ラベル Amazon、売上過去最高、減益、ジョン・ベゾズ、民間企業、政府、投資、公共工事、バランスシート不況 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Amazon、売上過去最高、減益、ジョン・ベゾズ、民間企業、政府、投資、公共工事、バランスシート不況 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年2月1日水曜日

アマゾンが売上過去最高も純利益は大幅減−【私の論評】民間企業も国家も減益になっても、投資すべきときには投資せよ!!



米Eコマース大手アマゾンドットコムが1月31日発表した2011年第3四半期(10~12月)決算は、売上高こそ前年同期比35%増の174億3000万ドル(約1兆3280億円)となったものの、純利益は同58%減の1億7700万ドル(約135億円)と減益だった。

売上高は過去最高となったが、販売コストがかさんだために、純利益は大幅減益で事前の市場予想を大きく下回った。

タブレット端末のキンドル・ファイアは、累積販売台数は数百万台で、年末までに前年同期比2.8倍に増加したという。(上の写真は、AmazonのCEOのジョン・ベゾズ氏)

【私の論評】民間企業も国家も減益になっても、投資すべきときには投資せよ!!

Amazonが売上過去最高でも、純利益は大幅減ということだそうですが、これは、おうおうにしてあることです。売上があがっても利益がでないとはいっても、主に二つのケースがあります。まずは、古い商売ばかりやって、利益率が減ったために利益がでないというものです。もう一つは、次の時代に備えて、ヒト、モノ、情報などに投資をしていて、そのために利益があがらないというものです。

Amazonの場合は、もちろん後者であると思います。特に、キンドル・ファイアは、累計で数百万台も売れたそうですから、これは、以前のブログでも書いたようにほとんど採算割れに近い価格で販売していますから、減益するのは無理もないことだと思います。

企業はこのように、時には次のステップに進むために、身をかがめなければならないときがあります。人も、身をかがめなれば、大きな跳躍ができないのと同じことです。こんなことは、誰でも知っていることて、あまりにも当たり前だと思う人も多いことだとは思います。


しかし、現実はそうではありません。多くの人が、これに気づかずに、次の跳躍に備えて身をかがめようとはしませんでした。その、成れの果てが、今の日本です。


まずは、バブル直後の日本です。多くの企業が、不良債権処理に走り、ほとんどの企業が銀行からお金をかりることもなく、とにかく、投資は後回しということで、せっせと処理に走りました。多くの企業ががこのようなことに集中してしまったため、国全体でみれば、銀行からお金を借りて投資する企業がほとんどなくなってしまったので、市中には、お金が出回らなくなりました。


そのため、日本は不況に見舞われるようになりました。それまでの歴史にはなかったタイプの不況にです。このような構図を見破ったのが、あのリチャード・クー氏ですが、彼は、このタイプの不況に『バランスシート不況』と名付けました。これは、あまりに当たり前のことなのですが、その当時のあまりに多くの企業が次の時代に向かっての跳躍の準備をしなかったということで、それが、引き金となって不況が長い間続いてしまいました。


さて、このような不況が長引き、しまいには、デフレになりました。そうして、そのデフレが今に至るまで続いているのが現在の状況です。では、こうした最中にあって、企業は何をすべきかといえば、Amazonがやっているように、次のステップに向かって、身をかがめる行為です。たとえ、減益になっても、次の時代に向かっての投資のはずです。しかし、現在の日本企業は、全部とはいいませんか、ためこむばかりで、なかなか、次の時代に向けての投資をしようとしません。

しかし、これは、何も企業だけが悪いというわけではありません。デフレを放置している日本政府にも問題があります。これだけ、デフレであれば、物が売れず、企業のほうも投資を控えるのは当然のことです。過去本当に、日本政府は、投資をしてきませんでした。公共工事も、かなり減っています。バブル直前の頃比較すると、毎年半分という有様です。そのため、多くの地方で、あと数年で、道路や、橋や、トンネルなどが、耐用年数を過ぎて危険な状況です。これは、完全に公共工事をやらなさすぎの水準です。他の先進こくと比較しても、最低水準です。これでは、景気が悪くなるも当然といって良いくらいです。

これは、過去の自民党政権も、今の民主党政権も同じことです。次の時代に向けて、跳躍するにしても、まずは、このような、公共工事を実施しなければなりません。それらが、まともになっておらず、国土の安全や、効率性など確保されなければ、一体どうやって、跳躍するというのでしょうか?

それに、本年は、昨年の3.11の震災による復興を本格的に取り組むはずの年であったはずです。この震災による被害に関して、ただ元に戻すというだけではなく、全く新しい考えで、新たな地方都市を作り出すとか都市計画だけではなく、新たな産業構造を生み出すきっかけにするとかすれば、それこそ、次の跳躍のための良い準備となるはずなのに、今の政府はそうはしません。

こういう風にみていけば、今の企業や、政府や日本銀行は、ジェフ・ベゾズ氏とは正反対のことをしているわけです。とくに 、政府は、いまのこのデフレにタイミングて、増税しようとさえしています。日銀も、これだけ、震災の復興のため、円需要が増しているにもかかわらず、増刷拒否の姿勢を崩さず、大規模な金融緩和政策をするつもりはありません。これでは、どうしようもありませんね。

一体彼らは、何を考えているのでしょうか?過去の記事の歴史をみても、これは、理解できることです。高橋是清は、昭和恐慌のときデフレ対策として積極財政、金融緩和策をとり、日本の昭和危機を素早く切り抜けました。橋本龍太郎は、デフレにのときに、増税をして大失敗して、国民に詫び入れました。インフレのときに、増税、積極財政、金融引き締めをする。デフレのときには、減税をして、緊縮財政、金融緩和をするべきことは、高校の教科書にも掲載されているようなマクロ経済政策の基本中の基本です。何も難しいげんりでもなんでもありません。普通の大人が、普通に考えれば、理解できることです。

次の時代に向けて、跳躍するために、身をかがめ、企業なら、Amazonのように減益をしても、次の時代に備える、国なら、高橋是清のように、次の時代に備えるため、積極財政をして、金融緩和をするということが、最近の政治家や企業家は、理解できないようです。


企業家も、政治家も、Amazonのジョン・ベゾズ氏のように、減益でも投資すべきときに、投資しなければならないという基本中の基本中を学ぶべきです。日本では、多くの人が、国や企業のことを、定期的に跳躍の必要な存在とは認められないようです。ずっと跳躍しなければ、だんだん衰退していくばかりです。一体いつから日本は、こんなことになってしまったのでしょうか? 本当に困ったものです。


【関連記事】



特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...