ラベル 経済圏 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 経済圏 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年10月9日火曜日

編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」―【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!

編集委員・田村秀男 能天気過ぎる対中「金融協調」



今週、東京で国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会が開かれる。「国際金融協調」は表看板、実は会議の舞台裏で通貨をめぐる国益ゲームが展開される。その点、日本が最も警戒すべきはアジアの標準通貨として台頭する中国・人民元である。どうすべきか。

一国の通貨は他国のモノや資産の物差しになることによって、労せずして富を奪取できる。基軸通貨ドルが典型例で、米国はお札を刷ればいくらでも石油や金属資源を入手し、国債と引き換えに外国製品を買える。ドル安に誘導すれば、相手国の対米債権は目減りし、米国の対外実質債務は減る。

早い話、日本政府は外貨準備を主として米国債で運用しているが、約40兆円もの評価損を被っている。2011年末の米国の官民の資産総額は21兆ドル(約1650兆円)を超えるが、ドルが一律に5%下落すれば1兆500億ドル強、米国の年間の経常収支赤字の2倍以上の評価益を得る。米国はドル印刷機のおかげで簡単に借金を帳消しにできるのだ。

・・・・・・・・・・・<中略>;・・・・・・・・・・・・・・

日本の「お人よし」ぶりには目を覆う。野田佳彦政権はこの6月、人民元にとって初めての海外通貨との直接取引に応じ、人民元のアジア標準通貨化に手を差し伸べた。沖縄県尖閣諸島の国有化に対して、執拗(しつよう)で理不尽、国際法を無視した共産党主導の反日暴力デモによる日本企業破壊にもかかわらず、野田政権は中国との通貨スワップや円・人民元の直接取引拡大、中国国債の購入、人民元建て債券市場の育成などに協力する。目先の利益にばかり目を向け、中国のアジア通貨覇権を後押しする能天気ぶりである。

もともと、円はドル、ユーロに次ぐ国際通貨として認知され、企業も旅行者も世界の主要国のどこでも円で支払い、モノやサービスを購入できる。国債、社債、株式など円建ての金融資産は国際的に出回っている。

ところが、円建て貿易決済は主に本国と海外現地法人の間など日本企業同士に限られ、多くは依然としてドル建て決済である。他通貨に比べて大きく変動する円は日本企業ばかりでなく海外の企業や政府にとってもリスクが大きく、地域の標準通貨としては人為的に相場変動を管理、抑制する人民元に比べて巨大なハンディを背負っている。

このまま東アジアが人民元にのみ込まれてしまうと、日本の企業、金融機関とも人民元を手にしていないとアジア全域でビジネスができなくなる。中国共産党が指揮する人民元政策に翻弄(ほんろう)され、服従を余儀なくされる。経済の弱体化に伴い、日本は外交、安全保障面で不利になる。

野田政権が今すぐとれる対抗策はある。人民元の自由変動相場制への移行を対中金融協調の条件とせよ。人民元相場の操縦に批判を強める米国などと水面下でスクラムを組んで、北京と対峙(たいじ)する。IMF・世銀総会はその絶好の場なのだ。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】アジア人民元経済圏により日本は草刈場になる!!



すでに、日本は、中国からかなり富を簒奪されていることはこのブログでも何回か述べてきました。それについては、以下の記事をご覧いただければご理解いただけるものと思います。

物価1%上昇「14年度の達成は困難」日銀総裁―【私の論評】やっぱりやる気ないんだ、一体どこまで国民を欺くつもりなのか?!!

詳細は当該記事をご覧いただくものとして、中国による日本からの富簒奪に関わる部分だけ以下にコピペしておきます。
これじゃ、ますます、国内景気は落ち込むし、年末にかけて、アメリカ、EUなども大規模な金融緩和を実施するなか、日本が追加金融緩和措置をやめれば、とてつもない円高になるのは目に見えていまます。本当に全く解せない発言です。これは、ひょっとして、先日中国人民銀行総裁の、日銀が大幅に金融緩和をすることについての懸念表明への答えなのでしょうか?日銀が中国からの指令で動いていると揶揄する人たちもいますが、こうなると、この揶揄も、揶揄ではなく真実味・現実味を帯びてきました。
中国は、日本という打ち出の小槌を最大限に活用した
これは、日銀が最近追加緩和措置を取りやめることの表明の内容をあげたものですが、本当にこの時期の緩和措置の取りやめに関してはまったく解せないです。本当に、中国人民銀行総裁の意向で動いているといわれても、言い訳できないと思います。

ここ20年近く、日銀がテコでも金融緩和に動かず、いろいろ取り繕ってはいるものの、結局は金融引き締めばかりしていたことは、まさに、中国にとっては僥倖でした。なぜなら、中国の元は、固定相場制という環境にあって、もし、不況になれば、元を大量に擦り増ししても、金融引き締めを実施し続ける円をしりめに、元の相対的価値が下がり円は相対的にあがり、日本への輸出はかなり有利になります。

そのため、元を大量に刷っても、ハイパーインフレになることなど一切心配せずに、日本への輸出や、日本からからの、工場や技術の移転を期待することができました。日本は、さらなる円高にあえぎ、日本製品は相対的に高くなり、中国への輸出がしにくくなりました。さらに、とてつもない円高のため、日本の工場や、人や技術などを中国に移転し、日本国内の産業空洞化に拍車をかけることになりました。


一方日本は、20年の長きにわたって、デフレが続き、本来だったら、同じ職について職位が同じであっても、経済がまともであれば、20年間で、給料は倍になり、インフレ分を差し引いても1.5倍くらいなるのが普通なのに、あろうことか、最近では下落傾向にあります。こんな国、先進国では、日本だけです。企業も、国内では設備投資をなるべく控え、投資をするとすれば、中国などの海外でした。

何のことはない、ここ20年ほどは、日本は、日本国内を犠牲にして、中国に奉仕し中国を世界第二位の経済大国に押し上げるのを支援したようなものです。もし、こうした日本の裏からの助けがなければ、中国は、第二の経済大国になるのには、まだまだ、時間がかかったものと思います。おそらく、あと20年はかかったかもしれません。

良く日本から中国に対するODAが問題にされますが、日銀による中国への奉仕活動は、その次元ではありません。そんなものは、累計では消し飛んでしまうくらの額になるはずです。本日も、結局日銀の悪口になりましたが、日銀は、これだけのことをしているということで、このボトルネットを粉砕しなければ、日本はいつまでも正常にはなりません。

しかし、最近ではこの打ち出の小槌のような日本の大盤振る舞いも、あまり効き目がなくなってきました。それは、中国がインフレで物価があがっても、不況状態から抜け出せないというスタグフレーションの状態に突入したからです。

中国富裕層がたむろするプランドショップ。日本人
はこういう見知らぬ人たちに知らずして奉仕している。
これまでのように元を気楽に擦りましたら、さらにインフレになり、しまいには、ハイパーインフレになる懸念もあります。この状態では、もはや日本の打ち出の小槌はききません。そうして、ここで、日本の打ち出の小槌の役割が終焉したかにもみえました。

しかし、そうではないのです。今度は、上の記事にもあるように、アジア人民元経済圏が成立したとすれば、さらに、日本の富が、簒奪されることになります。打ち出の小槌復活です。元取引きになれば、またぞろ、中国は、固定相場制という生ぬるい金融環境の中で、元を気楽に擦り増しして、日本から気楽に富を簒奪てきます。これによって、日本は、富を吸い尽くされ、それこそ、中国の草刈り場になるわけです。そうなると、中国は、世界第一の経済大国に迫る勢いになるか、20年後には、米国を追い越すなどということもあり得ます。

日本人は、日々働いてどこの誰かもわからない
中国の富裕層に奉仕しているとは知らない
こんなことは、到底容認できるものではありません。まさに、上の記事に掲載されているように、「人民元の自由変動相場制への移行を対中金融協調の条件とせよ。人民元相場の操縦に批判を強める米国などと水面下でスクラムを組んで、北京と対峙(たいじ)する。IMF・世銀総会はその絶好の場なのだ」ということなのです。

中国貧困層の家
これは、本当ににもっともなことです。いまや先進国すべてが、変動相場制であるにもかかわらず、中国だけが、固定相場制であって良いはずはありません。なのに、中国は、あるときは、先進国のような発言をし、都合が悪くなると、中国はまだ発展途上国であるように発言します。どっちつかずです。

先進国的発言をするなら、先進国なみに、民主化、政治と経済の分離、法治国家することと、その一環として、元を変動相場制に移行すべきです。それもしないで、元をアジアの機軸通貨にするなど、国際的な常識ではあり得ません。固定相場制にあるような国の貨幣をアジアの機軸通貨にするなど絶対にあってはならないことです。

中国富裕層住宅
日本はここしばらく、上記のように中国に便宜をとりはからってきましたが、それにさらに輪をかけて、「金融協調」などすることなど、とても考えられません。アジア人民元経済圏がなど、絶対に阻止すべきです。しかし、野田政権には、最初から到底無理なことです。なにせ、今のデフレの時期に、「増税に政治生命」をかけるなどと、豪語した輩ですから、ますます、日本を弱体化させる方向に舵を切るに違いありません。日本のことなど全く考えていません。自らの政権の延命と、次の選挙において、敗北するのは、はっきりしていますが、少しでも、負けを少なくすること、あわよくば、連立などで、自分だけ生き延びたいということしか考えていないと思います。

このような、野田政権、民主党政権には、一刻も早く退いていただき、まともな、経済対策ができる、政党・政治家に政権の座についていただきたいと思うのは、私だけでしょうか?


【関連記事】

物価1%上昇「14年度の達成は困難」日銀総裁―【私の論評】やっぱりやる気ないんだ、一体どこまで国民を欺くつもりなのか?!!

日銀総裁を公募で選ぼう―【私の論評】次の日銀総裁人事は、自民党総裁すなわち安部新総裁が大きく関われるようになっていなければならない!!

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!

【日本の解き方】日銀のみすぼらしい金融緩和…欧米より周回遅れ―【私の論評】白川大貧乏・デフレ・円高大明神10兆円のご託宣とはこれいかに?


特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...