国際政治上の危機分析を専門とする米調査分析会社ユーラシア・グループは19日、今年注目するべき世界の指導者10人を公表、3位に民主党の小沢一郎幹事長を挙げた。首位は中国の温家宝首相、2位はオバマ米大統領で、鳩山由紀夫首相はランク入りしなかった。
分析は、小沢氏を「民主党内で最も力がある政治家」と位置付け、党の選挙戦略や資金面、候補者選定をコントロールしていると指摘。自身の資金管理団体をめぐる収支報告書虚偽記入事件を乗り越えることを前提に、夏の参院選勝利に向けて政権全体に対して強い主導権を握るとした。
さらに「政策決定を他に委ねているが、自身の政治課題を解決するためには強権的に介入する」と解説。小沢氏が事件によって政治の舞台から降りた場合について「政策面の影響はわずかだが、選挙への意味合いは途方もなく大きい」と強調した。
国際政治上の危機分析を専門とする米調査分析会社ユーラシア・グループが19日、発表した今年、注目すべき世界の指導者ベスト10ランキングは以下の通り
【1位】中国 温家宝首相
【2位】米国 オバマ大統領
【3位】日本 小沢一郎幹事長
以下
【4位】英国 キャメロン保守党党首
【5位】ブラジル ルラ大統領
【6位】イラン ラフサンジャニ元大統領
【7位】パキスタン カヤニ陸軍参謀総長
【8位】ロシア プーチン首相
【9位】アラブ首長国連邦 ハリファ・ビン・ザイド・ナハヤン大統領
【10位】欧州連合 オッリ・レーン欧州委員会委員
地政学的リスクの調査会社が出す注目度とは?
米調査分析会社ユーラシア・グループは先日もこのブログに掲載しました。世界の10大リスクの5位に民主党をあけでいるというものでした。(この文書の最後の【関連記事】にURLを掲載してあります。これには地政学的リスクについても解説しています)さて、この分析会社は、当然アメリカ側の立場から、そうして、地政学的リスクもしくは影響度から今回のリストを作成しているものと思います。
そういう前提でみると、このリストは、指導力やビジョンや成果なども勿論考慮するでしょうが、やはり最優先は地政学的リスクからの注目度と受け取るべきだと思います。
そうなると、中国の温家宝首相は最も地政学的リスクを左右する可能性のある人物であるということになると思います。やはり、中国経済の行方など最も注目しているのだと思います。GDPでは、もう少しで国全体では(国民一人あたりでは、日本の1/10)を追い越しそうな勢いの中国ですから、たとえば、人民元切り上げするしないでアメリカは、随分影響されると思います。その他にも、軍事力の増強とか、不安要素がかなりあります。
オバマ大統領は、アメリカの大統領です。これがもし、他の人が大統領となっていて、しかもその人の政治家としてのキャリアが長かったとすれば、上位10位以内には入らなかったかもしれません。それは、十分に予想がつくからです。しかし、オバマ氏は政治家としてのキャリアが短いため、不安要素があるため、アメリカ大統領であるにも関わらず、2位という結果になったのだと思います。
次に、小沢幹事長ですが、まず、民主党の中で実質上のトップであることは、十分把握しているのだと思います。そうして、小沢氏の小沢氏の親中的な行動や、民主党が次の参議院選挙でもし勝利することができれば、アメリカにとって、かなり地政学的リスクが高くなると踏んでいるのだと思います。
しかし、温家宝首相や、オバマ大統領より低いということは、「小沢氏が事件によって政治の舞台から降りた場合について「政策面の影響はわずかだが、選挙への意味合いは途方もなく大きい」実は、小沢氏が失脚しようがしまいが、民主党は政策面ではあまり変わらんないと踏んでいるということです。そうして、あまり変わらないとは、かなり親中的な態度や行動を示したとしても、温家宝氏が及ぼしたり、オバマ大統領の及ぼす影響よりは軽微だと見ているのだと思います。
もし、日本が民主党によるたとえば、東アジア共同体などを早期に実現するとかなど、極端な反米政策はとらないものと見ていて、結局は大政策転換はできないものと踏んでいるのだと思います。小沢氏は、二大政党制の大原則として、政治の継続性・連続性があることをすっかり忘れているようです。どこの国の場合でも、二大政党制ではたとえ政権交代をしたとしても7、8割は、前政権と同じ政治運営をするのが普通です。後の2割~3割がたで現政権らしさを出すというのが普通です。だから、アメリカ側は、民主党は結局は大政策転換はできないし、実施したとしても、アメリカに本格的に翻意するとは考えていないのだと思います。
そうであってくれれば良いのですが、所詮、アメリカのための分析ですから、日本国民のことなど考慮には入れていないと思います。だから、民主党が不可思議なことをして、国民が大きな迷惑を受けることなど無視している可能性も高いです。
昨年の衆議院議員選挙でも、国民の多くは、大改革を望んでいたわけではありません。ただし、前政権の自民党の制度疲労や、守旧ぶりに嫌気がさしていたというだけです。だから、民主党のほうに多少多くの票が集まっただけです。議席数の圧倒的な違いに多くの人は、勘違いして、民主党が圧倒的な差異で勝ったと思っていますが、得票数にすれば600万票くらいで、これは僅差です。これは、小泉さんが勝利したときも同じで、実は民主党との差異は僅差だったのです。これは、国民の側では、通常の二大政党制を望んでいることの現われだと思います。
いずれにしても、日本国民は、少なくとも小沢氏は、アメリカ側の見地であるとはいえ、地政学的リスクの観点からみれば、世界で3番目に注目すべき人物にランクづけられていることは忘れてはならないと思います。それから、鳩山さんは10位以内にも入っていません。これは、地政学上のリスクとはなりえないのですが、指導力も影響力も少なく、アメリカ側から見て、毒にも薬にもならない存在だということです。
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