ジョン・コルトレーン、このジャズの巨人に関しては、いろいろ語りつくされているので、私はあまり多くは語らない。ただし、簡単な略歴など記して行う。
ジョン・コルトレーン(1926.9.23~1967.7.17)・・・音楽性、精神性の両面でジャズ界に多大な影響を及ぼしたテナー・ジャイアンツ。アメリカ、ノースカロライナ州ハムレット生まれ。47年に本格的なプロ活動を開始。55年にはマイルス・デイヴィス・クインテットに抜擢される。56年には驚異的な成長を遂げ注目を集めるが、56年12月に過度の飲酒と麻薬のため同バンドを退団。実家のあるフィラデルフィアで療養した。57年春、セロニアス・モンクのカルテットに参加。58年にはマイルス・デイヴィスのセクステットに参加、モード・ジャズの洗礼を受ける。59年に”ジャイアント・ステップス”で、シーツ・オブ・サウンドといわれる独自の奏法を完成。61年には“ヴィレッジ・ヴァンガード”を皮切りに欧州楽旅を行い大成功を収める。その後、エルヴィン・ジョーンズ、マッコイ・タイナーと出会い、62年に、ジミー・ギャリソンを加え、ジャズ史に残る最強のカルテットを結成、数々の傑作を残した。64年に入ると、精神性を深める内的発展に進み始め、その成果として”至上の愛”を発表。神との対話という領域に達したコルトレーンは、フリー・フォームに可能性を求め、65年には”アセンション”を録音した。67年7月17日、肝臓がんで他界。
さて、ジョン・コルトレーンが生前に日本を訪れたとき、日本には熱烈なコルトレーン・ファンがおり、ジャズといえば、コルトレーンしか聴かないという人が大勢いて、そういう人達が「密室的偏執狂」などと呼ばれていたらしい。そのことを知ったコルトレーンは、「ジャズと言ってもいろいろあるので、私以外の音楽も是非聴いて欲しい。密室的偏執狂にはならないで欲しい。しかし、彼らは愛すべき偏執狂です」と語っていたという。これほど、愛されるコルトレーンの音楽。
コルトレーンはあまりにも偉大で、一回こっきりで語りつくせるものではなく、またそのつもりもない。本日は、コルトレーンの「Ballads」というCDについてのみ記すことにする。それも、特に昨年販売されて「デラックス・エディション」について語りたい。このCD初回販売は、1965年あたりだと思う。その後復刻版も販売され1995年にもこの復刻版が販売されたはずだ。昨年販売された、「デラックス・エディション」は、初版と同じテイクのほかに、何と「It's easy to Remember」がなんと、別テイクで5本も付加されている。
どのテイクも秀逸で、素晴らしい。きっと、ディレクターもどのテイクに決めるか相当迷ったと思われる。でも、こうして六つのテイクを同時に並べて聴いていると、コルトレーンの天才ぶりがまざまざとわかる。そして、微妙に違うこの六つのテイクを聴くことによりジャズとはやはりインプロビゼーションだということが理解できる。
一般にジョン・コルトレーンというと、激しくブロウする姿をイメージする人も多いだろうが、その一方で情感豊かなバラード演奏にも真価を発揮した。優れたジャズマンはみなブルースとバラードの名手であり、コルトレーンも例外ではなかった。
バラードを演奏するときのコルトレーンは、シンプル&ストレートにメロディを歌いあげる。シーツ・オブ・サウンドもフェイクもご法度だ。要するに歌 手になったつもりで、サックスで歌っているのだ。コルトレーンにとってバラードの演奏は、常に前進することを自らに課した壮絶な戦いの日々のなかで、一瞬 その強迫観念から解放される、いわばつかの間の戦士の休息だったようだ。
聴く側にとってもそれは同様で、バラードを演奏するコルトレーンに接していると心が和む。その意味では、最高のヒーリングミュージックといえる。だ から本作は、コルトレーンの数多いアルバムのなかで、いつの時代にもファンから支持される人気ナンバー1作品なのである。これぞコルトレーンバラードの極 致だ。
バリバリ吹きまくるコルトレーンも緊張感があって素晴らしいが、このバラードのコルトレーンも素晴らしい。そうして、本当にリラックスできる。このような両方の側面を持っているからこそ、コルトレーンはいつまでも敬愛され続けるのだろう。
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また、テンフォーには英語でも特別な意味があります。アメリカ市民ラジオ(日本の無線にあたる)や航空用語では、いわゆる「テンーコード」があります。「10.1」「10.2」などに固有の意味が割り振られています。無線では、なるべく短く正確に伝えるために開発されたものです。その中で「10.4(テンフォー)」は、「了解(ラジャー)」という意味が割り振られています。そのため、アメリカ人などには非常に親しみがあり、覚えやすい商号のようです。
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