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2017年5月14日日曜日

エンゲル係数「上昇」の深層 「生活苦」と「食のプチ贅沢化」の関係―【私の論評】フェイクを見抜け!上昇の主要因は高齢化(゚д゚)!



  家計支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」の上昇が話題になっている。安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの期間と重なる2013~2016年まで4年連続で上昇しているのだ。教科書的には生活の豊かさに反比例、つまり、低いほど豊かと説明される指数の上昇をどう読み解けばいいのか。

   総務省の家計調査(2017年2月発表、速報値)によると、16年(2人以上世帯)のエンゲル係数は25.8%と前年比0.8ポイントアップし、1987年(26.1%)以来29年ぶりの高水準を記録した。

   家計支出と食費の関係

   そもそもエンゲル係数は19世紀のドイツに社会統計学者、エルンスト・エンゲルが論文で発表したもの。家計の支出のうち、酒やたばこに代表される嗜好品は削れても、米や野菜など食費は削るにも限度があるので、エンゲル係数が高いほど生活が苦しいという傾向がみられる、という理屈だ。実際、2016年の数字でも年収とエンゲル係数は、反比例の関係を示している。

   歴史的に見ても、戦後1946年の66.4から復興、高度成長に伴って急降下し、70年代以降は徐々になだらかな傾斜になりながら、2005年に22.9%まで下がって最低を記録した。しかし、その後は上昇基調に転じ、12年までは毎年0.1ポイントずつくらいの上昇だったのが、13年の23.6%から14年24.0%、15年25.0%、そして16年の25.8%へと上昇ピッチを速めている。

   ここにきての上昇の原因として、まず挙げられるのが、生活が厳しくなっていることだ。総務省が2014~16年の上昇幅計1.8ポイント分の要因を分析したところ、半分の0.9ポイント分が食料品の値上がり。消費税率の引き上げ(2014年4月)のほか、アベノミクスによる円安で輸入食品の価格が上がって食品メーカーが値上げに踏み切ったからだ。

   加えて、残りのうち0.7ポイント分が消費支出そのものの減少。2016年の消費支出は28万2188円で、物価変動の影響を除いた実質で前年比1.7%減と3年連続マイナスになっている。

    手取り伸び悩みと物価上昇

   少し詳しく世代別に見ると、高齢化の進展で高齢者世帯が増えていることがエンゲル係数を押し上げていることが分かる。教育費などがなくなって食費が支出の中心を占めるようになる一方、収入は現役時代より減るからだ。2016年の無職の高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)のエンゲル係数は1.7ポイント増の27.3%と、それより若い年代を上回っている。

   現役世代はというと、2015、16年と2年連続で収入が増えたものの、社会保険料の増加などで手取りが伸び悩んでいて、エンゲル係数を押し上げる一因になっている。

   アベノミクスのシナリオは、金融緩和で円安を進め、企業業績を回復させ、賃金も上げ、円安と相まって物価上昇させ、デフレを脱却するというもの。円安とそれによる食料を中心とした輸入物価上昇は生きたが、賃上げが低迷しているため、収入減と物価上昇という入りと出の両面でエンゲル係数上昇に作用した面があるといえそうだ。

   さらに、非正規労働者の増加で収入が不安定になり、食事も満足にとれない子どもの増加などが社会問題化しているが、「住居費は家を追い出されるのでカットできない分、食費を極限以下に切り詰め、『食べられない子ども』が増えているほか、少ない収入でもスマホなどに金がかかる分、食費を極端に抑える若者もいる。エンゲル係数の数字以上に個々には深刻な事例もある」(大手紙経済部デスク)。

   もちろん、すべてを「生活苦」で説明できるわけではない。「調理品」が消費支出に占める割合は2016年で3.4%と、過去30年で2倍近くに増えている。高齢化や共働き世帯の増加で、総菜などを利用する人は増えているということだ。日本総研のリポート(2017年3月1日「リサーチアイ」)は、調理品のほか飲料、乳卵類、油脂・調味料が増加していることを挙げ、これらには高付加価値品、嗜好品も多いことから、「家計のプチ贅沢の対象として『食』が浮上している」と指摘し、前向きな消費もエンゲル係数上昇に一役買っていると分析している。

【私の論評】フェイクを見抜け!上昇の主要因は高齢化(゚д゚)!

 エンゲル係数について今一度確認してみます。総務省の「家計調査」から2人以上の世帯について、食料費(外食を含む)と消費支出の比率をみると、12年の23・6%から、15年に25・0%に上昇しています。

もっとも、23・1%を記録した07年までは低下傾向だったが、その後上昇に転じています。上昇傾向は最近起こったのではなく、継続している現象です。

実は、07年以降のエンゲル係数上昇は、日本に限らず他の先進国でも起こっています。例えば、欧州連合(EU)の28カ国でみても、07年に23・2%まで低下した後で上昇し、14年は23・8%となりました。特にフランスやイタリアでは07年以降の上昇が大きいです。


07年以降のエンゲル係数の上昇が先進国で共通している背景には、リーマン・ショック以降、景気が落ち込んだのですが、食費は切り詰めにくいので結果的にエンゲル係数が上昇したためと考えられます。そうした世界の動きに加え、日本では、14年4月の消費増税の影響で所得が伸びなかったことの要因が大きいです。

さらに、高齢化の影響もあってエンゲル係数が伸びた面もあります。以下の図をご覧になって下さい。

データ出典 総務省統計局「家計調査報告」 以下同じ

これは、世代別のエンゲル係数の動きを示したものです。この図から明らかな通り、基本的には、若い世代ほどエンゲル係数が低く、高齢世代ほどエンゲル係数が高くなっていることが分かります。


高齢世代のエンゲル係数が高くなる理由は、多くの場合、主な収入源が、年金と貯蓄の取り崩しに限られる中、消費支出を切り詰めざるを得ない一方で、生きていくのに必要な食費は、消費支出全体の減少よりは減らない(経済学的には、食料などの必需品は需要の所得弾力性が小さい)ため、エンゲル係数が大きくなって見えるためです。

次に、下図をご覧ください。


これは各年のエンゲル係数を、世代別に分解したものです。この図から分かりますように、近年、日本のエンゲル係数に占める60歳世代以上(緑色の棒+青色の棒)のウェイトが上昇していることが確認できます。つまり、最近のエンゲル係数の上昇には高齢化が影響しているということです。これは、他の先進国でも似たような状況にあるものと考えられます。

さらに、下図をご覧ください。


この図はエンゲル係数の変化に対して、各世代のエンゲル係数の変化の寄与度を示したものです。同図からは、やはり高齢世代、特に70歳世代以上のエンゲル係数の上昇(緑色の棒)が、日本全体のエンゲル係数の上昇をけん引していることが確認できます。

もし、高齢化がエンゲル係数に与える影響が2005年水準のままであれば、他の条件が一定のもとでは、エンゲル係数は順調に低下し、例えば2016年では21.2%とまで低下していたものと、簡単な計算により確かめることができます。

結局、エンゲル係数の趨勢的な上昇をもたらしているのは、高齢化と先に述べたものも加わったことが主要因であり、アベノミクスの影響ではないということです。

以下の表は、2015年から2016年にかけての世代別エンゲル係数の変化に対して、どのような食料品項目がどの程度の影響を与えたかを分析したものです。

この表によれば、2015年から2016年にかけて各世代のエンゲル係数を押し上げた一番の要因は調理食品への支出です。調理食品は、お弁当、お惣菜、冷凍食品、揚げ物等への支出です。これは共働き世帯が増えつつある、あるいは高齢世代では自炊するより出来合いのものを買ってきた方が安く上がる等の結果であると言えるでしょう。

以上の通り、最近のエンゲル係数上昇の背景は、大きく分けると2つあり、1つは世界の動きに加え、日本では、14年4月の消費増税の影響で所得が伸びなかったこと、もう1つは高齢化の進行です。そうして、高齢化の進行のほうが大きいといえます。

今後も日本ではいっそうの高齢化の進行が見込まれていますので、他の条件が一定であるとすれば、エンゲル係数は上昇を続けるでしょう。だからといって、日本が貧しくなっているとは言えません。

もし、エンゲル係数の上昇が問題であるとすれば、それは循環的な要因を原因とするものです。つまり、将来不安による消費支出の削減、食料品価格の上昇です。ただし、こうした循環的要因に対しては対策を講じることができます。

まず、将来不安を取り除いて、安心して消費を増やせる環境を作ること、それには将来不安を生じさせている原因を特定する必要があります。現在は漠然と将来不安の原因として社会保障制度の持続可能性に関する疑いが挙げられますが、きちんとした確認が必要だと思います。

次に、食料品価格の上昇に関しては、円安政策を放棄して円高に誘導することで、輸入食料品価格を引き下げることを挙げることができます。

さらに、農産物の輸入自由化を進めることによっても、食料品価格の引き下げは可能です。

経済学では短期的(一時的)な現象と長期的(趨勢的)な現象を峻別するのがとても重要です。現在問題とされているエンゲル係数についても同様のことがいえます。

近年のエンゲル係数の上昇は高齢化やこれまで家の中で仕事をしていた主婦が家の外で働くようになった結果、お惣菜や弁当といった調理食品を購入せざるを得なくなったことに伴う構造的な要因が主因であり、それにリーマン・ショックなどの国際情勢や、消費税増税も絡まっています。

そうでなければ、アベノミクスが始まるより以前の2006年からエンゲル係数が傾向的に反転に転じている理由及び本格的に円安が進行を始めた2012年からではなく2014年からエンゲル係数が急上昇した理由を説明できません。

したがって、近年、日本のエンゲル係数が上昇したのは、生活防衛のための消費切り詰めがあるにしても、日本人の生活水準が趨勢的に低下したからではなく、基本的には日本人が高齢化した結果に過ぎず、ことさら大騒ぎするほどのもではないです。

そもそも、エンゲル係数の上昇は生活の苦しさを表すとも報道されていますが、そう断言できるのか疑問なところがあります。エンゲル係数の食料費には外食も含まれています。しかも、各国ともに生活慣行などが大きく左右するので、エンゲル係数の水準は大きく異なっています。

日本でも1960年代の一時期には、エンゲル係数を用いて生活保護世帯への支給額の基準を決めたこともありました。しかし、今では生活保護世帯への支給額は消費動向などから決定されており、エンゲル係数は重視されていません。

以前もジニ係数がどうのこうのという報道がありましたか、これも結論からいうと高齢化がジニ係数が高くなっていることに寄与しています。アベノミクスとは関係ありません。以前マスコミがこれに騒いだのですが、何しろ統計が2010年までしかなかった時なので、詳しいデータなど掲載することもできなかったので、このブログでは真正面からは取り上げませんでした。

いずれにせよ、ブログ冒頭の記事のように、高齢化に全く触れない記事はフェイクとみなして良いです。

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2014年5月17日土曜日

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな―【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな

景気が上向くと、ビキニなどの水着の面積が小さくなるとか?

内閣府が公表した4月の景気ウオッチャー調査について、景気判断の現状が大きく落ち込んだ一方、先行き判断の上昇は過去最大となったとの報道もあった。消費税増税後の景気の落ち込みは一時的と考えてよいのか、それとも今後も懸念すべき材料はあるのだろうか。

・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

先行き判断は政権交代のあった2012年12月に51・0と50を超えたあと、13年12月の54・7まで、いい状態であった。しかし、1月49・0、2月40・0、3月34・7と急落した。3カ月間の下落幅20・0は、統計を取って以来最大の下げ幅だ。その反動で、4月の指数が跳ね上がったとみるべきだ。

増税後の景気の動向を占うのは、正直言えば現時点では難しい。消費税導入の1989年と5%に引き上げられた97年を見ても、それぞれ4月の増税後、6カ月程度は消費税増税の影響はあまり現れなかった。

しかし、6カ月をすぎるあたりから、両者の景気動向には差がつき始める。増税時の景気動向指数を100とすると、1年後になると、89年増税時には103・0、97年増税時には92・6と大きな差がついた。こうしたデータから、本当に見極めがつくのは、少なくとも6カ月超から1年後である。

景気ウオッチャー調査の先行き判断が6カ月後の景気動向指数の予測に有効であるとしても、現段階ではあと1、2カ月先にならないと判断するのは難しい。その無理を承知の上で、景気動向指数の動きを大胆に予想すると、今のところ、97年増税時に近いような感じだ。

「増税後の落ち込みは一時的」「想定内」という報道があるが、これは政府や日銀官僚からのリークだろう。彼らが事前にどのような想定をしていたのかわからないので、そうした見方が妥当かどうかも判断困難だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

さて、上の記事の冒頭には、ビキニのミズキの女性の写真をあげました。なにやら、世の中には、ビキニ等の水着の面積が小さくなると、景気が良くなるという説があるそうです。

なぜそうなるかといえば、一つは気分の問題です。好景気の時は消費心理が上向きになって、開放的な気分で大胆になると考えられます。

もう一つは、経済的な理由です。景気が良くなると財布の紐もゆるくなって、女性はボディケアにお金をかけるようになります。アンケートによるとビキニ姿に自信があるが13%ぐらいで、自信が無い人の理由が体が引き締まっていないということだそうです。しかし、懐具合がよくなるとボディケアにお金をかけられるので、パーフェクトなボディになってビキニに挑戦できるようになるということらしいです。
昨年の三愛の水着
ところで、昨年の水着の傾向は春ぐらいからかなり小さめのビキニが流行るといわれていて、実際小さめのビキニが売れていました。まさに景気がよくなっていたので、昨年の夏はビキニが売れるたという流れになっていたと思います。

景気がよくなると男性の懐具合も良くなってくるので、女性との遊びも派手になっていく傾向があるので、ビーチでナンパする時も露出度が高い女性の方が目立つので、ナンパされやすいという意味でも露出度の高い水着が流行るということも考えられます。

2014年、今夏の水着の二大キーワードは、「バンドゥビキニ」と「ハイウエストビキニ」。「バンドゥビキニ」とは、ブラがチューブトップタイプのビキニのこと。チューブトップ (tube top) は腋より下の部分を包む、袖なし・筒状のノースリーブの衣類のことです。落ちるのを防ぐため、ゴムひもなどで胸の上の位置できつく止めます。Twitterでキーワード検索をすると、女性から「かわいい」「欲しい」との声、多数上がっています。

バンドゥビキニ
一方の「ハイウエストビキニ」は、その名の通り、ハイウエストのショーツが特徴のビキニ。布面積が多めの50年代風デザインで、露出が少ない分、ビキニはちょっと…という女性でも抵抗なく着られそうです。こちらのほうはネット上ではあまり評判が良くはありません。

ハイウエストビキニ
景気ウォッチという側面からいうと、バンドゥ水着はあまり問題はないと思いますが、ハイウエストビキニは、明らかにボトムの面積が大きくなっているということから、問題ありです。これは、ハイウエストのジーンズ等のパンツからの流れのようですが、それにしても、ハイウエストのパンツが流行り、それが水着にまで進出してくるなどのことは今まではなかったことです。

これは、今年は景気が悪化するという前兆なのかもしれません。私としては、下の動画までいかなくても良いですから、やはりハイウェストではなく、面積が小さめのビキニが良いです。



景気が良くて、バブルになるとこんな水着が流行るのでしょうか、過去の事例では、さすがにマイクロビキニは流行りませんでしたが、バブル期やその直前にはハイレグ水着ははやっていました。


マイクロビキニまではいかなくても、せめて景気が良くなってハイレグ水着が流行る時代が来て欲しいものです。

さて、少し話が脱線してきたので、元に戻します。

上の高橋氏の記事は正しいです。実際、97年の増税後、98年になってから自殺者が2万人台から3万人台へと大幅に増えています。そのグラフを以下に掲載します。日本がデフレに突入したのは、5%増税をした1997年からなのですが、実体経済への最大の影響とみられる自殺者数が大幅に増えたのは、増税した次の年からです。


考えてみれば、判る話です。増税による影響が、すぐに出るなどのことはあり得ません。自殺者が増えたのは、デフレによる経済の悪化によるものが大きな原因とされています。これは、現在の日銀副総裁の岩田氏も認めていますし、他の多くの経済学者でも認めている人は大勢います。

たとえば、経済的なことが理由で自殺に至るにしても、最初は蓄えを崩すとか、人からお金を借りるとか、なんとかしていても、それでもどうにもならなくなり、進退窮まって最終的に自殺を選ぶということになるので、増税した直後に自殺者が増えるということにはならなかったのだと思います。

これは、自殺者数の推移について述べていますが、他でも同じことだと思います。たとえば、店をやっていても、増税後に客数が減ったとしても、多くの人が、最初は一時的に客が減っただけかもしれないと考えますが、半年、1年経つと、これは一時的ではなく、これからもずっとお客が減ると考え、本格的に仕入れを減らしたり、節約をはじめるという具合です。

財務省や、多くの白痴自民党議員は、こんなわかりきったことでも、増税後半年くらいであまり影響がないということにでもなれば、「8%増税で影響なし、次は10%増税も視野に入ってきた」などと言い始めるし、新聞などでも報道されると思います。

それとともに、財政赤字1000兆円を超えたので、増税しなければならないとか、次の10%増税に向けての前準備をすることと思います。これは、徹定期的に不味いです。

過去の2回の増税では、結局増税前よりも税収が減っています。今回の増税も結局そうなりそうです。

財政赤字を減らすというのなら、本来は増税などせず、金融緩和と積極財政をすることです。そうして、デフレを脱却して、さらに景気を良くすることです。こんな判りわかりきったことが、できない多数の与党自民党議員は、白痴といわれても仕方ないと思います。

白痴議員は、頭がなく財務省の官僚のいわれるがままです。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言があります。これを最初に語ったのは、ドイツの名宰相であるオットー・ビスマルクということになっています。

オットー・フォン・ビスマルク

しかし、彼が本当に語ったのは、
愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。 
Nur ein Idiot glaubt,aus den eigenen Erfahrungen zu lernen. Ich ziehe es vor,aus den Erfahrungen anderer zu lernen,um von vorneherein eigene Fehler zuvermeiden.
ということだそうです。

しかし、それより「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉のほうが人々によく知られていています。格言などは時間の経過によって、取捨選択された人々の智慧ですから、冒頭の言葉の方が、格言としてふさわしいと思いますし、実際そうなのだと思います。

今の大多数の自民党議員は、まさしく経験に学ぶことばかりしていて、歴史に学ぶということをしていないのだと思います。

今のタイミングで増税が駄目な理由は、古今東西の事例を見れば良くわかります。

たとえば、このブログでも掲載したように、世界で一番はやく金融恐慌によるデフレから脱却した高橋是清のリフレ政策などがその良い実例です。

高橋是清のデフレのときに、金融緩和と積極財政をするというのは、マクロ経済学では常識であり、デフレのときの施策としては、ごくまともな政策です。過去を良く振り返ってみれば、デフレや不況のときに増税して成功したためしはありません。

これは、日本の過去においてもそうですし、海外でも同じです。たとえば、イギリスでは、現在の日本とは順番が逆ですが、大幅増税してから、景気が落ち込み、大金融緩和をしたにもかかわらず、なかなか景気が上向かず、税収も上がらなかったという例もあります。

それよりも、なによりも、こんなに長期間デフレであるのは、今の日本だけです。他国ではそんな事例はありません。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!
 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、イギリスが2011年時点で、財政再建を目的として、付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅に引き上げた結果、景気が低迷し、雇用、その中でも若者の雇用が著しく悪化したため、これに対応するためイングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)が、大金融緩和を実施したものの、なかなか景気が回復しなかったことを掲載しました。

これらの事例をふりかえると、不況、ましてやデフレのときには、増税など全くの間違いであることが良く理解できます。

高橋是清の政策は、良くリフレ政策と呼ばれますが、実は私はこの呼び方は大嫌いです。デフレのときに、金融緩和や積極財政をするのはあたり前のど真ん中であり、普通の政策であり、これをわざわざリフレ政策などと呼ぶ必要はないと思います。

そんなことより、過去の日本の経済対策をみれば、増税によりデフレになったにもかかわらず、日銀は金融引締めを行い、ますますデフレを加速させ、昨年には日銀がインフレ政策に転じ、やれやれと思っていたら、その翌年には増税です。日本の過去の経済政策は、まさに゛「デフレ政策」というにふさわし政策ばかりでした。

なぜこんなことになるかといえば、自民党をはじめとする日本の政治家のほとんどが、白痴なみであり、自分の経験したこと(財務省の官僚から聴いたことも含む)だけを拠り所として、過去の歴史から学ぼうとしないからです。

こんなことをいつまでも続けていれば、日本はいつまでもデフレから脱却できず、また自殺者も増えるだけです。デフレは、国民を塗炭の苦しみに追いやるばかりで、何も良いことはありません。無論、政府にとっても日本国にとっても良いことは何もありません。

自民党議員は、自分たちは政権与党の議員であることを認識して、過去の歴史に学び、デフレ政策をやめるべぎです。やめられないというのなら、議員を辞めるべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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