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2016年3月16日水曜日

【動画付き】アルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈 違法操業で「警告無視」―【私の論評】トランプ米大統領が誕生すれば、日本は安保でアルゼンチンなみの国になれる(゚д゚)!

【動画付き】アルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈 違法操業で「警告無視」



15日のAP通信などによると、南米アルゼンチン沖の南大西洋で、同国の沿岸警備隊が排他的経済水域(EEZ)内で違法操業中の中国船とみられる大型漁船を発見した。同船は停船命令に従わず、抵抗するなどしたため、沿岸警備隊は警告の上で発砲、漁船は沈没した。

船長ら乗組員全員は保護され、身柄を拘束された。沿岸警備隊を管轄するアルゼンチン海軍の発表では、違法操業をみつけたのは14日。沿岸警備隊の警告に対して、漁船は無視して船体を巡視船に衝突させようとしたほか、公海への逃亡を図った。

拘束されているのは船長を含め4、5人という。船員らは今後アルゼンチン当局から取り調べを受ける。アルゼンチン海軍が外国船籍の船艇を沈めたのは15年ぶり。現場は同国中部のプエルト・マドリン沖という。

沈没した漁船には、「魯煙遠漁10」の船名が表示されていた。この船名は、中国・山東省の煙台にある漁業会社に所属するものと同一。同社のホームページでは、所属漁船がアルゼンチン沖ではイカ漁などを行っているとしている。

アルゼンチン沖ではこれまでにも外国漁船の違法操業が問題となっていた。

【私の論評】トランプ米大統領が誕生すれば、日本は安保でアルゼンチンなみの国になれる(゚д゚)!

下にさらに、別の動画を掲載しておきます。アルゼンチン側としては、ここで見逃せば、また同じことの繰り返しになると判断し、撃沈に踏み切ったものと思います。


撃沈した場所は、以下の地図の赤丸印の地点です。


上の地図の赤丸付近を拡大したのが、以下の地図です。

アルゼンチン側は、200海里領海内で、中国漁船を撃沈しています。今頃、船員らはアルゼンチン当局から取り調べを受けていることでしょう。そうして、アルゼンチンの法律に基づき裁判が行われ、それ相当の刑罰に処せられることでしょう。

今回は、アルゼンチン側は、中国漁船を撃沈はしたものの、乗組員は全員生存の模様です。これは、当然のことながら、ある程度手加減したのでしょう。

それに当然のことですが、ブログ冒頭の動画では、アルゼンチンの沿岸警備隊が警告射撃をしているのが、映されています。最初は警告し、次に警告射撃をして、それでも言うことを聞くどころか、漁船は無視して船体を巡視船に衝突させようとしたほか、公海への逃亡を図ったので撃沈に踏み切ったということです。

アルゼンチンがこのような行動をとるのは、国際常識です。日本でもこれに近いことはありました。以下の動画を御覧ください。


日本海上保安庁広報用の国籍不明(北朝鮮)の工作船の追跡ビデオです。平成13年(2001年)映像です。海上保安庁の巡視船は、不審船に向けて威嚇射撃を行いましたが、最終的に国籍不明船は、自爆して沈没しましたもし自爆していなければ、撃沈もありえたものと思います。

このようなことは、国際的にはよくあることです。2009年2月には中国の貨物船がロシアの軍艦の銃撃を受け、ウラジオストック付近で沈没し、8人の乗員が行方不明となり、船長はロシア国内で起訴されました。しかし、この事件に関して北京は、ただ低級レベルでの『交渉』を行っただけでした。その動画を以下に掲載します。


ロシア極東海域で2009年2月、中国の貨物船「New Star」がロシア軍沿岸警備隊の銃撃を受け複数の船員が死亡する事件が起き、ロシア­政府は同年2月19日、責任は貨物船の船長にあると非難しました。

これに先立って中国政府は同日、ロシア側に対し、事件の徹底調査と行方不明者の捜索を­求めていました。

露インタファクス通信(Interfax)によると、「New Star」は中国船籍で、中国人10人、インドネシア人6人が乗り組み、シエラレオネ­国旗を掲げていました。ロシアの報道によれば、「New Star」はナホトカ(Nakhodka)に寄港した際に密輸の容疑で出航を認められ­ず、強引に出航したといいます。事件で乗組員8人が死亡したとされますが、中露両当局は確認­してませんでした。

ロシア外務省はロシア通信(RIA Novosti)に対し、威嚇射撃などあらゆる手段を取ったにもかかわらず、貨物船が­指示に従わず航行を続けたと説明。「悲惨な結末を遺憾に思う。しかし、責任は、全く無­責任な行動を取った貨物船の船長にある」と述べました。

インターネット上で公開された事件の様子を映したとされる映像には、ロシア沿岸警備隊­の隊員とみられる男の声が繰り返し「New Star」に停止を呼びかける声が録音されています。また、中国国営紙「環球時報(Gl­obal Times)」は、沿岸警備隊は貨物船に対し、500回以上も発砲したと報じています。

この2つの銃撃は、無論何の問題にもなりませんでした。日本の海上保安庁が銃撃した、北朝鮮籍とみられる不審船に関しては、日本側が、北朝鮮のものと見られるなどと公表しても、北朝鮮側は、何の反応も示しませんでした。国際的に何も問題になりませんでした。

ロシア軍に撃沈された中国船に関しても、中国側がロシア側に抗議をするということもなく、無論国際問題になることも、戦争になることもなく、今日に至っています。

このような例は、探せばまだまだあります。ある国が、領海内で不審船や、不審な行動をする外国艦船を見つけた場合、前もって、呼びかけたり、臨検しようとしてもさせないで逃亡したり、それどころか中国線のように体当たりしようとしたりした場合、警告射撃などしても、逃亡したりする場合、警告射撃した後に、射撃などで撃沈されても、外国船の乗組員はもとより、その船の所属する国からも何ら非難される筋合いはありません。

尖閣付近で日本の海上保安庁の船が中国船に体当たりされたときにも、アルゼンチンの沿岸警備艇のように、日本の巡視船も、銃撃すれば良かったのです。それで、死者が出ても、それは中国船の船長の責任です。

そうして、これは、軍事的にも同じことです。日本の領海に中国の軍艦などが、侵犯をした場合など、警告するなどのきちんと国際的に認めらた手続きにしたがって、しかる後に撃沈すれば、国際的に非難されることも、中国と戦争になるなどということもありません。

なぜなら、それが国際常識だからです。中国がそれに従わないというのなら、何隻でも沈めれば良いだけです。

アメリカも、南シナ海で、そのような行動をとれば良いのです。周辺諸国の、特に領海を主張する国の了解をとって、実際に撃沈したり、爆撃したりすれば良いのです。そうされたら、中国にはなすすべはありません。

トランプ氏が大統領になれば、このような主張をして、実際に行動を起こすかもしれません。

昨日は、トランプ氏が大統領になった場合、最も大きな影響を受けるのは、米国でも、中国でなく、日本であるということをこのブログに掲載しました。

トランプ氏
そうして、日本が最も大きな影響を受けるのは、日米安保条約であることも述べました。詳細は、昨日の記事をご覧いただくものとして、ここでは、詳細は説明しませんが、これは日本が普通の国なること、少なくとも、ドイツなみの国になるためのチャンスかもしれません。

実際、これは本当なのかどうか、確かめられないのですが、日本国内のサイトを見ていると、トランプ氏が、討論会で、「中国が日本の船を撃沈させても関与しない」と語ったそうです。これが事実かどうか別にして、トランプ氏ならいかにも言いそうな台詞です。

保守論壇の方々からは、そのような論評は全くみられませんが、それはトランプ氏がまともではないとの風評によるものでしょうか。

私自身は、トランプ氏は、いたってまともだと思います。ただし、彼は当然のことながら、普通の政治家とは異なります。彼は、実業家として、1兆円もの資産を築いた人間です。

彼は、巧みに、ごくほんの一部のエスタブリッシュメントの都合の良いように、作られたアメリカに怒る、エスタブリッシュメント以外の人々のこの不満を利用して、したたかに、大統領選を有利に戦っています。実業家として、鍛えぬかれた、抜群の交渉力により、他の候補を翻弄しています。

支持者に向かって演説するドナルド・トランプ氏。会場では「サイレント・マジョリティーは、
トランプとともに立つ」というプラカードが目立つ昨年10月31日、米バージニア州ノーフォーク
アメリカのエスタブリッシュメントには、中国がいずれ民主化するとみなし、中国をアメリカの重要な将来のパートナーであるとみなす人が多いです。また、アメリカでは、大統領ですら、エスタブリッシュの操り人形に過ぎないとする人も多いです。このようなことと、オバマの外交オンチの及び腰が積み重なり、最近では、中国、北朝鮮、ロシアなどを増長させてしまいました。これも、エスタブリッシュメント以外の人々に不興を買っています。

トランプ氏は、エスタブリッシュメントはアメリカでもごく少数であるという事実を逆手にとり、エスタブリッシュメント以外の人々の支持を獲得するための巧みな戦略を実行しています。実際、エスタブリッシュメントだけの支持を得るより、経済的中間層の人々を含むエスタブリッシュ以外の人々の大きな支持を得られたら、かなりの力になります。

日本では、保守派の方々はもとより、それ以外の方々も、何やら、トランプ氏のことを色眼鏡で見ているような気がします。

しかし、トランプ氏が大統領になった場合、昨日このブログで述べたように、日本に対して、日米安全保障条約の改定を迫る可能性は非常に高く、もしそうなった場合、これは、ひよっとして、日本がまともな国になる千載一遇のチャンスかもしれないと、みなすべきと思います。

特に、保守派の人々はそうみなすべきです。トランプ氏が大統領になれば、まずは憲法解釈を変えて、日本がドイツなみの普通の国になれる可能性が高まります。そうして、それを橋頭堡として、改憲も視野に入れることができるようになると思います。

トランプ米大統領が誕生すれば、日本が安保でアルゼンチンなみの国になれるかもしれません。アルゼンチンといえが、かつてフォークランド紛争であの大英帝国と、戦った国です。このブロクにも述べたように、世界には、先進国と日本とアルゼンチンと、発展途上国しかありません。


この意味するところは、世界には、先進国と発展途上国しかないが、例外があるということです。その例外とは、日本とアルゼンチンです。日本は、かつて発展途上国だったのが、先進国に仲間入りしました。アルゼンチンはこれとは、逆にかつて先進国だったのが、後に発展途上国に仲間入りしています。

今の日本は、アルゼンチンと比較すると、経済的には比べ物にならないほど豊かになりましたが、安全保障の面では、世界有数の軍事力を持っていながら、発展途上国のアルゼンチンよりも、劣る、自国を満足に防衛もできないような国になってしまいました。

トランプ大統領の誕生は、日本に大きな転機をもたらすかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年2月2日火曜日

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車―【私の論評】先進国になりそこねた韓国はウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車

ウォンの急騰は韓国の輸出に大打撃となる 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「黒田バズーカ第3弾」が韓国経済を直撃している。すでに深刻な輸出難に陥るなか、日銀のマイナス金利導入で為替のウォン高が急加速した。今後は欧州や中国でも通貨安が進むとみられ、韓国は独り負けになりかねない。

韓国の昨年の経常収支黒字規模は1059億ドル(約12兆8400億円)と初めて1000億ドルを超えた。ただ、中身をみると、輸出が2014年と比べて14%減ったのに対し、輸入が原油安の影響などで19%減とより多く減ったことが主な要因で、実態は「不況型黒字」だといえる。

さらに今年1月の輸出は前年同期比18・5%減と、リーマン・ショック後の09年8月以来6年5カ月ぶりの減少率を記録。前年割れは昨年1月以来実に13カ月連続という不名誉だ。

韓国はこのところ投資マネーの資金流出もあってウォン安が進んでいたにもかかわらず、輸出の押し上げ効果は生まれなかった。

そんなタイミングで、日銀のマイナス金利導入により、今度は輸出にとってより不利になるウォン高が進んでいる。日銀の決定会合前に1円=10・2ウォン台だったのが、1日には9・9ウォン台まで一気に円安ウォン高となった。

ボードを置いて会見する日銀の黒田東彦総裁=29日午後

輸出のさらなる悪化懸念もあって、日銀の決定後、世界的な株高現象が生じたにもかかわらず、韓国株の反応は鈍かった。「黒田バズーカ」による円安が日本の輸出産業にプラスに働く半面、韓国の輸出産業にとってはマイナスに働くことが懸念されたものとみられる。

すでに現代(ヒュンダイ)自動車の1月の販売台数は前年同月比12・5%減、グループの起亜自動車は同15・4%減となった。両社とも昨年12月との比較では30%超の落ち込みを記録している。

日銀に続いて3月には欧州中央銀行(ECB)が追加緩和実施を示唆するほか、中国も経済失速を受けて人民元の下落圧力が強まっている。

一方で韓国はこれまで利下げを行っても効果は限定的で、大胆な金融緩和を行うと資金流出が加速するというジレンマに陥っている。韓国経済はなすすべもなく埋没してしまうのか。

【私の論評】先進国になりそこねた韓国は、ウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

韓国経済は、日銀の今回のゼロ金利政策により、ウォン高がいっそう進んで、大変なことになりました。

何しろ、韓国のGDPに占める輸出の割合は、43.87%ですから、もろに直撃をうけるわけです。これは、中国の22.28よりも高いですし、日本の15.24%や米国の9.32%よりはるかに高いです。

日本は、10数年前くらいまでは、8%程度でした。米国も最近は、9%台ですが、以前は7%ほどでした。米国や日本は、内需がかなり大きいため、あまり輸出をしなくても実体経済にはあまり大きな影響はありません。

何やら、良く日本は、資源がないので、外国から資源を輸入して、それを加工して海外に輸出して成り立っている貿易立国であるというようなことをまことしやかに言う人もいますが、この数字を見ていればそんなことは全く出鱈目であるということが良くわかります。

そうして、上のようなことを語る人は、無条件で貿易立国は素晴らしい良いことであり、それによって国は栄えると無邪気に信じ込んでいる人が多いです。

しかし、これも全く間違いとまではいいませんが、程度問題です。GDPに占める個人消費の割合を比較してみると、韓国は50%台、中国は35%、日本は60%、米国70%台です。一国の経済を強くするには、なにをさておきまずは、当該国の内需を増やすことが前提条件であると思います。

この数値を比較しても、わかるように、韓国は輸出が多く、個人消費は少なめです。そうしてこれは当然のことです。先に、貿易立国を無邪気に良いことと信じている人の例を述べましたが、韓国はまさに、この人のように、貿易立国を現代風に言い直した「グローバル戦略」が良いことであると信じ、とにかく輸出を増やすことを奨励してきました。

とにかく、輸出拡大が韓国の生きる道ということで、企業はもとより、韓国政府もグローバル化一辺倒で経済政策を推進してきました。その結果が今日の悲惨な事態を招いてしまいました。

輸出額が大きいということは、一見国際競争力があって良いようにもみえますが、逆の方向からみると、外国の影響を受けやすくなるということです。経済を良くするたには、ますば、米国のように自国の内需をできるだけ拡大すべきです。

2012年のグローバリゼーション・インデックス
韓国も、中国も日本より順位が上田が?

本来ならば、韓国はもっと内需を拡大すべきでした。本来もっと余裕のあるときに、金融緩和を行いつつも、グローバル戦略一辺倒ではなく、内需拡大策も実行すべきでした。そうして、それと並行して、以下で述べるような中進国のジレンマを乗り越える、構造改革もすべきでした。

しかし、それを韓国はないがしろにしてしまいました。それは、韓国のような国にとって難しいといえば、難しいことなのかもしれません。

内需を拡大するためには、いわゆる経済的中間層を増やして、この中間層が社会・経済活動を活発に行えるように社会基盤を整えていく必要があります。

そのためには、民主化はもとより、経済と政治の分離、法治国家化を推進しなければなりません。これが、基盤としてある程度整備されていなければ、経済的中間層が増えることはありませんして、人為的に増やしたにしても、中韓層が社会・経済活動を活発に行うことはできません。

ある程度の民主化が実現されていなければ、社会問題を解決するなどという活動も活発化しません。経済と政治の分離がされていなければ、一国の経済は、政治と不可分に結びついて、政治家や官僚と政府に近い人々だけが富裕層となり、経済的中間層など増えることはありません。

ある程度、法治国家化されていなければ、多くの中間層が、自由に取引をしたり、社会活動を行うことはできません。

発展途上国などの経済が飛躍的に伸びて、新興国などともてはやされても、なぜかほとんどの場合、その後経済成長ができなくなり、所得が発展途上国と、先進国の中間あたりで、止まってしまうという現象がよく見られます。それを中進国のジレンマと呼びます。

韓国経済は未だに「中進国のジレンマ」から抜け出せないでいるのです。現在、韓国の国民1人あたりGDPは約2万5000ドルです。一般的に国民1人あたりGDPが1万ドルを超えると途上国から新興国になり、2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国とされます。(無論、この数値は現在価値でということです)

しかし、3万ドル経済に向かおうとする中進国は、しばしば為替や労働コストが高くなって競争力を失い、3万ドルに近づくと落ちるという動きを繰り返します。これが「中進国のジレンマ」です。韓国経済も、調子が良くなるとウォンや労働コストが高くなり、そのたびに競争力を失って落ちるという状況を繰り返しています。

戦後の日本とドイツは5年、スウェーデンは世界記録の4年で2万ドル経済から3万ドル経済に突き抜け、先進国の仲間入りを果たしました。まずは、社会を変革し、イノベーションや生産性向上ができるようにして、為替や労働コストの上昇を乗り越えたのです。

中進国のジレンマを乗り越えることや、一端先進国になるとそこから、中進国以下に落ちることは滅多にありません。その例外は、2つしかありません。中進国のジレンマを乗り越えて、中進国から先進国になったのは、日本だけです。

また、かつて、先進国だったのが、今や発展途上国になってしまったのはアルゼンチンのみです。アルゼンチンはかつて、先進国でした。それが、現在は発展途上となってしまいました。

アルゼンチンには有名なアルゼンチン・タンゴがあり、この音楽は他のラテン諸国と比較すると、芸術性も高く、メランコリックで一線を画したところがあります。あのような音楽は、一度豊かで先進国ともなりながら、その後衰亡して行ったアルゼンチンのような国でなければ、生み出されなかったのではないかと思います。



アルゼンチンと日本に関しては、1971年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの経済学者・統計学者サイモン・グズネッツーは以下のように語っています。

「世界には4つの国しかない。 先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである」
1900年初頭、アルゼンチンは黄金期を迎えていました。世界を制するのはアメリカかアルゼンチンか。そう言われるほどの国力を誇っていたのです。

実際、その当時の国民1人あたりのGDPは、およそ2750ドル。同じ時期の日本は1130ドルでしたから、日本の2倍以上の経済力があったことになります。


サイモン・クズネッツ氏
この関係が逆転したのは、1967年のこと。高度経済成長に沸く日本、そして停滞・後退を始めたアルゼンチン。

戦後の混乱から、奇跡的な発展を遂げた日本は、資源がほとんどない小国でありながら先進国の仲間入りを果たしました。一方アルゼンチンは、豊かな資源がありながら、工業化に失敗し、衰退しました。

途上国から先進国になった日本と、先進国から途上国になったアルゼンチン。どちらの事例も非常に稀なことであり、それをもってグズネッツは前述の言葉で世界には4種類の国があると説明したのです。

アルゼンチン・タンゴを生み出したかつての先進国アルゼンは今・・・
その後、アルゼンチンは2001年から02年にかけて国家的な経済崩壊を体験しました。アルゼンチンのたどった経済崩壊までの軌跡を簡単に並べてみると、
1国家の成長産業勃興
2経済の高成長
3成功体験
4傲慢
5転落
6崩壊
となります。

これは、国家的経済崩壊の例として「アルゼンチン型」と呼ばれていますが、今の韓国もこれによく似ているかもしれません。ただし、韓国の場合、未だ完璧に先進国にはなりきれていません。韓国はまだ、「6崩壊」まで進んではいませんが、長引く不況に対する国民の閉塞感は、アルゼンチンより深刻かもしれません。

韓国の場合は現状は、イノベーション不在、基礎科学軽視、ものまね文化で、スピードと規模を重視するという風潮が強いです。そうした産業の“底”の浅さが「中進国のジレンマ」から抜け出せない最大の理由であり、さらにその深因は、記憶偏重の教育、学校秀才万能、そして男尊女卑の社会風潮にあると考えられます。

ソウル 広大前のアルゼンチンタンゴクブ[Tango O Nada]の看板
まずは、これを克服して、先にも述べたように、さらなる民主化、法治国家化の強化と、政治と経済の分離をして、中間層を多く輩出し、彼らが自由闊達に、社会経済活動をできるようにすべきです。

[Tango O Nada]の店内。韓国人がアルゼンチン・タンゴを踊っている
資金に乏しい韓国は、日本のように日銀の当座預金に市中銀行の預金がかなり積み上がってはいないので、これまで利下げを行っても効果は限定的だったしこれからも変わりません。ウォンの擦り増しなどの大胆な金融緩和を行うと、ハイパーインフレになるか、資金流出が加速するというジレンマに陥っています。

このままでは、韓国は先進国に仲間入りする前に、アルゼンチン・タンゴを踊ることになりそうです。それも、アルゼンチンが独自のアルゼンチン・タンゴを生み出したのとは異なり、ウリジナル・タンゴを踊ることになりそうです。


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