2011年5月22日日曜日

2軸回転式のディスプレイ搭載Androidスマートフォン「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」を写真で紹介―【私の論評】日本語入力ツールとして、フリック入力は欠かせないと思うのですが?




2軸回転式のディスプレイ搭載Androidスマートフォン「AQUOS PHONE THE HYBRID 007SH」を写真で紹介

http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/05/20/007sh/index.html


【私の論評】日本語入力ツールとして、フリック入力は欠かせないと思うのですが?
この手の携帯いずれはでてくるのではないかと、思っていましたが、とうとう実現しました。技術的には、最初から不可能ではなかったと思いますが、やはり、Androidででてきましたね。

この機種の最大のメリットは、Android携帯なのに、従来の携帯電話と同様に入力もできるし、普通のスマートフォンのように、フルタッチの入力もできるという事だと思います。

私自身は、iPhoneを使っています。そうして、iPhoneには、入力方式として、明らかに、おおかたのAndroid端末よりも使いやすい機能があります。それが、フリック入力です。これは、日本語特有の入力方式であり、日本語を使う私たちだけができる方式です。これができるということで、おそらく、日本人が世界で一番素早くこのようなデバイスに入力出来るようになったのではないかと思います。



フリック入力とは、テンキー風に配置された各行のあ段(あかさたなはまやらわ)の周囲に、十字型や扇形に他の4段(い段、う段、え段、お段)が(潜在的に)配置されており、あ段のキーを押しつつ目的の文字の方向に指をスライドさせる(弾く)ことで、文字を入力します。

また、タブレットPCやタッチパネル式の液晶ディスプレイでのスライド操作のことを、単にフリックとも呼びます。

「フリック」(flick)とは、「素早く動かす、弾く」という意味であり、この場合、指のスライド(弾き)のことを表しており、「フリック入力」に限らず、タッチスクリーン操作全般に用いられる表現です。

従来の「あ段→い段→う段→え段→お段」とキーのプッシュを繰り返して表示・入力する方式(トグル入力)に比べ、素早い入力が可能になるだけでなく、指への負担も少ないとさています。

アップルのPDAニュートン・メッセージパッド用に開発された入力システム「Hanabi」が草分けで、2008年、iPhoneに採用されたことで、急速に広まりました。無論、iPadでもできます。ちなみに、MOTOROLA XOOMでも、フリック入力ができます。下の動画は、その様子です。ただし、入力する人があまり慣れてないようで、速くありませんね。まあ、フリック入力ができるということをデモしているだけという感じてす。


私自身は、最近ではフリック入力をしています。これに慣れてしまうと、もう、もとの携帯電話の入力には戻れません。今のところ、パソコンの入力の速さには、及びませんが、それでも、以前と比較すれば確実に早く入力できます。


iPhone4を持つ女性
以前の携帯電話だと、入力に時間がかかるので、それに気を取られて、あまり意味のある内容だとか、長い文章などは打つことができませんでした。しかし、フリック入力をするようになってからは、随分早くなりましたので、たとえば、先日地震で、一時、wimaxの通信ができなくなったので、iPhoneで、結構長い内容のブログを入力して、掲載しました。

こんなことは、従来は考えられなかったことです。今でも、普通の携帯電話で、入力する人で、入力の速い人より、さらに速いと思います。これから、1年くらいもしたら、おそらく、パソコンの入力とかわらないほど速くなるのではないかと、期待しています。そうなれば、いろいろなことに、iPhoneの入力が活用できるのではないかと思います。

この入力が身につけば、一生ものだと思います。どこでも、パソコン入力と同程度で、文章が打てます。これは、画期的です。パソコンだと、どうしても、大きいですから、素早く入力できるスマートフォンに手軽さでまさる事は出来ないと思います。

そんなことから、私は、やはり、次の携帯電話を買うときには、フリック入力できるかどうかを優先すると思います。そうして、タブレットPCも同じことだと思います。

しかし、電子デバイスの入力など、どうしても、欧米の言語と比較すると、日本語入力は不便でしたが、日本語しかできないフリック入力で、この面でも、追いつけるのではないかと思います。

このフリック入力、Androidでは、Xperiaのみができるようです。他機種でも、できるように配慮してもらいたいものです。

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2011年5月21日土曜日

優れたアイデアマンは視点を変えられる――ロゴに隠されたメッセージ―【私の論評】イノベーションに必要なのは知覚だ!!

優れたアイデアマンは視点を変えられる――ロゴに隠されたメッセージ

さて、本日はBiz.IDというサイトを見ていたら、以下のような記事がでていたので、本日はこれに関連したことを掲載します。
最近、図解志向、プレゼン、発想術などについて講演することが多いのですが、その際に出席者に「思考の歯垢を取り除きましょう」と言っています。 
「思考の歯垢」とは、自分で作りあげた勝手な思い込み、前提、常識といったものです。子供のころは発想が豊かだった人も、世間の荒波にもまれる間に、エッジは丸くなり、アイデア発想の前に、実現性や前例などを考えてしまうようになります。 
しかし、スティーブ・ジョブズの言うように「Think Different」が大事です。ほかの人とは違っている考えこそ、価値がある。周囲が反対するアイデアこそ、大きな成功に結びつく可能性が高いのです。そうしたアイデアを持てるようにするために、私たちは、これまでにこびりついた「思考の歯垢」をキレイに取り除かねばなりません。 
FedExロゴに隠されたもの 
常識にとらわれない、自由な発想の原点は「視点を変える」こと。今回は、視点を変えることのできる人とそうでない人をチェックするための簡単なテストをしてみましょう。お題は、みなさんが見慣れた企業や商品のロゴ。まずは、こちらを見てみてください。
誰もが、国際的な宅配サービス会社のロゴであることは分かると思います。しかし、この企業を知らない子供に見せると何が見えるでしょうか? みなさんとは違う、別のものが見えるのです。それはなんでしょうか? 
答えは、矢印です。ロゴのデザイナーであるリンドン・リーダー氏によれば「スピード」「正確性」などのメッセージをロゴに埋め込んだそうです。ロゴの文字だけにとらわれず、余白に注目すればすぐに見えてきます。EとXの間の余白に着目してみましょう。 
このように、従来の意識で見ている部分だけにとらわれるのではなく、別の視点から見ると対象物は異なる顔をしていることが多いのです。同じような問題ですが、以下のロゴはどうでしょうか? 
 
女性がよくご存知のスイスチョコレート。商品ロゴの上に描かれている山は元々製造していたトブラーがあったスイスのベルンを示しています。よく見るとそのベルンの山の中に、シンボルであるかわいい熊が描かれていますね。FedExロゴの答えを知ると、トブラローネのロゴのメッセージには、すぐに気づくことができるでしょう。 
VAIOのロゴには何が隠されているか 
 
次の問題は別の側面から見ることが必要です。ソニーのVAIOのロゴです。今度は、余白に注目ではありませんよ。VAIOの文字のデザインに注目してみてください。 
ヒントはVAとIOとに分けて考えることです。いかがでしょう、このロゴに隠されたメッセージをつかむことはできましたか? 
実はVAの部分は、流れるような連続した曲線(正弦波)で「アナログ」を示しています。一方IOの部分は「1」「0」と読むこともでき「デジタル」であることを示しています。つまり「アナログ」と「デジタル」の融合、というコンセプトがロゴの中に隠れているのです。
このようにロゴ1つとっても、それを「文字列」として読むのか、「映像」として見るのかで、見えるものが変わってくるということです。 
文字の余白に着目してみる。文字の意味ではなく、形に着目してみる。 
普段、何気なく見ているものをあえて異なる視点から見る習慣をつけておけば「思考の歯垢」を落とすことができ、これまで考えもしなかった改善点やアイデアを思いつけるでしょう。 
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1105/10/news029.html
【私の論評】イノベーションに必要なのは知覚だ!!
さて、上のようなロゴの事例は、探せばほかにもいろいろあります。以下のその事例を掲載します。

amazon

ネットショッピングでおなじみのアマゾンですが、実はちょっとした哲学を反映しているそうです。
黄色の矢印は、客に満足させたい意味を込めたスマイルの口のようになっています。その矢印がaとzを指しているのは、アマゾンにはAからZまですべて取り揃えているという意味を含んでいるようです。


ユニリーバと言えば食品、飲料水、洗剤類など幅広く扱っていることから、ロゴにもそれを反映させたかったようです。各図にはそれぞれの意味があり、例えばハートには愛、鳥は自由のシンボルといった感じです。

northwestairlines

アメリカの航空会社であるノースウェスト航空。一見すると会社名の頭文字であるNとWが融合しているだけのように思いますが、実は方位磁針になっておりNorthwest(北西)の方向を指しているのです。

formula1
なじみ深いF1のロゴにも、実は隠されたものがあります。間の余白部分に、もう一つ「1」が隠されているのがわかるでしょうか。

nbc
アメリカの三大ネットワークの一つに数えられるテレビ局のロゴですが、クジャクがモチーフになっています。創立時に事業部が6つあったことにちなんで、6枚の羽根になっているそうです。

bigten
1896年に設立された10の大学からなる組合なのですが、1990年にペンシルバニア州立大学が加わりました。しかし名前を変えたくなかったので、こっそりロゴの中に11と言う数字を加えたそうです。


hartfordwhalers
北米のアイスホッケーチーム、ハートフォード・ホエーラーズのロゴ。白い部分がHを、緑の部分でWを、そしてブルーの部分でクジラの尻尾を表現しています。

eight1
実は全ての文字が8の一部をつかって出来ています。

まだまだあります。

logo29
これ、何気に凄くないですか?女性のヨガのポーズですが、実はこのロゴには、オーストラリアが隠されています。皆さんお気づきですか?

logo28
イリュージョンしていますねUとIの間にSを隠しています。

logo27
名前の頭文字の「H」を道路(ROAD)に見立てています。素敵ですね。

logo26
これもなかなか。Height(高さ)なので上下の矢印で高さをイメージしつつ、間にHの文字を隠しています。

logo01
指とボタンでcliqを表現しつつ、指とボタンが「太陽と街(city)」にも見えるように工夫されています。

logo02
バーディとバードをかけて、アイアンにも鳥にも見えるように。アイアンにクチバシを付けただけでこう見えるのは凄い。

logo03
この発想素敵ですね。Webのマウスアイコンとボタンを女性のピクトグラムに見えるように工夫されています。
logo11
ワインを探す、という名で眼鏡をロゴに使っていますが、ワインボトルも隠されています。


さて、いろいろと、ロゴを掲載してきましたが、このこと自体はそうたいして重要なことではありません。上の記事では、「思考の歯垢を取り除きましょう」などと、書かれていて、何か重要なことが語られていないようなので、本日はこれに関して掲載します。

上記の例で、知覚がいかに重要であるかをご理解いただけたのではないでしょうか。

うえの記事では、「文字の余白に着目してみる。文字の意味ではなく、形に着目してみる。 普段、何気なく見ているものをあえて異なる視点から見る習慣をつけておけば「思考の歯垢」を落とすことができ、これまで考えもしなかった改善点やアイデアを思いつけるでしょう」としていますが、実際に知覚はそれ以上に重要なものです。

上のロゴの事例では、SONYのVAIOを除いては、すべて外国のものでしたが、実は知覚ということでは、海外、特に西欧より、日本のほうがはるかに歴史もありすぐています。

ドラッカーは、著書の中でこれについて、以下のように述べています。

「分析に対置するものとしての知覚こそ、実に一○世紀以降の日本画における継続的な特性である」(『すでに起こった未来』)  
日本の歴史と社会についての第一人者、エドウィン・O・ライシャワー元駐日大使が、その著『ザ・ジャパニーズ』において、日本は第一級の思想家を生み出していないと言ったとき、ドラッカーは、日本の特質は“分析”ではなく、“知覚”にあると言ってくれた。 
ドラッカーは、中世における西洋最大の偉業、トマス・アクィナスの『神学大全』に対置するべきは、宮中の愛と病と死の描写からなる世界最高の小説、紫式部の『源氏物語』だという。 
近松門左衛門の文楽と歌舞伎は、カメラとスクリーンこそ使わなかったが、高度に映画的だともいう。登場人物は、何を言うかよりも、どう見えるかによって性格づけされる。誰も台詞は引用しないが、場面は忘れない。  
近松は、映画のための道具はなに一つ使わずに、映画の技法を先取りした。役者が不動の形を取る見得は、まさに映画のクローズアップである。  

歌舞伎に観る見得 
ドラッカーの洞察は、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には、その伝統における知覚の能力があると看破する。これによって日本は西洋の制度と製品の本質を把握し、再構成することができたという。日本の真価はこの知覚の能力にある。  
「日本について言える最も重要なことは、日本は知覚的であるということである」(『すでに起こった未来』)

さて、ドラッカーは日本は、知覚的であるとしていますが、さらに、イノベーションの知覚の重要性について以下のように説いています。
 「イノベーションとは理論的な分析であるとともに知覚的な認識である。イノベーションを行うにあたっては、外に出、見、問い、聞かなければならない」(『イノベーションと企業家精神』) 
 近代文明はデカルト以来、因果関係と定量化を駆使する一方において、その呪縛に囚われてきた。近代合理主義としてのモダンの時代は、知覚の世界の存在を否定はしなくとも、進歩とは関係のないこととした。そしてそのおかげで科学技術も進歩した。 
 だがイノベーションは分析だけで行なうことはできない。そもそもイノベーションに対する社会のニーズは分析では知りえない。 
 ドラッカーは、イノベーションの成果が、やがてそれを使うことになる人たちの期待、価値、ニーズにマッチしうるかは知覚によってのみ知りうるという。 
 そうして初めて、それを使うことになる人たちが利益を見出すには何が必要かを考えられるようになる。考えられなければ、せっかくのイノベーションも間違ったかたちで世に出る。 
 かくしてイノベーションこそポストモダンたるべき活動であり、機能である。 
「イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う。数字を見るとともに人を見る。いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知った後、外に出て、知覚をもって顧客や利用者を知る。知覚をもって彼らの期待、価値、ニーズを知る」(『イノベーションと企業家精神』)
要するに、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には“知覚”の能力があるということです。イノベーションに取り組むには、分析的アプローチ、設計的アプローチ、創造的アプローチというのがあります。


分析的アプローチとは、現状を徹底的に分析する方法です。市場であれば、いろいろな分析を徹底的に行うということです。この分析は、たとえば、改善の場合はかなり有効です。分析ができれば、改善できる可能性はかなり高いです。しかし、あくまで改善であり、イノベーションにつながることは稀です。この方法は、ほんど分析という手法で実施します。


次に、設計的アプローチの場合は、たとえば、現状で、1000万円しか売上がない月商3000万円の店をつくるなどと目標を設定しての改善・改革の方法です。この場合は、分析的と、知覚を半々程度で実施します。実際には、月商3000万円の店と、現状の1000万円の店とを対比して、足りないものをつけたしていきます。


次に、創造的アプローチの場合は、理想的な形をアイディアでつくりあげていく方式です。これには、知覚が重要です。これは、新たなビジネスモデルをつくりあげるなどの時に用いられる方法です。


イノベーションは、無論、創造的アプローチによるものがほとんどです。分析的アプローチでは、イノベーションにつながることはほんどありません。分析だけでは、改善から一歩も踏み出せません。


なぜかといえば、たとえば、市場調査をしていたとして、分析だけでは、たとえば、30歳台の都市部の女性が、コンビニで洗剤を買う率が高いということがわかって、それておしまいだからです。これに対してできることは、30歳台の女性の顧客の多いコンビニで、洗剤をもっとおくとか、洗剤の種類を増やすということくらいです。


とこが、知覚によって、創造的アプローチをすれば、もっともっと多くのことができるかもしれません。知覚とは、30歳台の都市部の女性が、コンビニで洗剤を買う率が高いこと意味は何であるかを知覚するということです。


知覚にも、程度があります。たとえば、この事例では、女性の婚期が従来よりも遅くなり、勤労している女性が多くなったので、時間を節約するために、コンビニで洗剤を買っていると知覚できれば、洗剤に限らず、時間を節約するビジネスモデルを考えればよいわけです。このようなビジネスモデルはいくつも作れるはすです。そうすれば、先の分析の例よりも、はるかにいろいなことができます。


さらに、もっと深く知覚することができれば、さらに、それこそ、社会を変えるイノベーションもできるかもれしません。


上のロゴの例では、実は、もっと深い意味性が隠されているかもしれません。フェデックスの→は、何を意味しているのでしょう。VAIOのアナログと、デジタルは何を意味するのでしょう。チョコレートの、熊は、一体何を意味しているのでしょうか?


このように、深く知覚することができれば、さらに、物事が理解できるようになります。


それにしても、最近は、一見日本のイノベーションは下火に見えますが、特許の件数を見ている限りでは、日本は未だに世界一です。しかし、私は、いわゆる社会を本格的に変えるイノベーションに関しては、最近日本は不得意になりつつあるように思います。


そうして、それは、なぜかといえば、日本人が日本の伝統文化を軽視するようになったからではないかと思います。もともと、知覚を重要視していた、日本の伝統文化をほとんど顧みなくなったからではないかと思います。知覚とは、分析だけでは得られないものです。分析した結果を、解釈したり、外に出て知覚をもって人の期待、価値、ニーズを知ることが必要なのです。


人を知るには、何時間も話をして、人を心理分析すれば、知覚できるというものでありません。実際に、人がどう行動しているのか、何を考えているのかを、総合的に判断しなければできないものです。人の行動や、発言、思考様式、着衣などから、その背景である隠れたメッセージを読み取ることができなければ、知覚することはできません。


この方面の能力がもともと、日本人は優れていたはずなのに、日本文化をないがしろにしてきたことによって、本来の能力が失われかけているのではないかと思います。日本人は、もともと、そのような能力があったので、西欧人などとは異なり、あまり会話をしなくても、相手のことを知覚できたのだと思います。現在の政局などみていると、本当にそんな感じがします。


ここまで、読んでいただいて有難うございます。先に、書いたように、これは、思考の歯垢程度の問題ではないことがお分かりになったのではないかと思います。


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2011年5月20日金曜日

アマゾン Kindle版電子書籍の販売冊数、紙本の全種合計を上回る―【私の論評】ありとあらゆる手段を講じて、キンドル本の売上をあげるAmazon!!

アマゾン Kindle版電子書籍の販売冊数、紙本の全種合計を上回る


米 Amazon.com が、Kindle電子書籍の販売数がプリント版書籍を上回ったことを発表しました。アマゾンによれば、今年の4月1日以降、紙本100冊に対してKindle本は105冊の割合で売れているとのこと。紙本の売上冊数はハードカバーとペーパーバックの両方を合計した数。Kindle本の販売数には無料書籍は含みません。また紙本の売上が落ちたせいで Kindleに抜かれたわけではなく、アマゾンでは紙本の売り上げも成長しているにもかかわらず、とわざわざ付記してあります。

去年の10月には、Amazonの書籍ベストセラーTOP1000についてKindle本の月間売り上げが紙本を上回り、TOP10については Kindle本 2冊に対して紙本1冊に達したことが発表されていました。今回の発表では、Kindleエディションが存在していない本も含むすべての紙書籍の売り上げよりも Kindle 電子書籍のほうが売れていることになります。

ベゾスCEOのコメントは、「( Kindle本の紙本越えは) いずれは訪れるだろうと望みを抱いていましたが、ここまで早く実現するとは想像もしていませんでした」。

また今月発売されたばかりの " Special Offer " 付き114ドル版 Kindle が、広告なし Kindle (139ドル) や大型のKindle DXを含む Kindle製品ファミリでもっとも売れている製品になったこともあわせて発表されています。

【私の論評】ありとあらゆる手段を講じて、キンドル本の売上をあげるAmazon!!


Kindle本(Kindle本を読むハードのことではない)が売れるであろうことは、もうすでに十分前から判っていました。とうとう、今日のこの日をむかえたのは、当然のことでもあります。

とにかく、Amzonは、kindle本が売れるようにありとあらゆる、手段を講じてきました。

昨年の、8月27日には、「Kindle」新モデル登場しています。WiFi専用モデルの「Kindle Wi-Fi」が139ドル(約1.2万円)、3G+WiFi対応版の「Kindle 3G」が189ドル(約1.6万円)で、安くなったぞ!って報道されていましたが、何よりもすごいと思ったのは、日本語対応してしまったということでした。昨年のバージョンアップで、PDF表示ができるようになりました。

Kindleのすごさは、単独ですべてができてしまう気軽さです。Kindleさえあれば、Amazonから本を、その場で買えて、ものの60秒もあれば読み始めることができます。この手軽さは、何もにもかえがたいです。

本屋に行って買うという手間も、Amazonに紙の本を注文して宅急便で受け取る(で、不在通知が入ってて何度も電話のプッシュボタンを押させられる!)という手間もありません。

デバイスも軽く、Eink(電子ペーパー)で目も疲れません。読むことに特化した真の電子書籍端末です。いわゆる、ガジェット好きではなくて、読書好きに向けてつくられたマシンです。

このEinkの良さは、野外で特に、日向で見てみると良くわかります。上の動画のCMはいわゆる、ネガティブキャンペーンのように受け取る方もいるかもしれませんが、EinkのKindleが、そうではない、iPadよりはるかに読みやすいことは事実です。


しかし。昨年までは、Kindleが日本語対応していなかったために、その利点を日本人は全く享受できませんでした。昨年ようやっと、日本語対応しました。まさに『ドラえもん41巻』に登場した「未来図書券」が実現するのです!

「未来図書券」は、ほしい本がすぐに届けられる未来の本注文システムでした。とはいえ、注文はハガキに書いてポストに入れるのだから、ドラえもんがいる未来よりももっと便利な世界が到来するということです。

しかし、結局日本の出版社がすぐさまガンガンKindle用の日本語の電子書籍を出すかどうかは、今の時点でもまだはっきりしません。しかし、時間の問題でしょう。出版社側は、ほとんど手間暇がかからず、収益が増えることになります。アップル帝国のiBookなどと違って、わけのわからない理由でリジェクトされることもまずありません。



昨年、出版社等向け説明会で、アマゾンは、「キンドル日本市場参入1〜2年はやりません」と言ったとのことです。これって「我々は十分働きかけた。君達が動かないのなら、君達が自滅する1〜2年先まで待つしかないね。…でどうする?」って意味だと思います。

個人が出版できるAmazon DTPも、いずれ日本語対応するとみられます。そうなれば、個人やチームやエージェントとして、日本語の電子書籍出版が加速することもまちがいないと思います。

そうして、昨年に続き、今年は、kindle本をほとんどありとあらゆるデバイスに対応させてしまいました。これは、以前このブロクにも掲載しました。これで、Kindle本は、kindleは無論のこと、アップルのiPhone、iPad、MacPCなどすべてのデバイスで読めるのは無論のこと、Android端末、WindowsPC、ブラックベリーなど、ほぼすべてのもので読めるようにしていしまいました。

おそらく、日本の出版社など、たとえば、例のガラパゴス端末で読めて、他では読めないようですが、そんなことをやっていては、またまた、電子書籍のガラパゴスになってしまうのではないかと思います。

それに、あまりにも当たり前といいながら、それが、Amazonの強みなのですが、とにかく、書籍の種類、アイテム数が圧倒的に多いです。こんな感じで、日本語の書籍を出したとしたら、日本の業界などほとんど太刀打ち出来ませんね。何か、最初から決着がついてしまったような気がします。

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2011年5月19日木曜日

米国人の中国経済への理解に4つの誤り―米誌―【私の論評】日本人も勘違い!!震災直前に日本に多数来ていた中国の富裕層は、あなたよりも、年収が少なかったかもしれない?

米国人の中国経済への理解に4つの誤り―米誌



2011年5月12日、米誌タイムは記事「中国経済に対する米国人の見方は“単純”か?」を掲載した。17日、新華網が伝えた。

先日、中国の王岐山(ワン・チーシャン)副首相は、米有名インタビュー番組「チャーリー・ローズ・ショー」に出演。「中国経済に対する米国人の見方は“単純”すぎる」と批判した。米誌タイムは、確かに中国経済は誤解されている側面があるとして、以下4点を指摘した。

(1)中国人は米国の労働者から仕事を奪っている―間違いではない。ただし労働集約産業がより労働コストの安い国に移動するのは当然のこと。中国人が仕事を奪わなければ、インドなど別の国が奪っていただろう。

(2)中国は為替レートを操作し、米国経済に悪影響を与えている―確かに中国政府は為替レートをコントロールしている。しかし、人民元問題は諸悪の根源のように言われるが、それは過大評価だ。2005年比で人民元レートは約27%上昇しているが、中国の対米貿易黒字はさらに拡大しているのが証左と言える。

(3)中国は米国以上にうまく資本主義社会を実現している―米国と中国は異なる発展段階にあり、単純な比較は不可能だ。金融危機にあたり、中国が巨額の財政出動で景気低迷を食い止めたが、それは資本主義というよりも政府機能がうまく働いたに過ぎない。

(4)中国が米国に取って代わり世界一の経済体となることは確実―GDPで米国を抜く可能性は高いが、しかしそれは米国が世界経済における主要な地位から転落することを意味しない。中国はインフレ、貧困、巨額の負債、格差など大きな問題を抱えている。またイノベーションの発信地と世界主要市場としての米国の地位を揺るがすものではない。

【私の論評】日本人も勘違い!!震災直前に日本に多数来ていた中国の富裕層は、あなたよりも、年収が少なかったかもしれない?
日本では、アメリカ人のように単純すぎるような見方はしていないようですが、勘違いしているところは多いようです。

その一方で、日本人とアメリカ人が共通で勘違いしているとこもあるようです。まず、GDPに関しては、両国とも、中国の人口が、13億であるということをあまり認識していないようです。

日本の人口は、1億2千万、アメリカは3億人、中国は、13億人です。この人口の違いを忘れている人は、多いです。一人あたりのGDPということでは、以下の表の通りです。それに、現在日本は、デフレの真っ最中にあるということで、GDPが本来の国の実体経済よりも低くくなっています。

これに比べると、中国などは、完全なバブルであり、本来の国の実体経済よりも高くなっていることは確実です。

年度2011
日本45,659.37
アメリカ48,665.81
インド1,382.40
中国4,833.29
ブラジル12,422.94
ベトナム1,327.49
ロシア13,542.89
ついでに、グラフなどで示すと以下のようになります。

[世] 一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1981~2011年)の比較(日本、アメリカ、インド、中国、ブラジル、ベトナム、ロシア)

それに、両国民とも大きな勘違いがあるようですが、そもそも、日本や、アメリカなどは、国の統計に関して、特に手を加えるなどのことはしませんが、中国ではそれは、当たり前の真ん中で行われているということがあります。

さらに、ある程度国のインフラが整備し終わった日本や、アメリカのような国は、さしあたって、インフラなどに大きな整備をする必要はいですが、中国のような国では、まだまだ、インフラが整っておらず、インフラを整備するためだけでも、かなりの投資が必要であり、それだけでも、GDPが膨らむ傾向があります。そのため、中国では、最低6%の経済成長がなければ、雇用を完全に吸収できません。これは、アメリカや日本と大きな違いです。

そもそも、中国では日本やアメリカのようにしっかりとして統計数値などはとることはできません。奥地のほうの経済など確かめようもない部分があります。もともと、地方政府(省、市)は、中央政府への報告のため、GDPを高く報告する傾向があります。

実際、中国の統計には、良くほころびが見られることがあります。たとえば、過去には、ほとんどすべての省のGDPが、全体平均よりも上回るという信じがたいこともありました。さらに、ある四半期のGDPが伸びているにもかかわらず、同期の鉱工業部門における、電気使用量が減っているなどの不可思議な現象も起きています。

3年ほど前に、年収100万円を超えた人が、1000万人を超えたとされています。富裕層といっても、実数はかなり少ないことがおわかりなると思います。これは、一人あたりのGDPが日本の約1/10程度なので、本当にこの程度なのだと思います。ちなみに、日本では、中国の富裕層の人口が、1億数千万人という説がまことしやかに流れていますが、それでは、一人当たりのGDPが日本の約1/10に近いという事実とつじつまがあいません。だから、これは、全く根拠ないデマだと思います。

いわゆる、中国の本当の富裕な人はほんの一握りしかいません。それに、中国では、ここ数年、年収200万円くらいの人が、1億円のマンションを購入するのは当たり前という状況です。日本や、アメリカでは、年収200万円の人が、1億円のマンションを購入できるでしょうか?これは、いくら物価が異なるといっても、あのサブプライムローンが問題になったアメリカですらありえなかったことです。

だから、あの地震の直前まで、日本に多数来ていた、いわゆる中国の富裕層といわれる人々のほとんどは、このブログを読んでいるあなたよりも、年収は少なかったかもしれません。無論、マンションなど転売した利益で、資産は、あなたよりはるかにもっていたかもしれません。しかし、どこの国でも、本来の職業などで得た収入を年収というのであって、マンションなどの転売は、年収とはいいませんから。税制上でもそうです。これは、日本も、中国も同じことです。

年収、200万では、日本の銀行では、絶対に1億のマンションのローンは組みませんね。物価の違いを考慮して、400万でも、あり得ないでしょう。おそらく、上限は数千万だと思います。アメリカだって同じ事だと思います。アメリカのサブプライムローンは、年収400万以下の人に対してのローンが問題になっていたと思います。これは、最初から失敗ということが目にみえていました。そうして、ものの見事にほんの短期間で破綻しました。

こんなところかみても、もう、中国は完璧にバブル状況だと思います。でも、そんな様子はちっともみえないじゃないかなんて人もいるかもしれません。でも、バブルが崩壊し始めても、気づかない人が多いなんてことは、日本でも経験済みですね。

そうです。日本では、バブルの崩壊は、1980年代の後半から1990年代のはじめにかけておきました。たとえば、バブル景気の象徴として取り上げられる事の多い「ジュリアナ東京」ですが、実際はバブル崩壊が進行中の真っ最中である1991年5月に開店しています。このように、バブル崩壊は、その真っ最中の当事者の人々にはなかなか理解できなくて、後になってからわかるという性格が強いものです。ジュリアナ東京の経営者は、先見の明のない人だったのでしょうか、その後の福祉サービスの事業にも結局失敗していますね。だから、中国でも認識されていないということが十分考えられます。

ジュリアナ東京
さて、震災前まで日本に良く来ていた中国の富裕層といわれる人々、中には、極少数の日本のお金持ちと同程度が、それ以上のかたもいらっしゃるには、いらっしゃるのですが、実は、年収300万とか、それ未満のひともかなりいたかもしれません。これでは、震災などがなくても、バブルが完全に崩壊すれば、いずれ、日本に来れなくなる人が大部分だったかもしれません。

こんな状況は、アメリカ人はもとより、日本人でも勘違いしているかもしれません。

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