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2019年3月18日月曜日

中国で「日本に学べ」の声も…加速する少子高齢化―【私の論評】今後急速に弱体化する中国(゚д゚)!

中国で「日本に学べ」の声も…加速する少子高齢化


中国のお年寄り

中国の少子化が止まらない。「一人っ子」から「二人っ子」へと政策を転換したものの、その効果は早くも息切れ気味だ。高齢化も予想を超えるスピードで進んでいる。2050年には、5億人の高齢者がひしめく世界に例のない「高齢者大国」になるとの予想も出ている。危機感を強める中国では、高齢化で先をゆく「日本に学べ」との声まで出始めた。大国化へのアキレス腱(けん)ともいえる人口問題に、中国はどう対処しようとしているのか。『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)の著書もある近藤大介さんに寄稿してもらった。

知恵を借りるべきは日本

 2月11日、中国共産党中央宣伝部の機関紙『光明日報』の16面に、でかでかと「特異な」オピニオン記事が掲載された。タイトルは、「中国と日本の医療・年金・介護の協力によって高齢化への対応の助力とする」。筆者は、「中国経済の司令塔」である国家発展改革委員会傘下のシンクタンク、中国国際経済交流センターの姜春力情報部長である。長文の記事だが、要約するとこんな内容だ。

 <2018年末時点で、中国の65歳以上の高齢者人口は1.67億人、総人口の11.9%に達した。このペースで進めば、25年には高齢社会(総人口の14%以上)に、35年には超高齢社会(同21%以上)に突入する。日本に遅れること約30年だが、人数も速度も日本とは比較にならず、「未富先老」(富裕になる前に老いる)、「未備先老」(準備が整う前に老いる)が特徴だ。

 そのようなわが国にとって、知恵を借りるべきは日本の成功体験であり、その政策の試行錯誤から教訓を吸収すべきである。医療・年金・介護の分野において、人材育成から関連器具の生産まで、中国が日本と提携できる空間は大きい>

 私がこの記事を「特異」と形容したのは、ここ10年ほど、『光明日報』や中国共産党中央委員会の機関紙『人民日報』など、いわゆる中国官製メディアにおいて、「日本に学べ」という記事など、ほとんど目にしたことがなかったからだ。

介護保険すらない中国

 中国の官僚たちと話していて、日本を「すでに終わった国」とみなす「冷ややかな視線」を何度感じたことか。極言すれば、10年に国内総生産(GDP)で日本を抜き去って以降、中国の目線の先にあるのは米国だけであり、中日関係は「中米関係の一部」のような扱いだった。

 そんな中で、突然の「日本に学べ」論調の出現である。中国でいったい、何が起こっているのか? それを知るにはこのオピニオン記事を書いた本人に当たるのが一番、というわけで、姜部長に見解を聞いた。

 「少子高齢化は、21世紀の中国で最大の問題になると見ています。50年には5億人もの中国人が高齢者になっているのです。それなのに、中国にはいまだ、介護保険すらありません。

 そこで世界の先進国を調査したら、わが国が一番学ぶべきは、隣国の日本であるという結論に達しました。日本は同じアジアの国で健康問題も似通っており、少子高齢化の進行及び対策が、中国の約30年先を行っている。高齢者向けの器具なども充実しています。昨年、日本へ視察に行きましたが、『日本に学べ』という確信を持ちました。

 幸い『光明日報』の記事は中国国内で反響を呼び、多くの賛意を得ました。中国の少子高齢化問題は、いまや待ったなしのところに来ています。これから日本の経験や制度を参考にしながら、来たる少子高齢化時代に対処していこうと考えています」

 中国の少子高齢化問題は、「待ったなし」のところへ来ている。高齢化については、姜部長が述べた通りだが、少子化もまた深刻なのである。

いびつな人口構成生んだ「一人っ子」政策

 昨年12月18日、習近平(シージンピン)国家主席が主催して、「改革開放政策40周年記念式典」が、北京の人民大会堂で華々しく開かれた。同時期には、「改革開放政策の総設計師」と仰がれる鄧小平元副首相を称たたえるキャンペーンが、これでもかというほど大々的に展開された。

 そんな偉大な鄧小平だが、「失政」もいくつか犯している。その代表例が、いまや悪名高くなった「一人っ子政策」である。鄧小平は1949年の中華人民共和国の建国時から、ほとんど唯一、一貫して「中国が豊かになるには人口を減らさねばならない」と主張し続けた政治家だった。そして78年に実権を握るや、その持論を実行に移したのである。「一人っ子政策」を実施、奨励、監視する官僚を15万人も配置した。

 だが結果として、見るも無残な頭でっかちの中国人口ピラミッドができ上ってしまった。2010年の全国人口調査では、一人っ子が日本の総人口よりも多い1.4億人に達し、習近平氏が共産党トップに立った12年には、16歳から59歳までの生産年齢人口も下降線となった。こうした現実を見て真っ青になった習近平政権は、13年の「三中全会」(中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議)で、初めて「一人っ子政策」の一部廃止を決定。16年からは、全面的に「二人っ子政策」に変えたのだった。

「子供は一人」すでに定着
 それでも、中国政府の悩みは尽きない。1月21日、一年に一度の記者会見に臨んだ寧吉テツ(吉が2つ)国家統計局長は、「昨年のGDPの伸びは6.6%だった」などと誇り高く言い放った後、口ごもるようにつぶやいた。「昨年の出生者数は1523万人だった」

 出生者数は何と、数千万人が餓死した「悪夢の三年飢饉(ききん)」の1961年以来、57年ぶりの最低記録である。しかも前年の2017年と比べても、200万人も少ない。日本の2年分の出生者数よりも多い数の子供が、この一年で「生まれなくなった」のだ。

 戦争も飢餓もなく、制約もなくなったのに、いったいなぜ? 中国人口発展研究センターの黄匡時博士は、次のように分析している。

 「出生者数激減の主な原因は二つあって、それは出産適齢期の女性の減少と彼女たちの晩婚化です。25歳から35歳までの女性は、17年から18年の間に552万人も減りました。かつ彼女たちの結婚者数も、18年1~9月で見ると、前年同期比で3.1%減っています。このままでは5年後の出生者数は、1300万人前後まで下落するでしょう」

 せっかく「二人っ子政策」に転じたのに、私の中国人の友人知人の中で、2人目の子供を出産した夫婦は、ただ一組しかいない。いまの30代までの中国人は、基本的に一人っ子なので、「小皇帝」「小公主(小さなプリンセス)」として贅沢(ぜいたく)に育っていて、「子供は一人」という概念が定着している。

 もしくは「子供なんていらない」という夫婦もゴマンといる。中国では子供を幼稚園に入れるだけで莫大ばくだいな費用がかかり、そこから小学校、中学校……と育てていくのは大変なのだ。そのうち「空中分解」(離婚)してしまう若者夫婦も増えるばかりで、すでに北京や上海などの離婚率は4割を超えている。

 5億人の老人と、減り続ける子供たち。いま中国では、こんな突飛な噂(うわさ)がささやかれている。

 「政府は『二人っ子政策』に失敗したら『三人っ子政策』を始めるのでは?」

◎プロフィル
近藤 大介( こんどう・だいすけ )
 1965年生まれ。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社入社後、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長を経て『週刊現代』編集次長、特別編集委員、「現代ビジネス」コラムニスト。明治大学国際日本学部兼任講師(東アジア国際関係論)。『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)など著書多数。

【私の論評】今後急速に弱体化する中国(゚д゚)!

中国の高齢化については、今突然始まったことではなく、以前から多くのメディアが報道していましたし、このブログでも何度か掲載したことがあります。

たとえば、2016年3月15日、フランス紙フィガロは、中国の深刻な高齢化事情について報じました。
ある統計によると、中国の人口は2030年にピーク(14億5000万人)に達した後、毎年500万人のペースで減少を続け、今世紀末には10億人を切ると予測されている。国連の調査では、6億人にまで減少するとの見方も出ている。男女比の不均衡と、ドイツや日本、韓国よりも高齢化のペースが早いことで、中国には「史上類を見ない状況」が訪れるのだという。

こうした人口の変化で問題になるのが墓地だ。中国の国土面積は世界第3位だが、人口減少が始まると、毎年パリ市の面積の3分の1にあたる30平方キロメートルあまりの墓地が必要となり、墓地不足が課題になる。中国の80歳以上の人口は2014年時点ですでに2400万人に達しており、中国政府は昨年、一人っ子政策の完全廃止を決めたが、記事はこれだけでは高齢化の解決にはほど遠いと指摘している。
中国の高齢化問題は相当深刻です。このまま、なにもせずになし崩し的に、高齢化や人口が減少していけば、 中国の未来は暗澹たるものになるでしょう。

高齢化にともない他の様々問題も起こるようになります。2024年になると、年間600万組が離婚する時代になります。つまり1200万人で、これは東京都の人口に近い数です。ちなみに日本の離婚件数は21万7000組(2016年)なので、中国では日本の27.6倍(中国の現状の人口は日本の約10倍)も離婚していくことになります。
北京や上海などの大都市では、離婚率はすでに4割に達しています。離婚率が5割を超えるのもまもなくです。
逆に結婚件数は5年で3割減っているので、中国は近未来に、年間の離婚件数が結婚件数を上回る最初の国になるのではという懸念も出ているほどなのです。
なぜこれほど離婚が多いのかと言えば、その大きな理由として、やはり「一人っ子政策」の弊害が挙げられると思います。
中国の小皇帝
彼らは幼い頃から、「6人の親」に育てられると言います。両親と、両親のそれぞれの両親です。
祖父母が4人、親が2人、子供が1人であることから、「421家庭」という言葉もあります。そのため、上の記事にもあるように男児なら「小皇帝」、女児なら「小公主」と呼ばれ、贅沢かつワガママに育つのです。
そんな彼らが結婚しても、我慢することが苦手で、かつ便利な両親の実家が近くにあるため、容易に人生をやり直してしまうのです。
さらに、中国特有の離婚も急増中です。それは「マンション離婚」と呼ばれるものです。
マンション投資が過熱すると、価格が急騰して庶民が買えなくなるため、政府は2011年以降、「ひと家庭に1軒のみ」といったマンション購入制限令を出してきました。
それならば「離婚してふた家庭になれば2軒買える」というわけで、「マンション離婚」が急増したのです。そのため、例えば北京市役所は「1日の離婚届受け付けを1000件までとする」という対策を取っているほどです。
2025年になると、中国は深刻な労働力不足に見舞われます。15歳から64歳までの生産年齢人口に関して言えば、すでに2015年頃から減少しています。
労働力の絶対数が減り続ける上に、一人っ子世代は単純労働を嫌うので、大卒者の給料よりも単純労働者の給料のほうが高いという現象が起こってしまうのです。

中国政府は、労働力不足の問題を、AI(人工知能)技術を発展させることでカバーしようとしています。世界最先端のAI大国になれば、十分カバーできるという論理です。
しかし、労働力不足はある程度、AI技術の発展によって補えたとしても、来る高齢社会への対処は、困難を極めるはずです。
国連の『世界人口予測2015年版』によれば、2050年の中国の60歳以上人口は、4億9802万人、80歳以上の人口は1億2143万人に上ります。

「私は還暦を超えました」という人が約5億人、「傘寿を超えました」という人が、現在の日本人の総人口とほぼ同数。まさに人類未体験の恐るべき高齢社会が、中国に到来するのです。

しかし現時点において、中国には上の記事にもあるように、介護保険もないどころか国民健康保険すら、十分に整備されているとは言えません。
この未曾有の高齢社会の到来こそが、未来の中国にとって、最大の問題となることは間違いありません。日本に遅れること約30年で、日本の10倍以上の規模で、少子高齢化の大波が襲ってくるのです。

インドの世界で最も混雑している列車

そうした「老いてゆく中国」を横目に見ながら、虎視眈々とアジアの覇権を狙ってくるのが、インドです。インドは早くも6年後の2024年に、中国を抜いて世界一の人口大国になります。

しかも、2050年には中国より約3億人(2億9452万人)も人口が多くなるのです。15歳から59歳までの「労働人口」は、中国より3億3804万人も多い計算になります。

2050年のインドは、中国と違って相変わらず若々しいままです。

つまり中国にしてみれば、21世紀に入ってようやく、長年目標にしてきた日本を抜き去ったと思いきや、すぐにインドという巨大な強敵を目の当たりにするのです。

中国は2049年に、建国100周年を迎えます。その時、「5億人の老人」が、しわくちゃの笑顔を見せることは、できるのでしょうか。今のままでは、全く無理です。

現在米国は、中国に経済冷戦を挑んでいますが、長期的にみれば中国は間違いなく弱体化します。冷戦はそれを加速することになります。日本としても、短期的には中国は脅威ですが、長期的にはそうではなくなることを認識しておくべきです。

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2018年1月31日水曜日

【メディア政争】大新聞・朝日は一体、どうしたのか “弱者”の声に過剰反応、司法訴え言論で勝負せず―【私の論評】森友・加計事件は、朝日による「安倍疑惑」という大きな捏造である(゚д゚)!


朝日新聞本社
 朝日新聞は昨年末、『徹底検証「森友・加計事件」-朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』で名誉を傷つけられたとして、著者で文芸評論家の小川榮太郎氏と、発行元の飛鳥新社を東京地裁に提訴した。


 天下の大新聞が、こう言っては悪いが一介の物書きと、朝日新聞から見れば零細企業に過ぎない出版社を訴えたことに驚いた。賠償請求額が5000万円というケタ外れぶりにもびっくりした。

 これで、朝日新聞を批判する言論の一部は確実にしぼむ。勝ち負け以前に、個人の著者や中小出版社には裁判を戦うだけでも大きな負担だ。うっかり朝日新聞を批判して訴えられたらたまらないと、口をつぐむ論客は今後増えるだろう。

こうして、「自主規制の空気一丁上がり」となるのは、朝日新聞がよくいう「多様な言論」に逆行する道ではないか。

 疑問を感じた私は、同じ飛鳥新社が発行している『月刊Hanada』(3月号)に、「これは典型的なスラップ訴訟だ」と題する一文を急ぎ寄稿した。詳しくは同誌を購読いただきたい。

 スラップ訴訟とは、大企業や公的機関などの「社会的強者」が、個人などの権力を持たない「弱者」を訴え、その言論や活動を封じようとする恫喝(どうかつ)的、威圧的な訴訟を指す。

 一体、朝日新聞はどうしてしまったのか。

 権力の監視役を自任し、総理のクビもとれる力を持っていた大新聞が、小川氏や飛鳥新社といった「弱者」の声に、なぜこれほど過剰反応するのか。権力と対峙(たいじ)する言論機関である朝日新聞が、なぜ言論で勝負せず、司法という「権力」に助けを求めるような挙に出たのか。

 そのあたりの心理は、今後じっくり解明していきたい。

 その前に、小川氏が著書で指摘した中で、昨年の国会審議の大半を費やした「モリカケ騒動」のポイントとなった、一本の記事の真相が、司法の場で明らかにされるかどうかが気にかかる。

 昨年5月17日、朝日新聞1面トップを飾った「加計学園の新学部『総理のご意向』 文科省に記録文書」という記事である。記録文書の写真が添えられていたが、一部だけにスポットが当たって周囲が暗く、いかにも「秘密の文書」感たっぷりの演出がされていた。

 だが、暗くてよく読めない部分には、「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」と、真逆の意味にとれる記述があったのだ。小川氏はこのあたりを著書で指摘している。

 仮に、小川氏の指摘が正しければ、いずれ朝日新聞に対し、当該記事が空転させた国会の審議時間や、それに伴って浪費された国費の賠償をという、国民からの訴えが起きてもおかしくないと思うが、いかがか。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)など多数。

【私の論評】森友・加計事件は、朝日による「安倍疑惑」という大きな捏造である(゚д゚)!

朝日新聞社は「事実に基づかない内容で本社の名誉や信用をいちじるしく傷つけた」として小川氏と飛鳥新社に対し5,000万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。訴状によれば、謝罪広告は「朝日・読売・毎日・日経・産経・東京」の各紙において「社会面記事下、横9cm、縦2段」など掲載条件まで指定されています。

朝日新聞は12月25日に提訴を報じた自社記事の中で広報担当執行役員の談話を紹介していますが、「事実に反する記載が数多くありました」「本社には一切取材もないまま、根拠もなく、虚報、捏造、報道犯罪などと決めつけています」と非難した上で「事実に反した誹謗・中傷による名誉毀損の程度はあまりにもひどく、言論の自由の限度を超えています」として「やむを得ず裁判でこの本の誤りを明らかにするしかないと判断しました」と提訴に至った理由を説明していました。
これに対し小川氏も12月25日深夜にFacebookを更新し「訴状の初見の印象からの簡単なコメントをまず発表します」と反論しており、前述の執行役員の言葉に対しては「笑止千万とはこのこと」と一笑に付し、裁判に訴える手法を選んだ点について「自説を証明できる膨大な紙面と圧倒的な読者数を誇る朝日新聞社の取る道としてあってはならぬ最悪の邪道と言う他ありません」と呆れると共に、訴状についても小川氏が12月5日に送付した朝日新聞社への回答を「ほぼ全く踏まえていません」と指摘しています。
小川氏は朝日新聞からの質問に「全て丁寧に反論しています」と主張、朝日新聞側が今回「具体的にどう違うか指摘し訂正を求めましたが(中略)応じませんでした」としている点について「私との言論戦から逃げて、まるで私がろくな回答をせず不誠実な対応をしたかのような印象操作の上で、訴訟を挑んできた」と非難、今回の提訴に対しては「裁判は当然徹底的に受けて立ちますが」「朝日新聞が社会的に決して逃れられない形で訴えてゆく所存です」と語っています。
また、小川氏は投稿の中で慰安婦報道問題など複数の朝日新聞報道問題を挙げ「再三にわたる『言論の自由の限度を超えた』捏造」と指摘、これらを「なかったかのようにしておきながら」「巨額の賠償請求訴訟を起こすことは自由社会を破壊する言論弾圧に他なりません」と朝日新聞側の姿勢を厳しく批判すると共に今回の提訴によって「言論人の中には、朝日新聞を批判することが訴訟リスクを含むと考え、批判を手控える方も出てくるのではないでしょうか」と懸念を示していますが、朝日新聞に対しては既に数多くの批判が出ており、複数の著名人からも苦言が呈されています。
自民党の山田宏参議院議員は「『○○猛々しい』とは、朝日のこういった姿を言う」、産経新聞の阿比留瑠比氏も「いくらでも反論できる紙面を持ちながら、個人の言論への嫌がらせのよう悪質な手法をとるとはね…。最低ですね。」、またジャーナリストの有本香氏も「越えてはならない一線を越えたと思う」とした上で「社内の人達はこれをよしとしているのかねえ」と疑問を添えています。
評論家の石平氏は今回の提訴を「戦後70数年の偏向報道に対する日本国民の戦い」と位置づけており「小川さんの著書を一人一冊ずつ買って読もう」と呼びかけ。著書購入は小川氏の秘書も「この機会にご購読を!」「読んでご判断を!」としていますが、同時に小川氏のTwitterアカウントでは小川氏が理事長を務める日本平和学研究所へのサポートを呼びかけるツイートを再投稿しました。
小川氏は12月26日の午前にも当日の朝日新聞紙面を添付する形で再びFacebookに投稿を寄せており、「彼らには社会的な責任を取らせます」「朝日は自滅へのパンドラの箱を開けてしまいました」と述べています。
朝日新聞の言い分は不可思議です、たとえば朝日新聞のコラム「素粒子」一つとっても大問題です。例えば、「首相を侮辱すれば私人を証人喚問。首相夫人の説明を求めたら採決強行。内閣支持率が53%あるからいいのだと」。全く因果関係のないものを関係づけています。

「安倍晋三記念小学校と書いてあったか。財務省が出した黒塗りの書類。『ずぶずぶ』で品が悪けりゃ癒着と言おう」。「安倍晋三記念小学校」は全く事実と違います。 

安倍晋三首相は昨日の衆院予算委員会で、立憲民主党の川内博史氏への答弁で、森友学園が「安倍晋三記念小学校」の校名を記した設置趣意書を財務省に提出したとの朝日新聞の昨年5月の報道について「真っ赤なうそだった」と重ねて批判しました。朝日の報道を前提に議論され、疑惑が広がったとの認識も示しました。

朝日放送はイメージ画像として「安倍晋三 記念小學院」の画像を報道した
首相は、森友学園が財務省に提出した小学校名は「開成小学校」だったと説明。朝日の報道を根拠に「忖度(そんたく)されたのではないかと(国会で)質問されたが、そうではなかった」と強調しました。

首相は昨年11月の衆院予算委でも朝日新聞の当時の記事を取り上げ、学園前理事長の籠池泰典氏の話を「うのみにした」と批判していました。

 朝日がこんなむちゃな非対称的な状況で個人や弱小出版社を訴える姿を見ていると、「安倍政権は安倍首相夫妻への重大な人権侵害に対し、きちんと提訴せよ」と言ってやりたくさえなります。


「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」著者の小川榮太郎氏が1月25日、訴訟に関する特設サイトを公開しました。

これは小川氏と小川氏が理事長を務める日本平和学研究所が開設したもので、URLは「asahislapp.jp」。サイト名は「朝日新聞5000万円訴訟の記録」となっています。


コンテンツは「私たちの主張」「5000万円訴訟の経緯」「朝日の代表的な過去の事例」と共に「本の贈呈運動」として全国の朝日新聞販売店に対し「徹底検証・・・」をプレゼントする運動についてのページが含まれています。

プレゼント運動は「徹底検証・・・」を購入し、朝日新聞の販売店に郵送または手渡しで書籍を「プレゼント」、その後サイト上で報告するという流れで、小川氏側では報告のあった販売店を公表していくとしており、「この活動で発生した印税につきましては、著者の収入とせず、然るべき団体に寄付します」と明記されています。

小川氏は「asahislapp.jp」上で朝日新聞による提訴を「言論機関による言論封殺」「こんな裁判を認めては、今後の日本の『言論の自由』は大幅に制限される」と訴えており、「私たちは、これは『スラップ訴訟』であると考えます」と主張しています。

また「朝日の代表的な過去の事例」を紹介したページでは朝日新聞による過去の誤報がまとめられており、サンゴ事件や慰安婦報道問題なども紹介されています。

サイト開設について小川氏はFacebookで「今後、裁判の経緯や有識者の見解など更新してまいります」としており、同時に現在「徹底検証・・・」の新聞広告が各新聞社から拒否されているとしてこのように協力を求めています。

小川氏は、"私は新聞各社に対しては、民事訴訟での一律な広告掲載拒否を見直すよう強く主張するとともに、新聞広告が出せない状況で国民に広く「森友加計の安倍疑惑が朝日主導の捏造だったこと」を知らせる輪を広げていただきたいと切望します。"と語っています。

今回の森友・加計事件は、朝日による「安倍疑惑」という大きな捏造(ねつぞう)です。これをあいまいにしたまま、小川氏による名誉毀損(きそん)案件としてごまかすことは絶対に許されません。

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