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2015年10月20日火曜日

【中国GDP発表】偽りのGDP異様に巨大化 乖離した“成長率”こそリスク―【私の論評】日本のリスクは中国の経済破綻よりも、増税リスクのほうがはるかに大きい(゚д゚)!


李克強指数ではかなりの下げが見られる中国経済

 中国政府は7~9月期の実質経済成長率を6・9%と発表した。経済教科書からすれば、この成長率水準は好景気そのものだが、経済実体を示す各種のデータはマイナス成長を指し示し、世界の専門家の大半が中国GDPを信用しない。米国に次ぐ経済規模を裏付けるはずの数値が偽装同然というのだ。

 実は、中国のGDP統計は党幹部ですら信用していなかった。李克強首相は遼寧省の党書記時代の2007年、米国の駐中国大使に向かって、「GDPは人為的操作が加えられるが、鉄道貨物輸送量は運賃収入を基にしているので、ごまかしがきかない」と打ち明けたことが、内部告発サイト「ウィキリークス」によって暴露されている。

 李氏は鉄道貨物のほか銀行融資、電力使用量も参考にしていると語ったことから、最近では英国のコンサルタント会社などがこれら3つの経済指標をもとに「李克強指数」を作成して、現実に近い成長率を推計している。

 グラフは鉄道貨物輸送量と輸入動向をGDP伸び率と対比した。12年後半以降、鉄道貨物と輸入はともに伸びが鈍化し続け、14年初めから急激に落ち込んでいる。

 中国GDPの伸び率は経済の実勢ではなく、党の政治意思で決まる。中国は毎年秋に党中央が翌年の経済成長率を決めて政府に提示し、その年の3月に開かれる全国人民代表大会が政府案を採択する。全国各地の党書記は目標値通りの成長率を党中央に報告する。達成できないと出世に関わるので、「人為的」な成長率が生まれやすい。

 もちろん、党中央は成長目標達成のプログラムを考える。手っ取り早いのはGDPの最大項目である固定資産投資で、08年9月のリーマン・ショック後は不動産開発投資に資金を集中投入させて2ケタ成長を実現したが、12年には不動産バブルが崩壊して、投資主導型成長モデルはついえた。投資がだめなら、個人消費を増やすしかない。そこで習近平政権は株価をつり上げ、株式ブームを演出したが、この6月に上海市場が暴落した。

 現実には需要が減退しているのに、国有企業などが党指令通り生産を増やすなら、過剰生産、過剰在庫が膨れ上がる。その多くは投棄され、燃やされる。大気や水の汚染、工場爆発と環境破壊が止まらないはずである。

 党中央が高い成長率を決め、需要を無視して投資、生産の増加を指令する。民間主導の市場経済とは似て非なる中国式経済が異様に巨大化する。世界の市場を混乱させ、地球環境問題を深刻化させている。経済実体から大きく乖離した虚偽の成長率が今や世界にとってのリスクなのだ。

【私の論評】日本のリスクは中国の経済破綻よりも、増税リスクのほうがはるかに大きい(゚д゚)!

李克強指数を元にすると、中国のGDPの真の値はどの程度であるのかを以下に掲載しておきます。残念ながら、最新のものは手に入らなかったのですが、2001年〜2013年の推計値は入手できましたので、以下に掲載します。


これは、当時精華大学准教授のパトリック・ショバネック氏の推計です。赤の線が李克強指数で、青の線がいわゆる「本当の」成長率です。

これをご覧いただけるとおわかりのように、2013年当時の成長率は2%ということです。この推計が正しいものとすれば、13年当時と比較すると、本年はかなり経済が落ち込んでいますから、おそらくはマイナス成長になっていると考えるのが妥当でしょう。

実際、そのようになっているということをブログ冒頭の記事は主張しているわけです。これは、本当に妥当なものと思います。中国政府が発表した、6.9%はファンタジーに過ぎないです。

さて、このような中国の経済の落ち込み具合が話題になると、すぐにでてくるのが、日本経済危機論です。

実際、中国の7~9月期国内総生産(GDP)の発表を10月19日(月)が近づい今月16日には、ロイター通信が、金融市場の一部では中国発の「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」が警戒されているとの報道をしていました。28年前の10月19日は、米株式市場が20%超も急落し、世界的な株価暴落を引き起こしたブラックマンデーのまさにその日でした。

米国の景気が落ち込めば、日本も落ち込みリーマン・ショックの再来となるかもしれないと心配する人も大勢います。

しかし、実際には、本日に至るもアメリカの株価がブラック・マンデーのように下落したなどという報道はなされていません。

しかし、私の見方はたとえ中国の景気がかなり落ち込んだととしても、全く日本に影響はないということはないにしても、"本来"はその影響は軽微だということです。

そもそも、日本におけるリーマン・ショックなどファンタジーです。それに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
景気減速に中国政府は焦りと弱音 日中関係改善へ共産党幹部の姿勢に変化―【私の論評】日銀がまともになった今中国がどうなっても、日本には影響は少ない!そんなことより、日本は一刻もはやくデフレからの脱却を急げ(゚д゚)!
景気刺激策は取らないと強調する李克強首相

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、リーマン・ショックに関する記述のみ以下にコピペさせていただきます。
しかし、多くの人は大きな見逃しをしています。本当は、当時の経済財政担当相がリーマンショックを「蜂がさした程度」と表現したことは正しかったかもしれません。ただ一つ、ある一つの条件さえ満たしていれば・・・・・・・・・・。 
その条件とは、日本銀行による金融政策です。リーマン・ショック後直接影響を大きく受けた国などの中央銀行は、景気を素早く回復させるため大金融緩和を行いました。しかし、日本銀行は、日本国内がデフレ・円高傾向にありしかも他国が大金融緩和を行ったにも関わらず、頑なに金融引締め政策を行いました。 
本来はリーマン・ショックなど日本にとっては「蜂の一刺し」に過ぎなかったものを日銀が金融緩和政策をしなかったために、さらなる超円高、さらなるデフレの深刻化を真似いてしまい、結果として戦後の日本で最大級の経済危機になりました。
日銀はリーマン・ショック後も金融緩和をしなかった クリックすると拡大
リーマン・ショックはアメリカやEUにとって、サブプライムローンなどのつけを支払うという形で直接的に経済に悪影響を及ぼしました。しかし、日本の場合はサブプライムローンに関しては、ほんど関係がなかったにもかかわらず、他国中央銀行が大金融緩和をしたにもかかわらず、日本銀行が何もしなかったため、超円高・デフレの深刻化を招いてしまったというわけです。だから、日本においては、リーマンショックなどという呼び方は正しくありません。「日銀ショック」とでも呼ぶべきだったでしょう。

このように、私はリーマン・ショックそれも、こと日本におけるそれに関しては、本来サブプライムローンの影響など日本にはほんどとなく、本来は悪影響はあまりなかったはでした。日本においては、そんなことよりも、他国が大規模な金融緩和を行う中、日銀が何もしなかったことが、その後の日本経済に甚大な悪影響をおよばしました。

だから、日本経済は、酷い低迷からなかなか抜け出せなかったのです。まさに、「日銀大ショック」とも呼ぶべき、日銀の怠慢により、リーマン・ショックからの立ち直りが世界でも最も遅く、サブプライムローンの震源地であるアメリカや、それを大量に運用したEUよりも、被害が大きくなってしまったのです。

あのリーマン・ショックは、"本来"は日銀がまともな金融政策さえ行っていれば、あそこまで酷いことになるはずのないものでした。

これは、今回の中国の不況に関しても同じようなことがいえます。そもそも、このブログでも何度か掲載したように、日本から中国向けの輸出は、GDPの2%程度に過ぎません。そもそも、日本はGDPに占める輸出の割合は、15%程度に過ぎません。日本を貿易大国であるとのファンタジーを抱く人がいますが、それは明らかに間違いで、日本は内需大国です。

さらに、中国投資もかなり少なく、最近では中国投資は先細りですし、日本企業は中国投資は控えるどころか引きあげに転じています。撤退する企業も多いです。この程度ならば、 中国の経済の破綻は、"本来"はさほど影響はないと言って差し支えないです。

しかしながら、もしも中国不況が本格化し、今後も続くとなると、それなりの影響は必ずあります。それを克服するために、日本以外の他の多くの国々が積極財政や、金融緩和を実行することになったとします。

それでも、日銀はそのまま追加金融緩和を実施せず、財務省が10%増税を強行すれば、これはもう完璧に第二のリーマン・ショックになる可能性が大です。この場合"本来"中国の経済停滞は日本にとっては軽微であるにもかかわらず、日本の金融政策や、財政政策のまずさで本家本元の中国の景気が回復しない限り、なかなか回復できないことになります。

しかし日銀が追加金融緩和に転じ、財務省が増税をしないか、それどころか減税をした場合は、日本はデフレから完全脱却して、中国の経済停滞の影響は軽微どころか、中国の経済とは無関係に日本の経済は大成長します。

アメリカは、リーマン・ショックのときには、震源地であったにもかかわらず、すぐに大胆な金融緩和を踏み切ったため、日本よりはるかにはやく、リーマン・ショックから立ち直りました。EUもサブ・ブライム・ローンの影響をもろに受けたのですが、それでも日本よりははるかに立ち直りがはやかったでした。

現在の日銀は、少なくとも当時のように金融引き締め的な金融政策はとっていませんから、もし中国の経済停滞で日本が甚大な影響を被ることになるとすれば、それはほとんどが10%増税による国内需要の落ち込みによるものになることでしょう。

中国の経済の停滞は、構造的なものですから、現体制が崩壊しないかぎり、継続します。そうなると、日本は長期間にわたりとんでもない不況に見舞われることになり、失われた20年どころか、失われた40年にもなりかねません。

これは、私自身が、当時はリーマン・ショックの本当の原因は日銀ショックであったことを見抜けなかったことの反省の上にたった分析です。これが理解できたのは、リーマン・ショックの二三年後のことでした。今になって思い返すと、真にお恥ずかしい限りです。

日本のマスコミ、官僚、識者の中には媚中派が多いですから、以上のような見解を述べる人は、ほとんどいません。今後、財務省の10%増税によって、日本の景気が大規模落ち込んだ場合、こういう愚かな人々は「それみたことか、中国様が風邪をひくと、日本は肺炎になるんだ。日本はダメなんだ。中国様次第なんだ。思い知ったか!」というファンタジーを、したり顔で語り始めることになります。

そんな光景が、妙にリアルに頭に思い浮かびます。

そんなことにならないためにも、10%増税は絶対に阻止すべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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