2011年2月28日月曜日

商品価格上昇の原因は実需=OECD―【私の論評】やっぱり、昨日書いたように、サンケイ新聞の記事は、『バカも休み休みいえ!!そんなんで、日本は救われない!!』だった!!

商品価格上昇の原因は実需=OECD


中国は以前からインフレ傾向だが、他の国もこうなるのか?

さて、本日は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事が、昨日の私のブログで展開した、論を査証するものと判断できたので、その要約を以下に掲載します。(元記事URL:http://goo.gl/8rUnd)
【ワシントン】経済協力開発機構(OECD)は4月の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に提出する報告で、小麦、砂糖、綿花、金属、石油、その他の商品の価格上昇は一部で指摘されているような投機筋によるものではなく、世界の需要が供給を上回るペースで伸びていることが主因だとの見解を示すことが、報告書の草案で明らかになった。 
この報告を受けて世界的に商品生産を増やそうとする動きが強まる可能性がある。また、一部の政治家から世界的なインフレをあおっているとの不満が出ている米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和策への批判が和らぐことも考えられる。 
OECDのピエール・カルロ・パドアン事務次長兼主任エコノミストはウォール・ストリート・ジャーナルとの会見で、「価格上昇の背後にある金融的要因と構造的要因を区別することは非常に難しい」と述べた。 
小麦価格は、昨年夏のロシアでの干ばつと火災、これに伴う輸出禁止によって押し上げられた。その他の農産物も米国や欧州、オーストラリア、アルゼンチンでの生産の落ち込みを背景に値上がりした。 
OECD報告草案は、農業投資は過去数年ほとんど行われておらず、生産性も停滞していると指摘。その一方で、世界で人口の最も多い中国とインドの食料需要が経済の急成長に伴い増大していると分析している。パドアン次長は、石油についても同様のことが言えるとしている。 
石油価格は、北アフリカと中東での反政府運動の高まりで1バレル=100ドル(約8200円)を超える前から、世界経済の強まりを受けてここ数カ月間上昇している。先週末25日の北海ブレント原油先物は1週間前に比べて9.4%高の112.14ドル、米国産標準油種WTI先物は9.1%高の97.88ドルで終わった。 
バーナンキFRB議長も、米国の金融政策が大量の資金を中国などの新興国と商品市場に流入させているとの批判に対してOECDと同様の見解を示しており、原因は新興国の急成長とこれら諸国の不十分な政策対応にあるとし、中国が人民元の切り上げに消極的なことを例に挙げた。 
昨年11月にソウルで開かれたG20サミットでは、ちょうど1週間前にFRBが6000億ドルの国債購入計画を発表したことから、オバマ米大統領がFRBの政策はインフレを助長しているとの批判に直面することとなり、大統領の中国に対する人民元切り上げの一段の要求は影が薄くなってしまった。
【私の論評】やっぱり、昨日書いたように、サンケイ新聞の記事は、『バカも休み休みいえ!!そんなんで、日本は救われない!!』だった!!
さて、昨日は産経新聞の『強欲が「世界」を崩壊 デフレ日本はどうなる 消費税10%以上相当の富を喪失』という記事の内容があまりに酷い内容だったので、そのすべの内容にことごとく反論を掲載しました。

簡単にいうと、現在の商品価格の高騰は、投機筋のよるものであり、その結果、日本国内ではインフレとなり、とんでもないことになる。そうして、これを防ぐためには、輸出価格をあげなければ、消費税10%以上相当の富を喪失するというものでした。

これについては、どう解釈してもあまりに内容がおかしいし、酷いので、どうしょうかと考えましたが、結局私が出来る範囲内で、反証を掲載しました。その反証をご覧になりたい方は、以下のURLをご覧になってください。

http://goo.gl/gcVDp

この記事を書いた、記者は、この記事の冒頭で、「ニューヨークの金融街を舞台にしたオリバー・ストーン監督の映画『ウォール・ストリート~カネは決して眠らない』で主人公、ゴードン・ゲッコーはインサイダー取引罪による服役8年を終え、娑婆(しゃば)に復帰する。市場での金融商品の氾濫(はんらん)ぶりにあきれ、「強欲が合法化されたのだ」と喝破した。が、現実のドラマは次へと進む。金融バブル崩壊から2年余りの今、「強欲」が世界を壊し始めたのだ。デフレ日本はどうなるだろうか」などと書いていました。まさに、現実とフィクションが交錯しているという感じでした。困ったものです。


しかしながら、上記のウォール・ストリートの「商品価格上昇の原因は実需」が、事実であれば、この記事の内容は、前提から完全に崩れるわけです。そうして、おそらく、WSJの記事のほうが正しいと思います。

サンケイの記事は、インフレになることばかりではなく、さらに、輸出価格をひきあいにだし、輸出価格をあげなければ、とんでもないことになるという、理解不能の論まで展開しています。

どうやら、「日曜経済教室」と題するものをサイトに転載したもののようですが、一体どなたが書かれたんでしょうか。まさに、「トンデモ記事」だと思います。

少々、荒っぽいとは思いましたが、昨日すぐに掲載して良かったです。昨日の私のブログの記事にコメントされた方がいましたが、その方のコメントは、以下のようなものです。

「書かれている内容同感です。日本を破壊したい人が多いのか困ったものですね」

本当に、日本ではなぜか、経済記事というと、日本が破滅するとか、破壊されるなどの論調が多すぎます。このブログを読まれている方は、このような記事に惑わされることなく、真実を見つめていただきたいと思います。

最近、会社の後輩に、「日本の新聞を読んでいると、日本の経済がわからなくなる。ウォール・ストリート・ジャーナルを読んだほうがかえって判る」ということを言いました。最近では、まさにそんな感じです。サンケイなどまだ良いほうです。他紙では、もっと酷いものも、散見されます。本当に困ったものです。

さて、それにしても、理由が何であれ、商品価格が高騰することは、悪影響があることは確かです。しかし、上の記事にもあるように、投機筋など、おそらく、関係しておらず、世界の中で、余剰なものを足りないところに回したり、あるいは、農産国であれば、増産すれば、なんとかなります。

長期的にはどうなるかという話もありますが、現在でも、アフリカがアジアなみに農産物を生産できる体制になれば、世界の食料不足はすぐにでも解消すると、ドラッカー氏も著書で述べておられました。やりようは、いくらでもあるわけです。こんな情報も提供しないで、煽るだけでは、無責任ですね。でも、煽り記事を書けば、話題となり、有名になり、それによって人気を博してお金儲けができるということなのでしょうか?困ったものです。

私が、マスコミの嘘に目覚めたのは、大学時代の恩師の言葉によるものです。これに関しては、以下のURLをご覧になってください。

http://goo.gl/oLFN

【関連記事】

強欲が「世界」を崩壊 デフレ日本はどうなる 消費税10%以上相当の富を喪失(サンケイMSニュース)―【私の論評】バカも休み休みいえ!!そんなんで、日本は救われない!!

4 件のコメント:

pochiko さんのコメント...

エ~っ!!
そうなんですか?

僕は【食料とエネルギーで儲けるためにアメリカが画策した】延長線上の話だからと・・・・。
ゴールドマンサックスあたりの利権絡みが有ったのでそうだろうと判断したのですが、そうでしたか。

ありがとうございました。
もう一度調べてみます。

山田 豊 さんのコメント...

pochiko様、コメント有難うございます。無論、画策しているでしょうが、あまり影響はないということだと思います。金融馬鹿はいつでも、儲け話があれば、何とか儲けようと画策しますが、今回ばかりは、実需が増しているということで、儲けも少なくなるとということだと思います。

しげぞう さんのコメント...

yutakarlsonさん、当方のブログ(http://newsyomaneba.seesaa.net/)にコメントありがとうございました。

以下、そちらでも書いたことをこちらにもコメントさせていただきました。

先ほどそちらのブログにも遊びに行きました。

デフレターゲット政策ですか。通常はターゲットといえばインフレターゲット政策なのですがね。

マスコミは、例えばデフレ対策としてインフレターゲット政策を提唱すると、すぐにハイパーインフレになって恐慌がおきると騒ぎますが、デフレの時に緊縮財政や増税をやって成功した国はありませんね。

マスコミは、経済音痴が記事を書いているからそうなるのか、あるいは官僚の提灯持ちなのか、はたまたスポンサーとしての大資本におもねっているのか、訳のわからない記事を書きます。

ハイパーインフレは、需要の成長に対し、供給不足の時に市場に金を流通させる起きる可能性はありますが、今の日本のどこが供給不足なのでしょう。

街をあるけば物余り、つまり供給過剰は歴然としています。

山田 豊 さんのコメント...

しげぞう様 コメント有難うございます。まさしく、おっしゃる通りです。与謝野さんなど、何でもとにかくデフレが良いと思っているようです。1990年代のバブルと、バブル崩壊のインパクトをひきづっているという事だと思います。この有様をみて、あのノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンが、日本はまるで、車で人をひいてそのまま通りすぎてしまえば良いのに、怖さのあまり、車をとめて、また、後戻りして、再び人をひているような状況だと、揶揄していたことがあります。
一度バブルで失敗したからといって、いつまでもバブルが起こらないのような施策をしているのは間違いですね。今本当に直近でやるべきことは、バブル直前に自民党政権がバンバンやっていた大規模な公共工事です。こうして積極財政をして、金融も緩和すればよいわけです。しかし、これとても、やり続けていけば、また昔と同じことになります。インフレ率があがり過ぎた場合には、現在のような緊縮財政、金融引き締め、今の日本でこれから行おうとする増税をすれば良いわけで、ここ20年間日本政府がやることはことごとく逆の事ばかりしています。困ったものです。
こんなことをしていても、日本が持つ続けているということは、日本という国はもともとが頑丈であることと、やはり、なんといっても、余裕が有り余っているという事だと思います。これが、他の国だとそうはいかないわけです。こんなことから、政治家も、官僚も、著しく能力が低下したのだと思います。もう、そろそろ、根本的に御せうい改革か必要なときになったという事だと思います。
これからも、お気軽にお立ち寄りください!!

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない―【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない まとめ 西側諸国と中国との経済的結びつきが急速に弱まっている。中国からの輸出が主要国で大幅減少している。 中国への外国からの投資や人的交流が大きく減少し、新規投資がなく...