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2020年6月20日土曜日

外国籍潜水艦 奄美大島周辺の接続水域を航行 中国海軍か— 【私の論評】中国潜水艦が発見できるうちは平和、できなくなったり日米潜水艦の行動が中国メディアに報道されるようなったら大変!(◎_◎;)


奄美大島

18日から20日にかけて、鹿児島県の奄美大島の周辺で、外国の潜水艦が、浮上しないまま日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したのを海上自衛隊が確認しました。防衛省関係者によりますと、収集した情報から中国海軍の潜水艦とみられるということで、防衛省は、航行の目的を分析することにしています。

防衛省によりますと、18日午後、奄美大島の北東の接続水域を、外国の潜水艦1隻が、浮上しないまま西に向けて航行しているのを海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が確認し、追尾にあたりました。

潜水艦は、20日午前までに接続水域を出て、東シナ海を西に向かって航行していることが確認されました。領海への侵入はなかったということです。

防衛省関係者によりますと、収集した情報から中国海軍の潜水艦とみられるということです。

外国の潜水艦が浮上しないまま接続水域で航行したのが確認されたのは、18年1月、中国の原子力潜水艦が、沖縄県の宮古島や尖閣諸島の沖合で航行して以来2年ぶりです。

潜水艦がほかの国の沖合を航行する場合、国際法上、領海内では浮上して国旗を掲げなければならないとされていますが、接続水域ではこうした定めはありません。

一方、防衛省関係者によりますと、今回、潜水艦は太平洋から東シナ海に向けて、奄美大島とトカラ列島の間の狭い海域を通過する形で航行していて、防衛省は、特異な動きだとして、航行の目的を分析することにしています。

河野防衛相“情報収集と警戒監視に万全を”

外国の潜水艦が、浮上しないまま日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したのを海上自衛隊が確認したのを受け、河野防衛大臣は、防衛省、自衛隊に対し、緊張感をもって、情報収集と警戒監視に万全を期すよう指示しました。

おととしは中国海軍の原子力潜水艦

外国の潜水艦が日本の接続水域で浮上しないまま航行しているのが確認されたのは、平成30年1月以来、2年ぶりです。

おととしのケースでは、沖縄県の宮古島と尖閣諸島の沖合で中国海軍の原子力潜水艦が接続水域に入り、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が追尾しました。

また、平成25年と26年、28年にも、外国の潜水艦が接続水域で浮上しないまま航行しているのが確認されていて、防衛省関係者によりますと、収集した情報からいずれも中国海軍の潜水艦とみられています。

このほか、平成16年には、沖縄県の石垣島の周辺で中国の原子力潜水艦が日本の領海に侵入し、自衛隊法にもとづく海上警備行動が発令され、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が公海に出るまで追尾しました。

【私の論評】中国潜水艦が発見できるうちは平和、できなくなったり日米潜水艦の行動が中国メディアに報道されるようなったら大変!(◎_◎;)

今回の中国の潜水艦の行動は、あまり心配する必要はないと思います。なぜなら、その行動が把握されて、報道されているくらいですから、中国の潜水艦の行動は日本の自衛隊や米軍によって把握されているということです。

逆に中国の潜水艦の行動が全く報道されなくなったら、かなり危険と見るべきです。それは、中国の潜水艦が日米には探知できないほど、能力が向上したことを意味するからです。

そうして、日米の潜水艦は、中国付近の海域や南シナ海、東シナ海などで行動しているはずですが、それが全く中国で発表されないのは、中国側がこれを発見する能力がないからです。

今回の中国潜水艦の行動もおそらく、海自などにより詳細が分析されて、いずれ発表されるでしょう。

はっきり言いますが、中国潜水艦が日本の付近で隠密行動できずに、マスコミなどですぐに報道されてしまうということは、無様としか言いようがありません。

上の記事では、一昨年の中国潜水艦の行動について、掲載されていますが、これについて、その後かなり分析されています。

一昨年の2018 年1 月 10 日午後、宮古島東北東の接続水域で探知された潜航中の潜水 艦が北西進し、11 日午前、宮古島北北東の接続海域から出域、東シナ海に進 出、11 日午前再び尖閣諸島大正島の接続水域に進入しました。

11 日午後、潜航中の同潜水艦が大正島の北北東の接続海域から出域、12 日午後、前日、大正島の接続水域で潜航中だった同潜水艦が東シナ海で浮上 し国旗を掲げた、という事件について論評します。

これは、2018 年 1 月に発生した 093B 核潜水艦(SSN)が中国国旗を掲げて日中間で争いのある海域に出現した事件です。この事件で、 最も可能性のあるのは093B は日本に浮上を迫られたのです

093B 核潜水艦(SSN)


 そう解釈しなければ、このような浅い海域で最先進型戦略核動力攻撃潜水艦が 国旗を掲げて軽率に浮上したことの説明ができません。なぜか?どんな理由か? 主権を主張するためならば、国旗を掲げる潜水艦は通常型潜水艦で事足りはずです。 なぜ巡航ミサイルを搭載した SSN を使ったのでしょうか。

戦時であれば、093B はとうに撃沈されていた可能性があります。 この 093B は、出港時から米国の核潜水艦の追跡を受け ていた可能性があります。中国海軍の通常型、核動力型潜水艦は米国陸海空軍の追跡の重点対象 であり基地を出ると直ぐに追跡を開始したでしょう。

米国は日本に通報し、日本は水面下のソナーを使って位置を標定しました。そして潜水艦、水上艦を出動させ米海軍 と一緒に追跡しました。

この、米軍が通報したとの内容は、当時日本のメディアが広く報道しましたた。それでは 093B がなぜ浮上して、国旗を掲揚したのでしょうか。

 まず歴史と海軍作戦の常識を振り返ってみます。1994 年、1 艘の 091 型 SSN が米海軍によって探知されました。中国側の説によると、米軍は膨大なかずのソノブイを散布したそうです。 この種の状況が発生し た場合、潜水艦はエンジンを止めるのが最善の方法です。

そうしないとソナ ーによる情報が徹底的に記録されてしまいます。中国潜水艦の包囲は 3 日間続きました。潜水 艦は浮上しました。最終的に北海艦隊は J-6 戦闘機を派遣し対応しました。

軍事関係者の間周知ですが、平時であっても、海軍の潜水艦作戦は、水上艦の作戦とは異 なります。米ソの潜水艦は冷戦時代何度も水面下で遭遇し、ある時は衝突しました。

水上艦の目標は明確です。平時には、たとえ敵に発見されたとしても、脅威を与えることはあります。単に相互に監視し合うのみです。

潜水艦は異なります。敵意を持った潜水艦が米国海軍艦隊を追跡し、あるいは日本 と係争中の海域に進入した場合、日米はこの潜水艦を密接に追跡し或いは退路 を断ちます。大量のソノブイを散布し、様々な方式で所属国を明らかにして威 嚇します。

そうでなければ撃沈します。海上自衛隊は、かつて日本近海の排他的経 済水域に出現した疑いのある船舶に対して火力を用いました。これは北朝鮮の武装 船でした。

水面下の潜水艦は一旦発見され、敵意があ れば、威嚇され包囲されても合法なのです。これは、実戦でも証明されている事実です。

 1994 年、091 型と米軍空母は 3 日 3 晩対峙していました。もし米軍が水面下及び 水上で包囲、封鎖し、退路を断たなかったとすれば、091 は迅速に離脱できたはずです。理由はただ一つ:逃げられず、浮上するしかなかったのです。

平時に は浮上が最も安全です。浮上して航行することにより、水中の静音性の程度を騙す ことができます。しかしこれは敵にあらかじめ発見されたことであり、潜水艦部隊にとってこの ような状況は、本来最も避けなければならないことです。

戦時においては、潜水艦のいかなる行動においても、敵の面前で浮上するこ とは死を意味します。これは争いの余地はありません。過去においては、中国核潜水艦および通常型潜水艦が幾度か日中間で争いのある海域で、あるいは日本近海で浮上する 事件を起こしたのは、すべて浮上を迫られたからです。

2018 年1 月 の事件では、米軍は中国核潜水艦を威嚇したと見るべきです。

2004 年、091 型核潜水艦が日本の領海に侵入しました。この時は浮上しませんでした。 しかし日本は以下のように公表しました。

これは 091 型核動力潜水艦である。事件発 生後、直接北海艦隊の第一核潜水艦基地に戻った。潜航深度、航路、速度につ いて、日本側はすべて記録を公開しました。潜水艦発見の公表の中でこの種のものはまさに恥辱です。

戦時においては、091 は早期に撃沈されていたことを意味するからです。この事件後、 091 には徹底的な改良が加えられたことが分かっています。

2018 年1月の093Bの事件に戻ります。なぜ日本はこれを撃沈しなかったのでしょうか。軍事専門家によれば、まずは、撃沈の法的根拠が必要だということです。その後日本 は関連法律を整備しました。次に、撃沈した場合、核物質の処理をどうするという問題もありました。

中国が如何なる理由をこじつけようとも、中国の潜水艦は発見されたのです。しかも正確 な位置を確定され、追跡されたのです。これは何を意味するのでしょうか。

093B はなぜ国旗を掲げたのでしょうか。ある説によると、主権を主張するためである とするものもあります。しかし、最新型核潜水艦を浮上させ敵に安易と追跡させるように、国旗を掲げ、”主権を主 張”するようなことがあり得るでしょうか。

軍事常識では、 潜水艦のどのような行動も、絶対に敵に発見されず隠密にすべきです。特に公海上ではそうです。

中国潜水艦が国旗を掲げたのは2018年1月が最初ではありません。2003 年、1 艘の 035 通常型潜水艦が日本の鹿児島近海で国旗を掲げ浮上航行しました。日本の領海から 僅か 18KM しかありませんでした。

P-3C が 2 機、追跡監視しました。中国側は、035の行動 は通 常のパトロールであり主権を宣言するため国旗を掲げた、と堂々と主張しました。 本当にそうだったのでしょうか。中国海軍艦艇条例では、”国旗を掲げる”各種要 件を極めて明確に規定しています。しかし、「中国海軍将校ハンドブック」には、通常艦艇についての規定ありますが、”潜水艦が国旗を掲揚する”許可条件などありません。

これは、035 が国旗を掲揚したのは海軍上層部の直接命令か、あるいは艦長 の独自判断であることを意味しています。事後、艦長は処分されました。これは中国海軍 内部の人は皆知っている事件です。内部に通報した者がいます。

国旗を掲げた093B

これではっきりしたことがあります。国旗を掲げなかった場合、日本は 035 を威 嚇しそれを公表した可能性が極めて高いです。

この事件に関して、航空自衛隊の退役中将である織田邦男 はテレビである種の説明を行いました。以上述べた内容は、ほぼこの説に近いものでした。彼は、093B が浮上させられた、と認識していました。

今回の18日から20日にかけて、鹿児島県の奄美大島の周辺で、外国の潜水艦が、浮上しないまま日本の領海のすぐ外側にある接続水域を航行したという事件も、当然ながら、日本側がこの中国潜水艦の行動を把握していたということです。

発見されても浮上しなかったということでは、2004 年、091 型核潜水艦が日本の領海に侵入した時と同様です。当時は、上でも述べたように、撃沈の法的根拠はありませでした。その後日本 は関連法律を整備しました。ということは、今回は場合によっては、撃沈も可能だったということです。

ただし、撃沈した場合、核物質の処理をどうするという問題もあったのかもしれません。だから、敢えて撃沈はしなかったのかもしれません。

いずれ、この潜水艦が中国のどの潜水艦であるか、発表されることになるでしょう。18日から20日にかけての行動も明らかにされるかもしれません。これは、本当は中国にとっては、屈辱的なことなのです。

このように、中国潜水艦が発見できるうちは日本も平和維持できるでしょう。できなくなれば、日本平和は確実に脅かされることになります。

さらに、中国の潜水艦の行動が日本のメディアで報道されるように、日米の潜水艦の行動が中国メディアに報道されるようなったらこれも大変なことです。これは、中国側が日米の潜水艦が中国側に発見されていることを示すからです。

日米はもとより中国も含めて、世界中の国々の潜水艦は、隠密に行動しています。そのため、日本の潜水艦の行動も公表されることはありません。

しかし、日米の潜水艦は、東シナ海、南シナ海をかなり自由に航行しているのは間違い無いでしょう。当然、台湾海峡やひょっとすると黄海あたりも航行していると思います。

なぜこのようなことができるかといえば、日米が中国の潜水艦の行動を逐一把握できる、対潜哨戒能力を有しているとともに、日米の潜水艦はステルス性能が優れているため、中国の対潜哨戒能力では発見できないからです。

呉の潜水艦基地に向かう日本のそうりゅう型潜水艦

これが何を意味するかといえば、日米の潜水艦は、中国の潜水艦を含めて全ての艦艇を容易に撃沈できるのに対して、中国の潜水艦は日米の潜水艦や艦艇を容易に撃沈できないということです。

したがって、南シナ海や尖閣、台湾海峡で、中国が威嚇程度のことはできても、本格的に侵攻しようとした場合、全ての艦艇か撃沈される恐れがあり、しかもそれを防ぐことはできないということです。南シナ海については、これに反論もあるかもしれませんが、中国は環礁を埋め立て、軍事基地化するのに、サラミ戦術で何十年もかかっているという事実を忘れるべきではありません。

ルトワック氏のいうように、南シナ海の中国の軍事基地は、象徴的な意味しかなく、5分で吹き飛ばせるという発言も、このような背景があるのです。

この中国に対する優位性は、絶対に失うべきではありません。この優位を失えば、中国は海洋進出を本格化し、世界の海を我がものにすることでしょう。

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