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2018年5月1日火曜日

「公共の場所に像を設置し、日本を侮辱すべきでない」と明言 ドゥテルテ比大統領の慰安婦像撤去に称賛の声―【私の論評】中国や韓国のように日本を悪魔化し国民の憤怒のマグマをそらす必要のない国フィリピン(゚д゚)!

「公共の場所に像を設置し、日本を侮辱すべきでない」と明言 ドゥテルテ比大統領の慰安婦像撤去に称賛の声


ドゥテルテ氏の意向で撤去された慰安婦像=昨年12月

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、同国の「良心」を示した。首都マニラに設置されていた慰安婦を象徴する女性像が撤去されたことについて、「公共の場所に像を設置し、日本を侮辱すべきでない」と明言したのだ。ネット上では、ドゥテルテ氏に対し、「大統領偉い!」「感動した」などと、称賛の声が上がっている。

 地元メディアによると、ドゥテルテ氏は4月29日の記者会見で、「日本は多くの代償を払い、賠償は何年も前に始まっている。他国を敵に回すことは、政府の方針ではない」とも述べた。

 女性像は、地元の華人団体が昨年12月に設置した。翌月、マニラを訪問した野田聖子総務相が「遺憾」を表明するなど、日本政府からフィリピン側に働きかけを強めていた。

 女性像は、マニラ市と公共事業道路省が4月27日夜、ショベルカーで撤去し、台座や記念碑板も持ち去った。日本政府関係者には、女性像の再設置や移転は行われないとの連絡があったという。

【私の論評】中国や韓国のように日本を悪魔化し国民の憤怒のマグマをそらす必要のない国フィリピン(゚д゚)!

本日は、女性像の撤去に関する追加情報などもあまりありませんので、フィリピンについて気になるところを掲載します。

ドゥテルテは日本のメディアのなかでは「フィリピンのトランプ」と称されることが多いのですが、これは完璧な間違いです。

富の象徴トランプタワー トランプ氏の自宅も入っている

この二人の「自宅」をみれば一目瞭然です。トランプ氏は大統領になってからは、無論のことホワイト・ハウスに住んでいますが、元々自宅はあのトランプタワー内にあります。これは、日本でも内部などが公開されているので、ご存知の方も多いと思います。

大富豪・トランプ氏にふさわしい大邸宅です。一方ドゥテルテ氏の自宅は、質素で超庶民的な造りです。ドゥテルテの父親は弁護士で州知事、母親は学校の先生です。フィリピンのなかでは上流階級に属するので彼の実家は立派な建物です。でも、トランプの豪邸と比較できるようなものではありません。

ドゥテルテ氏の自宅前で記念撮影をする人々 観光スポットになっている

さらに、二人は政治家実績がこれまた対照的です。ドゥテルテは1986年にダバオの副市長になり、その後、同じダバオで九選近く市長職を勤めてきた経験と実力を併せ持った政治家です。一方のトランプは政治家としての大統領になる前まではゼロです。

さらに、国民からの支持も違います。ドゥテルテは2016年の大統領選挙で2位のロハスに700万票の差をつけて圧勝しています。トランプは一般投票では、ヒラリーに200万票以上負けています。就任時の支持率は40%少しで、歴代の大統領のなかでも最悪の状況からスタートしています。

このように何から何まで二人は違っています。日本のマスコミは韓国の文在寅大統領のことも「韓国のトランプ」と評したりしていました。そもそも、このブログでも何度かしてきしきたように、日本のマスコミのトランプ大統領の評価は間違っています。

日本の近隣諸国の中でも一番戦争被害をこうむったフィリピンですが、中国や韓国と違い、今では親日的です。

なぜそうなったかといえば、まずはマルコス政権時代には、日本とフィリピンは反共同士ということもあって両国の関係が発展したということがあります。また、その間にルバング島で小野田寛郎さんが発見されるなどのエポックな出来事もありました。

それで少しずつ融和的になっていきました。さらに、フィリピンはカトリック教国です。そのカトリックの「赦しの思想」といったものが根底にあると考えられます。

ただ、一番大きいのは、戦争中にフィリピンは日本に「やり返し」ていることです。フィリピンは75余万の日本軍相手に米軍とともに戦って日本軍を追い出しています。フィリピン側の被害も多かったのですが、とにかくフィリピン人が犠牲をはらって日本軍を追い出しているのです。

これに比較すると、中国はやられっぱなしで終戦していますす。蒋介石は援蒋ルートで米英ソから援助を受けておきながら、最後まで日本軍に対し大反攻できませんでした。

中共は、第二次世界大戦中は大陸各地を国民党軍から逃げ回り、第二次世界大戦直後よりようやく数年立ってから国民党軍を台湾に追い出して現在の中華人民共和国を建国しました。日本と直接戦争をしたこともありません。

また、韓国はどちらかというと日本と一緒に戦っていた側ですから、こちらも一度もやり返していません。韓国は、一度日本から米国の統治に委ねられ、米国から独立しています。日本から直接独立したわけではありません。フィリピンは、一度は日本軍にやられましたが、「やり返して勝っている」というのが人々の気持ちの根底にあります。

それがあるから「赦そう」というふうになるのでしょう。中国や韓国は本当の意味での戦勝国ではありませんが、フィリピンは真の戦勝国なのです。もちろん、その他の要因として、さまざまな民間交流とかODA等いろいろな要員がありますが、根本的には自分たちの血を流して力で「日本に勝っている」という気持ちが、大きく作用していると思います。

自力で勝った国と、勝てなかった国のコンプレックスは、人々の精神の根底に強い影響を残していると思います。

1992年のフィリピンからの米軍が撤退しました。戦前・戦後の一時期、クラークフィールドは極東最大の米軍基地でしたが、ご存じのように1992年にそこから米軍が出ていきました。その跡地が今ではクラーク経済特区になっていて、カジノ、病院、ショッピングモールなどの施設がたくさん造られています。

米軍撤退がハッピーエンドに行われたのか、というとそういうわけでもありません。街には相変わらず娼婦がいます。彼女らのお相手が米軍兵から外国の観光客に変わっただけであって、格差の構造は以前と変わっていません。

これは非常に大きな問題だとは思います。今でもクラークフィールドまでマニラの中心部から鉄道が繋がっていないです。だから、ここはまだ建設途中の街といえるかもしれません。

考えてみると、今から25年も前に「アメリカは出て行ってくれ」と言ったために、フィリピンの近くの南シナ海の環礁が埋め立てられ中国の基地となってしまうきっかけになったと思います。これは、過去のフィリピンの大失敗でした。

日本でも、沖縄で市民運動家が基地反対運動をしていますが、本当に沖縄から米海兵隊が完璧に引き上げれば、尖閣諸島や東シナ海に中国が進出してきて、それこそ南シナ海の二の舞いとなることでしょう。

「近くて遠い国」という言い方があります。昔は韓国や中国に対してそんな言い方をしていましたが、今はフィリピンのことを指すのに適当ではないかと思います。フィリピンと日本は、歴史的にもいろいろと関係し合ってきました。日米戦争でも日比間ですさまじい戦闘が行われました。そんな関係の深い国なのですから、今のように簡単に素通りさせてはいけないです。

私は、これからはフィリピンの時代だと思います。マニラだったら空路を使えば日本から約5時間足らずで行けますから。「アジアの盲点・フィリピン」を埋めていくことが、日本にとって今、いちばん必要なことだと思います。

そうして、何よりもドゥテルテ大統領が、慰安婦像を撤去して日本に配慮を見せたことに注目すべきです。

ドゥテルテ大統領

中共も韓国も、日本と戦ったことがないので、フイリピンのように自分たちが血を流しては勝てなかったというコンプレックスがあります。さらに、中共も、韓国も、フィリピンよりは経済的には恵まれていますが、政府による統治がフイリピンに比較すれば、劣っているので国民は常に不満が鬱積していて、統治の正当性を疑われています。そもそも、中共には選挙すらありません。さらに、最近では習近平が終身主席となる道がひらかれ、実質上の皇帝になってしいました。

国民の不満の鬱積をかわすためには、ことさら日本を悪者にしたてて、国民の煮えたぎる憤怒のマグマを日本に向けさせる必要があるのです。

しかし、フィリピンは違います。先にも述べたように、ドゥテルテは2016年の大統領選挙で2位のロハスに700万票の差をつけて圧勝しているのです。中国や韓国のように日本をことさら悪者に仕立てて、国民の憤怒のマグマをそらす必要などないのです。

中国や韓国は、慰安婦像などを設置して、国民に日本を悪魔であると印象操作をして、国民の憤怒のマグマを自分たちが浴びないようにする必要があるのですが、フィリピンではそのようなことをわざわざしなくても、選挙によって十分に統治の正当性が得られているのです。

日本も同じことです。連合国に最終的には戦争に負けたというコンプレックスはありながらも、三年半にもわたり米国を筆頭とした連合国と戦争を継続し、緒戦では勝利を治め、敗戦後には結果として、大東亜戦争の大義でもあった、アジアから西欧諸国の植民地はなくなりました。

だから、日本は中国や韓国のような重度のコンプレックスに見舞われているわけではありません。そういう意味では、日本は中国や韓国よりも、フィリピンに近いということがいえます。

韓国や中国が慰安婦像、女性像を設置するのに血眼なのに、フィリピンは今回撤去したことことは、象徴的です。

日本は、これから中国や韓国とかかわるくらいなら、フィリピンに多いに関わっていくべきと思います。

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