厚生労働省は31日、平成22年の人口動態統計の年間推計を発表した。日本在住の日本人の人口は、自然減が12万3000人となる見通しで、初めて自然減が10万人台を突破する。出生数は微増したが、死亡数が昭和22年の統計開始以来最多の119万4000人を記録したため。自然減は4年連続で、人口減少に歯止めがかからなくなっている。
人口動態統計の年間推計は、1月から10月までの速報値を基に1年分を推計している。
出生数は前年比965人増の107万1000人。厚労省では出生数の増加について「推計値なので誤差の範囲内。前年を下回ることもあり得る」と説明している。ただ、出産適齢期の女性が減少する中で出生数が横ばいとなっているため、22年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値)は前年(1.37)を上回る見通しだ。
死亡数は高齢化が進み前年比5万2000人増となり、8年連続で100万人を超えることになる。婚姻数は70万6000組(前年比約2000組減)で2年連続の減少。離婚数は25万1000組(同約2000組減)で2年ぶりに減少に転じた。
【私の論評】本格的に、規模の経済だけではやっていけなくなる時代がやってきた!!
皆さん明けましておめでとうございます。新年そうそうのブログとして何を書こうかと思いましだか、やはり、上の内容など避けて通れないものなので、本日はこれについての論評を掲載していこうと思いす。
今までは、まだまだ、少子高齢化の影響は少なかったのですが、いよいよ本格的にその影響がやってきそうです。
これを機会に事業をやっている方々は、規模の経済ばかり追いかけるのではなく、範囲の経済も追求していく必要がありそうです。
規模の経済とは、生産量の増大につれて平均費用が減少する結果、利益率が高まる傾向をいいます。同じ意味で、規模に関する収穫逓増、費用逓減といわれることもあります。要するに、同じ事業で、お客さんの数が多くなれば、ますます利益が上がりやすくなることです。
過去の日本では、人口は右肩上がりが当たり前だったので、規模の経済を追求しやすい状況にありました。というより、20年以上前までは、すべての企業が規模の経済で成り立ち、成長してきたということです。
これに対して、範囲の経済とは、企業が複数の事業活動を持つことにより、より経済的な事業運営が可能になることを意味します。
「範囲の経済」は、単一事業において規模が拡大することによる効果ではありません。多様性が増すことにより経済性が高まるのは、何らかの経営資源を共有することで、それを有効に利用できるからである。自社が既存事業において有する販売チャネル、ブランド、固有技術、生産設備などの経営資源やノウハウを複数事業に共用できれば、それだけ経済的です。例えば、ビール会社の医薬品事業への展開は、バイオ事業を共有資源として活用することにより多角化を図る、範囲の経済の典型といえます。
なお注意点として、ある経営資源を有効活用できたとしても、それが複数事業を持つことで生じるマイナスの効果を補えるのかといったことがある。例えば、家庭や職場に飲料を毎朝配る女性配達員を大量に抱える飲料メーカー(ヤクルト)が、彼女らの強力な販売力を活用すべく、化粧品販売に乗り出したことがありました。しかし企業側の期待に反して、顧客は化粧品と飲料を同じ人から買うことに抵抗を示し、成功しませんでした。これは、事業の選択を誤れば、範囲の経済が働かないことを示しています。
平たくいえば、規模の経済では、一度でも買っていただけるお客をとにかく数を増やすということでしたが、範囲の経済では、個々のお客と長い間にわたってお付き合いいただき、なるべく多くの商品やサービスを購入していたたこうというものです。
このヤクルトの失敗は、まだ良いほうです。1980年代においては、闇雲にいわゆる多角化を実施して、既存事業とは全く関係のない事業を展開して、結局は大失敗して、新規事業を手放すという企業が後をたちませんでした。範囲の経済とはいっても、このようなやり方はなかなかうまくいかないということが多くの企業の失敗によって明らかになりました。
しかしながら、1990年代から、eコマースがだんだんと興隆してきて、現在では、いわゆる小売で業績を伸ばしているのは、eコマースだけという状況になっています。eコマースは、どのサイトでも、特に一つのカテゴリーにだけこだわるということはなく、様々なカテゴリーを扱っているいるというのが普通です。これは、範囲の経済によるものと考えて良いと思います。
いずれにせよ、少子高齢化については、かれこれ10年近くも言われ続けてきたのですが、多くの人は、実感があまりなかったかもしれません。しかし、それは、少子高齢化傾向になっても、今までは、その傾向が徐々に強まってきただけであって、それによって人口そのものが激減するという状況ではなかったからです。
これからは、この傾向がますます強くなっていきます。とすれば、規模の経済だけてはなかなか難しい局面を迎えたことは確かです。だからこそ、これからは、範囲経済も考えていかなければ、日本国内ではなかなか難しくなります。こうした範囲の経済を実現するノウハウとしての、ビジネス・部゜ラットフォームを築いていく必要もあります。
しかしながら、日本の人口は、それでも、1億人以上もあることから、規模の経済を追求しつつも、範囲の経済にも配慮する姿勢が必要になってくると私は考えます。
お隣りの韓国では、もともと人口が少なかったものが、日本よりも深刻な少子高齢化、さらに、年間8万ににも及ぶ脱南者と呼ばれる若者を中心とした海外移住者のため、8月末現在の韓国の住民登録人口は4997万6963人で、5000万人に2万3037人足りない状況です。韓国では、これからもますますこの傾向が加速します。こうした、韓国では、企業の海外進出などは当然の成り行きだと思います。
日本の場合は、このような状況から比較すれば、まだまだ、余裕があります。ただし、今年から、しばらくは人口が減り続ける時代がくることか確かです。しかし、こうした人口が減りつつある時代に対処しつつ、規模の経済と、範囲の経済の両方を追求しつつ、その社会に根付いた、商品・サービスなどは必然的に優れたものになるに違いありません。こういった社会にどのように対応していくのか、それを真剣に考えるとともに、社会の変革も必須となることでしょう。日本は、不得手であるとされる社会事業の改革も行われるべきです。
そういった意味で2011年は節目の年になると思います。そうして、これは決して後ろ向きなものではなく、前向きの挑戦になると思います。なぜなら、今日の少子高齢化は、どの国でも、一定以上の経済発展をした国では、起こっていることだからです。決して、後退ではなく前進だからです。私にとっても、皆様にとっても、今年は大きなチャレンジの元年となると思います。
【関連記事】