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2017年5月4日木曜日

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出―【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

アベノミクス、完全に成功…戦後3番目の長期好景気突入、「失われた20年」を脱出

官邸ホームページより 
 2012年12月に始まったアベノミクス景気が、バブル期を超えて戦後3番目の長さになった。現在の景気は、安倍政権の経済政策が功を奏しているのか。

 これについて日本経済新聞は、景気回復の実感が乏しいとして、その理由に潜在成長率の低下を挙げている。マクロ経済分析の問題であるにもかかわらず、金融緩和に触れていないのは不思議だ。

 景気の動向は、内閣府が作成する景気動向指数によってみることができる。景気動向指数の一致系列指数によって、景気が改善または悪化しているかにより、回復期か後退期なのかが判定されている。

 景気動向指数の一致系列指数としては、以下が挙げられる。
・生産指数(鉱工業)
・鉱工業用生産財出荷指数
・耐久消費財出荷指数
・所定外労働時間指数(調査産業計)
・投資財出荷指数(除輸送機械)
・商業販売額(小売業、前年同月比)
・商業販売額(卸売業、前年同月比)
・営業利益(全産業)
・有効求人倍率(除学卒)

 これらをみてもわかるが、幅広い経済部門から経済指標が選ばれている。

 一致系列で指数は、生産面に重点が置かれている。筆者は経済を分析する際、第一に雇用、第二に所得をみる。つまり、雇用が確保されていれば経済政策は及第点であり、その上で所得が高ければ、さらに満点に近くなる。それ以外の指数、例えば輸出や各産業別の景気分析、所得の不平等などは、人それぞれの価値判断が入るので、評価の対象外にする。経済をシンプルに考えているので、景気判断に必須な経済指標としては、失業率(または有効求人倍率、就業者数)とGDP統計でだいたいの用は足りる。

 こうした筆者の立場から見ると、景気動向指数の一致系列指数は、生産面の指標が重複し、雇用統計が足りないと考える。今の失業率2.8%はバブル景気以来なので、及第点を与えられる。ただし、14年の消費増税以降は消費が伸び悩み、GDPはそれほどでもないので満点とはいえない。

 前出の日経新聞のように雇用を重視しない解説をみていると、経済がわからなくなってしまう。同紙読者は大企業正規雇用者が多いと考えられるので、雇用など確保されていて当然というスタンスなのかもしれない。その立場からみれば、雇用政策たる金融政策には関心がなく、金融市場に影響を与える金融政策にしか興味がないのかもしれない。

 雇用を経済政策のミニマムラインとする筆者からみれば、アベノミクス景気は実感できる。筆者の勤務する大学はいわゆる一流校ではなく、そのときどきの「景気」によって、就職率が大きく変化する。4、5年前には卒業生の就職率が芳しくなく、なんとか学生を就職させるのに四苦八苦だった。ところが、今や就職で苦労することはかなり少なくなった。この間、学生の質が向上したとはいえないにもかかわらずだ。これは、アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したことの恩恵である。

アベノミクスの勝利
 以上は経済的な分析であるが、アベノミクスの成否は政治的には決着済みである。どのように野党が批判しようが、アベノミクスの勝利である。経済的には、「景気がいいのはアベノミクスと無関係」という方便も使えなくもない。しかし、政権交代とともに景気回復が始まり、その後、野党は国政選挙で惨敗が続いているので、政治的には勝負ありだ。

 名目経済成長率について、IMFデータによって1980年代、90年代、2000年代、10年代の平均の世界ランキングをみてみよう。日本のランキングは、以下のとおり。

・1980年代:138国中下から28位
・90年代:150国中最下位
・2000年代:188国中最下位
・10年代:190国中下から15位
 日本の場合、下から20位くらいであれば十分にやっていける。名目経済成長率は、マネー供給量の伸び率と7割程度の強い相関がある。この伸び率は人為的に動かせるので、マネー供給量を増やせば名目経済成長できるといってもいい。ちなみに、1990年代、2000年代の日本のマネー伸び率は世界で最下位だった。これが失われた20年の原因である。

 アベノミクスによって、日本は失われた20年からようやく脱出しようとしている。これこそが、野党がなんだかんだと批判しても、打ち破れない真理である。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】経済認識に関しては、国民に負けた民進党(゚д゚)!

以下に直近の経済指標について、詳細に踏み込んで検証します。

1-3月期GDPでは、ついに消費主体の経済成長が実現しそうです。消費は、今期は高めの伸びが期待でき、ここ3期をならした速度は年率1.6%となることでしょう。それは、消費増税の大打撃の前の2012~13年の伸びと同レベルであり、日本経済の復調を意味することになります。失われた10期を超え、16兆円もの大損害を残しつつも、成長は戻ってきたのです。今後は、雇用数の増加に見合う年率2.0%成長へ更に加速できるかが焦点となります。

3月の商業動態の小売業は前月比+0.2であり、CPIの財が-0.3であったことを踏まえると、実質では、これを上回る伸びとなるでしょう。したがって、3月の日銀・消費活動指数は、若干のプラスが見込まれ、1-3月期の前期比が+0.8まで高まる可能性があります。前期が低迷した反動も含まれますが、ここ3期をならしても+0.6という高さになります。消費の復調と加速をうかがわせるのに十分な数字です。

また、3月の家計調査は、相変わらず不安定な動きを見せ、消費水準指数(除く住居等)が前月比-2.0もの低下となったものの、1,2月の「貯金」で、前期比は+0.2に収まりました。GDPの消費を占う内閣府・消費総合指数は、3月がそれなりの低下となるでしょうが、前期比で+0.7程を確保できそうです。ここ3期の平均は、先述の活動指数より下がるにせよ、+0.4くらいになると考えられます。

+0.4というのは、2012~13年にかけての民間消費の伸びと同レベルです。その後、消費増税による大打撃に対処するため慌てて日銀が異次元緩和第二弾を打ったのですが、輸入物価高で苦しめただけで、2015~16年は+0.1へと沈みました。そのため、増税前のトレンドとの差は広がり、今や16兆円に及びます。8兆円の税収を得るのに、2倍の消費を潰したのだから、度を過ぎた財政再建の愚かしさが分かるというものです。+0.4への復調は、この傷口が広がらなくなったことを示しています。


今後の焦点は、成長の基礎体力である消費がさらなる加速を見せるかいなかにかかっています。その可能性は十分にあります。なぜなら、毎月勤労統計の常用雇用は、消費増税後も、コンスタントに前期比+0.5~+0.6を保ってきたからです。雇用が堅調でも、消費が低迷したのは、消費増税や輸入物価高で実質賃金が低下したことによるものです。ここに来て、パート増による平均賃金や労働時間の押し下げにも歯止めがかかり、雇用増がストレートに所得と消費の増加に反映される環境が整ってきています。

3月の新規求人倍率は、除くパートが+0.06の1.87倍と、12月の1.90倍に次ぐ高水準になりました。他方、パートの求人は一服し、人手不足の現状ではパートでは人員を確保しがたくなってきたので、正社員を集めようとする形へ変化しているようですは。こうした形はバブル期にも見られました。求人は、医療・福祉が多いのは当然ながら、1-3月期は、建設、製造、運輸という、賃金が高めで男性の雇用に結びつく求人が加速しました。

他方、3月の労働力調査では、就業者数が前月比+13万人、雇用者数が+1万人でした。プラスではあるものの、1-3月期の増加には、やや陰りが見られます。完全失業率は、男性が3か月続けて低下して2.8%となり、女性は2.7%が続いています。一時的かもしれないのですが、次第に人材の供給力に制約が現れてきています。雇用量の動向については、連休明け公表の3月毎勤でも確かめたいところです。

先月参議院の来年度予算案審議でアベノミクスの成果を強調する安倍首相
景気の先行きについては、輸出は拡大トレンドを維持しており、住宅は小康を保ち、公共は底を打っています。これらで構成される追加的需要は、12月頃に下ブレしたものの、それを取り戻すように推移しています。鉱工業生産は、3月が前月比-2.1となり、1-3月期の前期比が+0.1にとどまったのですが、4、5月の予測指数は、+8.9、-3.7と非常に高水準であり、景気の加速を予感させる内容となっています。

鉱工業指数に関しては、設備投資の指標である資本財(除く輸送機械)の出荷は、1-3月期の前期比が、前期の急拡大の反動もあって-2.9となりました。建設投資の目安となる建設材出荷も、同様に-1.0にとどまりました。それでも、GDPの設備投資については、輸送用機械が堅調で、企業の建設投資が盛んだったため、寄与度0.0~-0.1と見られます。また、住宅と公共の建設投資の寄与度は、ほぼゼロでしょう。

GDPの在庫の寄与度は、7-9月期が-0.3、10-12月期が-0.2と成長率を下げてきたのですが、1-3月期は、プラスとなりそうです。鉱工業指数で分かるように、製品在庫はプラス、流通在庫は変わらず、原材料在庫の仮置きがマイナスというところで、寄与度は0.1弱と見られます。また、GDPの外需については、ニッセイ研の斎藤太郎さんによれば、寄与度0.1強のようです。以上を踏まえるなら、1-3月期GDPの成長率は2.0%前後が妥当でしょう。

一部に「今の景気の回復ぶりからすれば、この4月からの消費増税は可能だった」との声もありますが、それをしていれば、増税幅と同じ5兆円の消費減に見舞われた上、失速状態が更に長く続いたでしょう。経験には学ばねばならいです。そうして、この半年の回復局面は、財政出動も、金融緩和も、成長戦略も、大してないまま達成されています。つまり、角な緊縮財政をしなければ、放っておいても日本経済は成長する。まさに8%増税は、百害あって一利なしの悪手中の悪手だったことがわかります。

以上ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事とあわせて、ご覧いただければ、アベノミクスの金融緩和策は大成功、一方8%増税は大失敗でしたが、相対的には成功していることがご理解いただけると思います。

昨年夏の参院選で民主党(現民進党)代表岡田氏が掲げた公約
高橋洋一氏は、「アベノミクスの成否は政治的には決着済み」としています。それは、昨年7月10日の参院選ではアベノミクスが最大の争点となり結局与党側が勝利したことを指しています。無論のその前の衆院選でもアベノミクスの継続をあげた与党が勝利しています。

野党側が「アベノミクスが限界にぶち当たっており、新しい経済政策を展開しなければならない」(岡田克也民進党代表=当時)などと批判したのに対し、安倍晋三首相は熊本県熊本市での第一声で「問われているのは、(現在の)経済政策を前に進めるか、低迷した時代に逆戻りするかだ」と反論しました。野党側はアベノミクスの現状を一時的に大企業の業績を回復させたものの、国民の所得増につながらず、失敗に終わったと考えました。

これに対し、与党側は長年、デフレ下にあった日本経済を回復へ向かわせているとみたわけです。選挙戦は与党側の勝利に終わり、アベノミクスが国民の信任を得た形になりました。そうして、その当時はこの与党側の主張が正しいのか否かは、予測としては正しいとはいえたものの、まだ経済統計などでははっきりとはしていない状況でした。

しかし、直近の数字を見ていると、明らかにこの国民の審判が正しかったことが理解できます。野党よりも、国民の目のほうが確かだったわけです。

民進党などの野党は、与党どころか国民に追いつかなければ正しい経済状況の認識ができなくなったのです。情けない限りです。

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2016年11月7日月曜日

韓国「わずか数年で日本に逆転された」 アベノミクス「うらやましい」安倍首相の指導力を羨望―【私の論評】日本のマスコミ、政治家、経済学者は韓国の経済対策を批判する資格はない(゚д゚)!

韓国「わずか数年で日本に逆転された」 アベノミクス「うらやましい」安倍首相の指導力を羨望

昨年アラブ首長国連邦(UAE)ドバイが仁川黔丹(コムダン)新都市に
36億ドルを投資する意向を伝えた。グローバル企業が入る「企業都市」を
建設する計画だ。しかし、その後何の進展もない、おそらく断念した
と思われる。写真はドバイの夜景

 お隣の韓国が安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」を称賛し始めた。大胆な経済政策を進める安倍首相の指導力を高く評価する一方、長引く不況から抜け出せない自国の経済政策に批判の矛先を向けている。朴槿恵大統領の友人の女性実業家が国政へ介入した疑惑にみられるように韓国は政治も混迷状態に陥っており、高い支持率を背景に次々と政策を打ち出す安倍首相に熱い視線を向けざるを得ないようだ。

 ■「日本経済は活力を取り戻した」と評価

 韓国内のアベノミクスに対する評価が鮮明に分かるのが、中央日報が10月31日に日本語版でネットでアップしたコラムだ。そのタイトルはズバリ、「安倍首相の経済リーダーシップがうらやましい」。コラムは平成24年12月に再スタートを切った安倍内閣が実施した金融緩和、財政出動、成長戦略の3本の矢による経済政策について、デフレからは抜け出せていないとしながらも、アベノミクスがなければ日本経済の沈滞はさらに深刻だっただろうと推測。「安倍首相の指揮の下、日本経済はあちこちで閉塞感が消え、活力を取り戻している」としている。

 コラムは農業改革、外国人労働者受け入れ策、子育て支援を中心とした少子化対策、インバウンド消費拡大を狙う外国人旅行者受け入れ策の推進などを積極的に評価する一方、ロシアとの北方領土返還交渉にも触れ、日露の経済協力が進めば、日本企業は新たな投資先を開拓できると分析。最後に「安倍首相のリーダーシップをうらやましく感じるしかない理由だ」と記している。

 ■安倍首相の強く一貫した指導力を絶賛

 アベノミクスを前向きにとらえるのは中央日報だけではない。朝鮮日報は11月2日にアップした日本語版の「赤信号の韓国経済、政府は非常対策委を設置せよ」と題した社説で、韓国経済は危機的な状況にあるとした上で、「日本は20年間の長期不況の泥沼を脱し、活力を取り戻した。これも安倍首相の強く一貫したリーダーシップのおかげだ」と指摘した。

 また、朝鮮日報は10月29日にアップした日本語版の「危機の韓国経済、大妥協と日本のようなリーダーシップが必要だ」という社説で、「日本は、アベノミクスという大きな決断で20年の長期不況を脱した。経済と社会の活力は、わずか数年で韓国が日本に逆転された。韓国に最も必要とされているのは、まさにこうしたリーダーシップだ」と評価した。

 ■不況から抜け出せない韓国

 韓国はサムスンやヒュンダイなどこれまで経済を牽引してきた財閥系企業の業績が悪化。輸出は低迷し、景気を下支えしてきた消費と建設投資も不振だ。韓国銀行(中央銀行)は今年10月、来年の経済成長率見通しをこれまでの2・9%から2・8%に引き下げた。韓国銀行の李柱烈総裁はその理由について、韓国経済が抱える構造的な問題に加えて、英国の欧州連合(EU)離脱による不確実性の増大、新興国経済の不調などを挙げた。

 現在、韓国の一人あたりの国内総生産(GDP)は約2万5千ドルだ。一人あたりのGDPが2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国といわれる。日本やドイツは5年、スウェーデンやニュージーランドは4年と比較的短期間で3万ドルを突破している。しかし、2006年に2万ドルをクリアした韓国は、3万ドルをなかなか突破できない「中進国のジレンマ」に陥っている。

 ■韓国の若者は日本企業への就職を目指す

 このように経済の先行きが見通せないなか、国内での就職が困難なため、日本企業への就職を目指す韓国の若者が増えているという。

 聯合ニュースによると、韓国貿易協会は日本への就職を支援するため、日本の就職情報会社マイナビ、韓国求人サイトのジョブコリアと業務協約を結び、今年7月にはソウルで「日本企業採用博覧会」を開催した。日本国内では少子化などを背景に労働市場は「人手不足」の状態となっており、日本企業は人材確保を急いでいる。こうした中、日本企業は英語力に秀でた韓国人学生に注目。採用した韓国の人材を即戦力として投入するケースが増えているという。

【私の論評】日本のマスコミ、政治家、経済学者は韓国の経済対策を批判する資格はない(゚д゚)!

冒頭の記事に掲載されている、中央日報の記事(日本語版)を以下に全文掲載します。以下の記事は、元々は2つに別れて順次掲載されていたものを一つにまとめたものです。以下、太字はブログ管理人が施したものです。
【コラム】安倍首相の経済リーダーシップがうらやましい=韓国 
安倍晋三首相は韓国人には本当に負担となる。戦争を禁止した平和憲法の改正に拍車を加え、不安感を助長する。旧日本軍慰安婦問題は被害者が生きているにもかかわらず、不可逆的に合意しただけに取り上げるのはやめようという詭弁も弄する。このような安倍首相が好きな韓国人はどこにいるだろうか。しかし安倍首相の経済政策は奇抜だと感じる。

日本は2012年末から始まったアベノミクスを通じて金融緩和・財政拡張・構造改革という3本の矢を4年間放っている。しかし1次目標のデフレからも抜け出せていない。大きく見ると日本経済を楽観する理由はないということだ。

とはいえ失敗したと見るのは誤算だ。キジの代わりに鶏は捕まえたと考えられるからだ。もしアベノミクスがなければ日本経済の沈滞はさらに深刻だったかもしれない。しかし安倍首相の指揮の下、日本経済はあちこちで閉塞感が消え、活力を取り戻している。根拠はいくつもある。韓国では7兆ウォン(約6400億円)分のコメ収穫のために費用3兆ウォンを投じるが、日本はコメへの執着から抜け出し、農業の国際競争力強化に拍車を加えている。安倍首相が推進する外国人労働者「輸入」が端的な事例だ。日本では農業の企業化が急進展し、サラリーマン農夫が一般化している。さらに進んで来年は農業分野に外国人労働者の雇用を認めることにした。現在は3年限度の就職研修生制度であるため、十分に働けるようになる頃には送り出さなければいけない。新しい制度は人手不足を解消し、生産性も高めることができる。

包括的贈与は本当にうらやましい政策だ。安倍首相は就任直後の2013年4月から「教育・結婚・育児資金一括贈与非課税制度」を電撃的に施行した。息子・娘や孫に最大2500万円まで非課税で贈与できる破格的な消費増大案だ。このお金で冠婚葬祭費用や新婚住宅の家賃、出産費用、不妊治療費、育児ヘルパー費用、入学金、授業料、給食費を出すと非課税になる。韓国は企画財政部が国会に建議したが、富裕層に対する特恵という理由で棄却された。少子高齢化対策が緊急だが、政府と国会は何もしない。1億総活躍担当相を新設した日本とは対照的だ。日本の出生率は1.42人と、韓国の1.24人より高いが、格差の拡大が予想される。 「ふるさと納税」もよい。この制度は誰でも3万円を上限に地方自治体に寄付をすれば2000円を除いた全額が還付される。地方経済活性化のために2008年に導入されたが、安倍首相が昨年、寄付上限額を5万9000円に増やした。すると寄付額が3倍に増えた。よい政策は前政権のものでも奨励する。前政権の政策をすべてなくす韓国と比較される。

即時還付型事後免税店は効果が大きい。安倍首相は約4000カ所だったこうした免税店をおよそ2万カ所に増やした。出国時に税金還付を受ける煩わしさを減らすため、購入時に直ちに消費税を免税してくれる。こうした努力で昨年の日本訪問外国人は前年比47%増の1974万人となった。その間、韓国は6.8%減の1327万人となり、2008年以来7年ぶりに外国人観光客誘致戦で屈した。

日露経済協力は韓国を孤独にするかもしれない。クリル列島(北方領土)返還交渉の呼び水として推進しているが、安倍首相の接近は執拗だ。5月にはロシアのソチを訪問して1兆円にのぼる8項目の経済協力案を提示し、12月には自身の故郷である山口県にプーチン大統領を招請して経済協力方案に釘を打つ予定だ。今年16回目の両国首脳会談の結果だ。合意すれば投資先を見つけられずにいる日本企業がロシア全域で開発権を持つ。来年2月に導入される「プレミアムフライデー」も安倍首相が総監督だ。早い時間に退社することでショッピングや外食、旅行を促す制度だ。苦肉の策だが、内需振興のために一度やってみようということだ。このように活力を吹き込むと、就職希望者の青年雇用率は完全雇用に近い97%に上がった。企業は人手不足で常時採用戦争体制だ。安倍首相のリーダーシップをうらやましく感じるしかない理由だ。

キム・ドンホ論説委員
まともな、分析は、太字にした部分のみですが、その分析も十分ではありません。2013年4月より、日銀は異次元の包括的金融緩和に踏みきり、そこから経済は順調に回復しました。GDPも初年度から2%台を計上し、アベノミクス元年の年としては良いスタートでした。

この当時は、雇用に関しては目立って良くなったということもなかったのでほとんど評価されませんでしたが、それにしても、雇用に関する数値は全面的に上向きました。

ところが、平成14年4月より、8%の消費税増税をしてしまったので、せっかくの金融緩和の腰をおるとともに、GDPもマイナスというとんでもない状況を招いてしまいした。消費税増税は明らかな大失敗でした。

そうして、最近では金融緩和は不十分とはいいながら、継続しているので、雇用はかなり改善しました。これは、最近高校や大学の新卒予定者で就職活動をした人たちなら、実際に体感していることです。

だだし、消費税増税の悪影響はまだ続いており、そのせいで経済の伸びは良いとはいえないのですが、雇用に関してさら良くなっているという状況です。

上の中央日報の記事はこのあたりをあまり良く分析していません。そうして、これ以外は、ミクロ的な分析に終始し、何よりも残念なのは、韓国経済が明らかにデフレ状況に陥っていることを分析していません。

韓国経済は明らかにデフレです。デフレは、それ自体が内需低迷の為にもたらされます。しかしもっと怖いのはその低迷を加速化するという点です。物価が落ちると、人々はあえて消費を繰り上げようとする心理を持たなくなります。 電子機器、自動車、家具、衣類、靴などがみな同じです。

このような消費低迷は、企業にとって直撃弾を食らっているようなものです。デフレが進めば当然企業は投資、雇用、給与を減らす誘因が大きくなります。 これはまた、家計の消費余力を悪化させます。そして経済的側面を超えて社会全般の活気にまで落とすことになります。いわゆる「デフレ・スパイラル」です。

長い間、デフレにみまわれ、そこから回復しつつある日本の多くの人々にとって、これは既成の事実です。ただし、特に民進党などの多くの政治家、マスコミ、経済学者の多数などはこのことに気づいていません。

自民党の議員もほとんど気づいておらず、安倍総理自身と安倍総理に近い一部の側近がきづいているだけです。

上の、中央日報の記事では、安倍総理経済面でのリーダーシップを賞賛をしてはいるのですが、何やら的外れです。安倍総理のリーダーシップを賞賛するなら、日銀に金融緩和に踏み切らせたことと、一度は増税で失敗し財務省に負けたものの、その後は財務省と対峙し増税見送りを選挙の公約として選挙に大勝を収めて勝利したことです。

さて、ここで韓国の経済についてふりかえっておきます。今年の6月6日現代経済研究院がが、当時の経済動向'報告書を通じて発売した診断は「準デフレ」であると要約されていました。研究院によると、準デフレは生産者物価など、供給の物価がマイナスを見せ、消費者物価上昇率は0%台を見せているケースです。 韓国経済にぴったり当たる。今年、月別の消費者物価上昇率は0.8%→1.3%→1.0%→1.0%→0.8%の動きを見せてきた。いつでもデフレの影響が起こる恐れがあるという意味です。

報告書を書いた現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、現在の景気は「需要不足」のためという点を明確にしています。朱室長は「需要低迷によって産業生産活動が萎縮して、経済全般に過剰供給が深刻化される長期不況の局面に位置している」と診断しました。

企業の設備投資が倒れたのが代表的な例です。統計庁資料を見ると、今年に入っての設備投資指数の増加率は、毎月、マイナスです。 国内外の市場需要が振るわなかったからです。

国内に加えて海外需要不足も韓国経済を暗くしていました。特に最大市場である中国で輸出低迷が持続する点が痛いです。産業通商資源部などによると、今年に入って対中国輸出は-21.5%→-12.9%→-12.2%→-18.4%→-9.1%などでマイナス行進です。

チュウォン室長は「製造業とサービス業の低迷が深刻化し、経済全般の生産力が下落している」と診断していました。

ただし、直近ではわずかながら、消費者物価は上昇しています(以下グラフ参照)。それにしても、低水準であることには変わりありません。そうして、上記の状況はほとんど改善しておらず、いつ何時また物価が下がるかは定かではありません。それよりも、何よりも、韓国の雇用、特に若年層の雇用は悪化の一途をたどっています。こういう状況に対処するには、やはり金融緩和です。さらに、日銀が金融緩和に踏み切ったのですから、当然のことながら、韓国も金融緩和をしなければ、ウォン高になるのは目に見えています。これを放置しておけば、韓国の基幹産業を支える、日本の精密機器などの部品の輸入価格が高騰します。


韓国の若年層の失業率の推移

以上より韓国経済の復活の処方箋は、まずは何をさておいても、金融緩和策であるはずです。

しかし、同じ中央日報が今年の2月には、以下のような記事を掲載しています。
【コラム】デフレと仲良く生きる=韓国
寝て起きれば上昇する物価のために心配が山積みだった時期があった。わずか数年前までそうだった。ところが最近は物価下落を心配する声がどんどん大きくなっている。いわゆる「D(デフレーション)の恐怖」が韓国にも上陸したのだ。生きていればいろいろなことが起きるという言葉も出てくるものだ。

経済学の教科書に出てくるデフレの破壊力はすさまじい。物価が下がり続ければ人々は消費をできるだけ遅らせることになる。遅く買うほど有利なためだ。製品がよく売れないので企業は生産と投資を減らすことになり、雇用縮小により家計所得も減少する。経済は長期沈滞に陥り、物価がさらに落ちる悪循環の輪が形成される。日本の「失われた20年」が代表的事例だ。

だがこうした疑問を感じる。製品やサービスの価格が下がるのはそれでも良いことではないのか。しかも私たちはすでにデフレに慣れているではないか。薄型テレビや携帯電話など電子製品の価格は下がり続けているが消費を遅らせはしない。むしろ新製品が出てくれば先を争って使う。物価が下がれば自分の実質所得は増える。同じお金でより多くの商品を購入することができる。気分良く消費を増やし企業の売り上げは拡大する。

最近の原油価格下落を見てもそうだ。「原油安の呪い」という言葉がメディアのヘッドラインを飾るほどだ。原油安はそんなに韓国経済に害になることだろうか。1リットル当たり2000ウォンを挟んで上下していたガソリン価格が1200ウォン台に下がった「減税効果」を全国民が享受しているのにだ。中東産油国の王族の金庫は軽くなったが、おかげで私の通帳の残高は増えた。実際に韓国の石油類消費が増え高燃費の自動車もよく売れている。海外建設と造船業界などが打撃を受けているが、全体的には得るものが失うものより多いという分析が出てくる。

デフレをめぐる議論と関連し国際決済銀行(BIS)が興味深い研究結果をこのほど出した。「デフレの費用に対する歴史的眺望(The costs of deflations:historical perspective)」がそれだ。BISはこの140年間に主要38カ国で起きた663回の物価下落期間にどのようなことがあったかを全数調査した。デフレは財貨・サービスなど製品価格の下落と不動産・株式など資産価格の下落を区分し影響を確認した。その結果製品価格の下落と経済成長の間にこれといった相関関係はなかった。製品価格が下がっても経済がうまく回った事例が多かったという話だ。

これに対し不動産など資産価格の下落は経済に悪影響を及ぼすことが確認された。特に民間部門の負債が大きい時は資産デフレにともなう経済沈滞が増幅されることが明らかになった。日本の場合がこれに該当する。負債で買った不動産価格が4分の1に暴落すると消費は失われ物価下落と不況の悪循環が続いた。

いま韓国はどうなのか。住宅市場に不安な部分があるが、資産デフレを引き起こす状況ではない。全般的な低物価は石油類と工業製品価格の下落による部分が大きい。まだ良いデフレと見ても大丈夫だという話だ。韓国は国際原油価格が10%下がると消費が0.68%増え、国内総生産(GDP)も0.27%増加するというのが現代経済研究院の実証分析だ。その上韓国は古びた流通構造と寡占的談合のため世界的に物価が高い国に挙げられる。製品価格のバブルを除き続けなければならない。

もちろん資産価格下落にともなうデフレは警戒しなければならない。住宅価格が急落すれば1200兆ウォンの家計負債の信管を刺激し、日本式の悪性デフレに陥る可能性が大きい。韓国政府が遅まきながら住宅担保貸付の審査を強化し元利金分割償還を誘導したのはよいことだ。それなりの安全装置を備えただけに韓国銀行が身動きできる幅が広がった。韓国銀行は資産デフレの兆しが見えれば基準金利引き下げカードを速やかに切る必要がある。

デフレが無条件で悪いというのは一種の騒音だ。人々の判断を曇らせる。住宅市場が持ちこたえ所得さえ減らないならデフレは祝福だ。原油安の状況などを逆に活用し経済体質を改善して内需を育てる知恵が要求される。

キム・グァンギ経済エディター
驚くべき内容です。デフレなど何一つ良いことはありません。この記事の最後のほうで、「原油安の状況などを逆に活用し経済体質を改善」などとしていますが、経済体質の改善とは結局経済の構造改革のことです。

日本でも、デフレの時期には、「金融緩和をしても、害になるだけだ、結局体質の古い企業を温存することになり将来の経済の発展を阻害することになる」などと言われていました。

しかし、これは、全く逆です。デフレを放置しておくことが、経済の構造改革を阻害するのです。そもそも、デフレで経済が冷え込んでいるときには、多くの企業は設備投資や雇用を控えるようになります。そのようなときに、敢えて大きな投資と人員を必要とする構造改革に踏み切る企業などありません。

そもそも、モノやサービスがあまり売れないのですから、ひたすら現状を維持して、経済が好転するのを待つというのが常識的なやりかたです。こんなときに、構造改革など絶対にしません。実際、日本かデフレスパイラルのどん底にあったときには、そうでした。そうではないとする人は、企業経営そのものを知らないのだとしか言いようがありません。

この中央日報の2つの記事を読む限り、韓国では経済が好転する兆しは全く見えません。実際、韓国では10年程前の日本のように、経済循環的な経済対策である金融緩和や、積極財政などについて語られることはほとんどなく、構造改革ばかりが話されています。

本来の正しいやりかたは、景気循環的な経済対策を行い、その後ある程度経済が回復した後で、構造改革に取り組むべきです。しかし、昔の日本も現在の韓国も逆の順番で経済を回復しようとしています。

これは、絶対に成功しません。韓国の場合は、日本よりもさらに悪いことがあります。グローバル化を国をあげ推進してきたので、内需がおろそかにされてきたため、個人消費がGDPに占める割合は50%台です。これが、日本だとデフレのころも60%台でした。日本を含めた先進国は、だいたいこれくらいです。アメリカの場合はこれが、70%台です。

さらに、韓国はもともと経済が脆弱だったので、日本がデフレの真っ最中だった頃でも、家計はかなりのプラスだったのですが、韓国の場合は経済が今日のように本格的に落ち込む前から、かなりのマイナスでしたし最近はそのマイナスの幅が増えています。

マイナスということは、結局家計が借金をしているということです。このような脆弱な体質ですから、経済がデフレ気味になっても、韓国経済は悪影響を受けるのですが、本科的デフレにでもなれば、とんでもない状況になってしまいます。

韓国経済の状況は日本にとっても、非常に参考になります。現在の韓国の状況は20年ほど前の日本に似たような状況にあります。デフレなのに、金融緩和もせず積極財政もしないで、できもしない構造改革を叫んでいるとどうなるのか、それを現在進行形で韓国経済は良いケーススタデイーを提供しているという見方もできます。

そういった意味では、今後韓国の経済は日本経済にとっても非常に参考になるでしょう。何しろ、先ほども述べたように、日本のマスコミはおろか、政治家も、経済学者、財務省などの官僚ですら、デフレへの処方箋を心得ておらず、経済に対する考え方は、現状の韓国のそれと同じようなものです。

自分たちと同じような考えで、経済対策を行なっている韓国の行末をみれば、自分たちの主張は間違いであることが容易に理解できるはずです。ただし、それでもほとんどわからないかもしれません。

結局、韓国と日本の経済の構造の違いなどのせいにして、韓国経済の悪化は、韓国の経済の構造に問題があるからだとするに違いありません。

本当に情けないといえば、情けないです。こういう人たちに、韓国経済を批判する資格などありません。

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2016年6月21日火曜日

【産経・FNN世論調査】アベノミクス 若者は「継続」求める―【私の論評】若者の力も結集してデフレからの完全脱却を目指せ(゚д゚)!

【産経・FNN世論調査】アベノミクス 若者は「継続」求める

若い人たちがアベノミクスを継続したほうが良いとするのは、雇用情勢の改善のためか?
産経新聞社とFNNによる合同世論調査で、安倍晋三内閣が推し進める経済政策「アベノミクス」について「継続したほうがよい」(51.1%)が過半数を占め、「やめるべきだ」(36.9%)を上回った。継続を求める声は若い世代ほど強く、10~20代が62%で全年代を通じて最も高かったほか、30代でも59.6%に達した。

 50代で「継続したほうがよい」と答えたのは45.8%、60代以上では44.1%まで下がった。これに対して「やめるべきだ」は50代で43.1%、60代以上では40.5%まで上昇し、賛否の差は大幅に縮まった。

 一方、支持政党別では、自民党や公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の支持層で「継続したほうがよい」が、民進党や共産党、社民党や生活の党と山本太郎となかまたちの支持層では「やめるべきだ」が、それぞれ多数派となった。

 参院選で最も重視する政策課題に「景気・経済政策」や「財政再建」を選んだ人の6割以上が「継続したほうがよい」と回答。「格差是正」を選んだ人は、61.0%が「やめるべきだ」と答えた。


【私の論評】若者の力も結集してデフレからの完全脱却を目指せ(゚д゚)!

上の記事にあるように、アベノミクス継続を求める声が過半数を超えていることがわかりました。特に10~20代が62%、30代でも59.6%がアベノミクスの継続を求めています。

このブログで過去には、 安倍政権になって雇用状況が劇的に改善されていることは何度か掲載してきました。これが若者の支持を生んでいると考えられます。

有効求人倍率が現在1.34で、今は仕事が余っている状態。地方でも1以上なので仕事余りの状態。

一方、民主党政権では仕事をしたくても仕事がない状況だった。民主党政権時の有効求人倍率は、0.5~約0.8倍でした。このような悲惨な時代の記憶はまだ新しいです。若い人たちは、そのような話を就職担当の先生方から聴いていると思います。

つい、数年まえまで、就職難の時代が続いてたことを思えば、今はまるで天国のようです。

雇用情勢が良くなったのはアベノミクスの大きな成果

年金暮らしの人には全く実感がないのでしょうが、このように就職環境は安倍政権の下で劇的に改善されました。特に、10~30代の若者によるアベノミクスへの支持が高いことからそれがわかります。

それと、若い人のほとんどが、高校以上の学歴を持つのが普通になった現在ですから、高校での政治経済で習ったことの記憶も残っているのではないでしょうか。

それは、高校の教科書に出ているマクロ経済のど真ん中の政策である、積極財政と、金融緩和です。景気が悪すぎのときには、積極財政と金融緩和を、景気が良すぎるときには緊縮財政と、金融引き締めをするというのは、極々当たり前の政策です。

高校の政治経済の教科書に、景気が悪いときには、緊縮財政と金融引き締めをなどと掲載したとしたら、その教科書は絶対に検定をパスしません。なぜなら、それは全くの間違いですから。

なにやら、少し前までは、景気が悪いときには、財政再建をするのが良いという学者もいたのですが、さすがに、これは比較的新しい主張なので、まだ十分に検証されていないので、高校の政治経済の教科書には掲載されたことはありません。

そうして、景気が悪いときには財政再建をするのが良いという学説は、もう随分前に誤りであったことがわかっています。
「ごめんなさい」では済まされない! 財政切り詰め策の根拠となった論文に誤り 欧州連合の方針に疑問―【私の論評】 これは経済学者というか、科学者として許すまじ行為!!世界を日本を惑わした罪は大きい!!見せしめのために、学会から追放せよ!!日本は、消費税増税絶対にみあわせようぜ!!
緊縮財政に反対するギリシャ市民
この記事は、2013年4月19日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事から一部を以下に掲載します。
2009年にギリシャ問題が発覚し、それが欧州財政危機問題へと拡大した際、欧州委員会は危機を回避する政策を策定するにあたってひとつの論文を参考にしました。 
それはハーバード大学のケネス・ロゴフ教授とハーバード・ケネディ・スクールのカーメン・ラインハート教授による「Growth in a Time of Debt(国家債務時代の経済成長)」という論文です。 
ロゴフ教授とラインハート教授は『国家は破綻する』という本の著者でもあり、日本でも知られています。 
ところがマサチューセッツ大学アマースト校の博士課程に学ぶトーマス・ハーンドンがこの論文に書かれている結果を再現しようとしたところ、ロゴフ教授とラインハート教授が主張するような、「国家負債が90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化する」という結果が得られませんでした。そこで彼の指導教授であるマイケル・アッシュ教授ならびにロバート・ポーリン教授とともに「結果がそうならなかった」という指摘をしました。
これが両者の間で論争を巻き起こしましたが、結局、ロゴフ教授とラインハート教授がエクセルのスプレッドシートを操作する際、コーディングのミスをした為、一部のデータが演算に反映されていなかったことが判明しました。 
ロゴフ教授とラインハート教授がエクセル操作上の凡ミスを全面的に認め、謝罪の声明を出すということで論争には終止符が打たれました。 
しかし切り詰め政策を強要されているギリシャやスペインの国民からすれば「間違いでした、ごめんなさい」ですまされることではありません。
国家負債がGDPの90%を超えるとGDP成長が著しく鈍化するので緊縮財政をすべきという説は全くの間違いであったということです。その間違いも、単なる掲載間違いで、エクセルによる計算の凡ミスだったというお粗末なものです。

この馬鹿学者二人の著書『国家は破綻する』の表紙が以下のものです。2012年後半に、上に掲載したように、著者たちの2010年発表の「政府債務がGDPの90%を超えると成長率が急減してマイナスになる」という内容の影響力のある論文が再検証されました。
その結果
1.エクセル コーディングのエラー
2.都合の悪いデータを除く
などの初歩的なレベルで問題の多い手法が暴露されました。2013年4月に、この本の著者たちが謝罪するという騒ぎになりました。フィクションや文学ならともかく、こういう本については、著者を信用して読むわけで、学問的手法そのものに疑問をもたれるような行為を行った著者たちの本は、安心して読めません。


このような書籍が、未だにアマゾンで販売されています。本来ならば、これらの学者らの責任において、このような書籍は回収すべきものと思います。

ついでに、この馬鹿な学者どものバカ面も以下にあげておきます。

ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハート
このようなことから、現在ではやはり、高校の政治経済の教科書に掲載されているように、景気が悪すぎれば、積極財政と金融緩和を、景気が良すぎれは緊縮財政と、金融引き締めをすべきという内容は否定しようがありません。

しかし、財務省などは、国の借金(正しくは政府の借金)は、1000兆円として、GDPが500兆円とすると、200%の借金ということで、消費税増税しろなどとほざいていますが、これは全くの間違いであり、現状のように景気が良くなければ、財務省は積極財政、日銀は金融緩和をすべきです。

しかし、財務省は未だに増税に拘つています。しかし、積極財政とは、減税、公共工事を増やす、給付金を増やすなどの政策であり、増税ではありません。

それに、政府の借金1000兆円というのも、このブログでは間違いであることを何度か指摘してきました。

その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
国の借金1000兆円超」に騙されてはいけない 純債務残高は米英より健全 ―【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!


 この記事は、今年の5月18日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
今年1月、国の財務書類として公表されたもの(政府のバランスシートのこと)を見ると、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円であることがわかる。 
こうした話をすると、「国の金融資産といっても社会保障基金の積立金は取り崩せない」という人が出てくるが、本当にバランスシートを読んでいるのか筆者は怪しいと思っている。 
バランスシートをみれば、資産側の社会保障基金積立金は負債側の公的年金預かり金と見合っており、ネットで債務残高を見るときには意味がないからだ。財務省の言いなりになっているのだろう。 
さらに重要なのは、政府だけではなく、「関連会社」を含めた連結ベースのバランスシートだ。これも公表されているのだが、重要な組織である日銀が連結対象になっていない。そこで、日銀を含めて連結ベースのバランスシートをみると、ネットの債務残高は170兆円にまで減少してしまう。 
これが、本当の債務残高の姿である。国内総生産(GDP)比でみると2割以下であり、米国や英国と比較しても小さい。このような状況だから、現時点では財政破綻の可能性は極めて小さく、国債金利がマイナスになるのも納得できる。
政府の借金が170兆円として、GDPを500兆円とすると、政府の借金はGDPの34%です。同じような計算の仕方では、米国は80%です。英国は60%です。このような状況では全く消費税を増税する必要はありません。

アベノミクスには、若い人が評価するように、金融緩和による雇用の改善面では大成功です。一方8%増税による、消費の減退による実体経済の悪化により財政政策は失敗です。

財務省、自民党を含む大多数の政治家、財務省を筆頭とする官僚、経済学者やアナリスト、新聞をはじめとするメディアのほとんどが、8%増税に賛成し、消費税増税の日本経済に及ぼす影響は軽微としましたが、実際蓋を開けてみると甚大な悪影響がありました。

8%増税で家計最終支出は激減で大失敗

これでは、安倍総理が増税を見送るのは当然です。今後日本は実務は別にして、方向性とは高校の政治経済の教科書にも掲載されている通りの運営をすべきです。

そうして、若者は雇用面で恩恵を受けていることを了解し、政治経済の知識も年配の人よりもあるからこそ、アベノミクスを支持しているのでしょう。

アベノミクス反対といっても、増税に反対するというならわかりますが、増税見送りを反対したり、金融政策まで反対するというのであれば、全く高校の経済・社会の教科書にもでているマクロ経済の基本をないがしろにすることになります。

そんなことは、絶対に許容できません。ここは、若い人たちの考えが頼りになります。幸い今回の参院選から18歳以上の人が投票できるようになりました。

多くの若い人たちか、投票をして、この日本の経済政策をまともにする、きっかけになれば良いと思います。

しばき隊の若者安倍首相に中指突き立て罵声浴びせる
本当に「安倍政治を許さない」などとして、中指を下から突き上げるような無礼極まる若者はごく一部なのだと思います。若い力も結集して、日本の政治を変えていきたいものです。

それに、高齢者の方々には、自分の子供や、孫などが苦しむようなことをさせたくないというなら、財務省やその意向を第一に考えてそれを吹聴するようなたわけ者どもの声には耳をかさず、高校の政治経済にもでているような政策が正しいものとして、その政策を推進しようする政党や候補者に票を投じるべきです。

財務省の言うとおりに10%増税などしていては、消費がさらに落ちて、GDPが減り税収も少なくなり、社会保障もかなり削られることになります。経済が成長してこそ、社会保障財源も安定的に確保できます。しかし、そんなことは財務省はおかまいなしです。というより、財務高級官僚はおかまいなしです。国民がどうなっても、自分たちの退任後の天下り先でのハッピーライフを確実なものにしようという考えしかありません。

とにかく、今の日本経済、若者の力も結集して、今一度成長路線に大きく舵を切り、デフレからの完全脱却を目指すときです。

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2016年2月24日水曜日

アベノミクスついに沈没「消費税8%」がすべての間違いだった―【私の論評】すでに、財務省による緊縮の病がぶり返している!増税すれば安倍内閣には致命傷(゚д゚)!

アベノミクスついに沈没「消費税8%」がすべての間違いだった

「どうする?」「どうしよう……」

失われた20兆円
'12年の年末、アベノミクスが始まった当初、日本のGDP(国内総生産)は順調な成長を続けていた。アベノミクス開始時のGDPが約517兆円。これが、'14年3月には実に約535兆円にも達した。

ところが、'14年4月の8%の消費税率導入を境に状況が一変した。'14年度第2四半期までに、GDPが一気に約14兆円も急落してしまったのだ。

その後もGDPは伸び悩み、直近の'15年7-9月期の数字は約530兆円。私の試算では、仮に消費増税さえしていなければ、GDPはその後も右肩上がりの成長を続け、今頃は約550兆円まで達していただろう。

差額は20兆円。これだけの金額が、増税によって失われたのだ。

この20兆円分の伸びがあれば、物価も上昇し、賃金も消費も好調という、良好な循環が生まれ、昨年中には「デフレ脱却宣言」ができただろう。日経平均株価も2万円台、為替も1ドル=120円の水準は保てたはずだ。

そもそも、GDPの6割を個人消費が占めている以上、増税による消費減退でGDPが下がるのはわかりきっていた。

増税の影響で失われた20兆円のGDPを国民一人頭で割ると、約15万円。所得が15万円も下がったと考えれば、買い物をする気が失せるのも当然だろう。

いま、日本では格安商品ばかりが売れる、デフレ時代と同じ状況が生まれている。アベノミクスの目標である、2%の物価上昇に相反する事態が起きているわけだ。だが、経済学の常識からして、増税すれば物価が下がるのは自明の理だ。

優秀なはずの財務官僚たちはそんなことすら理解できていなかった。自分たちの歳出権を拡大するため、なんとしても消費増税を可決させようと、「増税をしてもGDPは下がらない」という机上の空論を組み立て、押し切った。

5%に戻すしかない
失われた20兆円のGDPから試算される消えた税収は約5兆円。一方で、消費増税で増えた税収は約8兆円。

「3兆円多いのだから、増税のほうがいいのでは」と思うかもしれない。

しかし、冷静に考えると、増税によって税収を8兆円増やすのと引き換えに、一人当たり15万円のGDPを吹き飛ばしてしまったのだ。これが日本経済に与えたダメージは、計り知れない。

収益が上がらないのに税負担だけを増やしたので、企業は苦しみ、賃金も上がらない。消費も当然伸び悩む。アベノミクスの理想とは真逆の悪循環にはまりこんでいる。

結局、無知な財務官僚が身勝手な思惑で推し進めた増税で、国民は8兆円を取り上げられたあげく、本来、得られるべき所得までを失ったのだ。

この状況に、本来であれば、「責任をもって2%の物価上昇を達成させる」と明言している日銀の黒田東彦総裁こそが、「増税で物価が上がらないのなら、失敗を認めて減税するか、景気対策をしてください」と政府に強く進言すべきだろう。

だが、黒田総裁は「消費増税で成長が大きく損なわれることはない」と繰り返し発言してきた手前、今更もう何も言えない。起死回生のマイナス金利政策も、消費増税のダメージが大きすぎたため、いまのところ本来の効果が出ていない。

もし、安倍政権が予定通り、'17年の春に10%への増税を実行すると、どうなるか。8%増税の時と同じくらい、いや、それ以上の致命的なダメージを引き起こすだろう。

3%の増税でGDPが14兆円急落した。ということは、上げ幅が2%なら、単純計算で約10兆円のGDPが一瞬で失われる。さらに、今回は中国経済失速などの要因も加わるため、長期的に考えれば、8%増税時を上回る規模のGDPが失われる可能性がある。

消費増税が引き起こした負の連鎖から脱却するには、いますぐにでも消費税を5%に戻すのがベストなのは言うまでもない。だが、政府もいまさら引き返せないだろう。

それでも、本気で景気回復を目指すのならば、取れる策は消費減税の他にもいくらでもある。

例えば、国の特別会計上で余った資金、すなわち、いわゆる「霞が関埋蔵金」を使う手だ。

「外国為替資金特別会計」には円安の含み益の約20兆円、「労働保険特別会計」には約7兆円もの埋蔵金がある。これを原資に、国民に10兆円規模の給付金を配り、増税の痛みを和らげる。

この「埋蔵金10兆円バズーカ」をぶっ放し、景気に良好な刺激を与えて上向かせたところで、日銀が一気に金融緩和を推し進め、国債の購入量を今の80兆円から100兆円まで増やす。

極端な話に聞こえるかもしれないが、ここまでしてようやく、「8%増税の呪縛」は払拭される。

それほどまでに、消費増税が日本経済に与えたダメージは大きい。

高橋洋一

【私の論評】すでに、財務省による緊縮の病がぶり返している!増税すれば安倍内閣には致命傷(゚д゚)!

8% 増税に関しては、最初から大きな懸念がありました。そもそも、デフレの真っ最中であれば、減税するとか、減税しないというのなら、公共工事を増やすとか、給付金政策をするなどで、積極財政を実行すべきでした。ただし、公共工事に関しては、公共工事の供給制約が顕著でしたので、これは実行してもあまりは効果は期待できませんでした。

このような状況でアベノミクスは2013年の4月から、異次元の包括的金融緩和から始まりました。経済指標は、良くなる一方でした。しかしその直後の2014年4月になぜか、まだデフレから完璧に脱していない日本なのに、8%増税などという馬鹿げた緊縮財政政策を行ってしまい、病み上がりの日本経済に冷水を浴びせるようなことをしてしまいました。

緊縮財政というと、何も増税だけではありません。下のグラフをご覧ください。26年6月あたりから、財務省による緊縮財政と病がすでにぶり返しています。

緊縮財政という病は今でも進行中、これに10%消費税増税が加わると破滅的!
グラフは財政資金の対民間収支統計をもとに作成したものです。今さらながらですが、安倍内閣は緊縮財政に回帰していることに驚きました。政府は民間から税を徴収する一方で公共事業、社会保障などに支出しますが、支出増加額よりも税収の増加額が多ければ緊縮財政、少なければ積極財政となります。税収は急速に増えてきました。財政支出のほうは消費税増税前に大きく上積みされたましたが、増税後は急激に減りました。なかでも公共事業、社会保障と防衛費の合計でみるとこの傾向は顕著です。

税収が増えること自体は財政の健全化を最優先する考える向きにとっては万々歳です。しかし、民間の所得を政府が取り上げたまま、支出を通じて民間に資金を還元しない状態を続けると民間の需要を圧縮することになります。好景気で民間需要が旺盛で、インフレ率が上がる状態だと、財政支出を引き締めるのは理にかなっています。ところが、「20年デフレ」の日本にとって緊縮財政はまったく不合理です。

8%増税したたげではなく、さらに支出を減らし緊縮財政を推進する・・・・。こんなことでは、せっかく回復基調となってきたふたたび景気の好循環を破壊してまたデフレ経済へと戻してしまうことになりかねません。今のままでも、もうそうなりかけていますし、これをそのまま継続しても、日本経済はデフレに逆戻りすることでしょう。

来年予定通り、10%増税などしてしまえば、デフレスパイラルの底に沈む速度を飛躍的に高めるだけです。10%増税をしてから、2、3ヶ月もすれば、それは誰の目にも明らかになることでしょう。

このような、緊縮財政の繰り返しから政府の借金だけが膨らみ続け、民間の借金が縮小し続ける(=民間の投資が縮小し続ける)、こんなことを20年以上繰り返してきたのが日本でした。ただ最近過去の日本と比較すると多少ともましなのが、日銀が金融緩和を継続していることです。

しかし、今の日本はデフレから完全脱却していないのに、金融緩和は継続しているものの、8%増税などという愚かな緊縮財政を実行して、その悪影響が続いている状況にあります。

これを改善するには、積極財政と金融緩和を同時に実行することです。そうして、これは標準的なマクロ経済学の教科書に当たり前に掲載されている内容です。景気が悪化したときには、金融緩和と積極財政を行う、景気が過熱したときには、金融引き締めと、緊縮財政を行うというのが、マクロ経済学での当たり前のど真ん中です。

しかし、過去の日本は、景気が悪化しているにもかかわらず、金融引き締めと、緊縮財政を行うというバカ真似を実行し、15年以上もデフレを放置してきました。

そうして、2014年春からの日本は、日銀は金融緩和を、財務省は増税で緊縮という、非常にアンバランスな政策をとっています。

そうして、直近の10-12月の四半期GDPの速報が最近でたばかりですが、非常に悪化しているのは誰の目から見ても明らかです。

2月15日に2015年10-12月期のGDP速報値が内閣府から公表された。結果をみると、実質GDP成長率は前の四半期と比べて0.4%減、年あたりの換算で1.4%減となり、2015年4-6月期以来のマイナス成長に沈んだ。


これに関しては、暖冬のせいで冬物衣料が落ち込んだなどとするむきもありますが、それは全くの間違いであり、暖冬などには全く関係なく、個人消費の長期的な落ち込み傾向によるものであることは、以前のこのブログでも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、統計値では8%増税の悪影響が色濃く出ているにもかかわらず、財務省はこれについて何もコメントしません。政治家の多くも、増税推進派が多いため、8%増税は大失敗という声は大きくありません。さらに、マスコミも増税一色だったため、今更自分の非を認めたくないのか、ほとんど8%増税の失敗を報道しません。さらに、いわゆる日本の主流の経済学者らも、増税を後押ししてきた手前、あからさまに大失敗とする人もいません。

そのためでしょうか、多くの人が、8%増税は大失敗であるという事実をあまり認識さえしていないようではあります。とはいいながら、多くの国民が、消費を控えるという行動に出ているのですから、自分の消費行動などみれば、誰でもこの失敗は理解できるものと思います。

安倍首相は「リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施する」と言い続けていますが、昨年来の原油価格の崩落や世界的な株価下落、さらには中国経済の失速、さらに南シナ海、中東なども含む世界の各地に拡散した、いわゆる地政学的リスクはそれに匹敵するどころか、それ以上かもしれません。

安倍総理は「リーマンショック級ではない」と今も10%増税先送りを否定しています。しかし、7月の参議院議員選挙を控えて、景気ムードを好転させることが安倍内閣の必須課題になってくるだけに、数少ない「切り札」として消費増税再延期を打ち出すタイミングを慎重に見極めているのだと思います。

もちろん、財務省は再増税は既定路線として譲らない姿勢で、仮に首相が先送りを決める場合でも相当な政治的な軋轢が生じることでしょう。あまり早く消費増税を打ち出し、その後、海外株式相場などが大崩れするなど外的要因で景況感がさらに悪化した場合、打つ手がなくなってしまうことも予想されます。

前回の延期時と違い、再延期には法律を出して国会で通過させる必要があります。これも10%増税見送りのハードルを上げています。

そうはいっても、2014年の増税の影響が完全に吸収されていないことは誰の目から見ても明らかで、さらに消費が下り坂になっている中で、ここで再度の消費増税を打ち出せば、一気に消費が腰折れすることになります。

来年の消費増税をそのまま決行すれば、日本経済にとっては破滅的なことにになりかねません。

やはり、ここは10%増税は何がなんでも見送るべきです。そうして、その手段としては、夏の参院選のときに衆院も同時解散して、衆参同時選挙として、そうして安倍総理としては、当然のことながら「10%増税」も公約として掲げは、選挙で大勝利することです。方法として、10%増税を見送るのは、この方法しかないと考えられます。

とにかく、もうボンクラ財務官僚や、ぼんくら経済学者などの言いなりになる必要などありません。

とにかく、選挙で大勝利して、国民の信任を得て、10%増税は日本経済がデフレから完全に脱却して、インフレが加熱するまで、実行しないようにしていただきたいものです。

選挙で大勝利した後は、日銀法の改正と、財務省の解体を強行し、ボンクラ経済学者などは、政府関係の仕事などからは、完全パージして頂きたいです。


ボンクラ官僚や、ボンクラ学者などが、この国の経済の舵取りをとんでもない方向に持っていく可能性を完璧に排除していただきたいです。これが、達成されれば、日本の政治主導の夜明けとなることと思います。

これを実行しないかぎり、また日本は失われた20年に舞い戻り失われた40年が続くかもしれません。そうなれば、自民党政権も政権運営がかなり難しくなり、誰が総理大臣になったにしても、短期政権で終わることになってしまうでしょう。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【関連記事】




【関連図書】

結局のところ、日本の政治は官僚特に財務官僚が主導しているところがまだまだ大きいです。官僚が政治に関与することは一概に悪いことではありませんが、意思決定はその時々の空気に流されることなく政治家、政府が地頭を使って行うべきものです。それすらも、官僚に譲ってしまえば、民主主義は成り立ちません。それを実感していただける三冊の書籍を以下にチョイスさせていただきこました。

総理の実力 官僚の支配 ─教科書には書かれていない「政治のルール」─
倉山 満 
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2014年12月18日木曜日

「年収2000万円未満お断り」のローストビーフ シェフが「日本一高い」理由を激白!―【私の論評】アベノミクスが信任された今、この企画、これが成功するかしないかは、別にして新たな時代の先鞭をつけるものになるかもしれない(゚д゚)!

「年収2000万円未満お断り」のローストビーフ シェフが「日本一高い」理由を激白!



「年収2000万円超の違いがわかる皆様へ」。熊本市のレストランがこんなキャッチフレーズで、「日本一高い」という「最高級ローストビーフ」の販売をネット上で始めた。

つまり「違いがわからない」お客様はお断りだということだ。一体どんな店なのだろうか。


「凡人には理解し難い超高級ローストビーフ」

販売サイトは、2014年12月10日にオープンした。カリフォルニア料理専門店「KAWAZOE」が運営しており、オーナーシェフの写真も出ている。

「貧乏人お断り」「No.1の自信あり」。サイトは、とにかくPRが派手だ。注意事項として、前もって次のような断り書きが書かれている。

「当サイトでは、凡人には理解し難い超高級ローストビーフを提供しているため、年収が2000万円以上あるような経済的・精神的に裕福な方を対象としています。それに満たない貧乏人の方や、当サイトの趣旨にご理解いただけない方は閲覧・ご利用をご遠慮くださいますようお願い致します」

ローストビーフには、熊本県・阿蘇産の赤牛を使っており、化学調味料や添加物を一切使わず、注文から24時間かけてじっくり作るという。値段の方は、サーロインローストビーフが、500グラムで3万3480円、1キロなら5万6160円、2キロなら9万9360円、と超高額だ。

貧乏人お断りの理由については、「化学調味料や添加物等で、舌の感覚が麻痺している」、「値段だけでしか物の価値をはかれず、作り手の情熱を軽視する」、「見当違いなクレームを言ってきそう」という3点を挙げた。そのうえで、「私は日本一命懸けで料理に向き合っています。その覚悟と情熱をご理解いただける方とのみ、お付き合いしていきたいと考えています」と言っている。

こうした派手なPR方法は、ネット上で話題になり、その意図について様々な憶測が出ている。

熊本・赤牛のPR狙ったものの、まだ売れず

「店にも客を選ぶ権利はあるわな」「これはうまい作戦だ」と、理解を示す声はある。しかし、「炎上商法かよ」「なんか商材売ってるサイトみたい」「企業イメージが悪くなるだけと思うんだけど」などと、疑問や批判の方が多い。

では、いったいどんな意図で、このようなPRをしたのだろうか。

この店のオーナーシェフをしている川添賀一さん(44)は、取材に対し、次のように告白した。

「熊本の赤牛は、生産が少ないので、宣伝して地元に貢献しようと思いました。そこで、値段はいくらにしようかと考え、『そうだ、神戸牛や松阪牛より高くしよう!』と思い付きました。とてもおいしい赤牛で、ローストビーフにぴったりと絶対的な自信があったからです。そして、その値段を付けましたが、まったく売れませんでした。おいしくなかったからではなく、値段が高かったからでしょう。では、これを食べられる人たちはどのくらいの年収かと考えて、2000万円なら余裕で食べられると考えて、宣伝する名目でサイトを作りました」

そうした狙いのため、2000万円以上でないとダメなわけではないという。そのよさが分かるなら、どんな所得階層の人にも食べてもらって構わないそうだ。店では、1000円のランチなどを出し、だれでも歓迎しており、ローストビーフは時間がかかって店では出せないため、ネットだけで売っているとしている。

サイトの宣伝効果については、12月12日昼過ぎまでにネット通販業者から試食用に1回注文があっただけで、まったく売れていないと明かした。電話やメールは、2日間で20件ほどあったが、「マイナス12個くれ」といったイタズラばかりだといい、「日本人の道徳観はこれだけ落ちたかと、不愉快でした」と漏らしていた。

【私の論評】アベノミクスが信任された今、この企画、これが成功するかしないかは、別にして新たな時代の先鞭をつけるものになるかもしれない(゚д゚)!

このサイト『Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理』と銘打っていながら、ここ数年ほとんどレストランの話題など提供していませんでした。サイトの開設当時は、レストランの運営など担当していましたから、その話題も提供していましたが、最近でもっぱら時事問題ばかり掲載してきました。

本日は、久しぶりにレストランの話題を提供させていただこうと思います。そのなこともあり、上の記事を掲載させていただきました。

さて、実際に、上記の記事にある、サイトを訪問してみました。実際訪問してみたところ、この上の記事に掲載されていた写真は、以下のように変わっていました。

http://roastbeef-kawazoe.com/


「年収2000万超の違いのわかる皆へ」、「貧乏人お断り」という文言が消えていました。やはり、ここまで掲載すると露骨だし、さらに批判があったり、からかいもあったため、消したのだと思います。

そもそも、この販売の仕方には、二つ程疑問があります。

まず、第一に、やはりこのようなキャッチをつけるのは、誤りであったと思います。お店でも、通販でも、無論ターゲットは想定はしますが、だからといって、自分たちが提供したいターゲットをあからさまに、明示して、それ以外はお断りなどとするのは、販売する側の奢りであり、とんでもないことだと思います。

無論、ターゲットを設定して、そのターゲットに向けて、そのターゲットに対してベネフィットを想定ししてそれに対して、解決案(ソリューション)を提供するのは当然のことではありますが、こうした想定は、あたることもありますが、外れることもあります。外れたときには、修正しながら販売するというのが普通です。


そうして、経営学の大家のドラッカー氏は、予期せぬ顧客を見逃さないことや、購入しない顧客の動向にも目を配るべきと提唱しています。

私も、そうすべきものと思います。確かに、これだけ高い食料品であれば、顧客は高所得層に限られるかもしれません。しかし、そうではない顧客も存在するかもしれません。

たとえば、普段はこのような高価なものを口にしない人でも、肉食好きで本当に美味しいローストビーフを食べたいと思っている人が、病気を患って余命1年などと、宣告されたとしたら、まだ元気で味覚がおかしくならないうちに、食べてみようと思うかもしれません。

あるいは、食育などに興味のある人たちの集まりがあったとして、その人達が本当に美味しいローストビーフを自分や自分たちの子供に食育の一環として、このようなものを食べさせてみたいと考えるかもしれません。そうして、大勢の人々が集まって、一切れずつでも試食の機会をつくろうとするかもしれません。大勢で注文すれば、個々人の負担は少なくてもすみます。

上記は、思いつきで掲載してみたのですが、他にも予期せぬ顧客が存在するかもしれません。こうした顧客を発見した場合、そうした顧客層を開拓するなどということも十分考えられます。

それと、ドラッカーの提唱するように、購入しない顧客層についても十分目を配るべきです。ドラッカー氏は、デパートの衰退の原因の一つとして、デパートで購入しない顧客の動向を見なかったことをあげています。

デパートの多くは、デパートで購入する顧客にばかり注目して、それ以外の顧客をみることをしなかったため、多くの顧客が、ショッピングセンターや、モールで購入するようになった理由を知ることなく、ますます減少する顧客の情報ばかり集め、その人々に対する研究をして品揃えなどするようになったため衰退するに至ったと警告していました。

消費税見送りと、アベノミクスで日本のデフレからの脱却も近い?


このような高給ローストビーフも、購入する顧客以外の情報にを気を配るべきと思います。現状では、安倍総理が主張しておられたように、「アベノミクスの信任」を得るための選挙でもあり、ご存知のように与党は、衆議院選挙で大勝したため、これから景気が良くなる可能性は十分にあります。

これから、このような高いローストビーフを購入する顧客以外も、飲食にももっとお金をかけるようになる可能性が高いです。そうなると、いままではこのようなものを購入しなかった高所得層も抵抗なく購入するようになるかもしれません。

その意味では、今の時期にこのような商品を売り出すことは、少しタイミングが早かったかもしれませんが、かといって時代の趨勢から全く離れているということもなく、先鞭をつけるという意味で決して悪くないタイミングだったと思います。

しかし、このレストランのシェフは、そこまでは考えていなかったと思います。そこまで、考えを巡らせていれば、もっと良い販売方法を企画できたと思います。

ローストビーフ・サンドは欧米では保存食料の使い回し
それと、もう一つ疑問に感じたことがあります。それは、通信販売での提供ということです。このブログでも、ブログを創設したばかりの頃は、レストランの話題も掲載しており、ローストビーフのことも話題にあげていました。そのため、私自身もローストビーフという食べ物については、多少は知識があります。

その多少の知識の範囲でも、ローストビーフはどのタイミングでいただくと最も美味しいかはわかります。そのタイミングとは、やはり焼きあがった直後、オーブンから取り出し、数十分程度も冷まして、ほんのりあたたかみが残っているものを切り分けた直後が最も美味しいです。

欧米などでは、家庭で、ローストビーフをつくると焼きあがって、冷ました直後のものをその夜に食べられる分だけ切って、より分けて、残りは冷蔵庫などに格納して、保存食料として使います。この保存食料としての、ローストビーフを出来たてのものと区別して、コールド・ローストビーフという場合もあります。

大体一週間程度で、使いきります。食べ方としては、いろいろあります。それこそ、薄く切って、フライパンでさっと火を通して、それこそビーフステーキのようにして食べるとか、あるいは、サンドイッチにするとか、いろいろ使い回しをします。ローストビーフ・サンドは、あくまでこのコールド・ローストビーフを用いるものであり、これをつくるためにロースト・ビーフを料理するということはありません。

コールド・ローストビーフと、ローストビーフでは、味に雲泥の差があります。やはり、出来たてのものが本当に美味しいです。日本の家庭では、ローストビーフを焼くという習慣はほとんどありません。結婚式の披露宴などの祝い事にも、コールド・ローストビーフが出されることもありますが、まずは出来たてのローストビーフが出されることはほとんどありません。スーパーなどで、販売されるのもコールド・ローストビーフです。

少し前置きが長くなってしまいましたが、通信販売で販売するとすれば、無論コールド・ローストビーフになると思います。しかし、これでは、本来のローストビーフの美味しさを提供することはできません。ここがもう一つの疑問なのです。

せっかく、最高の品質の材料を用い、時間もたっぷり使い、最高のロースト・ビーフを作っているにもかかわず、それを通販で販売するということに非常に疑問を感じるのです。先に、コールド・ローストビーフは、出来たてと比較すると格段に味が落ちるということを掲載しました。

このサイトを運営しているレストランのシェフもそのことは知っていると思います。おそらく、ある程度のグレードの肉を使ってローストビーフの焼きたてを提供すれば、さほど高い肉ではなくても、かなり高級な肉を使ったコールド・ローストビーフよりはるかに美味しいと思います。

このシェフは、コールド・ローストビーフでもかなり美味しいものを提供しているのでしょうか。それにしても、そのあたりはサイトを見ても、何も説明されていません。このあたりが非常に疑問です。

このロースト・ビーフが売れない理由はこのあたりにも原因があるのではないでしょうか。

おそらく、日本人はあまり出来たてのローストビーフを食べたことのある人は意外と少ないかもしれません。ただし、出来たての近い味を提供するレストランもあります。それは、保温装置のついたワゴンにローストビーフの固まりを入れて、焼きたて直後の状態を保存し、顧客のテーブルの近くまで行って、その場で顧客に切り分けて提供する方式です。

言葉で説明すると長くなってしまうので、下に写真を掲載します。下の写真は、保温装置のついたワゴンの上で、ローストビーフを切り分けている写真です。このワゴン、蓋をすることができます。中に保温装置がついており、オーブンで焼きあがったばかりのものをこのワゴンの中に格納し、お客様のテーブルの近くまで持って行き、その場で切り分けてお客様に提供します。


その場で切り分けるため、本当に焼きたてのものをすぐ食べるのと近い味を提供できます。ローストビーフは長時間ロースト(蒸し焼)してあるため、脂分がかなり落ちていますので、かなり食べやすく、細身の女性でも2キロくらいなら、楽に召し上がることができます。


私自身は、ローストビーフは、焼きたてを冷まして、食べごろになったのが最高に美味しいと思います。どんなに良い材料をかけて、手間暇かけて調理したとしても、コールド・ローストビーフでは、味の良さが半減してしまいます。

だから、通信販売には疑問符がつくのです。いくら美味しいものでも、コールド・ローストビーフの通信販売では、自宅で焼いたものよりは、格段に劣ると思うのです。

これからの季節、ローストビーフを調理したり、召し上がったりする機会も多いと思います。ある程度グレードの高い肉を用意し、自宅で焼けば、この通信販売のような高価のものと同等かそれ以上の味のものを召し上がることができると思います。

以下に、このブログに過去に掲載したローストビーフの作り方の記事のURLを掲載します。
簡単なローストビーフの作り方

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で簡単にできるローストビーフのレシピを掲載しました。これからの季節、自宅でローストビーフを焼けば、経費も低く押さえられますし、何よりも良いご馳走になると思います。1~2回くらい、安い肉で実戦してみれば、要領がわかり、誰にでも簡単にできます。是非挑戦して見て下さい。

少し話が脱線しましたが、本日紹介した、超高価なローストビーフの通信販売、少し前まではデフレで景気が落ち込んでいたので、とても考えられないような企画でしたが、今回の選挙をでは与党が大勝利10%増税もスキップされ、おそらく8%:増税による経済対策もなされると思います。

そうなると、本格的に景気が良くなることもが十分予想できます。そうなれば、今回紹介したような、超高価なローストビーフの販売企画なども珍しいものではなくなるかもしれません。

そのようになる前から、もっと飲食にお金をかけるようになる人が大勢出てくるようになると思います。そうなれば、ここまで高価なローストビーフでなくとも、上で紹介したようなワゴンサービスをさらに拡張したようなサービスも成り立つようになるかもしれません。

欧米では、かなり大きなスチームオーブンがあり、一度に数十羽の鶏や、数十個もの牛肉をローストし、ローストした後は、スチームオーブンで、温蔵できるような巨大オーブンがあり、来店したお客様に、いつも出来たてのものを提供できるようにしているレストランなども存在します。

ものの値段など、原材料や、人件費を安く抑えることができれば、いくらでも安くできます。本日このブログで、紹介した高価なローストビーフも、現在の枠組みの中で考えているから高価でないと提供できないですが、その前提を、これと同じような品質の肉牛を大量に飼育できて、原材料として安価に提供できるようにしたり、調理も大量に一度にできるようにして、自動化すれば、かなり低価格にすることも可能になると思います。

10年もかけて、これに取り組めば、同品質のしかも出来たてのものをお客様に従来の半分とか、1/10で提供できるかもしれません.

そうなると、2000万以上の年収の人でなく、もっと多くの人々に保存食品のコールド・ローストビーフではなく、出来たてのローストビーフを提供できるようになるかもしれません。

最近では、熟成肉などいまさらのように人気ですが、欧米では高級レストランでは熟成肉を出すのがあたり前でした。そうして、コールドではないローストビーフ、無論熟成肉のローストビーフなど、味わった人は、日本では意外と少ないです。

日本でも美味しいローストビーフを手軽にいただける時代は来るか?

そのようなものを提供できるようになれば、全く新しい需要を呼び起こすことができるかもしれません。そうして、新たな市場を創りだすことができるかもしれません。

しかし、このようなことを実現するための、大きな条件があります。それは、少なくともデフレではない状況です。デフレであれば、人々は飲食に新しさを求めるのでなく、美味しさの中にも、節約を求めます。

そのような時代には、今回この記事の冒頭で紹介したような、超高価なローストビーフが売れて、事業になるということはなかなか考えられません。しかし、デフレから脱却できれば、このような超高価なものも売れるようになるでしょうし、上で私が述べたようなこともできるようになる可能性も高くなります。

そうして、今回の安倍総理の大勝利によって、アベノミクスは国民の信任を得ました、安倍総理が8%増税による経済の悪化に対して手を打ち、必要ならばさらに金融緩和を行うことなどによって、日本はデフレから脱却するどころか、成長軌道に乗る可能性も十分あります。

そうなれば、上で述べたような新たなチャレンジもまた可能になることでしょう。そんなときには、上の超高価なロースト・ビーフの企画なども、目立つものではなくなることになるでしょう。その意味では、この企画、これが成功するかしないかは、別にして新たな時代の先鞭をつけるものになるかもしれません。

それにしても、このような試みがなかなかてきなかったのが、デフレの時代です。デフレから脱却できれば、飲食の分野でも、このような新たな試みがどんどんなされるようになり、皆さんの選択肢も増え、財布の紐も緩むというものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年12月5日金曜日

円安倒産、11月が過去最多に 帝国データ調べ―【私の論評】朝日新聞がまた印象操作、この愚かな手口にのせられるな!現実には、アベノミクスの成果で、全体では倒産件数、負債総額とも減り続けている(゚д゚)!

円安倒産、11月が過去最多に 帝国データ調べ

円安倒産は確かに増えてはいるのだが・・・・
円安の影響による企業の倒産が、11月は42件にのぼり、3カ月連続で過去最多を更新したことが4日、帝国データバンクの調査でわかった。海外から調達する原材料や輸入製品の価格が上がり、中小企業の収益を圧迫しているためだ。

「円安倒産」は1~11月で計301件となり、前年同期の2・7倍に達する。業種別では、運輸業や繊維業、食料品などが目立つ。帝国データバンクは「年明け以降も、日銀の追加緩和の影響で円安が進んでいるため、関連の倒産が増えそうだ」とみる。

【私の論評】朝日新聞がまた印象操作、この愚かな手口にのせられるな!現実には、アベノミクスの成果で、全体では倒産件数、負債総額とも減り続けている(゚д゚)!

この種の記事はもう読み飽きました。朝日新聞もまだこのうよな手を使うなんて、もう見え透いた印象操作などやめてもらいたいものです。

こういうときは、原点もしくは原点に最も近いところにあたってみるべきです。

ですから、私もそうしました。

私は、東京商工リサーチのデータを参照しました。下にURLを掲載しておきますので、皆さんも是非ご覧になって下さい。

http://www.tsr-net.co.jp/news/status/monthly/

この中では、現時点では10月のデータが一番新しいので、それを見るようにしました。そのURLが以下のものです。

http://www.tsr-net.co.jp/news/status/monthly/201410.html

このデータの中から下にいくつかピックアップしましょう。


おや、肝心の倒産件数や負債総額はどうなっているかといえば、前年同月比でも前月比でも減っています。

それでは、時系列でみてみるとどうなっているのでしょうか。



あれっ、大体の推移を見てみると、月ごとに凸凹はあるものの、全体右肩下がりで下がっています。

肝心の円安倒産については、どうなっているかを調べてみると、"「円安」関連倒産が24件、2014年1-10月の累計が238件にのぼる"との記載があります。

全国で24件ということですか。ただ、24件と言われても、多いのか少ないのかも皆目見当がつきません。しかし、全体件数は、827件であるとわかっているわけですから、24/827=0.029ですから、まあ3%sというところですか。

3%しかありませんね。確かに増えてはいるようではありますが、この程度のことであれば、特に大騒ぎする必要は、いまのところはないようです。

これが、倒産件数のうち10%以上をしめているもので、かなり増えたというのであれば、大騒ぎする必要もあるとは思いますが・・・・・。

それに、考えてみると、昨年とか、一昨年あたりだと、かなり円高倒産があったはずです。円高倒産に関しては、かなり深刻でした。

平成12年ころだと、まだまだ、円高不況、円高倒産がひどい状況でした。それに関しては、このブログでも掲載したことがありますので、その代表的なものを以下に掲載します。
増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機―【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!
当時のシャープのリストラ策

これは、平成12年8月の記事です。詳細は、この記事ご覧いただくものとして、この記事は当時の円高の悪影響について掲載しました。

そうして、この記事の締めくくりでは以下のようなことを掲載しました。
今後、世界同時不況に見舞われたときにも、日銀が、デフレ・円高政策を堅持すれば、大変なことになります。そんなことは、とうてい許容されるものではなく、勝財務次官にくだされたような、鉄槌が、日銀および、白川総裁にも下されることになると思います。
そうして、私たちは、次の選挙では、増税反対、日銀法改正を訴える政党や、政治家に対して票を投じるべきと思います。
このように書いた通りに、平成13年2月に白川総裁は辞任表明して、任期を待たず辞任しました。そうして、4月からは日銀は、黒田体制となり、ご存知の異次元の包括的金融緩和に踏み切ったわけです。

それから、円安傾向になり、上の記事のタイトルにもあるように、" 1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機"から免れることができたわけです。

それにしても、この朝日の記事、こういった背景も何も説明せず、ただ"円安の影響による企業の倒産が、11月は42件にのぼり、3カ月連続で過去最多"などと掲載しているわけで、印象操作以外の何ものでもないと思います。動物としては、最大の象の一部だけを見て、これは象であると言っているようなのです。

象の足 これだけを見て、象だと思い込むのは間違いではないのか?

国家というものは、生物と同じく生きているものですから、刻々と姿を変えていきます。少し前までは、円高危機というものがあって、これはかなり深刻なものでしたが、昨今では円安状況であり、確かに円安倒産は増えています。しかし、全体の倒産件数、負債増額が減り続けていることからみて、現状の円安はプラス要因とみるべきです。

すべての人、すべての企業にとって、良い為替水準など存在しません。すべての人、すべの企業にとって、良い経済対策もありません。政府としては、なるべく多くの人にとって良くなることを実行するのが理にかなっています。現状で、わずかの円安倒産があるからといって、以前のような円高・デフレ政策をとれば、また元に戻るだけです。そんなことが良いはずがありません。

それに、現状では円高の悪影響を受けている中小企業であっても、今後経済が上向いていけば、これらにとっても良い経済状況になります。特にデフレは、何も良いことはありません。悪いことだけです。これは、経済の病です。一刻もはやく治すべきものです。

さて、今は、円安にかこつけた記事が読まれることから、全体の倒産件数が減少傾向の中で、朝日新聞は、ほんの一部分を拡大して記事に掲載したのだと思います。その過程で円安になり、悪影響が出るのは、やむを得ないことです。何もかも良くしようとすれば、結局大きなものを失ってしまうだけになります。

新聞社ですから、なるべく多くの人々の耳目を惹きつけたいということがあるでしょうから、そうすることも理解はできます。しかし、そうするなら、全体はどうなっているのかも同時に掲載するのが正しい報道のあり方であると思います。

企業倒産は、景気に対して遅行指標(遅れて変化する指標)であることを踏まえ、大きな流れをみるべきです。ちなみに、2013年の倒産件数は1万855件と、1991年の1万723件以来の低い水準でしたこの13年の数値と比較しても、さらに14年の数値よりも低いのです。

これは、どうしたことでしょうか。やはりアベノミクスの第一弾の金融緩和政策による、円安傾向はプラスであったことの証です。

倒産件数、負債総額の長期傾向 クリックすると拡大します

91年以降倒産件数は増加し、98年の1万8988件が最初のピークで、その後減少しましたが、2001年の1万9164件がここ22年間で最悪でした。第1次安倍政権の06年は1万3245件だったのですが、リーマン・ショックのあった08年に1万5646件と再びピークになりました。その後緩やかに減少し、その減少を加速させている。これが実情です。

【追記】12/07

以下のツイートに添付されているグラフをみるとさらにわかりやすいです。

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