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2017年12月22日金曜日

北朝鮮「兵士亡命」が招く戦争の危機―【私の論評】北朝鮮有事は最悪、北と韓国による米・中・露の代理戦争になり得る(゚д゚)!


北朝鮮兵士
韓国軍合同参謀本部は21日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の下級兵士1人が韓国に亡命したと発表した。同日午前8時4分ごろ、軍事境界線中西部の非武装地帯(DMZ)で、韓国軍見張り所に向かってきたという。

先月13日に北朝鮮軍兵士が銃撃を受けながら亡命した事件から間もないだけに、緊張を誘うニュースと言える。

今回は銃撃もなく、その後も北朝鮮側に目立った動きはないというが、このような出来事が続けば不測の事態も起こりかねない。実際、過去には危機的な状況もあった。

■吹き飛ぶ韓国軍兵士

北朝鮮と韓国は2015年8月、北朝鮮側がDMZに仕掛けた対人地雷により、韓国軍兵士が身体の一部を吹き飛ばされ重傷を負う事件があった。その背景にあったのが、北朝鮮軍兵士の相次ぐ亡命である。

DMZでは近年、今回のように北朝鮮兵士が徒歩で南側に入り、亡命するなどの出来事が相次いでいる。兵士らが飢えや虐待に苦しむ北朝鮮軍の軍紀びん乱は周知のとおりだが、韓国軍の警備に欠陥があるのも明らかだった。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

DMZに入り込む北朝鮮兵士に対し、韓国軍は必要なら発砲するなりして警告せねばならない。そのようなリスクがあれば、北朝鮮兵士が最前線で脱北するのは簡単ではなかったろう。ところが韓国軍では、亡命兵士が見張り所に入り、見張り所のドアをノックするまで気付かないといった事態が起きていたのだ。

これを受け、おそらく北朝鮮軍は仕方なく、兵士の脱走を防ぐための対人地雷を埋設したのだ。

(参考記事:北朝鮮、軍事境界線付近に地雷埋設か 韓国軍が警戒

ところが不運なことに、この地雷に偵察任務中の韓国軍兵士が接触してしまったのだ。いずれにせよ、DMZでの地雷埋設は明白な休戦協定違反だ。ここから双方は非難の応酬を繰り返し、危機がエスカレートしてしまったのだ。

その過程で韓国軍は、北朝鮮の地雷が爆発し、兵士らの身体が吹き飛ばされる瞬間の動画を公開している。仲間が傷つけられる場面を見た韓国軍将兵や国民の中には、強い復讐心を抱く者も少なくなかった。韓国側は北朝鮮に軍事的圧力をかけ、北側もこれに対抗する動きを見せる。



この時、韓国と北朝鮮はすんでの所で踏みとどまり、話し合いにより危機を回避した。しかし今後、同じような事態が生じた場合に、話し合いで解決できるとは限らない。その後、北朝鮮の核兵器開発が大きく進展し、韓国軍が圧倒的に優位だった2015年8月とは、戦力バランスが変わってきているからだ。

とは言っても、北朝鮮軍兵士の亡命をこちら側から止めることもできない。危機が生じた際、それを安全に乗り越えられるかどうかは、ひとえに韓国と北朝鮮の対応にかかっているのだ。

(参考記事:必死の医療陣、巨大な寄生虫…亡命兵士「手術動画」が北朝鮮国民に与える衝撃


【私の論評】北朝鮮有事は最悪、北と韓国による米・中・露の代理戦争になり得る(゚д゚)!

2017年、北朝鮮兵士による韓国側への亡命はこれで4人目となりました。

直近では11月13日にも、板門店(パンムンジョム)の共同警備区域で北朝鮮兵士が銃撃を受けながら走って亡命し、重傷を負いました。この時の監視カメラの映像を国連軍が公開、世界中で報じられその実態に関心が集まりました。



この兵士は、韓国側による宣伝放送を聞いており、上官による暴力が「耐えられなかった」と話しているといいます。その後、韓国側の治療を受けており、韓国側は宣伝放送でこの兵士の処遇について広報していました。

また、兵士以外の亡命も相次いでいる。

韓国側は、今回の事件の前日、12月20日午後11時半ごろにも、手漕ぎの木造船を使用して民間人2人が韓国側に亡命していた。海洋警察が身柄を確保しています。

2017年に北朝鮮から韓国へ亡命した軍人、一般人は計9回で15人(うち兵士が4人)。2016年の5人(兵士1人)から3倍となっています。

一方、亡命者が増えている背景についてはよくわかっておらず、分析が続けられています。

聯合ニュースは、「経済制裁で生活が苦しくなったのではとの分析がありますが、説得力に欠ける」と解説しています。脱北者の数は減っているからです。

2017年に韓国入りした脱北者は、961人(10月末まで)で、2016年の同期比で16.8%減少しています。金正恩委員長が脱北者の取り締まりを強化しており、中国ルートではなく韓国海上ルートでの亡命が増えているとの見方を聯合ニュースは紹介しています。

これは、たとえ米国が北朝鮮に対して武力攻撃をしなかったとしても、ブログ冒頭の記事にもあるよに、北と韓国との間で紛争が起こる可能性があることをしめ示しています。

北と韓国が紛争を起こした場合、韓国内に駐留している米軍がこれに巻き込まれ、戦争に突入するという可能性も否定できません。

朝鮮半島で戦争が起きれば、中国とロシアはアメリカの敵に?

さらに、米国が北と戦争を始めれば、中国・ロシアも参戦する可能性も否定できません。実際、朝鮮半島で戦争が起こった場合を想定し、アメリカへの攻撃計画を進めている可能性があることが、2人の中国軍関係者の発言で明らかになっています。

中国人民解放軍南京軍区の元副司令官(中将)の王洪光(ワン・ホンコアン)は12月16日、「今から来年3月までの間に、いつ朝鮮半島で戦争が起こってもおかしくない」と警告しました。

王洪光中将
中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が北京で主催した会議での発言です。環球時報は翌日、王の発言を大々的に報じ、軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)のコメントを付け加えました。「中国に脅威を与えるなら、アメリカとの武力衝突もあり得る」

「中国は、朝鮮半島有事に備える必要がある。そのためには、中国東北部に動員をかけるべきだ」と王は16日の会議で言いました。「戦争を始めるためでなく、防御的な意味での動員だ」

軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)
人民解放軍のロケット軍の前身である「第2砲兵」に所属していた宋は、環球時報の取材に対し、中国の主権を米軍が侵した場合に報復するための危機管理計画も「防御」目的に含まれる、と語りました。

宋はまた別の取材で、中国とロシアが12月11日に北京で行ったミサイル防衛演習について、ドナルド・トランプ米大統領が命じる中ロ両国への軍事攻撃を想定したものだと言いました。

トランプ大統領は今年1月の就任以降、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との対立を激化させる一方です。トランプ政権は北朝鮮の核保有を認めない立場ですが、北朝鮮は金政権崩壊を狙うアメリカの攻撃から自衛するために核が不可欠だと主張しています。

中国とロシアはこれまで、北朝鮮による核・ミサイルの開発を非難するアメリカに同調してきましたが、アジア太平洋地域に米軍の影響力が拡大することには断固反対です。

「中ロが合同演習を行う場合の仮想敵国は、中ロにとって本物の脅威となる弾道ミサイルと巡航ミサイルの両方を保有するアメリカだ」と、宋は香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストに語りました。「中国とロシアには、今回の合同ミサイル防衛演習を戦略的な対米抑止に利用したい思惑があった」

韓国に配備された米軍の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)は、迎撃用から攻撃用に簡単に転換できるとみられており、何としても撤去させたい気持ちは中ロ共通です。

米軍は9月、予定していた6基のTHAADの韓国配備を完了しました。米国防総省は、北朝鮮のミサイル攻撃から同盟国である韓国を防衛するためにTHAADが必要との立場ですが、中国とロシアは自国の国家安全保障上の脅威になるとして配備に反対してきました。

しかし、北朝鮮への軍事的圧力を強めるトランプは、情勢が緊迫する朝鮮半島周辺に空母や戦略爆撃機を続々と派遣し、軍事演習も大幅に増やすなどして、中国とロシアを激怒させました。

1950年代初頭、建国間もない北朝鮮と韓国の間で朝鮮戦争が勃発した時、中国とロシア(旧ソ連)は共産主義国である北朝鮮軍を、アメリカをはじめとする国連軍は韓国軍をそれぞれ支援しました。

軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)
3年に及ぶ戦争には、米ソ冷戦における最初の代理戦争という側面もありました。1953年に休戦協定が締結され、北緯38度線を休戦ラインとして、南北軍事境界線に沿った「非武装地帯(DMZ)」が設定されました。和平協定はいまだに締結されていません。

国連に制裁を科されても、金は父や祖父の代から引き継いだ核開発を一段と加速させています。中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自国の軍事力と政治的影響力を世界に拡大させるため、歴史的な軍備増強を行っています。

トランプ大統領は12月18日に発表した「米国第一」主義に基づく国家安全保障戦略のなかで、核武装した北朝鮮を「ならず者国家」と非難。中国とロシアについても「アメリカの安全や繁栄を脅かそうとしている」と言って対抗姿勢を匂わせました。

トランプ大統領
朝鮮半島というと、かつて日本もこの地を日本に併合しました。その目的は、ソ連の脅威から日本を守るために、ソ連と対峙することでした。マッカーサーは朝鮮戦争のときに、実際に朝鮮半島を自分の目でみて、なぜ日本がこの地と満州を併合したかを理解し、後に米国の公聴会で「彼ら(日本)の戦争は防衛戦争だった」と証言しています。

朝鮮半島ならびに北朝鮮と中国国境に位置する中国東北地方(満州)は、昔から戦争の火種の絶えないところです。今回も、最悪の事態になれば、米国、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などの国々での本格的な戦争になることも考えられます。

米国、中国、ロシアなどは本格的な総力戦にまでエスカレートすることは避けるでしょうが、朝鮮半島を巡って再び、北と韓国による代理戦争になる可能性は否定できません。

北と韓国だけが、紛争をするというのなら、早期に決着がつくかもしれませんが、バックに米国、中国、ロシアがついての代理戦争ということになると、戦争は長期になる可能性もあります。日本もこの最悪のシナリオに備えるべきです。

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2017年3月18日土曜日

北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】―【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!

北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】

【江崎道朗のネットブリーフィング 第7回】

江崎道朗氏
トランプ大統領の誕生をいち早く予見していた気鋭の評論家が、日本を取り巻く世界情勢の「変動」を即座に見抜き世に問う!

 北朝鮮有事は他人事ではない

 半年ぶりに沖縄に行って那覇市内のホテルでテレビをつけたら、中国共産党政府の国営放送CCTVの番組が放映されていた。

 番組では、3月7日から10日にかけて東シナ海で実施された日米共同訓練と、横田基地に配備された在日米軍の新型輸送機C130Jがテーマで、その内容は日本のテレビとは比較にならないほど詳しく専門的であった。

 日本のテレビが森友問題や豊洲問題ばかりを報じているのに、中国共産党は詳しい軍事分析をして国民に伝えているのだ。安全保障に関しては、国民の知る権利を保障しているのは、中国共産党のほうだろう。

軍事的危機が迫っているというのに日本では森友学園問題ばかり・・・
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 危機感を覚えながら3月13日、帰京してテレビをつけたら、NHKの午後7時のニュースのトップは森友学園問題。しかも『クローズアップ現代』も森友学園特集だった。国会でもひたすら森友問題で、一民間学校の件だけを延々と議論するのはやはり異常だ。
 そんな日本のマスコミと国会に異議を唱えた(?)のが、北朝鮮だ。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が3月6日、弾道ミサイル4発を発射し、うち3発を日本の排他的経済水域(EEZ)内に打ち込んできたのだ。安倍首相とトランプ米大統領は7日朝、電話首脳会談を行い、対応を協議した。

 ジャーナリストの山口敬之氏は3月8日付『夕刊フジ』公式サイトにおいて、北朝鮮がアメリカ本土を攻撃できる核弾道ミサイルを開発しつつあることを念頭に、トランプ政権が北朝鮮に対して「限定空爆」を含む、金正恩氏を排除する「斬首作戦」を検討していると指摘している。

 しかも山口氏によれば、こうしたトランプ政権の意向に対応して安倍政権は「軍事」「難民」「経済」の3つの準備をしているという。

 第1が「軍事」で、《米軍の第1次攻撃の後に予想される朝鮮半島の動乱状態に、日米韓が一体として対応することを目指して準備が進められている》とのこと。

 日米韓三か国が連携して北朝鮮動乱にあたると言われてもピンと来ないが、北朝鮮空爆が韓国と日本に大きな影響があることを考えれば、その具体策を日米韓三か国で協議するのは当然だろう。

 その場合、まず想定されるのが、北朝鮮から大量の難民が日本に押し寄せてくるケースだ。山口氏はこう指摘している。

《北朝鮮が動乱状態に入れば、地中海のシリア難民のように、日本海を渡って大量の難民が漂着する可能性がある。さらに、韓国や他国経由で、船舶や民間機で難民・移民が押し寄せることも想定される》

 この問題については、3月9日の参議院内閣委員会で和田政宗議員が質問していて、警察庁警備局長は避難民が押し寄せてきた場合、「身柄の確保、上陸の手続き、避難所収容、避難所の警備等」を検討していると答弁している。

 日本としては、日本海沿岸に対する警備体制を強化するとともに、難民たちを一時的に受け入れるためには難民収容所もつくらないといけないが、それをどこにつくるのか。しかも難民たちが武装している可能性、難民たちのなかに武装工作員が紛れ込んで日本に入ってくる可能性もあるので、その対応をする海上保安庁や警察も現在の人員や装備だけで対応できるのか、という課題がある。

 経済的にも大きな影響が出てくる。山口氏はこう指摘している。

《日本政府が懸念しているのは、北朝鮮情勢の混乱をきっかけに韓国経済が最悪の事態に陥るパターンだ。現在、政府内では、韓国経済が受けるインパクトを、北朝鮮情勢の展開パターンに応じて数種類のシミュレーションをしているという》

 このように北朝鮮「斬首作戦」に対応して安倍政権は「軍事」「難民」「経済」の3点で対応策を協議している。さすが安倍政権と言いたいところだが、この3点だけでは不十分だ。

 最低でも、あと5つの対策が必要だ。

 在韓邦人の避難、ミサイル攻撃

 第1に、在韓邦人約4万人をいかにして避難させるのか、という課題だ。とくに韓国に支社を持つ日本企業は、事態を深刻に受け止め、直ちに対策を講じておくべきだろう。

 第2に、北朝鮮による日本に対するミサイル攻撃だ。北朝鮮は在日米軍が攻撃目標だと明言していて、日本の市街地がミサイル攻撃をされる可能性があるが、その際どうしたらいいのか。

 平成16年、そのための法律「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」が成立している。

 ミサイル攻撃といった武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国・地方公共団体等の責務、避難・救援・武力攻撃災害への対処等の措置が規定されている。

 この法律に基づいて地方自治体は次のような項目について準備することが定められている。

一 住民に対する避難の指示、避難住民の誘導に関する措置、都道府県の区域を越える住民の避難に関する措置その他の住民の避難に関する措置

二 救援の実施、安否情報の収集及び提供その他の避難住民等の救援に関する措置

三 武力攻撃災害の防除及び軽減、緊急通報の発令、退避の指示、警戒区域の設定、保健衛生の確保、被災情報の収集その他の武力攻撃災害への対処に関する措置

四 生活関連物資等の価格の安定等のための措置その他の国民生活の安定に関する措置

五 武力攻撃災害の復旧に関する措置


 問題は、こうした法律があることを国民の大半が知らないし、地方議員でさえも知らない可能性が高いことだ。日本政府としては地方自治体に対してこの法律に基づく準備をするよう注意喚起すべきではないか。

北朝鮮のテロ、中国の「尖閣」占領も


 第3に、北朝鮮はすでに日本国内に多数のテロリストを送り込んでいて、いざとなれば発電所や交通機関などを攻撃する可能性が高い。

 天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れもある。天然痘ウイルスの感染力は非常に強いことで知られていて、感染者からの飛沫や体液が口、鼻、咽頭粘膜に入ることで感染する。北朝鮮は、天然痘感染者を山手線に乗せて一気に関東全体に広める生物兵器テロを計画しているという話もあり、こうした危機を前提に、ワクチンの準備も含め地方自治体、医療機関が予め対処方針を立てておく必要があるだろう。

 第4に、韓国側の動きがある。北朝鮮有事となれば、韓国内にいる北朝鮮テロリストが蜂起し、韓国も大混乱に陥る可能性がある。その場合、韓国は態勢立て直しのために、朝鮮半島の外に軍事拠点を構築する必要がある。

 いまのところ済州島を軍事拠点として想定しているようだが、いざとなれば在日韓国人保護を名目に日本の福岡または山口に韓国軍が来る可能性もあるし、実際に韓国政府関係者からそのような話を聞いたことがある。

 第二次世界大戦のときも、ドイツに全土を占領されたフランスは、イギリスに臨時政府をつくった。戦争となれば外国に臨時政府や臨時軍事拠点をつくることがあるが、そうした動きを韓国がしてきたとき、日本政府としてはどうするのか、検討しておく必要がある。

 第5に、日米韓三か国が朝鮮半島有事対応に追われている隙をついて中国が例えば尖閣諸島に海上民兵――米軍はLittle green menと呼ぶ――を送り込んでくる可能性がある。日本としては、朝鮮半島からの避難民対応で海上保安庁の巡視船を日本海に配備しなければならず、尖閣諸島周辺はがら空きになる。もちろん自衛隊も朝鮮半島対応に追われている。

 その隙を衝こうと中国なら考えているはずだ。正規軍を送れば国際社会から非難されるが、漁民を装った「民兵」が荒天を避けるために尖閣諸島に避難し、そのまま居座るケースが考えられる。

 最後にこの朝鮮半島有事に際して、北朝鮮に拉致・監禁されている拉致被害者の救出をどうするのか、という課題がある。

 安倍政権はアメリカとこの問題について検討していると主張している。が、特定失踪者問題調査会も指摘しているように、具体的にどのようにして拉致されている被害者を発見し、本当にその人たちが拉致被害者であるかどうかを特定(DNA鑑定などによる特定が必要)し、その人たちをどのようにして日本に連れてくるのか、という具体的な方策まで検討しているのか。

 数年前、朝鮮半島有事に関する軍事シミュレーションを担当するアメリカの民間軍事会社の担当者と会った際は、日本政府と拉致被害者救出についての具体的な協議を行っている様子はなかった。

 朝鮮半島有事に際して、政府も地方自治体も検討しなければならない課題が山積している。「北朝鮮は大変そうだ」では済まないのだ。
【江崎道朗】1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)、『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社)など
【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!

このブログでは、去年に引き続き今年も米軍による金正恩斬首作戦の実行の可能性を何度か指摘してきました。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
米韓演習中に北ついに挑発!軍事的な対抗措置も 中国も交え一触即発の緊張感―【私の論評】現実味を帯びてきた金正恩斬首作戦(゚д゚)!
今月1日に始まった米韓合同演習「フォールイーグル」
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。
最近、北朝鮮では正恩氏による粛清の数が増えています。トランプ氏も『常軌を逸している』と判断していることでしょう。米軍が、正恩氏の近くに協力者を確保し、地下の秘密部屋の位置や、逃亡経路も把握したとの情報もあります。軍事演習中に挑発行為に出れば、一気にゴーサインが出てもおかしくない状況です。 
昨年も今回と同じような米韓合同演習が実施されており、そのときにも金正恩斬首の噂もあったのですが、昨年はまだオバマ政権であったので、おそらく実行されないだろうと思っていましたが、今年はどうなるかは本当ににわかりません。 
金正恩の正確な位置が確認されたり、その他の様々な条件が揃えば、今年は実行する可能性が大です。 
米空母「カール・ビンソン」といえば2011年5月、国際テロ組織「アルカーイダ」の最高指導者、ウサマ・ビンラーディン容疑者の遺体を、アラビア海で水葬したことで知られます。正恩氏の葬儀も、同艦で行うことになるかもしれません。
この記事には掲載していませんが、米軍は昨年から韓国に金正恩斬首部隊を配備していました。そうして、その斬首部隊も含めて、3月には軍事訓練を行っていました。

金正男氏殺害以前からこの状況でした。しかし、現在では北朝鮮による正男氏殺害の関与はほぼ間違いないと考えて良い状況になっています。ますます、金正恩斬首の可能性は高まっています。

 世界に衝撃を与えた、マレーシアでの正男氏暗殺事件(2月13日)を受け、日本をはじめ世界各国のメディアが「怒り心頭に発したドナルド・トランプ米政権が正恩氏排除に動き出した」「中国もこれを黙認する方向だ」などという観測記事を配信している。

 ところが、日米両政府の中枢や、中国、韓国からの情報を精査すると、正恩氏を排除して別の指導体制に移行させる動きは昨年夏以降すでに本格化していたことが分かってきた。

 そして、この動きをキャッチした正恩氏側が、有力後継候補である正男氏を暗殺したとする見方が強まっている。

米軍は、北朝鮮の体制転覆を目指す「作戦計画5015」を2015年に策定しています。これは、米軍の特殊部隊が正恩氏を急襲・排除すると同時に、北朝鮮の核・軍事施設など約700カ所を精密誘導(ピンポイント)爆撃で破壊するものです。

以下に、米韓連合軍による作戦計画の概要のチャートを掲載します。


米軍としては、ここまでしなくても、正恩氏の居場所を特定し、誘導ミサイルで爆死させるのが最も手っ取り早いのですが、これでは遺体の確認が難しいです。

しかし、金正恩暗殺で最重視されるのは、正恩氏の死亡を明確に記録して、北朝鮮国内と国際社会に「正恩体制が完全に終わった」ことを伝えることです。そのため、遺体の確保、それも金正恩であると確認できる程度の損傷の激しくない遺体の確保が必須です。

おそらく、実際に実行されるのは、もっとコンパクトで、国際テロ組織「アルカーイダ」の最高指導者、オサマ・ビンラーディン殺害時と同様、あくまで、ネービー・シールズなどの米軍特殊部隊が正恩氏の居場所に突入して、息の根を止める作戦が実行されることでしょう。

オサマ・ビンラディンの米軍による殺害を伝える朝日新聞
ピンポイント空爆も、北朝鮮国内数カ所に点在する朝鮮人民軍の指揮命令系統に絞った「限定空爆」にして、正恩氏の断末魔の反撃を断固阻止するというものになるでしょう。しかし、その後が問題です。

もし、金正恩斬首に成功したにしたとして、それで北朝鮮に何らかの変化がおき、体制崩壊ということにでもなれば、ブログ冒頭の記事で江崎道朗氏が描いた最悪のシナリオは避けられるかもしれません。

しかし、正恩斬首の後でもなお、北朝鮮が体制を維持し、すぐに後継者を決めるなどして、徹底抗戦の構えを見せた場合には、江崎氏の描いた最悪のシナリオが実現するかもしれません。

そうして、現在北朝鮮が実戦配備している弾道ミサイルの多くは、TEL車両(移動起立発射台)から発射できるため、すべての軍事施設を無力化するにはやはり、北朝鮮の体制転覆を目指する「作戦計画5015」と同程度の約700カ所にミサイルを撃ち込む必要がありそうです。これでは、相応の準備が必要で、軍事行動の大規模化・長期化も避けられないことになります。

弾道ミサイルを積載した北朝鮮のTLT車両
軍事に関しては、中途半端な希望観測をもとに戦略・戦術を立案するべきではなく、やはり最悪の事態を想定すべきです。米軍も最悪のシナリオを想定した上で斬首作戦を実行することでしょう。日本としても、最悪のシナリオを想定しておくべきです。

しかし実行すべきときは、実行すべきです。かつて、オバマ氏の弱気を見抜いた北朝鮮は、失敗を恐れずに核実験を繰り返し、念願の核保有国になりました。プラハ演説でノーベル平和賞を受賞したオバマ氏は「平和的解決」のイデオロギーに縛られ、北朝鮮や南シナ海の問題で不作為の罪を犯しました。優しすぎる理想主義者に米大統領の任務は重すぎたのです。

しかし、トランプ大統領はオバマ氏の二の舞いを舞うことはないでしょう。正恩の居場所を正確な居場所を突き止め、他の諸条件ともあわせて、実行可能であると判断した場合には、斬首作戦を実行する可能性が高いです。

金正恩斬首作戦が実行されたとしたら、最悪ブログ冒頭の記事で、江崎氏が指摘した8つのリスクが現実のものに対する可能性が高いです。このリスクへの対策を検討すべき国会では、学校法人「森友学園」(大阪市)をめぐる問題で、野党が安倍晋三首相や稲田朋美防衛相を責め立てています。

こういう状況の中で、日本維新の会の足立康史議員が森友学園の問題についてしっかりと本質を捉えた素晴らしい説教をしました。

「北朝鮮がミサイルを撃って大変、安保情勢が厳しい中で総理や防衛大臣の足を引っ張るのは、北朝鮮や中国と通じていると疑われても仕方がない。僕はこういう国会活動は控えたほうがいいと思いますね」


蓮舫代表率いる民進党や、共産党の関係者によく聞き入れるべき内容です。かねてより森友学園の疑惑は次から次へと焦点が変わり、結局決定的な証拠がでないまま、アベノ製ダーズがいちゃもんをつけるだけになっています。

安倍総理が「認可や国有地の払い下げにかかわっていたら辞任する」とまで発言したのに、蓮舫代表はいつの間にか「募金していたなら辞めると言っていた」と発言をすり替えていました。

参考:蓮舫「安倍総理は森友学園への寄付が事実なら辞めると言っていた!」 ※言ってません

もはや重要な議題を見失って、ここぞとばかりに安倍総理を潰そうとしているだけです。そもそも森友学園の問題など、国政からすればほとんど無意味と言っても良いくらいなものにもかかわらず、大騒ぎをして、国会で本来すべき議論をせずに、ただただ無駄時間を費やさせる結果になっています。

「政局こそ、わが命」と張り切る馬鹿議員や馬鹿政党や、それに便乗して低劣な印象操作を繰り返す愚鈍白痴メディアに日本の有権者はもう騙されません。

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