コロナ対策諮問委員会 |
自粛による経済への悪影響を分析するなら、経済学者よりシンクタンクのエコノミストのほうが適任だ。新たに加入する経済学者は、そうした試算を行うというより「ストーリーテラー」のようだ。そもそも試算なら、官庁エコノミストでもできるのに、何のために経済学者を加えたのだろうか。
いずれにせよ、自粛の経済への悪影響を試算した後の政策対応が重要な課題だ。そこには2つの対応パターンがある。
1つは、自粛は経済に悪影響があるので、自粛を解除し経済活動を再開するというものだ。その場合、再び感染者が増えて公衆衛生上はまずいので、感染症対策を優先するか経済を優先するかという二者択一になる。
ここでの政府は、公衆衛生政策は行うが景気悪化に対応する政策は行わないという前提だ。景気悪化に対応する政策を行わないのは、財政負担を避けるためには当然という立場だ。これを「財政緊縮派」と呼ぼう。
もう1つは、休業補償などで政府が所得補填(ほてん)をして悪影響を最小限にとどめることで自粛を継続するというものだ。
この場合、政府は公衆衛生政策のみならず、経済への悪影響のコストも負担する。そこでは当然、財政負担が生じるが、感染症は戦時状態と同じなのでやむを得ないと考える。
もっとも、経済の悪化は需要の蒸発による需要ショックなので、デフレ圧力がある。そうしたなかでカネを刷る政策は実質的に財政負担は生じないともいえる。これを「財政積極派」と呼ぶ。
今回、諮問委員会に加わった経済学者は、ほぼ緊縮派であるので、前記の2つのパターンのうち、財政緊縮派のパターンが提言されると予想できる。
この時期にこうした人選が行われることについて、筆者は政権内の政策決定力学の変更が背景にあると感じている。
今国会での2次補正予算編成は必至である。経済苦境はリーマン・ショックを上回り、戦前の大恐慌並みなので、1次補正の真水約25兆円では足りないのは明らかだ。
ということで、自民党を中心として補正予算の議論がなされている。一方、官邸側は、当初は官邸官僚が主導権を握っていたが、「30万円給付」でミソをつけ、党主導になった。そこで、諮問委員会に、緊縮派の経済学者を送り込んだと筆者は見ている。
今本当に求められているのは財政積極派の経済学者であるが、その期待に沿うことはなく、官僚側の緊縮財政を代弁するだけに終わりそうだ。
自粛解除後に流行第2波が来て「再自粛」となった際には休業補償が必要となるが、今回の学者たちは、それに反対するのではないか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】自民党の中の人たちは、小人閑居して不善をなす財務省に徹底的に負荷をかけよ(゚д゚)!
緊急経済対策の第2弾については、いろいろな観測報道が飛び交っていて、総理が数兆円規模での編成を指示したとか、国会は6月17日で閉じて延長はしないと委員長が言ったというような報道などがあります。
ただ、総理が数兆円規模と言ったという報道は、誰かがその思惑からリークしたものをそのまま報じたというというか、元々世論等を操ろうとする観測気球とはそのようなものです。
その思惑とは、誰が補正予算を仕切るかということです。普通であれば、予算なので財務省が仕切るのが通例なのですが、現在は自民党のなかの人の方が世間の状況をより反映できます。
自民党の中の人? |
自民党の人は政治家として、現在の状況を肌感覚として、中小の経営者をはじめとする国民の声や、支持者らの大変だという世間の実態を把握しています。そういう人から見て、従来の財務省のパターンでは予算が、足りないのです。
一方で財務省の人は、今回の話だと補正予算にはあまり関わらないので、観測気球をあげ、それをマスコミがそのまま流したというのが真相なのでしょう。
いままでであれば、どちらかというと官邸の方が政策の主導権を握って、党は追認ではないかと一部で批判されているところもありました。しかし、今回のコロナウイルス対策では、そこがひっくり返っているところがあるようです。
官邸主導でコロナ対策をで考えていた時、30万円の給付金話がありました。30万円のときは所得制限をするので、予算規模は4兆円くらいにしかなりません。それがあまりに少ないということで、ひっくり返されてしまいました。
いままでであれば、どちらかというと官邸の方が政策の主導権を握って、党は追認ではないかと一部で批判されているところもありました。しかし、今回のコロナウイルス対策では、そこがひっくり返っているところがあるようです。
官邸主導でコロナ対策をで考えていた時、30万円の給付金話がありました。30万円のときは所得制限をするので、予算規模は4兆円くらいにしかなりません。それがあまりに少ないということで、ひっくり返されてしまいました。
このブログにも以前掲載したように、あれをひっくり返したのは公明党となっていますが、安倍総理個人が「これではまずい」と思ってやったと私は見ています。逆に言うと、官邸でうまく仕切れていないのです。いまは自民党と公明党が中心となって補正予算を考えている状況のようです。
もともと30万円を発案したのは岸田政調会長で、安倍総理が岸田氏に一任すしたところ、全然まとめられないので、下駄を二階さんに預けたと言われています。
実際、あのまま貧困層に絞った30万円の給付金ということになれば、真水も少ない状況で、安倍政権はかなりの批判を浴びることになったでしょう。あそこでひっくり返すことによって、真水をかろうじて増やしました。今回の2次補正は1次補正と同じくらいやらないと経済が持ちません。
1次補正は10万円一律給付を含めたところで、国債の発行額が23兆円くらいになり、だいたいGDPの5%くらいの規模になりました。今回のコロナ禍による経済への打撃は、大恐慌並みなので、本来はGDPの10%以上真水を出さないと話になりません。
もともと30万円を発案したのは岸田政調会長で、安倍総理が岸田氏に一任すしたところ、全然まとめられないので、下駄を二階さんに預けたと言われています。
実際、あのまま貧困層に絞った30万円の給付金ということになれば、真水も少ない状況で、安倍政権はかなりの批判を浴びることになったでしょう。あそこでひっくり返すことによって、真水をかろうじて増やしました。今回の2次補正は1次補正と同じくらいやらないと経済が持ちません。
1次補正は10万円一律給付を含めたところで、国債の発行額が23兆円くらいになり、だいたいGDPの5%くらいの規模になりました。今回のコロナ禍による経済への打撃は、大恐慌並みなので、本来はGDPの10%以上真水を出さないと話になりません。
まともな経済政策ができないと、1年後くらいに失業者は300万人以上増えるレベルです。失業者が300万人以上増えると、自殺者は1万人ぐらいに増えるので、コロナウイルスの死よりもはるかに多い死者が出ることになります。
昨年は自殺者数は2万人を切ったが、今年はコロナ禍で増える懸念が・・・・ |
このようなことをどのように防ぐかが、マクロ経済政策のいちばんの基本です。そのようなときは従来型のケインズ型と言われる、真水を投入して有効需要を増やす方法しかありません。それをやるかどうかにポイントが絞られています。大恐慌並みに落ちるとなると、数兆円の補正では間に合うはずはありません。
コロナ感染の防止と経済との兼ね合いを考えると、緊急事態宣言の延ばす期間、自粛を呼びかける際の対象をどうするかという事が重要になってきます。
そこでコロナの諮問委員会のなかに、経済の専門家とされる人が入ることになりました。そのメンバーが12日に報道されました。大阪大学大学院の大竹文雄教授、慶応大学の井深洋子教授、東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏、慶応大学の竹森俊平教授の4人です。
ところが、この4人の経済の専門家は、マクロ経済立場からすると緊縮派ばかりです。補正予算の拡大を抑制しようという側に立つ人が選んだ人事といえます。
この人事の思惑は、予算が膨らむのを防ぎたいということでしょう。しかし、はっきり言うと、諮問委員会も最近休業続きですし、あまり関係ないともいえるでしょう。
この人事の思惑は、予算が膨らむのを防ぎたいということでしょう。しかし、はっきり言うと、諮問委員会も最近休業続きですし、あまり関係ないともいえるでしょう。
もう補正予算は出てしまうでしょう。補正予算が出てしまった場合、経済のことを諮問委員会で議論してもほとんど意味がありません。
今回の第2次補正予算案は、緊縮という省是に拘る財務省などは、抜きにして自民党内ですすめて、財源が足りなければ、マイナス金利の国債を発行させるように財務省にせまり、さらに消費増税もせまり、なんでコロナ禍の時にそんなことまでやるの、というようなことまで実行して、様々な難題を財務省に押し付け、事務・法律事務手続きなどに忙殺させ、財務省の余力を奪う戦術に出るべきと思います。
財務省の岡本薫明事務次官 |
そもそも、財務省は本質から外れた省益など拘泥するために、忙しがっているだけであり、国民生活の安寧などは無視し、まさにに小人閑居して不善をなすの格言を地で行っているような組織ですから、余計なことを考えられないくらいに徹底的に負荷をかけるくらいが相応しいのです。
そうすれば、自民党の中の人は、今回のコロナ禍による苦しんでいる国民のために、大鉈を振るえるようになります。はっきりいいます。国民の側からすれば、緊縮頭の財務省など、コロナ対策にはいらないのです。
そうして、あわよくば、財務省が負荷に耐えきれなくなって弱音をはけば、財務省を解体して、各省庁の下部組織として編入して、財務省が省益と盲目的に信じている緊縮というDNAを粉砕すれば良いのです。
このようなことが実行できれば、政治主導も夢ではないです。そのときには、日本も本格的に政策提言ができる、シンクタンクを複数設置すると良いと思います。
そうなれば、日本でも官僚が政治に介入するという思い上がりを断ち切り、まともになれるかもしれません。元々官僚とは、マックス・ウェーバーも言うように、決まったことを迅速に実行できるようにするのが本質であり、政治に関与するものではないのです。今回のコロナ禍をきっかけに、官僚は官僚の本分に戻るようにすべきです。
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