映画「バベル」を見ました。非常に重いメッセージを含んだ映画です。このゴールデン・ウィークにご覧になれる方は是非見ていただきたいと思います。ブラッド・ピットが出演する久々の硬派の映画だと思います。ブラピは「Seven Years in Tibet」で、一躍世界のスターに躍り出たと思いますが、それ以来の久々の硬派映画と思います。とにかく、この映画の伝えるメッセージは重いものです。
下は、バベルの予告編です。(trailer)
下は、映画バベルの出だしのシーンです。(first sean)
下は、映画バベルのストーリの直接のきっかけとなった、射撃のシーンです。(Fire)
私はこの映画を見ていて、2007年4月15日にその要約を紹介した、未来社会への変革(未来の共同体がもつ可能性)という書籍の内容を思い出していました。この書籍には、第六部に「共同体(コミュニティー)のグローバルな側面」という内容の項があります。まさに、この映画を見ているとグローバルな共同体(コミュニティー)が必要であると思います。さらに、この書籍の結びの一番最後にでてくる、エリ・ウィーゼルの執筆内容を思い出しました。
先に紹介した要約にその内容はでてくるのですが、要約の一番最後の項はエリ・ウィーゼルの「結び」の要約です。(エリ・ウィーゼルはノーベル平和賞の受賞者です。ボストン大学の教授として、半生を抑圧された人々のために捧げてきました。ホロコーストを自ら経験し、自らの才能を著述、教職、語り手として世界の人権と平和を守るために費やしています)
これをまた、再掲させていただきます。
科学技術の発展は目を見張るばかりだが、私たちの倫理はほとんど進歩していない。例えば、私たちは他人の痛みや苦痛に対して敏感であるとは言えない。だから、相変わらず将来に対する不安に怯えているのだ。
我々は今日、世界中の出来事を瞬時に知ることができる。だから、もはや知らなかったということは言い訳にできない。確かにこれを解決するための手段や可能性は限られているが、絶望や努力の放棄は所詮言い訳だ。無関心を生むだけだ。
無関心とは孤独なものである。無関心な人間は、他人を見ていない。だから周囲に何も感じないし、他人の身に何が起きても気にしない。底知れない虚無に包まれ、内面を虚無で満たされている。彼らはいかなる希望も将来も持てない。
我々は、21世紀を迎えるにあたり、弱く、虐げられ、孤独で、病み、絶望している人びとと連帯しなければならない。その思いが、共同体(コミュニティー)に対して気高く人間的な貢献をしたい!という願望になる。そして、自らが何者であるかでなく、他者にとって何かということで自らを規定するようになる。
この映画を見るまでもなく、私達は他人や他国の人々と無縁で生きているわけではないのです。たとえ、自分は関係ないなどと思っていても。だから、他人や他国の人々に関心をもたなければならないのです。さらに、人間とはもともと一人では生きていけない存在なのです。無意識にあるいは積極的に共同体(コミュニティー)を求める生き物なのです。それは、人間に限らず、生態系をみていても明らかに、生命の性なのです。
しかし、現実には我々はこの映画で表現しているように、分断され、相互にコミュニケー書を図りにくい状況におかれています。
この映画にでてくる都市、ロサンゼルス、モロッコ、メキシコシティー、東京などの都市を健全なものにするためには、都市に共同体(コミュニティー)を築いていかなければなりません。その共同体(コミュニティー)は全くあたらなもので、地理的な共同体(コミュニティー)ではなく、信じるもの、理念を共有する人々の共同体(コミュニティー)です。それも、非営利の共同体(コミュニティー)でなければなりません。
これは、多様なニーズを満たす共同体(コミュニティー)は政府でも、民間企業でも創設することはできないからです。だから、これらの都市にそれこそ何千、何万という共同体(コミュニティー)を創設する必要があります。それこそ、この映画で出てくる東京の少女やそのお父さん、あるいは、ブラッド・ピットが役を担っているアメリカの父親、母親、子供達、メキシコからの移民、モロッコのお父さんと、その子供達や奥さんなどのニーズはさまざまであり、これらを一つの共同体(コミュニティー)で満たすことは不可能です。だからこそ多くの共同体(コミュニティー)さらには、ニーズを満たすために創設された多くの共同体(コミュニティー)が相互にコミュニケーションを図っていく必要があります。これは、いくら個々人のニーズが違うからといって、人類という一つ共同体として、共通の理念や、目的、目標が存在する、いや、存在しなければいけないからです。
私はこの映画を見て、ざっと上のようなことを思い浮かべてしまいました。皆さんはどうでしょうか、是非を映画を見て感想を聞かせていただきたいと思います。
2007年5月2日水曜日
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