2000年に生存していた世代」といったような世代区分が想定されているのです。

第二に、ラーナーの議論における「負担」は、単に税負担を意味するのではなく、「国民全体の消費可能性の減少」として考えられています。ラーナーは、赤字財政政策の結果としての「負担」は、上の意味での将来世代の経済厚生あるいは消費可能性が全体として低下した場合においてのみ生じると考えます。そこでの焦点は、将来世代の所得や支出が現世代の選択によって低下させられているのか否かです。

たとえば、戦争の費用を国債発行で賄い、その国債をすべて自国民が購入したとします。その場合、現世代の国民は国債購入のために自らの支出を切り詰めるという「負担」を既に被っているので、将来世代の国民が支出を切り詰める必要はないです。

将来世代は単に、戦費負担を一時的に引き受けてくれた国債保有者への見返りとして、増税による国債償還という形で、より大きな所得の分け前を提供すればよいのです。それは、純粋に国内的な所得分配問題です。

それに対して、戦費が外債の発行によって賄われる場合には、現世代は戦争だからといって支出を切り詰める必要はないです。戦争のための支出は、現世代の国民の耐乏によってではなく、その時代の他国民の耐乏によって実現されているからです。ただし、将来世代はその見返りとして、増税によって自らの支出を切り詰めて他国民に債務を返済する必要があります。

つまり、将来世代の消費可能性は、現世代が国債を購入してその支出を自ら負担するのか、国債を購入せずに海外からの借り入れに頼るのかによって異なります。前者の場合には将来世代の負担は発生しないのですが、後者の場合にはそれが発生します。これが、ラーナーが明らかにした「負担」問題の本質です。

このラーナーの議論は、政府債務負担問題についてのありがちな誤解を払拭する上では、大きな意義を持っています。人々はしばしば、赤字財政によって生じる政府債務に関して、家計が持つ債務と同じように「将来の可処分所得がその分だけ減ってしまう」かのように考えがちです。それは、財政赤字が外債によって賄われている場合にはその通りですが、自国の国債によって賄われている場合にはそうとはいえません。

というのは、人々の消費可能性は常にその時点での生産と所得のみによって制約されているのであり、政府債務や税負担の大きさとは基本的に無関係だからです。政府債務がどれだけ大きくても、それが国内で完結している限り、必ずそれと同じだけの債権保有者が存在するのですから、その債務は一国全体ではすべてネットアウトされるのです。


他方で、このラーナーの議論には、一つの大きな問題点が存在します。それは、「赤字国債の発行が将来時点における一国の消費可能性そのものを縮小させる」可能性を十分に考慮していない点です。

一般には、政府がその支出を赤字国債の発行によって賄えば、資本市場が逼迫して金利が上昇するか、対外借り入れが増加して経常収支赤字が拡大するか、あるいはその両方が生じます。


1980年前半にアメリカのロナルド・レーガン政権は、レーガノミクスの名の下に大規模な所得減税政策を行ったのですが、その時に生じたのが、この金利上昇と経常収支赤字の拡大でした。

金利の上昇とは民間投資がクラウディングアウトされたことを意味し、それは一国の将来の生産可能性が縮小したことを意味しますから、一国の将来の消費可能性はその分だけ縮小します。また、外債に関する上の議論から明らかなように、一国の対外借り入れの増加とは、将来世代の負担そのものです。

ただし、赤字国債の発行が民間投資減少や経常収支赤字拡大をもたらすその程度は、経済が完全雇用にあるか不完全雇用にあるかで大きく異なります。所得の拡大余地が存在しない完全雇用経済では、国債発行によって政府が民間需要を奪えば、それは即座に民間投資のクラウディングアウトや海外からの借り入れ増加につながります。

しかし、ケインズ的な財政乗数モデル(45度線モデル)が示すように、不完全雇用経済では、国債発行による政府支出の増加によって所得それ自体が拡大するため、貯蓄も同時に拡大します。その結果、金利上昇や経常収支赤字拡大は完全雇用時よりも抑制されます。

財政定数モデル

つまり、赤字財政政策による「将来世代の負担」の程度は、不完全雇用時は完全雇用時よりも小さくなります。その意味で、「赤字国債発行による将来世代への負担転嫁は存在しない」というラーナー命題がより高い妥当性を持つのは、財政赤字拡大がそれほど大きな投資減少や対外借り入れ拡大に結びつかないような不完全雇用経済においてなのです。

ラーナーの議論の最も重要なポイントは、「将来の世代の経済厚生にとって重要なのは、将来において十分な生産と所得が存在することであり、政府債務の多寡ではない」という点にあります。仮に早期の増税によってより若い世代が負う税負担が多少減ったとしても、それによって生産と所得それ自体が減ってしまっては、まったく本末転倒なのです。そして、「失われた20年」とも言われるバブル崩壊後の日本経済においては、まさしくその本末転倒が生じていたのです。


日本経済の長期デフレ化をもたらした一つの大きな契機は、橋本龍太郎政権が行った1997年の消費税増税でした。そして、それ以降の長期デフレ不況の中で最も痛めつけられてきたのは、ロスト・ジェネレーションとも呼ばれている、その当時の若年層でした。そのツケはきわめて大きく、それは単に彼ら世代の勤労意欲や技能形成の毀損には留まらず、日本の少子化といった問題にまで及んでいます。

結果としては、この早まった消費税増税は、若い世代の所得稼得能力を将来にわたって阻害しただけでなく、デフレ不況の長期化による政府財政の悪化をもたらし、将来世代が負うことになる税負担をより一層増やしてしまったのです。


つまり、「将来世代の負担軽減」を旗印に行われた消費税増税は、皮肉にも彼ら世代に対して、所得稼得能力の毀損と税負担の増加という二重の負担を押し付けるものとなってしまったのです。

この1990年代後半以降の日本経済は、恒常的なデフレと高失業の状態にありました。つまり、一貫して不完全雇用の状態にあった。そして、小渕恵三政権時のような大規模な赤字財政政策が実行された時期においてさえ、国債金利はきわめて低く保たれ、大きな経常収支黒字が維持され続けてきました。これは、赤字財政による将来世代への負担転嫁は存在しないというラーナー命題が、ほぼ字義通りに当てはまっていたことを意味しています。

それとは逆に、日本で行われた不況下の増税は、若い世代が将来的に負う負担を減らすのではなく、むしろそれを増やしてきまし。それは、不況下の増税がとりわけ若い世代の雇用と所得に大きな影響を及ぼすものである以上、まったく当然のことでした。

結局のところ、経済が不完全雇用である限り、職からはじき出されがちな若い世代の雇用の確保の方が、彼らへの多少の税負担軽減よりもはるかに優先度が高いということになるのです。

ラーナーの理論は無論現在の日本にもあてはまっています。しかし、政府は数度にわたり増税を行い、とうとう10%増税まで実行してしまいました。本来は、増税などせずに、証国債を発行すべきだったのです。

小渕恵三政権時のような大規模な赤字財政政策が実行された時期においてさえ、国債金利はきわめて低かったのですが、現在国債の金利はマイナスです。

金利がマイナスということは、政府が国債でお金を借りると、将来つけを払わなくて良いどころか、余分にお金がもらえるということです。この機会を利用して国債がゼロになるまで、無制限でどんどん発行すべきときなのです。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。
残り3週間!「消費増税で日本沈没」を防ぐ仰天の経済政策がこれだ―【私の論評】消費税増税は財務省の日本国民に対する重大な背信行為(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部のみ以下に引用します。
財務省がゼロ金利まで国債無制限発行に乗り出せば、日銀の金融緩和効果はさらに高められる。しかも、得た財源で景気対策を行えば、まさに財政・金融一体政策となり、目先の消費増税ショックを回避できる可能性も出てくる。しかも、金利正常化で金融機関支援にもなる。 
逆にいえば、こうした「美味しい」金利環境を財務省が見過ごし、金利ゼロまでの無制限国債発行を行わないとすれば、それは彼らが増税しか頭にない「無能官庁」であることの証明といえる。
上では、ラーナーの理論を詳細に印してきましたが、このようなことを全く知らなくても、国債の金利がマイナスであるということは、国債を発行しまくれば、確実に政府は儲けられることになるのは明らかです。 金利がゼロになるくらいまで発行し続ければ良いのです。高橋洋一の試算によれば、金利がゼロを超えないで発行できるのは、103兆円だとしています。

にもかかわらず、たった10兆円など、本当に微々たるものです。このチャンスを生かし切るためには、もっともっと国債を発行すべきなのです。




私は、高橋洋一氏に大賛成です。国債の金利がマイナスなのですから、どんどん発行して、10兆円などとチマチマしたことをせずに、それこそ100兆円の基金でも設けて、それを用いて、景気対策、自然災害対策、安全保証、貧困対策などをどんどん実行しまくれば良いのです。

そうすれば、日本の令和年間は平成年間のようにデフレではなくなり、緩やかなインフレで、成長が期待できます。たとえ、そのようなことをしても、将来の世代につけを回すことには絶対にならないのですから、このチャンスをみすみす逃す手はないのです。

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2017年3月26日日曜日

籠池氏の偽証罪告発、与党が視野に…野党は慎重―【私の論評】森友問題で良かったのは、極悪人、極悪組織があぶり出されたこと(゚д゚)!

籠池氏の偽証罪告発、与党が視野に…野党は慎重

衆院予算委員会の証人喚問で質問に答える籠池泰典氏(23日)
写真はブログ管理人が挿入以下同じ
学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、与党は、証人喚問された学園の籠池かごいけ泰典氏の証言について、真偽の検証を進めている。

 虚偽と判断した場合は偽証罪での告発も視野に入れる。国会の告発には重い責任が伴うため、全会一致で決めるのが通例だが、野党は籠池氏の証言をもとに政権への追及を強めており、実現のハードルは高い。

 自民党が問題視しているのは、籠池氏が「安倍晋三記念小学校」の名称で寄付金を集めていた期間だ。

 籠池氏は、安倍首相が2012年12月に政権に返り咲く前の「衆院議員の時期の一瞬」と証言したが、自民党は15年頃まで首相の名を利用したとみている。首相は24日の参院予算委員会で、「私の名前を使ったのは『ほんの一瞬』と証言していたが、調べてみると2年以上は使っていた。大変遺憾だ」と述べた。

 籠池氏は、昭恵首相夫人が学園の幼稚園で講演した際、同行者1人に席を外すよう言って園長室で2人だけになり、100万円の寄付金を受け取ったと主張した。しかし、昭恵氏は、同行者は2人おり、籠池氏と2人だけになる機会はなかったと反論している。

 自民党は「籠池氏はかなりのウソつき」(高村正彦副総裁)として、議院証言法に基づく偽証罪(懲役3月以上10年以下)での告発の検討に着手。早期の事態収拾を図りたい考えだ。

 衆参両院事務局によると、過去に18人が同法違反(偽証)で告発されたが、告発時には捜査当局に逮捕されている事例も多い。国会関係者は「国会単独の調査、検証だけで偽証を裏付けるのは難しい」と指摘する。

 告発するには、喚問を行った委員会での「3分の2以上の多数」が必要だ。籠池氏を喚問した衆参両院の予算委員会のうち、衆院予算委は与党だけで3分の2以上を満たしているが、記録が残る1976年以降の12人はすべて全会一致だったという先例がある。このため、「野党が納得できる虚偽証言でなければ、告発は難しい」(自民党中堅)との見方がある。

 民進党内では「密室での寄付などは水掛け論になり、反証しにくい」(幹部)と告発に慎重な意見が多い。真相解明のため、昭恵氏の証人喚問を求めている。

 森友学園を巡っては、籠池氏夫妻が国有地取得に絡んで鴻池祥肇・元防災相に賄賂を渡そうとしたとして贈賄(申し込み)容疑で大阪地検特捜部に告発状が出されている。

【私の論評】森友問題で良かったのは、極悪人、極悪組織があぶり出されたこと(゚д゚)!

2日くらい前から、ようやっと森友学園がらみの報道が、テレビなどのメディアから減ってきたように思います。そうなると逆にブロクに書きたくなりましたので、本日の話題は森友学園がらみにしました。

ブログ冒頭の記事で、"告発するには、喚問を行った委員会での「3分の2以上の多数」が必要だ"と掲載されてありますが、これは議院証言法の規定です。これに関わらず公務員は、公務に関する事柄で偽証などがあった場合には、告発義務があるはずです。篭池氏の100万円証言で偽証でないと昭恵夫人付き公務員は、職務怠慢になってしまうので彼女からの告発もありえると思います。

以下に昭恵夫人付き公務員であるの写真を掲載します。

左が、昭恵夫人付き公務員の谷査恵子さん
そうなのです、公務員から告発ということであれば、国会などで面倒な手続きをしなくても、できるのです。

以下に、谷さんの経歴を示した、テレビ報道のキャプチャー画面を掲載します。


谷査恵子さんは、昭恵夫人付き公務員ですが、彼女の仕事ははっきりいえば、監視役であり、その業務を果たさなければ当該省庁から業務怠慢とみなされるため懲罰対象になります。そのようなことにならないためにも、たとえ昭恵夫人が拒否したとしても、トイレなど以外はどこまでもついていくし、人は会うときには、必ず同席します。

そのため、昭恵夫人が人払いして、100万円を籠池氏にわたしたということは、通常であれば非常に考えにくいことです。だからこそ、谷さんが篭池氏を告発するということはおおいにありえることです。

官房長官がこの件に関しては事実でないといっています。それに、刑訴法239条2項「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」とありますからから、そうなると官房長官か昭恵夫人付き公務員に告発義務が発生します。たとえ、夫人からの寄付がなかったにしても、寄付募集期間で虚偽証言なので告発ということになると思います。

国会は捜査機関ではありません。だから、両者の言い分を聞いて時間をかけて審議したとしても、結局埒があかないことになります。一般からの告発は既に予定されています。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、木村真・大阪府豊中市議ら市民有志が近く、売却を担当した財務省近畿財務局の職員(氏名不詳)を背任容疑で大阪地検に告発します。大阪府は偽計業務妨害、補助金適性化法違反で告発をするでしょう。政府も偽証罪で告発したほうが良いです。

このように、籠池証言に関しては、捜査機関、司法に任せ、政府は財務省の裁量行政を追求すべきです。本来は、競争入札すべきであり、もしそのようにしていたら、今回のような問題は発生しなかったはずですし、記録は廃棄したなどと財務省は、法律の裁量からはみ出たことをやり過ぎです。


財務省が、「法令に即して適切に」実施などといったら「官僚は政治家でないので、(財務省作成の)政令なども含めた法令ではなく、法律そのものに従え」と反論すべきです。そもそも、今回件に関しては、財務省が政治関与なしと国会で証言したのですから、そもそも財務省のミスであることははっきりしています。このような財務省の野放図は絶対に放置すべきではありません。

財務省はこの他にも、増税大キャンペーンを行い、多くの政治家のもとに、官僚が「ご説明資料」を持参して、「増税すべき理由」を説明し、結局多くの政治家が籠絡され、デフレのときに増税するという、経済対策としては、最悪手の8%増税を実行せざるを得ないようになりました。

そのため、今でも個人消費が伸びず、現在でもデフレにまた戻ってもおかしくないような状況です。いつまでも、財務省の裁量行政というか、まるで巨大な政治グループのような振る舞いを続けるというのなら、財務省自体を解体すれば良いのです。そもそも、政治は国民の信託を受けた政治家が行うべきであって、そうではない官僚が政治グループのような動きをすることは、絶対に許されることではありません。

ただし、財務省解体するにしても、単純に分割すると10年くらいもかけて、植民地(日銀はその格好の事例)を拡大する手段とするので、まずは、公的金融部門を廃止して、財務官僚が目下においている官庁の下部組織に財務省を分割の上で、編入するという方式が望ましいです。

確かにこれだと、財務省を現実的になきものにできます。それに、下部組織にされた財務省の官僚は、二度と財務次官を出すことはできないわけですから、完璧です。

これが、本来政府のやるべきことです。しかし、民進党などの野党も、マスコミなどもこのようなことは言いません。このようなことで、与野党が国会で審議するというのなら、本当に有意義かもしれませんが、不確かな情報をもとに、ただただ安倍総理への個人攻撃や、政府を追求するだけで、本当に時間の無駄です。

特に、民進党は酷いです。民進党は最近完璧ダブルスタンダードの声明を発表しました。民進党は24日、安倍晋三首相の昭恵夫人と学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典氏の妻、諄子氏とのメールのやりとりについて、諄子氏の内容に一部虚偽があると発表しました。報道各社に送ったファクスの全文は以下の通りです。

 本日、公表された安倍昭恵夫人と籠池夫人とのメールには、わが党の辻元清美議員に言及した箇所がありますが、そこで記されている内容は事実に反する虚偽のものです。 
 本年3月1日のメールに、辻元清美議員が塚本幼稚園に侵入しかけたとされていますが、そのようなことは一切なく、そもそも同議員は塚本幼稚園の敷地近くにも接近していません。このことは、周囲にいた多数のメディア関係者を含め、皆が確認しているところです。 
 また、辻元清美議員が、作業員を下請け業者に送り込んだとされていますが、これも全くの事実無根です。これは、ネット上に流された根も葉もない噂を信じたためと思われますが、そのような事実は一切存在しません。 
 メディア各位におかれては、このような誤った内容を拡散しないよう強く求めます。
2月28日、森友学園の小学校建設予定地の視察を行い、
スマートフォンで現場を記録する辻元清美議員=大阪府豊中市
同じ籠池泰典氏の妻、諄子氏のメールに関して、昭恵夫人に関することは問題にしたにも関わらず、辻本議員に関わることは、否定するという、このダブルスタンダートは本当に矛盾しています。

メディアやいわゆる識者などでも酷い人がいます。特に、最近のマスコミはいわゆるこの事件に関して、政治家の関与と官僚の忖度という、新たな形式の魔女狩りを展開しています。

政治家の関与という場合、政治家から官僚への働きかけがポイントです。官僚の意思決定に明らかに影響を与えていれば問題です。それ以外の事実・法令照会程度なら問題外です。今のマスコミは、たとえ政治家の関与がなくても官僚が忖度していたら、政治家が悪いとでもいわんばかりの風潮を作り出しています。このようなやり口が良いというのなら政治家失脚のための魔女狩りなどいともたやすくできてしまいます。

そもそも、忖度など、片思いみたいなもので外からは計り知ることなどできません。にもかかわらず、片思いをされた人が悪いと言い始めたら、滅茶苦茶な話になります。マスコミの忖度論にはそうした危険性があります。「問い合わせ」や「陳情」と「口利き」とは、明らかに異なるものです。しかし、今のマスコミは「問い合わせ」や「陳情」まで、「口利き」であるかのように錯誤させるような印象操作をしているとしか思えません。

現在の官僚の裁量行政と忖度論が結託するととてつもなく酷いことになります。官僚が法律で許されている以上の裁量で行政庁判断を行えるというのは、立法府の枠外になってしまいます。法律でいくら縛っても官僚への縛りがなくなり、官僚が◯◯党の政治家を忖度して不正行為を働いたといえば、○○を抹殺できることになります。これでは、北朝鮮などの全体主義国家とかわりありません。

テレビ朝日のある番組では、後藤謙次氏が「安倍首相も忖度がないと言うなら、ないという物証を出すべきだと思うんです」といっていました。忖度は人の心の中で生まれるものであって、それを他人である首相がどうやって物証で「忖度のあるなし」を証明できるというのでしょう。この人が言ってることは魔女裁判そのものです。後藤健二は相当な極悪人です。

極悪人の後藤健二
後藤謙次氏もそうなのですが、平然と他人を貶める魔女裁判の裁判官みたいな人が他に大勢います。そこまでいかなくても、どこにその正当な権威や権限があるのか不明でもあるにもかかわらず、まるで倫理審判員のような発言をする人々が大勢います。そのような人の発言をテレビなどで視聴すると本当にゲンナリします。イデオロギーや政治的立場で仕事と称して他人を傷つける人がどのように生まれて、それがメディアでとんでもないことを平然と語るのかを見極める本当に良い見本です。見た目は、紳士然としていますがまさに正真正銘の極悪人です。

安倍首相は忙しいでしょうし、立場上もこのテレビ朝日の番組に代表されるような明白な人権侵害を公に訴えることができないでしょう。極悪人どもは、そこに付け込んでいるのしょうが、これは政治の問題でも社会的問題でもありません。テレビ朝日のただの人権侵害です。他人が勝手に心の中で思い描いたことに対する責任をとれなどということは、常軌を完全に逸してるとしかいいようがありません。

テレビ朝日のような極悪組織や後藤健二のような極悪人は、その極悪ぶりを白日のものとに晒すべきです。民進党のような極悪組織も、極悪ぶりが治らないというのなら、有権者が排除すべきです。財務省のような極悪組織についても、極悪ぶりが治らないというのなら、いずれ先に述べたような形で、解体すべきです。

森友学園問題では、上でも述べたように、良いことは一つもありませんでした。ただし、敢えていえば、極悪人や極悪組織の存在があぶり出されたことです。

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2016年4月29日金曜日

野党共闘で無党派層が存在感 本格景気対策なければ与党は参院選苦戦免れず ―【私の論評】経済対策でサプライズを打ち出せば与党は選挙で快勝(゚д゚)!


衆院北海道5区補選で当選を決め、自民党の故町村信孝前衆院議長の
写真を手に笑顔を見せる和田義明氏。左は町村氏の娘で妻の直子さん
=24日夜、札幌市厚別区

衆院北海道5区の補欠選挙で勝利した自民党新人の和田義明氏=公明、日本のこころ推薦=は13万5842票、得票率52・38%、敗れた無所属新人の池田真紀氏=民進、共産、社民、生活推薦=は12万3517票、得票率47・62%だった。

北海道5区の補選は、町村信孝前衆院議長の死去に伴うもので、町村氏の娘婿の和田氏が優勢とみられていた。しかし、共産党が候補を取り下げて民進党と共闘したため、池田氏との間で、自民・公明党と民進・共産の対決となった。

同選挙区は、2009年を除いて町村氏が多選されてきたが、得票率は50%を少し上回る程度で、これまでも野党が統一候補にしていれば、常に接戦だったはずだ。例えば、14年12月の衆院選では、今回の補選とほぼ同じ投票率53・43%で、町村氏は13万1394票、得票率50・9%。民主と共産の票数を合わせて12万6198票、得票率49・1%と「僅差」だった。

今回のNHKによる出口調査が興味深い。政党支持率は、自民44%、民進20%、公明5%、共産5%などで、支持する政党のない、いわゆる無党派層は24%だった。

和田氏は、自民支持層の90%余り、公明支持層の90%台前半、無党派層の30%余りの支持ということで、今回の得票率をほぼ完璧に説明できる。

北海道5区の過去の選挙では、投票率が高くなると、町村氏の得票率が低下する傾向が弱いながらもあった。今回の選挙でも、もっと投票率が高ければ、無党派層の野党支持が増えて、結果はどうなっていたのかわからない。

自民・公明と民進・共産の対決の構図は結局、政権運営の評価になる。この意味で、今の政権運営がよければ与党有利、まずければ野党有利という当たり前の話になる。政権運営に敏感に反応する無党派層の動向が選挙結果を握るカギになることもしばしばだ。

与党が政権運営に失敗すると、それを批判する無党派層が投票に行き、与党候補が敗れるという構図が浮かび上がってくる。特に、野党が共闘した場合には、影響が大きく出ることになるだろう。

補選直前にあった熊本地震では、政府の対応も素早かったので、政権運営についてプラスの評価だったはずだ。それにもかかわらず、北海道5区の無党派層のうち3割しか、自民公認候補の和田氏に支持が集まらなかったことは、同党関係者から見ればショックであろう。

それでも、和田氏は前回の町村氏から4448票増やし、池田氏は前回の民主・共産の合計から2681票減らしており、町村氏の“弔い合戦”に臨んだ和田氏に票が流れた面もあるともいえるだろう。

出口調査によると、最重要視された政策課題は景気対策だった。熊本地震の補正予算のほかに、しっかりした景気対策を打たなければ、政権運営の評価は高まらないだろう。5月の伊勢志摩サミット後に本格的な景気対策が出てこない場合、7月の参院選で与党は苦しくなるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】経済対策でサプライズを打ち出せば与党は選挙で快勝(゚д゚)!

さて、この野党共闘ですが、その背後にはかつて、「選挙のプロ」とか「選挙の神様」と言われていた、小沢一郎氏の目論見があります。

国民連合政府構想を説明する党首会談に臨んだ共産党の志位和夫委員長(右)と
生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表=2015年9月28日午後、国会内
共産党の志位和夫委員長と生活の党の小沢一郎共同代表は先月下旬発売の月刊誌「世界」別冊(岩波書店)で対談し、夏の参院選や取り沙汰される「衆参同日選」に向け、野党共闘をさらに本格化させる必要性を確認しました。関係者が先月20日明らかにしました。

小沢氏は、参院選の改選1人区で独自候補を取り下げるなど、野党共闘を優先する共産党の判断が「日本の歴史を変えるきっかけになる」と称賛。同時に「共産党とは組めないとか、小沢は嫌いだと言っているようでは、安倍(晋三首相)さんになめられる。その他の野党の器量の問題だ」として、民進党などを念頭に、協力強化を促しました。

「野党がバラバラで選挙を戦っても自民党には勝てない」が持論の小沢氏は、衆参わずか5人のミニ政党(生活の党と山本太郎となかまたち)の共同代表で「もはや小沢の時代ではない」(自民党ベテラン)と見られながら、再び野党共闘のキーマンに浮上したといえます。

最近までの野党の動きを見ていると、失礼ながら本当に選挙で勝つつもりがあるのだろうかという体たらくでしたが、小沢氏の目論見によって、野党共闘が実現し、なにやら、それなりの動きになった観があります。

この野党共闘ですが、共闘するにおいて、各党で一致するのは、与党の安保法制に対する反対だけです。安保に関しても、民進党内では意見が別れるところもありますが、党としては、安保反対という姿勢で、共闘しています。結局のところ、安保以外では「反自民・反安倍」というだけで一致しているということです。

今年の2月民社党大会に異例の5党結集。5党幹部は壇上で手をつなぎ連携を訴えた。
このようなことから、野党共闘を野合と批判する人もいて私もそう思いますが、それでも北海道5区補選の結果からもわかるように、実際に無党派層の7割を惹きつけているわけですから、これは、侮るわけにはいきません。

次の参院選でも、無党派層の動きにかなり左右されることになります。そうして、その無党派層を与党が取り込むには、政府の景気対策ということになります。

では、景気対策として望ましいのはどのような政策かという話になりますが、それに関しては、以前のこのブログにも何度か掲載しています。それを掲載してある、記事のリンクを以下に掲載します。
中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない―【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は、進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では政府が行うべき経済対策として以下を掲載しました。
1.追加緩和
2%の物価目標も達成がなかなかできていないのですから、追加金融緩和を行い。これを達成する速度をはやめるべきです。イギリスの事例をみてもわかるように物価目標をいっとき4%程度にしても、ハイパーインフレになる可能性はありません。2%などと悠長なこと言っていないで、言っとき4%にするべきと思います。 
2.増税延期or凍結 
これは、上記で述べたように絶対に増税などすべきではありません。増税は、緊縮財政の手法であり、本来景気が加熱して、ハイパーインフレなどになりそうなときに行う手段であり、デフレから脱却するときに行う政策ではありません。デフレからの完全脱却を目指すなら、減税や給付金などの積極財政を行うべきです。 
3.20兆円ぐらいの大型補正予算 
日本には、未だ、10兆円のデフレギャプがあります。これを埋めるためには、補正予算3兆円など、焼け石に水です。最低でも10兆円、できれは20兆円の補正予算を組むべぎです。日本にはその能力があります。実際、特別会計には、為替特別会計など、円安の現状では、必要のないお金が天文学的に積み上げせられています。これで、20兆円など簡単に捻出できます。ただし、政治決断が必要。今回のリーマン・ショック級の危機はこれらを実行するために、良い口実になると思います。安倍総理は、これを口実に努力していただき、上記のような政策を実行していただきたいものです。
この記事は、今年の1月20日のものです。そのときは、熊本の地震が発生していませんでしたし、予想もつきませんでした。中国の景気がかなり停滞して、世界的に悪い影響を及ぼすことはもうはっきりしています。さらに、熊本の地震ですから、これは当然のことながら、何か政府としてサプライズがなければ、無党派層の有権者を惹きつけることはできません。

10%の消費増税を延期したり凍結するのは、もう当たり前です。諸費税の見送りは、2014年の衆院選でも実施した手であり、もはや目新しいものではなく、これではサプライズにはなりません。

サプライズを起こすとすれば、8%増税で失敗しているのですから、5%に減税するなどのことてもしなければ、決してサプライズにはなりません。

とにかく、上であげた3つの政策は当たり前に実施して、さらに消費税を5%に戻すくらいのことをしなければ、サプライズにはなりません。

考えてみると、安倍自民党政権が成立したときのことを考えると、やはり、金融緩和、積極財政、成長戦略を打ち出したことが大きなサプライズとなり、市場関係者もこれを好感して、安倍政権成立前から、株価が上昇しました。

夏の参院選、そうして同時選挙になるかどうかは、まだわかりませんが、次の衆院選でも、伊勢志摩サミット時か、その後に何かのサプライズを打ち出さなければ、与党は選挙で苦戦を強いられるのは確かなようです。

ただし、その逆も真ということです。2012年衆院選挙で、自民公明が大勝したときのように、経済対策でサプライズを打ち出せば、「反自民」だけで一致する野党共闘なども有名無実となり、大勝できます。

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2014年10月7日火曜日

消費再増税 国民から総スカン 与党からも「延期コール」―【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!



2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げが、報道各社の世論調査で総スカンとなっている。市井の“空気”を察知してか、政権担当時に消費税増税を主導した民主党が「ちゃぶ台返し」(枝野幸男幹事長)をほのめかし、安倍晋三政権を揺さぶり始めた。自民党内でも、引き上げ慎重派が勉強会を開催するなど、動きが活発化している。

 フジテレビ「新報道2001」が5日公表した世論調査によると、税率引き上げを「先延ばしすべきだ」と答えたのは51・6%で、「予定通り引き上げるべきだ」の15・4%を大きく上回った。「軽減税率を設けて引き上げるべきだ」(29・4%)を合わせても、先送り派が多数派だ。

 読売新聞が6日報じた調査では、来年10月の引き上げへの「反対」は68%、「賛成」は28%。日経新聞が先月末に報じた調査でも、「反対」66%、「賛成」28%だった。

 枝野氏は9月29日のBSフジ番組で、再増税反対もあり得ることを示唆した。

 維新の党をはじめ、民主党以外の野党は再増税には慎重姿勢だ。

 一方、自民党の山本幸三衆院議員は1日、引き上げに慎重な議員による勉強会を開いた。山本氏が所属する岸田派の若手約10人が参加し、安倍首相の経済政策のブレーンで、増税延期を唱える本田悦朗内閣官房参与が講師を務めた。賛同者を募り、今後も開催する考えという。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!

ようやっと、再増税に対する反対意見が出揃うようになってきたようです。これは、あたり前のど真ん中であり、デフレの最中に増税するなどは、政治的な駆け引きを抜きに純粋な経済政策として考えれば、あり得ない世迷い事に過ぎません。

そもそも、7月~9月の景気の落ち込みは、増税が主たる原因であり、それ以外に理由は見当たりません。にも関わらず、来年の10%再増税を実行するなど、完全に常軌を逸しているとしかいいようがありません。

増税派にとって、増税は快感なのか・・・・・・・・・(アニメ・カイジより)

しかし、政府はあくまでも増税路線を崩さないかのようにみえます。

その査証として、内閣府の経済トンデモ分析があります。内閣府の分析によれば、7~9月期の景気の落ち込みは、増税によるものでなくて、天候によるものだとしていますが、これはどう考えてもおかしいです。かなり無理があります。

確かに、東日本大震災のような大災害の場合には、景気にも明らかに影響を及ぼしましたが、今年の天候不順がそれ程の大打撃を与えたとは思えません。

これに関しては、私などが分析したものより、高橋洋一氏の分析したもののほうがよりわかりやすいので、それに関する記事のURLを以下に掲載します。
「天候不順で景気低迷」なんて大ウソ!消費増税の影響無視した内閣府の「素人分析」を暴く
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要旨を掲載させていただきます。
内閣府が、経済財政諮問会議に報告した資料は公開されている(→PDFはこちら)。それによれば、基本的には、①気温が夏物商品等(気温による影響が大きい品目)に与える影響試算と、②降水量が消費に与える影響試算によっている。この両者で影響額は▲0.7兆円なので、最大影響になっている。
資料では、①の影響額は▲0.5兆円、②は▲0.2兆円となっている。両者の推計方法は異なっており、①は〈総務省「家計調査」等により、平均気温が、飲料、酒類、アイスクリーム、外食、白物家電、電気代の消費支出に与える影響を推計。それぞれの影響額を積み上げ〉とミクロ的な手法で、②は〈内閣府「国民経済計算」等により、降水量が個人消費に与える影響を推計〉とマクロ的になっている。
なお、別の方法でも、天候の消費に与える影響を試算しているが、消費減少をすべて天候のためとみなすなどいささか乱暴なものであるので、①と②に絞ってみよう。
まず、①の手法はまずい。というのは、ある品目が気温の影響を受けて消費量が変わると、その代わりに他の品物の消費量が変化することを考えていないからだ。内閣府の資料にも、注として小さく「各品目の消費減を受けた他品目の代替需要増は考慮していないことに留意が必要」と書かれているが、役所の資料では、小さな注が重要な意味を持つことが多い。要するに、はっきりいえば意味のない推計だ。
②は一応、マクロ的な手法である。実質家計最終消費支出(前年比)を、実質雇用者報酬(前年比)と降水量(前年比) で回帰分析している、だったら、同じ手法で、①をやらないのか不思議だ。担当者は、当然①もやっていると思われるが、あまり都合のいい結果でなかったのだろう。それで、①はミクロ的な手法になっていると思う。
次に、データで今年の7-9月の天候を振り返っておこう。この種のデータは気象庁に豊富にある(→こちら)。上記②では、北日本、東日本、西日本で天候データを使用しているので、7-9月におけるそれらの気温と降水量の平均を調べよう。
気温は平年との差であり、以下のように、今年は平年並みだった。特に低温ではないが、前年と比べると1℃程度低かった。
降水量は平年に比べた割合(%)であり、以下のように平年に比べると14%程度多かった。ただし、前年も8%程度多かったので、前年と比べると6%程度の増加だけだ。
いずれにしても、今年7-9月の気温と降水量を見る限り、特別に低温・多雨というわけではない。
さて、気温が消費にどのような影響を及ぼすかを調べよう。手始めに、気温の前年との差と消費伸び率の関係を見てみよう。
気温と消費には、相関係数0.39と弱い相関があるが、正直言って、この弱い相関をもって、気温が消費に影響を及ぼしていると断言するのはやや無理があるだろう。②のように、実質雇用者報酬(前年比)を説明変数に加えれば、多少全体の説明力は高くなるが、どうにも気温の消費への影響は弱いままだ。
上の図での気温と消費の関係は弱いものの、あえて気温の1℃の変化に対応する消費の変化は年率換算で0.7%程度、GDPの年率換算で0.5%程度である。したがって、今年の気温変化1℃の低下では、7-9月期のGDPは年率換算で▲0.5%程度の押し下げだ。
次は、降水量と消費だ。降水量の前年比、消費伸び率の関係を見れば、以下のとおりだ。

降水量と消費の相関係数は▲0.18、これは相関がないと言っていい。というわけで、降水量の消費への影響は無視できる。 
以上をまとめると、今年の気温は平年並で、昨年より1℃程度低いが、その消費へ与えるは軽微で、せいぜい7-9月期のGDPを年率換算で▲0.5%程度押し下げるかもしれない。もっとも、その確度はかなり低い。 
また、今年の降水量は平年より14%程度多かったが、降水量と消費には明瞭な関係は見出されず、7-9月期のGDPについて影響は無視できる。
以上が高橋氏による分析です。私も分析してみようとは思ったのですが、先にも述べたように、今年の天候不順など、東日本大震災などに比較すれば、微々たるものであり、最初からほんど影響ないことは判りきっているのでやめました。

それにしても、相関係数が0.39とか▲0.18ということでは、そもそも何の相関関係もないということです。

ちなみに、相関係数(そうかんけいすう、: correlation coefficient)とは、2 つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標です。原則、単位は無く、−1 から 1 の間の実数値をとり、1 に近いときは2 つの確率変数には正の相関があるといい、−1 に近ければ負の相関があるといいます。

こんなことは、大学などで統計学を学んだ方や、大学院などで実験や観察などを行い統計データ実際にとった方ならどなたでもご存知でしょう。

まともな大学や大学院で、学生がデータ解析などを行い、この程度の数値をもとに論文を書いたとすれば、そんなものはとうてい教官がパスはしません。

相関係数が0.39とか▲0.18程度のものをあたかも関係があるかのように述べれば、それは虚偽以外のなにものでもありません。

はっきりいえば、内閣府が虚偽資料を出しているということであり、とんでもないことです。

これについては、高橋洋一氏も、元記事の結論部分で、「そもそも、この天候の消費への影響試算は、高市早苗総務相が要請したものである。高市総務相は、かねてより消費増税を予定通りに上げたいと主張していた。そこで、内閣府は無理矢理「影響あり」との結論ありきで試算したのではないか。推計手法の稚拙さ等から、そう思わざるを得ない」としています。

高市総務相 
それにしても、内閣府も酷いものです。まともであれば、いくら高市総務相の要望とはいえ、実際に試算してみて、天候や雨量と消費の間には何の相関関係もないことがはっきりすれば、それを高市氏に示して、こんな資料は偽資料に過ぎず出せば詐欺になるので、やめましょうというべきでした。

こんな資料を公にすれば、高市総務相はもとより、内閣府自体も信用が毀損されます。誰にも信用されなくなります。

しかし、今の内閣府はそうではないようです。実は、内閣府がこのような虚偽資料を出すのは、今回だけのことでありません。

以前にもそのようなことがありました。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
詳細は、この記事をご覧いただくもの、この記事は昨年の7月のもので、この月に経済白書が公表されているのですが、その内容が酷いものでした。

要約していいますと、昨年の経済白書では、イギリス、イタリア、 スペイン、ポルトガルなどEU諸国では、増税をしたということを掲載しているのですが、その事実だけを掲載して、増税後の惨状については掲載していないのです。

これは、著しくバランスを欠いています。

なお、これについては、高橋洋一氏も詳細を解説していました。これも、このブログに掲載したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
増税と成長の関係は分析不足 経済財政白書は全文を読もう―【私の論評】内閣府にも日経にも、大規模な経済シミレーターがありかなり正確なシミレーションができるというのに、せっかくの素晴らしい資産を役に立てられない愚かな人々!!
 これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、要点だけを以下にコピペさせていただきます。
 ただ、欧州の例を挙げ、「消費増税は成長を阻害しない」との見方を示しているのはおかしい。これも経済財政白書を読むと、どこに分析があるのかと首をかしげてしまう。 
 本来であれば、(1)消費税増税前(2)増税時(3)増税後、それぞれの実質GDP成長率について、3つの資料がないとダメだ。もし、経済財政白書の主張を言いたいなら、(1)の成長率が、駆け込みの反動で(2)の成長率に落ち込むが、その後は(3)で成長率が戻るといわなければいけない。 
 ところが白書には、(1)と(2)の図が載っているが、(3)がない。これでは、結論に至る分析がないので、結論ありきだ。経済財政白書は内閣府がまとめているが、財政のところは財務省の意向なのだ。
結局は、今の内閣府の出した『経済白書』における、財政の部分に関しては、増税ありきの財務省の意向が掲載されているということです。

内閣府ができる前には、経済企画庁という組織がありました。経済企画庁とは、2001年(平成13年)1月5日まで存在した日本の中央省庁の一つであり大臣庁でした。

総理府の外局として設置され、長期経済計画の策定、各省庁間の経済政策の調整、内外の経済動向に関する調査・分析、国民所得の調査等を所掌した。長は国務大臣経済企画庁長官でした。

元々は、この経済企画庁が『経済白書』を出版していました。経済企画庁が出していたころの、『経済白書』は、至ってまともなものでしたし、その他の資料もまともで、今回の内閣府出した「天候不順で景気低迷」などというような、とんでもない資料を出すようなことはありませんでした。

内閣府本庁舎

しかし、この経済企画庁は、2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編の実施に伴い総理府本府、沖縄開発庁などと統合され内閣府が発足、経済企画庁の業務は内閣府政策統括官(経済財政運営担当・経済社会システム担当・経済財政分析担当)、内閣府国民生活局などに承継されることとなりました。

実は、この経済企画庁には素晴らしく精度の高い、大規模な経済シミュレーターがあり、このシミュレーターにもとづき、経済企画庁は、あの日本の高度成長などを主導してきました。

このシミュレーターも、内閣府に引き継がれているはずなのですが、上でも掲載したように、とんでもない資料を出すような不始末をしでかすようになってしまいました。

結局、今の内閣府は、経済に関して独自に資料を出すというのではなく、こと財政に関しては、 政治家や財務省の意向にかなり左右される組織に落ちぶれたということなのだと思います。

今の内閣府の官僚どもには、あの経済企画庁だった時代の気概はもうないのでしょうか、本当に困ったものです。

日銀が、昨年金融引き締め一辺倒から、異次元の包括的金融緩和に華麗に転じたように、内閣府もかつての経済企画庁のような組織に華麗に変身していただき、日本財政をリードするような存在になっていただきたものです。

そうして、金融政策+財政政策により、一刻もはやくデフレから脱却できる体制を整えていただきたいものです。

今のままでは、とてもじゃないですが、日本はデフレという無限地獄から抜け出すことはできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年10月23日水曜日

ねじれ解消後の今国会は与党内の「産業政策」派vs.「規制緩和」派を反映する産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の行方に注目せよ―【私の論評】官僚主導の産業政策で成功したためしは、一度もない成功したのは引き伸ばし戦略のみ\(◎o◎)/!

ねじれ解消後の今国会は与党内の「産業政策」派vs.「規制緩和」派を反映する産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の行方に注目せよ

アベノミクス効果!? 2%目標パッドつき トリンプ「“ブラノミクス”
ブラ」 三本の矢で女性の自信浮揚 (2013/05/09) の記事画像

アベノミクスの第三の矢はどうなるだろうか。今国会に提出された法案をみると、その将来が占える。

アベノミクスのうち、第一、第二の矢である金融政策、財政政策の効果がでるのは1~2年程度だ。具体的には、財政政策は1年以内、金融政策は2年程度だ。財政政策は、今年1月に決まった10兆円補正があるので、すでに効果は出ている。金融政策が本格的に実施されだしたのは今年の4月。その期待感で徐々に効果がでているが、その実力が十分に発揮されるのは2015年度からだろう。

2014年度からの消費税増税が決まったが、その悪影響は2014年度のうちに確実にでる。そこで、筆者は、消費税増税の悪影響を中和するために、20兆円規模の補正予算を主張している(9月23日付け本コラム)。2014年度は金融政策の本格的な効果はまだだし、今から追加金融緩和をしても間に合わないからだ(もちろん金融緩和はすべきだ)。

官僚がつくる「産業政策」は失敗の連続

これらの財政政策、金融政策が比較的短期な効果があるのに対して、第三の矢の成長戦略の効果がでるのは、もしうまくいっても5年くらいかかる。少なくとも、第三の矢では、必要な法律は準備して成立させるまでに少なくとも2年間はかかり、その効果はその後3年くらいかかるからだ。だからといって第三の矢が不要ということではなく、それでもやらなければいけないものだ。

実は、筆者が小泉政権にいたときには、成長戦略を作らずに規制緩和だけを行った。成長戦略というと、経産省官僚は、経済理論として正当化できない「産業ターゲティング・ポリシー」(産業政策)や無駄遣いの温床となり得る「官民ファンド」ばかりを官邸に持ち込んでくる。

そもそも産業ターゲティング・ポリシー、産業政策なんて、英語では説明不可能な概念だ。先進国の外国人に話しても、「ビジネス経験のない官僚になぜ成長戦略がわかるのか、わかるはずない」との一言で片付けられるのが関の山だ。それにくらべて、「規制緩和」は世界どこでも通じる概念だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


本物の成長志向を国会でみきわめよう

筆者は、大恐慌研究の世界的な権威であるバリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学教授)のツイッターをフォローしているが、先週、”Japan Rising? Shinzo Abe's Excellent Adventure”を書いたとあった。

米国詩人ヘンリー・ワーズワース・ロングフェローの一節「矢を空中に放った。地面に落ちた。どこだかわからなかった」を引用しながら、第三の矢の難しさを強調しつつも、成功を期待している。しかも、第三の矢では、不利になるのは今の既得権者であるといっている。

アイケングリーン教授には、第三の矢には二種類あって、一つは「産業政策」で利益を得るのは既得権者、二つ目は「規制緩和」で利益を失うのは既得権者であるとは思いもしないだろう。明らかに、第三の矢は「規制緩和」と思い込んでいる。米国人の彼には、「産業政策」は概念として存在しないのではないか。

国会論戦では、野党は、「産業政策」の産業競争力強化法案と「規制緩和」の国家戦略特区法案をよく比較して、その優劣を明らかにしたらいい。どちらの法案をより支持するかによって、本物の成長志向がよくわかるはずだ。

【私の論評】官僚主導の産業政策で成功したためしは、一度もないしこれからも必ず失敗する!日本で官僚が成功したのは引き伸ばし戦略のみ\(◎o◎)/!

上の高橋洋一氏の結論、結局アベノミクスの第三の矢である、成長政策は役人の作文による、産業政策をするようであれば、何をどのように実施しても大失敗。一方で、規制緩和を実行すれば、やり方によっては、成功する可能性があるというものです。

全くその通りと思います。役人の作文の、産業政策をすれば、確実に失敗します。それについては、以前のもこのブログに掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
ノキアの携帯電話のCM
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ノキアはアップルが、iPhponやiPadを販売する数年前に、これらとほんど同じようなプロトタイプを開発していたことを掲載しました。ノキアは、これを市場に投入する時期を逸してしまい、大失敗したということです。

民間企業ですら、このような間違いをするのですから、ましてや官僚が主導で、産業政策などしても成功することなど、ほとんど覚束ないことを掲載しました。そうして、もし、これが成功するというのであれば、共産主義は大成功したはずであることも掲載しました。

実際、経済産業省、昔の通商産業省も一度として、自ら主導して積極的に行った産業政策などは、一度も成功したことなどありません。これは、本当です。嘘だと思われるなら、自分で調べてみてください。本当に、ただの一度もありません。

ただし、例外はあります。それは、いわゆる引き伸ばし戦略です。これについても以前のこのブログで解説したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
政治主導、反省・行き過ぎ… 菅首相「脱・脱官僚宣言」―【私の論評】おしゃべり空き菅に明日はない?!
これも、詳細は、この記事をご覧いただくものとして、引き伸ばし戦略について以下にコピペさせていただきます。ちなみに、これはドラッカー氏の著書『ネクスト・ソサエティー』から抜粋したものです。詳細は、是非上の記事をご覧になってください。
日本では先送り戦略が有効であるというものである。日本は、この40年間、解決不能とされていた社会的な問題を、問題の解決よりもむしろ先送りによって二度までも解決してきた(前近代的農業人口の都市部への流入、前近代的な流通システムの改革)。もちろん今日の金融システムにおける構造上の脆弱さと資金的な余力を考えれば、今度ばかりは先送り戦略はうまくいかない(日本の金融機関は豊富な資金力が故に改革が困難である)。 
しかし経験的には、日本の先送り戦略には一概に不合理とはいえないものがある。(現在の民主党は、とにかく何かをやろうとする、それは、拙速で乱暴でさえある。しかし、今後も何もしないということのほうが、より合理的で、効果のあがる戦略である事案もある。たとえば、普天間問題など)
日本の官僚は、自ら積極的に主導して産業政策を実施した場合は、必ず失敗してきたか、やってもやらなくても同じという結果でしたが、ドラッカー氏の語るように、先送り戦略では二度も大成功しています。

明治初期の農民
その一つが、全近代的な農業人口の都市部への流入です。これに関しては、これへの対応が重要であることが叫ばれたにも関わらず、官僚は何もせず、結局何もせずにおいたことが大成功を収めました。

その次が、前近代的な流通システムの改革です。これに関しては、流通業界は全容は誰も知らず、暗黒大陸といわれていた時期もあり改革が叫ばれましたが、官僚は結局ここでも何もせず、ダイエーやイトーヨーカドーのような流通の革新者が現れ、それらが、次々と革新を起きない、改革が進みました。現在の日本の流通業界は、革新され、諸外国と比較しても遜色のない程度になっています。これは、最近のコンビニの活躍を見ても、皆さんにも良くご理解いただけるものと思います。

戦前の米商人
そもそも、官僚が産業政策を主導するなどという考えは、高橋洋一氏も上で述べられているように、欧米にはその概念はありません。もともと、産業とは政府が直接関わって、実施すべきものではなく、あくまで、インフラの整備に徹し、その上で実際に動いて、産業を振興していくのは、民間企業の役割であるという考え方です。

インフラの整備は政府の重要な仕事、しかしその上で実際に活動するのは民間企業

インフラといった場合、道路、空港、港湾、ライフラインなどがありますが、その他にも、たとえば、法律の制定、それこそ、規制の撤廃、逆に規制の強化なども含まれます。また、このようなことは、民間企業がなかなかできるものではなく、政府が実施すべきもてのず。政府が直接関わってしまっては、共産主義と同じで失敗するだけてす。

このような観点からしても、上で述べている高橋洋一氏の主張は正しいです。政府が産業政策の主導権を握るようであれば、大失敗するだけです。規制緩和などのインフラ整備に徹するなら、成功する可能性は高まります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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