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2011年10月27日木曜日

個人の買い物や掃除を請け負って小遣い稼ぎ、アメリカで人気の仕事入札サイト「TaskRabbit」とは―【私の論評】ぞくぞくと、何か新しいビジネスが生まれる予感?

個人の買い物や掃除を請け負って小遣い稼ぎ、アメリカで人気の仕事入札サイト「TaskRabbit」とは


アメリカでは現在、食料品の買い出しや家具の組み立てなど、ちょっとした仕事を頼みたい人がその内容を掲載し、それを見た個人の登録会員が入札し、金額が最も低かった人がその仕事を請け負うという仲介サイト「TaskRabbit」が静かな広がりを見せている。

仕組みはこうだ。依頼者がTaskRabbitのサイトに仕事を掲載。この費用は無料で、誰でも仕事を依頼することができる。するとその内容や条件、希望する時間帯などを見て、自分ができると思ったTaskRabbit(登録者をこう呼ぶ)が、いくらで仕事をしたいかをオファー。依頼者はオファーしてきたTaskRabbitのなかから、自分の条件に合った人を選ぶことができる。




支払いは、仕事を掲載するときにTaskRabbitにクレジットカード情報を登録、仕事が終了した時点でそのカードにチャージされる仕組み。TaskRabbit社が約15%のサービス料を差し引いた残りの金額が、仕事を請け負った人に支払われる。

依頼するほうは誰でもいいが、請け負うほうはまず登録申請書を提出し、ビデオによる面接と身元調査を受け、さらにオンラインでのトレーニングを受けなければならない。こうしたプロセスは全て、仕事を依頼する顧客の安全を守ると共に、TaskRabbitの信用を維持するためだ。

どんな人々がTaskRabbitとして登録しているかというと、全体の25%は仕事を引退した男性、15%は母親、12%は仕事を持つ若い女性、10%は大学生だという(38%はその他)。

様々な経歴をもつtaskrabbit
では、どのような仕事が依頼されているのだろうか? 買い物代行、スリフティーショップ(寄付された中古品を店舗で販売、慈善事業に充てている。アメリカでは不要物をこうした店へ寄付するのが一般的だ)へ寄付するものの運搬、ピックアップと配達、引越し手伝い、掃除などの家事全般、家具の組み立てなど。その他車の修理やデータエントリー、ガーデニング、大工仕事、家庭教師など、おおよそ思いつく限りの多種多様な仕事の依頼がある。

仕事が完了したら、依頼主はTaskRabbitを評価することができ、その評価はサイトで確認できる。依頼する側はその評価やプロフィールを見て、任意のTaskRabbitに直接仕事をオファーすることも可能だ。

今年7月には、iPhoneおよびiPod Touch用アプリも完成し、これら端末からも仕事を掲載したり、入札したりすることが可能になった。

taskrabbitのiPhoneアプリの画面
TaskRabbitの創業者は31歳のリア・バスクさん。バスクさんはボストンに住んでいた2008年のある雪の夜、誰かが代わりに犬のエサを買いに行ってくれないだろうか……と思ったのが、創業のきっかけだという。

創業者のリア・バスクさん
TaskRabbitのなかには、月に5000ドルも稼いでいる人もいるという。現在では、ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク市、シカゴ、ロサンゼルス、オレンジ郡(カリフォルニア州)に、TaskRabbitのネットワークが構築されている。

【私の論評】続々と、何か新しいビジネスが生まれる予感?


このサービス、日本でも少し前まであった、いわゆる「便利屋」とも似ています。しかし、ITを駆使していることと、複数の人々を結びつけるということで、全く新しいビジネスになっています。

日本でも昔からある便利屋さん
アメリカにもいわゆる、handymanと呼ばれる、日本の便利屋に似たサービスが昔からありました。


こちらのほうは、どちらかというと、配管とか、簡単な大工作業とか、配線その他、工具を用いて行う仕事が多いようです。それに比較すると、日本の便利屋のほうが、柔軟性があって、様々な業務をてがていたようです。

しかし、このtaskrabbitは、それだけにとどまらず、本当に誰でもできるような、買い物、掃除、洗濯から、家庭教師のようなものまで、様々な業務に対応しているようです。これは、従来のような便利屋スタイルでは、実行可能な業務も、人員も限られていたものを多くの人々を結びつけることによって、その限界を突破し、従来よりは、はるかにビジネスチャンスを増やしたものと思います。

誰だって、誰だって、買い物などいつでも、行けると思いますが、時と場合によって、「これを誰かが今すぐ買ってきてくれれば、本当に助かるのだが・・・・」という事態に一度や二度くらいぶちあたったことは、あると思います。そんなときには、従来のウエブサービスではどうしようもないことがほとんどでした。何か頼んだとしても、商品が届くのは、数日後とか、結局その欲求は満たされません。

従来なら、それは、諦めるしかなかったのですが、このサービスをつかえば、その欲求を満たすことができるわけです。それに、それを専門にしている便利屋のような人がやることにでもなれば、単なる買い物にしては、法外な料金を支払わなくてはならなくなります。しかし、たまたま、そのときそう願った人の近くに、手のあいた人がいれば、それをその人が実行すれば、対価も低く抑えられ、もっとも合理的なはずです。

私は、このサービスこのままの便利屋的なもので済むことはないと思います。これから、他の業者もどんどん出きて、競争がはじまるでしょう。それに、このサービスを実施していれば、顧客の様々なニーズを発見できると思います。ある特定のサービスが格段に多いか、あるいはそれを提供している従来のサービス業者のやり方を少し変えて提供すれば、非常に顧客にとって良く利用客が増えようなサービスに生まれ変わり、しかも、それが、市場として成り立つのなら、そのサービスを独立させても良いと思います。

特に、サービスとしては、医療や学問に関わるような専門的なものは、病院や学校に行ったほうが良いと考える人が多いと思いますので、多くの人ができるものではあっても、時間や、地理的な制限に関係するようなものが適していると思います。

いままでの、eコマースを考えてみると、情報提供と、物販に関しては、もう随分前から取り組まれており、かなりレベルもあがってきたと思います。特に書籍販売のアマゾンは、最近、電子書籍でもかなり勢いがあります。しかし、人の手を介してでないと提供できないサービスに関しては、まだまだというところだと思います。サービスという性格からして、完璧なオンデマンドはほとんど不可能ですが、それに近い提供の仕方は工夫次第でできると思いますが、現実には、まだまだ手付かずといっても過言ではないと思います。この、"taskrabbit"のようなサービス提供サイトは、このあたりの新しい需要を探すのに最適だと思います。

今後、Googleなどのような検索エンジンの運用会社も、これから、トラフィックを増加させるために、このようなサービスに注目するに違いありません。自社で開発していくか、あるいは、このような会社を買収するかもしれません。私は、こちらのほうが、Grooponのようなクーポン発行よりもよほど、大きなチャンスがあるのではないかと思います。皆さんは、どう思われますか?

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