2016年2月18日木曜日

【北朝鮮情勢】金正恩氏、米軍の急襲恐れる?正日氏の遺体集団参拝に加わらず―【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!


平壌の錦繍山太陽宮殿
北朝鮮の金正恩第1書記が16日の金正日総書記の生誕記念日に取った異例の行動が、韓国で話題となっている。金正恩氏は例年、午前0時に金正日氏の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を幹部らと集団参拝するが、今年は零時の集団参拝には加わらなかった。国営メディアは「16日に夫人と参拝した」と報じるのみだ。

韓国メディアは18日、金正恩氏が例年と異なる行動を取ったのは、F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたためとの見方を伝えた。

【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!

錦繍山太陽宮殿 とは、主体思想の神殿であり、金日成と金正日の死屍保管所となっています。北韓政権は偶像崇拝体制ですが、この宮殿には、この二つの偶像がミイラになって横たわっています。この宮殿は北朝鮮の人民の精神を支配する聖地なのです。

金日成遺体 
金正日遺体
下の写真は、朝鮮戦争の休戦協定締結62年となった昨年7月27日午前0時、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が金日成(キム・イルソン)主席と金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝した折の写真です。


ブログ冒頭の記事では、今年金正恩が、この宮殿を訪問しなかった理由を"F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたため"としています。

確かにその動きはありました。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備―【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、米軍はF22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開するどころか、在韓米軍は今年から、第1空輸特戦団と第75レンジャー連隊所属の特殊部隊を韓国にローテーション配備したことを掲載しました。。ローテンション配備とは、韓国に一時的に駐屯するというのではなく、長期間にわたり、継続的に交代させながら配備をするということです。

その他、在韓米軍は、あの海軍の特殊部隊のSEALDsも派遣、すでに訓練も行っていたことも掲載しました。

戦略兵器の他に、このような舞台を配置するとはどのような意図があるのでしょうか。それは、はっきりしています。錦繍山太陽宮殿をもし、金正恩が訪問した場合、戦略兵器でこの宮殿を破壊することはもとより、北朝鮮の偶像にもなっている、金日成、金正日の遺体を完璧に破壊し、その上さらに金正恩を殺害するか、捕獲するということです。

そうなと、どうなるかといえば、2つの偶像と、現在のトップ指導者を3つとも米国により、捕獲されたり、破壊、斬首されれば、それは北朝鮮の崩壊につながるからです。


宮殿内の金日成と金正日の巨大像

金正恩とその追従者たちにとって、錦繍山記念宮殿は金正日と金日成の死屍が安置されているため神聖視する神殿あるいは聖殿も同然です。錦繍山記念宮殿は金正恩北鮮の最大の弱点でありかつ急所でもあります。

米軍にとっては、格好の標的です。金日成、金正日の死屍は避難させることができますが、その宮殿を地下に避難させることはできません。錦繍山記念宮殿を爆撃することで、主体思想の魂を抜いてしまうことができます。そうすれば、金正恩はびっくり驚天し心理的恐慌に陥りいるとともに、北鮮が恐慌に陥ることになります。

錦繍山記念宮殿は文化財でないため、爆撃しても国際社会の非難を受ける恐れはありません。むしろ多くの北鮮住民を餓死させながら8億ドルもかけて建てた宮殿であるため破壊されて当然の建築物ともいえます。また、そこには一般住民が居住していないため人道的な側面でも標的として不適切な場所ではありません。錦繍山記念宮殿を完全破壊することと、金一家の遺体と、金正恩を米軍確保するか、破壊してしまえば、北朝鮮の金王朝は崩壊することになります。

さて、これを恐れる金正恩は何を画策しているかといえば、韓国へのテロを想定しているようです。

本日は以下のようなニュースもありました。
金正恩氏、韓国へのテロの準備か…韓国情報機関が報告
韓国の国家情報院によると、北朝鮮の金正恩第1書記が、対南テロとサイバーテロの準備を進めているという。18日、国会で開かれた安保点検党政協議で、韓国国会情報委員会のイ・チョルウ議員(セヌリ党)が、国家情報院から受けた報告として明らかにした。 
国家情報院は、「金正恩氏が対南テロとサイバーテロ能力結集を指示して、対南工作機関である偵察総局が準備していることが把握された」と明らかにしながら、次のようなテロの可能性を指摘した。 
●反北朝鮮・脱北政府要人などに対する毒劇物攻撃、拉致
●北朝鮮に批判的な政府・政界要人や言論人へ脅迫小包や手紙の発送、身辺危害
●地下鉄やショッピングモール、電力・交通施設などへのテロ
こうした北朝鮮のテロの可能性を踏まえたうえで、国家情報院は、テロ防止法が必要だと強調した。
先の米軍の動きは、このような金正恩の動きを牽制するためのという側面もあると考えられます。

金正恩からすれば、自ら核開発は実施、弾道ミサイルは発射、さら上記のようなテロも画策しているということで、自分もこれらを実行したのだから、当然米国も実行する可能性は十分あると見ていると思います。

私自身は、米国はそれこそ、オサマ・ビンラディンの殺害の時のように、様々な条件が揃えば、これら一連の行動を取る可能性は十分にあると思います。米国は、かつてこのようことを実行していたということを忘れるべきではありません。



だからこそ、金正恩は、今年は16日の金正日総書記の生誕記念日には、錦繍山太陽宮殿を訪問しなかったのです。

さらに、米国側からすれば、最近の南シナ海での中国の傍若無人な振る舞いを牽制するという意味もあると思います。もし、様々な条件が揃って、仮に米国が、金正恩を斬首したり、 錦繍山太陽宮殿を破壊したり、遺体を破壊したり、捕獲したとしたら、これは中国にとってもかなりの脅威です。

中国が、二超大国幻想にふけり、世界を米国と中国の二国体制で仕切ろうなどという夢想を捨て去ることができない場合、中南海爆撃と、要人殺害あるいは捕獲という事態にもなりかねないということで、パニックに陥ることでしょう。習近平などの要人らも、金正恩のように、警備が手薄になりがちなところには、姿を現さなくなるかもしれません。

米国がこのような局面にある現在、日本はおそらく何もできないのだろうと思います。本来ならば、拉致問題を解決するため、日本も米軍の動きに呼応して、北朝鮮に自衛隊や特殊部隊などを派遣して、拉致された人たちを直接救助したり、直接ではなくても、北朝鮮の拉致の実態を知る高官を捕獲するなどのことをすべきです。

このようなことを日本がしたとしても、もともと北朝鮮が拉致をしたことが大犯罪なので、どこの国も日本を非難することはないでしょう。しかし、国内では批判が巻き起こることでしょう。本当に、今の日本が普通の国ではないということには、いつも忸怩たる思いをさせられます。

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