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2016年2月1日月曜日

【ジャカルタ高速鉄道】受注した中国の書類ずさん過ぎ… 事業契約も調印できず 「中国語だけでは評価しようもない…」―【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!


バンドン郊外で開かれた高速鉄道の着工式典に出席したジョコ大統領(左から2人目)
と中国鉄道公司の盛光祖社長(中央)ら=21日、インドネシア
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道整備工事が、監督官庁の許認可が下りず、足踏みを続けている。中国が日本との受注合戦に競り勝ち、21日に着工式典が開かれたが、提出書類が中国語で担当官が理解できないなど準備不足が露呈。事業契約もまだ調印できず、工事の“出発”にすらこぎ着けられない状況だ。

■空軍基地の敷地に駅を予定

整備計画では、首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンの約140キロを結び、2019年前半の開業を目指す。事業費約は55億ドル(約6420億円)で、インドネシア政府は負担や保証はしない。事業権期間は50年で、終了後は政府に引き渡される。

着工式典で、インドネシアのジョコ大統領は「インドネシア、中国の両国政府が協力して着工に至った」と胸を張った。だが、式典を欠席したジョナン運輸相は26日、議会公聴会の質疑で、「評価が終わっていない」として、建設許可はまだ出していないとした。

運輸省幹部は、地元英字紙ジャカルタ・ポストに、「5キロ区間の式典向け使用だけ許可した」と説明。必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とし、事業契約も調印できない状況を明かした。

中国側の計画では、4駅が整備されることになっているが、うち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定。このため、一部政治家から、「首都防衛のための不可欠な施設だ」と、計画見直しを求める声もあがっている。

■「反対を力で排除、慣れてしまっている」

東南アジア研究所(シンガポール)の趙洪氏は、28日の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に、中国の国有企業は母国で、反対や障害を力で排除することに慣れてしまっていると指摘。インドネシアのような民主主義下では違った対応が必要だとして「地域社会をもっと深く理解する必要がある」としている。

インドネシアの高速鉄道計画をめぐっては、日本が受注を前提に地質調査などを長年進めてきたが、昨年3月、中国が参入を発表。インドネシアは同9月、費用が安い「中速度」の鉄道にプランを変更し、日中両案を不採用としたが、その後、事業費を丸抱えする中国の新提案の採用を決定。日本は選考過程の不透明さをインドネシアに抗議するなど波紋を呼んだ。

 【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!

インドネシア高速鉄道計画は、2015年7月にインドネシア政府が発表した高速鉄道計画です。首都ジャカルタと西ジャワ州バンドン間150kmを結ぶ計画で、将来的にインドネシア第二の都市である東ジャワ州スラバヤへの延伸が計画されています。東南アジアにおいて最初に開通する高速鉄道となる予定です。

この計画には、日本および中国が高速鉄道システムの売り込みに興味を示し、入札を競っていました。

2015年9月3日、インドネシア政府は高速鉄道計画の撤回を発表し、入札を白紙化しました。 9月29日、インドネシア政府は財政負担を伴わない中国案の採用を決定しました。

2015年中に着工し、2019年に開業する予定でした。

それにしても、中国の国際事業の展開の仕方は、非常にお粗末なものです。インドネシアという相手国に対して、必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とは、お粗末の極みです。国際的な事業をするというのなら、最低限英語の書類は用意するというのが当たり前です。

確かにこの状況では、事業契約も調印できないのはもっともなことです。

ここで少し、このインドネシアの高速鉄道計画の受注に関してふりかえっておきましょう。

日本の新幹線E5シリーズ
さて、2008年より, 日本はインドネシアに対し新幹線の輸出を働きかけてした。2009年には、ジャカルタ - スラバヤ間730kmを時速300kmで結ぶ高速鉄道計画のフィジビリティスタディが行われました。

当区間はインドネシアで最も人口密度が高い区間であり、旅客および貨物輸送において慢性的な渋滞が発生しています。国際協力機構により、高速鉄道の建設費を円借款による低金利の融資で賄うことが提案されました

新提案では複数の期間に分けて建設することになりました。第一期はジャカルタ - バンドン間150kmを35分で結ぶ計画となり、建設費は50兆ルピアとされました。2014年1月、国際協力機構は詳細な事業化調査を開始しました。

当初、日本案は有利であるとみられていました。2014年10月にインドネシアにおける政権交代によりユドヨノ政権からジョコ政権に代わると、2015年1月、ジョコ政権は高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明しました。

それでも日本案の有利は揺るがないと見られていましたが、2015年3月に中国が受注競争に参加することを表明しました。

2015年3月、ジョコ大統領は東京と北京を訪問。3月22日から25日までの東京滞在期間中、日本の安倍晋三首相と会談を行い、ジャカルタの都市鉄道路線ネットワークにおいて日本の支援を得ることで合意をしましたが、高速鉄道計画においては進展が見られませんでした。

中国案のCRH380A
2015年4月、中国はインドネシア高速鉄道計画の入札を表明しした。

2015年3月26日、ジョコ大統領が北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談を行った。中国側はインドネシア高速鉄道計画への支援を大々的に発表した。

2015年7月、インドネシア政府はジャカルタ - バンドン間の高速鉄道建設計画において競争入札を行うことを発表した。2015年8月、中国はジャカルタのショッピングモールにおいて高速鉄道技術展示会を行った。

日本案と中国案の競争は熾烈なロビー活動に及んだ。高速鉄道計画の受注は経済的理由に留まらず、東南アジアにおける両国の戦略的影響力を競うものとなっていました。

日本側としては、全く納得のいかない結果となりましたが、結局のところインドネシアは、安物買の銭失い的な行動をしてしまったようです。しかしこんなことになるのは、最初からわかっていたことです。

そもそも、中国の現在の高速鉄道の技術は日本から盗みとったものです。というか、盗ませてしまったというのが正しいかもしれません。

新幹線技術を供与した張本人は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の松田昌士・元会長&社長です。中国はもともと、国産技術と僭称して米国やアジア諸国に売り込みをかけていました。

中国から技術を盗まれると確信していたJR東海の葛西敬之会長は技術を出しませんでした。JRの経営トップでもこれだけ対中国観が違ったということです。さらに、JR東日本と組んで新幹線の車輌(技術)を提供した、川崎重工業の契約が「技術を盗んで下さい」といわんばかりに杜撰だったことが、新幹線技術を中国に盗まれる原因ともなりました。

とはいいながら、現在の中国の鉄道技術は、前世代の古いものです。現在の最新の新幹線の技術ではありません。

盗みとったものであるからこそ、中国はインドネシアに対して、高速鉄道を安く提供できるということです。この技術日本は、自主開発でそれこそ何十年もかけて培ったものです。

とはいいながら、所詮自主開発したものと安直に盗みとったものとでは、自ずから差がつきます。実際中国では、2011年にあの高速鉄道の大事故が起こっています。この事故、中国はあろうことか、事故列車を地面を掘り起こしそこに埋め、事故の原因を隠蔽してしまいました。

2011年温州市鉄道衝突脱線事故
この事故、中国側はいろいろ理由をつけていますが、私自身は線路の敷設なとを含む鉄道システムの突貫工事も大きな原因の一つではないかと思います。何しろ、中国は日本なら一年かけて工事するところを3ヶ月くらいでやってしまいます。

経済再優先では、安全性は二の次です。そうして、中国は比較的領土が広いので、線路も直線が多く、日本と比較すると、カープや勾配などが少ないです。インドネシアも、領土が狭く、谷あり山ありで、日本と同じようにカーブや勾配などが多いです。

突貫工事をやる中国が、インドネシアに限ってまともな工事を実施とも考えられません。

それと、上の記事で、4つある駅のうち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定しているとありますが、これは、中国の軍事的な意図がありありです。

そもそも、中国では駅は軍事施設の一つともみられています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌―【私の論評】敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしている平和ボケ日本!!
中国高速鉄道と女性乗務員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より米誌による、中国の高速鉄道には、重要な軍事的意図が隠されているという指摘の部分のみを以下に掲載させていただきます。
2011年5月14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。以下はその概略。 
国際社会における中国の台頭に伴い、中国の軍事力も大幅に増強。中国指導者たちの理想は日増しに膨らみ、さらに積極的に自国の利益保護を追求するようになった。中国が鉄道網の整備に全力を挙げているのも、人民解放軍の移動能力を向上させるため。それらはさらに周辺地域にまで延伸しており、米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている。 
中国は現在、チベットとネパールに続く高速鉄道路線を開通させており、さらにラオス、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーにも伸ばす予定。また、昨年11月には新疆ウイグル自治区−キルギスタン−タジキスタン−アフガニスタン−イランを結ぶ路線を建設することで各国と合意。このほか、イラク−シリア−トルコ−欧州を結ぶ路線の開通も計画している。 
これらは国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱するアジア横断鉄道(TAR)の理念に基づいたもの。これは中東を中枢としたアジア間およびアジアと欧州を結ぶ鉄道路線網である。こうした鉄道網の充実に加え486.1キロという世界最高速度が、中国の遠征能力を格段に向上させるだろう。現代版の「シルクロード」が米国および西側諸国の脅威になることは間違いない。
鉄道が軍事的にも意味を持つというのは、本来は常識です。日本でも、戦車など今でも鉄道で運ぶこともありますし、今の日本ではほとんど見かけなくなりましたが、兵員を鉄道で運ぶということもあります。

鉄道は、他の輸送機関から比較すると、鉄道網が破壊されなければ、もっとも確実で安価な輸送手段です。

鉄道輸送中の中国59式戦車。トラベリング・ロックで100mm砲を固定している

インドネシアの空港の敷地内に、中国が鉄道の駅を設置するというのは、やはりこのような考え方にもとづいていると考えられます。

空港の敷地内に鉄道の駅があれば、いざというときに、中国は空港に兵員や兵器、戦車や車両など送り込み、そこから高速鉄道で、それらを迅速に展開することができるわけです。

中国としては、インドネシアで高速鉄道事業に成功して、アジア一帯に中国の高速鉄道網を張り巡らし、この地域で、どこにでも人民解放軍を迅速に展開できるようにするという意図があるのでしょう。

それにしても、インドネシアはどうしてしまったのでしょうか。これでは、本当に安物買いの銭失いどころか、敵に塩をくれてやるようなものです。

それも、今から10年前などというのならまだ理解できますが、最近の中国の南シナ海での暴虐ぶりをみて、それでも中国に高速鉄道を発注するというその、考えが全く理解できません。

それにしても、中国の国際鉄道事業、まだ実際に着工する前からこの体たらくです。何やら、先がみえてきたように思います。いずれ、その軍事的意図も多くの国々に知られるところとなり、いずれの国も発注しなくなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月9日水曜日

「イスラム国」が習政権に“宣戦布告” ウイグル周辺に中国語で聖戦呼び掛け―【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISは中国を新たな標的に定めたのか 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

過激派組織「イスラム国」(IS)は9日までに、中国語でジハード(聖戦)を呼び掛ける音声の声明をインターネット上で発表した。中国語による呼びかけは初めてとみられる。中国国内にはイスラム教徒が2000万人以上いるとされ、ISが習近平国家主席率いる共産党政権に“宣戦布告”したともいえそうだ。

音声は約4分間の宗教歌。中国の標準語である北京語で歌われており、題名は「われらは聖戦士」。「戦場で殉死するのはわれわれの夢だ」「武器を取れ」などと呼び掛けている。

ISは先月、人質として拘束していた中国人を殺害したと発表した。中国政府は対テロ対策を強化する方針を表明しており、同組織が対抗して中国での活動をてこ入れする姿勢を示した可能性もある。

ISに殺害された4、8歳のノルウェー人オレ・ヨハン・グリムスガールド・オフスタッドさん
(左)と、50歳で北京生まれで
コンサルタントを職業としていた中国人のファン・ジンフィさん
 中国には、ウイグル族や回族、カザフ族、トンシャン族など、イスラム教を信仰する民族が10ほどあり、大部分が中国西北部に集中している。共産党政府によるウイグル弾圧は知られているが、他のイスラム教徒に対する管理・統制も強化している。

香港系週刊誌「鳳凰週刊」は昨年8月、《イスラム国/数年後に新疆ウイグルの占領を計画/中国を『復讐ランキング』1位に》という記事を掲載した。IS幹部が、共産党政府によるウイグル弾圧に怒り、中国を潰すと報復宣言をしたという衝撃的な内容だった。
現に、ISには、ウイグル族を中心に数百人の中国人が参加し、戦闘訓練を受けて帰国した若者が多数いるとされる。ウイグル周辺に「アジア版イスラム国」を建国する計画があるとの情報もある。

中国情勢に精通する元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「中国語による音声声明が事実なら、『ISによる習政権への宣戦布告』といえる。これから、中国ではホームグロウン(自国育ち)テロなど、さまざまなことが起こる」といい、続けた。

元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏
 「中国では近年、イスラム教徒だけでなく、キリスト教徒への弾圧も強まっている。環境汚染や格差拡大、汚職など、一般大衆の不満も高まっている。中国の歴代王朝は宗教的な大衆の反乱で崩壊している。宗教的な呼びかけは影響力が強い。ISで戦闘訓練を受けた者が中核となって、混乱を引き起こす可能性は十分ある。習政権は戦々恐々としているだろう」
【私の論評】国境溶解で、中国はISの侵入を防ぐことは困難、崩壊の序曲がはじまる(゚д゚)!

ISが中国を標的にするであろうことは、以前にもこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)


詳細は、この記事に掲載した、上の動画をご覧いただくものとして、この動画で佐藤優氏が述べている内容を以下に簡単にまとめておきます。
上の動画で佐藤優氏は、中国の海洋膨張は終わるとしています。なぜかといえば、それどころではない状況が、中国に起こっているからです。それは、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいるからです。 
佐藤氏にいわせると、中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題であるとしています。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっているそうです。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっているそうです。
上の記事は、今年の6月30日のものです、以前にもこの中国の危機をこのブログに掲載したことがあります。以下は、今年7月8日のものです。
【スクープ最前線】習主席“暗殺テロ”情報 ウイグル周辺で不穏な動き…「イスラム国」と連動か ―【私の論評】迫る第二イスラム国の脅威!株価下落の中国にさらに追い打ちをかける悲報(゚д゚)!
習近平は第二イスラム国の脅威を跳ね除けることができるだろうか?
これも、以下にこの記事から一部、コピペします。

 だが、驚かないでいただきたい。その中国で、尋常ならざる事態が発生している。以下、複数の日米情報当局関係者から得た情報だ。
 「6月25日午前、『習氏に何かあった』という緊急連絡が入り、情報当局が慌てた。現地協力者が調べると、習氏はその時間、移動中だった。翌26日、中国軍幹部の間で『習氏への暗殺未遂テロがあった』という情報が流れた」 
 その26日が興味深い。何があったか。フランスとチュニジア、クウェートで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の関係者の犯行とみられるテロ事件が相次いで発生したのだ。爆破や銃撃戦で約70人が犠牲となった。
 そして、情報当局者らは次のような驚愕すべき分析を行っている。
 「習氏は5回以上、命を狙われた。犯人は、敵対する軍や公安勢力といわれるが、今回は違う。イスラム国と連動した可能性がある。なぜなら、イスラム教徒が多く住み、中国当局が弾圧を加える新疆ウイグル自治区周辺で近々、『アジア版イスラム国』建国が本格化しているからだ」
 「情報では、イスラム国で戦闘訓練を受けて帰国したウイグル族の若者数百人が中核となって動いている。武器や弾薬、自爆テロ要員など、戦闘態勢も整っている。今後、習氏を狙ったテロが多発するのは間違いない。航空機ハイジャックによる自爆テロも否定できない」

 以下は、1月15日のものです。
「イスラム国」“報復テロ”におびえる中国 弾圧で国外逃亡のウイグル族が合流―【私の論評】少数民族抑圧政策により、ここ数年毎年暴動が年平均10万件以上発生する中国で、イスラーム過激派のテロは苛烈さを極めることになる(゚д゚)!
新疆ウィグル自治区の暴動における犠牲者 写真はブログ管理人挿入以下同じ
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部以下にコピペさせていただきます。
 「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、中国政府は国内にテロが“飛び火”することへの警戒を強めている。中国では、ウイグル族に対する弾圧政策の結果、イスラム教徒らの国外逃亡が相次いでおり、出国後に「イスラム国」に合流するケースも少なくないとされる。中東でテロのノウハウを学んだ者が帰国し、中国当局への「報復テロ」に打って出る可能性が現実味を帯びているのだ。 
 「習近平国家主席体制になって、ウイグル族への弾圧は激しさを増している。新疆ウイグル自治区にはイスラム教徒が多く、耐えかねて、逃げ出した人々の中には、『イスラム国』に加わる者もいるようだ。こうした人々が報復してくることは十分に予想される」 
 中国事情に詳しい評論家の石平氏はこう指摘する。 
 石平氏は「中国にとってイスラム国によるテロは人ごとではなく、当局も警戒し始めている」と語る。 
 当局が危ぶんでいるのは国内でのテロだけではない。中国はイラクなどに巨大な石油利権を持っており、中国が開発する油田などがテロの標的になる可能性も否定できないからだ。
これだけ複数の筋から、ISが中国を標的にしていることが指摘されているわけですから、これはもう間違いないと見て良いでしょう。

そうして、中国は、このISを防ぐことは非常に難しい特殊事情があります。それは、国境溶解という現実です。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、国境溶解に関する部分のみ以下にコピペさせていただきます。
国境の溶解現象とは、中ロ国境を中国人が多数超えてロシア領内に入り、様々経済活動をしているため国境そのものが曖昧になっていることをさします。 
黒竜江とウスリー江を挟んだ対岸は、中国有数の農業地帯であり、 渤海、金以来のさまざまな民族の興亡の地として歴史に残る遺跡も多いです。 わずかに川ひとつ隔てただけで、一方は衣食を外からの供給に仰ぎつつ資源を略奪しつづけ、 年々人口を減らしつづけているシベリアであり、一方は年々人口を急増させつつある 黒龍江省です。 
ロシア側の、全シベリアの人口を総和しても、数十分の一の面積しかない黒龍江省の半分にしかならないのです。この救いがたい落差は、 つまるところ社会的な圧力になります。ソ連政府はだからこそ国境地帯に厳しい軍事的な緊張を 作り出すことによって、中国からの圧力に対抗していたといえるでしょう。
 国境を挟んだ中国側の吉林省、遼寧省と北朝鮮、 内モンゴル自治区とモンゴル、新彊とカザフスタンおよびウズベキスタン、中国の雲南省とミャンマー、 中国の広東省とベトナムなどを比較してみると、常に面積の少ない中国側の各省が人口ではるかに勝っていることがわかります。
 この明白な不均衡こそが、国境を超えて大量の中国人が流出あるいは進出しつつある 根本的な原因です。この点から言えば、シベリアも例外ではないばかりではなく、 最も典型的なものです。ソ連の軍事的圧力が解消し、 国境貿易が開始されたことは、この過程を一気に促進させました。

中越国境の橋
 ソ連の崩壊によってシベリアのロシア人社会は、直ちに危機に陥いりました。 政府は給与を支払うことができず、多くの労働者が引き上げていきました。 シベリアに市場はなく、シベリア鉄道もいたるところで寸断されようとしていました。 だから、中国からの輸入が不可欠のものとなりましたが、一方で中国に売り渡すものを シベリアのロシア人社会は何も持っていませんでした。その結果、 中国人がシベリアに入り込んできて、役に立つものを探し出し、作り出してゆくしかなくなりました。
こうして、国境溶解が進んていきました。この国境溶解は、無論中国にとっては、軍事的脅威がなくなったことを意味します。
特に現在のロシアは、ご存知のようにウクラナイ問題を抱えており、中ロ国境にソ連時代のように゛隊規模な軍隊を駐留させておけるような余裕はありません。
かつてのソ連の脅威がなくなったどころか、国境溶解でロシア領内にまで浸透できるようになった中国は、この方面での軍事的脅威は全くなくなったということです。
各地で軍事的な脅威がなくなった中国は、これら国境地帯にかつのように大規模な軍隊を派遣する必要もなくなり、従来から比較すると経済的にも恵まれてきたため、海洋進出を開始刷るだけの余裕を持ち、実際に海洋進出を始めました。
この国境溶解現象は、上では、ロシアと中国の国境について掲載しましたが、実は、多かれ少なかれ他の国と中国との国境でも発生しています。

国境を超えて、中国人や外国人が大勢出入りするようになり、国境での決済においては、人民元が用いられるようになりつつあります。だからこそ、最近では元を国際通貨として認める動きもでてきているのです。先日もこのブログには、人民元がSDRに採用されたことを掲載したばかりです。

今までは、国境溶解は中国にとっては、良いことでした。他国との国境付近の中国は、貧困地帯が多いのですが、国境溶解はこれらの地域の人々にとっては、福音でもありました。中国内では僻地ですが、国境を超えさえすれば、すぐ近くにまだ手付かずの市場が市場があり、様々な物品を販売することが可能だったのです。

しかし、今回のように、ISが中国に宣戦布告しとなると、この国境溶解が裏目に出ます。人々が自由に往来できるということは、テロリスや武器も自由に往来できるということです。

さて、中国は、これにどう対応するのでしょうか。国境を封鎖するのでしょうか。あるいは、それを実施するにしても、中国と他国の国境線はとてつもなく長いです。これを完璧に取り締まるには膨大な人員が必要です。

どこかで、取り締まりを強化すれば、別のどこかが疎かになるということで、これはなかなか困難です。それに、中国と他国の国境は、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、チベット自治区などの自治区が多いです。

これらの自治区には、無論のことイスラム教徒が大勢いるところもありますし、そうではなくても、中国政府に迫害を受けた人々が大勢住んでいます。

それに、これらの地域に住む人々には、自分たちが中国人という自覚もありません。そうして、特に遊牧民など、昔から国境など関係なく、自分たちの行きたいところに行くといのが当たり前です。

こうしたことから、ISを積極的に支援したり、国境を通過させたり、そこまでしなくても、黙認するということになると思います。そうなると、中国はこれに対処することはなかなかできません。

多くの人員や、武器がやすやすと国境を超え、中国に入国することになります。

現在、経済的にも社会的にも疲弊している中国、ISとも対峙しなくてはないないとすると、上の動画で佐藤優氏が述べていたように、南シナ海や東アジアへの海洋進出などやっている場合ではなくなります。

国内では、毎年10万件にも及ぶ、暴動に対処して、国境では、ISと対峙しなければならないことになります。このようなことには、さすがに中国も耐え切れなくなるものと思います。

行き着く先は、現体制の崩壊です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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