Tweet
本日、ウォール・ストリート・ジャーナルが興味深い記事を掲載していましたので、本日はその要約を以下に掲載します。
米国の経済成長率見通しがドミノのように崩れている。第3四半期の見通しもこれに追随するのだろうか?
四半期の実質米GDP伸び率。灰色が2月時点予想、青が実績、緑が6月時点予想
近年の歴史が指針になるとすれば、答えは「イエス」だ。エコノミストらは今年、あまりにバラ色の予測に繰り返しとらわれてきた。例えば2月になっても、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査では今年第1四半期の実質成長率の予想伸び率平均は年率換算で3.6%となっていた。実際には、同四半期の成長率はわずか1.9%だった。第2四半期の見通しも、今となっては同様に空想的だったかにみえる。同四半期の成長率見通しは、ひところ3.5%近くと予想されていたが、現在では一部で2%を下回るとの予想が出ている。
にもかかわらず、第3四半期には成長が盛り返すとの見方がエコノミストの間で依然としてコンセンサスになっている。今週発表される2、3の主要統計によって、こうした予測が再び誤りと判明するかどうか若干の材料が与えられるだろう。
29日(ニューヨーク時間で28日夜)には日本の5月の鉱工業生産統計が発表される。3月は大地震と津波で同生産は15.5%減少し、4月にはわずか1.6%回復しただけだった。ただし製造業部門は向こう数カ月間、生産が上向くと予想されている。日本は世界の自動車メーカー向けに不可欠な部品を製造している。このため、日本の生産回復を受けて米国の自動車業界は喪失した生産を今後数カ月間で取り戻すはずだ。
それは米国のGDP伸び率をかなり大幅に加速させることを意味するかもしれない。自動車生産が夏季の機器入れ替えで一時閉鎖されるのが通常だから、なおさらだ。自動車部門はGDPのわずか2.5%しか占めていないが、不振だった第2四半期のあと予想される自動車生産の回復は、第3四半期のGDPの伸びに1%ポイント以上寄与するはずだ、と調査機関マクロエコノミック・アドバイザースは予想している。実際、モルガン・スタンレー自身の第3四半期成長率推定は3.9%で、このうち自動車関連の押し上げ要因が1.5%盛り込まれている。
しかし、日本の鉱工業部門のV字型の回復が実現しなければ、こうした米成長予測も覆される恐れがある。既に、JPモルガンは日本の5月の生産見通しをそれまでの7%から5.5%に下方修正した。輸出統計が予想に達しなかったためだ。ハイ・フリークエンシー・エコノミクス社の主任エコノミスト、カール・ワインバーグ氏に至っては、5月の生産は実際には2%減少すると予想している。同氏は「日本が急回復していることを示す材料が全くない」と述べている。
今後の見通しは米国の自動車メーカー次第だ。30日には自動車各社は6月の米販売台数を発表するが、それは生産見通しをアップデートする機会にもなる。結局のところ、自動車が下半期の米景気反発の推進力になるとみられている。その反発がなければ、現在の強い成長予測はそのまま維持できないだろう。【私の論評】米国の野心を満足させるためには不可欠の日本の景気回復が遅れた場合に備えた下準備か?
さて、本日は、上記の記事の背後にどのような意図があるのか深読みしてみようと思います。まずは、上記の記事の内容、日本の自動車部品製造業が、復興することにより、アメリカの自動車産業も増産することができ、アメリカのGDPの第三、第四四半期のGDPが伸びることが予想されることを述べています。
これは、一見アメリカの国内のことについての記事のように見えますが、私はそうではないと思います。もともと、アメリカの経済は完璧な内需主導であり、GDPの中に占める輸出の割合は数パーセントにすぎません。日本は、16%で、これだけ、この比率が低いのは、世界広しといえども、アメリカだけです。さらに、さらにその中で車両の輸出など、全体からすればほんの微々たるものにすぎません。
無論、米国の自動車のかなりの部分が、国内消費にまわされるものであり、輸出など微々たるものです。確かに、日本の自動車部品メーカーの輸出が滞れば、アメリカの自動車メーカーの生産も伸びはしません。しかし、それが、アメリカの経済にどれほどの影響を与えるかといえば、微々たるものです。
私自身は、たとえ、第三四半期、第四四半期のGDPの成長率が1%台になったからといって、それがが、アメリカの自動車の輸出が伸びないからという上記に説には、かなり違和感を感じます。
そこで、これは、本当は何を意味するのかを考えてみました。これを考える前提条件としてまずは、アメリカなどの新聞、特に大手新聞などは、日本などとは全く異なり、国益のために記事を掲載しています。立場や、考え方など新聞社によって独自のものがあり、共和党よりとか、民主党寄りなどはありますが、大原則としてアメリカの国益にあった記事を掲載します。
そこから考えると、最近のアメリカのデフォルト騒ぎが想起されます。私は、このブログで、最近、アメリカのデフォルト騒ぎは、演出であることを掲載しました。
【NewsBrief】米大統領が財政協議に関与、デフォルト回避に向け与野党幹部と会談へ―【私の論評】アメリカのデフォルト演出は何を意味するのか?日本に強い関わりがあるその意味!!
詳細につきましては、上記の記事を読んでいただくものとして、この記事の要点は、「私が、類推するに、アメリカ側がデフォルト騒ぎを演出するのは、ドルを一時でも、相対的に安くし、アメリカの貿易の振興を図り、一時的に外需主導で、アメリカの景気を良くしようという企てがあるのだと思います」ということでした。日本が、円高傾向、アメリカがドル安傾向になれば、アメリカの輸出は好調となり、それにもともない、自動車の輸出も増えることでしょう。アメリカの隠れた意図はこれなのです。
そうして、この記事の中では、こんなことをする意図として、アメリカは最早経済の復元力がないため、ここ数年は、内需主導型の景気回復はできないことが見えているため、外需による景気浮揚をこころみているのであり、特にこれから、米国と逆に経済の復元力からいって、内需拡大型の景気浮揚が期待される日本に注目しているのだということを掲載しました。
そうして、もし、日本の景気の回復がもたつけば、おそらく、アメリカの外需が伸びる余地がなくなるため、日本にいろいろな外圧をかけてくることが予想される旨も掲載しました。
ここまで書けば、聡明な皆さんのことです。私が言いたいことは、もうほとんどお分かりになったと思います。
そうです。上記の記事、結局は、日本の自動車部品製造業のすばやい復興を促しているのです。復興しなければ、アメリカの輸出が伸びなくなるとして、暗に日本に対して、復興ならびに、景気回復を遠まわしに促しているとみるべきです。
そうして、このような一見些細なことをわざわざ記事に掲載するということは、これから、日本の復興、景気の回復が足踏みした場合に、突然降って湧いたように、圧をかけるのではなく、堀を固めるように、すこしずつ埋めていき、ここぞというときに、徹底的に叩き、かなり強い圧力をかけるための下準備とみるべきです。
アメリカ側は、今後、このような下準備などをしておき、日本の民主党政権が直近で増税するなどの馬鹿真似をしたり、いつまでも、重い腰をあげずに、復興も滞り、景気回復も遠のくことがあれば、徹底的に圧をかけてくることでしょう。
もし、そのようなことになった場合、民主党政権は、言われていることの意味を判断しかねて、右往左往することでしょうが、結局は、アメリカの圧に屈することでしょう。
このこと、アメリカの意図を成就すること、すなわち、アメリカの外需主導の景気回復を成就するために行うことですが、日本経済にとっては、悪くないことです。
このままでは、民主党政権が、とんでもない復興対策案を実施したり、増税などして、さらに、日本のデフレを助長するすることになりそうでしたが、今回ばかりは、それをすれば、アメリカの意図がくじかれるわけですから、そんなことにはなる確率が相当減ったと思います。というところで、私自身は、胸をなでおろしています。
それしても、ハイパーマクロ経済大音痴である、民主党もうダメですね。全く、日本国内、世界もみえていません。困ったものです。しかし、今年の末から来年にかけては、民主党がバカ真似をしかけても、アメリカが圧を加えることでしょうから、そんなことはなくなるでしょう。私たちも、確かに震災、原発で、あまり良い話などありませんが、今後の景気の浮揚には、期待しても良いと思います。
それにしても、民主党の経済音痴には困ったものです。彼らは、本当に経済が判っていないようです。復興に関しても、財源がないなどと大騒ぎしているようですが、マクロ経済の原則である、「カネは天下のまわりもの」という原則も理解していないようです。
本当に、家庭の主婦のカマドを守る感覚です。家庭であれば、旦那の給料は限られており、給料から何かを支払えばそれでお金は消えてなくなるだけです。しかし、復興などにお金をつぎ込むことはそれとは全く異なります。
家もない、収入もない人々が大勢存在していて、ほんど経済活動らしきことをしていないわけですから、そこにお金をつぎこめば、経済活動をしていない人々が自立して、経済活動をして、富を生み出すわけです。そうすれば、そこに新たな税収がうまれくるわけです。デフレだって同じことです。政府が思い切った財政出動を行えば、それか、きっかけとなって、景気が浮揚すれば、大勢の人々の経済活動が始まるわけですから、税収も増えてくるはずです。
お金をだすにも、いろいろあって、子供手当てなどの社会保障などに一度、お金を使うことを決めた場合、一度で終わることなく、原則として毎年拠出しなければならなくなります。しかし、震災の復興や、デフレの克服などは、一時お金をつぎ込んでしまえば、後は、継続してつぎ込み続ける必要などありません。多くの人が、自立したり、以前よりも経済活動を活発化ざせるので、そうなれば、お金をつぎ込む必要はなくなるわけです。
この理屈が何故わからないのでしょうか?彼らの感覚からすれば、復興などに巨額のお金を拠出することは、それは、火のなかにお札を投げ入れるのと同じで、もうそれでお金はこの世の中から消えると思っているのではなかろうか疑ってしまいたくなります。いや、やはりそうなんでしょうね。だから、財源、財源と騒ぐのだと思います。
しかし、そんな考え方では、経済の舵取りなど全く不可能です。こんな連中が政権をになっていてはどうしようもありません。これは、自民党の少なくとも、谷垣総裁も同じようなものです。困ったものです。
そんなことを言ってばかりいても、しょうがないです。あてにならないものは、あてにすべきではないです。私たち、企業経営に関わるものは、直近の景気浮揚を最大限に活用して、徹底的に企業の財務体質などを改善・改革し、次世代の企業として脱皮する道を選択すべきです。そうして、特に経済面では今までもそうだったように、財務省のいいなりになり、掌で弄ばれている大馬鹿政府を支えていく意外に打開策はないと思います。
Tweet
【関連記事】