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2008年6月21日土曜日

橋下知事、労組と徹夜バトル 人件費削減案巡り-公務員だけ例外ということでは済まされない!

橋下知事、労組と徹夜バトル 怒号も 人件費削減案巡り(内容を知っている方は、読み飛ばしてください)
大阪府の総額345億円の人件費削減案をめぐり、橋下徹知事は20日夜から21日午前にかけての約12時間、府労働組合連合会(府労連、約1万8千人)と府関連労働組合連合会(府労組連、約2万1千人)との団体交渉に臨んだ。交渉は決裂し、人件費を含む財政再建の議論は7月臨時議会に移ることになった。

交渉決裂は府労連は1950年、府労組連は89年の結成以来初めて。ただ、地方公務員法上、労組側はストライキなどの手法はとれず、府は議会に人件費を削減する条例改正案を提案する。府では通常、総務部長が最終交渉にあたり、知事が正面に出るのは極めて異例という。府労連とは20日午後10時から21日午前5時すぎまで約7時間、府労組連とは同6時半から同10時半まで約4時間に及んだ。

橋下知事の人件費削減案は一般職の基本給4~16%カット、都道府県で初めての退職手当の5%カットなどが柱。団交で労組側は「生活を破壊する案だ」として削減案の撤回を要求。橋下知事は「いまの財政状況ではやむを得ない」と理解を求めた。

橋下知事は団交後、「職員の生活に重大な影響を与える決定なので、これぐらいの時間で決めてしまうことに納得できない声もあると思う。議会での議論で最終判断を下したい」と語った。

◆「ふざけるな!」
「財源もないのに給料をくれくれと言われても困る」「私たちの首よりイルミネーションの方が大事なのか」
20日から徹夜で続いた橋下知事と職員労組の団体交渉は時折、怒号が飛び交う激しいやりとりになった。

府労連との交渉は20日午後10時から府庁の会議室で始まった。新居晴幸委員長が「職員にも家族がいる。生活がある」と人件費削減案の撤回を迫ると、橋下知事は「府財政を立て直すためには避けて通れない」と反論。空調が切れ、蒸し風呂のような会議室で交渉が続いた。

府労連は給与明細を示して組合員の生活実態を訴えたが、橋下知事は「財源がない。どこを削ったらいいんですか」と逆質問。平行線の議論に「ふざけるな!」とのヤジが飛ぶと、橋下知事が「『ふざけんな』という言い方、いいんですか。これが世間の労使交渉なのか」と憤る一幕もあった。午前4時を回り、人事室長が「時間も時間ですし」と水を向けても、新居委員長は「帰りません」とはねつけ、議論を続けた。

新居委員長は団交の最後に立ち上がり、「7時間、誠実に対応されたことを感謝したい」と橋下知事に謝意を表明しつつ、「府労連の歴史の中で初めて交渉が決裂したと表明せざるを得ない」と無念さをにじませた。

◆「世間を知って」
一方、府労組連は午前6時半前から団交に入った。

教務事務補助員など約350人の廃止問題に批判が集中。業を煮やした女性が御堂筋のライトアップを目指す橋下知事に「イルミネーションより、私たち350人の首の方が下ってことですね」と詰め寄ると、橋下知事は「私の責任でそう判断しました」と発言、怒号が渦巻いた。

橋下知事が「民間では破綻(はたん)すれば路頭に迷う。世間を知ってください」と迫ると、組合側も「破綻していないのに路頭に迷わせようとしている」と切り返し、「民間なら理不尽な提案があればストライキできるが、我々はお願いするしかない」と訴えた。

一連の団交で橋下知事は「私は選挙の洗礼を受けている。世論調査でも削減案は支持されている」と強調。組合側の反論に「それなら、そういう代表者を選んだらいい」と言い放ち、紛糾することもしばしば。橋下知事は午前9時からの民主党国会議員への予算要望をキャンセルし、最後まで団交を続けた。

現実を認識せよ
労働組合側としては、賃下げ交渉には容易には応じられないことはわかります。しかし、日本の大きな構造改革のうねり中で、民間企業や、銀行、それに一部の公務員ですら、出血を伴う痛みわけをおこなってきました。大阪府職員だけが例外ということは絶対に許されないでしょう。現在大阪府は、国でいえば、平時ではなく、戦時下にあるといってもいいくらいです。平時には有効だった方法も、戦時下では有害であることもあります。民間企業に在職すればわかることですが、業績が悪化すれば、たとえその業績悪化を招いた直接の責任のない取締役の報酬でも減額されます。さらに、社員でも、減法になったり、ボーナスがなくなったりすることもあります。一時減額されても、企業には残って存続してもらいたいというのが、経営者および従業員の望みですから、その望みのために、その企業の人は耐え忍ぶのです。

■夕張市の事例
夕張市の破綻を知らない人は、ほとんどいないでしょう。しかし、その後どうなったかは北海道では良く報道されますが、大阪ではあまり報道されていないのかもしれません。その実体を手短に掲載します。
破綻してしばらくしてから、皆さんご存知のように、多くの市役所職員が解雇されました。しかし、残っている職員も大変です。

まず、市長の月給は27万円です。ある中堅社員の月給は16万円です。残業も結構あるそうです。でも、残業代は出ません。休日出勤もよくあるそうです。無論休日出勤手当てもでません。

市立病院では、財政難のために、診療科目が大幅に制限されるようになりました。人工透析も以前は実施していたのですが、今は実施していません。そのため、患者さんは隣町にまでいかなくてはなりません。ある患者さんの例では、透析のために自宅を出て、家にもどってくるまで、実質半日程度かかるそうです。それだけではありません、診療科目が廃止されてしまった他の患者さんも、隣町までいかなくてはならなくなりました。

ご存知、夕張は雪の多いところです、今年の1月あたりには、累計で7mもの雪が積もりました。しかし、従来のように雪かきもままなくなりました。成人式は、ことしも何とかできましたが、前のように市からの補助があるわけではなく、当の成人や、周りの人たちが寄付をつのるなどしてようやっと挙行することができました。

地方自治体が破綻するということは、こういうことです。大阪府も今のままでは、こうなります。しかし、規模が大きいだけに、とんでもないことになると思います。地震や火事になっても、救援活動ですらままならなくなるかもしれません。そんなことでいいのでしょうか?

しかも、夕張の場合は、銀行からの融資が受けられなくなるなどの理由から、実質破綻状態にあることをひた隠しに隠してきました。北海道が調査に入ったときには、もう完全に取り返しがつかないくらい悪化していました。その意味では、破綻直前の夕張市長は非常に罪深いと思います。大阪府の場合は、すべて明るみさらして、何とかしようとしているわけですから、まだ望みがあります。先延ばしにしても何にもならないと思います。もし、破綻したとしたら、大阪府は全国の笑いものになるかもしれません。ツッパリ通した、組合も歴史上の愚者として、永遠にその名を刻むことになるでしょう。

■銀行の事例
銀行も今では、不良債権処理も一巡して、コンプライアンスを遵守するという一点を除いては、平時に戻ったようです。しかし、10年くらい前までは、まさに戦時の様相を呈していました。当時、あるメガバングの人が言っていました。平時ならば、誰がが「辞めるとか、辞めたい」などと言い出すと、誰かかれかが、慰留していたが、今では人事部の人が喜んで退職のために必要な書類を持ってくる。以前は、人が多く辞める部署の評価は下がったものだが、今で逆でよくやったと評価が高まるとも言っていました。銀行でも、相当な痛みわけが行われていたといえます。

さて、大阪府はこのような痛みわけなしで、難局を乗り切り、改革ができるというのでしょうか?そんなことができるはずがありません。

■北海道の事例
北海道では、ご存知のように北海道拓殖銀行が破綻してから、今年で11年になります。北海道では、拓銀が破綻した後、道債を発行し(借金をし)、北海道内の企業に対して対策を実施してきました。しかし、結局北海道の企業の構造改革をすることはできず、不合理な仕組みを長期間温存するだけの結果となりました。10年間で道債償還の期限が過ぎましたので、今年から道債発行によって企業を助けるということはできなくなりました。そのため、拓銀破綻10年以上を経て、もろに北海道企業にその影響が及ぶことになりそうです。

さて、大阪府、現在実質上の賃金カットなどして、応急措置をして、その後も対策を打つ必要があります。いま、実施しないとどうなるのでしょうか?結局後でつけがまわってくるだけで、事態を深刻にさせるだけです。大阪府職員の皆さんはそれで良いのでしょうか?無論定年間際の人には、どうでも良いことかもしれず、自分だけがよければいいのかもしれません。しかし、40歳台までの方々は、将来さらに深刻な問題になることが予想されます。それで本当に良いのでしょうか?

■公務員だけ別という考え方は成り立たない
現在日本の民間企業や、銀行は、大体構造改革が一巡して、何とか自立して運営できる状態にまでなりました。しかし、国家公務員とか、地方公務員だけはまだ、従来のままの状態を引きずっています。そんなことで済むはずはありません。組合側としては、賃下げ交渉にホイホイとすぐにのるというのは、できないことだと思います。しかし、ここで、かなり譲歩するべきではないでしょうか?もしかなり譲歩をしたといことになれば、府民も、いや日本国民もかなり高く評価すると思います。

私はも、応急措置が終わったあとに、様々な手を打てば、大阪府はまた復活して、十分自立できるようになると思います。しかし、このままの状態を続けていれば、破綻するのは目に見えています。たとえ、橋下知事でなくても、誰がやっても、避けて通れない道だと思います。破綻するのか、一時痛みわけをしても、大阪府を存続させるのか、二者択一が迫られているのだと思います。

以下に関連記事を掲載します。反転文字列をクリックすると当該記事に飛ぶことができます。

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