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2008年12月20日土曜日

百貨店がコンビニに売上を抜かれるとき-時代の潮目か?

コンビニ、百貨店抜く 08年の売上高、消費構造が変化(この内容すでにご存知の方は、読み飛ばしてください)

 コンビニエンスストアの売上高が2008年に初めて百貨店を抜くのが確実となった。消費不振で百貨店の販売が落ち込む一方、相対的に景気の影響を受けに くい総菜や弁当などを扱うコンビニは、たばこ自販機の販売規制(タスポ)効果もあって売り上げを伸ばした。両者の逆転は消費構造の変化を象徴しており、百 貨店は一段の再編・淘汰を迫られそうだ。

 日本百貨店協会が18日発表した08年1―11月の売上高は前年同期比3.6%減の6兆5800億円。高額品や衣料品の販売不振で、9カ月連続で前年割れが続いている。(07:00 NIKKEI NET)

コンビニエンスの隆盛

売上げ推移

















最近の金融危機のあおりも受けて、景気の悪化が百貨店の不振に追い打ちをかけたとはいえ、百貨店の売り上げ高はは、平成3年以降、平成9年を除くと減少を続けており、コンビニとの売 上げ高の推移を比較すると、コンビニに抜かれてもおかしくないという状況でした。デパートそのものの、業態が古くなってしまったのだと思います。それと、現在では社会そのものが大きく変化してしまった潮目の変化に当たっているのだと思います。

このような潮目は、過去にも何回かみられました。まずは、スーパーであるイトーヨーカドーの売上が、当時小売の売上の日本一だった三越を追い越したことがありました。昭和56年のことでした。
名門三越を抜き、小売業で経常利益一位になった1981年(昭和56年)二月期決算から半年後、イトーヨーカ堂は中間決算で創業以来始めての減益に陥りま した。当時鈴木会長は、減益の背景に関し、「第二次石油危機の影響を受けた」との社内の大勢の意見に「異」を唱え、管理部門の統括責任者として、「売り手 市場から 買い手市場に変化している時代状況の中で、単品管理ができていないため、減益に陥った。在庫ロスを減らせば利益は倍増する」との仮説を立て、社内コンセン サスを得る努力をしました。

反対派は、「豊富な品揃えこそがスーパーの特徴で、在庫を減らすと売上が落ちる」との論理で、「販売経験がない人間に何がわかる」との持論で、改善案は否 定されました。しかし、当時の鈴木会長の説得工作が功を奏し、イーヨーカドーは「業務改善プロジェクトを発足させ、後の業務改善委員会へと発展」 させ、経常利益率は1981年2月期の3.3%から1991年には6.6%へと倍増しました。

当時のセブンイレブンでの成功体験が生きる形になったものと考えられますが、鈴木会長の「時代の潮目をはっきりと読み取り、何事にもひるむことなく、強く固い意志で現実に面と向かい、変化させていく」強い姿勢があったからこそうまくいったものと思います。

さらに、もう一つの潮目は、CVS業界トップのセブン-イレブンが、2000年8月中間期決算において全店売上でダイエーを上回り、小売業日本一 になったことです。これは、小売業態のリーダーが百貨店から総合スーパーへ、総合スーパーからCVSへ遷移したことを示しています。

現時点における業態のチャンピオンであるCVS、特にセブン-イレブンは、高い生産性を上げることに成功しました。CVSは、新しい小売業務システムが新しい商品供給システム、新しい組織関係と結合し流通イ ノベーションが加速度的に進行させ、現代小売商業で最高水準の成長力と収益力を示したということだと思います。

さて、そのコンビニもグラフで見ても判るように、売上が鈍化しています。これは、CVSも業態として最早革新的ではないとの査証だと思います。現在、CVSが誕生したときに匹敵するような新たな業態はまだ日本では誕生していないようです。

新たな時代の潮目か?
コンビニの総合売上が、百貨店のそれを上回った今日、これはまた大きな潮目に当たっているのだと思います。最近の金融危機による影響など、確かにあるのか もしれませんが、私は元からある大きな変化が、金融危機などの影響によってその変化が加速されて早めに表に出てきているだけなのだと思います。戦後の高度 成長の時代より、売り手市場から 買い手市場の変化に対応してきたのが、百貨店からCVSにいたる小売業の歴史だったと思います。

今度の変化は、そのようなものではなく、おそらく社会の大きな変化があるものと思います。多くの消費者にとって、買い手市場は当たり前となり、消費そのもの には消費者はあまり価値を感じない、それよりも、サービスや商品に対して安心・安全感、価値観、個性、本物を求める時代に突入したのだと思います。この潮目の変化については、以前のブログにも掲載しました。

これは、アパレルなどの一部の業種・業態では、すでにそうした考え方で対応してきたのですが、それはあくまで一部なのであり、小売業全体がそれに対応しなく ても何とかなってきたというのが、金融危機直前までの状況だったのだと思います。これは、少なくとも10年前から言われていたことで今では何も珍しくもな んともない考え方ですが、その潮目を通り越したということだと思います。

これからは、小売業界もまた新たな業態を構築しなければならないでしょう。アメリカなどでは、まさに金融危機の最中にウォルマートが「マーケット・サイ ド」という新業態をテスト的に出店しています。無論、百貨店、コンビニ、スーパーが完全になくなるということはないでしょうが、社会の変化に対応し、新た に成長をする小売業の成長が望まれます。日本ではどのような業態が生まれて来るのか、今から楽しみです。


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