ラベル 野口裕之 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 野口裕之 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年6月28日日曜日

【野口裕之の軍事情勢】中国の代弁者に堕ちたシンガポール ―【私の論評】リー・クアンユー氏が語ったように「日本はゆっくりと凡庸になる」ことはやめ、アジアで独裁は当たり前という概念を根底から覆すべき(゚д゚)!


シンガポールのリー・シェンロン首相
中国は華人の血を引く「親戚筋」を反日同盟の正式メンバーに引き込み始めた。シンガポール。2002年以来14回、毎年かの地で開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)はある意味、中国の「増長史」を刻んできた。ただ、5月末の安保会議に集まった各国国防相らは中国の傲岸無礼に加え、ヘビならぬ龍に睨まれたカエルを絵に描いたごとき気概なき宰相の見苦しい姿を目の当たりにしたはず。シンガポールのリー・シェンロン(李顯龍)首相(63)は国際秩序をかき乱す中国を露骨に弁護し、国際法を守る日本を罵ったのだ。

脅されるまま、中国に向かう危険な漂流に兆候は有った。国土面積が東京23区並みのシンガポールは、軍事的抗堪性/縦深性の限界から台湾に国軍を駐屯させている。攻撃された後の反撃や長射程兵器・戦闘機の演習域確保が難しいためだ。ところが2014年、中国人民解放軍の、あろうことか台湾侵攻を担任する南京軍区と合同演習を行った。大東亜戦争(1941~45年)時に華人の抗日拠点と化したシンガポールが先祖返りし、中国と軍事連携するのなら、わが国の輸入原油の9割が通航するマラッカ海峡への影響がゼロとはいえまい。

■アジア安保会議での醜態

シェンロン氏の基調演説は酷かった。南シナ海の8平方キロという途方もない面積を埋め立て軍事基地を建設する中国を擁護。ベトナムやフィリピンの資源探査・開発を念頭に、他国も採掘・埋め立てをして軍事プレゼンスを強めていると訴えた。中国の埋め立て規模や狙いに目をつぶる“知恵”を働かせたつもりの演説は、無理筋の分惨めだった。米国と海洋権益を折半せんとする中国提唱の「新型大国関係」にも、太平洋は2大国を受けいれる十分な広さを持つ-と主張する中国に賛同。返す刀で、対日非難を、中国の常套表現で“再生”してみせた。

「過去の過ちを認め、日本国民は右翼の学者・政治家の非常識な歴史歪曲をはっきりと拒否すべきだ」

反日の素地は感じていた。シェンロン氏は靖國神社を首相として参拝した小泉純一郎氏(73)に対し「日本が占領した国に悪い記憶を思い起こさせる/戦犯をあがめる対象にすべきではない」と、既に説教を垂れていた。父のリー・クアンユー初代首相(李光耀/1923~2015年)も他の多くのアジア指導者とは違い、大日本帝國による植民地解放の側面を評価しなかった。クアンユー氏が2008年に披露した歪んだ中国観も、経済発展には政治的安定が必要だとして、国民の政治参加を激しく制限する開発独裁国の指導者を地で行った。

「一部国家指導者は中国の人権・チベット問題を理由に、北京五輪開会式をボイコットすると圧力をかけるが全く根拠がない/西側のチベット観はロマンチックな理想郷だが、中国にとっては封建社会・後進地域。中国はチベット支配後、身分制度や農奴を廃止し、病院・学校や道路・鉄道・空港を造り生活水準を向上させてきた」

■南京軍区と合同演習

 華人のリー父子が親中反日でも不思議はないが、シェンロン氏の場合、首相就任直前の04年、私的に台湾を訪れた際「重大な結果を招く」と警告した中国に恐れおののき翌月、台湾独立を支持しない旨を強調した“前科”が有る。台湾独立政策を進めた陳水扁総統(当時)の招待を含み、25回も訪台したクアンユー氏と比べると貫禄の差は歴然。

3月のクアンユー氏没後、中国がシェンロン氏の「軽さ」を見逃さず、5月の安保会議での親中反日演説を強要したとすれば、その狡猾さにはゾッとする。もっとも、シェンロン氏が中国の磁場に引き寄せられ始めたと小欄が確信したのは14年。70人規模ながら陸軍歩兵部隊を中国軍南京軍区に2回派遣し、山岳戦に関する実動・指揮所演習などを行ったのである。09・10両年、中国・広州で両軍は対テロ治安維持合同訓練を実施してはいるが、14年は外国軍との正規戦を想定した演習で本質が相当異なる。しかも、南京軍区は台湾侵攻を担任する。信頼醸成目的の軍事交流といえないばかりか、中国⇔シンガポールの情報交換次第で台湾は危機に陥る。シンガポール軍は台湾の地形・国防網に知悉しているためだ。

クアンユー氏は自国と同じ「華人の小さな島国」台湾の蒋介石総統(1887~1975年)に1974年、軍事訓練実現を打診。75年以来、90年の国交断絶を経て尚、シンガポールは歩兵/ミサイルを含む砲兵/戦車など機甲といった陸軍部隊や空軍を、数千人規模で少なくとも台湾の3カ所に分散配置し、演習を継続している。《星光計画》と呼ばれる暗黙の軍事同盟だ。

■抗日拠点に戻るのか
一方で国交断絶以降、多言語国家シンガポールは中国語の使用を拡充し、中国・蘇州に大規模工業団地を建設するなど対中貿易・投資促進を加速。ASEAN(東南アジア諸国連合)と中国の協議枠を創る橋渡しまで買って出た。

シンガポールは、というより中台交渉の仲介さえするクアンユー氏は、中台バランスもテコに国際での地位を高めてきたやに見える。が、シンガポールの正体はもともと親中で、台湾は中国に自らを高く売り込む駒だったのではないか。確かに、シンガポールの姿勢は、経済的魅力に取り憑かれた日本や欧米諸国が中国に群がる光景と大差ない。しかし、的確な国際情勢判断をするクアンユー氏は生前、不気味な予告をした。

「台湾は中国の核心的利益でも、米国にとっては違う。中国は戦争を起こし負けても、勝つまで戦い続ける/中国は西太平洋覇権で最終的に(対米日)優位に立つ/中台統一は時間の問題に過ぎぬ」

以上が、長男シェンロン氏では中国に互していく才も胆力もないと見抜いたクアンユー氏の「遺言」だったとしたら、中国の代弁者と成り果てたシェンロン氏の言動に得心がいく。

「遺言」は、欧米兵器で鎧われたシンガポール軍が、中国の呼び掛け通り台湾から中国・海南島へ移駐先を変える悪夢で第一幕を終える。そういえば、日本に向けた「遺言」もあった。

「日本はゆっくりと凡庸になっていく」

第二幕以降、シンガポールは戦中同様、華人の抗日拠点に戻っていくのだろうか。(政治部専門委員 野口裕之)

【私の論評】リー・クアンユー氏が語ったように「日本はゆっくりと凡庸になる」ことはやめ、アジアで独裁は当たり前という概念を根底から覆すべき(゚д゚)!

リー・クアンユー氏

リー・クアンユー氏の「遺言」である、「日本はゆっくりと凡庸になっていく」という予言はある意味では正しかったのかもしれません。特に日本の過去においては・・・・。

それはさておき、シンガポール共和国の建国の父であり、同国首相を長く務めたリー・クアンユー。死後、その功績に対して多方面から賞賛の声が寄せられています。

リーの影響力は実際の政治権力が及ぶ範囲を大幅に超えて作用していました。その政治権力は、シンガポールがマレーシアから1965年に分離独立して以降、東南アジアの小さな都市国家の境界を越えて広がることはありませんでした。しかしその影響力は、急成長する企業経済と一党独裁の共産主義政府とが併存する、毛沢東以後の中国へと大きく波及しました。
繁栄する都市国家シンガポール 
リーは資本主義と強権政治とを結び付けた政治家の嚆矢でした。彼の人民行動党は、中国共産党に比べればまったくもって暴力的ではないとはいえ、事実上の独裁政党として国を統治してきました。

シンガポールの活発な経済、物質的豊かさ、効率のよさという面に目を向けると、独裁主義は資本主義よりもうまく機能する、世界にはそうした地域が存在するのだ、という多くの人の考えを裏打ちするかのように見えます。

しかしリー政権は、民主主義を形だけ維持するために選挙を実施しておきながら、反体制派については脅しや財政的な破綻で対処する選択をしました。リーに立ち向かった勇気ある男女は、膨大な額の賠償を請求されて破産に追い込まれました。

しかし、リーは決して、西洋の自由民主主義が誤りだとは主張しませんでした。ただ「アジア人」には向いていないとは述べていました。アジア人は、個人の利益よりも集団の利益を上に置く考え方に慣れていると主張しました。生来、権力者に対して従順で、こうした傾向はアジアの歴史に深く根差す「アジア的価値観」なのだと主張していました。

しかし、シンガポールが民主化を進めていたら、今よりも効率を欠き、繁栄を欠き、平和でもない社会となっていたでしょうか。韓国と台湾は1980年代に不十分とはいいなが民主化され、それぞれの独裁的資本主義に終止符を打ちました。それ以降、両国は非常に繁栄しています。ご承知のように、民主主義が日本経済に悪影響を及ぼしたということも全くありません。

リーは終始一貫して、シンガポールのような多民族社会では、高い能力を持つ官僚が上から調和を押し付けることを前提としなければならないと述べていました。エリートを厚遇することで、汚職がはびこる余地を最小限まで狭めました。

しかしそれには副作用もありました。シンガポールは効率的で汚職も比較的少ないかもしれないのですが、一方で不毛な土地となってしまいました。知的な業績や芸術的な成果が生まれにくい国となってしまいました。

わずか人口540万人の小規模な都市国家で、ある一時期有効であったにすぎない政策が、より大きく、より複雑な社会にとって有益なモデルとなるとは到底考えられません。

資本主義と強権政治を組み合わせた国家資本主義を目指した中国の試みは、大規模な富の偏りを伴う腐敗の巨大システムを生み出しました。またプーチンは、自らの政策の社会的失敗、経済的失敗を覆い隠すため、極めて好戦的な国家主義に頼らざるをえなくなりました。

それを思うと、シンガポールの滑らかに流れるハイウェー、摩天楼が林立するオフィス街、磨き上げられたショッピングモールを賞賛せずにはいられません。しかしリーの遺産を評価する際は、金大中・元韓国大統領がリーに向けて書いた言葉に注意を払う必要があります。

「最大の障壁は文化的な性向ではなく、独裁的指導者やその擁護者が示す抵抗だ」。

金大中氏

さて、長期の独裁政権を率いてきたリー・クァンユーからみれば、確かに過去の日本は自ら円高・デフレ政策をとり、日銀は金融引き締めを、政府は緊縮財政政策を取り続け、それこそ日本国民を塗炭の苦しみに追いやりつつ、中国の経済発展に力強く寄与してきたと当然看破していたと思います。全く、日本の政治家や官僚は無能と映っていたことでしょう。

また、軍事的に見ても、憲法典にある9条にもとづき、どんな場合にも戦力を行使すべきでないという愚かな言説がまかり通っており、これはあたかも、国連憲章でも認められ、西欧では人権と同じく自然権される集団的自衛権をなきものにするごときものであり、確かに生前のリー・クアンユー氏からみれば、日本はいずれ経済的にも、軍事的にも、凡庸な国になるのは必定と見えたと思います。

アジアのそれぞれの国の典型的な顔立ち クリックすると拡大します
そうして、晩年のリー・クアンユーからみれば、デフレであるにもかかわらず、金融緩和の効果がまだ十分に出ないうちに、8%増税を決めざるを得なかった安倍政権、中国の脅威がはっきりしているにもかかわらず、安保法制の改定に拒絶反応を示す日本の野党や左翼の有様をみて、やはり西洋の自由民主主義は「アジア人」には向いていないとの確信を深めたことでしよう。

日本政権与党が独裁政権であれば、自国経済が疲弊するデフレ・円高政策などそもそも最初から絶対に実行させず、誰が反対しようが鶴の一声で金融緩和、積極財政を行い、無用なデフレ・円高など発生させなかったと考えたことでしょう。にもかかわらず、平成14年には、8%増税をして、さらに 10%増税をするのが当然とする日本の識者や、マスコミの有様をみて、その馬鹿さ加減呆れはてたと思います。

そうして、シンガポールは無論のこと、国連憲章でも認められ、西欧の自由主義的価値観からも、人権と同じように、自由権として、認められてるいる集団的自衛権など、最初から何の躊躇もなく行使する道を選ぶのが当たり前と考えたことでしょう。それすら、すぐに実行できない日本の状況にも呆れ果てたことでしょう。

リー・クアンユーからすれば、アジアにおいは、人権は制限するのは当たり前としても、集団的自衛権を自由に行使することを制限するのが当然とする、日本の野党や左翼の存在や与党の中にもそのような者が存在する日本の状況をみて、やはり、アジア人である日本人にも西洋の自由主義など全く理解できず、土台無理であるとさらに自信を深めたことでしょう。

ところで、リー・クアンユー氏は、今年の3月23日に亡くなっています。安部総理は、昨年の12月に10%増税を阻止することを公約の大きな柱として、衆院を解散して、選挙をすることを決定し、それを実行して、選挙で大勝利をしています。

これは、戦後初で総理大臣が財務省(旧大蔵省)に真正面から挑み、勝利したということで、一部の識者からは高く評価されいます。そうして、安部総理はこの選挙のときにも、集団的自衛権行使を含む、安保法制の改正を公約に盛り込んでいました。

この有様を見て、リー・クアンユー氏はひょっとすると、日本は独裁政権でなくとも、まともな国に変わるかもしれないと思ったかもしれません。しかし、これは何とも言えません。なにしろ、亡くなったのが、3月ですから、この状況を把握していなかったかもしれません。

もし、リー・クアンユー氏があと1、2年長生きをしていたら、日本の今の有様を見て、同じアジアにおいても、ひよっとすると日本においては、西欧型の自由主義は成り立つかもしれないので、しばらく様子を見てみようと考えを変えたかもしれません。

しかし、今年3月に亡くなってることから、そのような考えを持ったにせよ、持たなかったにせよ、それを伝えること、特に息子のリー・シェンロン氏に伝えることはできなかったと考えるのが妥当でしょう。

だからこそ、リー・シェンロン氏は、ブログ冒頭の記事にあるように、前後のみさかいもなく、中国におもねて、日本を非難するようなバカ真似をするのだと思います。彼の頭の中は、生前の元気な頃の、リー・クアンユー氏の考えを継承するのが精一杯なのでしょうむ。真意を汲み取るだけの能力はないようです。

上の記事では、シンガポールについてのみ述べていますが、アセアン諸国には、もともと華人が多く、そのような考え方をする華人は多いし、それにアセアン諸国の中には、地元の華人の学校をエリート校とみなす国々も増えているようです。

それについては、以下の動画をご覧いただければ、良くご理解いただけるものと思いますので詳細はここでは述べません。



この動画をご覧いただければ、お分かりになるように、シンガポールに限らず、アセアン諸国には華人が大勢住んでおり、その華人がそれぞれの国々で経済的には大きな地位を占めていることは忘れてはならないと思います。

華人と中国との野望があるからこそ、南シナ海での中国の暴虐が正当化されているという背景を忘れてはならないです。さすがに、中国も縁もゆかりもないところには、入りにくいというところがあります。実際、華人社会が元々は存在しなかった、アフリカ投資では大失敗をしています。

しかし、華人社会が根付いているアセアン諸国ではどうなるかわかりません。これら華人を通じて、アセアン諸国でインフラ整備を行い、そのあがりを華人を通じて中国に還流させるということも十分考えらます。そもそも、AIIB設立の真の目的はこれだと思います。


日本は、シンガポールに限らず、アセアン諸国には経済やビジネスで大きな部分を占める、華人社会があるということを念頭に入れて安全保証を考えなければいけないということです。

聡明なリー・クアンユー氏が存命ならば、日本の自由主義が成功しそうであれば、中国の国家社会主義は失敗であることを理解するかもしれませんが、今のアジアの大方の華人社会は違うと思います。

日本としては、デフレが完全に収束して、さら緩やかなインフレを実現する前に10%増税をするなどというバカ真似は、当然のことながらやめるべきです。

そうして、昨日も述べたように、中国の社会・経済はこの先しばらくは良くなる見込みが全くなく、それどころか現状維持もできず、低迷することが必定となった現在、人権と同じように、人が生まれながらにして当然持っていると考えられている集団的自衛権を発揮でるきようにすべきです。

さらなる経済発展と、安部総理の構想安全保証のダイヤモンド構想、すなわち日米と周辺諸国による集団的自衛権による安全保証体制を完成させ大陸中国はもとより、アセアン諸国の華人社会にも衝撃を与えて、アジアにおいては独裁体制が当たり前であるとの概念を根底から覆すべきです。

そうすることによって、アジアの平和と安定と、繁栄の道を築くことができます。そうでなければ、アジアはせいぜい、聡明ではあったものの限界のあったリー・クアンユー氏が実行してきた直接的な武力は伴わない独裁主義体制が最上の政治形態となり、その結果現在の中国国内のように紛争や暴動が日常である後進地域に陥ってしまうことでしょう。

それでは、日本が何のために明治維新を行い、自国を西欧列強からの侵略を阻止し、さらに多大な犠牲を払ってまで西欧列強の侵略を防いだ大東亜戦争の意義そのものも失われてしまいます。今度は、西欧列強ではなく中国ならびに華人社会のアジア侵略を許してしまうことになります。そんなバカな事態だけは招くことだけは何が何でも阻止しなければなりません。

21世紀の現在、中華帝国であろうが、リー・クアンユーであろうが、独裁政治だけはどう考えても正しい選択ではありません。これだけは、何が何でも阻止しなければなりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】







【関連図書】

リー・クアンユー氏は確かに上で書いたように独裁者ではありましたが、類まれな知性の持ち主でもあり以下の書籍をご覧いただければ、上の記事で私が、ひよっとしたらリー・クアンユー氏は、日本に対する考えたを変えたかもしれないと考えるに至ったこともご理解いただけるものと思います。そのような書籍を以下にチョイスさせていただきました。

リー・クアンユー、未来への提言
ハン・フッククワン
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 336,863

リー・クアンユー、世界を語る 完全版
サンマーク出版 (2013-10-15)
売り上げランキング: 3,862

The Singapore Story: Memoirs of Lee Kuan Yew
Marshall Cavendish International (Asia) Pte Ltd (2014-08-22)

2015年2月2日月曜日

【野口裕之の軍事情勢】イスラム国の蛮行で暴かれる「韓国が知られたくない恥史」―【私の論評】歴史捏造で北朝鮮や、韓国の立場を代弁するのは、本質的にISILを代弁するのと同じ、どうしてもやりたいなら日本から出て彼の地でスポークスマンをやれ(゚д゚)!


6月の朝鮮戦争勃発直後、金浦空軍基地に到着したダグラス・マッカーサー元帥を迎える李承晩・韓国初代大統領(右)。李氏はこのころ、“危険分子”として大量の民間人や政治犯の処刑を命じ、犠牲者は60万~120万人ともいわれる。写真をクリックすると拡大します。

イスラム過激武装集団《イスラム国》と韓国が、小欄の頭の中で混ざり合った。両者に共通するのは「民主主義とは異質な法治体系」の他「歴史への常軌を逸した執着」ではないか。片や歴史を遡り、現代の主権国家枠を否定。片や歴史を遡り、主権を捏造し人権否定を覆い隠す。と、考えを整理していた1月23日、イスラム国の蛮行がきっかけで、日韓併合(1910年)の正統性や、百ウン十万と報じられてもいる韓国政府が行った自国民大虐殺など、「韓国が知られたくない哀史/恥史」へと筆を走らせる仕儀と成った。

独立認めなかった米国

大日本帝國は1945年8月15日、大東亜戦争(1941~45年)敗戦を国民に知らせた。無政府状態を憂う朝鮮総督府は《朝鮮建国準備委員会》設置を比較的冷静・公平に対処できる朝鮮人指導者に要請した。ソ聯軍侵攻→朝鮮人政治・思想犯の釈放・流出→朝鮮共産化→日本人への掠奪・暴行…が想定され、朝鮮人釈放や治安維持への協力を取り付ける意図もあった。だが、自治組織に過ぎぬ委員会は45年9月6日《朝鮮人民共和国》を樹立し“独立”を宣言してしまう。

一連の流れの中で、朝鮮総督の阿部信行・陸軍大将(元首相/1875~1953年)や朝鮮軍管区司令官の上月良夫・陸軍中将(1886~1971年)が総督府はじめ主要な建物から日章旗を降ろし、太極旗(現韓国国旗)を掲揚させる。

朝鮮総督の阿部信行・陸軍大将 以下写真はブログ管理人挿入

しかし“独立宣言”直後、進駐した米軍は太極旗を降ろさせ、日章旗を再び掲揚させた。米軍の軍政が本格的に始まるや、日章旗が星条旗へと付け替えられた。なぜか-

米国は日章旗掲揚で朝鮮=日本だと公認。軍政に正当性を持たせた。朝鮮が別国家ならば解放したことになり、解放後は統治を朝鮮に任せる過程を生む。従って終戦直後、米軍上陸前の統治を総督府に密命した。治安も朝鮮軍管区や日本の官憲に担わせた。上陸後も、日本人官吏は相当期間軍政を支援、治安も軌道に乗るまで日本側が協力した。日本側の統治能力や軍紀を大いに評価していた背景も在った。反面、米国は当初、朝鮮人を軍政より徹底的に遠ざけた。朝鮮人の軍政登用は牛歩で進められた。なぜか-

強弁だけの「抗日戦」

統治能力欠落や、度を超した自己主張、激高しやすい民族性に加え、偏狭な民族主義者や共産主義者が入り乱れ、一致団結して建国に邁進するまとまりに欠けている…など。こと朝鮮人に関し米国の学習能力は高かった。実際45年秋、30もの朝鮮人軍閥が警察署や新聞社、企業・工場・商店を勝手に接収。米軍は武装解除を強制したが効果は限られた。政党や政治結社も200近くにのぼり、指導者は内部抗争を繰り返し暗殺・テロが横行した。そも朝鮮人民共和国ですら中華民国に建てた韓国臨時政府と対立。2つの“政府”それぞれの内部でも抗争に明け暮れた。米国は朝鮮人の政党も政治活動も全く認めなかったのに、この有り様。

斯くなる混乱では、38度線の北側に陣取るソ聯軍に対する力の均衡維持は覚束ない。米国の最重要課題はソ聯の半島支配阻止で、南朝鮮独立は副次程度の認識だった。米国は、曲がりなりにも内閣・政府を通じ権力を行使した日本と同じ統治形態ではなく、韓国に直接軍政を敷いた正解を噛み締めた。

しかも朝鮮人は戦前~戦中~戦後と、日本に向けまともなゲリラ抗戦も民族蜂起も起こしていない。むしろ帝國陸軍内の朝鮮人高級軍人の武勇は目覚ましく、触発された朝鮮人が志願兵募集に殺到した。42年と43年の場合、募集各4000/6000名に25万5000と30万人超が受験。競争倍率63/50倍が裏付ける朝鮮人の戦意に日本=朝鮮一体を確信する米国専門家もいた。

後の韓国大統領朴正熙による、日本軍志願への呼びかけの新聞記事

韓国の独立は日本敗戦3年後。米国は聯合国による長期の半島信託統治を描いたが、北朝鮮に統一国家を建設する動きを見せたソ聯に対抗、韓国の独立実施を大きく前倒しした。韓国の独立は、日本からではなく、日本に勝った米国に棚ぼた式で譲ってもらったのだ。

無辜の民を大虐殺

《国民保導連盟事件》も反日の激しさで埋没させたい超弩級の傷。会見で具体名が出た「馬山」も事件の舞台だった。

保導連盟とは、共産主義者が転向し、韓国に忠誠を誓う人々と家族を再教育・統制すべく立ち上げられた思想保護観察組織。ところが、朝鮮戦争(1950~53年休戦)勃発で連盟加入者名簿は虐殺リストに変わる。

北朝鮮軍がソウルに迫るや初代大統領・李承晩(イ・スンマン)大統領(1875~1965年)は国民や韓国軍将兵を見捨てて逃亡。その際、連盟登録者を“危険分子”として処刑するよう軍・官憲に命じた。

北朝鮮側間諜が紛れた可能性は有るが、大多数は無辜の民。食料の優先受給目的で登録した人もいた。政治犯ら政権に目障りな人々もついでに抹殺された。韓国紙によれば60万~120万人、政府も《子供を含む最低10万人以上》の国民を虐殺し、排水溝や海に遺棄した暴挙を認めた。馬山でも廃坑や刑務所内で殺戮が行われた。

国民保導連盟事件
 おびただしい数の韓国人が難を逃れ、日本に密入国し、大半が居座った。そうか。(南北)朝鮮とイスラム国の最大の共通項は凶暴で残忍。であるが故に大量の死者・棄民を輩出しても心痛まぬ思考回路。まだある。日本を歴史捏造でいたぶり、つきまとって離さぬ韓国。日本人を拉致・誘拐する北朝鮮とイスラム国。わが国を「解放」でじらす外道ぶりはソックリだ。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS

この記事は要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】歴史捏造で北朝鮮や、韓国の立場を代弁するのは、本質的にISILを代弁するのと同じ、どうしてもやりたいなら日本から出て彼の地でスポークスマンをやれ(゚д゚)!

上の記事、韓国のいわゆる独立前後の韓国の歴史がコンパクトにまとまっていて、理解しやすいと思います。このような韓国の歴史、私自身は昔から知っていたのですが、知らない人も大勢いるようです。

知らないだけならまだ良いのですが、韓国側のプロパガンダにのせられて、日本が韓国に侵略し、韓国が抗日戦争を戦って、独立したなどという与太話を信じこんでしまっている人もいます。

さらに、ありもしない、慰安婦問題を信じこんでしまう人々も大勢います。

これは、本当に今の「いわゆるイスラム国」による、プロパガンダによる日本の反応と良く似ています。その反応とは、以下のようなものです。

この事件を、集団的自衛権の問題と絡めて一部の識者は、日本が戦争をしたい国に向かっている、日本は「有志連合の仲間である」として、安倍首相のテレビ発言などを問題視しています。

しかし、テロに対しては、基本的に自衛隊ではなく、警察が対処すべき問題です。つまり、集団的自衛権などは関係なく、警察権での問題であるはずです。そもそも、集団的自衛権の話と関係ありません。これはもともと、警察の特殊部隊などが対処すべき問題です。

そのため、このような発言は、ISILの主張を代弁しているに等しいです。このような主張は、ISILの思う壺です。

あくまで、今回の事件はテロです。テロは、国際社会では無条件に反対するもので、これまで数多くの国連安保理決議などによって、国際社会で支持を得ています。

ISILはテロ集団なので、どのようなウソも平気で言います。まったく無関係の日本から、身代金を取りたく、それが出来ないとなると、実行不可能な要求を突きつけてきまし。そんなデタラメな主張を、そのまま日本人が代弁すべきではありません。しかし、現実には、代弁しています。


たとえば、アルジャジーラは、テロリストに利用されないようにするために、絶対にそのままではテロリストの動画を流さなのですが、 #サンデーモーニング#報道ステーション はそのまま流していました。これでは、完全にISILの思う壺です。

テレビ局だけではなく、信じがたいことに、政治家まで、代弁していました。

クリックすると拡大します。

池内議員をはじめ、多くの政治家が、今回のテロ事件に関して、テロリストを全く批判しないか、申し訳程度で、安倍総理や政府を批判しました。これは、テロリスト側も予想しなかった、反応かもしれません。

中東への人道支援が今回の、事件を招いたという馬鹿な主張をする連中もいますが、これも、テロリストの思う壺です。中東には経済基盤が脆弱な人々も大勢います。こういう人々に支援をするこによって、こういう人々がISISに取り込まれることを阻止できます。だから、中東への人道支援は続けるべきです。ISILは日本を敵視するだろうが、それでも続けなければなりません。

次に、「有志連合」とは一戦を画して置くのは当然としても、「有志連合」との連携は続けるべきです。安倍首相がヨルダン国王に謝意を表したのは良いことです。同盟国との連携を深めるのは、長い目で見れば、テロなどの外敵に勝つ最短コースになるります。もし、日本が「有志連合」とはっきりと袂を分かつことにでもなれば、それは、テロリストISILの思う壺です。

有志連合による爆撃
「有志連合」の空爆は、確実にISILを弱体化させています。しかも、原油価格の急落は、ISILの自前の資金調達能力を大きく低下させています。昨年の急落前には石油代金で1日当たり200万ドルの収入とされていましたが、原油価格の低下と石油施設への空爆で、今やそれは1桁違いより低くなっている可能性が高いです。

武力行使し続けるためには、莫大な資金が必要です。いくらISILが擬似的な政府機能を持っていたとしても、財政破綻には勝てません。ISILは、まともな経済力がなく、石油密売と海外からの寄付金で運営しているといわれますが、それが底をつけば、もう戦えなくなります。世界が「有志連合」を支援して、ISILを兵糧攻めにするのが、問題解決の近道です。

良い悪いは別にして、実際にここに至っては、日本が「有志連合」との距離感をとると、かえってリスクが増ことになります。このようなことを考えても「有志連合」とは決別すべきなどという論は、まさにISLIの思う壺です。

報ステでは、テロ事件に関して安倍政権批判の報道を繰り返した

特に、マスコミ報道では、いかなる意味でもテロを正当化するようなものはやめるべきです。先週、”「報ステ」の1月27日のISIL特集は本当に酷いものでした。「テロの一面に理解を寄せた」印象を与えるものでした(http://www.j-cast.com/2015/01/29226508.html)。

このようなISILの代弁をするような行為は、絶対にすべきではありません。これが、どこの世界でもまともなテロリストに対する反応であると思いますが、日本ではそうではない人も大勢いるようです。

テロリストの要求を安倍政権批判にすりかえる人々
日本政府を悪者にしてはISILの思う壺です。また、ヨルダン政府が、パイロットの生存確認を求めたので、後藤さんが殺害されたという意見も同じように、ISILの思う壺です。このような報道なら、いっそのことやめてしまうべきです。

さて、上に日本のマスコミや、政治家などによるISILの代弁や、その不味さについて掲載しました。いかに、ISILの代弁が愚劣で、思慮にかけるものであるかどうか、よくご理解いただたものと思います。

しかしながら、これと同じような問題が、日本にはずっと以前からあります。それは、韓国の歴史捏造問題です。北朝鮮による人質の拉致問題です。


韓国は、日本が韓国を侵略したとか、慰安婦問題で歴史を捏造し、最近ではまったく不当な理由で産経加藤元ソウル支局長を無法に拉致監禁しています。そうして、マスコミ、政治家、似非識者どもが、この韓国の不正な歴史捏造を代弁しています。

また、北朝鮮に関しては、日本人拉致被害者が大勢いることが発覚して以来、これをはっきりと表だって代弁するメディアや、政治家などもいなくなりましたが、それでも未だに代弁をするものも少数ながら存在しますし、拉致前であれば、北朝鮮を労働者の天国、この世の楽園であるかのように喧伝する馬鹿な政治家もいました。

ISILはテロ集団ですが朝鮮は南北共にこのような国家犯罪を犯しています。

そうして、日本では韓国の代弁をする、朝日新聞等のような大手メデア、政治家、識者などが大勢存在しています。

このような代弁、もう聴き飽きました、しかし最近のISILの代弁によって、馬脚をあらわした政治家、マスコミなどの有り様を見て、野口裕之氏は、上のような記事を書かれたのだと思います。


日本の政治家や、マスコミなど、どう考えてもISILの立場にたって、その代弁などすべきではありません。無論、北朝鮮や、韓国の代弁などすべきでありません。

どうしても、したいというのなら、日本にいることなどやめて、ISILや北朝鮮、韓国に行って、そこでスポークスマンでもやれば良いと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】




【関連図書】

嘘だらけの日韓近現代史 (SPA!BOOKS新書)
扶桑社 (2014-05-31)
売り上げランキング: 12,583

歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ 産経セレクト
産経新聞出版 (2014-10-24)
売り上げランキング: 30,531

イスラーム国の衝撃 (文春新書)
文藝春秋 (2015-01-28)
売り上げランキング: 8

トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は?―【私の論評】発足もしてない政権に対して性急な結論をだすべきではない

トランプ、ウクライナ支援継続で「戦況逆転」の可能性も...「本当に怖い存在」習近平の中国との関係は? まとめ トランプ次期大統領はNATO加盟国に国防費をGDP比5%に引き上げるよう要求し、ウクライナへの支援は継続すると伝えた。 現在のNATOの国防費目標はGDP比2%であり、ク...