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2014年11月2日日曜日

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く―【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く

クルーグマン博士

世界経済の低迷が続く中、海外メディアでは特にユーロ圏の経済危機に警鐘鳴らす記事が目立ちはじめている。多くは、1990年代後半以降の日本を例に挙げ、デフレスパイラルに陥る危険性を論じている。中でもノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙上で「欧米は日本以上に深刻なスランプに陥った」と悲観的だ。

◆クルーグマン教授「我々は今、日本に謝るべきだ」
クルーグマン教授は、日本の「失われた20年」は、「反面教師として、先進国経済が進むべきではない道を示してきた」とNYTに寄せたコラムで述べている。そして、自身も日本が取った政策を批判してきた一人だと記している。しかし、「我々は今、日本に謝らなければならない」と心情を告白。批判そのものは間違ってはいなかったが、認識が甘かったとしている。

それは、欧米が日本の教訓を全く生かすことなく、「起きるはずではなかった」数々の失敗を積み重ね、日本よりもさらに深刻な状態に陥ったからだという。「特に2008年以降の失態は、日本の失敗が霞むほどに大きなものだった」と嘆く。その例として、ドイツをはじめとするヨーロッパの緊縮政策や、「2010年以降のアメリカのインフラ支出の崩壊」を挙げている。また、欧州中央銀行がインフレを予防するために行った2011年の利上げは、「積極的に成長を破壊した」致命的なミスだったと指摘する。

欧米が日本の教訓を生かせなかった理由については、「我々の社会に巣食う根深い格差のためだと思う」と述べている。

この記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?

上の記事は、NewsPicsというニュース・サイトにも掲載されていて、このサイトでは、SNSも使えるようになっていて、このニュースを見た人がどのような感想をもったのか、書き込むことができます。

その内容は、以下のURLからご覧になれます。
https://newspicks.com/news/681080/?topnews=true
同じニュースをみても、受け取る人によって、様々です。中には、クルーグマン氏が、過去の日本のデフレ対策に対する批判をを誤りだと認めたように受け取る人もいます。しかし、それは全くの間違いです。

クルーグマン氏は、一昨日の日本での講演でも「謝罪」しています。しかし、誤った政策提言はしていないと語りました。氏の主張は、講演でも、この記事においても、特にEUは、日本のような間違いはしないと、クルーグマンしが語っていたにもかかわらず、同じような失敗をしてしまったというニュアンスです。そもそも、過去の日本に対する批判そのものが誤りと認めるなら、アベノミクスを好意的に評価するはずもありません。

クルーグマン氏は欧米特にEUは、日本よりもっとまともか、ましなデフレ対策をするに違いないということを前提として、日本の過去のデフレ対策を辛辣に批判してきました。しかし、実際には、特に直近では、EUのデフレ対策は、日本以下であることが明らかになってきました。

EUはメルケルの緊縮政策によって成長力、競争力も明らかに落ちています。自国で赤字国債を発行しない事に満足しているドイツ政府。フェデラル・ファンド金利が0,05%なのに消費者物価指数は思ったほど上昇していません。PIIGSの政府総債務残高(対GDP比)は悪くなる一方です。ユーロ圏の経済危機再燃が懸念されてもおかしくない状況に陥っています。一言で言えば、愚かです。

このような常軌を逸した状況なので、クルーグマン氏は、日本に対して、謝罪をしています。

かつて、日本の失われた10年は欧米からの揶揄の対象ともなったが・・・・・・

いずれにせよ、この記事は引用が断片的にすぎます。できたら、原典にあたりましょう。 以下にURLをあげておきます。
http://nyti.ms/1wKCZks 
この中では、欧米が見習うべき、日本で今起きている事を近々書くと、クルーグマン氏は語っています。楽しみです。

なお、クルーグマン氏が日本に対しての批判を謝罪するのは、今回が初めてではありません。過去に何度か行っています。この謝罪に関して、日本のマスコミは断片的に誤解を招くような報道をしてきました。

これに関して、解りやすく解説しているサイトがあります。

タイトル『クルーグマン「日本に謝罪」の断片的引用にはうんざりですよ』
http://d.hatena.ne.jp/optical_frog/touch/20120527/p1
ここまでご覧になれば、どう考えても、クルーグマン氏が、過去の日本のデフレ対策に対する批判を誤りであったと語っているわけではないことが良くご理解いただけるものと思います。

しかし、上の記事も、虚心坦懐に読めばこのブログにはクルーグマン氏の発言の引用部分しかあげなかったものの、エコノミスト誌や、 カナダの経済紙『フィナンシャル・ポスト』の内容をあげて、EUの経済対策のまずさを指摘しているわけですから、クルーグマン氏の発言の真意を十分汲み取れると思うのですが、一部の人には、そうではないようです。

いかに、思い込みとか、他の情報源の刷り込みによる影響が大きいか、愕然としてしまいます。

EUは日本がかつて歩んだ道を踏襲しようとしている・・・・・・・

それにしても、クルーグマン氏の態度には、潔さを感じます。自らの、経済理論に間違いはないと確信しているものの、その正しい理論で、日本に対して間違った論評・批判をしてしまったことにはすぐに謝っています。この人の、批判はかなり辛辣なこともありますが、こうした謝罪をするということで、誠実さが感じられ憎めません。そうして、こうしたことができるのは、自分の理論は正しいとの自信のあらわれです。

朝日新聞などとはえらい違いです。無論、これはただ謝っているだけではなく、EUに対する強烈な皮肉でもあるのですが・・・・・・・。

日本のエコミストや、識者、政治家、官僚など、後からどう考えてみても明らかに間違いであるようなことを発言しても、全く謝罪の言葉がありません。日銀の元総裁白川氏などその典型中の典型と思います。こういうのを傍若無人とか、鉄面皮というのだと思います。

それにしても、次にNYTに日本への謝罪を寄稿すべきは誰でしょう。それは、当然NYTに寄稿する日本人の反日カルトでしょう。あとは安倍首相の歴史認識や、首相・閣僚の靖国参拝などを批判したNYT編集部と過去20年のNYT東京特派員でしょう。

それはさておき、そもそも、ヨーロッパの人々には、ローマ帝国への憧憬があって、昔から一つにまとまって、強くなろうという意識がありました。古くは神聖ローマ帝国から、ナポレオンの野望、ヒトラーの野望、そうして今日のEU。そもそも、たとえばポルトガルと、ドイツ、スゥエーデンなど各国の経済はあまりにも違い過ぎます。言語と、習慣もかなり違います。宗教も一様ではありません。私自身は、EU統合は、最初から無理があったものと思います。

ヨーロッパの人々には未だローマ帝国への憧憬がある


上で述べたように、同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々です。これは、このような内容を報道するには断片的引用だけでは駄目という格好の事例といえるでしょうか?

私は、断片的引用も駄目ですが、日本では朝日新聞が典型的な例であるようにのあまりにも酷い報道がまかり通っていて、それに多くの人が惑わされたり、扇動されているところがあるという点も考慮しなければならないと思います。

日本のマスコミも、EUや米国のマスコミのように、少なとくも自社が自国の利益と信じる事柄に立脚して報道すべきものと思います。

日本のマスコミは、日本を否定することに立脚して報道しているところがほとんどです。だから、最近では、朝日新聞のように明らかに存立基盤が危うくなってきているだと思います。これは、何としてでも是正すべきものと思います。

それにしても、従来のメディアとは全く異なる、NewsPicsのようなメディアが出てきたことは素晴らしいことと思います。このようなメディアがなければ、私は冒頭のクルーグマン氏の記事を読んで納得するだけで終わってしまったのでしょうが、このサイトの他の人のコメントを読んで、あたかもクルーグマン氏が過去の日本のデフレ対策のまずさへの批判に関して謝罪していると思いこむ人が存在していることを認知して、それに対する反論をコメントしたり、このようにブログに掲載しているわけです。他の人も、大勢そのうようなことをしています。

日本の既存のメディアも、EUももう黄昏時を迎えたのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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