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2018年4月20日金曜日

トランプ大統領が金正恩委員長に「クビ!」を宣告する日―【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない〈その3〉(゚д゚)!


かつてトランプ大統領は"Your're fired(お前はクビだ)"というリアリティー番組に出演していた
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 かつてホストをつとめたリアリティ番組で「You’re fired(お前はクビだ)」という決めゼリフが人気を集めたドナルド・トランプ米大統領は、政治もビジネスと同じセンスを曲げずに突き進んでいるように見える。6月上旬までに予定されている史上初の金正恩委員長との米朝首脳会談は、その“トランプ流”外交でどのような展開をみせるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が分析する。

* * *

 “トランプ流”の交渉とは何か。それは極めて単純だ。トランプ大統領は“不動産業を営むローカルなファミリー企業の社長”であり、一発勝負のネゴシエーターである。だから北朝鮮との交渉でも過去のノウハウを応用し、自分が行って“小さなロケットマン”に一発かませば、相手は言うことを聞くはずだ--という発想なのである。

 彼は、前任者が成し得なかった北朝鮮の非核化を自分のディール(取引)で実現した、と今年11月の中間選挙でアピールしたいだけなのだ。

 対する金正恩委員長は、韓国特使団との会談で「非核化の用意がある」と言明したとされる。これをトランプ側は、北朝鮮が核・ミサイル開発を停止し、不可逆的に核兵器を放棄するという意味だと考えている。

 だが、北朝鮮側の「非核化」の対価は、在韓米軍の撤退だろう。つまり、自分たちが核・ミサイル開発をやめる代わりに、核保有が想定される在韓米軍も同時に撤退するということだ。あるいは、中国と歩調を合わせて、非核化は米韓合同軍事演習の中止や米軍削減とバーターだと主張する可能性もある。

 実際、金正恩委員長は習近平主席との会談で「米韓が我々の努力に善意で応え、平和の実現に向け段階的な措置をとれば非核化の問題は解決できる」と主張したと報じられている。しかし、そんな条件をトランプ大統領が飲むはずがない。

 ◆“予測不能”ゆえ「瓢箪から駒」?

 そういう状況下でトランプ大統領と金正恩委員長が会えば、交渉は必ず決裂する。それどころか、会談場所がどこになるにしろ、トランプ大統領と会うことで金正恩委員長の居場所は特定できるので、トランプ大統領は交渉が決裂したら即、金正恩委員長や北朝鮮の核関連施設などをピンポイントで先制攻撃する可能性もある。いわゆる「鼻血(ブラッディ・ノーズ)作戦」だ。そのリスクに対して北朝鮮側が警戒を強めれば、米朝首脳会談はお流れになる。

 それでも今回、北朝鮮が南北首脳会談や米朝首脳会談に向けてアクションを起こしている背景には、中国を含めた経済制裁や、韓国で「死の白鳥」と呼ばれているB-1B爆撃機などの軍事的脅威がある。

B-1B爆撃機

 また、北朝鮮国内では、金正恩委員長は父・金正日総書記にも増して孤立無援状態にあるとみられている。だから異常なほど疑心暗鬼になり、事実上のナンバー2だった叔父の張成沢・前国防委員会副委員長を重機関銃で処刑したのをはじめ、側近を次々に粛清して常に居場所を変えて警戒しているとされる。

 北朝鮮側がスウェーデンやフィンランドと接触したことから、板門店、平壌、ウランバートル、北京などに加えて北欧の両国が米朝首脳会談の開催場所として取り沙汰されたが、北朝鮮の飛行機で北欧まで行くのは難しいし、側近のクーデターを恐れている金正恩委員長が何日間も国を空けることは不可能だろう。となれば、北欧との接触は北朝鮮が主張する「体制保障」のため、金正恩ファミリーの「亡命申請」、またはその可能性を探ったとみるべきではないか。

 北朝鮮の「体制」は定義不可能であり、その「保障」とは“金王朝”の存続以外にないからだ。

 もし、南北間で平和条約が結ばれて人々の交流・往来が始まったら、北朝鮮国民は韓国との歴然とした経済格差を目の当たりにして、嘘をつき続けてきた体制への批判が噴き出すだろう。そうなれば、金正恩委員長は人民が蜂起して殺される前に国外逃亡するしかない。

 前述したように、不動産業を営むローカルなファミリー企業の社長にすぎないのに、世界最大のエネルギー企業エクソンモービルのCEOを務めたティラーソン国務長官をツイッターで“クビ”にしたのが、トランプ大統領である。オバマ前大統領なら、国務省による事前協議を通して予測可能な対応をしただろうが、トランプ大統領はそういったことを一切無視したディールを要求するはずだ。

 落としどころとしては、【1】非核化の履行を中国に監視させる【2】国連監視団を送り込む【3】アメリカ自身が監視団を駐在させる--などが考えられる。

 いわば“予測不能”なトランプ大統領だからこそ「瓢箪から駒」で、北朝鮮問題を一気に解決するかもしれない。つまり首脳会談が実現してもしなくても、トランプ大統領は自分が任命したわけでもない金正恩委員長に得意の「You’re fired!(お前はクビだ!)」を宣告し制裁を加える。それが金王朝の“終わりの始まり”になると思うのだ。

 「独裁政治は悲劇に終わり、衆愚政治は喜劇に終わる」と言われる。それは、ごく一部の例外を除いて歴史が証明している。いずれにせよ、金王朝が終幕を迎える日は、そう遠くないだろう。

 ※週刊ポスト2018年4月27日号

【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない〈その3〉(゚д゚)!

北朝鮮情勢に関す、大前研一氏の予測がどの程度あたるかは、わかりまんせんがそれにしても大いに参考になることはあります。

まずは、今年11月の中間選挙でアピールに関してですが、これはトランプ大統領はかなり気にしていることは確かです。もし、この時点で北朝鮮問題が解決したか、解決の見込みがたっていれば、中間選挙はかなり有利になるでしょう。

ここで、実際に議席数を増やして、共和党の議席数を伸ばすことができれば、議会運営はやりやすくなりますし、大統領再戦の道も拓かれることになります。

トランプ大統領としては、何としてもここで勝ちたいと考えるのは当然のことです。

2018年 中間選挙、注目の上院選

次に、金正恩が「非核化」の対価として、在韓米軍の撤退を求めることも十分あり得ます。そうして、これは金正恩の落とし穴になるかもしれません。

在韓米軍が撤退した後に行き着く先は、南北朝戦の統一です。これには、無論日米にとっては望ましくないことです。しかし、これはあまり報道されたり、識者が指摘はしませんが、中国・ロシアにとっても望ましいことではありません。

これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北京訪問の要人は金正恩氏―【私の論評】南北統一で核武装をした先進国なみの経済力を持った独裁国家が生まれることを習近平は懸念している(゚д゚)!
 

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、南北統一が日米にとってだけではなく、中露にとっても望ましいことではないことを示した部分をこの記事から引用します。
金正恩が、南北統一朝鮮の独裁者なれば、中国と国境を接する朝鮮半島に、核武装をした先進国なみの工業力と経済力を持った独裁国南北統一朝鮮ができあがることになり、中国にとっては脅威です。 
無論、ロシアのプーチンにとっても脅威です。北朝鮮は貧乏な国ですが、南北統一朝鮮ともなれば、GDPは確実にロシアを上回ることになります。日米中露ともに脅威を感じる南北統一朝鮮は出来上がる前に、潰されて、半島に北朝鮮でも韓国でもないいくつかの中立的な国々をつくられてしまう可能性も多いにあります。
驚くべきことに、一般に大国とみられているロシアは、GDPでみると東京都より若干小さいという水準です。韓国はといえば、東京都とほぼ同水準です。

この南北朝鮮が統一すると、核兵器を有した先進国並の経済力を持った独裁国家が朝鮮半島に生まれることになります。そうして、この南北統一朝鮮は、韓国の工業力を引き継ぐことになります。

韓国の工業力と、北朝鮮の核開発が結びつけば、さらに核兵器の開発が進むことになります。そうして、北の兵力と韓国の通常兵器と兵力があわされば、核兵器と通常兵力があわさり、朝鮮半島に強力な軍事力に裏付けされた、先進国なみの国が生まれることになります。

これは、ロシアにとってはかなり脅威になります。これは、中国にとっても脅威です。特に、北朝鮮と接する中国のと東北地方(旧満州)は、朝鮮族も多く北朝鮮と結びつきが強いほか、この地域は経済的にも遅れていて、人民の不満がたかまっており、中国の火薬庫ともいわれている場所です。

中国からみれば、南北統一で朝鮮半島に強力な国家ができれば、それこそ朝鮮半島と東北地方が強い結びつきを持ち、東北地方が独立するなどということも考えられます。さらには、東北地方と南北朝戦の統一などということもになりかねません。

米朝会談で、金正恩が比較化の対価として、在日米軍の徹底を要求した場合、これはトランプ大統領は拒否することになると考えられます。そうなると、金正恩は撤回するかもしれません。しかし、一度要求したということで、トランプ大統領からは、金正恩は南北統一を目指していると受け取られることになります。

そうなれば、トランプ氏はTwitterに「金正恩はクビ」と書き込み、さらに制裁をきつくすることになるでしょう。それこそ、徹底的な海上封鎖と陸上封鎖をするかもしれません。

この封鎖は従来より苛烈なものになり、海上で臨検するなどは当たり前で、場合によっては武力攻撃を含むものになるでしょう。あるいは、機雷封鎖にまでエスカレートするかもしれません。陸上封鎖も、北朝鮮内の中国やロシアに通じる道路や鉄道を破壊するかもしれません。そうなると、北朝鮮はとんでもない状況になります。それこそ、石器時代に戻るかもしれません。

中国やロシアも、南北統一には脅威を感じているはずですから、この制裁にあからさまに反対することはないかもしれません。そうして、制裁逃れを積極的に支援することはないでしょう。

ただし、現在の北朝鮮では穀物などの食糧の自給はぎりぎりで何とかできているようですから、人民はぎりぎり生きていけるかもしれません。制裁で原油など枯渇するので、運搬手段がなくなり、人民の大部分を農林畜産業などに従事させるのと、輸送手段がなくても生きていけるようにするための大規模な強制移動が行われるかもしれません。しかし、ありとあらゆる不自由を強いられるわけですから、人民の不満は高まる一方になります。

餓死するくらいであれば、抵抗することもできないでしょうが、ぎりぎり生きていける可能性があるということが、かえって金正恩に悲劇をもたらすかもしれません。北朝鮮問題は、以前にも述べたように、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれないです。

その時には、金正恩は亡命するか、リビアのカダフィ大佐のような運命をたどるかもしれません。いずれにせよ、米軍が武力攻撃をしようがしまいが、終末は近づいています。米中間選挙の直前までには、ある程度その終末を予想できるようになっているかもしれません。

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2018年4月3日火曜日

トランプ氏、5月に正恩氏「死刑宣告」 北の魂胆見抜き「戦争内閣」構築 ―【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない(゚д゚)!

トランプ氏、5月に正恩氏「死刑宣告」 北の魂胆見抜き「戦争内閣」構築 

IOCのバッハ会長に笑顔をみせる金正恩氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、狡猾な「延命工作」を続けている。電撃訪中に続き、先月30日には、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長と、平壌(ピョンヤン)で会談したのだ。平和友好ムードを演出しているが、北朝鮮は「核・ミサイル開発」放棄を一切進めておらず、国際社会をダマしている。ドナルド・トランプ米大統領は魂胆を見抜き、「戦争内閣」を立ち上げ、米韓合同軍事演習も1日始まった。米朝首脳会談(5月予定)の開催場所と、正恩氏の「亡命準備」情報とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が核心に迫った。

 ご承知の通り、トランプ氏は先月、レックス・ティラーソン国務長官を更迭し、後任にマイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官を指名した。続いて、ハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も解任し、後任にジョン・ボルトン元国連大使を内定した。

マイク・ポンペオ氏(左)とジョン・ボルトン氏(右)

 以下、後任2人に関する関係者情報だ。

 「ポンペオ氏は、『正恩氏排除=斬首作戦』に賛成している。CIA内に初の北朝鮮専門部隊『朝鮮ミッションセンター』をつくった。結果、正恩氏の隣に協力者を構築し、反正恩一派が結成された。朝鮮人民軍の一部は命乞いを始め、クーデターを計画し始めた。正恩氏が一番憎む男だ」

 「ボルトン氏は、対北先制攻撃を公言している。ジェームズ・マティス米国防長官は3月末、国防総省でボルトン氏を迎えた際、『あなたは“悪魔の化身”だと聞いている』といった。イラク戦争(2003年~11年)時にも、北朝鮮とイランへの攻撃を強硬に主張した。正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記は2週間も地下に隠れて震えていた。『ボルトン』という言葉は、北朝鮮では『死神』と同じだ」

 トランプ氏が、対北強硬派2人を抜擢したのには、明確な意志がある。

 旧知の米情報当局関係者は「トランプ氏は『戦争内閣』を構築した。ポンペオ、ボルトン両氏を信頼し、対北朝鮮政策の最終形を組み立てている」「米国が要求する『核・ミサイル開発』放棄は、ボルトン氏がいう『リビア方式』だ。正恩氏は『武装解除だ』と激しく拒否している」「米国の要求を飲まなければ、5月の米朝首脳会談は、正恩氏への『死刑宣告=宣戦布告の場』になる」と語った。

 リビア方式とは、「アラブの狂犬」こと、リビアの独裁者、カダフィ大佐が03年、核放棄に合意し、査察団を受け入れ、06年に国交正常化した方法だ。「北朝鮮が先にすべての核兵器と核物質などを放棄し、その後に制裁解除などの補償を行う」というもの。

 ちなみに、カダフィ氏は11年、「ジャスミン革命」で、反政府勢力に捕まり、命乞いをするも、射殺された。

カダフィ氏

 正恩氏は間違いなく、自分をカダフィ氏に重ねて震えている。この間、何があったか。以下、複数の日米情報当局関係者から入手した情報だ。

 「中朝首脳会談(3月26日)は、ボルトン氏起用に慌てた正恩氏が、習近平国家主席に泣きついた結果だ。習氏に、リビア方式を否定してもらった。さらに、『韓米の平和・安定雰囲気の醸成=米韓合同軍事演習の中止・在韓米軍撤退』などを主張した。だが、手は震え、顔は哀れなほど、強張っていた」

 当たり前だ。正恩氏は最近まで「中国は千年の敵」と公言していた。屈辱的な命乞いといえる。さらに情報は続く。

金正恩(左)と習近平(右)

 「北朝鮮は水面下で、5月の米朝首脳会談の開催場所としてフィンランドを提示している。2つ理由がある。1つは、ロシアの領空だけを飛んでいける。安心だ。もう1つは、亡命準備だ。フィンランド滞在中、万が一、北朝鮮国内でクーデターが起きたら、正恩氏はロシアに亡命するという情報がある」

 そして、結論はこうだ。

 「日米主導で進めてきた経済制裁が効いている。北朝鮮の人民と軍部は飢餓状態だ。数十万人の餓死者が出る恐れがある。正恩氏はまだ、圧力に屈して『核放棄の意思』を伝えたことを人民や軍の末端に隠している。公表すれば、人民と軍の怒りが爆発する」

 河野太郎外相は3月31日、高知市での講演で、「北朝鮮が新たな核実験に向けた用意を一生懸命やっている」と明言し、北朝鮮に核放棄の意思がないことを指摘した。北朝鮮はまた、国際社会を欺く気なのだ。

 安倍晋三首相は今月18日、トランプ氏と日米首脳会談を行う。

 米軍関係者がこういう。

 「南北首脳会談が同月27日に行われるが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は『反米・反日・従中・従北』の裏切り者だ。何を話しても関係ない。すべては5月の米朝首脳会談だ。日米首脳2人だけが、米朝首脳会談の打ち合わせをする。リビア方式の確認や、日本人拉致問題。北朝鮮の運命が決まる。全世界が注目している」

 ■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

【私の論評】北朝鮮問題は、マスコミ報道等とは全く異なる形で収束するかもしれない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にあるように、日米首脳2人だけが、米朝首脳会談の打ち合わせをします。その中ではリビア方式の確認や、日本人拉致問題も話し合われるでしょう。北朝鮮の運命がこの会議で決まることになります。

マスコミなどは、北朝鮮問題に関しては日本は蚊帳の外におかれているということを報道したりしていますが、日米首脳2人だけが、米朝首脳会談の打ち合わせをするということから考えてみても、そんなことはあり得ないです。

日本蚊帳の外論に関しては、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、米政府関係者と北朝鮮当局者が昨年12月上旬に北京で極秘協議を行っていたことや、同じ時期にカナダ政府が日本政府に「対北圧力」方針の見直しを迫っていたことなどを根拠にしていたようです。

さらに、一連の動きの直後、ティラーソン米国務長官(当時)は北朝鮮との無条件対話に応じる考えを表明したため、トランプ政権内で対北融和派が巻き返しを図っているとみられたことも、その根拠のようです。

北朝鮮との極秘協議を主導したのは米国務省情報調査局のジョン・メリル=元北東アジア室長です。「トラック1.5」と呼ばれる官民合同の意見交換会の形をとったとされています。北朝鮮側の出席者ははっきりしませんが、対話の再開条件や枠組みなどについても協議したとみられます。

直後の12月12日にティラーソン氏は講演で「前提条件なしで北朝鮮との最初の会議を開く用意がある」と発言しました。メリルらの報告を踏まえ、対話再開に向けたシグナルを北朝鮮側に送った可能性もあります。

米朝間では、米国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表と北朝鮮外務省の崔善姫米州局長も度々接触しているとされています。

以上のことをもって、マスコミや一部の識者は、日本は蚊帳の外におかれているとしたのですが、その後ティラーソン国務長官を更迭し、後任にマイク・ポンペオCIA(中央情報局)長官を指名し、続いて、ハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)も解任し、後任にジョン・ボルトン元国連大使を内定し、さらに米朝会談の前には、日米首脳会談が行われることから、日本は蚊帳の外に置かれているどころか、当事者である米国に最も近い、あるいは当事者そのものといって良いです。

ブログ冒頭の記事では、以下のような下りがあります。
北朝鮮は水面下で、5月の米朝首脳会談の開催場所としてフィンランドを提示している。2つ理由がある。1つは、ロシアの領空だけを飛んでいける。安心だ。もう1つは、亡命準備だ。フィンランド滞在中、万が一、北朝鮮国内でクーデターが起きたら、正恩氏はロシアに亡命するという情報がある。
これも、注目に値する情報です。金ファミリーは、ロシアに亡命するかもしれないということが以前から言われていて、ロシア亡命受け入れ先と考えられていたのが、フインランドに近い、 スヴァールバル諸島なのです。

これについては、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下にに掲載します。
トランプ氏、正恩氏に亡命促す? 異例ツイートで“真意”注目、識者「行き着く先はロシアのプーチン大統領」―【私の論評】金ファミリーの亡命も選択肢の一つ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を以下に引用します。
"
スヴァールバル諸島とは、北極海に浮かぶ群島です。第一次世界大戦の頃、ロシア、ノルウェーなど、多くの国が領有権を争ったため、大戦終結後のパリ講和会議で、スヴァールバル諸島を、永久非武装地帯としました。以下にその位置を地図で示します。


このスヴァールバル条約には、ロシアやアメリカなど40ヵ国以上が加盟していますが、島内にはロシア人居住地区があり、ロシアの法律が適用されています。ここには、世界でもっとも北端に位置するレーニン像があります。

スヴァールバル諸島の面積は、ちょうど九州と四国を足し上げたくらいの大きさです。夏は4〜6度くらいまで気温が上がりますが、冬は-12〜-16度にもなる極寒の島です。

大部分の島が永久凍土に閉ざされ、人が住める島は1つのみ。植物はほとんど生えていません。

「スヴァールバル条約」を批准している国の国民であれば、スヴァールバル諸島に「ビザなし」で住め、しかも「外国人の戸籍のまま商売」ができます。ちなみに、日本もこの条約を批准しています。

2012年時点で、2642人が島で暮らしています。大部分がノルウェー人ですが外国人も暮らしていて、439人のロシア人、10人のポーランド人、その他タイ、デンマーク、スウェーデンの人が暮らしています。

この条約は、今から100年近く前の条約ですが、1920年代から'30年代にかけて各国が加盟しました。ところが昨年になって突然、このスヴァールバル条約に、ロシアの後押しを受けて、北極海になど、何の縁もない北朝鮮が加盟したのです。これは朝鮮人労働者の受け入れの他は、金ファミリーの亡命目的以外には考えにくいです。

しかも現在、島内のロシア人居住地区で、大邸宅の建設が始まっていることまで分かっています。

スヴァールバルはスピッツベルゲン島という名前でも知られている。
今でもロシア人が生活している唯一のバレンツブルクという集落
これを知れば、なぜ金正恩委員長があそこまで強気でいられるのか、その理由が理解できます。いざとなればロシアが逃がしてくれるという「保険」があるのです。

プーチン政権は、核の技術もミサイルの技術も提供したあげく、亡命先まで用意したのです。金正恩にとってこれほど頼もしい庇護者はいません。

しかもプーチン政権には、シリアがあれほど激烈な内戦のさなかにあっても、6年半にわたってアサド政権を守り続けてきたという実績があります。

プーチン政権がそこまで金正恩政権に肩入れする理由としては、やはり極東におけるアメリカと中国という両大国への剥き出しの牽制だと考えられます。

米中露「3大国」とは言うものの、ロシアの経済力は米中に較べて圧倒的に脆弱です。ロシアの現在のGDPは日本の1/5程度であり現在の韓国と同水準です。ロシアの人口は日本よりわずかに多い、1億4千万人、そうして極東には600万人くらいしかロシア人が住んでおらず、強い危機意識を抱いています。だから「東アジアのシリア」を作りたいのです。

もう一つは、天然ガスのパイプラインを、韓国まで引きたいという野望があります。9月6日、7日にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムに、プーチン大統領と韓国の文在寅大統領が揃って参加し、この話を詰めています。気をよくした文在寅大統領は、北朝鮮に800万ドルの人道支援を表明しました。

これも、人道支援を大義名分にしてシリアを支配したプーチン大統領の入れ知恵でしょう。

プーチンロシア大統領
ロシアから韓国に天然ガスのパイプラインを引く計画は、'08年に李明博大統領がロシアを訪問した際に盛り上がった話です。ロシアのハバロフスク、ハサンから北朝鮮の元山を経て、韓国の仁川まで約2000kmを結ぶ壮大な計画です。

北朝鮮にはパイプラインの通行料として年間1億ドルを支払う予定でしたが、韓国の命脈を北朝鮮に握られるという懸念からご破算になりました。


2011年10月3日のボイスオブロシアによれば、ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、ロシアの半国営の天然ガス:PNG独占企業であるガスプロム Gazpromに対して、日本、韓国と中国などとの協力発展についての拡大的な提案を準備するよう指示したとあります。

つまり、プーチンの頭の中には、日本、韓国、中国を巻き込んだ「国家成長プログラム」が出来上がったと言う事でした。

東北の大震災直後、当時民主党政権だった、日本政府は将来のエネルギー不足を見越してロシアの天然ガス取得に対して積極策に出ることをロシアに伝え、ロシアはこれを受け、一連の開発を前倒しにし、同時に韓国、中国への供給も早める対応を取りました。

これには、当時次期大統領を着々と狙う、プーチン首相の思惑が働いたとみるべきでしょう。恐らく彼は、日本の大震災を好機と取ったはずです。

すでに、サハリン州の天然ガス田から日本海側の港湾都市ウラジオストクを結ぶ全長約1820キロのパイプラインの完成式典が2011年9月8日ウラジオストクVladivostokで行われ、プーチン氏も参加しました。

次はこれを北朝鮮経由で韓国に送り込む事(2017年稼動予定で、その際には経由する北朝鮮内700kmに1億ドルの収入が見込まれる)の実現で、2011年8月、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が9年ぶりに訪露し、協議の場でロシアは、北朝鮮の協力に対し食糧援助を約束し、これをロシアは2011年9月末に完了しました。

全ては着々と進行し、全てが完成したときに、ロシアは日中韓の経済を握るとの目論見だったのでしょう。しかし、この計画は日本では、民主党政権の崩壊とともに潰え、韓国でも、命脈を北朝鮮に握られるという懸念からご破算となりました。

その計画を、9年ぶりにロシアと韓国、北朝鮮で復活させようというわけです。そんな「密談」が進んでいるところに、安倍首相が出かけて行って、プーチン大統領に「北朝鮮への圧力」を説いたのです。

これを考えると、文在寅の最近の不可解な動きも理解できます。米国は朝鮮半島周辺海域に、原子力空母3隻を集め、11~14日(ブログ管理人注:昨年11月)に米日韓3カ国の合同軍事演習を行い、北朝鮮に圧力をかける予定でした。ところが、韓国が突然『日本とやるのは嫌だ』と言い出し、米日、米韓とバラバラになったのです。北朝鮮やロシアは大喜びでしょう。

文在寅は、中国に踊らされただけではなく、裏ではロシアにも踊らされたというわけです。最近、米国のWSJ紙が韓国に対して痛烈な批判を行いましたが、背景にはこのようなこともあったのです。

文在寅とプーチン
さて、いざとなれば、ロシアが金ファミリーを亡命させるという選択肢があるということは、我々も認識しておくべきです。

これに関しては、当然のことながら、トランプ大統領、安倍総理、習近平も知っていることでしょう。その上で、ポスト北朝鮮危機後の世界をなるべく自分たちに有利になるように立ち回っているというのが、実体でしょう。
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金正恩は、リビア方式での核廃棄を米国に確約しなければなりません。しかし、そうなると、後にカダフィーのような運命をたどることになるかもしれない恐怖に苛まされているに違いありません。

であれば、米朝首脳会談では、トランプ大統領にリビア方式での核廃棄を確約するとともに、その直後に家族もろともにロシアに亡命し、そのままスヴァールバル諸島に行くというシナリオも十分に考えられます。

それに向けての準備のため、金正恩は習近平に会ったのかもしれません。自分が亡命した後は、中国に近い人間を指導者とした新たな指導者をたてることなどを相談にいき、自らの亡命に賛同してもらったかもしれません。

それがその通りになるかどうかは別にして、金正恩とその家族はそれで延命をはかることはできるかもしれません。

そうして、その後の北朝鮮の運命に関しては、すでに日米中露の間で一定のコンセンサスに達している可能性があります。これについては、従来の日米中露の首脳会談等で話し合われ(この話あいを私はこのブログでは北朝鮮版ヤルタ会談と呼んでいます)、おそらく日米中露にとって譲れる範囲内のコンセンサスとなっていることでしょう。八方美人的で経済的にも軍事的にも重要ではない韓国は蚊帳の外でしょう。

日米首脳会談を直前に行うのは、このコンセンサスに向けての韓国抜きの同盟国としての最終的な準備に入ることと、拉致被害者問題の対処についての話し合いを行うためでしょう。

北朝鮮問題の解決は、マスコミ報道などとは全く異なったものになるかもしれません。

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