ルペン氏、偽ニュースも利用=挽回に必死―仏大統領選
国民戦線のルペン候補 |
フランス大統領選の決選投票が7日に迫っている。
世論調査では中道系独立候補のマクロン前経済相(39)が優勢を保ち、極右政党・国民戦線(FN)のルペン候補(48)は足踏みが続く。挽回に必死のルペン氏は、偽ニュースさえ利用してマクロン氏を批判したり、事実に基づかない主張を繰り返したりするなど、なりふり構わない姿が目立っている。
「あなたが租税回避地に口座を持っていると後で判明しないことを願う」。ルペン氏は3日のテレビ討論で、金融機関勤務時代に巨額の報酬を得たマクロン氏の「税逃れ疑惑」に言及した。マクロン氏は「中傷だ」と直ちに否定している。
仏メディアによると、ルペン氏がこの発言のために参照したのは、トランプ米大統領の支持者とみられる人々が3日に英語で配信した偽ニュースとされる。この記事は「マクロン氏脱税か」と題し、同氏の偽造サインが書かれた租税回避地の口座運用に関する偽の契約書まで掲載していた。
親ロシア的な考えを持つルペン氏の当選を狙い、ロシアが情報操作を仕掛けた可能性も取り沙汰される。マクロン氏は4日、虚偽情報流布の疑いで当局に被害届を出し、検察が予備捜査に着手している。
また、ルペン氏は3日の討論で「ユーロ導入を機に物価が上昇した」と主張した。しかし、仏紙ルモンドは「ユーロ導入以前から物価上昇は始まっている」と反論。同紙は、事実誤認に基づくルペン氏の発言が19に上ったと指摘した上で、昨年の米大統領選で誇張や放言を繰り返したトランプ氏の手法と類似していると分析した。
ルペン氏は自国通貨復活や移民受け入れ制限を通じ景気や治安を改善すると主張。失業やテロの不安におびえる人々の支持を集める。しかし、ルペン氏の思想は排他的だとして危険視する層も多い。仏紙レゼコーが4日発表した世論調査結果では、マクロン氏が61%の支持を得て39%のルペン氏を引き離している。
世論調査では中道系独立候補のマクロン前経済相(39)が優勢を保ち、極右政党・国民戦線(FN)のルペン候補(48)は足踏みが続く。挽回に必死のルペン氏は、偽ニュースさえ利用してマクロン氏を批判したり、事実に基づかない主張を繰り返したりするなど、なりふり構わない姿が目立っている。
「あなたが租税回避地に口座を持っていると後で判明しないことを願う」。ルペン氏は3日のテレビ討論で、金融機関勤務時代に巨額の報酬を得たマクロン氏の「税逃れ疑惑」に言及した。マクロン氏は「中傷だ」と直ちに否定している。
仏メディアによると、ルペン氏がこの発言のために参照したのは、トランプ米大統領の支持者とみられる人々が3日に英語で配信した偽ニュースとされる。この記事は「マクロン氏脱税か」と題し、同氏の偽造サインが書かれた租税回避地の口座運用に関する偽の契約書まで掲載していた。
親ロシア的な考えを持つルペン氏の当選を狙い、ロシアが情報操作を仕掛けた可能性も取り沙汰される。マクロン氏は4日、虚偽情報流布の疑いで当局に被害届を出し、検察が予備捜査に着手している。
また、ルペン氏は3日の討論で「ユーロ導入を機に物価が上昇した」と主張した。しかし、仏紙ルモンドは「ユーロ導入以前から物価上昇は始まっている」と反論。同紙は、事実誤認に基づくルペン氏の発言が19に上ったと指摘した上で、昨年の米大統領選で誇張や放言を繰り返したトランプ氏の手法と類似していると分析した。
ルペン氏は自国通貨復活や移民受け入れ制限を通じ景気や治安を改善すると主張。失業やテロの不安におびえる人々の支持を集める。しかし、ルペン氏の思想は排他的だとして危険視する層も多い。仏紙レゼコーが4日発表した世論調査結果では、マクロン氏が61%の支持を得て39%のルペン氏を引き離している。
【私の論評】ローマ帝国が瓦解したように、EUもいずれ崩壊する(゚д゚)!
独立候補のマクロン前経済相 |
マクロン氏もルペン氏も既存政党出身ではないという共通点があり、それが選挙の帰趨をわかりにくいものにしています。そうして、両者の経済政策は好対照です。マクロン氏は、欧州連合(EU)や単一通貨ユーロの枠組みを堅持し、合法的な移民についても受け入れるとしています。内政では、公務員・議員定数削減を行いつつ、法人税減税や失業保険創設などを訴えています。
しかしフランスにとっては、金融緩和すれば10%の高失業率を下げる余地がまだあるのに、フランスは単一通貨のユーロ圏でもあるので、金融政策は自国の自由にはならず、ドイツの事情をくむ必要があるため実施できません。そこでユーロを離脱してフランスの事情だけで金融緩和できるようにすれば雇用を確保できることになります。
オルド自由主義は、20世紀ドイツで生まれた社会思想で、自由主義思想の一つです。オルドー自由主義、秩序自由主義ともいいます。オルド自由主義に基づいて社会的市場経済がつくられた。また、新自由主義の源流の一つとされる。独占・寡占を導く古典的自由主義(自由放任主義)と計画経済はともに全体主義や経済の破綻を導くと批判し、消費者主権の経済を主張しました。そのため再分配を支持し、カルテルやコンツェルンを否定している。
そのため、EU圏内で、不振対策をしようということになると、ごく標準的なものにならざるを得ず、一旦不況に陥れば、回復するまで結構時間がかかります。
EUのように、ヨーロッパ全体が団結して、大きな影響力を持とうという試みは、大昔からありました。その起源はローマ帝国にまで遡ります。ローマ帝国が栄えていたころは、現在のイギリス、スペイン、フランス、ドイツなど現代のEU圏にある経済大国がすべてローマ帝国の版図に編入されていました。
だから、ヨーロッパの人たちには、大昔からローマ帝国への憧憬の念や、憧れの念がありました。そのため、ローマ帝国滅亡より、機会があれば一致団結しようとしました。これは、古くは神聖ローマ帝国にまで遡ります。
ナポレオンのヨーロッパ征服、ヒトラーのナチスドイツによるヨーロッパ征服なども、ことごとく失敗しました。
おそらく、これからも無理だと思います。だから、私は、EUも結局は成功しないと思います。長い間には必ず失敗し没落していくものと思います。
過去のローマ帝国は、強力なローマ軍団による他国に抜きん出た軍事力があったからこそあれだけ版図を広げて、維持することができたのであり、現代では過去のローマ帝国の再現など単なる幻想に過ぎません。
それと、 現在のEUは過去のローマ帝国とは違い、意思決定にあまりにも時間がかかりすぎます。ローマ帝国の意思決定は、ローマ帝国の元老院(皇帝による場合もあった)によって行われました。しかし、現在のEUは欧州会議によるものです。元々は別の国だった数々の国の代表者からなる会議を運営するのは至難の技です。
さらに、経済対策も、EUの経済対策は、必ずしも個々の国にとって良いことばかりではありません。EU全体の経済という考え方で行うため、この経済対策では経済が良くならない国には、不満が鬱積することになります。
他方、ルペン氏は、自国優先主義を主張しています。具体的には、ユーロからの離脱と旧通貨フランの復活、外国人を雇用する企業への追加課税、輸入品への3%関税-といった政策を掲げています。
両者の違いは、フランスの「失業率10%」をどう見るかで異なってきます。フランスの失業率は、1970年代初めは3%台を切る水準でした。それが急速に上昇し、9%台がほぼ定位置になってしまいました。そうして、最近では10%の水準です。
両者の違いは、フランスの「失業率10%」をどう見るかで異なってきます。フランスの失業率は、1970年代初めは3%台を切る水準でした。それが急速に上昇し、9%台がほぼ定位置になってしまいました。そうして、最近では10%の水準です。
フランスの失業率の推移 |
隣国ドイツはの失業率は、3・9%です。ドイツにとっては、失業率を下げるための金融緩和は不要であり、フランスの高失業率は構造失業率が高いためで、構造改革して失業率を下げるべきだという理屈になります。
しかしフランスにとっては、金融緩和すれば10%の高失業率を下げる余地がまだあるのに、フランスは単一通貨のユーロ圏でもあるので、金融政策は自国の自由にはならず、ドイツの事情をくむ必要があるため実施できません。そこでユーロを離脱してフランスの事情だけで金融緩和できるようにすれば雇用を確保できることになります。
さらに、財政政策についても問題があります。フランス経済は簡単にいえば、より積極的な財政政策を必要としていることは明白です。しかし、EUの中心国であるドイツは相変わらず財政規律を重視するスタンスを崩していません。また積極的な財政政策もEUの制約に服さなければいけません。マクロ経済政策的には金融政策も財政政策も自由度がかなり限られているのです。
そうしてやっかいなことに、ドイツにはもともと財政規律を重んじる土壌があります。この秩序(オルド)を重んじる経済思想の風土は、戦後のドイツ経済思想の根幹といって良いものです。
このオルド自由主義は、ルペン氏や米国のトランプ政権を支えているようなポピュリズム的傾向を否定しています。例えば、大衆消費、大衆向きの生産が拡大し、それが産業の独占化を招き、経済を閉塞(へいそく)してしまう、というのがオルド自由主義の見方です。全く理解に苦しむ、謎と言っても良い理論です。
オルド自由主義の創始者ヴァルター・オイケン |
このオルド自由主義は、債務(政府の借金)を否定的にとらえている倫理的な価値判断も強く、そのため積極的な財政政策を嫌い、財政的な秩序を重んじる傾向にあります。簡単にいうと、大衆の欲求よりも、道徳的な秩序を最優先に考えるものです。このオルド自由主義の経済思想が、ドイツの経済政策や世論さえも拘束しています。
このように、国内の雇用確保で考えればルペン氏の政策のほうが分がいいです。しかし、対外関係重視だとマクロン氏の政策にも一理あり、これはフランス国民の選択に委ねられることになります。
ルペン氏が勝利すると、短期的にはユーロの動揺が起こることでしょう。これはギリシャ危機の時に、ユーロがかなり混乱したことの二の舞いです。
もっとも、長期的にみれば、ユーロという単一通貨で複数の国を縛り付けておき、さらにはオルド自由主義により他国の財政政策を縛り付け、結果としてドイツだけが独り勝ちになるというデメリットよりも、複数通貨によって各国で最適な金融政策と財政政策をするメリットの方が上回ります。
マクロン氏が勝利すれば、今の体制が維持されるので、短期的には大きな混乱はないはずです。しかし、フランス国内の高い失業率を下げるのは容易ではないです。しかも移民受け入れにも支障が出て、長期的には問題含みになることは必定です。
ルペン氏が勝利すると、短期的にはユーロの動揺が起こることでしょう。これはギリシャ危機の時に、ユーロがかなり混乱したことの二の舞いです。
もっとも、長期的にみれば、ユーロという単一通貨で複数の国を縛り付けておき、さらにはオルド自由主義により他国の財政政策を縛り付け、結果としてドイツだけが独り勝ちになるというデメリットよりも、複数通貨によって各国で最適な金融政策と財政政策をするメリットの方が上回ります。
マクロン氏が勝利すれば、今の体制が維持されるので、短期的には大きな混乱はないはずです。しかし、フランス国内の高い失業率を下げるのは容易ではないです。しかも移民受け入れにも支障が出て、長期的には問題含みになることは必定です。
私自身は、EUはいずれ破綻するものと思っています。人為的にたとえ一つの経済圏を作ったとしても、それを構成している各国の経済レベルがあまりにも違います。少し考えれば判ることですが、ポルトガルとスゥエーデンの経済はかなり異なります。ポルトガルの経済は未だ労働集約的ですが、イギリス、ドイツ、イタリアなどの先進国では資本集約的な経済になっています。
そのため、EU圏内で、不振対策をしようということになると、ごく標準的なものにならざるを得ず、一旦不況に陥れば、回復するまで結構時間がかかります。
EUのように、ヨーロッパ全体が団結して、大きな影響力を持とうという試みは、大昔からありました。その起源はローマ帝国にまで遡ります。ローマ帝国が栄えていたころは、現在のイギリス、スペイン、フランス、ドイツなど現代のEU圏にある経済大国がすべてローマ帝国の版図に編入されていました。
だから、ヨーロッパの人たちには、大昔からローマ帝国への憧憬の念や、憧れの念がありました。そのため、ローマ帝国滅亡より、機会があれば一致団結しようとしました。これは、古くは神聖ローマ帝国にまで遡ります。
ナポレオンのヨーロッパ征服、ヒトラーのナチスドイツによるヨーロッパ征服なども、ことごとく失敗しました。
おそらく、これからも無理だと思います。だから、私は、EUも結局は成功しないと思います。長い間には必ず失敗し没落していくものと思います。
過去のローマ帝国は、強力なローマ軍団による他国に抜きん出た軍事力があったからこそあれだけ版図を広げて、維持することができたのであり、現代では過去のローマ帝国の再現など単なる幻想に過ぎません。
それと、 現在のEUは過去のローマ帝国とは違い、意思決定にあまりにも時間がかかりすぎます。ローマ帝国の意思決定は、ローマ帝国の元老院(皇帝による場合もあった)によって行われました。しかし、現在のEUは欧州会議によるものです。元々は別の国だった数々の国の代表者からなる会議を運営するのは至難の技です。
そうして、当のローマ帝国も瓦解しているわけですから、EUが将来どうなるかなど、推して知るべきです。
ローマ帝国の重装歩兵 |
EUは、いずれ滅ぶでしょうが、最近その予兆として、イギリスの国民投票によるEU離脱の表明、今回のルペン氏の躍進など様々な綻びが目立って来ているのだと思います。
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