2011年2月20日日曜日

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果―【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!

日本酒の輸出、過去最高 「寿司ブーム」と相乗効果


 海外の日本酒ブームが続いている。財務省の貿易統計(速報値)によると、2010年の日本酒(清酒)の輸出は1万3770キロリットル、約85億円となり、過去最高を記録した。

   輸出先(数量ベース)は米国が最も多く3705キロリットル。次いで韓国の2587キロリットル。台湾の1639キロリットルで、香港、中国と続く。最近はカナダやオーストラリア、シンガポールなどにも広がりをみせる。

   これまでの記録は2008年の1万2151キロリットル、約76億円だった。09年はやや減ったものの、日本食ブームの波に乗って輸出は再び右肩上がりに転じたようだ。

ドバイでは1万円の吟醸酒が10数万円
   米国では富裕層を中心に純米酒などの高級酒が好まれ、またドバイでは1万円弱の吟醸酒が10数万円にものぼることもあるという。香港などでは辛口の純米酒が人気で、冷酒タイプも売れているそうだ。

   国内からの輸出は、「大吟醸のような高い技術のいる日本酒で、米国などに向けて輸出している」という。

   同社によると、「最近、輸出が好調なのは韓国向け」という。韓国酒の「マッコリ」が日本で人気なように、韓国では日本酒がちょっとしたブームだそうで、「食の交流が進んだことが好調な原因ではないか」とみている。

国内市場では苦戦、95年度の半分に落ち込む
   海外での「日本酒」をブームに終わらせないため、ある蔵元では日本酒と合う料理や「カクテル」の研究に乗り出した。日本酒造組合中央会は、「日本酒スクールの開催など、わたしたちも世界に向けて日本酒の情報を発信していきます」と力を込める。

   そんな一方で、国内市場では苦戦が続いている。国税庁のデータをもとに日本酒造組合中央会がまとめた資料によると、日本酒の国内消費量は08年度で63万キロリットル。年々減少を続け、1995年度の126万キロリットルの半分にまで減った。

   月桂冠では、「ハイボールのようにお酒の種類が増えたり、食材も豊富で欧米風の料理が増えたり、飲み方が変わったことが大きい」とみている。

   また、老舗の蔵元が多い伏見酒造組合は「若者のアルコール離れに加えて、健康志向の高まりで年配の人も(お酒を)飲まなくなったことが伸び悩みの原因」と指摘。輸出は増えているものの、国内の落ち込みをカバーしきれていない、厳しい状況にある。

   国内市場の掘り起こし、なかでも若者に飲んでもらおうと、伏見酒造組合では京都のホテルと協力して宴会やパーティーでの乾杯に日本酒の無料サービスを実施するなどの策を講じている。

【私の論評】日本人が日本の良さを分からなくなった?!
外国では、日本の酒が人気なのに、日本では、あまり飲まれなくなっているとは皮肉なことだと思います。これは、日本酒に限らず、多くの日本人が、日本の伝統文化には疎くなり、外国では逆に日本を認めつつあるという最近の風潮にも符号する動きではないかと思います。


最近では、お酒の飲み方や、つぎかたもわからない人が増えてきたように思います。というより、何より、まずは、日本酒を飲まないニッポン人が増えてきたのは、残念なことです。映画など見ていても、あのブルース・ウィリスが映画の一場面で、日本酒を飲んでいるような風景は珍しくなくなりました。

実は何年か前のこのブログにも、日本酒の輸出が伸びているということを掲載したことがあります。このときは、二つの事例を出して、フランス人も驚く日本酒の実力をあげました。ひとつは、フランス人がいかに頑張ろうと、フランス産最高級白ワインをもってこようとも、生牡蠣を食べる際には、日本酒が最も良いということでした。日本酒は見事に生牡蠣の生臭さを消して、牡蠣のうまみを最大限にひきだします。これにまさる、白ワインなど存在しません。それと、ワインは、生産してから、数年は保管しないと飲み頃にならないのに、日本酒の場合は、つくりたてが最も美味しいということです。

さらに、フランス人をびっくりさせるなら、フランス料理は、すでに江戸時代に日本料理の影響を受けているということです。これは、最近では、結構年配のシェフでも、あまりに当たり前でかえって知らない人がいるくらいです。

こんな、日本酒の実力もわからないニッポン人が増えてきていることが残念でなりません。私自身は、昔から、そうして今に至るまで、一番好きなのは、日本酒です。日本料理の場合は、何がなくても、やはり日本酒だと思います。ビールを飲みながら、日本料理を食する味音痴の輩の感性は未だにわかりません。

最近のニッポン人は、日本酒が昔から神事にもつかわれてきて、日本人とは切っても切れない関係にあることもわからない人が増えているのだと思います。最近では、会席料理の基本的なマナーも、割り箸の使い方や、座布団の使い方、懐紙の使い方など理解しないニッポン人が増えています。

私は、はっきりいって、こういう日本の伝統文化を知らないニッポン人に、日本はどうだなどと語ってほしくありません。こういう、ニッポン人に限って、日本の過去の歴史は無論のこと、日本の現状をほとんど理解していないことが多いものです。

かえって、あのアップルのCEOである、スティーブ・ジョブスのほうが、日本人らしい考え方を持っているくらいです。今のニッポン人に「武士道というは死ぬことと見つけたり」という葉隠の考え方を言っても、何のことかわからない人も多いでしょうが、実はスティーブ・ジョブスがこれに近い考え方を持っていることは以前にもこのブログに書いたことがあります。

これは、若い人だけに限りません。グローバル企業などといって、結局、中国などの新興国の遅れた社会に向けたような、商品開発ばかりしている企業の経営者には、こうした考えを理解できない人も増えているようです。政治家でも同じことです。

少し前の経営者なら、こうした考えを理解していたし、少なくとも、共感できたと思います。しかし、日本の文化も理解しないような人が海外でうまくやっていけるでしょうか?無駄ですね。日本酒に関して、その飲み方や、たしなみかたを少しでも語れれば、フランス人をも惹きつけることができますが、それができない人は、フランス人に軽く見られるだけです。

今の時代何か間違っていると思います。まずは、語学などを学ぶ学ばないなどの前に、日本文化の素養を身につけていなければ、国際人とは成り得ません。どこの国に行っても、軽く見られるだけです。逆に、日本文化を身につけていれば、多少外国語がへただろうが、場合によっては、できなくても、どこの国に行っても、尊敬されこそはすれ、馬鹿にされることはありません。言葉だけわかっても、こうしたバックボーンのない人は、結局、海外でも、まともに相手にされることはありません。まともに、交渉事もできないことでしょう。

なぜなら、最近では、コンテクストなどといわれ、アメリカなどでも、実施されている交渉にも必要な腹芸もできないからです。アメリカ人が腹芸ができなくて、なんでもかんでも言葉で表現するものと思っていたら大間違いです。一般の人でもそんなことはないですし。上のレベルになれば、なおさらです。なんでもかんでも、言葉で言うような人は、交渉相手でも、地位の低い、現場レベルの話にすぎません。上のレベルでは、コンテクストを背景に話をすすめることは言うまでもありません。低層な馬鹿なアメリカ人ばかり相手にするなら、それでも構わないでしょうが、それだけでは、まともな人とは付き合っていけません。もう、アメリカ人でも、いわゆるデカルトの悪魔的な考えのみで生きているのは、馬鹿な、賭博師や、金融馬鹿くらいなものだと思います。

人が、人としてまともに扱われるということは、どういうことなのでしょうか?それは、その人が育った文化的背景を背負っているということを相手にさとってもらえか否かで決まるものです。背負っていることを認めてもらうことができれば、その人は世界中のどんな人からも、うとんじられることはありません。なぜなら、その人は、その人だけの存在ではなくなるからです、その人が、その文化を担っているというということは、もうすでに、その人だけのことではなく、その文化を背負っている人の文化圏に属する人全体を代表するものとして、相手に受け取られるからです。それどころか、すでになくなったご先祖様の考えをも代表するものとして受け取られからです。

そんな文化的背景のない人間に関しては、そのような背景を持たないサル同様の扱いしかされないのは当然のことです。

私は、菅さんが海外の会議に行っても、先進主要国のリーダーたちからまともに相手にされないのは、決して言葉だけの問題ではないと思います。いくら、お遍路に行ったとしても、彼は、おそらく、日本の伝統文化の背景からは程遠い存在なのだと思います。こうしたことは、いくら、外見を整えてみても、すぐに相手に悟られるものです。それは、思想や、イデオロギーなどとは無縁なものです。どんなイデオロギーがあったにしても、自分の属する文化を知らないものは、そうではない人々には、見透かされてしまいます。フランスや、イタリアの共産主義者たちは、少なくとも自国の伝統文化を背負って話をします。だから、妥協点もみいだしやすいです。

これはとりもなおさず、日本人であれば、日本の伝統文化を背負った人間と、他の国の人から認められない限り、まともな扱いはされないということです。今は、こんな簡単な理屈のわからない人があまりにも増えていると思います。

日本の伝統文化など知らない、ニッポン人の皆様、これを機会に日本酒などから、日本の伝統文化をみ直してみてはいかがでしょうか?

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