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2018年7月25日水曜日

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ―【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

米ロ会談が酷評でも支持率上昇のトランプ

「命運が尽きた」と言われながらも支持層は盤石

ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、
北大西洋理事会の会合の会場に到着したドナルド・トランプ米大統領(2018年7月11日)

 西欧訪問やロシアのプーチン大統領との会談を終えた米国のドナルド・トランプ大統領が米国主要メディアから酷評を浴びている。政界でも民主党側はもちろん共和党の一部からも批判が起きた。

 だが、その一方で米国民一般のトランプ大統領支持は5割に近い水準を保ち、共和党支持者の間では一段と高くなっている。激しく糾弾されるトランプ大統領と、支持層を堅く保つトランプ大統領と、まるで2人の人物が存在するかのようだ。

根拠が薄弱な米国メディアのトランプ評

 欧州を訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談したトランプ大統領の言動に対して、米国のメディアや民主党系識者たちからは以下のような非難がぶつけられた。

「トランプ大統領は西欧との同盟を破壊する」

「敵であるはずのロシアと手を結ぼうとする」

「トランプ氏は無知で衝動的であり、政策がない」

 トランプ批判の先頭に立つニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストの記事は、このような非難に満ちていた。その筆致はまるでトランプ大統領の命運が尽きたと断じているようでもあった。

 このようにトランプ大統領を切り捨てる論評は、そのほとんどがトランプ大統領のメディアとのやりとりや、トランプ氏自身のツイッターでの発信が根拠となっている。トランプ大統領が正式に発表した政策や決定を基にしているのではなく、記者が個人的な感想を述べるという次元の記事が多いのが実状だ。

 確かにトランプ氏の言動は既成の政治リーダーとは、まったく異なる。単純明快だが、粗雑である。ごく平均的な米国人たちが日ごろ口にするような言葉で、難しい国際問題や国内問題を平易に説明しようとする。そうした言葉遣いは、政治やメディアの世界のエリートとされる層をいらだたせ、怒らせ、反発させる。

 日本でのトランプ評も、米側のそんな傾向に依拠するところが多い。実際に、いまだに以下のようなトランプ評が見受けられる。

「トランプ氏は不動産業出身だから大統領職はまともには務まらない」

「大統領としての行政や統治も、みな損得のディールなのだ」

「トランプ氏の最近の言動はみな中間選挙目当てである」

 だが、こうしたトランプ評は根拠が薄弱であり、明らかに事実と異なる部分もある。まず「不動産業だから」という批判は、不動産業への差別意識だともいえる。かつて1981年に共和党のロナルド・レーガン大統領が登場したとき、民主党側の政治家やメディアは「しょせん彼は映画俳優だったから」と見下す言葉を浴びせた。映画俳優という職業への偏見だった。しかし、現実にはレーガン大統領は米国の政治史でも最高レベルの国民の人気を得る国家指導者として名を残した。

 トランプ大統領は政策や理念ではなく金銭上の損得だけを考えて「ディール」している、中間選挙で共和党の勝利を得るために目先の人気取りだけで動いている──といった批判も、裏付けとなる事実があるわけではない。

国民の支持を得ているトランプ大統領の政策

 米国メディアは、以上のようにトランプ大統領を徹底的に「浅薄、無知、無思慮、無政策、無思想な人物」として描き、「ドン・キホーテのように孤立して奇矯な人物」というレッテルを貼ろうとしている。

 だが現実のトランプ大統領は、決してそうではない。

 私は、2015年6月にトランプ氏が大統領選への立候補を宣言したときから大統領選キャンペーン中の彼の言動を追い、トランプ氏が大統領に就任してからも、その政策や演説を取材してきた。また、トランプ大統領の支持層にも接してきた。その体験を踏まえて彼を眺めると、どうしても異なるトランプ像がみえてくる。

 今、話題になっているトランプ大統領の欧州への防衛政策やロシアへの態度に焦点を当てて説明しよう。

 今回の欧州訪問で北大西洋条約機構(NATO)の首脳会談に出席したトランプ大統領は、NATOの欧州側加盟国に防衛費の増額を強く要求した。加盟各国は最低限、GDP(国内総生産)2%の防衛費支出をするという約束を守れ、という要求だった。

 トランプ氏のこの要求は、NATOを壊す動きだとして広く報道された。トランプ氏はきわめて衝動的であり、米欧同盟の破壊につながるという批判も多かった。

 しかし実際には、トランプ氏は「NATO諸国の防衛費負担の増大」を2016年4月の大統領候補として初の外交演説で第1の公約として挙げていた。当時から一貫して変わらない「公正な負担を」という政策なのだ。国民から広く支持を得ている政策であり、オバマ前政権もこの政策を推していた。

 また、トランプ大統領は「NATO体制の維持と強化」も政策として掲げてきた。昨年(2017年)末から今年初頭にかけてトランプ政権が発表した「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」でも、大統領として明言している。米国が主体となって進めるNATOの維持や強化は、今回のNATO首脳会議での共同声明でも確認された。トランプ大統領はNATO堅持を主張した上で公正な負担を求めているのだ。

 ロシア政策にしても、トランプ大統領は前記の「国家安全保障戦略」や「国家防衛戦略」の中で、ロシアをはっきりと米国主導の国際秩序を侵食し、破壊することを企図する危険国家として位置づけてきた。トランプ大統領はプーチン大統領と握手はしても、ロシアのクリミア奪取を許してはいない。ロシアへの経済制裁もまったく緩めていないのだ。

 トランプ政権のロシアへの基本姿勢は、軍事力の強化によっても明らかだといえる。トランプ大統領は2017年9月の国連演説で「原則に基づく現実主義」という理念を掲げ、国家主権に基づく「力による平和」という政策を語った。それとともに、潜在敵であるロシアや中国の膨張を抑えるために、軍事力を大幅に強化し始めた。トランプ政権の2018年度の国防予算は、前年度から13%増加し、GDPの4%ほどに達している。

トランプ大統領はもう1人いる?

 だが、反トランプのメディアはそうした政策をほとんど取り上げない。その代わりにトランプ大統領の自由奔放な発言、放言、失言を引き出して、集中砲火を浴びせる。 

 それでも、米国一般のトランプ支持は揺らがない。大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなる。この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にある。

 さらにトランプ大統領への支持の特色は、本来の支持層の支持がきわめて堅固であり、しかも増加の動きをみせている点である。ごく最近でもその支持率は85%以上の高い水準にある。「命運が尽きた大統領」というイメージとはほど遠いといってよい。

 7月24日の報道でも、トランプ・プーチン会談の最中と直後の7月中旬に、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とNBCテレビが共同で実施した全米世論調査では、トランプ大統領への支持率が前回の44%から45%に上昇したという。ネット・メディアの「ザ・ヒル」の同時期の世論調査では共和党支持層のトランプ大統領への支持率は88%という記録破りの数字を出したという。

 こうした諸点をみてくると、米側の反トランプメディアや日本側のいわゆる識者の多くが描くのとは異なる「もう1人のトランプ大統領」を、私はどうしても実感させられるのである。

【私の論評】日米マスコミの報道は鵜呑みにできない、特に総理と大統領関連の報道はそうだ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもでている、米国の調査会社ラスムッセン社が毎日行っている世論調査で、今年2月27日にはトランプ大統領の業績を支持する者が50%となりこの内35%が「強く支持」していました。一方不支持率は48%で「強く不満を持つ」は39%でした。

トランプ大統領の支持率が50%になるのは昨年6月中旬以来のことです。その後30%台にまで転落していたのですが昨年暮れ以降上昇機運にありました。

この50%という支持率が高いのかどうかですが、オバマ前大統領の第一期目の同時期の支持率が43%であったのと比較すると、かなり良い数字だと考えざるを得ません。

その原因ですが、時期的に見るとトランプ大統領に大きな影響力を持っていた超保守派のスティーブ・バノン前主席戦略官が暴露本「炎と怒り」に、大統領の娘イバンカさんや娘婿クシュナー氏を批判する発言を引用されて、ホワイトハウスから完全に放逐されたことと重なります。

暴露本「炎と怒り」

その後トランプ大統領の口から「アメリカ・ファースト」という言葉も出なくなり、政策的にも移民に同情的だったり、今年3 月のフロリダの高校での銃乱射事件でも銃規制強化を提案したり柔軟な姿勢が見えるようになったことが支持を拡大した可能性が大きいです。

ただ、同時期に発表されたCNNの世論調査ではトランプ大統領への支持は35%で過去最低と並んだとされました。片やラスムッセン社がトランプ大統領は「評価されている」としたのに対して「最低水準」という結果はどうして生まれたのでしょうか。

トランプ大統領の支持率を伝えるCNNの画面

同じ疑問を米国でも持ったようで、ワシントンの保守系のニュースサイト「デイリー・コーラー」が分析を試みていました。

同サイトはまず回答者について調べた結果、CNNの場合「民主党支持者」33%「共和党支持者」23%「その他」44%となっていることに着目した。通常米国国民の内共和党を支持する者は37%とされているので、14%ほど民主党寄りの回答者が多かったのではないかと指摘しました。

次に、回答者の選び方もCNNが「18歳以上の成年男女」としたのに対してラスムッセンは「投票すると回答した有権者」だった。大統領選挙の投票率は通常50%前後なので、世論調査の対象としては「投票する」とした有権者の方が正確を期せるといいます。

さらに、CNNの調査は調査員が電話で尋ねる方法をとりますが、この場合回答者が調査員の意向をしんしゃくする場合があるのでラスムッセンのように録音メッセージで機械的に行う方が好ましく「CNNは調査のデータをねじ曲げ(skewing)た」と「デイリー・コーラー」は断じています。

CNNが「ねじ曲げた」かどうかはともかく、ラスムッセン社の世論調査は一昨年の大統領選の際にトランプ候補とクリントン候補の得票差をほぼ正確にとらえていたことで評価されており、いまトランプ大統領が上り調子であるという調査結果は素直に受け入れても良いと認識すべきと思います。

実際、ブログ冒頭の記事にも「大手世論調査機関で唯一、毎日、大統領支持率の調査を実施するラスムセン社の発表では、トランプ大統領への一般米国民の支持率は45%以上であり、ときには50%近くにもなっている」とあります。そうして、この支持率はこの数カ月間、上昇傾向にあります。

CNNといえば、昨年ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けているという記事を米CNNが撤回し、CNNは26日、関わった記者3人の辞職を発表していました。

CNNを辞職したのは、記事を担当したトマス・フランク記者、調査報道部門編集者でピュリツァー賞受賞経験もあるエリック・リクトブラウ氏、調査報道部門の責任者のレックス・ハリス氏。

米国のCNNや他の報道機関の報道でも、トランプ大統領に関する報道は偏向しているとみるべきでしょう。やはり、ラスムッセン社の世論調査などを参照すべきです。

日米マスコミのトランプ報道は鵜呑みにできない

そもそも、このブログでも過去に何度か述べているように、米国のマスコミはリベラル派が牛耳っています。新聞はすべてが、リベラル派です。テレビ局では唯一フォックスTVだけが、保守派で他はリベラルです。

報道する時の視点はすべてリベラル派の視点からによるものです。米国のマスコミの報道だけを見ていると、それは米国の半分だけみていることになり、もう半分の保守派についてはスルーすることになります。

日本のメディアの安倍総理報道も鵜呑みにできない

それは、日本の安倍総理の報道も、産経新聞などを見ることなく、朝日新聞やテレビ報道を真に受けていれば、とんでもないことになると同じことです。

日米双方とも、マスコミの大部分は偏向しているとみなすべきです。そもそも、両方ともトランプ大統領の登場を予測できませんでした。そんなマスコミを単純に信じ込むことはできません。

【関連記事】

米ロ首脳会談 − 「ロシアからヒラリーに4億ドル寄付」プーチン大統領が発言―【私の論評】トランプ氏を馬鹿であると報道し続ける日米のマスコミは、自身が馬鹿であると気づいていない?

2017年6月11日日曜日

民進に日経が「的外れ」酷評「悪者扱いは筋が悪い」『戦略特区停止法案』提出、万年野党宣言も同然 ―【私の論評】こんなことばかりだと、万年野党の地位すら危うい(゚д゚)!

民進に日経が「的外れ」酷評「悪者扱いは筋が悪い」『戦略特区停止法案』提出、万年野党宣言も同然 

礒崎哲史氏(左)と杉尾秀哉氏(右)(写真)ら14人が法案を提案したが、国民は評価するのか

民進党が心配だ。学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、「国家戦略特区停止法案」を国会に提出したのだ。安倍晋三政権の疑惑追及は野党として当然だが、この法案提出は、結果的に巨大な既得権益を死守したい官僚機構や業界団体の片棒を担ぐことにならないか。日経新聞も事前に「ここまで的を外した法案は珍しい」と酷評していた。

 注目の法案は、特区の新規指定を停止し、法施行後2年をめどに制度の抜本的見直しを、政府に義務づけるものだ。

 民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。

 この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。

 元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。

 「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」

 現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。

 ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。

 民進党「加計学園疑惑調査チーム」の共同座長である桜井充氏は8日の参院内閣委員会で、前日参院に提出した法案について、次のように語り、胸を張った。

 「国家戦略特区法が悪用されている。悪用されているからこそ、1回止めなければならないと思って停止法案を出させていただいた」

 50年以上も獣医学部新設を認めなかった文部科学省の「岩盤規制」を国家戦略特区で打ち破り、愛媛県今治市への獣医学部新設が決まったのは2017年1月。政府は、猛反対していた日本獣医師会と農林族などに配慮して、空白地域の「1校だけ」という条件を付けた。

 民進党はこの条件について、同時期に学部新設を目指していた京都産業大(京都市)を排除するために設けた-との主張を展開している。安倍首相の友人が理事長である「加計学園」を優遇したという見立てだ。

 この流れで「国家戦略特区停止法案」も提出されたが、日経新聞は提出前の5日付社説で冒頭のように批判し、「戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪い」と指摘していた。

 元経産官僚で、コンサルタントの宇佐美典也(のりや)氏は「国家戦略特区制度には規制改革だけでなく、『意欲ある地方が自ら考え、現場から日本を変えるきっかけを与える』という意味もある」といい、続けた。

 「停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものだ。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方はなかったのか。民進党は将来、政権に就いた場合、自分たちの政策をどう具現化するつもりなのか理解できない。有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」

 現に、法案提出には民進党の改革派議員からも批判があったようだ。

 ある改革派議員は「『ノーコメント』と答えれば、私の心中は分かっていただけると思う」と、夕刊フジの取材に寂しそうに語った。

【私の論評】こんなことばかりだと、万年野党の地位すら危うい(゚д゚)!

参院民進党・国家戦略特区調査プロジェクトチーム
この法案を提出すると民進党が発表したときに、私自身はにわかには信じることはできませんでした。戦略特区を選定する際に透明性を保つために、法律を変えるなどのことならまだわかりますが、廃止法案となると、これは時代に逆行しているとしか思えないし、これは各省庁の官僚を喜ばせることにはなって、決して国民のためにも日本国のためになるとはとても思えなかったからです。

だから、一旦は「国家戦略特区停止法案」を提出すると発表しながらも、実際は提出しないとか、提出するにしても「改正法案」を提出するのではなかろうか思っていました。

なぜなら、さすがにこの法案を提出するということになれば、民進党内でも反対する議員も多数出るだろうし、第一このようなことをしても、民進党にメリットはほとんどないと感じられたからです。

しかし、現実には本当に提出されました。さて、この法案はどのようなものであるのか、以下に民進党のサイトから以下にリンクを掲載します。


要するに、単純な停止法案です。見直しをすることも盛り込まれていますが、まずは停止です。

ブログ冒頭の記事にもあるように、停止法案の提出は、政治主導の理念に逆行するものです。特区認定の手続きの透明性・公平性を高める仕組みを提案するなど、別のやり方があったはずです。あまりにも拙速なやり方だったと思います。

民進党が問題視している国家戦略特区は、46の規制緩和など構造改革メニューと242の認定事業で構成されており、その指定はほぼ全国にわたっています。特区は、地域により規制改革や構造改革のメニューが異なります。東京圏(東京都と神奈川県、千葉県の一部)は、国際ビジネス、イノベーション拠点、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)は、医療等イノベーション・チャレンジ人材支援拠点として指定。沖縄県は国際観光拠点というように地域特性に合わせて指定されており、規制緩和を行うとともに人的・財的資源を集中投下するというものです。

獣医学部新設問題はあくまでも242の認定事業の一つにすぎません。その中の一つが問題だからといって、法律を廃止すべきだというのはあまりにも無責任です。また、事業の多くは既に始まっており、一方的に中止すれば、その影響は非常に大きなものになります。

東京都だけでみても、都市再生事業のほとんどが特区の恩恵を受けています。もしこの法律が本当に施行されれば、築地市場の移転問題の比ではない金額の損失が発生し、国にその賠償責任が生じる可能性もあります。金額面以外にも、首都直下地震などへの対応も遅れることになります。

全ての行動には結果が伴い、結果には責任が伴います。特に政治が与える負の影響は非常に大きなものであり、政治家や政党の無責任な行動は許されないです。ましてや、民進党の蓮舫代表は、旧民主党政権下で行政刷新担当大臣として、規制改革を推し進めてきた当事者です。

獣医学部の新設は、今治市から繰り返し出された陳情に対し、自民党政権が「対応不可」としてきたものを鳩山由紀夫政権が2010年3月に「速やかに検討」として格上げしたものではありませんか。当然、蓮舫代表はそこに関わってきた当事者の一人で、今回の民進党の対応を見る限り、大臣時代に何も学ばなかったとしか思えません。

鳩山由紀夫政権
だからといって、現在の特区制度に問題がないわけではありません。特区認定の実現までに中心的な役割を果たす「国家戦略特区諮問会議」の民間議員の一人が一定の力を持ち、民間議員による利益相反(自己の関係先への利益供与)が存在した事実も国会で確認され、是正のための対策が講じられることになりました。しかし、現在までのところ民間議員の責任に対する明確な追及はありません。

特区問題を問題視すというのなら、本来、証人喚問すべきは国会でも取り上げられたこの民間議員であり、「言った、言わない」の水掛け論にしかならない前文部科学事務次官ではないはずです。特区制度が気に入らないからといって、ちゃぶ台返しで廃止とは全くお話ににもなりません。

平成28年9月9日、第23回国家戦略特別区域諮問会議
 しかし、民進党の真の目的は安倍倒しであって、特区などはその道具に過ぎず、本来どうでも良いのでしょう。だから問題の本質を追求することなどはなから興味がないのです。

国家戦略特区のワーキング・グループの議事録などを見ていると、この段階で、文部省は完敗北していることがうかがえます。

これをみると、安倍総理が加計学園、獣医学部設置に関与したなどということはとても考えられません。民進党は、議事録を読んでいるのか本当に疑わしいです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/index.html

そもそも、民進党はこの停止法案は、通るはずもないという前提で提出しているとしか思えません。本当に通ってしまえば大混乱になります。通らないことを前提で、単なるイメージ戦略の一環としての提出だとしか思えません。

このようなことでは、確かにブログ冒頭の記事にもあるように「有権者から『対案も出さず、政権批判に明け暮れる万年野党であり続けたい』と思われかねない」ということになってしまいます。

今回の、廃止法案提出はまさに民進党がそのような意思表示をしたとしか受け止めようがありません。しかし、今回のようなことをしていると、民進党は万年野党の地位すら維持できなくなるかもしれません。

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