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2017年5月21日日曜日

民進党、お決まりの空騒ぎ 「加計問題」追及も現地視察門前払い、法務委では大騒ぎ―【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?


「加計学園」獣医学部建設予定地を視察する今井雅人衆院議員(前列左)ら
民進党プロジェクトチームのメンバー=19日、愛媛県今治市
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐり、民進党が国会で追及していた「文書」について、松野博一文科相は19日、「存在が確認できない」と発表した。現地視察では地元自治体関係者にも会えず、お決まりの「空騒ぎ」となりつつある。

民進党の「加計学園疑惑調査チーム」は同日、同学園が獣医学部新設を目指す愛媛県今治市の建設予定地を訪れた。現地では地元の市民団体から意見を聴取したが、視察そのものはフェンス越しだった。

また、視察に先立ち、愛媛県庁と今治市役所を訪問。説明を求めたが、それぞれ「担当者らが不在で対応できない」と告げられたという。

それでも桜井充参院議員は「森友学園問題とは性質が異なり、忖度(そんたく)ではなく、新設について首相からの直接の指示があったのではないか。とことん追及していかなければならない」と記者団に話した。

「総理の意向」をバックに内閣府が文部科学省に早期実現を迫ったことを示唆する「文書」の存在が確認できないと発表されたことについて、桜井氏は「(発表内容を)よく承知していないが、存在する信憑(しんぴょう)性は高いと思っている」と述べた。

「信憑性が高い」と主張するのであれば、自分たちで証明すべきだが、なぜかそこには踏み込まない。ある永田町関係者は「『第2の偽メール問題』を恐れているのだろう。自分たちで存在を証明できないような出処不明の文書を使い、国会の質問に立つ神経が信じられない」と述べた。

民進、共産、自由、社民の4野党の国対委員長らは同日、国会内で会談し、問題の「文書」をめぐり、衆院予算委員会で集中審議を求めることで一致した。もっとも、学部新設をめぐっては民進党の議員が熱心に各所に働きかけていたことが分かっており、党内の調査も必要となりそうだ。

テロ等準備罪に反対する国会前デモ参加者の前で
演説する民進党の蓮舫代表=19日午後、東京・永田町
 この日の午後には、衆院法務委員会で、「テロ等準備罪」の新設を含む組織犯罪処罰法改正案を可決した。そこでは「叫ぶ」「ヤジる」「アジる」の三拍子がそろった、おなじみの“民進党劇場”となった。

これまで民進党は緊迫した採決の場面では、議員がメッセージを書き込んだ「プラカード」を掲げ、大声を上げながら委員長席を取り囲むのがお決まりだった。

だが、世論受けが悪いことから今回はプラカードを取り出す議員はおらず、与党の賛成多数で同改正法案は可決された。

民進党のプラカードが見られないのは、ちょっと寂しい。

【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?

民進党の加計学園問題に関する、行動は安倍総理や自民党に対する単なるイメージダウン戦略だとしか思えません。それを裏付けるような事実がいくつかあります、それを以下に掲載します。

まず第一に、民進党は過去に加計学園関与していて、学部新設を強硬に要求していたことがありました。それについては、以下の記事をご覧になって下さい。
民進またブーメラン、加計学園関与していた… 学部新設を強硬に要求「ぜひ実現してほしい」
獣医学部新設を要求していた民進党の高井議員(左)。右は蓮舫代表
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ掲載させていただきます。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐる「文書」が注目されている。民進党は、内閣府が「総理の意向」をバックに文部科学省に早期実現を迫ったか否かについて徹底追及している。だが、同党の若手議員も国会などで学部新設を強硬に要求していたのだ。これは、ブーメランではないのか。 
 「これは、ぜひ実現をしていただきたい」「(加計学園の)獣医学部の件も含めて、省庁がいろいろ抵抗することに対して、それを説得する役割が石破(茂)大臣(地方創生担当相=当時)じゃないか!」 
 この発言は「官邸の最高レベル」の意向を受けた与党議員のものではない。岡山1区を地盤とする民進党の高井崇志(たかい・たかし)衆院議員=比例中国=が、昨年4月26日、衆院地方創生に関する特別委員会で発したものだ。
高井氏は中国、四国地方の獣医師が足りず、地域によって偏っているとして、国家戦略特区を使って岩盤規制を突破するよう求めた。
さらに、民進党玉木議員が、獣医学部を新設する計画をめぐる「文書」に関して、違法ではないとの見解を示していたことも明らかになっています。それに関する動画を以下に掲載します。


この動画は、フジテレビ系『ユアタイム』に民進党・玉木雄一郎衆議院議員が出演。加計学園問題について話した音声と画像をまとめたものです。
動画内の4分過ぎあたりからの発言を以下にまとめます 
玉木議員「二日目私質問に立った際にはですね、この加計学園の事を聞こうと思ってましたが、朝日新聞の朝刊がその日、出る事は全く知りませんでした。 
で、私が聞こうと思っていたのはですね、その文書があるとか真偽がどうこうでは無くて、2015年の閣議決定、それが何かというと、その特区として認めるけれども、もう獣医師の定員は今もう十分足りてると、これは文科省・・・」 
別所哲也氏「ですからどこが違法性があるんですか?」 
玉木議員「言ってきましたから」 
別所哲也氏「どこに違法性があるんですか?この文書が見つかって、そして民進党としては何を」 
玉木議員「いや、違法性はですね」 
別所哲也氏「何を論点にされようとされてるんですか?」
玉木議員「2015年の閣議決定違反が行われてるかどうかです」 
別所哲也氏「2000?何ですか?」 
玉木議員氏「2015年6月30日に閣議決定が行われて、特区で認めるけれども、例えばですね、従来の大学では提供できないような教育をすると、言うような4つの条件が付されてるんですね」 
別所哲也氏「それが閣議決定されてると、その時点で何か違法性が発生するという事なんですかね」 
玉木議員「いや違法性ではありません。閣議決定違反がまずあるのかどうかと」
結局のところ、この文書が事実だとしても、違法性がないとのことを玉木氏は認めています。

それと、玉木氏は日本獣医師政治連盟から献金100万円(2012年)を受け取っています。既存の獣医師は新設大に反対です。

さらに、玉木氏の父親は獣医師であることを自身のブログで公開しています。そのブログのリンクを以下に掲載します。
http://ameblo.jp/tamakiyuichiro/entry-10897029715.html


そうして、民進党白石議員は、かつて今治に獣医学部を設置すべきことを訴えていました。これも自身のブログで明らかにしていました。
http://ameblo.jp/shiraishiyouichi/entry-10548862498.html

安倍総理がスピード感をもって岩盤を壊されたら既存の獣医師らは、文句をいいたくなるわけです。だから、玉木議員は過去の経緯など全く無視して、日本獣医師政治連盟の考えを利用して、今回の一連の加計学園問題を追求し、安倍総理や自民党のイメージ低下に利用しているということも十分に考えられます。

しかし、森友問題や、家計学院問題の国会での追求など、民進党にとっては断末魔の状況ではないでしょうか。これは、形を変えたかつての社会党の牛歩戦術と同じようなものではないでしょうか。

牛歩戦術(ぎゅうほせんじゅつ)とは、議会内での投票の際、呼名された議員が故意に投票箱までの移動に時間をかける行為です。牛の歩みのようにゆっくりと移動することからこの呼び名があります。日本の国会において少数派が議院規則の範囲内で議事妨害を行う手段の一つとして用いられました。

牛歩戦術の狙いは次の3つです。しかし牛歩のみによって妨害が成功した例は少ないです。
  1. 議場(議会が開かれている部屋)を一度出てしまうと、その議会が終了するまで議場に入れないという決まりがある(議場閉鎖)。このため、たとえば賛成派議員の中からトイレを我慢できなくなって、投票する前に部屋を出る議員が現れてくれれば、その分賛成票を減らすことができる。
  2. 午前0時、つまり日付が変わった時点で投票が終了していない場合は、その投票自体が無効になるという決まりがある。このため、議題の可決をある程度先延ばしすることができる。
  3. 法案は、国会の会期中に可決するか、継続審議の手続きを行わないと廃案となる。会期末まで牛歩を続ければ、理論上は廃案にできる。
第二次世界大戦の敗戦後、初めて議会に進出した日本社会党や日本共産党もまた、牛歩戦術を使うようにないました。日本国憲法が公布され、帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩の最初は、野党時代の日本自由党が、大野伴睦の発案で行われました。自民党が政権を握っていた55年体制下では、日本社会党や日本共産党が得意とした戦術であり、その後の自公政権下でも民主党などが行うことがありました。

ただし、民主党は党としては行わず、議員個人の裁量に任せるという形を取っていました。一回の投票での最長記録は1992年のPKO法案採決阻止を目的とした下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分です。

ちなみに、社会党が存続していたときには、この「牛歩戦術」を最も頻繁に行ったのは社会党でした。そうして、その社会党はこの最大の牛歩戦術をとった次の選挙では大敗を喫し、その後なくなりました。

衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人=1992年6月15日
上の写真は、衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人の写真です。傍聴人以外にも、当然のことながら、テレビなどで多くの国民がこれを見守りました。

その衆人環視ともいえる最中に、社会党は牛歩戦術という審議妨害活動を敢行したのです。社会党としては、自分たちは国民のために、努力している姿を見せたつもりだったのでしょう。そうして、次の選挙で多数の国民は、社会党に厳しい審判を下したのです。

このように国民から大ききな批判を受けた『牛歩戦術』。 今の民進党は、同じことをしています。 

彼らはここ数年、戦争法案というレッテル貼りや、森友学園問題、加計学園問題という論点が不明確な事で、安倍総理、自民党のイメージ低下を訴求しています。しかし、その根底は「牛歩戦術」と同じ議事妨害を展開しています。 

しかし、よく考えてみるべきです。『牛歩』のあと、当時、最大野党だった社会党はどうなったのか、ということを。 歴史は繰り返します。

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2016年10月17日月曜日

「日系企業が中国大脱出?」過去最大規模の財界訪中団の要望書に中国ネットが大騒ぎ―【私の論評】1m80Kgのレールから見る中国幻想の終焉(゚д゚)!


中国国家発展改革委との会合であいさつする日中経済協会の
宗岡正二団長(左)。右は経団連の榊原定征会長=21日、北京

 9月下旬、日本の主要企業トップが訪中して政府要人と会談した。その際に日本側が中国市場から「撤退」する際の環境整備を求めたことが波紋を呼んだ。中国のネット上では「出たいなら出ていけばいい」といったいつもの強気の反応が盛んで、ネットメディアも「中国市場を失った日本企業が、どうやって欧米企業などと競争できるのか?」などと日本側の「不見識」をとがめるような意見が目立った。その一方で「本当に日本企業が大規模に撤退したら、中国企業は必ず損害を受ける」といった不安な“本音”も見受けられた。

 日中経済協会を中心とした財界人は9月20日から27日に中国を訪れた。宗岡正二会長(新日鉄住金会長)を団長とし、経団連の榊原定征会長、日本商工会議所の三村明夫会頭らが加わった。3団体がそろって中国を訪問するのは昨年に続いて2回目で、過去最大規模となる計230人の参加となった。日本代表する大企業のトップらが参加し、さながら“オール財界”のメンバーが顔をそろえた。

 21日には北京の人民大会堂で中国共産党序列7位の張高麗副首相とも会談。滞在中の22日には、上海市に本社を置く国有鉄鋼大手の宝鋼集団と湖北省の武漢鋼鉄集団が経営統合すると発表する局面にも遭遇することとなった。

中国国家発展改革委の幹部(右)と握手する日中経済協会の宗岡正二団長。右から
2人目は経団連の榊原定征会長、左端は日本商工会議所の三村明夫会頭=21日、北京
 一連の日程で中国側の関心を集めたのが、22日に中国商務省の高燕商務次官と会談した際に提示した投資環境の改善項目をまとめた要望書だ。その中で、中国市場から迅速に撤退できる環境がなくては新たな投資が進まないと強調し、中国側に改善を求めた。
 撤退の環境整備に関する要請について中国の官製メディアでは話題にならなかったが、ネット上ではすぐに騒ぎとなった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では「日本企業が手厚い扱いを受ける時代は終わっている」といった否定的な反応が大勢を占めた。また、この要請について報じた日本人記者の個人名を挙げて「この記者は経済を分かっていない」などとからかうような記述も見られた。

 中国系香港メディア、フェニックステレビのホームページは「日本企業の中国大脱出?」という文章を掲載し、財界訪中団の要請がなされた背景について分析した。

 文中では、近年の日本企業の撤退はそれぞれの企業の「経営上の原因だ」と説明し、統一的な動きではないことを強調した。その上で「もし誰が誰に頼っているか論じる必要があるならば、現在は日本企業が中国市場に頼っている時代だ。その逆ではない」と述べ、中国市場撤退による被害は日本側が受けることを示唆した。また「日本企業は『政冷経冷』という中日関係の被害者だ」との見方も示した。

 一方で、中国市場からの日本企業大量撤退を招くような事態に「不安」を感じる反応も少なくない。

 「ネット上で積極的に転送されたニュースは、やはり人を不安にさせた」

 ある中国の経済系ウェブサイトは、今回の騒動について不安な思いを率直に吐露した。同サイトは、日本側が積極的に進めてきた対中投資について説明し、「日本の中国経済への影響は、その他の国を上回っている」と指摘。日本企業撤退が現実のものとなった際の被害を懸念し、「何が何でも中国の官製メディアはこの事実をできるだけ早く真実のままに報じ、中国側は誠意を持って日本企業の引き留めに当たるべきだ」と訴えた。

 「政冷経冷」の時代に入ったと指摘される日中関係。日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた平成27年度の進出企業実態調査によると、今後1~2年のうちに中国事業を「縮小」または「移転・撤退」すると答えた企業は全体の10・5%で、前年度調査に比べ3ポイント増えたという。今回の騒動は中国側にも、日中関係がそのような時代に入っていることを深く認識させる一つのきっかけになったかもしれない。

【私の論評】1m80Kgのレールから見る中国幻想の終焉(゚д゚)!

上の記事には、掲載されていませんが、日本側からは、中国の鉄鋼の過剰生産問題に関し早期解消を求める声が相次いでいました。

日中経協の宗岡正二団長(新日鉄住金会長)は冒頭あいさつで中国からの鋼材の安値輸出により「世界の鉄鋼業が深刻な打撃を受けている」との認識を示し「過剰生産などの改革を着実に進めていただきたい」と訴えた。経団連の榊原定征会長も「痛みの伴う改革の着実な実行を期待したい」と構造改革の推進に期待を示しました。

中国側は「供給サイドの改革は進展しつつある。構造的な改革を進め両国関係を強化したい」との考えを示していました。

中国の鉄鋼業界が構造調整をしないため、日本の鉄鋼業界はもとより、世界の鉄鋼業界が依然、その余波を受け続けています。中国国営の鉄鋼大手同士による統合計画が発表され、足元では再び市況が改善し始めたとはいうものの、生産や輸出は高水準のままです。

欧米諸国がその削減を中国政府に強く求めるものの、その歩みは欧米の不満を解消するまでには至らず、日本はその対立の巻き添えになりかねない立場にも置かれているのです。


日本の鉄鋼大手は自動車など製造業向けに中国現地の合弁企業から鋼材を供給。そこに向け、高級鋼に使う熱延コイルや冷延鋼板、線材などの半製品を大量に輸出しています。

こうした中、欧米諸国と中国の対立が激化し、アンチダンピング措置など対抗手段の打ち合いとなれば、日本もそのとばっちりを受けています。実際、米国は6月下旬、中国と日本の冷延鋼板に対するアンチダンピング措置を最終決定。税率は中国製が265・79%と圧倒的に高く、中国をターゲットに据えたのは明らかです。

しかし、日本製も「クロ」と判断され、71・35%と決して低くはないアンチダンピング税が課されることになったのです。

中国政府は今後5年で最大1億5000万トンの能力削減を決めているのですが、6月下旬には国家発展改革委員会が16年の削減量を4500万トンと明示。焦点の雇用問題でも18万人を配置転換させるとしており、同委員会の徐紹史主任は「目標達成を強く確信している」と断言しました。

しかし、同時にネガティブな指標も明らかになりました。まず、6月の1日当たり粗鋼生産量が過去最高を更新。政府支出による大型公共工事の拡大で鋼材需要が膨らんだ上、6月に市況が下げ止まり、「この水準なら、利益が出ると判断した製鉄所が稼働率を高めたのではないか」(中国国内の鉄鋼関係者)と見ています。


鉄鋼というと、中国も相当進んでいるように思われるかたもいらしゃる方々も多いと思います。しかし、そうではありません。中国というか、日本以外の国々は日本に遠く及ばないところがあります。

その実例を以下に掲載します。それは、鉄道のレールをみれば一目瞭然です。ただし、渡したは、常日頃、電車には乗りますが、その電車のレールにはあまり関心がないものです。
しかし、この鉄道レールは昔から日本の独壇場の様相を呈しているのです。その鉄道レールは過去においては、1メートル当たりの重量が60キログラムが主流でした。この頃から、日本のレールは品質が良いということで、人気があったのですが、実はこれからは、80キログラムレールが主流となるというのです。

なぜそのようなことになっているかといえば、より重いレールの方が、より重い列車を走らすことが出来るからです。ところが、この80キログラムレールを製造できるのは世界で日本のメーカーしかないのです。

そのメーカーは、日本国内でも新日鉄住金の君津製鉄所とJEEスチールの東日本製鉄所の2か所しかありません。

新日鉄住金の君津製鉄所
現在たとえば、アメリカは大陸横断鉄道のコンテナ列車の重量が大きくなってきて、レールの強度が問題となっています。現在の60キログラムのレールでは無理が生じてきたのです。これに対応するには80キログラムレールに置き換えるしか方法がありません。

ところが、アメリカでは80キログラムのレールを作る製鉄所はないのです。アメリカでは今、三本の大陸横断鉄道(約3万8000キロ)があるのですが、徐々に、この80キログラムレールに入れ替えています。一昨年オバマ大統領が日本に来た時に、安倍総理に「日本の鉄道技術をお願いしたい」と要請したのですが、中身は80キログラムのレールのことなのです。

この80キログラムになれば、大量の貨物を一気に運ぶことが出来るわけで、アメリカの物流革命の担い手としての期待が大きいのです。

ご存知のように、日本で鉄道の脱線事故が少ないのはこの80キログラムレールが採用されているからなのです。東海道新幹線も80キログラムレールにどんどんと、置き換わっているのです。

函館港から陸揚げされた北海道新幹線のレール
このレールを使用すると、超高速で走る車両の揺れも大幅に減らすうえに、レールの摩耗を防ぐことができます。このレールを製造するには、圧延機の能力が強力で、一本30メートルもありますが、これを均一に800度で加熱します。これには大変な技術と設備が必要なのです。

ご存知のように、鉄道というのは、昔から経済効率が非常に高いのです。しかも公害の発生も低いというメリットもあります。これからの世界は鉄道が建設ブームになりますが、当然これに合わせて、80キログラムレールの需要は世界的に高まります

さらに、鉄道車両の車輪も日本は世界に誇れる技術があります。それは、車輪と車軸は外れると脱線しますが、新日鉄住金は、なんと、車輪と車軸を一体で鍛造することができるのです。そうすれば、車輪と車軸が外れる心配はなくなります。こう言った凄い技術を持っているのは、世界中で、新日鉄住金だけなのです。

さて、話が少し文字通り脱線しましたが、なぜこのようなことを述べたかというと、鉄の製造にも当然のことながら、日本では高度の技術が駆使されていることを示したかったからです。

そうして、先ほどの80キログラムレールなど、日本国内の製造工場で製造されているのです。そうして、中国の鉄鋼メーカーはどうかというと、別に中国でなくても、どの国でもできるような鉄鋼を製造しているに過ぎません。

中国の鉄道だって、こ日本の80kgレールがなければ、成り立たないというわけです。このような圧倒的な技術力の差異は中国としてもいかんともしがたいでしょう。

もう、ブログ冒頭の記事をみてもおわかりでしょう。ここでは、鉄道を例にとって話をしましたが、他のことでも似たようなものです。

そもそも、製造業などかなり自動化されたので、実はかなり前から、製造業に占める賃金の割合は数%に過ぎなくなりました。

今の中国は、従来から比較すると、低賃金ではなくなりました。そうなれば、わざわざ中国で製造する意味もありません。現在では、従来のように、日本銀行が金融引き締めばかりしていて、極端な円高で日本国内で製造するよりも、中国で製造して日本に輸入したほうが、コストが安くなるということもありません。

そうなれば、わざわざ中国に生産拠点など置いておく必要もありません。中国の消費がさらにかなり高まり、現地で製造したほうが、コストがはるかに安くなるということにでもなれば、中国国内で製造する意味もありますが、現在はそのようなことはありません。

それは、日本に限らず、他の国の製造業なども同じです。小売業だってそうです。中国のGDPに占める個人消費の割合は35%程度に過ぎません。最近は、これが少し上がったという話もありまずが、これは全く良いことではなく、他のGDPが下がったので個人消費が上がったように見えるだけです。

そもそも、中国での小売業も最初から大変です、日本のように人口が密集しているわけではなく、広い地域に人口が拡散しています。

それに、最近では経済も落ち込み、余程の大構造改革でも行わない限り、経済が良くなる見込みも全くないです。このままだと、中国は中所得国の罠に嵌り込み、そこから浮上する見込みはありません。

もともと、中国は中所得国あるいはそれ以下の国々の集合体のようなものです。一つ一つの省を一つの国と見たほうが理解しやすいです。

将来の中国は、中所得国の寄り合い所帯のような国になることは必定です。中国の将来は、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家になりはてるだけです。

やはり、中国に進出している企業の多くは、もう見込みのない中国から撤退したいのです。しかし、それをなかなか自由にさせてこなかったのが中国です。

だからこそ、今回日中経済協会の日本側が中国に対して、日本側が中国市場から「撤退」する際の環境整備を求めたのです。

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2015年4月18日土曜日

自民、政権批判発言に照準 テレ朝・NHK聴取―【私の論評】自民党による事情聴取で大騒ぎして萎縮するマスコミは、とっくに中国スパイに蹂躙されている(゚д゚)!

自民、政権批判発言に照準 テレ朝・NHK聴取

朝日新聞デジタル



 自民党が17日、テレビ朝日とNHKの経営幹部を呼んで、個別番組の問題について異例の事情聴取をした。特に自民は、コメンテーターが菅義偉官房長官を名指しで批判したテレ朝の「報道ステーション」に照準を合わせる。国はテレビ局に対し、許認可行政指導の権限を持つだけに、政権を握る自民のこうした対応が、報道の萎縮につながるおそれがある。

自民がテレ朝・NHK幹部聴取 BPO申し立て検討も
■党内からも「圧力」懸念の声

「二つの案件とも真実が曲げられて放送された疑いがある」。17日、自民党本部で開かれた党情報通信戦略調査会。国会議員やテレ朝とNHKの幹部を前に、調査会長の川崎二郎・元厚生労働相は語った。

一つは、テレ朝の「報道ステーション」でコメンテーターが菅氏を名指しし、「官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきました」などと発言した件。もう一つは、NHK「クローズアップ現代」で「やらせ」が指摘されている問題だ。

自民の狙いはテレ朝の「報ステ」だ。この日の事情聴取は、テレ朝の約30分に対し、NHKは15分。調査会幹部の一人は「NHKはどうでもいい。狙いはテレ朝だ」と話す。

3月27日夜の古賀茂明氏の発言後、政権の対応は早かった。菅氏は30日の記者会見で「まったくの事実無根」と古賀氏の発言を否定。「放送法があるので、テレビ局がどう対応されるか見守りたい」と述べた。テレビ局を所管する総務相を務めた佐藤勉国会対策委員長は、テレ朝幹部から国会内で説明を受けた。

菅氏と佐藤氏は、国会運営などについて日頃から頻繁に意見交換する仲だ。自民党幹部は「長官や佐藤氏が動かなかったら、テレ朝は番組での謝罪だけでやり過ごそうとしただろう」と話す。菅氏は17日の記者会見で、放送局への事情聴取について党から相談を受けたかと問われ「ありません」と否定した。

調査会関係者によると、川崎氏や佐藤氏ら調査会幹部は3月30日、問題だとした番組の映像を確認。その場で「(テレ朝幹部を党に)呼ぼう」と一致した。

自民党の情報通信戦略調査会に臨むNHKの堂元光副会長(左)
とテレビ朝日の福田俊男専務=17日午前、東京・永田町の党本部
 複数の調査会メンバーは、党がテレ朝だけに政治的な圧力をかけたと思われないよう、「やらせ」問題を抱えたNHKも一緒に呼ぶことにしたと明かす。

自民は今後、NHKと民放で作る第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」へ申し立てを検討する。党幹部の一人は、仮にBPOの出す勧告や見解が甘いとみれば、「身内組織のBPOでは役割を果たせない」として「不要論」を持ち出し、政府が直接、抑え込むことができる展開も描く。

自民がここまで報道に敏感になる背景には、政権から転落した経験がある。報道による政権批判を放置すれば、支持率の下落につながりかねない。政権維持には、報道の自由への介入と取られたとしても、批判の芽を摘んでおきたいという思いもある。党中堅幹部の一人は「かつての自民は懐の深さがあった。下野して永久に与党ではないことを知り、変わった」と語る。

党内には「私なら呼ばない。ただでさえ衆院選のときに報道に圧力をかけたと言われているのに」(幹部の一人)との批判の声もある。(蔵前勝久)

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【私の論評】自民党による事情聴取で大騒ぎして萎縮するマスコミは、とっくに中国スパイに蹂躙されている(゚д゚)!

さて、この件を巡る大騒ぎについて、産経新聞の記者阿比留瑠比は、フェイスブックで以下のようなコメントをしています。


まさに、この通りだと思います。そもそも、今回の件は、政府によるものではなく、自民党によるマスコミへの事情聴取です。こんなことは、上記のように多党でも行ってきたことです。共産党だって、かつてはマスコミに申し入れをしたこともありました。阿比留氏が語るように、マスコミには日々、申し入れや、お願いをされたり、あるいは恫喝などもされていると思います。

政府が、BPO不要論などを持ちだしたとすれば、問題があるかもしれませんが、これは自民党によるものであり、自民党の中に普段からマスコミの報道の仕方を快く思っていなかった人間が、このような発言をしたからといって、政府がすぐにそのようなことをすることは全く考えられません。

それにしても、マスコミの報道はかなり酷いものがあります。ブログ冒頭の表にある安倍総理がテレビの番組の中で批判した街角インタビューも酷いものでした。これについては、このブログでも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。

安倍首相に「言論の自由」あるか 「TV報道を批判」めぐり論戦―【私の論評】この程度のことでテレビ局が萎縮するというなら、普段から萎縮して左翼のいいなり放題になっているということだ! だから既存テレビ局の崩壊は近い(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部のみ以下に抜粋させていたたできます。
"「NEWS23」(TBS系)がアベノミクスで景気回復の実感を得ているかについて「街の声」を集めたVTRを放送。5人中4人が「僕は全然恩恵受けていない」などど否定的なコメントを放映した。"としていますが、実際これでは昨年暮当時であっても、全く世相を反映していません。以下にその問題になった部分を含むnes23の番組の内容を掲載します。
問題となっている、インタービューは、17分46秒あたりからです。
NEWS23は、相当頭の悪い人か、興味の範囲が自分を中心とした半径1メートルくらいしかない人の意見を恣意的に選んで放映したとしか思えません。 
このインタビューの後の安倍総理の説明も、ごくまともであり、当たり前のど真ん中を話しているだけです。

これは、偏向報道だといって差し支えないです。偏向報道が疑われるような、報道内容について、首相が懸念を表明するのはごく自然な反応です。

NEWS23としては、これが偏向報道でないと主張するのであれば、報道において、インタビューした人の選考基準など明らかにすべきものと思います。それを明らかにしないということは、自ら偏向報道をしていることを認めるようなものです。
この安倍総理の発言を不適当とするなら、安倍総理には言論の自由がないということになります。とんでもないです。

それに、テレ朝の「報ステ」での、古賀氏の発言は誰がどう見ても、「放送事故」です。NHKのクローズアップの問題にしても、完璧に「やらせ」です。

明らかな「誤報」、明らかな「印象操作」、明らかな「放送事故」、明らかな「やらせ」に関して、自民党という組織が、それに対して意見を言うことを大問題とするならば、これこそが言論の弾圧ではないでしょうか。

この程度のことで、マスコミが萎縮するとか、弾圧を受けているなどとするのであれは、まさに阿比留氏が語っているように、自分たちは弱くて無力でへたれの根性なしだと言っているなものであり、だとすれば、マスコミはもうすでに、悪辣な中国スパイや左翼などに蹂躙されていいなりなっているのではないでしょうか。

だからこそ、頻々と偏向報道を繰り返し、やらせや、印象操作が頻々と発生するのではないでしょうか。

それにしても、私は上記のような問題ならさほど心配はしていないのですが、マスコミが自虐的歴史観の立場にたって、いつまでも、偏向・虚偽報道を続けることのほうが余程心配です。

特に大東亜戦争に関するマスコミによる刷り込みは酷いものがあります。本来の日本は、米国以外の諸国に対しては完勝しています。ノモンハン事件においては、日本が完敗と従来は言われていましたが、ソ連崩壊後のロシアによる文書公開により、日本側は被害が大きかったものの、勝利していたことが明らかになっています。

対米戦においては、あまりにも戦略がお粗末すぎて、負けるべくして負けたのですが、勝つ公算は十分にあり、日露戦争の時のように、講和に持ち込める可能性は十分にありました。しかし、今の日本ではなぜか、米国相手の戦争は、最初から全く勝ち目のない無謀な戦いだったとされています。

しかし、これは後からの米国などによる刷り込みによるものです。それをさらに、日本のマスコミが国民に徹底的に刷り込んだため、今では、対米戦争は、最初から負けることが決まった無謀なものであったとされています。

さらに、実は日米は戦争する必要性など全くなかったという史実もマスコミはほとんど報道しません。日米が戦争になったのは、ソ連の画策によるところが大きいということが全く知られていません。

強力に見えたソビエトも今や存在しない

当時の米国の中枢部にはコミンテルンが300人以上も浸透していました。日本の、近衛内閣もかなりコミンテルンに浸透され、これらが両国が戦争するように画策していたことは、今やベノナ文書や、ソ連崩壊後のロシアによる文書公開で明らかになっています。

そのソ連も、米国側の諜略や、共産主義体制の瑕疵から、崩壊し戦後70年もたった現在、日本が過去の呪縛にとらわれたままで良いはずはありません。これは、欧米諸国にとっても良いことはありません。虚偽の歴史に耽溺していても何も良いことはないはずです。

しかし、私は、戦後70年を経て、ソ連も崩壊し、それに続いて中国も崩壊しそうな現在であるにもかかわらず今も続く“占領体制”の呪縛を日本国民がいずれ自ら解く時が目前に迫っていると信じています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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米国、日本のマスコミが執拗に、刷り込みをし続けてきた虚偽の歴史という呪縛から解き放たれるために、以下の書籍を推薦させていただきます。



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2014年8月8日金曜日

“ネット増税”で景気動向は悪化している―【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!


すき家HPにある雇用用のバナーの写真

アベノミクスはどうなっているのか。第一の矢の金融政策と第二の矢の財政政策が逆方向に作用して方向性が定まらない。第三の矢はもともと効果が出るのは数年後なので、当面の景気にとって、金融政策と財政政策の動きがカギを握っている。

金融政策は昨年と今年で同じであり、ともに緩和でアクセルを踏んでいる。しかし、財政政策は様変わりだ。今年4月から消費税増税になったので、急ブレーキ、逆噴射の状態だ。

このため、景気情勢は出てくる指標によってまちまちの結果になっている。たとえば、雇用は遅行指標なので、昨年来の金融政策のアクセル効果のいい面が素直に出ている。失業率も3%台半ばまで下がってきており、就業者数も増加してきた。

金融緩和があぶり出したブラック企業

その動きの一つとして、いわゆるブラック企業の実態が暴かれてきた。

ブラック企業が存在している一因として、ここ20年間にわたるデフレ経済がある。成長しないデフレ経済の中で、企業は生き残りをかけて、コストカットに全力をあげてきた。その中で、労働者へのしわ寄せが起こり、長期間労働や労働環境の悪化が放置されてきたこともある。

実際、日本の労働者については、雇用は比較的確保されているが、賃金は海外に比べて上にも下にも伸縮的である。もっとも、これは正規社員の場合であり、非正規では賃金も雇用もよくいえば弾力的、労働者にとっては企業の都合で自由自在という状況であろう。これが行きすぎれば、ブラック企業になる。

要するに、ブラック企業はデフレ下でそれに最適化された企業でもある。デフレ時代にはこうした企業でも働くしかなかった選択肢がなかったところ、デフレ脱却が視野に入るとともに問題が顕在化した。この意味で、金融緩和はこうしたブラック的なものをあぶり出している。

その具体例が、牛丼のすき家や居酒屋のワタミが人手不足で一部閉店したり、ユニクロが従業員の正社員化を進める動きなどだ。すき家は、人手不足で今年度の最終損益が当初の41億円の黒字から13億円の赤字になるという見通しであり、数字の上でも「デフレ最適企業」であったことがわかってしまった。

リフレ・デフレ論争と労働問題

なお、リフレ・デフレ論争は、労働問題に焦点を当てると、その違いが明確になる。リフレ論者は、デフレの弊害について名目賃金の下方硬直性を問題視するが、これを事実として、つまり「である論」としてとらえている。名目賃金が下方硬直的なので、デフレになると(物価が下がると)実質賃金が上がり、正規社員などの既得権労働者は得をするが、新規雇用者は不利となって、結果として失業率が高まることを懸念するわけだ。

一方、デフレ論者は下方硬直性をすべきでないという「べきだ論」としている。この「べきだ論」から出てくる一つの対応策として、名目賃金には下方硬直性があるが、労働時間を長くして、実質的な賃金を下方に伸縮的にすることがある。これが過度に行き過ぎれば、「ブラック企業」ひいては労働基準法違反になりかねない。こうしたことに対してデフレ論者は比較的寛容である。また、失業についても、デフレ論者は下方硬直性を改善しないために生じる問題と考えるために、容認しがちである。

消費税増税の効果が金融緩和効果を相殺

以上は、いい面の話だが、消費税増税の悪い面も出てきている。

最近では、マスコミもようやくそれを報道しだしてきた。内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(2010年=100)は一致指数が前月比1.8ポイント低下の109.4となり、2ヵ月ぶりに悪化した。

一致指数は、生産指数(鉱工業)、鉱工業生産財出荷指数、大口電力使用量、耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数(調査産業計)、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業、前年同月比)、商業販売額(卸売業、前年同月比)、営業利益(全産業)、中小企業出荷指数(製造業)、有効求人倍率(除学卒)で構成されている。そのため、6月に悪い数字が出てくるのは、当然予想されたことである。

しかし、6月の景気動向指数では、先行指数が0.7ポイント上昇の105.5と5ヵ月ぶりに改善したことがかすかな希望だ。

先行指標は、最終需要財在庫率指数(逆)、鉱工業生産財在庫率指数(逆)、新規求人数(除学卒)、実質機械受注(船舶・電力除く民需)、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数(42種総合)、長短金利差、東証株価指数、投資環境指数(製造業)、中小企業売上げ見通しDIで構成されている。先行指数は景気の「谷」の局面では1ヵ月程度先行するとされている。もっとも、先行指標によって、3ヵ月後の一致指数をかなりの程度正しく推計することができる。それを活用して、3ヵ月先までを筆者が推計したのが下図だ。

たしかに先行指数は少し上がった。しかし、前回97年増税時と比べても、まだ、悪い状態だ。

クリックすると拡大します


筆者はメタボである。定期健康検診の時、コレステロール値が上がった、下がったと言われる。医者は、悪い数字の範囲内のとき、少しくらい改善したからといって大丈夫とは決していわない。

一致指数のこの程度の改善があるからといって、「景気は夏以降に上向く可能性が高い」という新聞報道は甘いのではないだろうか。

消費税増税の効果は、金融政策の緩和効果を相殺し、さらに悪影響を与えている。というのは、97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われた。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネットで減税であった。しかし、今回の増税はネット増税である。これの悪影響がないはずない。

(高橋洋一)

この記事は要約記事です。詳細を知りたい方はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!

上記の高橋洋一氏の記事、いつもながら理路整然としていて、まったくごもっともということで、この記事自体には、特に付け加えることもありません。

しかし、上の記事で注意しなければならないのは、タイトルにある「ネット増税」のネットの意味です。

これは、無論英語では"net"ですが、この意味はいくつかあります。

名詞では、網とか、連絡網、通信網という意味があります。動詞では、網で捉える、網を編むという意味があります。

ところが、形容詞では、掛け値のない; 正味の (grossと同義)、正価の、という意味かあります。

高橋洋一氏の言う「ネット増税」のネットとは、このうちの形容詞のネットです。

どういうことかといえば、たとえば、ある人が500万円の金融資産を所有していたとします。しかし、一方で、銀行から1000万円借りていたとします。

そうすると、この人正味で、500万円の借金があるわけです。

こんなことは、あたり前といえば、あたり前なのですが、誤解を招きやすいということで、一応整理しておきました。

ネットの意味は網とか、網ですくうだけではない


これを念頭に置いた上で、高橋洋一氏の主張をまとめると、

97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われたので、正味では増税しなかったのと同じ。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、正味では減税であったのと同じである。

しかし、今回の増税はネット増税、すなわちこれまでの増税では、97年には、実質的に増税がなかった等しいとか、89年には、消費税が創設されたとはいえ、実質的には減税であったのとは異なり、実質的な増税であるということです。

そうして、高橋洋一氏は、あまりにもあたり前なので上の記事には特に記載はしていませんが、89年の増税のときは、日本経済はデフレではなく、インフレでした。

97年増税時には、確かにデフレ傾向ではあったものの、完璧なデフレではありませんでした。増税後の98年に日本経済は誰もが否定出来ない完璧なデフレに突入しました。

要するに、過去の増税では、その直前まではいずれも、デフレではなかったわけです。これは、何を意味するかといえば、いずれの場合も賃金が上昇している中での増税だったということです。

これは、89年のときは、顕著で、毎年給料が前年に比較して、上がるのが当然と思われていたときの増税でした。

さすがに、デフレ気味の97年の増税のときは、そこまでいきませんでしたが、最低限賃金が下がり続けるということなく、横ばいもしく若干あがるというという最中での増税でした。

しかし、今回の増税は、金融緩和で多少は良くなったとはいえ、毎年給料が前年に比較して賃金が下がり続けることはあっても、上がることはないと思われているときの増税だということです。


これをまとめると、ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのことであり、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるということです。

しかし、このことをマスコミは騒がないし、多くの政治家や識者も騒ぎはしません。本当に日本経済のことを考えているなら、何らかの経済対策をすぐにでも打つべきですが、そうではありません。一体これはどうしてなのでしょうか?

これについては、以前このブログでも論評したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜマスコミや多くの政治家や識者が大騒ぎしないかといえば、今更言えない事情があります。その部分のみをこの記事から下にコピペさせていただきます。
確かに、政治家もマスコミも高橋洋一氏のようなことは一言もいいません。しかし、これはマスコミも、政治家もそのほとんどが財務省主導の増税キャンペーンに踊らされて、増税一色で走ってしまったため、いまさら景気が落ち込んでいるなどとは、言い出しにくい状況にあります。 
それをしてしまえば、自らが、マクロ経済音痴であったことを公にするようなものです。それは、財務省も同じことでしょう。だから、マスコミ・政治家が経済がかなり落ち込むかもしれないなどと今更、大声をたてることは出来ないのだと思います。
.確かに、いまさら落ち込むなどといえば、自分は馬鹿でしたと公表するようなもので、プライドの高い人達にはとてもそんなことはできないでしょう。

しかし、この記事でも指摘したように、安部総理ご自身や、いわゆるリフレの論客とされる人たちもこの当時は、高橋洋一氏など一部の例外を除いてあまり危機を訴えませんでした。ただし、最近では田村秀男氏なども、訴えるようになってきました。この当時のこの不可解さの要因についても、安倍政権の2つの道ということで、この記事で解説しました。

その部分を以下にコピペします。
一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。 
そうして、来年の4月から10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。 
第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。 
これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。 
私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。 
まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。
「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである
さて、ここで消費税増税のスケジュールをあげておきます。8%増税は、4月からすでに実行されました。10%増税は、2015年10月からです。


そうすると、15年増税は、少なくとも本年度末(2015年3月)あたりには、その決断をしなければならないということです。

今のまま、増税で経済が悪化したからといっても、対策をうたないとか、打ったとしても、中途半端な手を打つだけであれば、今年度は経済が悪化し続けることは必定です。

そうなれば、10%増税などとても言い出せるような雰囲気ではなくなります。昨年財務省の大増税キャンペーンにおされて、アベノミクスの第一の矢である金融緩和の効果が削がれることを承知しながらも増税に踏み切らざるをおえなかった安部総理です。

今回は、目先の景気よりも、長期的視野における景気回復の道を模索するため、現下の経済の悪化には忸怩たる思いなのでしょが、目をつぶっておられるのだと思います。

これに関しては、安部総理に関する評価で、以下のような動画がありました。


2分20秒あたりから、水島氏は日下公人氏が安部総理を高く評価していたということを語っていました。日下公人氏は公務員試験で群をぬいて成績が良かった頭の良い人です。その人が安倍総理の頭の良さ器の広さについて高く評価しています。

日下氏は、安倍を馬鹿だという人間は、その人間自体が馬鹿であると語っていたそうです。少し政治や経済などに知識を得ると、安倍は馬鹿だと批判するが、そっちのほうが余程馬鹿といっていたそうです。水島氏は、学者風情などには、人の幅とか奥行きなど理解できないところがあるとも語っていました。

私自身は、この動画における水島氏の意見全部に賛成するものではありませんが、安部総理の評価については正しいことを語っていると思います。

この頭の良い、安部総理が、昨年は不覚にも財務省の大増税キャンペーンに屈して、長期政権を視野に入れている総理は忸怩たる思いで、増税を決めたわけです。

このまま、10%増税に突っ走れば、日本経済はとんでないことにりますし、安倍長期政権も夢と消えるわけです。

そんなことは、安部総理の立場からも絶対にさせるわけにはいきません。

おそらく、総理は深謀遠慮を巡らしているものと思います。

財務省の官僚たちは、ありとあらゆる手をつかい、今回も10%増税を確かなものとするために、様々な活動をすることでしょう。ただしプライドの高い彼らは、直近での経済対策については言及できないでしょう。そこが、彼らの致命傷となるかもしれません。

そこで、考えられるのが財務省による10%増税のための正当化理論による武装です。彼らは、ありとあらゆる知識を総動員して、今回もマスコミをたきつけ、政治家を諜略することでしょう。

リフレ派をはじめとする増税反対派は、今回は、彼らの正当化理論をことごとく駆逐し、増税を阻止すべきです。そうして、その時期は、年度末から3月にかけてだと思います。それまでの間に、財務省の正当化理論の予測と、それに対する反証など今から考えておくべきと思います。

年末には増税反対派が一斉射撃をはじめる?
ただ、増税反対と叫ぶだけでは、今回も財務省の増税キャンペーンに押し切られてしまいます。

しかし、私がそういうまでもなく、皆さん準備されていて、今は沈黙して、本年末あたりから、一斉に射撃を浴びせるものと思います。今からどのようになるか、楽しみです。まさに、日本国内の第二の関ヶ原の合戦の様相を呈するかもしれません。

増税派、反増税派などがい入り乱れて、奇襲あり、寝返りあり、裏切りあり、凋落ありの大決戦となることでしょう。中・韓も参戦するのは必定です。米国も一部は参戦するでしょう。ここで、日本が再度デフレ・スパイラルの底にに沈めば、日本のデフレ・円高で彼らは、また我が世の春を謳歌できるかもしれないからです。

いずれにせよ、増税派は自らのプライドのため、増税反対派は、年末からの大合戦に備えるという意味もあり、今は増税の悪影響があまり話題に登らないのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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