礒崎哲史氏(左)と杉尾秀哉氏(右)(写真)ら14人が法案を提案したが、国民は評価するのか |
民進党が心配だ。学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、「国家戦略特区停止法案」を国会に提出したのだ。安倍晋三政権の疑惑追及は野党として当然だが、この法案提出は、結果的に巨大な既得権益を死守したい官僚機構や業界団体の片棒を担ぐことにならないか。日経新聞も事前に「ここまで的を外した法案は珍しい」と酷評していた。
注目の法案は、特区の新規指定を停止し、法施行後2年をめどに制度の抜本的見直しを、政府に義務づけるものだ。
民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。
この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。
元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。
「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」
現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。
ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。
民進党「加計学園疑惑調査チーム」の共同座長である桜井充氏は8日の参院内閣委員会で、前日参院に提出した法案について、次のように語り、胸を張った。
「国家戦略特区法が悪用されている。悪用されているからこそ、1回止めなければならないと思って停止法案を出させていただいた」
50年以上も獣医学部新設を認めなかった文部科学省の「岩盤規制」を国家戦略特区で打ち破り、愛媛県今治市への獣医学部新設が決まったのは2017年1月。政府は、猛反対していた日本獣医師会と農林族などに配慮して、空白地域の「1校だけ」という条件を付けた。
民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。
この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。
元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。
「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」
現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。
ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。
【私の論評】こんなことばかりだと、万年野党の地位すら危うい(゚д゚)!
参院民進党・国家戦略特区調査プロジェクトチーム |
だから、一旦は「国家戦略特区停止法案」を提出すると発表しながらも、実際は提出しないとか、提出するにしても「改正法案」を提出するのではなかろうか思っていました。
なぜなら、さすがにこの法案を提出するということになれば、民進党内でも反対する議員も多数出るだろうし、第一このようなことをしても、民進党にメリットはほとんどないと感じられたからです。
しかし、現実には本当に提出されました。さて、この法案はどのようなものであるのか、以下に民進党のサイトから以下にリンクを掲載します。
要するに、単純な停止法案です。見直しをすることも盛り込まれていますが、まずは停止です。
ブログ冒頭の記事にもあるように、停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものです。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方があったはずです。あまりにも拙速なやり方だったと思います。
民進党が問題視している国家戦略特区は、46の規制緩和など構造改革メニューと242の認定事業で構成されており、その指定はほぼ全国にわたっています。特区は、地域により規制改革や構造改革のメニューが異なります。東京圏(東京都と神奈川県、千葉県の一部)は、国際ビジネス、イノベーション拠点、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)は、医療等イノベーション・チャレンジ人材支援拠点として指定。沖縄県は国際観光拠点というように地域特性に合わせて指定されており、規制緩和を行うとともに人的・財的資源を集中投下するというものです。
獣医学部新設問題はあくまでも242の認定事業の一つにすぎません。その中の一つが問題だからといって、法律を廃止すべきだというのはあまりにも無責任です。また、事業の多くは既に始まっており、一方的に中止すれば、その影響は非常に大きなものになります。
東京都だけでみても、都市再生事業のほとんどが特区の恩恵を受けています。もしこの法律が本当に施行されれば、築地市場の移転問題の比ではない金額の損失が発生し、国にその賠償責任が生じる可能性もあります。金額面以外にも、首都直下地震などへの対応も遅れることになります。
全ての行動には結果が伴い、結果には責任が伴います。特に政治が与える負の影響は非常に大きなものであり、政治家や政党の無責任な行動は許されないです。ましてや、民進党の蓮舫代表は、旧民主党政権下で行政刷新担当大臣として、規制改革を推し進めてきた当事者です。
獣医学部の新設は、今治市から繰り返し出された陳情に対し、自民党政権が「対応不可」としてきたものを鳩山由紀夫政権が2010年3月に「速やかに検討」として格上げしたものではありませんか。当然、蓮舫代表はそこに関わってきた当事者の一人で、今回の民進党の対応を見る限り、大臣時代に何も学ばなかったとしか思えません。
鳩山由紀夫政権 |
特区問題を問題視すというのなら、本来、証人喚問すべきは国会でも取り上げられたこの民間議員であり、「言った、言わない」の水掛け論にしかならない前文部科学事務次官ではないはずです。特区制度が気に入らないからといって、ちゃぶ台返しで廃止とは全くお話ににもなりません。
平成28年9月9日、第23回国家戦略特別区域諮問会議 |
しかし、民進党の真の目的は安倍倒しであって、特区などはその道具に過ぎず、本来どうでも良いのでしょう。だから問題の本質を追求することなどはなから興味がないのです。
国家戦略特区のワーキング・グループの議事録などを見ていると、この段階で、文部省は完敗北していることがうかがえます。
これをみると、安倍総理が加計学園、獣医学部設置に関与したなどということはとても考えられません。民進党は、議事録を読んでいるのか本当に疑わしいです。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/index.html
そもそも、民進党はこの停止法案は、通るはずもないという前提で提出しているとしか思えません。本当に通ってしまえば大混乱になります。通らないことを前提で、単なるイメージ戦略の一環としての提出だとしか思えません。
このようなことでは、確かにブログ冒頭の記事にもあるように「有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」ということになってしまいます。
今回の、廃止法案提出はまさに民進党がそのような意思表示をしたとしか受け止めようがありません。しかし、今回のようなことをしていると、民進党は万年野党の地位すら維持できなくなるかもしれません。
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このようなことでは、確かにブログ冒頭の記事にもあるように「有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」ということになってしまいます。
今回の、廃止法案提出はまさに民進党がそのような意思表示をしたとしか受け止めようがありません。しかし、今回のようなことをしていると、民進党は万年野党の地位すら維持できなくなるかもしれません。
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