2016年2月2日火曜日

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車―【私の論評】先進国になりそこねた韓国はウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車

ウォンの急騰は韓国の輸出に大打撃となる 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「黒田バズーカ第3弾」が韓国経済を直撃している。すでに深刻な輸出難に陥るなか、日銀のマイナス金利導入で為替のウォン高が急加速した。今後は欧州や中国でも通貨安が進むとみられ、韓国は独り負けになりかねない。

韓国の昨年の経常収支黒字規模は1059億ドル(約12兆8400億円)と初めて1000億ドルを超えた。ただ、中身をみると、輸出が2014年と比べて14%減ったのに対し、輸入が原油安の影響などで19%減とより多く減ったことが主な要因で、実態は「不況型黒字」だといえる。

さらに今年1月の輸出は前年同期比18・5%減と、リーマン・ショック後の09年8月以来6年5カ月ぶりの減少率を記録。前年割れは昨年1月以来実に13カ月連続という不名誉だ。

韓国はこのところ投資マネーの資金流出もあってウォン安が進んでいたにもかかわらず、輸出の押し上げ効果は生まれなかった。

そんなタイミングで、日銀のマイナス金利導入により、今度は輸出にとってより不利になるウォン高が進んでいる。日銀の決定会合前に1円=10・2ウォン台だったのが、1日には9・9ウォン台まで一気に円安ウォン高となった。

ボードを置いて会見する日銀の黒田東彦総裁=29日午後

輸出のさらなる悪化懸念もあって、日銀の決定後、世界的な株高現象が生じたにもかかわらず、韓国株の反応は鈍かった。「黒田バズーカ」による円安が日本の輸出産業にプラスに働く半面、韓国の輸出産業にとってはマイナスに働くことが懸念されたものとみられる。

すでに現代(ヒュンダイ)自動車の1月の販売台数は前年同月比12・5%減、グループの起亜自動車は同15・4%減となった。両社とも昨年12月との比較では30%超の落ち込みを記録している。

日銀に続いて3月には欧州中央銀行(ECB)が追加緩和実施を示唆するほか、中国も経済失速を受けて人民元の下落圧力が強まっている。

一方で韓国はこれまで利下げを行っても効果は限定的で、大胆な金融緩和を行うと資金流出が加速するというジレンマに陥っている。韓国経済はなすすべもなく埋没してしまうのか。

【私の論評】先進国になりそこねた韓国は、ウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

韓国経済は、日銀の今回のゼロ金利政策により、ウォン高がいっそう進んで、大変なことになりました。

何しろ、韓国のGDPに占める輸出の割合は、43.87%ですから、もろに直撃をうけるわけです。これは、中国の22.28よりも高いですし、日本の15.24%や米国の9.32%よりはるかに高いです。

日本は、10数年前くらいまでは、8%程度でした。米国も最近は、9%台ですが、以前は7%ほどでした。米国や日本は、内需がかなり大きいため、あまり輸出をしなくても実体経済にはあまり大きな影響はありません。

何やら、良く日本は、資源がないので、外国から資源を輸入して、それを加工して海外に輸出して成り立っている貿易立国であるというようなことをまことしやかに言う人もいますが、この数字を見ていればそんなことは全く出鱈目であるということが良くわかります。

そうして、上のようなことを語る人は、無条件で貿易立国は素晴らしい良いことであり、それによって国は栄えると無邪気に信じ込んでいる人が多いです。

しかし、これも全く間違いとまではいいませんが、程度問題です。GDPに占める個人消費の割合を比較してみると、韓国は50%台、中国は35%、日本は60%、米国70%台です。一国の経済を強くするには、なにをさておきまずは、当該国の内需を増やすことが前提条件であると思います。

この数値を比較しても、わかるように、韓国は輸出が多く、個人消費は少なめです。そうしてこれは当然のことです。先に、貿易立国を無邪気に良いことと信じている人の例を述べましたが、韓国はまさに、この人のように、貿易立国を現代風に言い直した「グローバル戦略」が良いことであると信じ、とにかく輸出を増やすことを奨励してきました。

とにかく、輸出拡大が韓国の生きる道ということで、企業はもとより、韓国政府もグローバル化一辺倒で経済政策を推進してきました。その結果が今日の悲惨な事態を招いてしまいました。

輸出額が大きいということは、一見国際競争力があって良いようにもみえますが、逆の方向からみると、外国の影響を受けやすくなるということです。経済を良くするたには、ますば、米国のように自国の内需をできるだけ拡大すべきです。

2012年のグローバリゼーション・インデックス
韓国も、中国も日本より順位が上田が?

本来ならば、韓国はもっと内需を拡大すべきでした。本来もっと余裕のあるときに、金融緩和を行いつつも、グローバル戦略一辺倒ではなく、内需拡大策も実行すべきでした。そうして、それと並行して、以下で述べるような中進国のジレンマを乗り越える、構造改革もすべきでした。

しかし、それを韓国はないがしろにしてしまいました。それは、韓国のような国にとって難しいといえば、難しいことなのかもしれません。

内需を拡大するためには、いわゆる経済的中間層を増やして、この中間層が社会・経済活動を活発に行えるように社会基盤を整えていく必要があります。

そのためには、民主化はもとより、経済と政治の分離、法治国家化を推進しなければなりません。これが、基盤としてある程度整備されていなければ、経済的中間層が増えることはありませんして、人為的に増やしたにしても、中韓層が社会・経済活動を活発に行うことはできません。

ある程度の民主化が実現されていなければ、社会問題を解決するなどという活動も活発化しません。経済と政治の分離がされていなければ、一国の経済は、政治と不可分に結びついて、政治家や官僚と政府に近い人々だけが富裕層となり、経済的中間層など増えることはありません。

ある程度、法治国家化されていなければ、多くの中間層が、自由に取引をしたり、社会活動を行うことはできません。

発展途上国などの経済が飛躍的に伸びて、新興国などともてはやされても、なぜかほとんどの場合、その後経済成長ができなくなり、所得が発展途上国と、先進国の中間あたりで、止まってしまうという現象がよく見られます。それを中進国のジレンマと呼びます。

韓国経済は未だに「中進国のジレンマ」から抜け出せないでいるのです。現在、韓国の国民1人あたりGDPは約2万5000ドルです。一般的に国民1人あたりGDPが1万ドルを超えると途上国から新興国になり、2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国とされます。(無論、この数値は現在価値でということです)

しかし、3万ドル経済に向かおうとする中進国は、しばしば為替や労働コストが高くなって競争力を失い、3万ドルに近づくと落ちるという動きを繰り返します。これが「中進国のジレンマ」です。韓国経済も、調子が良くなるとウォンや労働コストが高くなり、そのたびに競争力を失って落ちるという状況を繰り返しています。

戦後の日本とドイツは5年、スウェーデンは世界記録の4年で2万ドル経済から3万ドル経済に突き抜け、先進国の仲間入りを果たしました。まずは、社会を変革し、イノベーションや生産性向上ができるようにして、為替や労働コストの上昇を乗り越えたのです。

中進国のジレンマを乗り越えることや、一端先進国になるとそこから、中進国以下に落ちることは滅多にありません。その例外は、2つしかありません。中進国のジレンマを乗り越えて、中進国から先進国になったのは、日本だけです。

また、かつて、先進国だったのが、今や発展途上国になってしまったのはアルゼンチンのみです。アルゼンチンはかつて、先進国でした。それが、現在は発展途上となってしまいました。

アルゼンチンには有名なアルゼンチン・タンゴがあり、この音楽は他のラテン諸国と比較すると、芸術性も高く、メランコリックで一線を画したところがあります。あのような音楽は、一度豊かで先進国ともなりながら、その後衰亡して行ったアルゼンチンのような国でなければ、生み出されなかったのではないかと思います。



アルゼンチンと日本に関しては、1971年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの経済学者・統計学者サイモン・グズネッツーは以下のように語っています。

「世界には4つの国しかない。 先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである」
1900年初頭、アルゼンチンは黄金期を迎えていました。世界を制するのはアメリカかアルゼンチンか。そう言われるほどの国力を誇っていたのです。

実際、その当時の国民1人あたりのGDPは、およそ2750ドル。同じ時期の日本は1130ドルでしたから、日本の2倍以上の経済力があったことになります。


サイモン・クズネッツ氏
この関係が逆転したのは、1967年のこと。高度経済成長に沸く日本、そして停滞・後退を始めたアルゼンチン。

戦後の混乱から、奇跡的な発展を遂げた日本は、資源がほとんどない小国でありながら先進国の仲間入りを果たしました。一方アルゼンチンは、豊かな資源がありながら、工業化に失敗し、衰退しました。

途上国から先進国になった日本と、先進国から途上国になったアルゼンチン。どちらの事例も非常に稀なことであり、それをもってグズネッツは前述の言葉で世界には4種類の国があると説明したのです。

アルゼンチン・タンゴを生み出したかつての先進国アルゼンは今・・・
その後、アルゼンチンは2001年から02年にかけて国家的な経済崩壊を体験しました。アルゼンチンのたどった経済崩壊までの軌跡を簡単に並べてみると、
1国家の成長産業勃興
2経済の高成長
3成功体験
4傲慢
5転落
6崩壊
となります。

これは、国家的経済崩壊の例として「アルゼンチン型」と呼ばれていますが、今の韓国もこれによく似ているかもしれません。ただし、韓国の場合、未だ完璧に先進国にはなりきれていません。韓国はまだ、「6崩壊」まで進んではいませんが、長引く不況に対する国民の閉塞感は、アルゼンチンより深刻かもしれません。

韓国の場合は現状は、イノベーション不在、基礎科学軽視、ものまね文化で、スピードと規模を重視するという風潮が強いです。そうした産業の“底”の浅さが「中進国のジレンマ」から抜け出せない最大の理由であり、さらにその深因は、記憶偏重の教育、学校秀才万能、そして男尊女卑の社会風潮にあると考えられます。

ソウル 広大前のアルゼンチンタンゴクブ[Tango O Nada]の看板
まずは、これを克服して、先にも述べたように、さらなる民主化、法治国家化の強化と、政治と経済の分離をして、中間層を多く輩出し、彼らが自由闊達に、社会経済活動をできるようにすべきです。

[Tango O Nada]の店内。韓国人がアルゼンチン・タンゴを踊っている
資金に乏しい韓国は、日本のように日銀の当座預金に市中銀行の預金がかなり積み上がってはいないので、これまで利下げを行っても効果は限定的だったしこれからも変わりません。ウォンの擦り増しなどの大胆な金融緩和を行うと、ハイパーインフレになるか、資金流出が加速するというジレンマに陥っています。

このままでは、韓国は先進国に仲間入りする前に、アルゼンチン・タンゴを踊ることになりそうです。それも、アルゼンチンが独自のアルゼンチン・タンゴを生み出したのとは異なり、ウリジナル・タンゴを踊ることになりそうです。


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