バンドン郊外で開かれた高速鉄道の着工式典に出席したジョコ大統領(左から2人目) と中国鉄道公司の盛光祖社長(中央)ら=21日、インドネシア |
■空軍基地の敷地に駅を予定
整備計画では、首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンの約140キロを結び、2019年前半の開業を目指す。事業費約は55億ドル(約6420億円)で、インドネシア政府は負担や保証はしない。事業権期間は50年で、終了後は政府に引き渡される。
着工式典で、インドネシアのジョコ大統領は「インドネシア、中国の両国政府が協力して着工に至った」と胸を張った。だが、式典を欠席したジョナン運輸相は26日、議会公聴会の質疑で、「評価が終わっていない」として、建設許可はまだ出していないとした。
運輸省幹部は、地元英字紙ジャカルタ・ポストに、「5キロ区間の式典向け使用だけ許可した」と説明。必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とし、事業契約も調印できない状況を明かした。
中国側の計画では、4駅が整備されることになっているが、うち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定。このため、一部政治家から、「首都防衛のための不可欠な施設だ」と、計画見直しを求める声もあがっている。
東南アジア研究所(シンガポール)の趙洪氏は、28日の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に、中国の国有企業は母国で、反対や障害を力で排除することに慣れてしまっていると指摘。インドネシアのような民主主義下では違った対応が必要だとして「地域社会をもっと深く理解する必要がある」としている。
インドネシアの高速鉄道計画をめぐっては、日本が受注を前提に地質調査などを長年進めてきたが、昨年3月、中国が参入を発表。インドネシアは同9月、費用が安い「中速度」の鉄道にプランを変更し、日中両案を不採用としたが、その後、事業費を丸抱えする中国の新提案の採用を決定。日本は選考過程の不透明さをインドネシアに抗議するなど波紋を呼んだ。
【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!
この計画には、日本および中国が高速鉄道システムの売り込みに興味を示し、入札を競っていました。
2015年9月3日、インドネシア政府は高速鉄道計画の撤回を発表し、入札を白紙化しました。 9月29日、インドネシア政府は財政負担を伴わない中国案の採用を決定しました。
2015年中に着工し、2019年に開業する予定でした。
それにしても、中国の国際事業の展開の仕方は、非常にお粗末なものです。インドネシアという相手国に対して、必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とは、お粗末の極みです。国際的な事業をするというのなら、最低限英語の書類は用意するというのが当たり前です。
確かにこの状況では、事業契約も調印できないのはもっともなことです。
ここで少し、このインドネシアの高速鉄道計画の受注に関してふりかえっておきましょう。
ここで少し、このインドネシアの高速鉄道計画の受注に関してふりかえっておきましょう。
日本の新幹線E5シリーズ |
当区間はインドネシアで最も人口密度が高い区間であり、旅客および貨物輸送において慢性的な渋滞が発生しています。国際協力機構により、高速鉄道の建設費を円借款による低金利の融資で賄うことが提案されました。
新提案では複数の期間に分けて建設することになりました。第一期はジャカルタ - バンドン間150kmを35分で結ぶ計画となり、建設費は50兆ルピアとされました。2014年1月、国際協力機構は詳細な事業化調査を開始しました。
当初、日本案は有利であるとみられていました。2014年10月にインドネシアにおける政権交代によりユドヨノ政権からジョコ政権に代わると、2015年1月、ジョコ政権は高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明しました。
それでも日本案の有利は揺るがないと見られていましたが、2015年3月に中国が受注競争に参加することを表明しました。
2015年3月、ジョコ大統領は東京と北京を訪問。3月22日から25日までの東京滞在期間中、日本の安倍晋三首相と会談を行い、ジャカルタの都市鉄道路線ネットワークにおいて日本の支援を得ることで合意をしましたが、高速鉄道計画においては進展が見られませんでした。
2015年4月、中国はインドネシア高速鉄道計画の入札を表明しした。
2015年3月26日、ジョコ大統領が北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談を行った。中国側はインドネシア高速鉄道計画への支援を大々的に発表した。
2015年7月、インドネシア政府はジャカルタ - バンドン間の高速鉄道建設計画において競争入札を行うことを発表した。2015年8月、中国はジャカルタのショッピングモールにおいて高速鉄道技術展示会を行った。
日本案と中国案の競争は熾烈なロビー活動に及んだ。高速鉄道計画の受注は経済的理由に留まらず、東南アジアにおける両国の戦略的影響力を競うものとなっていました。
そもそも、中国の現在の高速鉄道の技術は日本から盗みとったものです。というか、盗ませてしまったというのが正しいかもしれません。
新幹線技術を供与した張本人は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の松田昌士・元会長&社長です。中国はもともと、国産技術と僭称して米国やアジア諸国に売り込みをかけていました。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より米誌による、中国の高速鉄道には、重要な軍事的意図が隠されているという指摘の部分のみを以下に掲載させていただきます。
新提案では複数の期間に分けて建設することになりました。第一期はジャカルタ - バンドン間150kmを35分で結ぶ計画となり、建設費は50兆ルピアとされました。2014年1月、国際協力機構は詳細な事業化調査を開始しました。
当初、日本案は有利であるとみられていました。2014年10月にインドネシアにおける政権交代によりユドヨノ政権からジョコ政権に代わると、2015年1月、ジョコ政権は高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明しました。
それでも日本案の有利は揺るがないと見られていましたが、2015年3月に中国が受注競争に参加することを表明しました。
2015年3月、ジョコ大統領は東京と北京を訪問。3月22日から25日までの東京滞在期間中、日本の安倍晋三首相と会談を行い、ジャカルタの都市鉄道路線ネットワークにおいて日本の支援を得ることで合意をしましたが、高速鉄道計画においては進展が見られませんでした。
中国案のCRH380A |
2015年3月26日、ジョコ大統領が北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談を行った。中国側はインドネシア高速鉄道計画への支援を大々的に発表した。
2015年7月、インドネシア政府はジャカルタ - バンドン間の高速鉄道建設計画において競争入札を行うことを発表した。2015年8月、中国はジャカルタのショッピングモールにおいて高速鉄道技術展示会を行った。
日本案と中国案の競争は熾烈なロビー活動に及んだ。高速鉄道計画の受注は経済的理由に留まらず、東南アジアにおける両国の戦略的影響力を競うものとなっていました。
日本側としては、全く納得のいかない結果となりましたが、結局のところインドネシアは、安物買の銭失い的な行動をしてしまったようです。しかしこんなことになるのは、最初からわかっていたことです。
そもそも、中国の現在の高速鉄道の技術は日本から盗みとったものです。というか、盗ませてしまったというのが正しいかもしれません。
新幹線技術を供与した張本人は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の松田昌士・元会長&社長です。中国はもともと、国産技術と僭称して米国やアジア諸国に売り込みをかけていました。
中国から技術を盗まれると確信していたJR東海の葛西敬之会長は技術を出しませんでした。JRの経営トップでもこれだけ対中国観が違ったということです。さらに、JR東日本と組んで新幹線の車輌(技術)を提供した、川崎重工業の契約が「技術を盗んで下さい」といわんばかりに杜撰だったことが、新幹線技術を中国に盗まれる原因ともなりました。
とはいいながら、現在の中国の鉄道技術は、前世代の古いものです。現在の最新の新幹線の技術ではありません。
盗みとったものであるからこそ、中国はインドネシアに対して、高速鉄道を安く提供できるということです。この技術日本は、自主開発でそれこそ何十年もかけて培ったものです。
とはいいながら、所詮自主開発したものと安直に盗みとったものとでは、自ずから差がつきます。実際中国では、2011年にあの高速鉄道の大事故が起こっています。この事故、中国はあろうことか、事故列車を地面を掘り起こしそこに埋め、事故の原因を隠蔽してしまいました。
2011年温州市鉄道衝突脱線事故 |
この事故、中国側はいろいろ理由をつけていますが、私自身は線路の敷設なとを含む鉄道システムの突貫工事も大きな原因の一つではないかと思います。何しろ、中国は日本なら一年かけて工事するところを3ヶ月くらいでやってしまいます。
経済再優先では、安全性は二の次です。そうして、中国は比較的領土が広いので、線路も直線が多く、日本と比較すると、カープや勾配などが少ないです。インドネシアも、領土が狭く、谷あり山ありで、日本と同じようにカーブや勾配などが多いです。
突貫工事をやる中国が、インドネシアに限ってまともな工事を実施とも考えられません。
それと、上の記事で、4つある駅のうち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定しているとありますが、これは、中国の軍事的な意図がありありです。
そもそも、中国では駅は軍事施設の一つともみられています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌―【私の論評】敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしている平和ボケ日本!!
中国高速鉄道と女性乗務員 |
2011年5月14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。以下はその概略。
国際社会における中国の台頭に伴い、中国の軍事力も大幅に増強。中国指導者たちの理想は日増しに膨らみ、さらに積極的に自国の利益保護を追求するようになった。中国が鉄道網の整備に全力を挙げているのも、人民解放軍の移動能力を向上させるため。それらはさらに周辺地域にまで延伸しており、米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている。
中国は現在、チベットとネパールに続く高速鉄道路線を開通させており、さらにラオス、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーにも伸ばす予定。また、昨年11月には新疆ウイグル自治区−キルギスタン−タジキスタン−アフガニスタン−イランを結ぶ路線を建設することで各国と合意。このほか、イラク−シリア−トルコ−欧州を結ぶ路線の開通も計画している。
これらは国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱するアジア横断鉄道(TAR)の理念に基づいたもの。これは中東を中枢としたアジア間およびアジアと欧州を結ぶ鉄道路線網である。こうした鉄道網の充実に加え486.1キロという世界最高速度が、中国の遠征能力を格段に向上させるだろう。現代版の「シルクロード」が米国および西側諸国の脅威になることは間違いない。鉄道が軍事的にも意味を持つというのは、本来は常識です。日本でも、戦車など今でも鉄道で運ぶこともありますし、今の日本ではほとんど見かけなくなりましたが、兵員を鉄道で運ぶということもあります。
鉄道は、他の輸送機関から比較すると、鉄道網が破壊されなければ、もっとも確実で安価な輸送手段です。
鉄道輸送中の中国59式戦車。トラベリング・ロックで100mm砲を固定している |
インドネシアの空港の敷地内に、中国が鉄道の駅を設置するというのは、やはりこのような考え方にもとづいていると考えられます。
空港の敷地内に鉄道の駅があれば、いざというときに、中国は空港に兵員や兵器、戦車や車両など送り込み、そこから高速鉄道で、それらを迅速に展開することができるわけです。
中国としては、インドネシアで高速鉄道事業に成功して、アジア一帯に中国の高速鉄道網を張り巡らし、この地域で、どこにでも人民解放軍を迅速に展開できるようにするという意図があるのでしょう。
それにしても、インドネシアはどうしてしまったのでしょうか。これでは、本当に安物買いの銭失いどころか、敵に塩をくれてやるようなものです。
それも、今から10年前などというのならまだ理解できますが、最近の中国の南シナ海での暴虐ぶりをみて、それでも中国に高速鉄道を発注するというその、考えが全く理解できません。
それにしても、中国の国際鉄道事業、まだ実際に着工する前からこの体たらくです。何やら、先がみえてきたように思います。いずれ、その軍事的意図も多くの国々に知られるところとなり、いずれの国も発注しなくなると思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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