2016年2月5日金曜日

在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備―【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!

在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備



在韓米軍がこのほど、第1空輸特戦団と第75レンジャー連隊所属の特殊部隊を韓国にローテーション配備した。

同部隊は、イラク戦争やアフガニスタンでの戦闘に投入され、敵の要人を暗殺する「斬首作戦」などを担ってきた。核・生物化学兵器などの大量破壊兵器(WMD)の除去作戦も行う。

在韓米軍の発表によれば、「特殊部隊は韓国特殊戦司令部と共に特殊戦司令部準備態勢や能力増大のための訓練を行う」という。訓練には、特殊部隊を極秘潜入させる米空軍のMC-130J支援機も投入される予定。

在韓米軍がこうした発表を行うのは異例。

4回目の核実験に続き「衛星打ち上げ」を準備している北朝鮮への圧力行使の一環と見られる。

米軍はほかにも、海兵隊の特殊部隊は海軍のSEALs(シールズ)も韓国に派遣。既に訓練を行っているという。これらの部隊は3月の米韓合同演習「キー・リゾルブ」などに参加する予定。

【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!


第75レンジャー大隊の隊員たち ジャーマン・シェパードを含む


第75レンジャー大隊といえば、アメリカ合衆国ジョージア州フォート・ベニングに駐屯するアメリカ陸軍の歩兵連隊です

部隊のモットーはRangers lead the wayレンジャーが道を拓くおよびラテン語のSua SponteOf their own accord自らの意思でです

この大隊は、アメリカ陸軍特殊作戦コマンドの傘下に置かれています。ジョージア州フォート・ベニングに本部を置きます。レンジャー連隊は、通常戦闘と特殊作戦の両方を遂行できる3個大隊規模の精鋭部隊です。遊撃戦を担当し、パラシュート降下も可能です。

米陸軍有数の柔軟性を誇り、常時1個大隊が短時間(18時間以内)で世界中に展開できる緊急即応部隊でもあります。特殊部隊の支援を担当することも多く、この部隊も特殊部隊と扱われることも多いです。

第75レンジャー大隊の隊員たち
代表的な任務は、空挺降下による強襲や爆破工作、隠密偵察、目標回収任務などがあります。他には、アメリカや同盟国の常備軍の支援なども行います。また、敵後方での任務にあたる縦深偵察小隊、特殊訓練を施された水中工作員を保有しています。

この他、上の記事では、あの海軍特殊部隊のSEALSも派遣されているそうですが、SEALsといえば、日本で有名になったのは、あのオサマ・ビンラディンの殺害です。

2011年5月1日(現地時間で2日未明)、米軍の急襲であのオサマ・ビンラディンがついに殺害されました。2001年の9・11テロから10年弱の時が流れていました。ビンラディンが潜伏していたのは、大方の専門家が予想していた「パキスタンのアフガン国境近くの山岳地帯」ではなく、パキスタンの首都イスラマバード近郊の町アボッタバードの隠れ家でした。

この攻撃を行ったのは、4機のヘリコプターに分乗した海軍特殊部隊「シールズ」の25人の隊員たちでした。シールズは、統合特殊作戦コマンドの指揮下にある部隊で、その中でも対テロ制圧作戦能力の非常に高いエリート部隊「シール・チーム6」でした。

ネイビー・シールズの隊員 特殊任務のため顔は意図的に隠してあります
特殊作戦軍の中でも、テロ制圧等に投入される精鋭部隊を運用するのが「統合特殊作戦コマンド(JSOC)」です。

JSOCの直接指揮下で運用される部隊は以下のとおりです。
  • デルタフォース(戦闘適応群) - Combat Applications Group : CAG
  • 情報支援活動部隊 - Intelligence Support Activity : ISA
  • 海軍特殊戦開発グループ - DEVGRU : former SEAL Team6
  • 第24特殊戦術飛行隊 - 24th Special Tactics Squadron : 24th STS
  • 統合通信隊 - Joint Communications Unit : JCU
  • 統合航空隊(飛行概念部) - Joint Aviation Unit
  • 技術情報隊 - Technical Intelligence Unit
  • 信号諜報課
  • 戦術支援チーム(TST)
  • 戦闘支援グループ
  • 航空戦術評価グループ(AVTEG)
また、場合によっては以下の部隊から支援を受けます。
  • 第75レンジャー連隊
  • 第160特殊作戦航空連隊
  • 第55特殊作戦飛行隊
SEALs(現在のDEVGRU)や第75レンジャー部隊を韓国に派遣しているわけですから、米軍としては、金正恩斬首という特殊作戦を本気で実行するつもりです。今回も、「統合特殊作戦コマンド(JSOC)」が具体的な作戦を指揮するのだと思います。

それにしても、なぜ米軍はこのような措置をとるのでしょうか。無論、北朝鮮の水爆実験、さらにはミサイル発射に激怒してのことでしょうが、その他にも理由がありそうです。

中国が長年、北朝鮮に膨大な援助を行ってきたのは、いわゆる「北朝鮮番犬論」に基づく措置だった。つまり、アメリカに対して中国が直接、言いにくいことを、北朝鮮が代わりに番犬のように吠えてくれるというわけでした。

しかし、習近平時代に入って、新たに「北朝鮮生け贄論」が内部で議論されるようになりました。これは、中国とアメリカが共に北朝鮮を「生け贄」として共闘することで、アメリカの矛先が中国へ向かうのを防ごうという考え方です。

今後、この「北朝鮮生け贄論」を、習近平政権が本気で考えるようになる可能性がありそうです。その代わり、南シナ海においては、半ばフリーハンドで埋め立てを続けるというわけです。

米国側としては、こうした中国の都合の良い誘いにはのらないでしょうが、従来とは異なり、米国が北朝鮮に対して何らかの特殊作戦を敢行したとしても、それを中国が強く非難したりはしないという条件が揃いつつあるので、それを利用するという意図もあるのだと思います。

しかし、実際に米国がこの作戦を強行し、本当に金正恩斬首を実行してしまえば、習近平としても穏やかな気持ちで過ごすことはできないでしょう。なぜなら、次は自分の番かもしれないからです。

何しろ、アメリカは先にオサマ・ビンラディンの斬首を実行しているわけですから、習近平のようなハッタリではないことは、最初からわかっていることです。

今回、実際にアメリカが金正恩を斬首できるかどうかは、わかりません。しかし、CIAの協力のもと、情報が集まれば、実行する可能性もあるということです。オサマ・ビンラディンの斬首もCIAの女性職員が、居所を正確につかんだために実行可能になりました。

CIAは今頃、北朝鮮でありとあらゆる手段を講じて、金正恩の動静を探っているものと思います。こちらのほうが、確実になれば、実際に動くでしょう。金正恩としても、心おだやかではないでしょう。どこかに外出などして、身辺警護が手薄になったその隙をつき、いつ何時、アメリカ特殊部隊が空から降下して、自分の命が狙われるのかわかったものではないからです。

牡丹峰楽団のメンバーに囲まれる金第1書記
北朝鮮の、軍隊は米軍に対しては、無力です。それこそ、米軍の空母部隊や韓国の陸上部隊、日本の空軍部隊などが、北朝鮮の人民解放軍を実質上有名無実にしている間に、特殊部隊が金正恩を襲撃して殺害するということも十分にあり得るということです。

総じて言えば、2016年の世界は、ポスト冷戦期に「世界の警察」を務めてきたアメリカの相対的な弱体化によって、世界各地でテロや紛争が絶えなくなることでしょう。シリアの内戦はますます混迷し、イランとサウジアラビアが開戦し、ウクライナ情勢も紛糾し、ヨーロッパには難民が溢れることになります。

アジアでは、南シナ海で中国がますます「海上の万里の長城」を築き、北朝鮮情勢は一触即発となり、台湾独立派の蔡英文新総統誕生で中台関係も危機に向かっていきます。そして仕上げに、11月にアメリカで次期アメリカ大統領が登場します。この大統領が誰になったにしろ、今年からしばらく、世界は戦争の火種が絶えず、混沌とすることでしょう。

混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか。ぜひ危機感を持った骨のある国会論戦を期待したいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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