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2018年2月21日水曜日

【国防最前線】政府は部隊・装備の必要性示せ 100%安全な乗り物なし、事故があればひたすら謝罪では…―【私の論評】政府は、装備品の調達システムを変更せよ(゚д゚)!

【国防最前線】政府は部隊・装備の必要性示せ 100%安全な乗り物なし、事故があればひたすら謝罪では…

沖縄県うるま市・伊計島の砂浜に不事着した米軍UH1ヘリコプター=今年1月
 佐賀県での陸上自衛隊ヘリコプターの墜落事故後、政府関係者は平身低頭で、ひたすら謝罪をしている。腫れ物に触るようにわびている姿に、口には出さないまでも憤りを感じている自衛官が全国に少なからずいる。

 「なぜ、殉職した隊員に対する弔意を表さないんだ」と。

 これには、「民間人に多大な被害と迷惑をかけたのだから、当たり前だ」「関係議員や防衛省の苦労を分かっていない」と反論したい関係者もいるだろう。

佐賀県神埼市の民家に陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが墜落した事故で、陸自は7日、墜落現場付近で、
現場検証を続けるとともに、落下した部品などの回収を始めた。写真後方はヘリが墜落し炎上した民家
 事実、基地や駐屯地を置いてもらうということは長年にわたる交渉努力と、防衛予算の中から多大な金額を割いて折衝してきた成果である。だが、悔しい、やりきれない気持ちは隊員たちの偽らざる本音である。政治的な事情など知らない隊員には、政府の姿勢は非情にしか映らない。

 私が事故がある度に感じるのは、国が装備などの安全性を約束しようとするのは無理があるということだ。安全性を追求することは大事だが、その部隊や装備がなぜ必要なのかという「必要性」は、ほとんど語られない。あたかも自衛隊や米軍は迷惑なもので、地元に我慢して置いてもらっているかのようだ。

 防衛予算における基地対策費は多額で、米軍だけでなく地方自治体の要望に応じているものも多い。いずれにしても、訓練の必要性が語られないまま、事故が起これば飛行停止ということを繰り返せば、操縦士や整備員の練度をどう保てばいいのか。100%安全な乗り物などなく、高い安全性を証明できたとしても不安を持つ人がいる限り、理解は得られない。

 一方、米軍機による事故も多発している。米政府監査院などは「訓練時間の不足」「部品が間に合わず整備不良になっている」といった調査結果を公表している。第7艦隊や海兵隊、空軍も、同様の結果となっている。原因は、オバマ政権時代の大幅な予算削減であることは明確なようだ。

 朝鮮半島危機や南シナ海で中国の活動が活発化していることで、警戒・監視の実任務が増えているのに、人や部品が足りないという。

 同じことが自衛隊にも起きている。今回の事故原因と結びつけることは避けたいが現実である。

 佐賀の墜落現場では、自衛隊による機体の回収が続けられている。いつものような災害派遣ではなく、「加害者」となった自衛隊にお礼を言う人もいない。田畑も私有地であれば所有者を探し、お願いすることから始めなくてはならず、途方に暮れる作業だ。

 だが、もし予算不足と任務増加が、日米ともに事故多発につながっているとしたら、彼らは「被害者」である。無意識の加害は他にもあり、航空機が予防着陸すると騒ぎ立てられるが、それに躊躇(ちゅうちょ)して事故になったら、誰が責任を取るのか?

 そうならぬよう、政府には「謝罪よりも必要性の説明」を求めたい。

 ■桜林美佐(さくらばやし・みさ) 防衛問題研究家。1970年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。テレビ番組制作などを経て著述業に。防衛・安全保障問題を研究・執筆。著書に『日本に自衛隊がいてよかった』(産経新聞出版)、『自衛官の心意気-そのとき、彼らは何を思い、どう動いたか』(PHP研究所)など。

【私の論評】政府は、装備品の調達システムを変更せよ(゚д゚)!

上の記事では、装備品の説明責任を果たしていない政府の責任を追求していましたが、自衛隊の装備品に関しては、その調達方法そのものにも問題があります。

8月31日、防衛省は来年度予算の概算要求で、過去最大となる5兆2551億円の計上を決定しました。昨今は概算要求から漏れた装備を当年度の補正予算で購入することが慣例化しており、昨年度の補正予算は約2000億円でした。本年度補正予算を含めると来年度の実質的な防衛予算は5兆5000億円近くなる可能性があります。

では、膨らみ続ける防衛予算は適正に使われているのでしょうか。  

課題は多いです。たとえば自衛隊では米軍と同じ機関銃(ベルギーのFN社のMINIMIをライセンス生産したもの)を採用しています。これは型式が古いうえに、品質的にもオリジナルより劣っているのですが、米軍の10倍の単価約400万円を支払って調達しています。防衛予算を増やす前に不要な支出を抑える努力をすべきでしょう。

諸外国ではどのような装備をいつまでに、いくつ調達を完了し戦力化し、その予算はいくらになるという計画を立てます。議会の承認も必要です。ところが防衛省・自衛隊の調達ではほとんどそれがないのです。

装備にしてもどれだけの数をいつまでに調達・戦力化し、総予算はいくらになるかを明記した計画がなく、国会議員もそれを知らないのです。各幕僚監部内部では見積もりを出してはいるのですが内輪での話であり、議会が承認しているわけではありません。

国会はその装備がいつまでに、いくつ必要で、総額がいくらかかるかも知らずに、開発や生産に許可を与えているのです。このため調達自体が目的化して、いたずらに長期化することになります。

最近の事例では、陸上自衛隊が3月から導入する新しい制服が、全隊員への配布を終えるまで約10年かかることが今月19日、分かりました。15万人分を一括でそろえられるだけの予算確保や生地の調達ができないためですが、陸自隊員には時間がかかりすぎることへの不満や士気の低下への懸念が広がっています。自民党国防族も問題視しており、防衛省に調達計画を前倒しして配布期間を短縮するよう求めています。


これは、たまたま制服の事例ですが、日本で小銃の調達ですら、このような曖昧なことが行われています。

具体例として89式小銃を見てみましょう。1989年に調達が開始された89式小銃は28年経った2017年現在まで調達が完了していません。それでも調達計画がたとえば30年と決まっているならまだしも、それすらも決まっていないのです。諸外国では小銃の更新は6~8年程度、長くても10年ほどです。この少量調達をダラダラ続けているために89式小銃の調達単価は40万円と、同時代の他国の小銃の7~8倍にもっています。

89式小銃
ドイツの状況をみると、日本との差が明確に浮かび上がります。ドイツ連邦軍は現用のG36小銃の更新を計画していますが、12万丁の新型小銃を2019年4月から2026年3月までの7年間で調達する予定で、予算は2億4500万ユーロ(約300億円)と見積もっています。

ただし、2015年にはこのG36が、連射による過熱によって命中精度が著しく低下するという問題について、製造元H&K社・国防総省・軍の3者間で緊張が高まっていました。軍・国防総省は2015年4月の再監査において欠陥は自動小銃の設計上の問題であるとし、これにH&K社は強く反論していますが、2015年7月7日、軍の調達本部(Bundeswehr-Beschaffungsamt)は、H&K社に対し納入分全17万丁の引取りないしは改修を命令するよう裁判所に申し立てていました。これに対しH&K社は同日、国を相手取り「欠陥は認められない」と反訴していました。

ドイツ連邦軍の現用のG36小銃
業者からすれば、一つの小銃の採用が決まればドイツのように短期のうちに、納入するというのであれば、莫大な利益になることは間違いありません。そのため、このような問題も生じるという問題もあります。

ドイツでは新しい小銃の候補はこれから絞られますが、光学照準器や各種装備を装着するためのレールマウントを装備し、同じモデルで5.56ミリおよび7.62ミリNATO弾を使用する2種類の小銃を調達すことになっています。

フレームの寿命は最低3万発、銃身寿命は1万5000発(徹甲弾は7500発)以上が求められています。調達予算には光学サイト&ナイトサイト、メカニカルサイト、銃剣、クリーニングキット、サプレッサー、通常型弾倉とドラム型弾倉、二脚、フォアグリップ、ダンプポーチ、輸送用バッグが含まれており、オプションとして射撃弾数カウンターと2連装弾倉ポーチが挙げられています。こういう情報が、入札が行われるはるか前に公開されているのです。

それに対して日本はどうなのでしょうか。防衛省・自衛隊は国会にこの程度の情報すら公開していないのです。89式に関して国会議員は何丁が、いつまでに、総額いくらで調達されるかも知らないのです。このような過剰な秘密主義は民主主義国家の「軍隊」ではありえないです。防衛省や自衛隊の情報に対する考え方はむしろ中国や北朝鮮に近いかもしれません。

ドイツ連邦軍は、日本の89式調達単価の6割の予算、4分の1以下の期間で、最新式の小銃と豊富なアクセサリーをそろえることができるのです。かつてドイツ連邦軍が旧式のG3小銃がG36に更新したときもおおむね7年程度で終了しています。これが「普通の国」の調達なのです。残念ながら防衛省・自衛隊にはこのような「計画」が存在しません。

なぜ「計画」が存在しないのでしょうか。原因は防衛省・自衛隊の装備調達人員が諸外国に比べて圧倒的に少なく、業務の質も高くないことにあります。このために当事者能力が欠如し、調達のあり方が「無計画」にならざるをえないのです。

たとえば主要装備などの仕様書をメーカーに丸投げしているのは公然の秘密です。競争入札で特定の企業が仕様書を書けば、当然自社に有利な仕様書になります。これでは競争入札の意味がありません。また調達されている装備が適正かどうかをチェックする人員もいないのです。

防衛装備庁の人員は総兵力24万7000人に対して約2000人だ。他国の国防省や軍隊と単純比較はできないが、予算規模や人員の規模が近い英独仏などの主要国の国防省と比べると、人員が1ケタ少ない状況です。

総兵力15万5000人の英軍を擁する英国防省の国防装備支援庁の人員は約2万1000人(対外輸出関連部門はUKTI、通商投資庁に分離統合されたので、実態はさらに大きい)です。兵力がわずか2万2000人のスウェーデン軍の国防装備庁ですら3266人を擁しています。自衛隊の調達人員がいかに少ないかがわかるというものです。

スウェーデン国防軍最高司令官の日本訪問 平成27年3月2日(月)
人数が少ないだけではありません。そのうえ効率も悪いです。これは先述のように自衛隊の装備調達が長期にわたって少量ずつ行われるためです。諸外国が5年ほどで完了する調達を20年かけて行っていたりするのです。

仮に調達ペースが諸外国の1万人に対して1000人、調達期間が4倍だとしましょう。装備調達というものは1個調達しようが1000個調達しようが、同じ人員が拘束されるのです。そのため防衛省の調達人員の生産性は諸外国の4分の1程度になります。つまり1000人の人員は250人しかいないのと同じです。これは10倍の人員の差が実に40倍になってしまう計算です。

効率が悪いために、東京・市ヶ谷の防衛省、防衛装備庁、内局、自衛隊の各幕僚監部の調達担当者は極めて忙しく仕事をしています。帰宅は恒常的に遅く、防衛省に寝泊まりすることも少なくないです。各部隊など地方調達の担当者も同様です。長時間の過重労働が恒常化しています。調達システムに問題があり、生産効率が低いためです。システムの構造的な欠陥を現場のガンバリズムで支えているのが現状であり、調達システムを見直すような余裕はありません。

効率的な調達システムを採用し、調達期間を短縮するだけで、人員を増やすことなく、現在の調達人員を数倍に増やすのと同じ効果を得ることが可能なのである。調達改革を早急に行うべきでしょう。

自衛隊というと、最新式の装備の導入が話題になったり、憲法改正のことばかりが話題になりますが、装備品の必要性に関する説明責任がじゅうぶんなされず、さらに調達方法がこれだけ歪なのですから、まずはこのあたりを大改革を行うべきです。

まずは、政府としては防衛大綱に直接結びつく、自衛隊の装備品に関してそれがなぜ必要なのか、説明責任を果たすとともに、装備品の調達システムも変更して、効率をあげるべきです。

仮に、最新鋭の装備品が導入され、憲法が変わったにしても、このあたりが変わらなければ、何も変わらないのです。私は、自衛隊に関しては憲法改正の前にやるべきことは、山積していると思います。

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2018年1月12日金曜日

謝った「ノストラダムス」作家 財政破綻の予言も外れっぱなし、そろそろ謝罪していいのでは―【私の論評】財政破綻派は謝罪しないというなら破綻して無害な存在になれ(゚д゚)!

謝った「ノストラダムス」作家 財政破綻の予言も外れっぱなし、そろそろ謝罪していいのでは

ノストラダムスの肖像画 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 1970年代に『ノストラダムスの大予言』がベストセラーになった作家、五島勉氏のインタビューが話題になっている。「1999年7月に人類が滅亡する」と信じた子供や若者は多かったが、現実にはならず、五島氏は「当時の子供たちには謝りたい」と述べたという。

五島勉さん。昨年88歳になった
 一方、経済分野での有名な「予言」といえば、「日本の財政は破綻する」というものだ。これもノストラダムスと同様、現実にはなっていないのだが、謝罪した人がいるとは聞いたことがない。

 財政破綻の問題は、一部の好事家だけの対象ではなく、経済学者の間でも心配する声は大きい。東京大学金融教育研究センターでは、主要な国内経済学者をメンバーとして「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」を2012年6月から14年10月まで開催していた。その問題意識は「もはや『このままでは日本の財政は破綻する』などと言っている悠長な状況ではない」とし、「財政破綻後の状況や破綻後に直面する国民的課題・政策課題に焦点を合わせた議論・研究を開始する必要がある」というものだった。

『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会のメンバーリスト
 経済学者による「財政破綻本」もかなり出ている。10年11月には『日本経済「余命3年」』、13年2月には『金融緩和で日本は破綻する』という書名の本も出版されたが、破綻は現実には起こらなかった。財政破綻は面白い材料なのか、ほかにも類書は少なくない。



 財政破綻を20年近くも主張している国会議員もいる。筆者が国会に参考人として呼ばれた際、「予言は当たっていない」と指摘すると、「当たっていないことは認めるが、言わざるを得ない」と述べていた。実現したら困るので、根拠がなくても言う必要があるというのでは、ノストラダムスの予言と大差ない。

 元財務官僚の筆者の経験からいっても、財政当局は、国内では財政破綻論は増税の根拠にできるので、放置している。むしろ、財政破綻論を書きたい著者には財政資料をレクチャーするなどして後押しすることもある。10年6月の『絶対に受けたい授業「国家財政破綻」』はその典型例だが、一方で「財政破綻しない」という筆者の意見も掲載されている希有な本だ。


 財政破綻を信じる人はさまざまだ。財務当局やマスコミが訴える「財政危機論」を信じているだけの人も多い。

 東大の研究会の場合、債務残高対国内総生産(GDP)比が他国に比べて大きく、財政が維持できないことが数式で示されている。しかし、その式が成立するには、単なる債務残高ではなく「ネット債務残高」である必要がある。

 バランスシート(貸借対照表)の右側(負債)だけでなく、左側(資産)を含めた両方を見る必要があるのに、東大の研究会では誤解しており、その誤解が直されないままその後の議論が行われている。

 間違った前提から正しい結論は導かれないので、予測が外れるのはある意味当然だ。東大の研究会は活動を停止したらしいが、関係者は謝罪してもいいのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政破綻派は潔く謝罪せよ(゚д゚)!

ブロク冒頭の記事にでてくる、五島勉氏のインタビューでの謝罪とは、週刊文春のインタビュー記事にでてくるものです。その記事は文春オンラインでも読むことができます。以下のそのリンクを掲載します。


作家・五島勉インタビュー #1

以下に文春オンラインのインタビュー記事から、五島氏の謝罪の部分だけ掲載します。

五島 弁解するわけではないんだけど、私は「大予言」シリーズの初巻の最後に、「残された望みとは?」という章を書いていて、予言を回避できる方法がないか考えようと言ってるんです。もちろん、米ソの対立とか核戦争の恐怖とかがあって、ノストラダムスが警告した状況が来ることは間違いない。それは破滅的なことかもしれないけど、みんながそれを回避する努力を重ねれば、部分的な破滅で済むんだということを書いたんです。だからこの本は、実は部分的な破滅の予言の本なんです。 
 だけど、私がこの本を書くとき、ノンフィクション・ミステリーという手法に挑戦したことで誤解を生んでしまった。ミステリーが最後にどんでん返しをするように、初めに全滅するんだと書いておいて、最後になって人類が考え直して逆転して、部分的な破滅で済むんだと、それに向かって努力しなければならないと書いたんです。だけど、ここのところをみんな読まないんです。 
―― たしかに多くの人が、1999年7月に全滅するんだと信じていましたね。 
五島 ただ、私はそのことをちゃんと主張できるけど、当時の子どもたちがね。まさかこんなに子どもたちが読むとは思わなかった。なんと小学生まで読んで、そのまま信じ込んじゃった。ノイローゼになったり、やけっぱちになったりした人もいて、そんな手紙をもらったり、詰問されたりしたこともずいぶんありました。それは本当に申し訳ない。当時の子どもたちには謝りたい。
私は、「ノストラダムスの大予言」と、その続編の「続ノストラダムスの大予言Ⅱ(五島氏著)」も読みました。そのため、五島氏の主張は理解していました。

その当時の理解は、確かに世界の破滅はあり得るが、努力すればそれは回避できるだろうというものでした。



そうして、成年に達ししばらくすると、この書籍のことはほとんど忘れてしまいました。特に経営学の大家ドラッカーの書籍を読むようになってからは、ほとんど忘れてしまいました。

特にドラッカー氏が著書の中で未来予測について、以下のように語っていることを知り、未来予測は全く無意味であることを納得しました。

「未来を予測しようとすることは、夜中にライトをつけず、リアウィンドウを見ながら田舎道を運転するようなものだ。」

日本が滅多なことで財政破綻しないことはこのブログでも何度か掲載してきました。以下に新たにその根拠を掲載します。日本が財政破綻しないことなど、1分もあれば論破できます。

その意味では、この書籍は今の私にとっては、何の影響力もありません。おそらく、多くの人がこのような状況にあるものと思います。

それでも、五島氏は謝罪と、あの書籍の意図したことをはっきりとインタビューで応えています。これは、なかなかできないことなのかもしれません。

実際、多くの「財政破綻論者」が今でも謝罪などしていません。しかし、「日本が財政破綻しないこと」はあまりにもはっきりしており、このブログでも何度かその理由を掲載してきました。本当にこれは、1分もあれば論破できることです。以下に再度論破してみせまょう。

細かな数字は脇に置いて、日本の借金は1000兆円とされます。一人当たり800万円となり、一般家庭に置き換えて、給料が40万円なのに90万円の使っていて、1000万円の借金がある。だから破綻する。こう脅す説明では「日本の資産」について触れません。

無駄な支出は減らすべきですが、日本には大雑把にいって700〜800兆円の「資産」があります。こういうと、財政破綻論者は「ドヤ顔」で、資産はすぐ売れるとは限らないからやっぱり危ないといいます。しかし、それも論破できます。「資産」といった場合様々なものがありますが、日本政府の資産で一番大きいの純金融資産です。すぐに換金できるものがほとんとです。

金融資産とは、政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です。

もしそれらを回収したらどうなるかといえば、仮にこれらを民営化か廃止すれば回収ということになりますが、政府が破綻するということはまったくなく、役人の天下り先がなくなるだけの話です。

つまり、日本の借金なるものは200〜300兆円で、これはかなり大きいと見る人もいるかもしれませんが、世界水準でGDP比で見れば、決して突出した数字(割合)ではありません。このような見方をすれば、米英よりも少ないです。

財政破綻派が、1000兆円の借金と切り出した時点で「嘘」と思って間違いないです。

さらに、借金といえばサラ金や銀行からの借り入れをイメージしますが、日本国の借金の大半は「国債」によります。日本国債を買うのは国民や国内企業・金融機関です。外国の機関投資家などが購入するのはほんの数%にすぎません。これをわかりやすく例えれば、親が子どもから金を借りているようなものです。

つまり家庭内でお金が循環しているということで、これで家計が破綻した事例などありません。

「財政破綻論」を主張していた方々は、高橋洋一氏が主張しているようにやはり謝罪すべきと思います。そうでないと、主張していた方々自身が次のステップに進むことができないでしょうし、何よりも多くの人々に誤解を与えたままになってしまいます。

私の経験でいうと、私の母がなくなってから少ししてから、もう使わなくなった母のお茶の道具類を、古物商に引き取りにきていただいたのですが、その時の鑑定士が女性でしたが、その女性が「円が心配、無価値になるのでは」と語っていました。この女性は日本の財政破綻を心配しているようでした。

その、女性はそのような心配は全くないことを、上記のような説明も加えながら話をしました。このような無用な心配を多くの人々にさせるのは、本当に良くないことだと思います。財政破綻派があくまで謝罪しないというのなら、ご自身が破綻すべきと思います。

破綻して、発言力も何もなくなり、無害な存在になっていただきたいです。

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2016年12月27日火曜日

安倍首相が真珠湾で謝罪する必要がない理由―【私の論評】安倍首相が謝罪すべきでないもう一つの理由(゚д゚)!


日米の絆を認め未来を向いている米国の元軍人たち

旧日本軍による米ハワイの真珠湾攻撃で犠牲となった人々を追悼し、
米首都ワシントンの国会議事堂に半旗で掲げられた米国旗(2016年12月7日撮影)

 安倍晋三首相が12月27日にハワイの真珠湾を訪れ、75年前に旧日本軍が行った奇襲攻撃で犠牲になった米国軍人たちの霊を悼む。

「安倍首相は真珠湾で日本軍の攻撃について謝罪や釈明をすべきだ」という主張も一部から聞かれる。だが、米国側の日米戦争への認識を長年考察してきた立場からすると、そんな必要はもうまったくないように思える。米国側の怨讐にはとっくに終止符が打たれ、日米両国の今後の友好を重視する姿勢が明白だからだ。

 日本軍と激しく戦ったブッシュ氏の言葉

 1991年12月7日の真珠湾50周年の式典でも、そんな米側の日米戦争への認識と態度を確認することができた。

 1991年は米国にとって、真珠湾で日本軍の奇襲攻撃を受け、日本との開戦、第2次世界大戦への参戦へと突き進むことになった歴史の転換点から半世紀という年だった。

 式典は、日本軍が沈めた戦艦アリゾナの残骸の上に建てられたアリゾナ記念館で催された。私はこの式典を取材するためワシントンからホノルルへと飛んだ。

 その時点では、日本軍の攻撃を受けたときに真珠湾の米軍基地で軍務に就いていた将兵たちの約1万2000人が健在だとされていた。その元将兵たちは「パールハーバー生存者連盟」という組織をつくっていた。そのうちの約6000人がこの式典に参加することになっていた。その人たちの間では「多くの戦友が日本軍のスニークアタック(だまし撃ち)に不意をつかれ殺された」という非難の声が出ていた。


 そのため私は、ワシントンからホノルルまでの長い飛行機の旅で、その元米軍人たちと乗り合わせ、日本人だという理由で難癖をつけられたり非難されたりするのではないかという懸念を少なからず抱いていた。

 だが、実際には私が元米軍人たちから非難されるようなことはまったくなかった。

 真珠湾の式典でも、当時のジョージ・ブッシュ大統領はそんな私の懸念をあっさりと一掃する内容の演説をした。

 ブッシュ大統領は過去の戦争へのネガティブな思いを一切述べず、以下のように語ることで現在および将来の日米両国の和解と友好を強調した。

「日本とはもう完全に和解を果たした」

「私は日本に対してなんの恨みも持っていない」

「戦争での最大の勝利は、かつての敵国で民主主義が実現したことだ」

「いまやもう罪をなすりあう時ではない」

 広く知られているように、ブッシュ氏は米海軍の最も若いパイロットの1人として日本軍基地への爆撃に何度も出動した。そして小笠原諸島の日本軍基地を空から攻撃した際は、地上からの砲火を受けて、乗っていた戦闘機が墜落した。ブッシュ氏はパラシュートで脱出し、文字どおり九死に一生を得た。

 そんな日本軍と激しく戦った経歴があるブッシュ氏が、戦争での怨讐はもう完全に過去のものと表明した点はきわめて意味が大きかった。

 日本軍を称賛した元海兵隊の議員

 過去の戦争の経緯をあえて振り返ることはせず、日米両国が戦後に果たした和解と友好、そして普遍的な価値観の共有を大切にする、という態度は、ブッシュ大統領をはじめ日本軍と実際に戦った経験のある米国人たちの間で特に顕著だった。

 しかも、米軍と戦った日本軍の将兵の武勇を称えるという態度さえ頻繁に感じられた。私自身、新聞記者としてワシントンを中心に米国に通算25年以上駐在する間、日米戦争の体験者に数えきれないほど会ったが、いつもそうした印象を受けた。

 たとえば、私がワシントンに毎日新聞の特派員として最初に赴任した1970年代後半に取材を通じて知りあったジョン・チェイフィー上院議員は、海兵隊員としてガダルカナルと沖縄の両方の戦闘に参加していた。私は当初、そのことを知らなかった。本人がまったく触れなかったからだ。

 ところがある機会に自らの戦歴を語った同議員は、日本軍の勇猛さや規律を賞賛し、日米の戦後の友好がいかに価値ある絆であるかを力説した。その語調には日本の軍事行動を批判するという気配はツユほどもなかった。

 私はさらに、南太平洋のブーゲンビル島上空で山本五十六提督の乗機を撃墜したという米軍パイロットや、中部太平洋のタラワ島の攻略戦で日本軍を全滅させた海兵隊の将校からもじっくりと話を聞く機会を得た。終戦からすでに40年以上が過ぎており、かつての敵国だった日本を非難する人は誰もいなかった。

 みな、「両国の国益が不可避な形で激突し、戦争となり、両国とも死力を尽くして戦った」という認識を抱いているようだった。米国は完全に勝利し、日本は敗北の代償をさんざんに払ったのだから、どちらが悪かったのか、というような議論を蒸し返す必要はまったくない、という姿勢だった。日本の敗北の代償にはもちろん原爆の被害や東京裁判での懲罰も含まれる。

 こうみてくると、真珠湾攻撃から75年、終戦から71年経った今、日本の首相が戦争行動を改めて謝罪すべきだという必然性はどこにも浮かんでこないのである。

【私の論評】安倍首相が謝罪すべきでないもう一つの理由(゚д゚)!

米国軍人らが、日本軍の敢闘精神を賞賛し「両国の国益が不可避な形で激突し、戦争となり、両国とも死力を尽くして戦った」という認識を抱いていること、米国は完全に勝利し、日本は敗北の代償をさんざんに払ったのだから、どちらが悪かったのか、というような議論を蒸し返す必要はまったくない、ということから、安倍首相は全く謝罪をすべき必要性が見当たらないという意見は私も大賛成です。

しかし、他にも安倍総理が謝罪する必要性がない理由がもう一つあります。そうして、これは米国のまともな保守派には良く理解されていることです。そうして、当然のことながら、これはまともな保守派も多い、多数の軍人にも理解されていることでしょう。

そうしてこうした、まともな保守派が今回の米国大統領選で、トランプ氏が勝利する大きな原動力になったいたということも注目すべきです。

さて、日米戦争の原因として、主に日本側とアメリカ側の要因だけが顧みられことが多いです。しかし、単に両者の要因だけで日米戦争が起きたわけではありません。

実は当時、日米間に戦争が起こって欲しいと熱望していた、第三者の存在があったのです。そして結局それが、日米戦争に火をつけました。


その第三者とは、当時ソ連のモスクワに本部をおく「コミンテルン」(国際共産主義組織)です。コミンテルンは、「世界中を共産主義化する」という野望を抱いて行動していた人々です。

コミンテルン第7回大会、下の写真中列右から2人目は片山潜
共産主義は、目的達成のためには手段を問いません。彼らは世界の列強同士を戦わせ、それらの国々が戦争で弱体化したところをねらって、その国に共産主義革命を起こし、共産主義化する戦略を立てていました。

つまり「夷(い 外国)をもって夷を制す」の考えです。20世紀におきた多くの騒乱や、局地戦争、また大東亜戦争を含む第二次世界大戦など、世界中の大半の戦争に、共産主義者の謀略が関与していました。

コミンテルンは、世界中に戦争の種をばらまいたのです。私たちは、人間は平和主義者ばかりではないことを、知る必要があります。コミンテルンは、日米間に戦争を起こしたいと欲しました。それによって両者を弱体化させ、そこに共産革命を起こし、両者とも共産主義化しようと謀略を企てていたのです。

この目的のためには、アメリカ人の日本に対する怒りを積もらせる必要があります。その目的のもとに共産主義者がつくったのが、偽書「田中上奏文」です。

田中上奏文(たなかじょうそうぶん)とは、昭和初期にアメリカ合衆国で発表され、中国を中心として流布した文書で、第26代内閣総理大臣田中義一が1927年(昭和2年)に昭和天皇へ極秘に行った上奏文とされ、内容は中国侵略・世界征服の手がかりとして満蒙(満州・蒙古)を征服する手順が説明されています。

日本では偽書とされ、当時中国で流布していることに対して中国政府に抗議したところ、中国政府は機関紙で真実の文書ではないと報じましたが、その後の日中関係悪化にともない1930年代に中国は反日プロパガンダにこの文書を利用し、日本は国連などでも答弁を求められましたが各国は中国を支持し、日本は国際社会で孤立し外交的に敗北することになりました。

1927年当時にはすでに死去している山県有朋が登場する等、事実関係の誤りが多いため日本の歴史家のほとんどは上奏文としては怪文書・偽書としていますが、作者については諸説あり不明です。これは、結局のところ日本を悪者に仕立て上げたものでした。

当時の米国国防長官 コーデル・ハル
さらに、日本がアメリカとの戦争を決意させたのは「ハル・ノート」です。これは、太平洋戦争開戦直前の日米交渉において、1941年(昭和16年)11月26日(日本時間11月27日)にアメリカ側から日本側に提示された交渉文書です。この内容は過激であり、実際後世の国際関係学者などが言うところでは「このような内容をつきつけられれば、戦争するのは当然」とするほどのものです。

このハル・ノートですが、じつはもともとハル国務長官自身が最初に用意した原案は、もっと穏やかなものでした。それは日本側が呑める内容でした。それがもし実際に出されていたら、日本側は呑んだでしょう。そして日米戦争は起こらなかったに違いありません。

しかし、そののち実際に日本につきつけられたハル・ノートは、強硬で無茶苦茶な要求となっていました。その原稿を書いたのはハル長官自身ではありません。財務省補佐官のハリー・ホワイトなる人物でした。

日米戦を炊きつけた、稀代の大悪人 ハリー・ホワイト

それをルーズベルト大統領が気に入り、これでいけ、ということになり、ハル長官から野村大使に手渡されたので、以後「ハル・ノート」と呼ばれるようになりました。

ハル・ノートを書いたこのハリー・ホワイトは、共産党員であり、ソ連のスパイであったことが、戦後明らかになりました。

終戦後に、エリザベス・ベントレイというソ連のスパイが逮捕されたのですが、彼女は、ハリー・ホワイトは共産党エリートだと証言したのです。また、ウイタカー・チェンバースという元共産党員の男も、ホワイトはソ連のスパイだと告発しました。

こうしたスパイ疑惑のなか、ホワイトは審問期間中に突然、不審な死を遂げます。その死に方は、事故死か自殺のようにもみせかけられていましたが、コミンテルンに消されたというのが大方の見方です。

このように、ハル・ノートが対日強硬要求となった背景には、日米間に戦争を起こそうとするコミンテルンの謀略があったのです。

そうして、日本側もアメリカと同様に、近衛内閣にはコミンテルンが深く浸透していたことは、明らかになっています。

大東亜戦争直後の米進駐軍の司令官だった、ダグラス・マッカーサーは、朝鮮戦争に赴き、現地を調査した結果「当時の日本はソ連と対峙するため朝鮮半島と満州を自らの版図としたのであり、これは侵略ではない。彼らの戦争は防衛戦争だった」と後に公聴会で証言しています。

ダグラス・マッカーサー
そうして、この事実は、従来からそうではないかと憶測されていましたが、ヴェノナ文書が明らかにされてから、事実であることが明らかになりました。

これについては、米国保守層も理解するところで、草の根保守を牽引してきた「保守のチャンピョン」フィリス・シュラフリー女史は、「ルーズベルトが全体主義のソ連と組んだのがそもそも間違いだ、さらにルーズベルトはソ連と対峙していた日本と戦争をしたことが大きな間違いだ」としています。

フィリス・シュラフリー女史
草の根保守の大きな動きによって、今回トランプ氏が大統領になったわけですから、このあたりのことは、米国の保守層の多くには、周知されていることでしょう。

そもそも、本当は日米は戦争をする必要はなかったのです。本来戦争するべき相手は当時のソ連だったです。

このことが、日米双方の保守層だけではなく、日米のもっと多くの人に知られるようになれば、日米関係はもつと実りあるものになることでしょう。

今回の、安倍首相のパールハーバー訪問がそのきっかけになっれば良いと思います。そうして、上に述べたことからも、安倍首相が戦争責任を改めて謝罪する必要はありません。もし謝ってしまえば、日本だけが悪くて、旧ソ連の悪行、ルーズベルトの悪行、コミンテルンの悪行をなかったことと認めることになるからです。だから、絶対に謝罪してはならないのです。


【日露首脳会談】中国、日露連携を警戒「包囲網」強化に対抗―【私の論評】会談のもう一つの目的は、ロシアを安全保障のダイヤモンドの一角に据えること(゚д゚)!




2016年4月19日火曜日

【熊本地震】「食料最低限なのに…」MBS山中アナ、取材用弁当写真をツイッターに上げ批判続出 「配慮欠けた」謝罪―【私の論評】自己満足だけで、被災地に支援物資を送ったり赴く「意識高い系」にはウンザリ(゚д゚)!

【熊本地震】「食料最低限なのに…」MBS山中アナ、取材用弁当写真をツイッターに上げ批判続出 「配慮欠けた」謝罪





熊本地震を取材していた毎日放送(MBS、大阪市)の山中真アナウンサー(39)が、取材用弁当の写真を自身のツイッターに投稿し、相次いで批判を受けていたことが19日、わかった。同アナはすでに「配慮に欠けた行為」と謝罪し、写真などを削除した。

■山中アナ「やっと1食目…手に入りにくい」、ネット上「なら持参しろ」

同局などによると、山中アナは「前震」発生翌日の15日から熊本に入り、精力的に取材。同日放送の生ワイド番組「ちちんぷいぷい」などで報告した。

問題となったツイートは16日夜に投稿された。揚げ物などが入った弁当の写真とともに、〈やっと今日の1食目。食料なかなか手に入りにくいです〉とのつぶやきを書き込んだ。

この直後、ツイッター上には〈食料飲料が最低限なのに〉〈あなた以上に現地の方は食料を求めているでしょうに〉〈食糧持参しろよ〉といった趣旨の反応が相次いだという。

山中アナはその後も、ラーメンを食べる予定などを投稿したが、18日夜になって、〈被災者のみなさんに不快な思いをさせてしまいました。配慮に欠けた行為で申し訳ありませんでした〉と謝罪し、写真など一連の投稿を削除した。

弁当は同局取材班が購入したもので、被災者に支給予定だったものを横取りした-などとする指摘は否定したものの、「被災者の方々に対して配慮を欠いた行為で、おわびするしかない」(広報)とし、詳しい経緯を調べている。

熊本地震の取材をめぐっては、関西テレビ(大阪市)の中継車がガソリン給油の行列に横入りしたとして非難を浴びたばかり。

【私の論評】自己満足だけで、被災地に支援物資を送ったり赴く「意識高い系」にはウンザリ(゚д゚)!

関西のテレビ局が行った被災地での取材時における不祥事に関するニュース以下に2つをあげておきます。

■カンテレ謝罪、地震取材車ガソリンスタンド割り込み(日刊スポーツ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160419-00000015-nksports-ent

■MBS山中アナ、取材用弁当写真をツイッターに上げ批判続出 「配慮欠けた」と謝罪(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160419-00000545-san-soci

カンテレの列の割り込みは確かに褒められたことではありません。謝罪を行っていることから事実であったと想定されます。これは確かに良くないことと思います。

益城町役場前に避難した人々に6強の余震が襲った =15日午前0時3分、熊本県益城町
しかし、MBSの山中アナの件に関しては、ニュースを読んだ限りでは多少可哀想な気がしなくもありません。取材で丸1日頑張って、夜中になってやっとお弁当にありつけた。彼は、そんな過酷な取材現場の状況を伝えようとしたのでしょう。それによって、現地の状況を伝えようとしたのでしょう。しかも、それはテレビ報道でもなく、新聞でもなく、MBSの公式ツイートでもありません。あくまで、山中真氏の個人ツイートです。

ただし、記事を見ているだけでは、どのような状況であったのかが良くわからず、何ともいえない部分もあります。

たとえば、取材に行ったとしても、何人のクルーで行ったのかとか、どのようなルートで、どのような方法で現地に行ったのかなどの情報がないので何とも言えません。

多人数で現地まで、多少大きめの車両で行ったとしたならば、食糧品・飲料なども携行すべきだったと思います。人数が多ければ、確かに何人か現場に滞在しただけでも、相当の食料・飲料を消費することになるのは、最初からわかることです。

そうでないとしても、食糧品や飲料も携行させないで現地に取材に行かせて、現地で飲料・食料を調達させるような出張のさせかたをしたというのなら、これは非常に問題です。そもそも、これでは、クルーを生命の危険に晒すことにもつながります。これは、山中真アナウンサー一人の問題ではなく、そのような形で出張に行かせた責任者にも問題があります。

現地では、食糧品や水がなかなか入手できないということは十分予想できたはずですから、当然のことながら、数日分の食料・飲料を持たせた上で、現地に赴かせるべきだったでしょう。かなり多めに飲料・食糧など携行させ、現地の本当に困っている人たちに分けてあげることなどができれば、ベストだったと思います。

しかし、MBSを含めマスコミは、そのようなことには無頓着なようです。以下のようなツイートがありました。


それにしても、この取材クルーの送り方は、自衛隊などのやり方と比較すると対照的です。さすがに自衛隊は、そのあたりは上のほうから厳しく命令されているせいか、しっかりしています。

私の記憶では、東日本大震災のときにも、現地に赴いた自衛隊員は、現地で温かい食べ物を炊き出していながら、自分たちはそれを食べずに、大型車両やテントの中で、冷たい缶詰の携行食料を食べていました。その様子を見た取材陣が、「そのようなものだけいいのですか?」と質問をされると、質問された自衛隊員は「自分たちはこれで良いのです、温かい食事は被災者の方々のためのものです」と語っていました。このような、自衛隊のやり方は、おそらく熊本の震災救援活動でも踏襲されていることでしょう。

東日本震災時 被災地で携行食料の缶詰を黙々と食べる自衛隊員たち
私自身は、そこまでする必要があるのかと思うほどでした。ただし、自衛隊といういわば自己完結型の軍隊組織と、テレビ局の取材クルーを同次元で比較すること自体が最初から間違いなのかもしれませんが、やはり現地に赴かせる側としては、食糧・水などある程度は携行させるべきだったでしょう。このあたりは譲れないところです。

さて、このアナウンサーは無頓着に、現地で調達をした食事の写真をツイッターに掲載して、炎上してしまいました。このツイッターに対して、返信した人たちはどのような人なのでしょう。

被災地のはるか遠くから、テレビを見ながらマスコミ批判をしていれば満足する下品な輩もいるかもしれませんが、そうでない人もいることでしょう。

実際、ツイッターを見ていると、被災地の人々の苛立ちのツイートが散見されます。以下にいくつかあげておきます。

このようなツイートは結構多く、内容などから確実に被災地の人のものであるとわかるものもあります。

さらに、交通渋滞に関して以下のようなツイートもあります。


さらに、あまりの交通渋滞の酷さに、道路の混み具合を示した写真付きで、はっきりと、個人のボランティアは、はた迷惑というツイートをしている被災地の人もいました。

さてマスコミに限らず、一般人でも善意で被災地のために何かをやろうとして、その結果として現地の人に迷惑をかけたり、二次災害に繋がることもあるようです。

それに関して、いくつかの記事を読んだので、その内容を以下に簡単にまとめておきます。

まず基本的なことですが、第二の災害を生むのは「間違った善意」であるということです。この場合の「間違った」とは、現地ニーズを把握していない、あるいは勘違いしているという意味ですが、「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」というまとめサイトでは、「不要なもの一覧」として以下のものが挙げられています。ネットには他にも東日本大震災のときに送られて不要だったもの、というか(ハッキリ言って)迷惑だったものがリストアップされていますが、どこの情報も概ね同じです。

以下、引用(「いまだから言える『要らなかった支援物資』 - 東日本大震災【第二の災害】」より)
◎不要なもの一覧
1、千羽鶴・応援メッセージや寄せ書き
2、成分表が読めない海外食品(アレルギー成分がわからないため)
3、冷凍食品(冷蔵庫が使えないため)
4、保存食以外の食料(缶詰・瓶詰・カップ麺も賞味期限が切れたものは不安)
5、古すぎる古着・洗濯していない毛布・布団・下着など
6、自分で食料などを確保できないボランティア
今回の熊本地震に関しては、いまだ「緊急支援の段階」なので、必要とされるモノも比較的分かりやすいです。熊本市のウェブサイトにも「必要とされるもの」リストが掲載されています。

以下、引用(「熊本市ウェブサイト」より)
【必要物資】
長期の避難生活に必要なもの
・飲料水
・アルファー米(断水のため炊飯ができません)
・カップめんなど保存ができる食料品
・ウェットティッシュ
・おしりふき
・生理用品
・紙おむつ(大人用、子ども用)
・トレットペーパー
・粉ミルク
など
※なお、配送に時間がかかる場合がありますので、生ものや傷みやすいものはご遠慮ください。
当面はこれらの物資を送っておけば、間違いはありません。しかし、それで万全というワケでもありません。単純にこれらを送れば良いと思い、個人で郵便局や宅配業者を用いて、発送するととんでもないことになってしまうこともあります。

善意の支援物資が被災地の負担になる場合も…(画像は記事とは無関係です)
千羽鶴や応援メッセージ、汚れた古着や使用済みの毛布など、被災地に届いても「処分」するしかない品々もあります。95年の阪神淡路大震災の際には、こうした「使用できない救援物資」の処分で、被災した自治体が2800万円の費用を投じたケースもあります。

熊本、大分両県で20万人近い避難者が発生した今回の地震。2016年4月17日から翌18日にかけ、各メディアの報道では、熊本市内にある避難所での「救援物資不足」が伝えられています。こうした状況を受け、救援物資を被災地へ送ろうと呼びかける動きがネット上でも加速しています。

こうした状況の中、ツイッターには「#被災地いらなかった物リスト」とのハッシュタグが登場。東日本大震災を経験したという複数のユーザーが、「千羽鶴・寄せ書き」や「古着」、「生鮮食品」といった品々を挙げ、「送らない方がいい」と呼びかけています。

実際、今回の地震を受けて福岡市が呼び掛けた支援物資提供の協力依頼でも、受け入れ品をペットボトルの水や未使用のタオル・毛布の6種類に限定。福岡市コミュニティ推進課は「指定した以外の物品をお持ちになられる方もいるのですが、お断りしているのが現状です」としています。

それだけでなく、個人が被災地に救援物資を送ること自体が「被災地にとっては『ありがた迷惑』となる可能性がある」と指摘する声も出ています。ツイッターやネット掲示板などを見ると、
「お願いだから、むやみやたらに救援物資を送らないで...」
「一時的な感情で小口の物資を送っても被災地の負担とゴミを増やすだけ」
「救援物資を個人で送っても現状は届けられない、被災地の負担にしかならない」
との声が複数見られます。こうした意見の背景には、過剰に集まった支援物資が被災地の「負担」になってしまった事例があります。

熊本地方などを襲った大地震による道路被害をうけ、ヤマト運輸、日本郵便が熊本県宛て荷物の集荷、配達を一時中止しました。しかし、今なお全国各地の宅配便営業所、郵便局に支援物資を持ちこむ人は絶えないそうです。

そんな「善意の人」が、窓口職員といざこざを起こした事例も報告されています。少しでも被災者の力になりたいという人々の思いが空回りする様子が浮かび上がってきました。

ヤマト運輸では16日より熊本宛の荷物の集荷、配達を一時中止している
「ご納得いただけないお客様もいらっしゃるようで...」ヤマト運輸の広報担当者はメディアの取材にこう話したそうです。同社は 16日より、熊本県宛ての荷物の集荷、配達を一時的に中止しています。18日17時30分現在、各営業所では支援物資含むすべての荷物の受け取りを断っている状況です。
しかし、そうした事情を知らない人は多いようです。営業所に支援物資を持ち込み、職員に「受け取れない」と言われると憤慨。職員といざこざになってしまう例が本部に報告されている、というのです。
真偽は確認できませんが、ツイッター上でも16日、「ヤマト運輸で働いてる友達が困ってます&悲しんでます。熊本宛ての支援物資を持った人が営業所にどんどんやってきてるそうです。荷受けを断られ『善意を踏みにじられた』と従業員に心無い言葉を浴びせて帰っていく人もいるそうです」
との投稿があり、18日17時30分現在までに2万5000回以上リツイート(拡散)されました。
この投稿に対し、
「頭を使って欲しかった」 
「物事はよく考えることが大事」
 と独りよがりの「善意」を諌める声が上がっています。


消防防災科学センターの公式サイトに掲載された「救援物資は被災地を襲う第二の災害である」と題された資料では、「救援物資は被災地にはありがたいもの」としつつも、救援物資が被災地に与える「悪影響」について具体例を用いて紹介しています。

95年の阪神淡路大震災では、約43万個に及ぶ「個別包装」の救援物資が神戸市に届きました。震災に伴う交通網の乱れから、市は24時間体制での対応を余儀なくされたほか、膨大な物資の仕分けや配布に多くの人手を割く必要が出てしまいました。また、西宮市では使用できない支援物資の処分に2800万円の費用を投じることになりました。

04年の新潟県中越地震では、被害の大きかった小千谷の市役所に地震発生の当日夜から物資が届き始めました。余震の可能性が高い状況の中、「市役所周辺の道路は荷降ろしを待つトラックで大渋滞」となったほか、積み重なった荷物が「職員の通行にも支障をきたすまで」溜りました。市役所職員は、その対応で一睡もできなかったそうです。

こうした過去の事例を踏まえ、現在では過剰な支援物資による「第二の災害」を防ぐための呼びかけを行う動きも出ています。被災地支援を行うNPO法人「レスキューストックヤード」は、救援物資を送る際のマニュアルをネット上で配布。それによると、
「個人の物資支援は、被災地の自治体職員に一層の負担を強いる」
「報道を通じての支援呼びかけはタイムラグがあるため、時期を逸した救援物資が届くことも多く、不良在庫を生み出してしまう」
「物資よりはお金を送るべき」
などといった情報がまとめられています。同団体の公式サイトでは、どうしても被災地へ支援物資を送りたい場合、個人で被災地へ送ることは避け、ボランティア団体などが呼び掛ける支援物資募集を利用することを薦めています。

以下に、一般の人が熊本などの被災地に支援をするときの留意点をまとめておきます

(1)小口で個人の支援物資を送ることは、なるべく避けること。ただし、親戚や知人の人が被災地にいて、宅急便などが使えて、その人が要望したような場合はその限りではありません。

(2)物資よりはお金を送るべき。被災地の人たちの今後の支援を考えれば、最も有効な救援は物資ではなく義援金となります。支援物資は、いくら善意で送ったにしても、被災地の人たちのその時々のニーズやウォンツにあわないこともあります、お金は邪魔になることはありません。日本赤十字社の義援金口座なら、ゆうちょ銀行の窓口から送金すれば手数料なしで全額を被災都道府県に送ることができます(ATMの場合は振込手数料がかかる)。
日本赤十字社は「平成28年熊本地震災害義援金」の受付を2016年4月15日から開始しました。義援金は全額被災者に届けられ、生活再建に充てられます。 
寄付は以下の方法で受け付けています。 
1.郵便振替(ゆうちょ銀行・郵便局)。口座記号番号は00130-4-265072、口座加入者名は「日赤平成28年熊本地震災害義援金」。 
2.銀行振り込み。金融機関は、三井住友銀行すずらん支店(普通預金「2787530」)、三菱東京UFJ銀行やまびこ支店(普通預金「2105525」)、みずほ銀行クヌギ支店(普通預金「0620308」)。口座名義はいずれも「日本赤十字社」。 
3.熊本県支部。金融機関は、肥後銀行三郎支店(普通預金「591893」)、熊本銀行日赤通支店(普通預金「3087071」)。口座名義はいずれも「日本赤十字社熊本県支部 支部長 蒲島郁夫(カバシマイクオ)」。
2016年6月30日まで義援金の受け付けをしています。
(3)物資を送る場合は、行政の窓口、その他のNPOなどの(ex.レスキュー・ストックヤード)窓口を利用することとし、その窓口の指定する通りの方法で提供します。

(4)被災地にボランティアに赴くときは、個人で行くのではなく、被災地支援に定評のあるNGO(ex.ガールズパワー)やNPO等に連絡してその一員として赴く。被災地に知り合い、親戚などがいて、その要請に基づき行くならその限りではありませんが、もし行くなら、必ず数日分の食糧・飲料水を携行してください。

支援するなら、以上の留意点に注意して、その時々の被災地の人たちのニーズやウォンツを満たすように行動できるようにすべきです。

くれぐれも、自己満足だけで、被災地の人たちに嫌われるような行動だけはつつしんでいただきたいものです。自己満足だけで、被災地に支援物資を送ったり赴くような人は、現代風に言えば「意識高い系」として非難されたり揶揄される事になります。

最近やたらと批判されるいわゆる「意識高い系」は結局自己満足の人

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2016年3月24日木曜日

「五体不満足」の乙武洋匡氏が不倫を謝罪 「慕ってくださる方々を裏切る行為」と公式サイトに 妻も「私にも責任の一端」とコメント―【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?

「五体不満足」の乙武洋匡氏が不倫を謝罪 「慕ってくださる方々を裏切る行為」と公式サイトに 妻も「私にも責任の一端」とコメント

乙武氏
ベストセラー「五体不満足」で知られ、自民党が夏の参院選での擁立を検討している作家でスポーツライターの乙武洋匡(ひろただ)氏(39)に不倫騒動が浮上した。「週刊新潮」が最新号で「『乙武クン』5人との不倫」などと題して報道。乙武氏は24日、この記事を受けて「慕ってくださっている方々を裏切る行為であり、決して許されるものではありません」などと公式サイトとツイッターで謝罪した。

乙武氏は2001年に結婚し、2男1女の父。週刊新潮は、20代後半の女性と年末年始にパリなどに海外旅行に出かけたことや、国内でも密会したことなどを伝えている。乙武氏は同誌の取材に不倫を認め、記事によると、この20代後半女性以外にも親密交際した女性が2人おり、「一晩限り」の女性たちもいたことを明かしている。

乙武氏は作家活動に加え、教員や教育委員を歴任。ごみ拾いボランティアも主催している。

【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?

乙武氏といえば、夏の参院選に出馬するという噂がありました。朝日新聞には、以下のような記事が掲載されていたので、今回の不倫騒動がなければ、出馬の予定であったのは間違いないようです。

"

自民、乙武洋匡氏擁立で最終調整 参院選「目玉候補」に

自民党は夏の参院選に、「五体不満足」などの著書で知られる作家の乙武洋匡(おとたけひろただ)氏(39)を擁立する方向で最終調整に入った。東京選挙区か比例区での立候補を検討。4月上旬にも正式発表する。

乙武氏は、障害とともに生きてきた経験をもとに執筆や講演活動を続けており、安倍政権の掲げる「1億総活躍社会」に合うとして、同党の「目玉候補」に浮上した。早稲田大学在学中に出版した「五体不満足」はベストセラーに。2007年から3年間、小学校教員を務めたほか、東京都教育委員なども務めていた。
"
乙武氏は、不倫騒動後にテレビなどでインタビューを受けたときに「参院に出馬されるそうですが」と聴かれて、はっきりとは否定していませんでした。

今回の不倫騒動がなければ、「出馬します」とか「その予定です」と答えたのだと思います。

そんなところに降って沸いたように、不倫騒動が持ち上がってしまったため、大方の予想ではおそらく、参院出馬はこれでなくなったと見ているようです。

しかし、乙武氏の発言からは、今のところ出馬は完璧に断念したという発言はありません。おそらく、自民党のほうとしても、はっきりと断念するというのではなく、様子見というところなのだと思います。

そうして、私自身は、乙武氏は出馬を断念はしていないと思います。

さてブログ冒頭の記事には、本当はまだ続きがあって、「以下は乙武氏のコメント全文」と続き、乙武氏と、奥さんの謝罪文が掲載されています。

この記事でも、それを引用したいと思います。内容は、同じなのですが、ここでは敢えて、「謝罪文公式サイト」からそのまま引用します。画像をキャプチャーしたものを以下に掲載します。


これは、報道機関などにFAXで送信されたものと同じものです。これは、ある放送局には朝四時に送られてきたそうです。

私は、この乙武氏の反応は事の是非は別にして、リスク管理の観点からいって非常に優れたものだと思います。

この観点からいうと、乙武氏もしくは乙武氏に協力しているとみられる、リスク管理の軍師は、かなり良い管理を行っていると思います。

以下、乙武氏の倫理問題は全く別にして、リスク管理の観点のみから、今一度この出来事をみなおしてみましょう。

まずは、乙武氏が週刊新潮で不倫に関するインタビューを受けたときに、「5人の女性」と不倫したとはっきり述べています。これは、おそらく、マスコミなどか調べた場合、おそらくこの5人に関しては、調べることが可能であろうということで、隠し立てせずに最初に5人と語ったうえで謝罪したものと思います。

これを1人、2人などと言ってしまえば、週刊誌やさらに他のマスコミが調べて、別の不倫が発覚などということになるよりも、はるかに傷口は少なくてすみます。

乙武氏に近い人の間では、乙武氏は奔放な人柄であることは周知の事実だったようです。そのため本当は、さらに多くの不倫相手がいたかもしれません。しかし、それは別にして、とにかく5人まではマスコミ等が丹念に調べれば、調査可能と判断して、5人という具体的な数をあげたものと思います。

その後に、朝の四時前後という非常に早い段階で、謝罪文を発信しています。これだと、テレビやラジオだと、当日中にこの事実を報道してもらえる可能性が非常に高いと判断したのだと思います。

新聞でも、紙ベースの新聞には間に合わないかもしれませんが、ウェブ版なら確実に間に合いますし、紙ベースでも夕刊になら確実に間に合います。

そうして、謝罪文に関しても、内容は簡潔で、要領を得たものであり、それも乙武氏のものだけではなく、奥さんの仁美さんのものまで出しています。

そうして、その内容も謝罪文としては、非の打ち所のないものであり、特にすでに夫婦間で不倫に関しては、コンセンサスがとれており、その上でこれからも、夫婦としてともに歩んでいくことが掲載されています。

そうして、この謝罪文は、「謝罪文公式サイト」にも同じものが、かなり早い時期に掲載されています。このサイトへのリンク先を以下に掲載しておきます。
http://ototake.com/
そうして、この掲載されているサイトがすごいのです。すごいとは、一体どういうことかというと、これに関しては「ふくゆきブログ」という個人ブログの内容をご覧いただくとわかると思います。そこから、以下にその内容をそのままコピペさせていただきます。
今回、不倫で有名になった乙武さんの謝罪文はAWSのS3で構築してる。技術的にもプロの犯行だ。S3とは、ざっくり言うとAmazonさんが運営してるほぼ絶対落ちない静的サーバのことです。http://ototake.com をDNSで全部S3に降ってる。要するに謝罪文しか表示しないけど絶対落ちないサーバをAmazonさんから短期的に借りる。今後、芸能人の謝罪文はAWSのS3というソリューションが増える。GMOさんは芸能人に強いのに営業しないのかな。CAと組んで謝罪文サーバとか売ればいいのに。これは、芸能人のサイトを運用している人には重要な事例だ。教科書にのるかもしれない。むしろ、今後の謝罪ページのセオリーになるかもしれない。昔に比べて、DNSの浸透は爆速になったので、こういうのが可能なんだろな。
今まで、ototake.comを無視して、短期的にS3にDNSを降ることで、以下のメリットが有る。
・いくらアクセスが来ても落ちない。さすがAmazon。・別のサーバなので昔のototake.comの記事が速攻で見られなくなる。(googleキャッシュ、webarchiveとかweb魚拓以外)・謝罪モードが終わった時の復旧が楽。正直、メディア対策として、メリットは大きい。今後、参考にすべきだ。
乙武氏もしくは、そのリスク管理の軍師がAmzonが運営しているこのようなサイトに謝罪文を掲載することを意思決定したということです。

twitterなどのSNSで謝罪などすれば、炎上の恐れもあります。実際、乙武氏のツイッターのタイムラインをみてみましたが、炎上ぎみです。そうして、乙武氏は沈黙しています。ブロックなどはしてはいなようで、タイムラインに批判が結構並んだ状態になっています。

これもリスク管理的にみると、正しい措置です。ここで、乙武さんがいちいち批判に対して、応えていれば、ますます傷口を広げるだけになると思います。また、下手にブロックなどすれば、ブロックされたということが、ツイッターなどのSNSに掲載され、傷口を広げることになります。

しかし、このままだと、乙武は何も応えないということで、傷口を広げることになるところですが、そこは「謝罪専用サイト」設置して、そこに謝罪文を掲載するということで、そこには、一般の人がコメントできない形式で謝罪文だけが掲載してあるということで、これも傷口が広がらないような措置がなされています。

この一連の流れをみると、おそらく乙武さんには、やはりリスク管理のプロがついているのだと思います。

それにしても、そもそも、不倫をしなければ、このようなリスク管理も必要なかったのであり、脇が甘いと言われてしまえばそれまでではあります。しかし、人間は誰しも失敗することはあるので、乙武さんの今回の不倫騒動を単なる不倫の問題の側面だけみていては、何も得ることはありませんが、これをリスク管理の観点からみると、非常に良い事例になると思います。

さて、今のところその観点からいえば、初期対応では管理がうまくいって、同じ不倫騒動でもあの議員退職した、宮崎議員の対応などと比較すれば、プロ級の対応で終わって傷口をあまり広げない措置がなされています。これは、あのSTAP細胞騒動で揺れた、理研のリスク管理よりも数段上です。

2014年4月の会見時の小保方さん
そうして、このような対応をしていることから、乙武さんはまだ、参議院議員に出馬することを諦めていないのだと思います。さらに、参議院議員になれなくても、今回のことで傷ついたイメージできるだけ回復したいと考えているはずです。

そうして、乙武さんの背後にリスク管理のブロがついているとすれば、そのブロは自民党からの公認を得るために、次の手を打つことと思います。

それがどのような手なのか、リスク管理の観点から興味がつきないところです。もし、乙武さんが参院に出馬できたり、あるいは参議院議員になれたとしてら、このプロはただものではないということになると思います。

それから今回は、掲載しませんでしたが、乙武氏は自身のパーソナルブランドを長期間にわたり積み上げ着実につくりあげてきたのですが、それが今回のことでかなり毀損されてしまいました。これをどのように修復していくのかも興味のつきないところです。


私たちは、どのような人からも学ぶことはできます。多くの人が倫理問題のみで思考停止しているようですが、リスク管理や、パーソナルブランドに関して、乙武氏から学べることは多くあります。

この、ブログでも、倫理問題に関しては触れたとしても何の益にもならないので、これからも触れることはありませんが、今後こうした観点から、乙武さんの行動や言動に何か変化が見られた場合、また掲載させていただきます。

【追記】

本日3月25日(金)に追記を加えることにしました。タイトルも少し変えました。

最初のタイトルは『【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研より数段上(゚д゚)!』というものでしたが、本日になって『【私の論評】乙武氏のリスク管理はSTAP細胞騒動で揺れた理研と同レベルか?』にタイトルを変えました。

なぜそのようにしたかといえば、リスク管理の観点からみると、本日に至るまで、記者会見をして謝罪をしないからです。やはり、今回のような件については、自ら記者会見を開催し、謝罪をすべきだったでしょう。

さらに、今回の場合奥さんも謝罪していることから、奥さんも会見場に来て、質問等に応えるべきであったと思います。

しかし、今に至るまで、謝罪会見はないし、その予定も公表されていないことから、リスク管理の観点からすると、これは及第点はあげられるような内容ではありません。

考えるに、乙武さん自身は、選挙がどうのこうのというより、やはり家庭、特にお子さんを省みて、これ以上子供のために晒し者にはなりたくないという思いがあったのかもしれません。

だから、リスク管理をうまくやること、パーソナルブランドの毀損を補うことをやめて、子供のことを第一に考えたのだと思います。

乙武氏がそのように決断したというのであれば、それはそれで良いと思います。何しろ、乙武家は家族であって、企業でもないし、役所でもないのですから・・・・・。

本日は、以下のような記事が産経新聞に掲載されていました。
5人不倫の乙武氏、参院選出馬断念か 夫婦での謝罪コメントに政治への強い未練が…
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、乙武氏の不倫は、あまりにも代償の大きいものだったようです。

乙武氏は、まだ政治家になることを諦めていないというのなら、謝罪会見を実施したでしょうが、それはしませんでした。

これは、これ以上家族、特に子どもを守ろうという意図の現れではないかと思います。少なくとも、私はそう信じたいです。
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