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2020年7月5日日曜日

迫る濁流、必死の避難 川には巨大石「ただごとではない」―【私の論評】コロナ禍の他、自然災害対策でも、財務省抜きの政府日銀連合軍で様々な対策を実行せよ(゚д゚)!

迫る濁流、必死の避難 川には巨大石「ただごとではない」



    闇の中、荒れ狂う川からあふれ出した濁流が静かな日常をのみ込んだ。3日から4日にかけて、熊本県南部で大きな被害をもたらした豪雨。住宅街には泥水や土砂が流れ込み、電気などのライフラインも一部断たれた。住民らは恐怖や不安に押しつぶされそうになりながら、力を合わせて懸命に避難した。

    球磨川の雨量は、3日深夜から4日未明にかけて急増。県内の広範囲で氾濫した。

    川沿いにある球磨村の集落は、波立つ濁流にのみ込まれた。14人が心肺停止で見つかった特別養護老人ホーム「千寿園(せんじゅえん)」では、ヘリコプターを使って救助活動が行われた。

    隣接する八代(やつしろ)市では、坂本町で複数の住民が孤立。祖父母らと4人で暮らす専門学校生、松村拓海さん(20)は4日早朝、家族全員で自宅2階に「垂直避難」し、難を逃れたが、濁流は階段の途中にまで迫ってきたといい、「死ぬかと思った」と振り返った。

    近くの橋が流された商店店主の男性(83)は「夜中に停電し、妻と自宅2階に逃げた。朝になると(1階の)商品は泥まみれで水浸しだった」という。「何もかも泥だらけ。何から手をつけたらいいのか」と言葉を失った。

    同市海士江(あまがえ)町の自営業男性(50)は高齢の両親と妹とともに車に乗り、近くの商業施設の立体駐車場に逃げた。「父親は介護が必要で体も弱く、新型コロナウイルスも怖いので避難所には行けなかった」と声を震わせた。

    球磨川でのラフティングツアーを開催するラフティングストーンズ(人吉市)の大石権太郎代表(50)は市の要請で、浸水した市街地にボートを出した。屋根に取り残された被災者らを救出。「こんな時だからこそ協力しようと思った。ほかのラフティング会社の多くはボートが流されたようだ」と話した。

     芦北(あしきた)町では、旅行業を営む佐藤圭吾さん(62)の自宅兼事務所の1階部分が水浸しになった。

    「午前3時ごろに(大雨の)緊急メールを受けたときは、まだ大丈夫だろうと思っていた」というが、4日明け方には周辺は冠水。近くの知り合いと同じボートに乗り、1人暮らしのお年寄りらの救出に向かった。

    「雨が上がって周辺の水は引いたが、電気や水道は使えず通信障害も起きている」と佐藤さん。「自宅の片づけもしないといけない」とこぼした。

     同町田川地区では大規模な土砂崩れが発生。民家が流失し、複数人と連絡が取れていない。現場では地域住民らが、不安そうな様子で捜索を見守った。

     土砂崩れで心肺停止状態の住民が見つかった津奈木(つなぎ)町では、自営業女性(60)が4日未明、自宅に隣接する川で巨大な岩が流されるのを目撃。「ただごとではない」と直感した。

    自宅は周囲より少し高い場所にあるため、被災は免れた。女性は「避難所に向かう高齢者が『新型コロナが怖い』と話していた。雨は上がったが気は抜けない」と語った。

【私の論評】コロナ禍の他、自然災害対策でも、財務省抜きの政府日銀連合軍で様々な対策を実行せよ(゚д゚)!

下の写真は、球磨川上流の支流・川辺川の、ダムで水没する予定だった地域です。ダム建設は反対運動で中止されました。これが水の中に埋もれるのはとても惜しいです。しかし、今日のような洪水の被害は本当に恐ろしいです。美しい景観を守るためなら、洪水の犠牲はやむを得ないのでしょうか。皆さんは、どう思われますか。


民主党政権は八ッ場ダムと川辺川ダムの建設中止を掲げ、思考停止したマスメディアはこれに一斉に同調し、両ダムの建設を悪魔化しました。八ッ場ダムは何とか建設されて昨年の豪雨で機能しましたが、球磨川上流の川辺川ダムは中止のまま。セキュリティホールが突かれた形になりました。

降水量の空間分布を見ると川辺川ダムの集水域に豪雨が集中しています。「コンクリートより人」の美辞麗句は災害のリスク対応には無力です。また、素人が声高に叫ぶ「森林の保水力」も豪雨の前には無力であることが、当該地域で実施された国交省の調査によって立証されています。



これについては、さらに詳しく分析している方がいらっしゃいました。その方のブログの記事のリンクを以下に掲載します。
川辺ダムがあったら球磨川は氾濫しなかったか?
事前に貯水率3割程度に減らしておけば、人吉市内※7/5コメント追記の球磨川の防げるだろう。 
去年の台風19号の時に「台風19号で八ッ場ダムが普通に稼働していたとして役に立ったか?」で計算してみたが、この時は理論上は役に立つという結果だったが、今回は実用でも役に立つだろう結果だった。 
今回の被害額は知りませんが、費用対効果もダムを作る時の判断に加えるべきことを最後に書いておきます。 
※2020/7/5追記 人吉水位観測所での氾濫が抑えられることが想定されるのであって、それより下流や上流で堤防が低い箇所では発生した可能性あり。
この分析、私は大学生のときに、あるシンクタンクで、都市計画の積算業務のアルバイトをした経験があるので、その内容は理解できました。
2008年12月20日 朝日新聞夕刊より転載
「川辺川・大戸川ダム事業休止 財務省原案で事業費カット」(朝日新聞) 
 20日に各省庁に内示された09年度政府予算の財務省原案で、流域の知事らが反対を表明している国土交通省の大戸川(だいどがわ)ダム(滋賀県)、川辺川(かわべがわ)ダム(熊本県)両計画はいずれもダム本体の建設を前提とした事業費が一切盛り込まれず、同年度の事業は休止することになった。今後、知事らの反対姿勢が覆らない限り予算措置されない見込みで、両計画は中止となる公算が大きくなった。
 
 国土交通省は大戸川ダムで10億円、川辺川ダムで34億円を概算要求していた。財務省原案では、水没予定地の住民に対する生活再建費や現地の工事事務所の維持費、継続的なデータ収集が必要な水位・流量観測費、道路の保全費のみ認められた。 
 大戸川は5億円で主に工事事務所の維持・管理費。川辺川は21億円で、事務所費のほか、水没予定地住民の移転先などへの付け替え道路の整備費などの生活再建費となっている。国交省と地元の協議が整えば執行に移る。ダム湖予定地を挟んで分かれた移転先を結ぶ付け替え道路などに関する費用は、事業の中止が正式に決まればダム予算そのものがなくなるため、別途、補助事業とするなどの手当てが必要になる。
 
 両計画とも、概算要求にはダム建設を前提に環境調査費や地質調査費などが盛り込まれていた。しかし、「知事らが明確に反対を表明している中、事業を強行できないのは明らかで、着工を前提とした予算は認められない」(財務省)と判断され、建設につながる部分はすべて削られた。 
 国交省の担当幹部は「現時点で先がどうなるかわからないダム本体の建設にかかわる部分は、認められなくても仕方がない。この先の県側との協議の行方や知事意見の正式表明の中身次第で今後の着工の是非を判断することになる」としている。 
 大戸川ダム建設は11月に大阪、京都、滋賀、三重の4府県知事が共同意見として反対を表明した。年内にも正式な知事意見が出される見込み。
 
 川辺川ダムは熊本県の球磨川水系に計画。前知事の任期満了に伴う3月の知事選で「是非を半年で判断する」と公約した蒲島郁夫知事が9月に反対を表明していた。 
 知事らの反対は環境への負荷や財政負担の大きさなどを理由とするもので、地元知事の反対表明をきっかけに、ダム計画が大詰めを迎えた段階で事業が休止となるのは初めて。国交省は今後、どの段階で正式に中止とするのか判断を迫られる。その場合、ダムなしでの新たな治水対策という課題も浮上する。(松川敦志)
当時は、民主党政権でしたが、民主党はいわゆる政権交代選挙の時に、「コンクリートから人へ」などを標語としたいくつかの公約を掲げ、選挙に大勝して政権与党となりました。

元々緊縮財政大好きな、財務省はこの標語通り、喜び勇んで緊縮財政路線を実行しました。民主党と当時の野党谷垣総裁率いる自民党の協力の下で、消費減税増税に道筋をつけました。自民党巨大なダムや堤防のプロジェクトは、予算をつけずに、廃止に追い込みました。その他の公共工事も、予算を削減したので、多くの施設が放置されることになりました。さらに、防衛費も教育費も削減しました。

そのため、今日あらゆる施設が老朽化しています。格好の事例は、首都高です。首都高は前回の東京オリンピックを目指して設置されましたが、その後目だった改修もされずに、老朽化しています。

当時は、民主党が政権与党でしたが、その当時の野党も似たり寄ったりでした。今日その痕跡をサイトの記事で見ることができます。その記事のリンクを以下に掲載します。
【02.12.11】川辺川ダムに予算をつけるな、計画を中止せよ!
今日、日本国中で洪水などの自然災害の被害が起こっていますが、私は、この原因は温暖化や、気象変動だけが原因ではなく、財務省の緊縮にも原因があると思います。

昨年千葉で災害の後で、かなり間停電が続いたのは、結局のところ緊縮財政も大きな原因の一つだけだとされています。長い間電柱が放置されていたため、老朽化して、強風で多くの電柱がなぎ倒されたというのです。

痛ましい犠牲の球磨川大洪水とは、対照的に昨年の関東大水害で八ツ場ダムが下流域を守るため威力を発揮しました。感情論でなく本当に建設中止が原因だったのか徹底検証すべきです。スーパーコンピューター富岳を用いて、今回の線条降水帯の雨量等全てのデータを解析して、ダムが建設されていた場合と現状の比較計算すべきです。未来の世代の為に是非実施していただきたいと思います。

ただし、いくらスーパーコンピュータを用いて、解析をしたとしても、財務省が緊縮をしていては、どうしようもありません。

日本緊縮教団教祖? 岡本氏

コロナ禍と、昨年の消費税増税で景気はかなり落ち込んでいます。このような時には、積極財政をすべきなのです。

財源は国債を刷れば良いのです。そうして、日銀が国債を買い取れば良いです。現在デフレ気味なのですから、なおさらこれを実行すべきなのです。これを将来世代に負担になるという意見の人が、ジャーナリストや、いわゆる識者と言われる人々も中にもいますが、これは全くの出鱈目です。日銀買取国債について利払費は納付金で政府に戻り、元金も日銀引受できるので元利償還負担などありません。

この制度を知らないまま発言すると恥かくだけです。ただ、財務省も多くの政治家もそうなのですが、恥をかいているという認識も無いようなので、本当に困ってしまいます。こういう嘘がまことしやかに出てきて、コロナ禍対策が難航するのを見越して政府と日銀は財務省を外して連合軍を作ったことは以前のこのブログでも述べました。

コロナ禍の他、自然災害対策も、財務省を加えず、政府日銀連合軍で、様々な対策を実施していただきたいです。そうして、これによって、日本でもまともな財政政策ができるように道ずけをしていただきたいものです。

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