【顔の見える支援】三陸のおいしいかき再生を目指す“オーナー制度”がアツい
東日本大震災によって被災した三陸沿岸は、世界有数のかき産地。津波によって港は壊滅的な被害を受け、海辺に広がっていたかき筏、漁船、漁師さんの自宅も押し流されてしまいました。三陸かきは、国内の“かき種”シェア第一位であることから、全国のかき産業にも深刻なダメージを与えることが予想されています。この未曽有の“かき危機”に対して、かき好きのみなさんに“オーナー”になってもらい復興を支援する『東日本大震災から甦れ! 三陸牡蠣再生を目指すプロジェクト SAVE SANRIKU OYSTER』が立ちあがりました。
同プロジェクトをはじめたのは国内30か所以上のかき産地を取り扱うネットショップ『海鮮直送 旨い!牡蠣屋』を運営するアイリンク。震災復興に何か貢献したいと考えて、3月26日に『SAVE SANRIKU OYSTER』のウェブサイトをオープンし、『かきオーナー』の募集を開始したそうです。
『かきオーナー制度』とは、かきを愛するオーナーに、“復興後のかきを前払いで購入”してもらうことで生産者を支援し、できるだけ早く三陸かきの出荷再開を目指すというもの。1口(1万円)につき「三陸産殻付きかき20個前後」が送られますが、現状では「いつ送られるか」は未定です。通常時でも三陸かき養殖には2〜3年を要するため、場合によっては5年以上かかる可能性もあります。「それでも応援したい」というオーナーたちから、現在までに約800口が集まっているとのことです。
『かきオーナー制度』は日本オイスター協会も後援。集まったお金は、およそ3割がかき配送料や通信費、クレジットカード決済費などに、7割が生産者の仕入れ原価と船舶や設備資材支援として使用される予定。また、年2回程度メールマガジンまたは郵送で復興の様子を伝えられるので、かきが届くまで被災地を応援する気持ちを自然にキープできるのもいいですね。
復興にかかる長い時間のあいだ、被災地への関心をいかに保つかというのは、実はとても大切な問題だと思います。被災地の産業を直接支援して復興のプロセスを見守り、かきが届くことで産地が再生した喜びを共にする。『かきオーナー制度』は、被災地復興へのまなざしを持続させるすぐれた取り組みのひとつではないでしょうか。また、ネットを利用すれば、被災地と全国の有志の人々をつなげることもできます。ガジェット通信では、今後もこうした“顔の見える”支援について、できるだけ取りあげていきたいと思います。
東日本大震災から甦れ! 三陸牡蠣再生を目指すプロジェクト SAVE SANRIKU OYSTER
【私の論評】お金だけでもない、勤労奉仕だけでもない、第三の道がある!!それが、新日本の構築につながるかもしれない!!
震災などの災害の援助というと、お金持ちは、巨額のお金を寄付し、そうでない人は、少額の寄付か、実際にボランティアなどとして参加して、現場で作業をするという、昔で言えば勤労奉仕というのが通り相場です。この言葉と同じように、寄付と、ボランティアはだけでは、一時被災者を助けるというだけで、本質的な問題解決にはならないかもしれません。
しかし、このプロジェクトの場合は、そのどちらでもありません。この事例などまさに、全く新たな第三の道を示したと思います。そうして、さすが、民間なので、立ち上げがはやいです。政局は、あいかわらずですが、まずは、震災を被った人々にとって本当に良くなることを、実現しなければならないはずです。しかも、なるべくはやく。だから、このプロジェクトは、政治家も見習うべきと思います。
そうして、まだ動き出してから本当に間もないので、まだ、大きな運動にはなっていないのですが、これから大きくなることを予感させるプロジェクトです。これらは、オーナーさんに、将来牡蠣を提供するという約束のもとに、被災者は支援を受けられるという制度であり、そうして、立派な商取引です。
寄付ではなくて、商売の一種であることには変わりありません。だから、被災した人々もやる気が出るでしょうし、オーナーさんとしても、将来に夢を託すことができます。何よりも、被災した人たちの雇用が確保できる可能性が高まるということで素晴らしい制度だと思います。
上の記事をみて、私は、以前読んだ書籍を思いだしました。それは、『ネクスト・マーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略』という書籍です。これは、しばらく前から言われている、弱者を食い物にする「貧困ビジネス」とは全く粉となります。
アマゾンの書籍案内では以下のように掲載されています。
世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人いる。本書は、経済ピラミッドの底辺に位置するこの貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)こそ、今後急速に成長する魅力的な市場だと指摘。企業は彼らを、慈善や援助の相手としてはなく、ビジネスの対象として重視すべきと主張する。
貧困層を「顧客」や「消費者」に変えるには、先進国向けの製品・サービスに少し手を加えるといった対応では不十分。技術、製品・サービス、ビジネスモデルそのもののイノベーションが欠かせない。
BOP市場の基本となるのは、「パッケージ単位が小さく、1単位当たりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せる」ビジネス。例えば、米P&Gは低収入で現金不足のBOPに消費力を作り出すため、「使い切りパック」のシャンプーを販売した。ブラジルの家電チェーンは無理のない利子とカウンセリングで、BOPにも高品質な家電が買えるようにした。その他、医療、金融サービス、農業関連ビジネスなど様々な分野の成功事例も詳しく解説する。
このビジネスをの創始者の一人として、ムハマド・ユヌス氏がいます。氏は、グラミン銀行(英語:Grameen Bank)を設立しなました。これはバングラデシュにある銀行でマイクロファイナンス機関。「グラミン」という言葉は「村(gram)」という単語に由来します。本部はバングラデシュの首都ダッカに所在します。ムハマド・ユヌスが1983年に創設しました。マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担保融資を主に農村部で行っています。銀行を主体として、インフラ・通信・エネルギーなど、多分野で「グラミン・ファミリー」と呼ばれる事業を展開しています。2006年ムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞しました。
上記のオーナー制度は、ある意味では、このBOPを彷彿とさせるものでした。考えて見れば、震災のあわれた方も、日本という豊な国にいながら、一時、地震という震災で、何もかも奪われて、貧困層になっているようなものだと思います。
BOPの中で大成功しているものの中には、貧困層にお金を提供するだけではなく、雇用も提供するという特徴があります。それも雇い先を提供するという消極的なもののではなく、小規模事業で、お金を借りた人が自立できるようにしています。
そのなかの一つとして、Yamahaの発動機があります。これは、スリランカで大成功した例で、Yamahaの船外機型発動機が、今で、スリランカの漁師に多数用いられています。
この船外機は、頑丈で、滅多に故障しません。昔の船外機だと、流木にあたるとすぐに故障するなどのことがありましたが、やはり、スリランカで開発したということで、流木にあたっても、何に当たっても滅多に故障することはありません。また、高温多湿という悪い環境でも、故障しません。
これを、漁師は、今まで手漕ぎで操船していた、船につけて、漁を行うようになりました。これにより、彼らの行動範囲は飛躍的に高まり、彼らは、昔と比較するとはるかに裕福になりました。そうして、Yamahaは、ただ、船外機を提供するだけではなく、彼らが、無理なく支払いをできるように、彼らにぴったりとあてはまるファイナンスも提供しました。
これによって、恩恵を被った彼は、今では、その船外機を船外機と呼ぶのではなく、畏敬の念をも込めて、「Yamaha」と呼ぶそうです。
さて、日本でも、このような未曾有の被災によって、多くの人が休職を余儀なくされるか、失職しています。これをただ、雇用対策として、仮設住宅を提供するだけとか、補助金を提供すだけに済ませるだけではなく、何かこのような仕組みを作り出し、被災地の人々が自主独立できるような、仕掛け作りをすることが急務なのではないかと思います。
このような、仕事は、政府ではとても無理だと思いす。政府などは、このようなことをする民間の営利企業や、非営利企業が活動しやすいように、インフラを整備することに専念すべきと思います。
このようなことを実施する、民間企業が、非営利、営利とわず、沢山日本にも輩出してくると良いと思います。とにかく、震災にあっても、ただ流されることなく、新たなチャンスを見出そうとする人にとっては、こういう支援の仕方をする多種類の多数の企業などがでてくれば、非常に面白いし、今後の世界の手本ともなる、社会的イノベーションを起こせるかもしれません。今の政府も、こうしたことを主導はできないし、してもいけませんが、こうした企業を、支援するようなインフラを整備すべきではないかと思います。そうすることにより、復興のスピードを早まるだけではなく、今までとは、質の異なる、高次元な日本社会を構築できるかもしれません。
そうです。これって、何かを思い起こさせませんか?そうです。終戦の焼け跡から、立ち上がっ日本です。戦争で何も無くなってしまった日本は戦後20年あまりで、世界第二の経済大国に上り詰めました。今回の、震災からの復興は、このミニ版といえるかもしれません。しかし、そこから、得られる知見は、かなり大きいし、今の日本なら、これを活かして再び大転換を起こすことが出来るかもしれません。
日本の伝統文化を活かしながらも、全く新たな目的意識を持った、新日本に生まれ変わるかもしれません。
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