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2015年12月9日水曜日

「イスラム国」が習政権に“宣戦布告” ウイグル周辺に中国語で聖戦呼び掛け―【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISは中国を新たな標的に定めたのか 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

過激派組織「イスラム国」(IS)は9日までに、中国語でジハード(聖戦)を呼び掛ける音声の声明をインターネット上で発表した。中国語による呼びかけは初めてとみられる。中国国内にはイスラム教徒が2000万人以上いるとされ、ISが習近平国家主席率いる共産党政権に“宣戦布告”したともいえそうだ。

音声は約4分間の宗教歌。中国の標準語である北京語で歌われており、題名は「われらは聖戦士」。「戦場で殉死するのはわれわれの夢だ」「武器を取れ」などと呼び掛けている。

ISは先月、人質として拘束していた中国人を殺害したと発表した。中国政府は対テロ対策を強化する方針を表明しており、同組織が対抗して中国での活動をてこ入れする姿勢を示した可能性もある。

ISに殺害された4、8歳のノルウェー人オレ・ヨハン・グリムスガールド・オフスタッドさん
(左)と、50歳で北京生まれで
コンサルタントを職業としていた中国人のファン・ジンフィさん
 中国には、ウイグル族や回族、カザフ族、トンシャン族など、イスラム教を信仰する民族が10ほどあり、大部分が中国西北部に集中している。共産党政府によるウイグル弾圧は知られているが、他のイスラム教徒に対する管理・統制も強化している。

香港系週刊誌「鳳凰週刊」は昨年8月、《イスラム国/数年後に新疆ウイグルの占領を計画/中国を『復讐ランキング』1位に》という記事を掲載した。IS幹部が、共産党政府によるウイグル弾圧に怒り、中国を潰すと報復宣言をしたという衝撃的な内容だった。
現に、ISには、ウイグル族を中心に数百人の中国人が参加し、戦闘訓練を受けて帰国した若者が多数いるとされる。ウイグル周辺に「アジア版イスラム国」を建国する計画があるとの情報もある。

中国情勢に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「中国語による音声声明が事実なら、『ISによる習政権への宣戦布告』といえる。これから、中国ではホームグロウン(自国育ち)テロなど、さまざまなことが起こる」といい、続けた。

元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏
 「中国では近年、イスラム教徒だけでなく、キリスト教徒への弾圧も強まっている。環境汚染や格差拡大、汚職など、一般大衆の不満も高まっている。中国の歴代王朝は宗教的な大衆の反乱で崩壊している。宗教的な呼びかけは影響力が強い。ISで戦闘訓練を受けた者が中核となって、混乱を引き起こす可能性は十分ある。習政権は戦々恐々としているだろう」
【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISが中国を標的にするであろうことは、以前にもこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)


詳細は、この記事に掲載した、上の動画をご覧いただくものとして、この動画で佐藤優氏が述べている内容を以下に簡単にまとめておきます。
上の動画で佐藤優氏は、中国の海洋膨張は終わるとしています。なぜかといえば、それどころではない状況が、中国に起こっているからです。それは、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいるからです。 
佐藤氏にいわせると、中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題であるとしています。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっているそうです。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっているそうです。
上の記事は、今年の6月30日のものです、以前にもこの中国の危機をこのブログに掲載したことがあります。以下は、今年7月8日のものです。
【スクープ最前線】習主席“暗殺テロ”情報 ウイグル周辺で不穏な動き…「イスラム国」と連動か ―【私の論評】迫る第二イスラム国の脅威!株価下落の中国にさらに追い打ちをかける悲報(゚д゚)!
習近平は第二イスラム国の脅威を跳ね除けることができるだろうか?
これも、以下にこの記事から一部、コピペします。

 だが、驚かないでいただきたい。その中国で、尋常ならざる事態が発生している。以下、複数の日米情報当局関係者から得た情報だ。
 「6月25日午前、『習氏に何かあった』という緊急連絡が入り、情報当局が慌てた。現地協力者が調べると、習氏はその時間、移動中だった。翌26日、中国軍幹部の間で『習氏への暗殺未遂テロがあった』という情報が流れた」 
 その26日が興味深い。何があったか。フランスとチュニジア、クウェートで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の関係者の犯行とみられるテロ事件が相次いで発生したのだ。爆破や銃撃戦で約70人が犠牲となった。
 そして、情報当局者らは次のような驚愕すべき分析を行っている。
 「習氏は5回以上、命を狙われた。犯人は、敵対する軍や公安勢力といわれるが、今回は違う。イスラム国と連動した可能性がある。なぜなら、イスラム教徒が多く住み、中国当局が弾圧を加える新疆ウイグル自治区周辺で近々、『アジア版イスラム国』建国が本格化しているからだ」
 「情報では、イスラム国で戦闘訓練を受けて帰国したウイグル族の若者数百人が中核となって動いている。武器や弾薬、自爆テロ要員など、戦闘態勢も整っている。今後、習氏を狙ったテロが多発するのは間違いない。航空機ハイジャックによる自爆テロも否定できない」

 以下は、1月15日のものです。
「イスラム国」“報復テロ”におびえる中国 弾圧で国外逃亡のウイグル族が合流―【私の論評】少数民族抑圧政策により、ここ数年毎年暴動が年平均10万件以上発生する中国で、イスラーム過激派のテロは苛烈さを極めることになる(゚д゚)!
新疆ウィグル自治区の暴動における犠牲者 写真はブログ管理人挿入以下同じ
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部以下にコピペさせていただきます。
 「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、中国政府は国内にテロが“飛び火”することへの警戒を強めている。中国では、ウイグル族に対する弾圧政策の結果、イスラム教徒らの国外逃亡が相次いでおり、出国後に「イスラム国」に合流するケースも少なくないとされる。中東でテロのノウハウを学んだ者が帰国し、中国当局への「報復テロ」に打って出る可能性が現実味を帯びているのだ。 
 「習近平国家主席体制になって、ウイグル族への弾圧は激しさを増している。新疆ウイグル自治区にはイスラム教徒が多く、耐えかねて、逃げ出した人々の中には、『イスラム国』に加わる者もいるようだ。こうした人々が報復してくることは十分に予想される」 
 中国事情に詳しい評論家の石平氏はこう指摘する。 
 石平氏は「中国にとってイスラム国によるテロは人ごとではなく、当局も警戒し始めている」と語る。 
 当局が危ぶんでいるのは国内でのテロだけではない。中国はイラクなどに巨大な石油利権を持っており、中国が開発する油田などがテロの標的になる可能性も否定できないからだ。
これだけ複数の筋から、ISが中国を標的にしていることが指摘されているわけですから、これはもう間違いないと見て良いでしょう。

そうして、中国は、このISを防ぐことは非常に難しい特殊事情があります。それは、国境溶解という現実です。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、国境溶解に関する部分のみ以下にコピペさせていただきます。
国境の溶解現象とは、中ロ国境を中国人が多数超えてロシア領内に入り、様々経済活動をしているため国境そのものが曖昧になっていることをさします。 
黒竜江とウスリー江を挟んだ対岸は、中国有数の農業地帯であり、 渤海、金以来のさまざまな民族の興亡の地として歴史に残る遺跡も多いです。 わずかに川ひとつ隔てただけで、一方は衣食を外からの供給に仰ぎつつ資源を略奪しつづけ、 年々人口を減らしつづけているシベリアであり、一方は年々人口を急増させつつある 黒龍江省です。 
ロシア側の、全シベリアの人口を総和しても、数十分の一の面積しかない黒龍江省の半分にしかならないのです。この救いがたい落差は、 つまるところ社会的な圧力になります。ソ連政府はだからこそ国境地帯に厳しい軍事的な緊張を 作り出すことによって、中国からの圧力に対抗していたといえるでしょう。
 国境を挟んだ中国側の吉林省、遼寧省と北朝鮮、 内モンゴル自治区とモンゴル、新彊とカザフスタンおよびウズベキスタン、中国の雲南省とミャンマー、 中国の広東省とベトナムなどを比較してみると、常に面積の少ない中国側の各省が人口ではるかに勝っていることがわかります。
 この明白な不均衡こそが、国境を超えて大量の中国人が流出あるいは進出しつつある 根本的な原因です。この点から言えば、シベリアも例外ではないばかりではなく、 最も典型的なものです。ソ連の軍事的圧力が解消し、 国境貿易が開始されたことは、この過程を一気に促進させました。

中越国境の橋
 ソ連の崩壊によってシベリアのロシア人社会は、直ちに危機に陥いりました。 政府は給与を支払うことができず、多くの労働者が引き上げていきました。 シベリアに市場はなく、シベリア鉄道もいたるところで寸断されようとしていました。 だから、中国からの輸入が不可欠のものとなりましたが、一方で中国に売り渡すものを シベリアのロシア人社会は何も持っていませんでした。その結果、 中国人がシベリアに入り込んできて、役に立つものを探し出し、作り出してゆくしかなくなりました。
こうして、国境溶解が進んていきました。この国境溶解は、無論中国にとっては、軍事的脅威がなくなったことを意味します。
特に現在のロシアは、ご存知のようにウクラナイ問題を抱えており、中ロ国境にソ連時代のように゛隊規模な軍隊を駐留させておけるような余裕はありません。
かつてのソ連の脅威がなくなったどころか、国境溶解でロシア領内にまで浸透できるようになった中国は、この方面での軍事的脅威は全くなくなったということです。
各地で軍事的な脅威がなくなった中国は、これら国境地帯にかつのように大規模な軍隊を派遣する必要もなくなり、従来から比較すると経済的にも恵まれてきたため、海洋進出を開始刷るだけの余裕を持ち、実際に海洋進出を始めました。
この国境溶解現象は、上では、ロシアと中国の国境について掲載しましたが、実は、多かれ少なかれ他の国と中国との国境でも発生しています。

国境を超えて、中国人や外国人が大勢出入りするようになり、国境での決済においては、人民元が用いられるようになりつつあります。だからこそ、最近では元を国際通貨として認める動きもでてきているのです。先日もこのブログには、人民元がSDRに採用されたことを掲載したばかりです。

今までは、国境溶解は中国にとっては、良いことでした。他国との国境付近の中国は、貧困地帯が多いのですが、国境溶解はこれらの地域の人々にとっては、福音でもありました。中国内では僻地ですが、国境を超えさえすれば、すぐ近くにまだ手付かずの市場が市場があり、様々な物品を販売することが可能だったのです。

しかし、今回のように、ISが中国に宣戦布告しとなると、この国境溶解が裏目に出ます。人々が自由に往来できるということは、テロリスや武器も自由に往来できるということです。

さて、中国は、これにどう対応するのでしょうか。国境を封鎖するのでしょうか。あるいは、それを実施するにしても、中国と他国の国境線はとてつもなく長いです。これを完璧に取り締まるには膨大な人員が必要です。

どこかで、取り締まりを強化すれば、別のどこかが疎かになるということで、これはなかなか困難です。それに、中国と他国の国境は、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、チベット自治区などの自治区が多いです。

これらの自治区には、無論のことイスラム教徒が大勢いるところもありますし、そうではなくても、中国政府に迫害を受けた人々が大勢住んでいます。

それに、これらの地域に住む人々には、自分たちが中国人という自覚もありません。そうして、特に遊牧民など、昔から国境など関係なく、自分たちの行きたいところに行くといのが当たり前です。

こうしたことから、ISを積極的に支援したり、国境を通過させたり、そこまでしなくても、黙認するということになると思います。そうなると、中国はこれに対処することはなかなかできません。

多くの人員や、武器がやすやすと国境を超え、中国に入国することになります。

現在、経済的にも社会的にも疲弊している中国、ISとも対峙しなくてはないないとすると、上の動画で佐藤優氏が述べていたように、南シナ海や東アジアへの海洋進出などやっている場合ではなくなります。

国内では、毎年10万件にも及ぶ、暴動に対処して、国境では、ISと対峙しなければならないことになります。このようなことには、さすがに中国も耐え切れなくなるものと思います。

行き着く先は、現体制の崩壊です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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